0
三途の川と呼ばれる場所がある。
閻魔の元へと続くその巨大な流れの中、川の渡し人である小野塚・小町は、今日も今日とてマイペースに仕事を行っていた。
「それじゃ、頑張って」
対岸へと渡した幽霊に最後の挨拶をして、小町は再び川を渡る。
だが今日は面白い話をする幽霊が居らず、少々退屈していた。本来ならばそんな風では駄目なのだが、それを楽しみにしている仕事でもある。
「ま、そんな事を四季様に言ったら怒られるだろうけど」
いつも怒らせてしまってばかりいる上司、四季・映姫の事を思い出しながら小さく苦笑する。
映姫の事だ。霊を渡しきり、こうやってゆっくり岸へと戻る事にも、
『貴女の力を使えば、一瞬で岸へと戻る事が出来るでしょうに』
そう小言を漏らすのだろう。
だが、ただ三途の川を眺めるのも悪くないものなのだ。風景としては殺風景だが、様々な異形が棲むこの川は、ただ眺めているだけでも趣がある。
と、そんな事を思いながら船を漕いでいると、川岸に人影がある事に気付いた。
その姿は十代後半程の少女で、しかし小町が見るに彼女は幽霊だった。魂魄の姿でない幽霊がこの場所に来るのも珍しい……そう思った所で、小町は映姫から聞いたある話を思い出した。
「確か……」
基本的に幽霊というのは人の形を持たない。閻魔の裁きを受けるのに、生前の姿は必要が無いからだ。だが、西行寺の娘のように転生の輪から外れてしまっている者や、この世に何か強い念い(おもい)がある者は、その念いが一番強い時の姿をとってしまう事があるのだという。
特に強い念いがある場合……それが怨みや妬みの類だと、この三途に来る事無く現世に留まり続け、地縛霊などと呼ばれる存在になる。更にこの場合は、自分が死んだ事にすら気付かない場合があるらしい。
その逆に、他者への想いや心配事などが強くあった者の場合、死後もその想いに引き摺られてしまう為に、人の形を取ってしまうのだという。
つまり、川岸に居る少女は、何かを気に掛けたまま死んでしまったのだろう。
だが例えどんな想いがあったとしても、それを裁くのは閻魔である映姫の役目だ。少々可哀想だと思うも、小町にはどうする事も出来ない。
そんな事を思い出している内に船は川岸へと辿り着き……小町は船を岸へと着けつつ口を開いた。
「次はお前さんの番かな」
「あ、はい」
少々俯いたまま、少女が答えた。
少女の服装はこの幻想郷の物とは思えぬシックな洋服で、金に近い長い栗色の髪を持ったその顔立ちも日本人のそれとは違っていた。恐らくは外の世界の人間で……どうしてこの少女がこの場所に来たのか疑問に思いながらも、小町は船を下り、
「あたいは小野塚・小町。この川の渡し人だ。一応聞いておくけど、お前さんは自分が死んでいるって事は解っているかい?」
「はい、解っています」
小さく頷き、幽霊の少女が顔を上げた。
「――」
その瞬間、小町はデジャヴのような感覚を感じ、心の中で首を炊げた。初対面である少女の顔を、何故かどこかで見た事があるような気がしたのだ。
そんな小町の様子に気付く事無く、少女は己の名前を告げた。
「えっと、私はプリズムリバーと申します。宜しくお願いしますね」
「はいよ、プリズムリバーさんね。結構変わった名前……って、プリズムリバー?!」
心に浮かんだ疑問を無視しながら小町は頷き、しかし少女の告げた名前に驚きの声を上げた。
プリズムリバーといえば、西行寺の所に良く呼ばれている騒霊達の名だ。しかし、『騒霊』という存在である彼女達がここに来る筈も無い。けれど感じたデジャヴ……少女の顔は、あの三姉妹に良く似ていた。
一体どういう事なのかと小町が混乱を深めていると、こちらと同じように混乱の色を持った少女が問い掛けてきた。
「あ、あの、私の名前が何か?」
「い、いやね、貴女――プリズムリバーさんと同じ名前の奴らがここ、幻想郷に居てね。珍しい名前だし、何か関係でもあるのかと思って」
「そうだったのですか……」
まだ軽く混乱している小町に対し、少女の方はもう落ち着きを取り戻してきているらしい。幼く見える外見とは裏腹に、実際にはもっと高齢で無くなった人物なのかもしれない。そしてこの外見の頃、何か現世を強く想う出来事が起きたのだろう。
そんな事を思いつつ、小町はやっと落ち着きを取り戻し、
「恐らく偶然だろうけど、ちょっと驚いたよ」
「私もです。……それで、その私と同じ名前の方々というは、一体どのような……?」
問い掛けて来る少女に、小町は冥界があるだろう方角へと何気なく視線を向け、
「騒霊……いや、演奏隊と言った所かな。三姉妹なんだが、結構良い演奏をするんで評判は高いんだ」
「そうなんですか……。でも、私は四姉妹でしたから……本当にただの偶然、なんでしょうね」
四姉妹、という言葉に少々眉を下げ、視線を落としながら少女が答えた。やはり、何か強く想う事があるのだろう。
だが、死神という仕事をしている以上、小町は少女を閻魔の元へと運ばねばならない。
少女と同じように眉が下がってしまうのを感じながら、船へと視線を向け……ふと、今朝天狗が置いていった新聞が目に入った。
その一面には、『プリズムリバー三姉妹、夏の公演がスタート!』と大きく書かれてた。
「……あー……」
何気なく新聞の記事を目で追えば、プリズムリバー三姉妹は冥界でのライブの真っ最中なのだという。同時にその日程を確認すれば、今日もまだライブを行っているらしい。
「んー……」
今から向かえば、時間的にぎりぎり間に合うかもしれない。
「……。……良し」
今日はもう三人も岸に送ったし、そろそろ休憩しても良いよね……心の中でそう言い訳をして、小町は視線を落としたままで居る少女へとある提案をした。
「なんなら、今から一緒にその演奏を見に行ってみるかい? 偶然だとしても、最後の思い出にはなるだろうから」
小町の問い掛けが意外だったのか、少女は驚きを持って顔を上げ、
「わ、私はもう川を渡らねばいけない身なのに……宜しいのですか?」
「あたいは今から休憩時間なんだ。本当は良くないけど、川を渡れない間の時間潰しだと思ってくれれば良いさ」
笑みで答えながら船を下りると、流されないように紐で固定する。
そして戸惑いを隠せないでいる少女の手を取ると、小町はライブ会場になっているらしい西行寺家の方へと歩き出した。
良い演奏を聴いて、過去への想いを少しでも減らせたら……それは善行ですよね?
そう、川の向こうにいる映姫へと心の中で問い掛けながら。
1
死者の住まう場所、冥界。
普段は静かなこの場所も、今は興奮の中にあった。プリズムリバー三姉妹のライブ会場となっている西行寺家では、熱気ならぬ冷気が立ち籠っている程だ。
その西行寺家の巨大な庭の一角……小さな、それでいてしっかりとした作りのステージの上で演奏を終えた騒霊の少女――ルナサ・プリズムリバーは、
「……満員御礼、っと」
小さく呟き、たった今まで演奏していたヴァイオリンを手に取った。
本日最後の楽曲は彼女のソロだ。持参したケースから他の弦楽器も取り出し、中へと舞わせていく。
本来、鬱の音を担当するルナサがソロを演じる事は少なかった。ルナサ自身はソロ演奏を好んでいるが、テンションを下げてしまう彼女の音はライブ向きでは無かったからだ。意識すれば鬱の音を抑える事も出来るが、緊張状態にあるライブ会場でそれを確実に行えるとは思えない。
けれど今回のライブは連日観客が多く……それに気を良くしたリリカが、ライブのラストに毎日交替でソロを行う事を提案したのだ。
いつもいつでもお気楽なメルランがそれを止める事は無く、二対一であっさり決定。
取り敢えず今日はメルランの演奏をメインに置いて観客達のテンションを強制的に上げていき、最後にルナサのソロでそのテンションを抑えるプログラムが組まれていた。
「……全く」
小さく溜め息を吐きつつも、ソロで演奏出来るのは嬉しい事でもある。
最近では使っていなかった弦楽器達も持ち出し、ルナサはその一つ一つに確実に力を籠めていく。同時に手に取ったヴァイオリンを顎と鎖骨で挟み、固定した。
ルナサ達三姉妹は手足を使わずに楽器を演奏する力を持っている為、ルナサ自身がヴァイオリンを弾く必要は無いのだが……観客を魅せる為、パフォーマンスの一つとして普段やらない事をやる事にしたのだ。
……それに、自分で弾くのも楽しいもの。
そう思いながらルナサは弓を構え、全ての楽器に再度意識を籠め……ライブ会場に新たな人影が二つ入って来るのが見えた。
一つは三途の渡し人である死神の少女。もう一つは――
「――」
一目見て、少女が誰だか解った。
だが、ルナサは小さく首を振り、心に浮かんだ感情を振り解く。
今はただ、演奏する事だけを考える。
「……」
すっと弓を引き……静かに、音を奏で始めていく。
……
死神の隣に立つ少女と眼が合った。
それはルナサが良く知っている色。
「……」
その琥珀色から、目を逸らす事は出来そうになかった。
……
……そして、
「――――ッ」
失敗する事無く、楽曲を弾き終える。
その瞬間、ライブ会場は大きな歓声に包まれた。どうやら思っていた以上に、鬱の音を奏でる事無く演奏出来ていたらしい。
予想以上の歓声に気恥ずかしさを覚えつつ、ルナサはその場で一礼。ヴァイオリンを胸に抱え、他の弦楽器達を従えながらステージの袖へと引っ込んだ。
途端、
「姉さん、お疲れさま!」
「お疲れさま~」
聞こえて来た声に視線を向けると、控えていた妹達がこちらへとやって来た。
ルナサは二人に微笑み、中に回せていた楽器達を元のケースへと仕舞いながら、
「ありがとう。良い演奏が出来たわ」
答えつつ、珍しく気分が高揚しているのを感じる。
けれどその気持ちを抑えつつ、ルナサは二人の妹にある事を問い掛けた。
「……二人は、私の演奏が始まる前にやって来た観客の顔を見た?」
その問い掛けに、メルランが楽しそうに微笑み、
「見たわ。あの死神さんと一緒にやって来た女の子の事でしょ?」
「私も見たよ。結構ビックリしたけど、あれって……」
妹達の言葉にルナサは小さく頷いた。
死神と共に居た少女。彼女の事をルナサ達姉妹は知っている。どうしてあの場所に居たのかは解らないが、それは間違いの無い事だった。
だが、今はその事を深く話し合っている時間は無かった。ルナサは先程まで演奏していたステージへと視線を向け、
「でも、その話は後にしましょう。今は最後の挨拶に向かわないと」
ライブの締めである挨拶がまだ残っているのだ。演奏を聴いてくれた観客の為にも、これを疎かにする事は出来ない。
「「はーい」」」
と頷く妹達に頷き返し、ルナサは今も歓声が続くステージへと戻っていった。
2
「凄かったな……」
「はい、素敵でした……」
ライブのプログラムが全て終了し、ぞろぞろと観客が帰り出した頃、小町と少女は呆然と呟いていた。
まるで魂を揺さ振られるような演奏だったのだ。それは音の本流であり、しかし一つに纏められた音楽。高ぶっていた場のテンションを鎮静化させ、しかしその静かな響きは、痺れるように全身へと響いていく――
そんな今まで聞いた事がなかった演奏に、小町は感嘆の声を上げる事しか出来なかった。
それは少女も同じらしく、うわ言のように『凄い』と繰り返していた。
けれど小町は小さく首を振る事でなんとか思考を正常な状態に戻すと、少女の手を取り、
「よし、じゃあ三姉妹に話を聞きに行こう」
「え? 演奏を聴きに着ただけではないのですか?」
驚きを持って聞いてくる少女に、小町は微笑み、
「私の休憩時間はもう少しあるんだ。それに、話を聞くぐらいどうって事はないだろ?」
……
小町達が裏手から袖へと入ると、そこでは三姉妹が撤収作業を行っている真っ最中だった。
大量の楽器類が手際良く片付けられていくその様に一瞬見とれ……しかしすぐに小町は口を開いた。
「あのー……ちょっと時間良いかい?」
「何?」
一番最初にこちらに反応したのは、長女であるルナサ・プリズムリバーだった。少し鋭い視線を向けてくる彼女に微笑みを返しながら、少女を一歩前へと進ませ、
「この子、プリズムリバーって名前らしいんだ。お前さん達と同じ苗字だし、何か関わりがある幽霊なんじゃないかと思って、ここへと連れてきたんだ」
「あ、あの、初めまして……」
人前に立つ事が苦手なのか、小さくなりながら少女が頭を下げた。
その仕草を三姉妹は無言で見つめ……頭を上げた少女へと、ルナサが一歩近付いた。
「……貴女が、プリズムリバーさん」
「そ、そうです。えっと、貴女達も、そうなんですよね?」
窺うように問い掛ける少女に、ルナサは少し影のある表情で頷き、
「ええ。私達も、プリズムリバーという名を持っています」
そう呟き、何かを考えるようにしてルナサが少女から視線を外した。
途端無言が訪れ……何か居た堪れなくなってきた小町が口を開こうとした瞬間、
「……そうね、ちょっとお話をしましょうか」
そう言ってルナサは少女の手を取ると、
「メルラン、リリカ、後はお願い。少し二人で話をしてくるわ」
「え?! ちょ、ちょっと?!」
動揺する少女を無視し、更には妹達の返事を聞く事も無く、ルナサは少女と共にステージ裏へと消えて行った。
その姿を少し呆然としながら眺め……小町は次女――メルラン・プリズムリバーと三女――リリカ・プリズムリバーへと視線を向けた。
ルナサが去った後を見つめる彼女達の顔は、どこか少女のそれと似ているところがあった。特に、ルナサの顔は少女に良く似ていたようにも感じる。やはり何か関係があるのだろうか?
そんな事を思いながら、小町は二人に声を掛けた。
「どうなってるんだ? お前さん達は、何か知らないのか?」
小町の問い掛けに、リリカは小さく首を振り、
「私達にもさっぱり。まぁ、心当たりがあると言えばあるけど……」
「断言するには、情報が少ないのよね~」
何故か楽しげにメルランが言う。
その言葉に頷き、少し考えた後、小町はルナサ達が消えて行ったステージ裏の方へとそっと歩を進めた。盗み聞きするのは悪いと思いつつも、どうにも気になってしまうのだ。
それはメルラン達も同じだったらしく……足音を抑え、三人はゆっくりと裏手へと進んでいく。
――――――――――――――――――――――――――――
「初めまして、ね……」
少女に聞こえないように呟いて、ルナサは小さく溜め息を吐いた。
本来なら、少女にはルナサ達の事が解る筈だ。なのにそれが解らないというのは、過去の記憶を失ってしまっているのだろうか。
騒霊として、強い想いと大切な記憶によって生み出されたルナサ達三姉妹には、『過去の記憶』があるというのに。
「……」
けれど一縷の望みを掛けて、ルナサは少女へと問い掛けた。
「貴女は、自分が何者であるか、覚えていますか?」
ルナサの問い掛けに、少女は一瞬きょとん、としてから、
「な、何者であるか、ですか……。……ごめんなさい、覚えていません」
その言葉に歩を止め、少女に視線を向けると、彼女は顔を俯かせていた。そのまま、地面へと向けて言葉を落としていく。
「私の中にあるのは、プリズムリバーという名前と、自分が四姉妹だった、という事だけ。言われてみれば、自分のファーストネームすら思い出す事が出来ません……」
「……」
その言葉に、何も言葉を返す事が出来なくなる。
ファーストネームが思い出せないというのは、本人にとってとてもショックな事だろう。『自分』というものを証明する一番の方法が、失われてしまったのだから。
けれどこれで、一つ解った事がある。こちらの事を見て何も思い出す事が出来ないのは、そもそも思い出す為の記憶が失われているからだ。
それが良い事なのか悪い事なのか、ルナサには解らない。
けれど、
「残念ですが、私達と貴女には、直接の関係は無いと思います。私達はプリズムリバー三姉妹。四人目の子は、居ないのです……」
自然、声のトーンが下がるのを感じる。
けれど少女は小さく頷いて、
「……そうですか。やっぱり、偶然名前が似ているだけなんですね」
そう、悲しそうに呟いた。
「……」
今この場でルナサの思っている事、考えている事の全てを少女に告げても、記憶の無い彼女には無意味な事になってしまうだろう。けれどこのまま死神の元に返せば、彼女は三途の川を渡る事になる。何も思い出せず、何も知る事が出来ず。
ルサナにはそれが苦しくて、だから思わず呟いていた。
「……出来るなら、私達の屋敷に寄っていきませんか?」
「え……? でも、私はもう……」
「あの死神には私から話をします。貴女は幽霊で、実は私達も幽霊と似た存在なんです。もしかしたら、何か共通点となるものが屋敷にはあるかもしれませんから」
そう、あの屋敷に戻れば、いくらなんでも何か思い出す事があるだろう。
このまま永久の別れになってしまうのは、辛過ぎるから。
そんなルナサの言葉に、少女は少し戸惑いながら、
「じゃ、じゃあ、お願いしても良いかしら」
了承の言葉に、ルナサは微笑んで、
「ええ。それじゃあ、みんなの所に戻りましょうか」
これで何か思い出してくれれば良い。そう思いながら、ルナサは少女と共に歩き出した。
歩き出して……さっと人影が壁の向こうに引っ込んだのが見えた。
妹達か、或いはあの死神が立ち聞きでもしていたのだろうか。
「全く……。……戻ったわ」
何か少し慌てた様子のある三人に溜め息を漏らしながら、ルナサは小さく呟いた。
そして何故かリリカと一緒に楽器を片付けている怪しさ全開の死神へと視線を向け、
「ちょっと良いかしら」
「え、あ、あたいは何も聞いてなかったよ?!」
「聞いていたんでしょう? 聞かれて困る話でも無かったから別に良いわ」
慌てて答える死神に溜め息を吐き、本題を告げる。
「彼女を一日、私達の屋敷で預かりたいの。それは可能?」
ルナサの言葉に、少々慌てた様子だった小町が表情を改めた。
彼女は眉を寄せ、暫し考えてから、
「裁きを受ける前の幽霊というのは、厳密にはまだ死んでは居ないんだ。そんな存在が現世をうろうろするというのは、正直なところ良くない。ただでさえ彼女の場合は現世への想いが強いから、その在り方が変化してしまう可能性だってある。もしそうなれば、四季様の裁きの時に悪い影響が出てしまうだろう」
けど、と死神は続け、
「もしお前さん達の屋敷に行く事で、プリズムリバーさんの想いが晴れるなら……現世への想いが改善されるなら、それは悪い事ではないんじゃないかとあたいは思う」
「じゃあ、彼女を預かっても良いのね?」
ルナサの確認に、しかし死神は小さく唸り、
「良い、というよりも、これは賭けみたいなものなんだ。上手く行くかも解らない、分の悪い賭け。
だから、ただプリズムリバーさんの事が気に掛かるってだけなら、何もせずに川を渡らせた方が良い。逆にプリズムリバーさんの想いを絶対に晴らせるという自信があるのなら、彼女を連れて行っても良い。
中途半端な思いで連れまわすと、それが結果的にプリズムリバーさんを苦しめる結果になるって事を忘れないでくれ」
真剣な顔で言う死神に、ルナサはすぐに言葉を返せなかった。
すると、話を聞くだけだった少女が口を開いた。
「あ、あの、私の想い、というのはどういう事なんですか?」
「あー、説明してなかったか」
すまない、と一言謝った後、死神は厳しい表情のまま、
「さっきのライブ会場には沢山の幽霊が居ただろう? でも、あの場所に居た幽霊はプリズムリバーさんみたいに人の姿ではなく、魂魄の姿をしていた」
「そういえば、そうでした……」
まじまじと自分の体を見下ろしながら少女が言う。死神はそんな少女の行動に厳しい視線を向けたまま、
「で、だ。人の姿を取ってしまう幽霊というのは、現世に何か強い念いを持っているものなんだ。つまり、プリズムリバーさんも現世に何か強い想いがある、という事。
だけど、プリズムリバーさんの気持ちのベクトルは負では無く正に向いている。だからその想いの原因が解れば、すぐに現世への想いが無くなるだろう。……しかし、必ずしもその想いが晴れるとは限らない。
無意味に時間を消費すれば、四季様の裁きの時にそれがマイナスに働いてしまう場合がある。だからあたいは、早まった決断をして欲しくないんだよ」
「そう、でしたか……」
視線を下げたままで、少女が呟いた。
その様子を見つめつつ、ルナサは死神に問い掛ける。
「なら、貴女が彼女をここに連れて来た事は、マイナスに判断されないの?」
時間を消費した、という事だけを考えるなら、死神の行動だって同じだろう。
そう考えてのルナサの問い掛けに、死神は少し罰が悪そうにしながら、
「私は今休憩中なんだ。だから船は出ず、プリズムリバーさんが川を渡れないのは仕方が無い事なんだ。……というのは建前で、お前さん達と何か関係があればその想いが晴れるかもしれない、と思ったんだよ。でも、まさか記憶を無くしてしまっているとは思っていなかった。
それに、あたいがサボっているのは四季様……閻魔様には筒抜けだから、この事で彼女が責められる事は無い。そこは安心して良い」
「そう……」
つまり彼女は、己が罰せられる事も顧みず、少女をこの場所へと連れて来てくれたという事か。
「……ごめんなさい、貴女の善意を疑ってしまったわ」
言って、ルナサは小さく頭を下げた。そして視線を上げると……死神の言葉が意外だったのか、少女が目を見開いていた。
けれどすぐにそれは沈鬱な表情へと変化し、
「ごめんなさい、私、何も思い出せませんでした……」
「いや、良いんだ。何も言わず、何も聞かずにここへと連れて来たあたいも悪いから。だから、プリズムリバーさんは何も悪くない」
「はい……」
小さく答えるが、しかし少女の表情は暗い。
もう彼女は死んでしまっており、この先に待っているのは冥界か天界か地獄かの三つだけだ。このまま真っ直ぐ閻魔の元に向かえば、地獄へと落とされる可能性も増える事が無いだろう。
だが、ルナサは少女がプリズムリバー家に係わり合いがある事を確信していた。
だからこそ、ルナサは少女を自分達の屋敷へと招きたかった。……いや、彼女にあの屋敷へと帰って来て欲しかった。
……でも。
それを少女に無理強いする事は出来ない。その事実を望むか否かは、少女自身が決める事だからだ。
ルナサは少し考えてから、
「……屋敷に来ても何も思い出せないかもしれません。それどころか、閻魔様に罪を重くされてしまうかもしれません。
ですがそれでも、私を……私達を信じてもらえませんか?」
無茶な問い掛けだとは解っていた。けれどルナサは、少女に問い掛けずにはいられなかった。
ルナサの問い掛けに、少女はおずおずと視線を上げ……
「わ、私は……」
3
人里から離れた山の麓。上空へと身を躍らせれば冥界の門が見えてくるその場所に、一軒の古めかしい屋敷があった。
洋風建築のその屋敷はとても古く、長い歴史を刻んで来たのだろうという事が手に取るように感じられた。
かつては外の世界にあったその屋敷――プリズムリバー邸へと、少女はルナサ達と共にやって来ていた。
「ここが私達の屋敷です。……どうしました?」
「い、いえ、何でもありません」
隣から聞こえて来たルナサの声に答えながら、少女は屋敷へと向けていた視線を三姉妹へと向けた。
この屋敷に向かいながら自己紹介をしてもらい、今では三人の名前を知る事が出来ている。少女の隣に立つ金髪の少女がルナサ。その奥で楽しそうに微笑んでいるのがメルランで、その隣に立ってこちらを見つめているのがリリカだ。ライブの撤収作業は後日行う事になり、今の彼女達は身軽な格好だった。
彼女達の名前の響きには、何故か聞き覚えがあった。まるで毎日その名前を聞いていたかのように、すんなりと耳に馴染むのだ。
それは屋敷を見た時も同様で、どうしてか少女にはこの屋敷に見覚えがあった。
詳しい事を思い出せない自分自身に苛立ってしまうのを感じながら、少女は自分を見つめる三姉妹になんとか微笑みを作り、
「何か、見覚えがあるような気がしたので」
「そうでしたか。外観を見ただけでそう思ったのならば、屋敷の中へと入れば何か思い出す事が出来るかもしれません」
そうルナサが告げ、こちらを促すように屋敷の中へと入ってく。
少女はそれに付いて行きながら、メルラン達と共に大きな門を通り抜けた。
恐らく玄関へと続くのだろう石畳の道は綺麗に整備され、その左右に広がる庭は木々の一本一本にまで剪定の手が入り、美しく整えられている。
何故か見覚えのあるその眺めに視線を巡らせながら歩を進め、玄関へ。間近で見れば見る程、屋敷には見覚えがあった。
そんな事を思いながら、少女は三姉妹と共に木造の玄関の前に立ち、
「あ、私が鍵を開けるよ」
そう呟いて、リリカがドアノブへと近付いた。懐から豪奢な飾りの付いた鍵を取り出し、開く。
木々が軋む音と共に、大きな扉は少女達を受け入れるように内側に開かれた。
「……」
屋敷の中も外観と同じように年季が経っており、しかし美しい内装に彩られた屋敷内は、まるで美術館のような空気を醸し出していた。
広い玄関ホールの正面には屋敷の奥へと続く廊下と二階への階段があり、左右に伸びた廊下は応接間やキッチンなどに繋がっている。
「って、どうしてそんな事が解るのかしら……」
頭の中に自然に浮かんできた屋敷の間取りに、少女は小さく首を傾げた。
この屋敷にやって来たのは初めてであり、屋敷内部の知識は全く無い筈なのに。
と、少女の声が聞こえたのか、ルナサがこちらへと視線を向け、
「? 何か言いましたか?」
「い、いえ、何も」
慌てて答え、応接間へと向かうのだろう三姉妹の後を、少女は慌てて追いかけた。
庭を見渡す事が出来る長い廊下を抜け、左に見えてきた扉の先にあるのが応接間だ。部屋の広さは二十畳程。大きなソファー、テーブル、暖炉があり、そして様々な楽器が綺麗に陳列されている。『この部屋は使用頻度が高く、家族が集まる事も多かった』
少女は促されるままに部屋の中へと入り、『自分の特等席』だった、窓際のソファーへと腰掛けた。同じように、リリカがその正面へと腰掛け、
「私達は何か飲み物を持って来ます」
そう言って、ルサナとメルランは応接間を出て行った。
「……」
「……」
突然リリカと二人っきりにされ、何を喋って良いか解らなくなる。
けれど……けれど、どうしてか言葉が自然と口に出た。
「『私の隣には座らないの?』」
「?! な、何か思い出したの?」
驚きに目を見開くリリカに、少女は首を傾げながら、
「ご、ごめんなさい、何故か自然に言葉が浮かんだの。どうしてか解らないけれど、貴女が私の隣に座っているのが『普通』な気がしてしまって」
「そ、そうなんだ」
少女の言葉にリリカは頷き……そして、彼女は真剣な表情でこちらを見つめ、
「突然だけど……幽霊っていうのは、自分が死んだ時の記憶を思い出す事が出来ないらしいの。それが何故か、解る?」
本当に突然の問い掛けに、どう答えて良いか解らなくなる。
けれど考えたところでその答えが解る筈もなく、少女は正直に答える事にした。
「解りません……」
少女の答えに、リリカは、そっか、と呟いてから、
「……『死』というものが、とてもとても辛い事だから。自分自身が消えてしまう、全ての終わりである『死』が、とてもとても苦しい事だから。
だから、死んでしまった人は辛かった『死』の記憶を忘れようとする」
でも、
「貴女みたいに……死後も人の姿を取ってしまう幽霊は、その想いが『死』よりも強いんだって。だからこそ、死後も生前の姿の姿を取ってしまう。例え生前の記憶を失ってしまったとしても、その想いを忘れる事が出来ないから」
リリカは眉を寄せ、辛そうにしながらも言葉を続けていく。
「多分この屋敷の中で、貴女の想いは晴れると思う。でも、それはもしかしたらとてもとても辛い事かもしれない。ここに来なければ良かったって、思うかもしれない。それでも、貴女は自分を縛るその想いの理由を知りたいと思う?」
「……」
リリカの言葉に、少女はすぐに言葉を返す事が出来なかった。
彼女が言う通り、自分が求めるものが幸せな結果を招いてくれるとは限らないのだ。それを心配して、リリカは忠告してくれているのだろう。
少女は無言のまま腰を上げ、リリカの隣へと腰掛けると、こちらをじっと見つめるその顔を胸に抱き、
「『大丈夫だよ、リリカ。私は、大丈夫』」
「……ッ」
その言葉を告げた途端、リリカの細く冷たい腕が少女の体を抱きしめてきた。
「『大丈夫……』」
過去にも言った事があるような言葉を呟きながら、胸に抱くリリカの頭をそっと撫でる。
指に感じるそれは、何故か懐かしい感触がした。
4
その後、応接間へと戻ってきたルナサ達とお茶を飲んで一休みしたのち、少女は屋敷の中を見て回る事になった。
屋敷の中は奥へと広く、部屋数も多い。けれど今はその殆どの部屋が使われていないらしく、実際に使用しているのは五部屋程だという。過去には使用人を含めて十人以上が暮らしていたらしいのだが、今はその影も無い。
そんなルナサの説明を聞きながら、少女は懐かしさを感じる屋敷の中を進んでいく。
恐らく少女とこの屋敷には何か関係があるのだろう。そうでなければ、この懐かしさの説明が付かないから。
そんな事を思いつつ、何気なく少女は二階へと続く階段へと向けて歩を進めた。無意識に手すりに指先を乗せ、すっとなぞるようにしながら階段を上っていく。
「……」
二階にあるのは姉妹達の部屋と楽器の練習部屋。それを『思い出し』つつ、気が付けばルナサ達三姉妹を引き連れながら、少女は二階を見て回り……
「この部屋は……」
ある部屋の前で立ち止まった。
木製の扉には木で出来たプレートが掛けられており、そこには『Laila』と記されていた。
「――」
瞬間、大きく心が震え――少女は無意識にその部屋の扉を開け、中へと入った。
十二畳程の部屋の中は綺麗に手入れがされており、埃一つ無い。少し大きめのベッドが窓際にあり、二つの本棚には様々な本が並べられている。勉強机の上に置かれたぬいぐるみは、『あの頃』と変わらず少女の顔を見上げていた。
その一つ一つに見覚えがあり、少女の直感がこの部屋を知っていると教えてくれている。
奇妙な緊張感が全身を支配し、少しずつ焦り出す心を抑えながら、少女はベッドの隣にある出窓へと近付いた。
震える手でレースのカーテンを引き、窓の外へと視線を向ける。そこには『懐かしい』屋敷の裏庭が良く見えた。
裏庭も庭と同様に手入れが行き届いており、『四人で作った菜園』も、『父が好きだった林檎の木』も、朽ちる事無くそこにある。そして大きく育った林檎の大木の根元に、少女はある物を見つけた。
「……」
それは、仲良く並ぶ三つの墓石。
「……あ」
少女の記憶の中にある数よりも一つ多い。
まだ真新しいその墓石。
その下で眠っているのは――
「あ、あぁ……」
その瞬間、過去の記憶が一気に蘇った。
……
思い出す。
ある四姉妹の別れの記憶。
ほんの些細な切っ掛けから始まった、崩壊の記憶を。
死して尚残る、強い強い想いを。
5
その日、久しぶりに帰って来た伯爵が持ち帰った物は、小さな鈴だった。
可愛らしい宝飾の付いた、見た事も聞いた事も無い遠い遠い国の鈴。
高く澄んだ音色を奏でるその鈴はすぐに四姉妹の宝物になって、いつも屋敷のどこかで鈴の音が響いていた。
時を同じくして、屋敷の内部で不審な事――ポルターガイスト現象が度々起こるようになった。突然家具が移動したり、ラップ音が鳴り響いたりし始めたのだ。
それは暫くの間続き……ある時突然、鈴が鳴らなくなったと同時にぴたりと停止した。
鈴自体に壊れた様子は無く、鳴らなくなった事を不思議がった姉妹達は、出掛ける直前の伯爵へとその鈴を預けた。
玄関先で伯爵は鈴を受け取り、そして何気なく軽く振り――その瞬間、耳鳴りを酷くしたような音が鈴から響いた。
その音は屋敷全体に響き渡り、大気を震わせ、窓を割った。耳を塞いでも音は小さくならず、姉妹達は抱き合うようにして床に倒れた。
そして……暫くして、その音は段々と聞こえなくなり、しかし鈴を持ったままだった伯爵は耳から血を流して床に倒れこんでいた。
それは屋敷に居た全ての住民に起こり……何故か無事だったのは、四姉妹だけだった。
姉妹達は知らなかったのだ。その鈴こそが、ポルターガイストを起こしていた要因だったという事に。
鈴が突然暴走した理由は解らない。そして姉妹達だけが無事だった理由も解らない。
けれどこうして、屋敷は……プリズムリバー家は崩壊した。
両親を失った姉妹達が離れ離れになったのは、このすぐ後の事だった。
――――――――――――――――――――――――――――
「全部、思い出した……」
そう呟いて振り返った少女の表情は、ルナサの良く知る表情に似ていて……けれど少し違っていた。
彼女は見たのだろう。裏庭にある墓……この部屋の持ち主の墓を。
少女は目尻に浮かんだ涙を拭うと、先程までとは違う芯の通った表情で部屋を見回し、
「……ただいま」
そう、静かに呟いた。
6
次の日。
少女の事が気になり、普段以上に仕事のペースが落ちていた小町の元に少女が帰って来たのは、昼を少し過ぎた頃の事だった。
船の上で昼休みを取っていた小町の所に、ふわりと一体の魂魄がやって来たのだ。
死神である小町はそれがすぐに少女だと解り……魂魄の姿になっている事に安堵しながら、
「想いは晴れたんだな」
『はい。これもライブに連れて行ってくれた小町さんのお蔭です』
頭を下げるかのように体を揺らす少女に、小町は微笑んで、
「そんな事は無いさ。プリズムリバーさんの決断があったからだよ」
答えて小町は立ち上がると、少女へと向け一歩近付き、
「それじゃ、閻魔様の所へと向かおうか」
……
少女が持っていた渡し賃は小町の予想以上に多く、現世に強い想いがあったとはいえ、少女が他者に愛されていた人物だという事が窺えた。
すぐにでも対岸についてしまうだろう……それを少し残念に思いながら、小町は少女から話を聞いていく。
『昨日、プリズムリバー邸に帰った事で、私は忘れていた全てを思い出す事が出来ました』
「それは良かった。でも、なんだか三姉妹とプリズムリバーさんは関係が無いとか話していたけど、それは間違いだったのかい?」
昨日立ち聞きをしていた時、そんなような事を聞いた気がする。それを思い出しながら問い掛けた小町に、少女は頷き、
『直接は関係がありませんでした。彼女達は三姉妹であり、私は四姉妹でしたから。けれどあの屋敷は私が住んでいた屋敷で……彼女達は、それを護っていてくれたんです。
私達四姉妹が離れ離れになった後も、ずっと、ずっと』
そして少女の口から、ある幸せな一家に訪れた不幸の全貌を聞いていく。
切っ掛けは些細な事。
父親が持ち帰った小さな鈴が全ての始まり。
それにより、プリズムリバー家は崩壊を始める……
『両親が死んでしまった後、身寄りの無い私達は親類に引き取られる事になりました。……ただ一人だけを除いて』
「……」
『私はずっと気になっていたんです。愛する姉妹達がどうなったのか、どう生きているのか。それを想い悩みながら、私はその生涯を閉じました。
そして昨日、全てを思い出したあと、ルナサ達から様々な話を聞きました。彼女達は私達姉妹とは違う存在でしたが……その幸せそうな様子は、私が求めていた姉妹達のそれでした』
遠くなっていく川岸に視線を向けながら、少女は話を続ける。
『その様子を見ていたら……妖怪が跋扈するというこの幻想郷で暮らしているルナサ達が幸せに暮らしているのに、平和な外の世界で暮らしていた姉妹達が不幸な人生を歩んでいる筈が無い。そう思えたんです。
そうやってルナサ達と話を続けて……気が付けば、私はこの姿になっていました』
「そうだったのか」
『はい。それに、ルナサ達と話をした事で、一番気になっていた事も知る事が出来ました。その話を聞いた時はかなり辛かったですが……恐らくそれが、想いを晴らす最後の切っ掛けになったのかもしれません』
「一体、それは……?」
思わず聞き返した小町に、少女は頷き、
『それは……って、その前に自己紹介をしておきますね。私の名前は――』
7
少々の時間を掛けて船は岸へと辿り着き、少女は閻魔の元へと進んでいく。
生前の少女の行いがどのようなものだったのか、それは小町には解らない。けれど純粋に姉妹達の事を心配していた彼女は、悪い人間では無かっただろう。
しかし小町の上司である映姫はそんな少女にも罪を見つけ出し、裁きを与える。それが閻魔という存在だからだ。
いくら想いが晴れたとはいえ、少女の中には不安があるだろう。
小町は岸へと船を漕ぎ出しながら、少女を勇気付けるように声を上げた。
「頑張ってなー! ルナサ・プリズムリバーさん!」
少女……ルナサは小さく頷いて、閻魔の元へと向かって行った。
end
「とうの昔」の話だったわけだ
これからメルランとリリカの訪問も同じようにあるんだろうか
なるほど、考えれば納得できるな
メルラン・リリカってのも面白そうだよな。
順番的にはメルランだろうけど…私たちの知っているメルランは躁だが、ポルターガイストではないメルラン・リリカはどうなるのだろうか?
こんなに気持ちよくだまされると気分いいねー
ものの見事にだまされました。脱帽です。