Coolier - 新生・東方創想話

我ら紅魔の盾

2006/08/30 22:37:46
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咲夜は、いつものように「掃除」をしていた。
もちろんメイドなので普通の掃除もするのだが、今行っているのは侵入者の排除。

「まったく……なんで私がいつも美鈴の尻拭いをっ!!」

紅魔館にはちゃんと門番がいる。
門番長の紅美鈴を筆頭とした門番集団、門番職はメイドの延長でもある。

しかしそれは一部の優秀なメイド達からは、見下された立場でもあった。

もちろん、仕事としてどちらが重要かという点においてそう思われているのではなく、
腕に自信はないが、メイドとしても半端、そんな連中がまとめて門番にされるという背景からである。
事実として、館内で働くメイド達よりも弱いという門番はごまんといた。
もちろんそうでない者もいないわけではないのだが。

紅美鈴も実は大分昔、1人のメイドであった。
しかし彼女はメイドが行う細やかな作業はそれほど得意というわけではなく、
人並みにはこなせるものの、それよりもむしろ侵入者の排除において力を発揮していた。
彼女の戦闘能力は他のメイド達と比べてもはるかにずば抜けていたのだ。
そんな美鈴の活躍はレミリアの目にとまり、それ以前は明確に決められていなかった
「門番隊」を正式に編成をすることが決定、美鈴は門番長として働くことを命じられた。

しかしその後、レミリアがどこかからか「十六夜咲夜」を連れてきた。
咲夜は、それまで紅魔館屈指の実力者であった美鈴よりも優れた戦闘能力を持つだけでなく、
メイドとしての仕事も実に完璧で、瞬く間にメイド長へのスピード昇進を遂げた。



レミリアは、口には出さないもののそんな2人を実に面白い存在だと思っていた。
きっと互いに磨きあい、競い合って、紅魔館を更に素晴らしい城にしてくれるものだろうと思った。
事実、初めはすぐに仲良くなったのだが、このところ紅魔館に強力な襲撃者が多くなった。
美鈴は敵を討ちもらすだけでなく、時間稼ぎすら満足にできないことが増えた。
それを見て咲夜は苛立ち、最近ではストレスや肉体的疲労からメイドとしての仕事に専念できなくなっていた。

紅魔館正門に、侵入者の排除を終えた咲夜が文句を言いに来ている。

「美鈴!! 貴女本気で紅魔館を守る気はあるの!?」
「す、すいません咲夜さん……でも最近の襲撃者って本当に強くて、抑えきれないんです」
「言い訳なんか良いわよ! そもそもなんで貴女は言い訳できるぐらい元気があるのかしら?
 そんなだから本気で戦っているように見えないのよ」
「そ、それは心外です! だって、最近皆私のこと無視して行ってしまうから……怪我すら」
「それでは門番失格じゃないの……はぁ……疲れるわ」
「でも、私は本当に手を抜いてなんていないんですよ……」

美鈴は今にも泣き出しそうである。
しかしそんな態度はより咲夜を苛立たせた。

「全力で戦いました。で済まされることではないでしょう?
 貴女は最前線でお嬢様をお守りする立場なのよ?」
「そ、そうですね……すいません」

拳を握り締め、肩を怒らせ、ついに美鈴はぼろぼろと涙をこぼし始める。
「言い過ぎたかしら……」と咲夜は少し思ったが、これぐらい言わないとダメだろうと思いなおす。
こっちだって、門番がこれでは本業に専念できない、泣きたいのは咲夜だって同じだ。

「以後は更に精進なさい、これでは安心してメイドもできないわ」
「はい……」

咲夜は踵を返して、館内へと戻って行った。

「も、門番長……大丈夫ですか?」

うつむいたままの美鈴に、部下の門番が話しかける。

「ふー……咲夜さん行った?」
「へ?」

顔を上げた美鈴は、既に泣き止んでいた。

「も、門番長?」
「あの人、根っからのサドだから気をつけないとダメよ、けして2人きりになってはダメ」
「え、えぇっ!? そうなんですか!?」
「うん、だから泣いたフリしてやりすごしたのよ、抵抗する獲物の方が好きなの、あの人は」

大ボラであった。
咲夜は本当に情けない美鈴に腹を立てて文句を言いに来ただけである。

「はー、でもさー、私だって手を抜いてるつもりではないんだよねー」
「不審者も増えましたもんねぇ」
「生傷も絶えないし、嫌になっちゃうよ」

美鈴はそう言って門に寄りかかった。
空はどんよりと曇っている。



一方、館内へ戻った咲夜は相変わらずイライラしていた。

「この花瓶! もう花が枯れてるじゃないの! 早く取り替えなさい!」
「は、はい、すいません!」

普段なら花瓶の花が枯れてても部下には言わず自分でやる咲夜だが、
相当怒っているらしく、乱暴な言葉で部下をこき使う。

ガンッ!

「うぐーっ!?」

咲夜が何かに足をぶつけて転げまわった。

「だ! 誰よこんなところにタンスを置いたのは!! さっさと持って行きなさい!!」
「す、すいません! 移動中でした!!」
「み、右足の小指がっ……!!」
「咲夜さんって、黒はいてるイメージだったんですが、白なんですね」

右足の小指を押さえて唸っている咲夜のスカートの中が見えたらしい。

「何の話をしているのよ!」
「タンス持って行きますねー、ホワイト咲夜さん」
「く、くぅぅぅ」
「ですが私はさらに事実を歪曲させて、くまさんパンツだったと言いふらします、確実に」
「ちょっと!?」
「ではさようなら、ベアークロー咲夜さん、ブフッ!!」
「むぅぅうぅぅ!!」

クローが余計だった。

なんだこの抜けっぷりは、紅魔館のメイド達はいつからこんなアホばかりになってしまったのか。
部下の教育もしっかりやってきたつもりなのに、どうもナメられてしまっているらしい。

しかしそれも無理からぬことであった。
最近の咲夜は良い所が全く無い、完全で瀟洒などと呼ぶ者はもう居ないだろう。
妖夢の襲撃を許したこともあった、永遠亭に行ってこてんぱんにされてきたこともあった。
その都度レミリアに恥をかかせたこともあり、咲夜はメイド達の信用を失ってしまったのだ。

(そもそも、門番が頼りないんじゃないの……!!)

責任転嫁も咲夜らしいとは言えない。
だがそうでもしなければ、怒りでどうにかなってしまいそうだった。
咲夜はそれぐらい余裕を失っていた。



既に日も落ちて、目を覚ましたレミリアが咲夜と美鈴を呼び出した。
広いレミリアの部屋、レミリアは窓際の椅子に腰掛けている。

「お呼びでしょうかお嬢様」
「どうなさいました?」
「ええ……」

咲夜の持ってきた紅茶も飲まず、レミリアは髪の毛をいじりながら考え込んでいた。

「貴女達は労働を何と考えているのかしら? まずは咲夜」
「お嬢様に仕えることでございます」
「そう、ならば美鈴は?」
「……え、えーと」

咲夜が先に良いことを言ったせいで美鈴は答えにくかった。
同じ事を繰り返すのはなんだか安っぽいし、かと言って気の利いた言葉も思い浮かばない。

「別に何でも良いから、思ったことを言いなさい」
「は、はいっ!! 衣食住です!!」

正直すぎる。

「そう……はっきり言うわ、どっちも正しいしどっちも間違いよ」
「……どういうことでしょう?」
「え、えっと、それじゃ正しいってことにして良いんですか?」
「そうさせないために貴女達をわざわざ呼びつけたのよ」
「あ、あぁう……」

レミリアは、身体に見合わない大きすぎる椅子からひょいと飛び降り、2人を指差した。

「咲夜はメイド長失格!」
「そ、そんな!?」
「美鈴は門番長失格!」
「はぁ~……やっぱり」
「少しは落胆しろ!!」
「は、はいぃ!!」

そしてレミリアは今度は腕組みをして、2人をにらみ付けた。

「そこで2人に申し付けるわ……役職を交換なさい」
「それは私が門番長になるということでしょうか?」
「そうよ、そして美鈴がメイド長」
「やったぁ!! 大出世!!」

美鈴は相変わらずよくわかってないようだ。

「あ、でも……メイド長って大変そうですね」
「当たり前でしょ、貴女なんかがすぐできると思うの?」
「や、やってみないとわかんないじゃないですか~」
「話は終ってないわ、少し黙りなさい2人とも」

レミリアは再びイスによじ登って腰掛け、もう既に冷めている紅茶を一口啜った。

「このところの貴女達のダメっぷりは目に余るものがあるわ、自覚しているわね?」
「はい……」
「は、はいぃ……」
「まぁお試しということで、そんなに長い期間はやらせないわ。
 早速明日からよ、他の従者には今日中に伝えておきなさい、では引き継ぎに取り掛かって」
「はい」
「はっ!」

2人は部屋を出て行った。
咲夜は少し納得の行かないような表情、美鈴は意気揚々と。



翌日。

引継ぎも無事に済み、役職の交換も全ての従者に伝えた。
準備は万端である、目を覚ました美鈴はご機嫌な様子で着替えをしていた。

「ふっふ~、昔のメイド服、また袖を通す日が来るなんて~」

そのとき、美鈴の部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「メイド長ー」
「ん? どうしたの?」

ドアを開けると、そこには服を手に抱える部下のメイドがいた。

「夕べお嬢様に申し付けられて作った、メイド長の新しい制服です。これを着用してください」
「わ、私専用のメイド服!?」
「そうなりますね」
「み、見せなさい!」

ひったくるようにそのメイド服を受け取り、広げてみる。
緑を基調とし、スリットの入った長めのスカート。

「こ、こ、これはっ……」
「そこはお嬢様が直々にご指示なさった部分なんですよ、どうでしょう?」

そのメイド服の胸には『龍』という字が刺繍してあった。

「オ、オ、オッ……オッジョ!! さま!! ……あ、ありがと……ざ……ます……!!」

美鈴はその場に崩れ落ち、その特注メイド服を抱きしめて大声でワンワン泣き始めた。
「お嬢様、私が『龍』という字を愛していること、知っておられたのですね」
そんな感動が、大粒の涙となってこぼれ落ちる。

しかしそれを持ってきたメイドは、正直ダサいと思った。

「お嬢様がお目覚めになったら、お礼しに行ってくださいねー」
「あっ! あっ……あっ!! お、おっま……もっ……ありが……っと!!」

喋れて無さすぎで笑いそうになったが全力で我慢して優しく微笑むと、メイドは会釈してその場を去った。
その後、あるメイドの一室から狂ったような笑い声が響いたと言う。

「『オッジョサマアリガトザーマス!!』あはっ!! あはっ!! ひっ!!」



美鈴はそのメイド服にすぐさま着替えた。

「う、うぅっ!! お、オッジョ……さま……す、すばらっ……しい……す」

素晴らしいフィット感、美鈴は全身に力がみなぎるのを感じた。

「龍メイド、ドラゴン美鈴!! メイド長頑張ります!」

美鈴は胸を張って部屋を飛び出した。



一方咲夜は相変わらず不機嫌である。
仏頂面で腕組みをし、門の前で仁王立ちしていた。

「あ、咲夜さん、ここにいたんですね」
「……どうしたのかしら?」
「お嬢様が、門番長の咲夜さん用にって言うので、専用の制服を持ってきました」
「お嬢様が……わかったわ、見せてみなさい」

別にメイド服のままで良いだろうと咲夜は思うものの、レミリアの指示では仕方がない。
釈然としない様子でその制服を受け取って、広げてみた。

「……これは……」

美鈴の服のようにも見えるが、まず紺が基調となっているところが違う。
スカートも短めなのだが、スリットはちゃんと入っていた。
そして咲夜はある1箇所を見て完全に言葉を失う。

「あ、あの、これ……」
「そこはお嬢様直々のご指示なんですよ、どうでしょう?」

帽子についている星に『完』と書いてあった。
何が終ったのかと問いかけたくなる。

「これはどういう意味なの!? 私がメイド長として終わったと言うこと!?」
「あ、いや『完璧』ってことらしいです」
「そ、それにしても……」

ダサい、ダサすぎる。
星以外の部分も、すぐにパンツが見えそうだったりいろいろ問題があるのだが、
この星はやばすぎる、正気の沙汰ではない、レミリアは何を考えているのか。

「わ、わかったわよ、着るわよ……」
「良い心がけですよ、きっとお嬢様もお喜びくださります、ネプチューン咲夜さん」
「なにそれ?」
「完璧な者への冠詞ですよ、ブフッ!! 痛い!!」

咲夜はよくわからなかったがとにかく腹が立ったので、そのメイドに蹴りを入れた。



「えー、指示は以上、メイド長が変わったからと言って気を抜かないように、では解散」

元々はメイドの出だったこともあってか、美鈴は意外と普通にやっていた。
咲夜と比べてしまうと見劣りする部分が多分にあるのは確かだが。

「まずは魔法図書館の掃除と……」

美鈴はモップやバケツなどと言った掃除道具をまとめて、魔法図書館へと向かった。

長い廊下を歩いて魔法図書館に到着すると、まずは魔法図書館の主であるパチュリーに挨拶をする。

「話は聞いてるわ……しっかりやってね」
「はいっ!」

パチュリーは椅子に座って本を読んだまま、美鈴と目もあわせず適当に声を掛けた。

「広いなぁ……でも肉体労働は得意分野!!」

美鈴はモップを両手に1本ずつ持ち、バケツの水につける。

「ハイィィッ!! モップ二刀流ッ!!」

棍のようにモップを振り回す、水しぶきが飛んでパチュリーの頬にかかった。

「何してるのよバカ!!」
「あぁぁっ!! す、すいません!!」

咄嗟にパチュリーの顔を拭く美鈴。

「それ雑巾でしょう!? 何するのよっ!!」
「あ、あぁぁ……痛っ!!」

美鈴は分厚い本で強かに頭を殴られた。

「まったくもう!!」
「す、すいません……」

いきなりパチュリーを怒らせてしまった。
パチュリーはプンプンと洗面所へ歩いていく。

「挽回するためにも、魔法図書館を綺麗にする!! ドラゴン美鈴、ファイトッ!!」

めげない辺りが美鈴の良いところだ。
怒られたにも関わらずモップ二刀流のまま、美鈴は魔法図書館を掃除していった。



ダサい門番服に着替えた咲夜が、門の前で腕組みをして立っている。

(暇ねこれ……)

毎日が忙しすぎる咲夜にとって、敵がこなければ特にやることもない門番は暇すぎて苦痛だった。

「たるんでいますよ、咲夜さん」
「何よ、たるんでなんていないわ」
「お腹のことですよ、ブフッ! 痛い!!」

本当にナメられている、何なんだろうか。
一応咲夜は今門番長なんだから、部下にバカにされる筋合いは無い。
なので、グーで殴っておいた。

「それならなおのことたるんでないわよ!! 見てみる!?」
「良いですよ別に、たるんでようがたるんでまいが興味無いし」
「何のつもりなの? いつまでも挑発するようなら遠慮しないわよ」
「暴力反対!!」

そう叫んで部下の門番は走り去って行った。

「た、たるんでないわよ……」

上着の裾をたくし上げると、咲夜の白い腹部が露になる。
指でつまんでみるが、つまめるほどの贅肉は無かった。

「……何してるのかしら、私」

感化されて自分もバカになってきているような気がして、咲夜はぶるぶると首を振る。

(美鈴はいつもこんなことをしていたのね……)

昨日に引き続き天気も悪いし……レミリアにしたらその方が好都合なのだろうが、
咲夜にしてみれば、今の自分の心情を具現化されているようで不愉快だった。
遠くを眺めると、部下の門番が大あくびをしている。

(あれこそたるんでるわよねぇ……)

懐中時計に目をやると、まだ門番を開始してから1時間ほどしか経っていない。

(苦痛だわ……)

咲夜はこっそりとあくびを噛み殺した。



魔法図書館では。

「あ、そこ……良いわ、上手じゃない、もっと強く……」
「え、えーと、ここですか? うわ、すごい……」
「あ~っ、結構上手じゃないの……こういうことはよくやるの?」
「いえ、あまり……なのでよくわからないです」
「あぁー……気持ち良い……もっとしてちょうだい」
「随分肩こってらっしゃいますね、本ばかり読んでるからですかねえ」

いやらしいシーンだと思った人は残念。
パチュリーの肩を美鈴が揉んでいるだけでした。

「咲夜さんにもよくしてもらってたんですか? 肩もみ」
「いえ?」
「じゃあなんで……」
「頼みやすかったからよ」
「……しくしく」

美鈴1人でやったわけではないのだが、魔法図書館は綺麗に掃除された。
埃も拭き取られ、これならパチュリーの肺も安心である。

「まぁこんなもので勘弁してあげる、仕事に戻って良いわよ」

パチュリーはぐるぐると肩を回した後、再び本を手にしてそれを読み始めた。

「はい、たまには運動もなさった方がいいですよー」
「大きなお世話よ」

美鈴は持ってきた掃除用具を担ぎ上げ、魔法図書館を後にした。

「えーと次は……本館の掃除……掃除ばっかりだなぁ」

屋敷自体が広すぎるからそんなものなのかな、と思いつつ、美鈴は本館へと向かっていった。



特に何が起きるでもなく、1日目は普通に過ぎ去って行った。
もうすぐ仕事も終わるというころ、美鈴は食堂で冷め切った夕食を食べていた。

「うーん、食事が遅れる分、冷めたものしか食べられないのは門番長もメイド長も一緒かぁ」

パンをかじり、冷めたシチューを口に運んだ。
ごてごてしていて美味しくなかった。

「まったく、リーダー格って大変よね、冷めた食事ばかりで……それだけが不満だわ」

1人ぽつんと食事をしていた美鈴のテーブルの正面に、咲夜が座った。
トレイにはまったく同じメニューが乗っている、パン、シチュー、サラダ。
質素なものである、紅魔館ではメイド長も門番長も食事は一般と変わらない。

1日3回、食事係が決まった時間に作っておいた食事を、食べられるときに食べると言う形式だ。
立場上すぐに仕事から離れられない彼女達は、部下達より大分遅れて食事をとることが多かった。
タイミングが一緒になって2人で食べることも珍しくはない。

「咲夜さん、どうでした? 門番は」
「敵が来ないとものすごく暇ね、暇すぎて苦痛だったわ」
「そんな日の方が多いですよ、このところ変な事件も起きないし」
「昨日みたいなイレギュラーはそうそう来ることはないのね」
「そうですねぇ……あとは一応、形式的に魔理沙なんかと戦うことが多いぐらいかなぁ」

もちろん、パチュリーの本目当てである。
真面目にやっているとは言うが、美鈴はこれに関してだけ言えば適当にやっていた。
咲夜や他のメイドも、追い出そうとすることはもう無い。
変に抵抗すると館内を滅茶苦茶にされて余計な被害が出るのだ。
レミリアに対して特に何をするわけでもないので、放置気味である。
パチュリーはそれについて不満な様子だが。

あとは咲夜がイレギュラーと呼んだはぐれ妖怪である、これはたまに強い奴が混ざっており、
とりわけ最近は強い妖怪が気まぐれに襲撃をかけることが多かった。
それに対して美鈴がまともに機能しなかったのが、今回の役職交換の原因の1つでもある。

「メイド長はどう?」
「周りのメイドがよくやってるっていうのもあるとは思うんですが、そんなに大変じゃないです」
「探せば仕事なんていくらでもあるわよ、自惚れないで」

腹立たしげに咲夜はパンを噛み千切った。

「それはそうだし、メイド長ってなおのことそういう役職だとは思うんですけど……」
「けど、何?」
「門番だって、やろうと思えばやれることはいくらでもありますよ」

門番がメイド以下という考えは美鈴にとっては不服であった。
門番は、かつてレミリアが美鈴の能力を生かせる立場を考えて設けた集団なのだ。誇りがある。

咲夜は日頃の美鈴を見て門番職をバカにしている節がある。
美鈴はそれを感じ取って不愉快に思ったので、わざと咲夜に嫌な言い方をした。
一方の咲夜も、メイド長がそれほど大変でもないと言われて腹を立てていた。

「言うわね」
「言いますよ、門番長歴長かったですから」

しなびたサラダを咀嚼しながら、美鈴は不遜な態度で答えた。

「じゃあ聞くけど、やろうと思ってできることって何よ?」
「より強く警戒心を持つことです、他の雑務をやるなど持っての他ですよ?」
「なら教えてあげる、メイドの基本は掃除、埃1つでも見つけたら雑巾で拭きなさい」
「1日中気を張って警戒するの大変なんですから、やってみてください、疲れますよ」
「そして常にお嬢様の動向には目を配らないとダメ、少しでも煩わしさを感じさせたらメイド長失格」
「一瞬でも気を抜いたら門番長失格」

互いににらみ合う。
いつも下手に出ていた美鈴だったが、このメイド服を着ていると不思議と勇気が湧いた。
咲夜の方は苛立ちが募るばかりである、不謹慎だが、侵入者でも来てくれないものかと希望する。
そうすれば、鬱憤も晴らせるのに。

しかし両者とも胸に突き刺さるのは、何よりも自分で吐いた台詞であった。
廊下に放置されたタンスすら視界に入らなかった咲夜が、小さな埃1つに気付けただろうか。
ザルのように侵入者を後逸する美鈴が、気を抜いていなかったと言えるだろうか。

そう、だからメイド長失格、門番長失格だったのだ。

その後2人は一言も言葉を交わすことなく食事を終え、それぞれの持ち場へ戻った。



2日目。

美鈴は常に雑巾とバケツを持ち歩き、目を見張って歩き回っては汚れを拭き取った。

(確かにこれはしんどい……)

パッと見て見えるところが綺麗なのは当然のことで、問題は目に付きづらいところである。
部下のメイド達だって手を抜いてるわけではないのだろうが、だからと言って見落としが無いわけではない。
そういうのをフォローしていくのが、メイド長という存在なのかもしれないと美鈴は思った。

「美鈴さん、パチュリーさんがお呼びですよ」
「なっ、なに?」
「ヒッ!?」

汚れを見つけようと必死な美鈴の目は極めて血走っていた。
その目でにらみつけられた部下のメイドが恐怖のあまりに硬直してしまうほどだ。

「パチュリー様が? 何だろう……」
「とにかく早く呼んでこいって言ってたから、急いだほうが良いですよ」
「わ、わかった……じゃあ、そこ汚れてるから拭いといて」
「わかりました、メデューサ美鈴さん」
「メデューサ?」
「なんでもないです」
「そう、それじゃ」

雑巾を渡してから、真っ赤な髪をバサバサとなびかせて全力疾走していく美鈴はかなり怖かった。
美鈴の通った道にいたメイド達は、あるものは腰を抜かし、あるものは石化し、
轢かれて半死になっている者もいた。またあるものは恐怖のあまり、やってしまった。

「パァチュリィーさまぁぁぁ!!」

今参ります、パチュリー様。龍メイド美鈴、お呼びとあらば即参上。
使命感と咲夜への対抗心に燃える美鈴の顔は、やっぱり鬼気迫っていて怖かった。



「パチュリー様! ドラゴン美鈴ただいま参上!! ……ヒィィッ!?」

魔法図書館のパチュリーの自室には、うつ伏せに倒せているパチュリーの姿があった。

「パッ!! パチュリー様ッ……!? まさか……今わの際に私をお呼びになったんですか!?
 『助けて美鈴!! もう死んでしまう!! 最後に私の願いを……』 だったんですか!?」

美鈴は膝を落としてわんわん泣き始めた。

「プ……プヮッチュ様……も、申し訳っ……ません……私がもう少し早く……う、うぅっ」
「あ、来たの? ごめん少し寝てしまったわ」

パチュリーが首をもたげる、美鈴の様子を一切気にかけてない辺りが紅魔館魔女の貫目であろうか。
にしても、この子が横になっていると死体にしか見えないのは問題だ。

「い、生きてらしたんですか……そして私に用事とはなんでしょうか?」
「えっとね……」

パチュリーがうつ伏せになったまま嬉しそうな顔で答える。

「またマッサージして、他のメイドじゃ気持ち良くなくて……」
「は、はぁ……」

待ちきれなくてうつ伏せになっていたらしい。
いつも顔色の悪いあのパチュリーが、恍惚とした面差しで美鈴を見つめている。
見ようによっては少しいやらしい。

「今日は肩だけじゃないということですね?」
「全身を、早くっ……は、はっ、ひぃっ……」

興奮しすぎて喘息の発作を起こしかけてるのがとても恐ろしかった。
早くマッサージしてやらないと、マッサージでは直らない病状が出てしまいそうだ。



「あぁ~、最高っ」
「んっ……こ、これだけ強くやっても大丈夫なんですか?」
「ら、乱暴にされた方が……イィッ!!」
「むぅぅっ……もう手が疲れてきた……」
「だめよまだまだ!! 情けないわね!!」
「な、ならばこれはどうですかっ!?」
「あぁ~っ!! すごいのー! 目の前が真っ白に……」
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫よ……さぁ腰に乗って!! もっと、もっとよ!!」
「くぅっ!! えいっ! えいっ!」
「ああ良いわ美鈴!! 私はもう貴女を離さない!!」

パチュリーの喘ぎ声が、かなりエロく魔法図書館に響き渡った。わざとやってるんじゃなかろうか。

「美鈴さんとパチュリー様が……」
「シッ! ダメ……紅魔館って女しか居ないから、私は絶対こういうのがあると思っていたわ」
「不潔よ……」
「ダメよ邪魔しては、あれが彼女達のサンクチュアリなのよ」
「わ、わからない……」
「にしてもパチュリー様、意外と大胆なのね」
「確かに……普段の様子からは想像できないぐらいハッスルしてるみたいね……」
「いやわからないわ、美鈴さんがそれだけのテクニシャンなのかもしれない」
「……ごくり……」
「龍とモヤシのコラボレーション……ッ!!」

部下のメイドにばっちり聞き耳立てられていた。



門の前では、咲夜が眼光鋭く辺りを警戒している。その両手にはナイフ。
「殺人鬼みたい……」と周囲の門番に思われていた、咲夜の目もまた血走っており、恐ろしい。

そんなところに飛び込んでしまった魔理沙は、不幸としか言いようが無いだろう。
湖上を小さな黒い影が、紅魔館に向かって高速で飛行してくる。

「侵入者よ!! 皆迎撃しなさい!!」
「えー、魔理沙じゃないですか、ほっときましょうよー」
「そんなだから侵入を許すのよ! 相手にとって不足は無いわ! 訓練だと思いなさい!!」
「は、はい……ゴルゴン咲夜さん」
「なんか言った!?」
「いえっ!!」

「もうこれをからかってはいけない」と部下の門番は感じた。
これは紅魔館の火薬庫だ、火を入れたら大惨事になるだろう。
魔理沙はいつも通りさらっと通してもらえると思ったのか、速度を落として咲夜に挨拶した。

「よーう! めいり……え? なに? 咲夜? プフッ!! なにその服ダッサ!! 完!!」



大惨事になるだろう。



月並みな例えだが、それは腹を空かせた猛獣の檻に生肉を投げ込むようなものだった。

「箒(スパーク6号)ーーーー!!」

まずは箒をへし折って魔理沙の足を奪った咲夜は、投げ飛ばした魔理沙に馬乗りになってビンタし続けた。

「痛いっ!! なんだよっ!! いつも通してくれるじゃないかっ!!」
「パチュリー様は迷惑してるのよ!! 当たり前みたいに入れると思わないで!!」
「うわぁぁぁぁん!!」

周囲の門番達は唖然として、咲夜による魔理沙の虐待を眺めていた。
怒りの虜になったこの門番長は最強だ、周りの門番が割って入る余地などありはしない。
下になっている魔理沙も腕をブンブンと振り回して必死に抵抗しているのだが、
咲夜はその間隙を縫って魔理沙の頬を引っぱたいていた。

『あの人、根っからのサドの変態だから、気をつけないとダメよ、けして2人きりになってはダメ』

「こ、こういうことだったのね!!」

門番の1人が何かに納得した。

「うっうぅ……酷いぜ咲夜……」

完全に抵抗する力を失って泣きじゃくる魔理沙。
ビンタの嵐は止んだが、咲夜は馬乗りになったままそんな魔理沙を見下ろしていた。

「でもなんだってそんな格好してるんだよ……」
「……さっさと帰りなさい」

咲夜は説明もせずに魔理沙から離れ、元居た門の正面に戻っていった。

「咲夜のバカー!! 完!!」
「なんですって!?」

咲夜がどいたので元気良く飛び起きた魔理沙は、悪口をたれながら湖へと飛び込んだ。
服を着たままだというのに泳ぐのが随分速い、ざぶざぶとしぶきを上げて魔理沙が小さくなっていく。
箒が無くてもそれなりの移動力を持っているようである。

「はぁ……」

咲夜は酷く疲れた様子で空を見上げた。

(いつまで続くのかしら……)

ため息が止まらない。



夕方、美鈴は目を覚ましたレミリアに紅茶を届けに来ていた。

「お嬢様ー、入って良いですかー?」
「良いわ、入りなさい」

レミリアの部屋に入ると、着替えてはいたもののレミリアはベッドに横になっている。

「紅茶はそこらに置いておいて良いから、ちょっと来なさい美鈴」
「はい? なんでしょう」

美鈴が歩み寄ってくると、レミリアは少し身体を起こして耳かきを渡した。

「耳かきして」
「はい……」

「なんか今日こんなのばっかだな」と美鈴は思った。
しかし咲夜も普段こんなことをさせられているのだろう。
パチュリーは咲夜にマッサージを頼むことはないようだが。

「では失礼して……」
「何してるのよ、バカにしているの?」
「へ?」

耳かきを受け取ってレミリアの側に座った矢先、思いがけないことを言われる。

「耳かきと言ったら膝枕に決まっているでしょう!! そんなことも知らないで門番をやっていたの!?」
「は、はっ! 失礼いたしました!」

(門番に耳かき関係ないじゃん……)

そうは思うもののもちろん口に出すわけにはいかず。
美鈴はレミリアの上体を優しく抱き上げて自分の膝の上へ寝かせた。

「咲夜に比べると少し硬いわね……まぁこれはこれで」
「は、はぁ……恐れ入ります」
「ん? なんだかものすごくパチェの匂いがするわ? 何事?」
「ああ、マッサージを頼まれまして」
「そう、まぁパチェは疲れやすいからね」

パチュリーからは特に香水の香りなどしなかったのだが、吸血鬼は鼻も良いらしい。
きっとパチュリー特有の身体の匂いを嗅ぎ取ったのだろう。

「では動かないでくださいね」
「うん」

見てみると別に耳垢は無かった。
流石はお嬢様だけあって、こんな細かいところまできちんと手入れされている。

「あの、耳垢無いですよ?」
「良いのよ、なら適当にやりなさい、耳かきされるのが好きなの」
「は、はぁ……」

言われるままにやるしかない、メイドなんてそんなものなのだろう。

「あ、そこ気持ち良いわ」
「ここですか?」
「うん……あーっ……」
「い、痛かったですか?」
「そんなことないわ、くすぐったいぐらいよ……もっと強くやりなさい」
「で、でもそれじゃ血が出てしまったりするかも……」
「やれと言うのだからやりなさい!!」
「は、はいぃ」
「もっと、もっと奥まで!!」
「危ないですよそれは……」

いちいち紛らわしい。

「な、なんてこと……美鈴さんの魔手はお嬢様にまで及んでいたの!?」
「うぅ……もう紅魔館ダメかも……」
「ちょっと間抜けな装いをしておいて、とんでもない食わせ者だった……!!」
「ね、ねぇ、どうしよう……」
「ダメよ邪魔をしては、あれが彼女達のエリュシオン」
「でも良くないよこんなの……」
「お嬢様は大人の階段を登っているのよ……!!」
「ふしだらよぉ……」
「恐るべし門番長……体術を極めし者だからこそ、急所を心得ているのね」
「あ、あの、あんたちょっと頭おかしくなってない……?」
「まさに昇龍……!!」

また聞き耳を立てられていた。



よほど気持ち良かったのか、レミリアは途中から寝てしまっていた。

(困ったな……動いたら起こしちゃうかも……)

レミリアの寝顔はまさに幼子のそれで、悪魔なのに天使のような、矛盾した寝顔だった。

(こうしてると、まるっきり子供だなぁ)

少し可笑しくなってしまう。こんなレミリアの姿を見たのは初めてだった。

(でも綺麗だなぁ)

絹糸のような銀髪をすくい上げると、なめらかに指の隙間からこぼれ落ちる。
頬はまるで餅のような……そっと触れただけで、手に吸い付くような瑞々しさがある。

小さいながらに整った鼻。
厚すぎず薄すぎず、艶やかな唇。
愛らしいまつ毛。
透き通るような白い肌。
目を開けば、宝石のような瞳がある。

幼いながらに繊細な造形は、まるで匠の作った彫像のように芸術的だ。

こんなに無防備なレミリア、よく観察する機会などそう無い。
そもそもが門番なので、咲夜のように頻繁に顔を合わせることも無かった。

(そうか……私はこの人を守ってたんだ)

こういうことをわからせたくて、役職の交換を命じたということもあるのではなかろうか。
美鈴はそんなことを考えながら、レミリアを優しく見守り続けた。



一方の咲夜は疲れきった様子で1人、食堂のテーブルに突っ伏している。
食事の乗ったトレイは目の前に置いてあるが、何も手をつけていなかった。

(気を張ってるとこんなに疲れるのね……)

食欲はあるのだが、動くのが億劫だった。
ようやく何も考えなくて良い時間、少し呆けていたかったのだ。

「食べないと身体に毒ですよ、咲夜さん」
「……なによぉ」

声で美鈴だとわかったが、身体を起こす気力も無い。
しかし、なんだか食欲をそそる匂いが鼻をつく。
それは冷めた食事からは感じられなかった匂いだった。

「なに? 何の匂いこれ?」
「え? ああ……冷蔵庫にあった適当な食材で作った焼き飯ですけど?
 今日は私も動きすぎてお腹が空いたので、いつもの量じゃちょっと物足りなくて」

美鈴の前には、皿の上でこんもりと焼き飯が湯気を上げていた。
鼻をヒクつかせながら咲夜が首をもたげる。
咲夜が作るタイプの高級料理とは違う。だが素朴なそれは咲夜の鼻腔と胃袋を大いに刺激した。

「いやぁ、疲れるんですねメイドって……咲夜さんの言う通りにしたらものすごく大変でした」

美鈴は疲れた様子こそ見えるものの、機嫌が良さそうだった。
レミリアを間近でじっくりと観察して、思うところがあったからだ。

「そうでしょう? でも門番も美鈴の言うとおりにしたらものすごく大変だったわ、だからそれをよこしなさい」
「ん?」
「その美味しそうな焼き飯をよこしなさい」
「ああ、半分ぐらいなら良いですよ」
「全部よ」
「え……?」

相変わらず首だけを持ち上げた気味の悪い姿勢で、咲夜が美鈴をにらんでいた。
咲夜の方の気が晴れないのは相変わらずなのだ。

「さ、咲夜さんの方が料理上手なんだから、自分で何か作ってくれば良いじゃないですか……」
「今料理なんてしたらエネルギー切れで死んでしまいそうよ、だから、だから……」

しおしおと咲夜の頭が下がっていく、首を持ち上げる体力も尽きたようだ。
そんな咲夜を美鈴が気の毒そうに眺めていると、一瞬妙な感覚があった。
そして目の前の咲夜が、突っ伏したまま口いっぱいに何かを頬張って咀嚼している。

「え……? なっ!? あぁぁっ!?」

最後の力を振り絞って時間を止めた咲夜は、その間に美鈴の焼き飯を全部食べた。

「ひ、ひどいっ!! なんてことを!!」
「美味しい~……」

美鈴は、怒りよりも先に咲夜に対する同情が湧いた。
いつも毅然としていてかっこよかったのに、慣れない環境に疲れ果てて人の食事を奪う意地汚さ。
何が彼女をここまで変えてしまったのか。

ひとしきり咀嚼した後咲夜はそれを飲み込んで、すぐに寝息を立て始めた。

「……」

なんだか可哀想だった、こうなったのも元々は自分のせいだったのだと美鈴は自責する。
以前から咲夜にはかなり疲れが見えていた、役職の交換がそれにトドメを刺したのだろう。
そこまで疲労を蓄積させたのは、美鈴自身の情けなさも大きな理由の1つだった。

でもそれはそれ、これはこれ。

美鈴は寝ている咲夜の鼻の穴にサラダのアスパラを突っ込んで、逃げるようにその場を去った。

食べ物の恨みは恐ろしいのだ。



役職交換3日目。

3日目の門番隊は朝から大忙しだった。
魔理沙が早速新しい箒を調達し、アリスと共に復讐に来たのだ。

「どけどけどけーっ!! ミルキーウェーイ!!」

パワーアップした箒の速さは尋常ではなかった、門番隊の攻撃は魔理沙にカスる事すらない。
そして一撃離脱を繰り返す魔理沙の弾幕で、門番隊は1人また1人と脱落していった。

「7は幸福の数字っ! このスパーク7号はもったいなくて使ってなかった秘蔵の箒なんだぜ!!」
「アーティフルサクリファーイス!!」

髪が伸びきってモサモサになっている、気味の悪い呪い人形を投げつけてくるアリスも恐ろしかった。
そのモサモサ人形が爆発するたびに、モサ毛が飛び散って門番隊の身体にまとわりつく。
この人形には人間か何か、生物の毛が使われているようだ。

「い、いやーっ!! 助けてアスパラ咲夜さん!!」
「よし助けない!!」

早速あだ名が変わっていた。

「この人形達は特製よ!! ついに使う日が来たのね!!」
「流石だぜアリス! さぁ今日はたっぷり本をもらってやろう!!」
「ええ!! よくってよ!!」

恐ろしいまでのスピード、そして魔理沙の後ろにまたがってアーティフルモサリファイスを繰り出すアリス。
この2人だったら霊夢と紫のコンビを出し抜いて、永夜の一件を解決できたかもしれない。

「か、髪の毛がからみつくっ!! 助けっ!! 助けてアスパラ咲夜さぁーん!!」
「そのまま毛が首に絡まってしまいなさい!!」

門番隊の連携が取れていない、咲夜も魔理沙のスピードを捕らえきれずにいた。
時間を止めてナイフで包囲しても、わずかな隙間を抜けて魔理沙は回避してしまう。

「さぁ、あんなグロい制服着た咲夜はほっといて、魔法図書館へ急ぐぜ!!」
「グッ……グロ!? 許さない、絶対に通さないわ!! 殺人ドール!!」
「無駄よっ!! アーティフルサクリファイス!!」

ナイフの軌道上に無数のモサ人形を設置、それはナイフの直撃を受けて大爆発することでナイフの軌道を曲げ、
さらに大量のモサ毛を撒き散らした。

「くっ!? なによこれ!! 絡まって……くぅっ!!」
「いいザマだぜ咲夜! さぁ行くぞアリス!! ミニ八卦炉出力最大ッ!!」
「空気がものすごく美味しいわ! 魔理沙!!」
「そうだろうそうだろう!! ははは!!」

ミニ八卦炉は空気清浄作用まであった。

「ま、待ちなさいっ!!」
「えーい、いつまでも鬱陶しいぜ!! これでも食らえ!!」

去り際に魔理沙はマスタースパークを放つ。
それは門周辺を隙間無くなぎ払い、門番隊はついに咲夜含めて全滅に追いやられた。

「め、美鈴……ごめんなさい……」

まゆに包まれた虫のような状態のまま、咲夜は力尽きて気を失った。



途端に館内もパニックに陥る。

「美鈴さん!! 侵入者が!!」
「誰が入ったの!?」
「霧雨魔理沙とアリス・マーガトロイドです!!」
「門番隊は!?」
「全滅したみたいです……」

美鈴は驚きのあまり声も出なかった、2人がかりとはいえあの咲夜が後れを取るとは。
普段は甘んじて通している魔理沙だが、今日は本気のようだ。

「何人か門番隊の救出に向かわせて!」
「2人の目的地は魔法図書館のようですが、布陣はどうしますか!?」
「奴らがお嬢様目当てじゃないのはわかっているけど、混乱に乗じて他の襲撃の恐れがある!!
 お嬢様の近辺にも腕の良い者を護衛につかせなさい!!」
「美鈴さんは……?」
「私は迎撃に行くわ! 咲夜さんがそう簡単にやられるとは思えないから、戦えるようならすぐに復帰させて!!」
「了解しました!!」

皮肉なことに、役職の交換をしたにも関わらずいつもと同じようなことが起きた。
いや、この騒動はいつもの襲撃とは次元が違う、魔理沙とアリスが本気になったのはかなり厄介だ。
だが美鈴の心に恐怖は無かった、全力で戦い、なおかつ撃退する自信があった。

「このドラゴン美鈴!! 今までのようにやられると思うなーっ!!」

美鈴は風を切って魔法図書館へと急いだ。



魔法図書館では、魔理沙とアリスのコンビとパチュリーが激戦を繰り広げている。

「アーティフルサクリファイス!!」
「ロイヤルフレア!!」
「くっ……人形もろとも毛を燃やすとは……」
「く、くさっ……人体の一部が燃える臭いはかなり嫌ね……」

パチュリーはなんとか対等に戦えている。
しかし人形の毛が燃える嫌な臭いもあってか、さっきからゲホゲホと咳き込む頻度が上がってきていた。

「アリス! 毛は効いてるぜ! 持久戦に持ち込めばパチュリーは自滅する! 行くぜっ!」
(魔力はまだまだ残ってるけど……このままじゃ身体が……)

パチュリーの足取りがふらふらとしている、額には汗で髪の毛がべったりと張り付いている。

「もうこれ以上貴女達に本は渡さない!! サイレントセレナッ!!」
「ま、魔理沙!! 大魔法よ!! どうする!?」
「お前は気にせず人形を撒いてれば良い!! 今の私にあの程度の弾幕は当たりはしないぜ!!」

普段は使用を控えているスペルの長い呪文、無理をして使うたびにパチュリーの体力を大きく消耗させる。
しかしそれに見合った効果は得られない、せいぜい魔理沙達の攻撃を一瞬止める程度だ。

「ゼェッ! ゼェッ! も、もうダメ……これ以上……」

パチュリーがよろけて倒れかけると、それを優しく受け止める者が居た。

「だ、誰……」

ぼやける視界を背後に向ける、目に入ったものは「龍」の刺繍。

「遅れてすいません!! メイド長ドラゴン美鈴!! すぐに奴らを排除します!!」
「お、終ったらマッサージお願い……」
「はい! お前達! パチュリー様を安全な場所へ!」
「はい!」

美鈴についてきた数人のメイドが、パチュリーを運んでいく。

「あー? 咲夜が門番で美鈴がメイドなのか?」
「ぷっ! 見て魔理沙! あのかっこ悪い服!」
「ブフッ!? ほんとだ!! あれまた随分とグロいぜ!!」
「貴様ら……!!」

美鈴の背後に、沸き立つオーラが燃え上がって龍の形を成す。

「よくも咲夜さんを!! よくもパチュリー様を!! そして……」
「な、なんだ!? 美鈴の後ろに龍が……」
「何驚いてるのよ魔理沙!! あいつもすぐに毛まみれにしてやるわ!!」
「お、おうアリス! 今日は今までに無く頼もしいな!!」
「任せて!! アーティフルサクリファイス!!」
「そして……この服はお嬢様がわざわざ私の為に用意した特注!! グロいと言った罪は重い!!」

美鈴はひるむことなく人形へ突っ込み、オーラをまとった手足で次々に叩き落す。
爆発のダメージは美鈴の全身を取り巻くオーラによって強固に阻まれた。

「この程度!!」
「バカね! 爆発だけが攻撃ではないわ!!」
「なにっ!?」

人形を打ち払った美鈴の手足に、おびただしい量の毛がまとわりついている。

「魔理沙! 成功よ!!」
「おうっ! トドメと行くか!」
「甘いわっ!! ハイィッ!!」

美鈴が気合を入れると、熱いオーラでその毛は全て燃え尽きてしまった。

「な、なんですって!?」
「こんな小細工が……うっ!? くさっ!!」
「ま、魔理沙今よ!!」
「わかってる!」

爆発、毛、臭い、の3段攻撃は読みきれなかった、嫌な臭いで美鈴に一瞬の隙ができる。

「今日のお前はなんか違うんで、1発で決めさせてもらうぜっ!! ファイナルスパァーク!!」
「く……しまったっ!!」

今からでは回避が間に合わない、美鈴は全身のオーラを燃やし顔の前で両腕を交差させて構えた。
本棚が吹き飛ぶ、連れてきたメイド達も吹き飛ばされる。
ただ1人、美鈴だけがファイナルスパークの直撃を受けてなお、耐え続けている。

「魔理沙!! 出力を上げなさいよ!!」
「さっきから魔理沙魔理沙うるさいなぁ!! ずっと全力だぜ、うぅぅぅぅぅっ!!」
「お前のエネルギーが尽きるまで、耐え続けて見せるっ!! 
 紅魔館のメイド服の最高位に位置する、この龍のメイド服の防御力を見せてやる!!」

別に普通の生地で作られたメイド服である、デザインが少しグロいだけだ。
思い込みの力は凄まじい。

しかし思い込みだけでなんとかなるわけもなく、美鈴は徐々に押されていく。
盾にしている腕も焼けるように熱いし、肘から先が吹き飛ばされそうなぐらいに痛い。

(ぐぅっ……も、もうダメか……!? 龍のメイド服でさえ……耐え切れないのか!?)

美鈴が絶望しかけたその瞬間。

「よく押さえてくれたわ美鈴」

どこからともなく聞こえた咲夜の声、気付くと美鈴はファイナルスパークの軌道から外れていた。
咲夜が時間を止めて逃がしてくれたようだ。

「なっ! なんだぁ!?」
「見て魔理沙! 咲夜が戻ってきたわ!!」
「くぅぅ、これはまずいぜ!」

ファイナルスパークの放出を止めて、魔理沙は2人の動向を探る。

「もう……遅いですよ」
「ごめんなさい、この服、動きづらくてね」

そして咲夜は美鈴の横に立ち、不敵に微笑む。

「美鈴、私ようやくこのところの不調の理由がわかったわ」
「……なんですか?」
「何もかも1人で背負い込みすぎてた、周りを信頼できてなかった。貴女のこともね」
「そんな……私が情けないせいですよ」
「貴女は期待されたかったはずよ、だから、私は貴女に期待をかけるべきだった」
「……咲夜さん……」
「さぁ行くわよ相棒。私達は紅魔の盾」
「はい!」

「全力を出していた」などと言いながら、美鈴は手を抜いていたのだろう。
だがそれを徹底的に咎める者も無く、期待されていないと言う現実に甘えていた。
一方の咲夜は周囲をアテにしなさすぎていた、そのため苦労を抱え込んで自壊したのだ。

だが、1人で魔理沙とアリスに立ち向かう美鈴の真剣な顔を見たとき、咲夜は昔を思い出した。

門番になりたての頃の美鈴はいつだって一生懸命だったし、それに負けじと咲夜も一生懸命だった。
何度かミスを犯して自信を失う美鈴と、美鈴が討ちもらした敵をあっさり片付ける咲夜。
2人の溝は次第に深まり、かつてはライバルであり親友であった関係は上司と部下の関係へと変化した。
それに伴い門番隊は落ちこぼれ集団と称されるようになった。

「そう、私達は紅魔の盾!!」
「命が惜しければさっさと消えなさい! 侵入者!!」
「な、何盛り上がってるんだよ!? くそーっ! 置いてけぼりか! 龍と完!!」
「魔理沙! 私達も何かコンビ名を考えるのよ!!」
「それは良い考えだ! よ、よーし!」

魔理沙が腕組みをして考え込んでいる。

「どう魔理沙、良いのは思い浮かんだ?」
「魔法の森テロリスツ!!」
「だっさぁ!!」
「な、なんだよ!? じゃあお前は何かあるのか!?」
「き、金髪美少女魔法使いズとか!!」
「うっわー……自分で美少女とか言った、キッツぅー」

紅魔館の2人に比べると極めてくだらない会話であった。

「ええいもう良い!! キノコ森珍走団で決定だ!!」
「わ、私キノコ好きじゃないわよ!!」
「お前はキノコっぽいから良いんだよ!!」
「えっ!? どの辺が!?」
「ごちゃごちゃうるさいぜ!! コンビ名なんかどうでもいい!!」

ごもっともである。

「くだらない問答は終ったかしら? もう良ければ行きますわよ?」
「アリィース!! やつらを毛まみれにしてやれい!!」
「わかったわ!! えーいっ!!」

魔理沙が箒を加速させ、紅魔の盾に迫る。そしてアリスは空中からモサ毛人形を投下した。

「美鈴!!」
「任せて咲夜さん!!」

美鈴が咲夜の全面に立ち、人形を全て叩き落してはその毛をオーラで焼き払う。

「くっそー! もう人形は効かないぜアリス! 火力で勝負だ!!」
「よ、よーし! 行くわよっ! リターンイナメニトッスッ!?」
「噛むなよ!! 頼りにならんなぁもう!! スターダストレヴァリエーッ!!」

噛んだものの一応アリスのスペルは発動し、魔理沙のスペルと同時に紅魔組に襲い掛かる。
一応、正式名称は「リターンイナニメトネス」である、確かに言いにくい。

「咲夜さんっ! お願い!!」
「美鈴……一瞬よ、気を抜かないでね」
「ええっ!!」
「パーフェクトスクウェアッ!!」

局所的な時間停止、キノコ森珍走団の弾幕が凍りつく。
その間をかいくぐって、美鈴は一気にキノコ森珍走団に詰め寄った。

「迂闊に近づいたのが裏目に出たわね!!」
「しまったぁ!!」
「まままま、魔理沙ッ!! 盾になりなさい!!」
「ひ、酷いぜアリスゥー!!」
「砕ッ!!」

弾幕の展開中で無防備だった魔理沙とアリスは、美鈴の接近を振り切ることができなかった。
美鈴は魔理沙を攻撃すると見せかけ、箒の中腹を思い切り蹴り上げてへし折った。

「バカなっ!! スパーク7号ーっ!!」
「さ、さよーならっ!!」
「アリスのろくでなしぃ!! うわぁぁぁん!!」

自慢の箒を折られて、魔理沙はへろへろと地面に落ちていった。
アリスは箒が折れた瞬間ビビって逃げた。

「ふっ、随分な逃げ足ね、まぁこれ以上暴れないなら良いけど……なんて、そんなうまい話無いわよ」

咲夜は既に大分離れた位置にいたアリスめがけてナイフを1本投げた。
薄暗い魔法図書館を一筋の光が切り裂く。

「みぎゃぁぁっ!!」

当たった。



魔理沙はあの後捕まり、縄でぐるぐる巻きにされてレミリアの眼前に差し出されていた。
目の前にレミリア、後ろには咲夜と美鈴が控えており、魔理沙はまな板の鯉状態である。

「どうしてやりましょう? お嬢様」
「へんだっ! 煮るなり焼くなり好きにしろようっ!」

ぐるぐる巻きのまま、魔理沙はふんぞりかえって強がりを言う。

「魔理沙の首も生白くて美味しそうなのよね、前から気になっていたの、いただこうかしら?」
「容赦ありませんわね」
「ややや、やめてくださいぃぃ」

もう強がりが崩れ去った。
嬉しそうに舌なめずりしながら歩み寄ってくるレミリアの表情が本気っぽい。
首筋に熱い吐息がかかる、魔理沙にとってはたまらない恐怖だった。

「いやぁぁぁっ!! 噛まれるぅぅぅ!!」
「なんてね、まぁ美味しそうだと思うのは本当だけど、下手なことして霊夢なんかが来ても困るし」
「賢明ですわ、お嬢様」
「それに、貴女達に自信をつけさせるのにも一役買ったようだし、今回は軽い罰にしてやるわ」

へたりこんでぐずる魔理沙から、その視線を咲夜と美鈴に移す。

「良い顔になったわね、それでこそ紅魔館で働くに相応しい者の顔よ」
「恐縮です!」
「お嬢様のおかげですわ」
「服はダサいけど、プフッ!!」
「なっ!?」
「お嬢様……!?」

レミリアはニヤニヤしている。

「お、お嬢様! 私はこの服、とても気に入っております!!」
「センス無いわね、ただのジョークよ、それ」
「そ、そんなっ!?」

美鈴はやり場の無い怒りを、とりあえず目の前の魔理沙にぶつけることにした。
鬼のような形相で魔理沙の頬をつねる。

「いでででっ!! や、やめてくれよ!! うぁぁぁぁん!!」

今度は咲夜に視線を移す。

「し、しっかしそれは本当に気色悪いわ……こんなにバカっぽい咲夜は初めてよ」
「……」
「しかも咲夜、貴女くまさんパンツをはいているんですって? プフッ!! キッツ!!」

それを聞いて魔理沙の目も光る。
言いふらすつもりだ、こいつ。

「お嬢様、やはり魔理沙はここで始末するべきです。どうぞお吸いください、ほらこんなに美味しそう」
「や、やめろよぉ、うひゃぁ」

咲夜が魔理沙の頭を右手で引っ掴んで曲げさせ、左手で首筋を撫でた。

「良いわよもう、適当に嫌がらせした後に解放してやるから、放っておきなさい」
「いいえいけません、なんなら私は魔理沙を妹様に差し出してでも始末しますわ」
「フランを興奮させると面倒だから絶対にやめなさいよ、咲夜」
「……チッ!!」

咲夜は魔理沙の頭を乱暴に突っぱねた。

「まぁ、何はともあれ成果は出たようだし、明日からは元の役職に戻りなさい、良いわね?」
「はい、お嬢様」
「はっ! 心得ました!」
「じゃあ2人共、もう良いから仕事に戻りなさい、破壊された魔法図書館の修復もあるでしょうし」

咲夜と美鈴は頷いて持ち場へと戻って行った。
晴れて、役職の交換も今日限りである。

「さて魔理沙には今日1日遊び相手になってもらわないとね」
「……何するつもりだよ?」
「嫌がらせ」
「……優しくしてください」

観念した魔理沙はごろんと横になった。
ああ、アリスが憎い、私を見捨てやがって。

しかしそんなのは後の祭り、目の前にはいやらしく笑うレミリアがいる。
お嬢様は何がお好みなのだろうか、魔理沙には想像もつかなかった。



その後、アスパラの件を唐突に思い出した咲夜はまた美鈴と喧嘩をしたそうだ。
魔理沙達と戦ってたときに思い出していたら間違いなくバッドエンドだったことだろう。

しかも「アスパラ咲夜」という不名誉なあだ名は、その後2週間ほど消えなかったらしい。
一部には「ベアークロー咲夜」と呼ぶ嫌がらせメイドもいたらしいが、これは咲夜にやられてすぐ絶滅した。

美鈴は門番を真面目にやるようになり、侵入者の数は大きく減った。
しかしながら美鈴は妙な熱視線を感じることが多くなった。
パチュリーやレミリアの件で多大な誤解を招いてしまっているらしい。
だが本人はそんなこと知らずに、仕事が終るとパチュリーに呼び出されてはマッサージをしていた。

そしてパチュリーのエロい喘ぎ声が魔法図書館に響き渡る。悪循環である。



アリスはナイフが刺さった場所がかなり嫌な場所だったらしく。
しばらくはドーナツ型のざぶとんの使用を余儀なくされた。

魔理沙を見捨てて逃げた天罰であろうか?

流石に罪悪感を感じたアリスは魔理沙に謝罪しに行ったが、魔理沙の性格がかなり歪んでいて驚いた。
何があったのかいくら問いただしても、魔理沙は答えなかった。



完!!
今までろくにいじってなかった紅魔館をメインにしてみました。
なんだか私が書く咲夜さんは人間味あふれる感じですね、完全で瀟洒っていうイメージは、
形にするのがものすごく難しいというのもあるんですが。
まぁ一応主人公的な位置には美鈴が居ますので、咲夜さんも脇役ではあります。

レミリア様は相変わらずのチョイ役。パチュリーも。

魔理沙も、ちょっとかっこいいところ書いてあげないと可哀想ですね。
でもなんかいじめるのが楽しいんで、基本姿勢はこんな感じでこれからも行きたいです(おい
アリスとここまで絡ませるのも初めてなんですが、真剣な紅魔組に対して、
情けない可愛らしさみたいなのが出たらいいなーと思ってます。
仲も良いんだか悪いんだかわかりませんけど。

多少長めになってしまいました。
ここまで読んでくださった方、楽しんでいただけましたでしょうか。
そしてお疲れ様です、読んでくださってありがとうございました(礼
VENI
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コメント



0.8210簡易評価
8.90名前が無い程度の能力削除
スパークの悲劇は一体どこまで…!
10.90名前が無い程度の能力削除
そこはかとなくエロスw
12.100名前が無い程度の能力削除
>またあるものは恐怖のあまり、やってしまった。
がんばり入道ホトトギス!がんばり入道ホトトギス!
16.70名前が無い程度の能力削除
やっぱり魔理沙はへたれ受けね(そこかよ
19.90名前が無い程度の能力削除
氏が書く魔理沙はすごくかわいい
ヘタレ魔理沙モエス
24.80名前が無い程度の能力削除
毛はきついよ~
25.90名前が無い程度の能力削除
美鈴の甘えも咲夜さんの自滅も(見かけ上の)歳相応の少女なんだなーってリアルに感じられて良かったです。

ところで龍の刺繍のメイド服もらってオッジョ様言ってる美鈴ってなんか既視感があるんですが…。
28.無評価VENI削除
>ところで龍の刺繍のメイド服もらってオッジョ様言ってる美鈴ってなんか既視感があるんですが…。
失敬! コメントに書いておくつもりで忘れてました。

3作目「今日の紅茶~~」の修正後に削除された没ネタです。
「無くなって残念」という方もおられましたので、復活させてみました。
まぁ焼き直しですから作品内ではそこまでいじっていません。
29.80ドク削除
箒何本壊れてるんだw
30.100名前が無い程度の能力削除
( ^ω^)b
33.70名前が無い程度の能力削除
部下達が調子乗りすぎてて吹いたwwwwwブフッwww
34.90名前が無い程度の能力削除
ちょwwwスパーク7号までも落ちたのか。
36.90名前が無い程度の能力削除
魔理沙かわいいよ魔理沙
41.90名前が無い程度の能力削除
何微妙にうまくまとめてんのwwwwww
42.70名前が無い程度の能力削除
魔理沙かわいいなぁ
43.90名前が無い程度の能力削除
スパーク7号まで轟沈・・・

それはさておき氏の作品のキーワードは「容赦の無さ」と「臭い」なのかっ!?w
50.90名前が無い程度の能力削除
アリスのナイフが刺さった部分がとてつもなく気になる件について
62.80名前が無い程度の能力削除
魔理沙とアリスのコンビ名。
黒と白なのでここは一つ、「ふたりはプリキュ(ry
69.80思想の狼削除
>投げ飛ばした魔理沙に馬乗りになってビンタし続けた。
ここ読んだ瞬間、脳裏にドクダ巫女の恐怖が…(ガクガクブルブル)
73.80変身D削除
今回も弄られ魔理沙が可愛くて素敵ですな(w
美鈴は勿論、こう言う人間味溢れた咲夜さんは大好きなので無問題ですよ。
そして龍とモヤシのコラボレーション……大変美味しゅう御座いました(何
89.80名前が無い程度の能力削除
みぎゃぁぁっ!!
咄嗟に吹いた…ブフッ
111.90名前が無い程度の能力削除
アリスも魔理沙も可愛いよー
しかし、モサ毛人形が日の目を見るとは・・・・
114.80名前が無い程度の能力削除
ついに来たか7号www
122.100名前が無い程度の能力削除
パチュがお色気要員だったとは…!!
魔理沙とアリスせつねえwwww
125.100Admiral削除
いい話だ…GJ!
紅魔館の従者二人の感動話は大好物です。
二人はやっぱり親友なんだよ!
オチでしっかり落とすところも◎。

>馬乗りになってビンタし続けた
咲夜さん最高!
魔理沙がここまでへたれた話を読むのは初めてです。
新鮮な感覚になんだか目覚めてしまいそうです。^^
よもや作者様の魔理沙弄りには、彼女への歪んだ愛が…?
ナカーマ(・∀・)人(・∀・)
魔理沙を思う存分ビンタしてぇー(マテ
135.70名前が無い程度の能力削除
魔理沙とアリスが一昔前のやられ役みたいだ・・・w
しかし紅魔館の一般メイドはいつからこんなに調子に乗るようになったんだww
138.100名前が無い程度の能力削除
お腹痛い!お腹痛い!お腹痛い!
笑わせてもらいました。
メイドたちも良いし、余裕のない咲夜さんも素敵だ。
とりあえず何でもこなせる美鈴もGJ!
紅魔館に幸あれ!ブフッ!
140.100時空や空間を翔る程度の能力削除
魔理沙・・・・・
紅魔館で一体どんな仕打ちを・・・・・
163.100名前が無い程度の能力削除
箒ーーーーーーーーーーー!!

どうしても吹いてしまうwwww
190.100前が無い程度の能力削除
なんだこの、なに?
ハイテンションすぎて腹が割れました。九つに。
おもしろかったです。