Childhood's end(全ての言葉はさようなら)
第十部【まだ指笛がうまくふけない】
――――――――駄目よ。願い事はもう、叶えてあげたでしょう?
[それより前は前世と呼ぶのⅢ]
ほら、綺麗だろう?死にゆく、なんてとんだ勘違いさ。どんな命も、死ぬまで生きてる。
そう言って彼が指差したのは青い蝶。
秋も終わりに近づいて、命の尽きそうなその蝶は、それでも羽ばたこうとずっと足掻いている。
もとは確かに美しかったのだろうそれは、千切れ、埃かぶり、見るも無惨なものだった。
あれがきれいなの? おとうさん。
わたしにとって、美しいものとは母だった。父がよく写真を見せては、これがおまえの母親だ、どうだ美しいだろうと繰り返したからだ。
あれがうつくしいの? おとうさん。
わたしは訊いた。
だって ちっともおかあさんににてないよ?
父は困ったように笑った。けれどきっぱりと繰り返した。
ああ、美しいよ。おまえの母親のようにね。
そう言って、首を傾げるわたしの頭を、彼は大きな手で何度も撫でた。
それは、いつの記憶なのだろう。
[暗い夜に痛いほど目を閉じた僕ら ]
十六夜咲夜は知っている。
紅魔館門番隊長紅美鈴は嘘つきだ。
でも悪い妖怪ではない。いつも優しい嘘をつく、そんな酷い妖怪だ。
久々に美鈴の部屋に入った。
最後の記憶のまま、中はあまり変わっていなかった。扉を開けた時、それを真っ先に確かめたのは、ほとんど無意識に近い。咲夜のベットがあった場所は、そこだけ何もない空間になっていた。そのことに少しだけ安心してしまう。そこに何か新しい、棚かなんかが置かれていたらと、入るまで少し怖かったのだ。自分でもよくわからない感覚だったが。
部屋の中央には丸い机が一つ、椅子が二つ。向かい合わせに座って、お茶を飲んだ。
「どう?」
「もちろん美味しいですよ。茶葉も一流なら、それを淹れる腕も一流ですし」
「そう」
美鈴に褒められるのは、お嬢様に褒められるのとはまた違う満足感がある。
「正直ちょっと驚いてます。あの火を付けるのも怖がっていた子どもがこんなに」
「黙って飲みなさい」
こういう昔話を持ち出さなければ、もっと良いのにといつも思う。彼女にとっては、そう昔でもないのかもしれないが、昨日今日のことのように話されては堪らない。今の私はメイド長だというのに。
何だか拗ねたい気分になりながらも、それでもこの茶会は平穏に終わると思ったのだ、その時までは。
「ねえ、咲夜さん」
それは不意打ちだった。
「なに?」
どうして彼女が突然そんなことを訊いてきたのか全くわからなかった。普段の彼女なら、この手の話題は避けてくれるはずなのに。
[反転]
「どうして、あの時泣いたんですか?」
「あの時?」
咲夜が美鈴の前で泣いた回数は、多くも少なくもない。そのどれを指しているのかなんて、この会話でわかるはずもない。記憶を確かめるように目を遠くして、美鈴は、それが彼女の考え込むときの癖なのだが、両手の指を絡め、ぎゅっと鼻先で組んだ。
「ほら、初めて会った日の時ですよ」
「初めて…」
「こんなふうに一緒に紅茶を飲んで、咲夜さん、思いっきり甘くしていましたよね。で、それを飲みながら」
「――――――――ああ」
[反転]
ようやっと彼女が言っていることを理解したときには、私は余計なことを思い出しすぎていた。鳩尾から喉にかけて、妙な圧迫感を感じる。
「それで、なんで泣いたんですか?」
「そんな事を知ってどうするの?」
「別にどうもしませんけど。ただ思い出したので」
何故思い出したのだと、その胸ぐらを掴んで問いただしたい気分に陥る。
――――――――私らしくない。
余裕のなさを自覚していくと同時にその考えは薄れていったが、それはひどく暴力的な衝動だった。
「別に、あなたがどうとか、そういうのじゃなかったのよ」
その言葉は、明確には嘘だった。
「と、言いますと?」
「昔の事じゃない。私だってよく覚えていないわ」
その言葉は、明確に嘘だった。
「昔って言ってもですねぇ」
「私たちにとっては大昔よ、八年くらい前なんて」
再び迫り上がってきそうなその衝撃が怖くて、私は彼女の言葉を乱暴に切った。
「たち?」
「人間にとって」
「そうですか」
美鈴は、とくに気にした風もなく頷いてくれた。
彼女がその話題にはもう触れないことに、私は安堵する。
けれど。
でも、私だっていつまでも子どもじゃない。
それは、彼女と今よりもっと近かった頃から、何度も繰り返されてきたことだった。彼女がそうやってあっさりと退いてくれるのは、いつだって私がそう望むときだけだ。
美鈴は興味を失ったわけではないのだ。それ故に、彼女は私に、何らかの疑念を持ち続けることになるだろう。
私はその疑いを、いつになっても晴らせない。
そのことは、いつも心を重くする。
ああ遠いな、と思わず。
ふにゃっと、美鈴は笑った。
「それにしても」
「なによ」
「本当に美味しい葉ですね、あとでちょっと分けてくださいよ」
「いいけれど、高いわよ」
「へ、お金とるんですか?」
「当たり前じゃない。私には給金が無いのよ?こういうときに稼がず、いつ稼ぐのよ。というか、なぜ私だけないのかしら。美鈴にすらあるのに」
「それはあれですよ。咲夜さん、もともと居候じゃないですか。きっとその流れですね。だいたい、前は私のからお小遣い出してたのに、もう子どもじゃないとか言って止めたのは咲夜さんの方じゃないですか」
「そんな昔のことは忘れたわ」
「うわっずる。大人げないですよぉ、咲夜さん」
そう言いながらも、彼女は笑った。
果たしてそれはどちらの願いなのだろう。
咲夜に美鈴がわからない。
美鈴にもきっと咲夜がわからないだろう。
ねえ、どうしてなのかしらね。
おいしいっていう気持ちは、こんな簡単に共有できるのに。それともこれも錯覚で、本当は何一つ、分かり合う事なんてないのだろうか。
そうね、と咲夜は頷いた。
この闇だけは、いつまでも私に巣くい続けていくのだから。
[Re:ゴーストビートⅡ]
「そんなところで何をしているの?」
声は空から降ってきた。
わたしは夢見心地で答える。
「まっているの」
「何をかしら?」
声は可笑しそうに響く。
わたしは夢見心地で答える。
「むかえがくるのを」
「あらあら、迷子なの?」
それは疑問というよりは、まるで確認するようだった。
記憶の中のわたしはそれをわかっていて、けれどちゃんと答えた。
彼女が彼女だと、わかったから。
小さく呼吸する。
口を開いた。
「――――――――――――――――――――――――」
[無邪気な彼女は囁いた]
それは、骨を砕く音に似た。
「ねえ咲夜。身体、どっか痛いの?」
「そんな顔してますか?」
「そんな顔をしないよう、我慢してる顔に見える」
フランドールは、時々鋭くて困る。
「中国とケンカでもした?」
鋭すぎて、本当に困るのだ。
「ってゆうか、咲夜がそんな顔する理由って、そんなに無いんだけどね」
「美鈴は、何も悪いことしてませんよ」
「じゃあ咲夜が悪い子?」
「どちらかと言うとそうかもしれませんが、美鈴はどこも痛くないだろうからむかつきます」
他のメイドが見ていないこの地下室では、気がつけばこういうしゃべり方をするのが自然になっていた。話し相手がいることが何よりも重要な部屋の主は、とくに気にしたふうもなく笑って囁く。
「一度思いっきり大嫌いって言ってやればいいのに。中国、絶対ものすごいショックで寝込むから」
「なに言ってるんですか。美鈴はあれで、嘘を見抜くのが上手いんですよ」
正確には、つきとおしたい嘘ほどよく見抜く。意識してしまえばしただけ、彼女は心の揺れを聞き取ってしまうのだ。ところが聞き取ってしまったことを隠すことまでは上手くないから、そのことにこっちも気づいて、結果気まずい思いをしたことは少なくない。その反面、気づかれてもいい嘘には気づいてくれないことも多い。なんて腹の立つ能力だろう。
「じゃあ、嘘じゃなくて嫌いになればいいのに」
悪魔の妹は、とても難しい注文をして。
「それは魅力的な提案ですね」
完全で瀟洒な従者は鮮やかに返した。
「本当にそう思う?」
「勿論ですよ」
そこで二人の会話は終わった。
それが、お茶会の後のこと。
第十一部【それは転がる石のように】
――――――――隣にいれば、一緒かな?
[幼き暴君はかく語りき]
不穏な空気の流れを感じる。そんな朝が、始まった。
「あれ?フランドールさま?」
水やりに行く途中、美鈴はとても珍しい顔と出会った。正しくは、この時間帯には珍しい顔だが。
「おっはよう、中国」
「おはようございます。それから、私の名前は美鈴です」
「あれ、魔理沙のが移っちゃったかな?」
おのれ魔理沙め。
「まぁどうでもいいや」
よくはないとは、さすがに言えなかった。
「ひょっとして、今からお眠りになるんですか?」
「うんそうだよ。さっきまでお姉様に喚ばれてたの」
「喚ばれて?」
「そう。とっても大事な話」
「そうですか」
以前に比べて、フランはとても安定している。こんなふうに館の中を動きまわる分には、大分自由に行動できるようになった。物事には二面性、何事も一長一短。あの黒い魔法使いも、迷惑をかけるだけではないということか。
「あ、なんなら部屋までお送りします。途中、日光が入ってくるところもありますし」
「別にだいじょ…うん、お願いしようかな」
「はい。では」
というわけで、失礼を承知で美鈴はフランの先達をとった。
ただ歩くのもなんなので、互いの近況報告なんかをしてみる。
「それで、昨日は雨にも関わらず、魔理沙が来たんですよ」
「ああそれ、小悪魔から聞いた」
最近、読書に目覚めたらしいフランは、小悪魔と交流がある。というか、本選びの指南役を、小悪魔は任されていた。
「それでね、ちょっと美鈴に訊きたいんだけど」
「はい?」
「美鈴、咲夜のこと、苛めた?」
ゾクリと。
それは、実に嫌な手触りで背を撫でていった。
これは。
「そ」
さすがに不意打ちだ。
「そんなことはない、ですよ」
「うそ」
楽しげに、彼女は断じる。
「だって、咲夜が痛いなら、悪いのは美鈴のはずでしょ?」
楽しげに、彼女はそう断じたのだ。
「なら、美鈴はにお仕置きしなくちゃ」
よく切れるナイフを弄ぶような、冷たい無邪気さが言葉の端々に見え隠れしていた。
ああ。
花への水やりは、少し後回しかな。
[BGN]
消失マジックの本質は、いつだって次の三つしかない。
一つ、秘密の抜け穴がある。
一つ、最初から何も入れてない。
一つ、有ってもそれは見えない。
「はい、これで全部です。今回は外の人間の書物ということでしたので小説を、特にミステリーと言われる類のものを集めてみました」
「ミステリー?」
「空も飛べないし、魔法も使えない人間達が、知恵を絞って考える誤魔化しの技術です」
「ふうん?面倒だね、人間って」
「全くですね。ちなみに、魔理沙さんや霊夢さんは、こいうった人種からは除外されます。前者は魔法使いですし、後者は巫女だからです」
「ふうん?」
どうでもよさそうに、フランは頷く。
「この本、面白いの?」
「フランドール様にとって面白いかどうかは、フランドール様にしか決められないことです」
「ふうん?」
「お嬢様達は紅茶がお好きでしょうが、魔理沙さんと霊夢さんは、緑茶の方が好きなのと同じです」
「ああ、なるほどね。納得したわ」
うんうんと悪魔の妹は小悪魔の言葉に頷いた。
「食わず嫌いはいけないって事でしょ?」
「お嬢様達はしていいんですよ」
他愛もない会話、だったと思う。
「好き嫌いって言えばさ」
「はい」
「中国は、いったい誰が一番なんだと思う?」
「はい?」
ああそれはですねというか好きにはライクとラブがあってですねフランドール様この場合どっちなんですか、みたいなことを小悪魔が切り出すより前に、フランは随分と前から考え抜いたようにこんなことを言った。
「あのね、ちょっとややこしいかも、っと、その前に質問ね?」
「はぁ」
「小悪魔だったら、もしも凄い敵が現れて、この館のみんながピンチになったら、みんなの中でまずパチュリーを助けようとするよね?」
勿論です、と言っていいのか悩む。
「小悪魔?」
「ええまあ。私のマスターは、パチュリー様ですから」
「うん、小悪魔ならそれで正解だと思う。ああいいよ、私を助けてくれなくても大丈夫。お姉様じゃなくても怒らないから。でね、その敵がもの凄い一撃を私たちに繰り出すの。その場にはお姉様、私、パチュリー、小悪魔、咲夜、中国がいるの。で、小悪魔はパチュリーを、咲夜はお姉様を庇うと思う」
「何だか庇ったほうが心配ですね」
「特に咲夜の方がね」
パチュリー様だって、護りの陣が展開してるだろうなぁ。
でも。
「まぁ、それでも主ですから」
「うん。でもね、中国は咲夜の方を助けに行っちゃうんだと思う。お姉様は丈夫だからって」
「まさか」
そんなことは、と言いかけた口が止まる。…あれ、そう、かも?しそうかも。いや、あの人なら絶対そうする気がしてきた。そういう妖怪だ、紅美鈴という門番は。
「それでね、こっからが重要なんだけど、中国にとっては、それって咲夜に限った事なのかなぁって」
「フランドールさま鋭い」
何だろう。ある種の目から鱗?
一番大丈夫じゃなさそうなものを護りに行く。ああそうだよ、そういうとこあるよ、美鈴さんって。
「で、話は一番最初に戻るわけだけど」
「はい」
落ちは何となく見えていた。
「中国は、いったい誰が一番なんだと思う?」
[かくも穏やかな顔をした悪]
――――――――まだ気づかないふりをするの?
九死を一生に得る。今日のスローガンはこれで決まりだ。
無事に花の水遣りを終え、朝食を終え、何だかすごく疲れた気がするが、とりあえず美鈴は門前にいた。生きてるって素晴らしい。
「それにしても」
別れ際にフランから聞いた話によれば、今日は魔理沙とアリスは来ないとパチュリーは言っていたという。パチュリーがそれを知った経緯はこの際いいとして、問題は、何故そのことをわざわざフランは美鈴に伝えたのか。そのことだけが美鈴にはわからなかった。
もっとも、わからないことはここ最近山ほどあるのだが。
まぁ、それはともかくとして。
「おはようございます、鈴仙・優曇華院・イナバさま。お話は通っています。案内いたしますので、中へどうぞ。ところで、鈴仙さまは紅茶より緑茶の方がよろしいのでしょうか」
「ご丁寧にありがとうございます。あのでも、私はただ品物を届けにあがっただけなので、そこまでして頂かなくても結構です」
美鈴の目の前では、久しく聞いていなかった正しい紅魔館への客と紅魔館の従者による会話が成されていた。つまり、月の兎こと鈴仙・U・イナバと、紅魔館門番副隊長ことカーサとの間で。
「いえ、お客様にそのような対応をするわけには参りません。それとも、何かお急ぎの用がお有りでしょうか」
それならかえって引き留めるのは失礼にあたるだろう。
けれどカーサのその言葉に、鈴仙はようやく折れたようだった。
「わかりました。ではその、お邪魔します」
二人が門の中へと消えていくのを見送ると、美鈴の頭の中で先ほどのフランとの会話が自動再生された。
――――――――それから、今日のお客は、絶対に追い返しちゃ駄目だってさ。
[Reそれより前は前世と呼ぶのⅡ]
この悪魔め、とその男は言った。
化け物だ、とその男の仲間は言った。
人間じゃない、とその女は言った。
我々の敵、とその女の仲間は言った。
だから、お前は死ななければならない、とその人は言った。
それは、いつの記憶なのだろう。
[断片断片断片]
――――――――潜入、展開、実行します。
溺れるように眠りについて、夢から覚める夢をみる。
ここではないどこか。
誰でもない私。
夢のような記憶。
それは始まりにして終わりの歌。
血の匂い。
誰かの悲鳴。
とても大切な何かをなくした記憶。
もう誰も語れなくなってしまった物語。
血のにおい。血の匂い。
とても大切な何かをなくした記憶。
『 』
あれは、誰の言葉だったのか。
とおいむかし、あなたさまはたいせつなものをなくしたのですね。
これは、誰の言葉なのだろう。
――――――――潜入、展開、これ以上は回避します。浮上浮上浮上。
[狂気の始まり]
「メイド長」
割とよく知っている部類に入るその声に、咲夜は振り返った。
翡翠のように薄い色素の目が、何か物言いたげにこちらを見つめている。
「お客様です、メイド長」
「……」
「メイド長?」
「…っご苦労様、カーサ。持ち場に戻って頂戴。そうして、鈴仙・優曇華院・イナバさん?」
「鈴仙でいいわ。その節はどうも、十六夜咲夜さん?」
「咲夜でいいわ。ようこそ紅魔館へ、鈴仙。歓迎するわ」
「歓迎って、弾幕じゃないよね」
「勿論よ。例外を除けば」
「私は?」
「安心して、普通に挨拶をして、普通のお茶を普通に出すだけ」
「お茶はいいんだけど、品物をちゃんと渡したい」
「品物?」
「図書館って師匠は言っていたわ。取り扱い説明書とかもあるし、依頼主と会って手渡ししたいの。お茶はその後にでも」
「わかったわ。図書館はこっちよ」
「ありがとう。ところで」
「なに?」
「メイド長って、ひょっとして偉い?」
「従者の頂点なんて、別に偉くもなんともないわ」
「なるほど」
それが、昼のこと。
[三日前の夜]
はやくはやく。過去に追いつかれてしまう前に。
「メイド長メイド長、さっきレミリア様が呼んでましたよ?」
「小悪魔、廊下は走らない」
「走ってませんよぉ、浮いてますって」
「速度を問題にしているのよ」
「距離 ÷ 時間 = 速度?」
そろそろ本気で怒ってもいいのではないだろうか。
「それで、お嬢様は自室に?」
「はい。二人分のお茶を用意して来るようにと」
「二人分?パチュリー様がいらしているの?」
「いいえ。それはメイド長の分です。話があるんだそうですよ?」
小悪魔が瞬きをした、その次の瞬間には、もうそれは終わっている。
ティーポットとカップを二つ。お盆を持った完全で瀟洒な従者が、固い表情で立っていた。
「行ってくるわ。お嬢様は、他には何か?」
「特には。ああそうだ」
「なに?」
「いえ、先ほど言い忘れたので。レミリア様に、ⅢのBをお借りしましたって伝えといてください」
「ⅢのBね。わかったわ」
そうして。また一瞬のうちに彼女は消えている。
「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか。物語は最後まで何が起きるかわからないものなのですよ、フランドール様」
楽しげに小悪魔は笑うと、次なる場所へ向かっていった。
美鈴は、一体誰が一番なんでしょうね?
助けられるだけ助ける、みたいになっちゃうのかなあ。それは残酷だなあ。どちらにとっても。
続きを期待してます。
だけど誰がいちばん?
見た目は子供、けど立派な大人なフランドール。
今回はそんなお話な気がしまして。
逆に考えるんだ、実は皆一番じゃないか?って考えるんだ