Coolier - 新生・東方創想話

本の題名はスマイリーキクチ全書だったりしまして

2006/07/20 01:56:04
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*ちういがき
*著者前作、プチ東方創想話「妹紅さんはスペル製作の時、名前から入ります」より一部ネタを引っ張ってきています。
*そちらからご覧になっていただければより幸いです。
*ギャグです。好き勝手書いちゃいました。
*こぁ×まりです。




「よう、また来たぜ」

「……また来ちゃったんですか、魔理沙さん」

「何だ何だ。愛しの魔理沙さんだぜ?そんな顔するなよ。もう辛抱堪らん」

「別に愛しさも切なさも心強さもありませんけど」

「それだ。その素っ気無さが私の心を狂わせて堪らないんだよなぁ。勿論性的な意味で」

「帰ってください」

「そんなに照れるなよハニー。なぁに、私に任せておけば沈没したタイタニック号だって爆砕だぜ。勿論性的な意味で」

はぁ、と思わず溜息が漏れました。
性的な意味でタイタニック号が爆砕するってどんなですか。
力任せ?

此処は紅魔館。紅たる吸血の主が治める館です。
あ、自己紹介が遅れました。私、小悪魔です。小悪魔。
はい?名前?ですから小悪魔ですってば。
種族を訊いてるんじゃない?ええ、種族は悪魔ですけど。
通称、と云うのでしょうか。渾名でもいいです。
ええと、つまり私は小悪魔と呼ばれていて、それ以上でも以下でもないんです。
お解りになられましたか?

「それで、本日は何の御用ですか?」

「乙女の口から言わせる気か?」

「職業:シーフが何を言ってるんですか」

「いや、私の職業はお嫁さんだ。お前さんの。勿論性的な意味で」

本日2度目の溜息です。
それって性奴隷って云うんじゃないんでしょうか。

この白黒の如何にも魔法使いな風貌をしているのは魔理沙さんと云います。
ヴワル図書館……あ、此処のコトですね。私は此処の司書をしています。
魔理沙さんは度々此処に来ては、本を強奪していって困ってるのです。
何が困るかって云うと、強奪(本人は借りたって言ってますけど)を返さないコトです。
大体借りたって云っても、「私が死ぬまで借りておくぜーゲェハハハハハハハー」とか言われちゃ司書の立場がありません。
パチュリー様にも怒られちゃいますし。
あ、パチュリー様って云うのは此処、ヴワルの主です。
私を召喚して、このだだっ広い図書館の司書を命じた私のご主人様です。
ええと、二つ名は確か「動かない紫もやし」だったか「七曜の紫もやし」のどちらかだったと思います。
ごめんなさい、最近記憶が曖昧なんです。
我が主は、このシーフにぞっこんLOVE!みたいです。
春ですねぇ。

「もう、いい加減にしてくださいよぅ。私も暇じゃないんですから」

「そうだな、用件は簡単だ」

やっと話してくれるようになったみたいです。
どうして幻想郷の人ってこう無駄が好きなんでしょう。
いえ、別に無駄がいけないって言ってる訳じゃないんですけど。

「小悪魔、結婚してく」

「ごめんなさい」

「はやっ!まだ全部言い切ってないぜ!?」

「そういったコトを口にするのは本を全部返却してからお願いします。そしたら考えてあげますよー」

私は言って、司書の仕事に戻ります。
全く、魔理沙さんはいつもふざけてばっかりです。
最近は毛玉の発生が凄くて忙しいんですから。

「本当だな?」

「へ?」

振り返ると、魔理沙さんがやけに真剣な表情でこちらを見ていました。

「本当に、本を全部返したら結婚してくれるんだな?」

「え、あの、考えるって言っただけで確定じゃないですけど……」

どうしたんでしょう。
あの、魔理沙さんが。チカラオブパワーの魔理沙さんが、こんなコトを言うなんて。
……今度は何を企んでいるんでしょうか。

「解った。今直ぐに持ってくる」

「え、ちょっと、魔理沙さん?」

魔理沙さんは真剣な表情のまま、箒に跨ると凄い勢いで飛んで行っちゃいました。
私はぽかんとしていましたけど、もしかして返却の催促を上手くはぐらかされたんじゃないかと思って、本日3度目の溜息です。
はぁ、またパチュリー様に怒られちゃいます。
あいたたた……胃が……胃がー。




~しょーじょ、けだまちう~




さて、毛玉の処理もやっと終わりました。
そろそろお昼の時間で「小悪魔ぁぁぁぁぁあああぁあぁ!」ばたーん。
……私の名を呼ぶ絶叫と、図書館の扉が大きく開け放たれる音が聞こえます。
あれは魔理沙さんの声ですね。
もう、最近ほんとに胃が悲鳴を上げているんですから、これ以上私を困らせないで欲しいです。

ぱたぱたと羽を動かして入り口まで向かいます。
そんな私の目に入ってきたのは…………。

「え?」

巨大な風呂敷を背中に背負った魔理沙さんでした。
そう、巨大です。巨大な風呂敷包みです。
魔理沙さんの5倍くらいは大きいでしょうか?そんな風呂敷包みを真っ赤な顔をして背負っている魔理沙さん。
え?何これ?

どすーん。

肩で息をしながら魔理沙さんが風呂敷を降ろしました。
私は未だに現状を把握出来ていません。

「はぁ、ほら、今まで、はぁ、借りた、ハァハァ、本だ、はぁ、ぜ」

はい?
私の耳がおかしくなっちゃったんでしょうか。
それとも魔理沙さんの頭がおかしく?
え?あれ?

「これで、はぁ、結婚して、ハァハァハァハァ、してくれるんだなっ!?」

私の頭は混乱の極み。
何でしょうか、これ。夢?幻覚?
ああ、これがイタコの精神攻撃ですね?
慧音さんが仰ってたのはこれですかー。そーなのかー。

ふ、と我に返れば魔理沙さんは目の前っていうか近い近い。
目と鼻の先ではぁはぁ荒い息を吐いてます。
心なしか頬が紅潮して、吐く息も甘い桃色吐息。

「い、いえ、私は考えるって言っただけで確約までは」

「してくれるんだなっ!?」

いけません、目が本気です。あれは獣の目です。
洒落になってません。

「おっ、お友達から始めませんか!?」

私の言葉に、魔理沙さんがピタリと動きを止めます。
納得……してくださったんでしょうか。

「小悪魔は……私のコト、嫌いなのか……?」

うっ、魔理沙さんが魔理沙さんらしからぬ不安げな表情でこちらを見てきます。
ひ、卑怯です。目尻に薄っすら涙まで浮かべちゃって、こんなの卑怯です!

「いえ、あの、その、嫌いじゃないです……けど」

そうです、別に嫌いじゃないんです。
本は勝手に持っていくし、強引だし、我儘だし、我が強いし、私を困らせるし、白黒だし、でも。

……でも、どちらかと、云えば。

「好き、ですよ?魔理沙さんのコト」

ああ、言っちゃった。言っちゃった、私。

「本当……?」

だ、だから涙目でこちらを見ないでくださいってばぁ。
うー、恥ずかしい。

「じゃあ、その、結婚してくれるか……?」

結婚……ですか。
確かに私は魔理沙さんのコト、好きですけど。
一緒に居たら楽しいですし、一緒に居たいって思いますけど。
でも……本当にいいんでしょうか。

私は悪魔です。

人間の魔理沙さんとは、ずっと一緒に居れる訳じゃありません。
遅かれ早かれ、終わりは来る。
始まりと終わりは、等しく全ての存在に降りかかるんです。
例えば月のお姫様、輝夜さん。妹紅さん。え、えりんぎ?さん。
あの人達は不死ですけど、心が壊れてしまえばそれまで。其処で終わり。
そう考えると、哀しくなります。
きっといつかお別れが来るんです。
特に、私と魔理沙さんの寿命は……かけ離れてますし。

魔理沙さんと出逢って、それ程時間が経ったわけじゃありません。
ずっと一緒に居た訳じゃありません。
魔理沙さんは私を困らせてばっかりでした。
いつだって私を見掛けてはセクハラばっかりでした。
でも、私はその笑顔に惹かれていました。
どうしようもなく、どうするコトも出来ずに。

だから、だからこそ、私は魔理沙さんが居なくなるコトが怖いんです。
あの眩しい光の傍に居てもいいんでしょうか。
私は悪魔なのに、人間の傍に。
そして、またどうしようもなく、どうするコトも出来ずに。

いつかは、別れるしかないんでしょうか。

ずっと一緒に居る方法はあります。
輝夜さん達の蓬莱の薬とか、レミリア様の吸血鬼化とか。
でも、きっと魔理沙さんは嫌がるでしょう。
魔理沙さんの性格です。絶対に嫌がります。
「私は死ぬまで人間だぜ」って言うに決まってます。
それにそんな手段、私の我儘でやっていい訳がありません。

だから、怖い。
悪魔の癖に、失うコトを畏れて。
それなのに、痛い程に焦がれて。

「……駄目、なのか?」

はっ、と顔を上げれば、目に涙を一杯溜めた魔理沙さん。

「そ、そうだよな!私みたいな普通の魔法使いじゃ、小悪魔には見合わないよな!」

「ち、ちがっ」

「忘れてくれ!ほ、本は返したから、私は帰るぜ!」

駄目、駄目です。
魔理沙さんが泣いてるのは見たくありません。
悲しませたくありません。
魔理沙さんは、笑顔で、眩しいくらいに笑顔なのが似合ってます。

行っちゃ、いやです。

「魔理沙さんっ!」

自分でも驚くくらい、大きな声でした。
きっと私は泣いていたんでしょう。声が上擦ってしまいます。

魔理沙さんは私に背を向けて、箒に跨ったところでした。
驚いたように振り返って、驚いたようにこちらを見ています。

もう頭の中はぐちゃぐちゃです。
何を言うか、何を言おうかなんて考えられません。
だから、私には飾らない本心しか言えませんでした。

「好きです!」

大きく息を吸い込んで、心からの本心を。

「好きですっ!!」

私は魔理沙さんに駆け寄って、抱きつきました。
今はひどい顔をしています。絶対にそうです。
顔は真っ赤だと思いますし、涙だって止まってくれません。

「小……悪魔……?」

「やです……行っちゃ駄目です……」

涙のせいで、しゃくりあげるように言うしか出来ません。
ぎゅっと抱き締めている腕に、力を込めます。

「約束、出来ますか……?」

魔理沙さんの胸に、顔を埋めて言います。言っちゃいます。

「幸せにしてくれるって……悪魔の私でも幸せにしてくれるって、約束……出来ますか?」

言っちゃいました。もう知りません。
心が、好きって気持ちが、抑えられません。
止めるコトなんて、出来ません。

魔理沙さんが、息を吸って、吐きました。
そうして、私のコトを抱き締めてくれます。

「ああ、約束するぜ。霧雨魔理沙、全身全霊を以って、小悪魔のコトを幸せにする」

思わず、顔を上げてしまいました。
私と、魔理沙さんの距離は限りなくゼロに近くて。
どちらからともなく、ゆっくりと顔を近付けて。







「……随分、楽しそうね」







時が、止まりました。
いえ、完全で瀟洒なメイドのお方の仕業ではなくて、空気が凍ったって表現が一番いいでしょうか。
必死すぎて忘れていました。このヴワルの主で私のご主人様でもある、「七曜の紫もやし」様のコトを。

ずい、と魔理沙さんが私の前に出ました。
その顔は真剣そのもので、まさに威風堂々。

「パチュリー。小悪魔は貰っていくぜ」

いつものネグリジェのまま、パチュリー様は眉をピクリと動かしました。
と、いうか空中浮遊の状態で、その周りには魔導書が幾つも浮いています。
ええと、戦闘準備は完了しているようです。

「小悪魔」

びくん、と私は反応してしまいました。
冷たい声。まるで絶対零度。今なら氷精のチルノさんをも凍らせるコトが出来るんじゃないでしょうか。

「……貴女、そんなふざけたコトが許されると思っているの?」

がくがくと、足が震えます。フラッシュバックするお仕置き。
ナマコ責めだったりナメコ責めだったりナムコ責めだったり。
メイド長の胸パッドを2回り大きなモノと換えてこさせられたりもしました。
逆に門番の中国さんのブラジャーを2回り小さなモノに換えてこさせられたりも。
寝ているレミリア様の額に肉と書いてこさせられたり、フランドール様のレーヴァテインを魔法少女のステッキと取り替えてこさせられたり。
今思えばしょうもないコトさせられてたんだなぁ、私。

ぎゅぅ、と魔理沙さんが私の手を握ってくれました。
それで、足の震えはピタリと止まります。
魔理沙さんを見ると、頷いてくれました。
私は息を大きく吸い込んで、パチュリー様に宣言します。

「ふざけてなんか、ないです!」

また、我が主の眉がピクリと動きます。
段々と身に纏うオーラが鬼気迫ってきています。
うぅ、怖いよぅ。
これじゃ「七曜の修羅もやし」です。……「動かない修羅もやし」の方が格好いいですね。
どっちでもいいですか。そうですか。

「ふざけてない?」

「ふざけてないです!私は、私の意志で魔理沙さんを選びました!」

「……自分の立場を解っているの?」

「確かに私はパチュリー様の使い魔で、契約も結びました。でも、それでも!」

「もういいぜ、小悪魔」

魔理沙さんが、私を止めました。
未だにパチュリー様は冷たい表情で、私達を見下ろしています。

「そういうコトだ。パチュリー、小悪魔は私が絶対に幸せにする。信じてくれ」

真摯な態度で、魔理沙さんがパチュリー様に言いました。
……格好良いです。
あともう一息、パチュリー様を納得させられれば、上手くこの場を治めるコトが出来る筈です。
……でもパチュリー様も魔理沙さんのコトが好きみたいですから、下手をすれば死にますね、私達。主に私が、ですか。

魔理沙さんが箒を持っている方、右手ですね。を振り翳しました。
次の言葉で私達の運命が決まります。私は、魔理沙さんの手を握って、その温かさを信じるコトにしました。
そして、宣言。

「勿論性的な意味で!」

「って、性的な意味でなんですかぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁ!?」

ぶち壊し。ぶち壊しました。ぶち壊されました。主に生死に関わる意味で。

「月符『サイレントセレナ』」

パチュリー様がスペルを解き放ちます。あ、死んだかも私。

「イクぜ小悪魔!箒に跨れ!性的な意味で!」

「性的な意味でって言いたいだけなんじゃないですか!?乙女の純情弄ばないでくださいよぉぉおぉおぉぉぉ!!」

「いやぁ、前々から思ってたんだよなぁ。小悪魔を思う存分舐め尽くしたいっておおっと涎がじゅるり」

「な、舐めっ!?嫌、嫌ですぅぅぅうぅうぅ!!」

箒に無理矢理乗せられて、私は振り落とされないように魔理沙さんに抱きつきながら絶叫です。
パチュリー様は本気みたいですし、時々「死ね死ね死ね。全裸で」とか「未来永劫呪われろ。全裸で」とか聞こえてきますし。

「私の葛藤とか、そういうのはどうなるんですかぁ!」

「ふひひ、すいません」

駄目、話になりません。

「まぁいいじゃないか。私は本気で小悪魔のコトが好きなんだから」

「え」

急に言われても、前の発言とのギャップが大きすぎてどう反応していいか解らなくなっちゃいます。
もしかして、今までの狂気としか取れない発言は照れ隠しだったりしちゃうんでしょうか。
そうです、そうに決まってます。そう思わせてくださいお願いしますから。
少しだけ顔を上げて魔理沙さんの表情を盗み見ると、にやりとした笑みを浮かべました。

「その紅く艶やかな髪、幼さを残した顔、細い腰、鎖骨、指、足、そして慎ましい胸!どれも私を捉えて離そうとしないんだぜ!舐め尽したい撫で尽くしたい!薄暗い部屋で小悪魔の白い肢体が私の肢体と交わってそうゆっくりと時に激しく恥ずかしがりながらその顔を紅潮させながら一段また一段と絶頂への階段ををををををおおおおおをおおぉぉぉおぉぉヘブッシャアアァァァァァァア!!」

盛大に鼻血を噴出しながら的確にスペルを避けています。
嗚呼、照れ隠しなんかじゃありませんでした。本気でした。本気の変態でした。
大体胸なら魔理沙さんの方が慎ましいじゃないですか。失礼しちゃいます。
一方のパチュリー様も虚空を凝視しながら「殺してでもそのアホ毛を奪い取る」とか「ならばチェーンソーだ」とか「歩いてお帰り」とか言ってます。
何か見えているんでしょうか。イタコの精神攻撃でも食らっちゃったんでしょうか。

「さあ心の力は十分か!?行くぜ?必殺のぉぉぉぉぉおおぉ!!」

ゲラゲラ嗤いながら魔理沙さんが両手を前に突き出しました。
恐らくは絶対の力を以って放たれる魔砲。その封印が今解かれます。

「バオウ・ザケルガァァアアァァァァァアアアァァ!!」

「それ違うーーーーーーー!?」

ガビーンという効果音が頭の上で聞こえましたが無視します。
尋常じゃないエネルギー量。バオウ……ではなくてマスタースパークは一瞬にしてパチュリー様を吹き飛ばしました。
同時に図書館の壁に大穴を作りましたけど。

「へっ、こんなもんだぜ」

魔理沙さんは自信満々に鼻を擦って笑顔を見せます。
此処だけ見れば凄く素敵なんですけどね。

「魔理沙さん」

「おう、邪魔者は消え去ったぜ」

「取り敢えず一回降りましょう」

「何でだ?このまま私の家までランデブーだぜ」

「嫁入りには色々入用ですから」

ふむ、と魔理沙さんは頷くと「それもそうだな」と、床に降り立ちました。

「あぁ、これでやっと夢にまで見た小悪魔の裸体が!裸体がががっがっがががっ」

「はいはい、落ち着いてくださいね」

私は床に落ちている本を手に取りました。分厚い辞典くらいはありそうな本です。

「あ、魔理沙さん、それ取ってくださいますか?」

「ガガッガー!あ、あん?どれだ?」

魔理沙さんは私が指差した方向を向きます、つまり、私を背にして。

「失礼しますね」

「へ?どれぶべらっ!?」

後頭部から必殺の一撃。随分と重たい音がしましたけど、それも仕方ないですよね。
魔理沙さんはばったり倒れてびくんびくん痙攣しています。あ、耳から血が出てきました。

「乙女の純情を弄んだ罰です」

私は魔理沙さんに背を向けて、散らばった本を片付け始めます。
そう云えばパチュリー様は無事でしょうか。少しだけ気になりましたけど、あの方は虚弱体質なのに打たれ強いから平気でしょう。

本を胸に抱えて、本日……ええと、何度目でしたっけ?まあいいですけど、溜息を吐きました。
ちらりと魔理沙さんを見て、思わず零れたコトバは……




「ばか」




……でした。














***

後日談

***



あれから3日が経ちました。
暫くして動かなくなった魔理沙さんをアリスさんが持ち帰り、パチュリーさまも咲夜さんに連れられて帰って来ました。
パチュリー様は私を見るなり、「エコエコアザラクエコエコアザラク」とか奇声を上げて飛び掛ってきましたが、「あんなに変態だとは思わなかった。今では反省している」と弁明をしたら許してくださいました。
曰く、「間違いは誰にでもあるもの」だ、そうです。
私は今日もいつも通りに司書の仕事をしています。

魔理沙さんはあれから顔を見せていません。
思いの他ダメージが大きくて、回復しきってないんでしょうか。
ちょっとだけ反省しています。
それとも、アリスさんに捕まっているんでしょうか。
魔理沙さんを連れて帰る時に「これで魔理沙人形の細部も完璧ね。性的な意味で」みたいなコトが聞こえましたし。
語尾に性的な意味でって付けるの、流行ってるみたいですね。
どうでもいいですけど。

「あれ?この本……」

私は首を傾げます。
魔理沙さんの風呂敷包みの中から出てきた本です。
でも、こんな本見たコトがありません。
もしかして、間違えて持ってきちゃったんでしょうか。
魔理沙さんなら、ありえます。
んー、と少しだけ考えて、私はその本を司書机の上に置きました。

「これは、別ですから」

仕方ないですねぇ、と苦笑しながら私は作業を進めていきます。
魔理沙さんなら、また近い内に来るでしょう。
そんな気がします。何となく、ですけどね。

さて、これは奥の本棚ですね。
よいしょっ、と分厚い魔導書を5冊持ち上げます。
おとと、ちょっと重いです……?

「え?」

ひょい、と上から3冊が取られました。
誰に?箒に乗っている、白黒に。

其処に、私が焦がれている笑顔がありました。

「よう、また来たぜ」

「魔理沙、さん?」

「何だ、昼間に幽霊でも見たような顔して」

あの狂乱騒ぎから未だ3日です。
この人は、乙女の純情を弄んでどうしてこんな笑顔が出来るんでしょうか。

「ま、いいか。んで、この本は何処に持って行けばいいんだ?」

「…………すか」

「あん?何だって?」

「どうして、そんな笑顔が出来るんですか」

私は顔を上げて、責めるように魔理沙さんに言います。
だって、私は本気でしたから。
本気で魔理沙さんのコトが好きでしたから。

「上手いコトバを使って、結局私の身体目当てだったじゃないですか」

だから、許せなかった。
本気だった自分が馬鹿みたいでした。
私の「好き」と魔理沙さんの「好き」のギャップ。
その差が、許せなかったんです。

「どうして、ですか」

あ、駄目です。泣いちゃいそう。
でも泣きません。
魔理沙さんの答えを聞くまでは、絶対に泣きません。

「さあ、答えてくださいよぅ……」

少しの沈黙。魔理沙さんは驚いているようです。
私は俯いたまま、魔理沙さんの言葉を待ちます。

「あー、それなんだが」

ぽりぽりと頬を掻いて、魔理沙さんは困ったように笑います。

「暴走しすぎたのは確かに私の落ち度だ。それについては謝るぜ」

そして、真っ直ぐ過ぎる程に真っ直ぐな瞳で、私を見つめて。

「だが、私は本気なんだ。暴走のせいで誤解を招いちまったかも知れないが、私は本気で小悪魔のコトが好きなんだ」

私は悪魔です。嘘を吐いていれば一目瞭然ですし、何かを隠していれば見破れる。
集中していれば、ですけどね。

「どうしてそんな笑顔が出来るのかって訊かれたが」

照れた風に、頬を掻いて、やっぱり笑顔で。

「好きな奴の前で笑顔で居たいっていうのは、当然じゃないか?」

魔理沙さんは、本気でした。
本気で、私のコトを好きだと言ってくれていました。
ああ、それからやっぱり私も、です。
誤魔化せません。本気で気持ちを伝えてくれた魔理沙さん。
そんな魔理沙さんに対する気持ちを、想いを誤魔化すコトなんて出来ません。

「ま、まあそう云う訳だ!それで、この本何処に持って行けばいいんだ?」

「本より先に持っていくものがあるんじゃないですか?」

「へ?」

私は悪魔らしく、陶然と微笑を浮かべて。

「私を魔理沙さんの家へ、ですよ」

魔理沙さんはぽかんとして、くすくす笑う私を見ています。

「全く……」

がしがしと頭を掻いて、私の手を取って。

「それじゃ怖いご主人様に見つかる前に、全速前進だぜ!」

その笑顔は、やっぱりとても眩しかった。
初めまして、言乃葉と申します。
正直好き勝手書いた。今は満足している。
私だけでなく、皆様にも楽しんで頂けたなら幸いです。

では、またいづれ。
言乃葉
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コメント



0.1950簡易評価
2.60翔菜削除
>ナムコ責めだったり
どんな攻めだよwww namcoかwwww

あなたのHNを見ててっきりパチュリーあたりが「死んじゃえ」とか言いながら鋸でも持ち出すのかと思った僕を許してください。
14.70煌庫削除
魔理沙が性的な意味で。を併用するととても危険だということが分かりました。
てか、パチェ。中々ハードなお仕置きばかりじゃねぇかYO!?
20.50廿四削除
もうダメかも分からんね。性的な意味で。
25.無評価言乃葉削除
>>翔菜様

>あなたのHNを見て~

Guilty!!

いえ、冗談ですw

>ナムコ責めだったり

初代パックマンを100時間ぶっ続けで。

>>煌庫様

紅魔郷の登場人物数人に併用させてみました。

ルーミア「目の前のが取って食べれる人類?性的な意味で」

美鈴「巫女は食べてもいい人類だって言い伝えが…性的な意味で」

パチュリー「えぇーと、簡単に素材のアクを取り除く調理法は…性的な意味で」

咲夜「お嬢様は暗いところが好きなのよ。性的な意味で」

レミリア「…食べても、いいのよ。性的な意味で」

フランドール「あなたが、コンティニュー出来ないのさ!性的な意味で」

ほら、みんな危険ですよ?w

>>廿四様

だがそれがいい。性的な意味で。
34.70某の中将削除
思いっきり噴出してしまった。もちろん性的な意味で。
あああ大学のPCルームでにやけるのはいろいろとまずいのに、性的な意味で。
37.無評価言乃葉削除
>>あああ大学のPCルームでにやけるのはいろいろとまずいのに、性的な意味で。
用法、用量を守って正しくお読みください。勿論性的な意味で。
41.60変身D削除
純情可憐なこぁーに乾杯。
あと、この後の新婚生活は3日で破綻すると見た。性的な意味で。
46.80宵闇削除
こぁぱちゅ派な私ですが、まりこぁも有りだなと思わされました。性的な意味で。
「あはははは~~!魔理沙は私のもの~~~~~ッ!!」
って叫ぶパチュリーさんを幻視したのは私だけ?勿論性的な意味で。
51.70名前が無い程度の能力削除
普段はまりこぁだけど、布団の中ではこぁまりだとおもうね。性的な意味で。

証拠
こぁ×まりです