Coolier - 新生・東方創想話

妖精大戦争〈終〉

2006/07/17 12:57:15
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 ようやく妖精軍団との決着もつき、すべてが終わった。
 白玉楼は見るも無惨な姿になってしまい、妖夢は自我を取り戻したばかりだというのに
 半泣きになりながらその後始末を行っている。
 集結した者達もそれぞれ待つ者達の元へ、もしくは用が無くなったからと帰って行った。
 今ここに残っているのは霊夢と魔理沙とアリスの三人。
 勿論幽々子は自身の家である白玉楼を取り戻したので、ここに残るのは当然だ。
「それにしてもなんだかんだで結構な被害になったわよね」
 一連の事件を思い返し、改めて今回の事件の面倒さを思い知る。
 とは言っても霊夢が関わったのは、この最終決戦のみ。
 紅魔館襲撃も永遠亭襲撃も、公にはなっていない白玉楼襲撃も全て人づてに聞いたにすぎない。
「まったくやれやれだな」
 妖夢が淹れてくれたお茶を飲みながら、魔理沙も肩をすくめる。
 しかしその顔はどことなく嬉しそうだ。
「ま、私はこうして美味しいお茶が飲めれば何だっていいんだけどね」
 このように真新しいお茶を飲めるのは至福の限りだ。
 いつもは出がらしの薄めのお茶で我慢しているが、やはり新しい茶葉で淹れたお茶は美味い。
 せっかく美味しいお茶が飲めるのだからもう少し長居しよう。
 そんなことを考えながら一息つく霊夢。
 ふと湯飲みに視線を落とす。
「……何これ?」
 別に虫が入っているわけでも、ましてや茶柱が立っているわけでもない。
 湯飲みの水面。
 その上に浮かぶ幾重もの波紋。
 同時に体全体が感じる微弱な振動。

 突然その揺れが大きくなった――!

 いきなりのことに戸惑う一同。
 揺れは依然として収まらず、屋敷の中の様々な物が倒れていく。
 まともに立っていることもできなくなり、霊夢達はいったん空中へと避難した。
「おいおい一体何が起こってるんだ?」
「私が知るわけ無いでしょう」
「いや、誰もアリスに聞いてる訳じゃないんだけどな」
 こんな状況下でもよくそんなやり取りができるものだと呆れの視線を向ける霊夢。
 庭の片付けもこの状況下ではできずに戻ってきた妖夢も同様の表情を浮かべている。
 しばらく様子を見ているうちに揺れは収まった。
 しかしこの冥界で地震など起こりうるはずがない。


 まだ異変は終わってないのだと、霊夢は自身の勘がそう告げているのを感じていた。






『妖精大戦争〈終〉~そして全ては幻想の彼方へ~』







「何……どうなってるの」
 先程の地震以上に霊夢達は驚きを隠せなかった。
 それは先程の地震が幻想郷全体にも及んでいたものなのかを確かめようと、
 白玉楼から出ようとした刹那のこと。
 幽々子に扉を開けてもらって外に出た瞬間、頬を殴りつける――雪。
 視界の半分を覆い尽くすほどに舞い散る白い結晶。
 いやそんな生易しい程度ではない。
 横殴りの風と共に吹き荒れるそれは一種の凶器だ。
 そして驚くのはただ突然吹雪が発生したことではない。
 今は梅雨も明け、これから夏本番を迎えようという文月初旬。
 夏に雪が降るだろうか?
 そんなこと考えるまでもない。
「春になっても冬が明けないって出来事はあったけどな」
 ちらりと妖夢の方を見て魔理沙はいつしかの出来事を思い出す。
 あのときは亡霊姫の気まぐれが原因で、春になっても雪が降り続く異変が起きた。
 霊夢と魔理沙、そして紅魔館の十六夜咲夜がそれぞれに動き解決に至ったあの事件である。


 しかしその時と状況は酷似しているようだが、今回は以前のそれとは全く違う。
 あのときは幻想郷にやってくるべき「春」を白玉楼が独占していたために冬が長引いただけのこと。
 しかし今回は幻想郷の「夏」はまったく奪われておらず、また「冬」が蔓延しているわけでもない。
 それは見上げた所にある強い日差しがそれを如実に物語っている。
 夏の日差しと冬の吹雪が混同しているのだ。
「見て、あの山……紅くなってる」
 アリスが指し示す先、その山は秋になれば見事な紅葉となり宴会場として利用している場所だ。
 その山が紅葉全盛の時期と同じくらいに紅く染まっている。
「まるで季節が混ざり合っているみたい……」
 妖夢の呟きは的を射ていた。
 ある郷は桜が咲き誇り、ある川は干上がり、ある山は果実を実らせ、ある湖は凍り付いている。
 季節がないのではなく、全ての四季が一斉に現れているのだ。
 こんな異変は皆初めてのこと。
 そしてそれだけに事がどれだけ重大なことなのか気付く者は誰一人としていなかった。


「寒いぜ……」
 肩をぶるると震わせて、魔理沙は言った。
 そう言われれば、と霊夢達は自分たちの服装を見る。
 夏も近いということで比較的風通しの良い衣装を選んだ今日。
 現在置かれている状況と一緒に考えると、行き着く答えは――
「さっ、寒っ!」
「死ぬわっ、このままだとマジで死ぬっ」
 先程から吹雪の中で立ち往生していた霊夢達の体はすっかり冷え切っていた。
 人間である霊夢と魔理沙は特にやばい。
 すぐにでもここから離れて、どこか風雪をしのげる場へと向かう必要があった。
「あらあなた達、そんな格好で元気ね」
 そこへ吹雪と共に飛んできたのは冬の妖怪レティ・ホワイトロック。
 夏だというのに彼女が現れたということは、やはりこの状況はどう考えてもおかしい。
 いやそんなことよりもまずはここから離れるのが先決だ。
 霊夢達はレティとの会話もそこそこ、というかまったくしないまま切り上げた。
「えーっと……?」
 残されたレティはただただぽかんとするだけである。



 ☆



 寒さに凍える一同は再び白玉楼へと戻ってきていた。
 あのまま吹雪の中にいるよりは、もといた場所に戻る方がどれだけマシか。
「あらあら、帰ったと思っていたけど」
 幽々子は何食わぬ顔で一同を迎え入れる。
 妖夢はすぐに風呂の準備をすると言って風呂釜へと向かった。
 残された三人と幽々子は、幻想郷の現状について早速会話を始めた。
「思うにこれこそあのスキマ妖怪の仕業じゃないかしら」
 開口一番に紫の存在を言及したのはアリスだ。
 妖精達との関わりがないことは、幽々子が相手をした妖精との会話で分かっているが、
 間接的に関わっているかもしれないという可能性はまだまだ残っているのだ。
「確かにあいつなら「季節の境界を曖昧に~」とか言ってやりかねけどな」
 紫の胡散臭さはこの場にいる誰もが知っていることだし、面白半分で厄介事を起こすことも皆重々承知している。
 今回の妖精達の異変も、彼女が黒幕だと疑われたのはその性格故である。
 しかし実際の異変の原因は紫本人ではないこともわかっている。
 だから紫への疑念は晴れかけていたのだが、その矢先にこの季節異変だ。
 これでは元々紫を疑っていた者達が、尚のこと彼女を疑いたくなるのも無理はない。
 しかし紫がこのような異変を起こしたのなら、その反応を見るためにすぐにでも顔を出しそうなもの。
 それに幻想郷全体にわたり、これほど大規模な異変を“今”起こす必要はないはずだ。
 必要性で考えれば、やはり考えられるのは妖精達である。
 実際霊夢はリーダー格の妖精と対峙したときに、そのような話をその耳で聞いている。
「そういえば妖精達は自分たちの目的は、幻想郷に災害を起こして
 自然への畏怖を再び人々に刻みつけることだったみたいね」
「そうか! それで謎が解けたぜっ」
「どうせ妖精の仕業とか言うつもりなんでしょ」
 実際その通りだったらしく、勇んで立ち上がった魔理沙の顔は笑みのまま固まっている。
 ずずず、とお茶を啜る音だけが間をつなぐ。
「だったらその妖精に直接聞けばいいじゃない」
 幽々子はにっこりと微笑んで提案する。
 そういえばまだここには主犯格だった五匹の妖精が残っているはずだ。
 何かしでかすとしたら彼女たちしかいない。
 というかそんな奴らをそのままにしておいた自分たちのいい加減さにため息が出る。
「どうするか考えていなかったのよね……まあどうもしないけど」
 霊夢は湯飲みに口をつけながらこれまでのことを思い返す。
 レミリア、幽々子、輝夜――今までだって倒してきた相手をどうかしたことはない。
「とにかく、行ってみた方が早いんじゃない?」
 幽々子の言葉に、それもそうだと満場一致で妖精達の元へ向かうことが決定された。


 白玉楼の奥の座敷。
 霊夢と魔理沙とアリスは揃ってここまでやってきた。
 ただの部屋のようだがここは霊夢が封印を施した簡易牢で、ここに妖精達はいる。
 うちの二匹は大怪我をしており、その治癒ができるようにこの部屋を与えたのだ。
 まだまだ動ける体ではないだろうから、ここにいるはずである。
 もしこの部屋にいなかったなら。
 それは彼女たちがこの異変の犯人であると断定できるのだが。
「そんな上手くいくわけないのよね」
 封印を解いて部屋にはいると、妖精達は五匹全員揃っていた。
 霊夢達の姿を確認するも、妖精達は抗戦しようとはしない。
 神宝も取られ、力も使い切った自分たちになにができるわけがないと分かっているのだ。
「なんの用ですか……」
「ちょっと野暮用でね。さっきの揺れはあなた達も感じたでしょ?」
「そういえば……。いったいあれはなんだったんです」
 まるで知らないという風に話す妖精。
 彼女たちを疑っていた霊夢はそれが信じられないと話を続けた。
「何って……あれはあんた達が起こした事じゃなかったの?」
 妖精達は首を傾げる。
 そこで霊夢達は白玉楼の外が、今どうなっているのかを伝えた。
 四季が混ざり合い、異常気象の一言では片付けられない状況。
 それ聞いた妖精達の顔には事を成し遂げた満足な笑みはなく、
 むしろその事態をまるで知らなかったことのように驚く色が浮かんでいた。
「そんなこと……我々は知らない」
「本当に?」
「知らないってば。もう私達には神宝もないし、そんなことできるはずないない」
 確かに妖精達は神宝の力と自身の力を合わせて、災害を起こそうとしていた。
 その神宝は永琳達が全て持ち帰ったため、妖精達はそれを起こす術を失っている。
 ならばこの異変は誰が起こしたというのか。
 目的も、犯人も、何一つわからない。
 だがそこへ事態を変えることのできる人物が現れた。


「うふふ、どうやらお困りのようねぇ」


 その抑揚のない声はどこからともなく聞こえてくる。
 部屋中を見渡してもその声の出所は掴めない。
「こんなことをするのは一人しかいないわね」
「霊夢もか? 奇遇だな。私も丁度そいつのことを考えていたところだぜ」
 霊夢と魔理沙は互いの顔を見合わせて、この声の主が彼女であることを確信する。
 そして大きく息を吸い込み、
「紫っ、いるんでしょうっ、でてきなさぁいっ!!」
 思わず耳を塞ぎたくなる程の大声で、その名を呼ぶ霊夢。
 その呼びかけに呼応するように、天井の一角がにひびが入る。
 いや、ひびではない。
 異世界と現実との境界だ。
 そこがぱっくりと裂け、そこから金色のウェーブを垂らして女性の頭が現れた。
 毎度の事ながら、あまり趣味の良い登場の仕方とは言えない。
 そんな悪趣味な性格をしているのが、このスキマ妖怪こと八雲紫なのである。
「そんなに大きな声で呼んでくれるなんて、お姉さん嬉しいわぁ」
「言いながら抱きつこうとするな」
「あん、いけずね」
 状況をまったく考えずに抱きつこうとしてくる紫を軽くあしらう。
 今はそんなことをしている場合ではないと、この妖怪は気付いていないのだろうか。
 いや紫なら気付いていても、このくらいの余裕をかますくらいはしそうではあるが。
「ねぇ、あんた」
「何かしら? 七色の人形遣いさん」
「この異変はあんたが原因なの?」
「異変……?」
 アリスは紫を引っ張っていった。
 そしてしばらくして戻ってくる。
 どうやら外の様子を直接見せに行ったらしい。
 口で言っても信用しないと考えたのだろう。
「さぁ白状するのよ、この異変はあなたの仕業ねっ」
「違いますわよ」
 あっさり否定。
「でも……まさかここまで事態が重くなっていたとはね」
 その知っている様な口ぶりにアリスが噛みつく。
「何よ、やっぱり何か知っているんじゃない」
「あら、私は原因ではないと答えたまで。何も知らないとは言ってないわ」
 つかみ所のない、と言うか話している内に不機嫌になる会話にアリスの我慢が次第に限界に近づく。
 ここでそんな争いを起こされても面倒なので、その前に霊夢がバトンタッチした。
「はいはいそれで? いきなり人の家に現れて、これから大変な事が起きるかもしれないけど頑張ってね、
 とか言ってたあんたはその大変なことについてどれだけ知っているというのかしら」


 魔理沙と小町がやってきたあの日。
 実は二人がやってくる前に、紫が訪れていた。
 話題になるのは勿論永遠亭襲撃事件。
 だがそれを聞いた紫は何を思い立ったのか、
「これからもっと大変な事が起きるかもしれないけど頑張ってね」
 とだけ言い残し、スキマの中へその姿を消したのである。
 残された霊夢はわけがわからないやら、お茶を飲むだけ飲まれたやらで憤慨した。
 魔理沙達に対して怒っていたのはその為である。


「実はちょっとこの子と一緒に外界見物に行っていたのよ~」
 楽しそうに笑いながら、もう一つのスキマを作り出す紫。
 そのスキマから為す術もなく落ちてきたのは、小柄な少女だった。
 しかし少女と言っても彼女を馬鹿にしてはいけない。
 彼女こそ知る人ぞ知る冥府の裁判官、四季映姫・ヤマザナドゥその人なのだ。
「いたたた……」
 したたかに打ち付けたお尻をさすりながら立ち上がるその姿には威厳の欠片も感じられないが、
 それでも彼女が幻想郷の閻魔であることに変わりはないのである。
「あ、あら?」
 映姫は自分が今置かれている状況を、ひとしきり尻餅の痛みを堪えた後に気がついた。
 みるみるうちに顔が真っ赤に染まる。
 それが羞恥によるものなのか、怒りによるものなのかは定かではない。
 なんにしても、これで閻魔誘拐事件の謎も解けたことになる。
「こ、こほんっ」
 場を仕切り直すように、映姫は咳払いを入れる。
 今更な気もするが、彼女にも閻魔としてのプライドがあるのだろう。
「話は不本意ながらも、この妖怪の結界の中から聞かせてもらいました」
 紫のスキマの中にずっと閉じこめられていたということだ。
 閻魔である映姫の力を持ってしても、紫の結界からは抜けられなかったらしい。
「八雲紫に連れられて、私は外の世界を見に行きました」
 映姫はそこで見たこと、聞いたことを事細かに教えてくれた。



 ★



「一体何だというのですかっ、私にはまだまだ仕事がたくさん残っているんですよ!?」
 仕事中、足下に生まれたスキマに飲まれたかと思うと変な空間に取り込まれた映姫。
 彼女の前にはにっこりと笑顔を浮かべる紫がいた。
 勿論映姫はその所行に怒りを露わにする。
「貴方は一体何を考えているのです!」
「もちろん人々の平和ですわ」
 その答えが逆に空々しく感じられるほど満面の笑みを浮かべ続ける紫。
「早く私を元の場所に戻しなさい」
 ただでさえ小町のサボり癖の所為で仕事が滞っているのだ。
 その上さらにこのような気まぐれにつきあっていては、
 どんなに敏腕な映姫といえども仕事に支障が出て当然といえる。
「それは無理な相談だわ。あなたにはやってもらいたいことがあるのよ」
 今にして思えばその言葉を聞いたのがそもそもの間違い、いや正解だったのだが
 その時の映姫はそんなこと知るよしもない。
「やってほしいこと、ですって?」
「そう、あなたも幻想郷の閻魔なら今そこで何が起こっているのかは知っているわよね」
 紫が言っているのは、妖精達の凶暴化のこと。
 紅魔館や永遠亭が襲撃され甚大な被害が出たという。
 まだこれからも被害は増え続けることだろう。
 しかしそれとこれと何の関係があるというのか。
「私に妖精達に説教をしろと?」
「そんなことをしても止められないことくらいわかっているでしょう」
 返り討ちに遭うのが関の山である。
 では何だというのだ。
「あなたはこの異変についてどう思う?」
「どう、と言われても……」
 妖精が凶暴化した。
 その性格の変貌を異変というのなら、異変には何かしらの原因があるはずだ。
 紫が聞いているのはそういうことなのだろう。
「妖精は自然と共にある化身……それが凶暴化したということは」
「うんうん」
 妖精は自然から生まれ、自然と共に存在する化身。
 しかしその中には人のような意思もあるし感情もある。
 だから完全に自然そのものというわけではない。
 ただそのものではないとしても、自然と妖精は密接な関係を持っている。
 妖精の性格に変化があったということは、自然にも何かあったということだ。
「しかし……自然に何かあるほどこの幻想郷の人間は自然を疎かにしてはいないはず」
 人もまた自然の一部である。
 自然と共に生き、死ねば自然に還る。
 草は草食獣に喰われ、草食獣は肉食獣に喰われ、肉食獣は人に喰われる。
 そしてすべからく命は自然に還っていく。
 そのバランスが上手く保たれているからこそ、自然は恵みを与え続けてくれる。
 人は太古より、その恵みに感謝しそれを授かりながら暮らしてきた。
 それはこの幻想郷においても同じ事である。
 確かに自然からすれば、人は自然をあらゆる糧とする生き物であることに変わりはない。
 しかし人は自然の大切さ、自身が自然に生かされていることを知っており、
 自分たちも自然の一部であることも理解している。
「それじゃあ……この異変のそもそもの原因とは、まさか!」
「あなたも気付いたようね」
「しかし、それでは私に頼みたい事というのは……」
 紫は空間にスキマを作り出し、その向こうの光景を映姫に見せた。
 そこに映っているのは幻想郷ではない世界。
 鉄や石で作られた巨大な建物、溢れる物とゴミ、金銭の氾濫する社会。
 善と悪が混沌として混ざり合った世界に、誠実な映姫は吐き気すら感じた。
「これ、は……」
「外の世界よ」
 外の世界。
 それは幻想郷と隔絶された別世界。
 そこで忘れ去られた幻想が集い世界を構築するのが幻想郷である。
「幻想郷と外界の境界を曖昧にしてみたの。まったく……酷いものよね」
 酷い、とは勿論外の世界のことだ。
 人が主体でそれ以外の要素は全て人のために調整された、まさに人のための世界といえる。
 元々世界というものは何かのために作られた世界ではない。
 それを人という生き物は自身のために作り替えている。
「この世界の人々は自身が世界の一部でしかないことをわかっていない……。
 わかっているといっても、所詮それは真実を理解しているわけでもない」
「面白いものはいっぱいあるんだけどねぇ」
 確かに人の知恵はあらゆる方向に発展し、様々な物を生み出している。
 その向上心は評価に値すると言っても良い。
 しかしそれらは全て人が人のために作り出した物と言える。
「ほらここ。自然の保護を目的にした施設らしいわ」
 別の光景を見ると、そこでは自然を回復させよう大切にしようという試みが図られている。
 しかし本来ならばそのようなことを熱心に研究する必要はないはずだ。
「今になってツケの支払いを求められているということですか」
「そうでもしないと気付かないのよ……人間はね」
 まさか外界がここまで発展し、ここまで混沌としていたとは映姫も知らなかった。
 六十年ごとにやってくる大裁判の刻。
 それで外界で何か起こっているのは感じていたが、実際に外界をまじまじと見たことはない。
「こんな世界だから悪意無き罪すら幻想になってしまうのよ」
「それが今回の異変の元凶ですか」
「幻想郷はね。全てを受け入れるのよ」
 悪であれ善であれ、そのような基準が幻想郷にあるわけではないし、
 ましてやそんな資格を持つ者は一人もいない。
 霊夢だって幻想郷に入ってくるものを拒む権利などもっていないのだ。
 だから今回のような異変が起こってしまった。
「自然と共に在ること。自身が自然の一部でしかないこと。自然の恵みへの感謝。
 それらを忘れた人間は、それらの代替になるものを作り出そうと躍起になり、
 ある者はそのツケを払おうと躍起になる。そして忘れられた心は幻想郷に
 悪意無き罪となって現れた……」
「このまま放っておいたら幻想郷のバランスまで崩れてしまうわね」
 紫は誰よりも早くそのことに気がついたのだ。
 外界との接触が最も多く、幻想郷で生きた歳月も長い。
 そんな彼女だからこそ、ひとたび異変が起こればそれを関知することもできる。
 動くのは自身に直接関係する一握りの異変に対してでしかないが。
 今回彼女が動いたということは、動くだけの意味がある異変ということだ。
「あなたは幻想郷のために?」
「さぁ、それはどうかしら……あんまり外の連中とは変わらない動機かもしれないわ」
 自分のため、と言いたいのか。
 しかし彼女の行動一つで幻想郷全体が助けられるのも事実である。
 彼女は幻想郷の歴史よりも長い歳月を生きてきたと聞く。
 そんな彼女だからこそ、誰よりも幻想郷に対する思い入れは強いのかも知れない。
 それを尋ねたところで軽く受け流されるに違いないから真相は定かではないが。
「わかりました……私にできることなら協力しましょう。私も幻想郷が好きですから」
 それにまだたくさんの仕事が残ってますから、と映姫は笑った。
 その笑顔に紫も満足そうな笑みを浮かべた。
「それじゃああなたの閻魔としての立場を利用して……」



 ☆



「それであなたは何をしたのよ」
「私は幻想郷における人々の意思に白黒をつけただけです」
 妖精達は外界から入ってきた人々の自然への畏怖を疎かにした心に犯されただけ。
 その意思の流入を止めることはできなくとも中和することはできる。
 幻想郷の人間は自然と共に生きる意味を理解していると、映姫はその心の在り方に白黒をつけたのだ。
 幻想郷全土ともなれば時間が掛かるのは当然で、紫達が今まで姿を見せなかったのもそれが理由である。
「それじゃあ、この異変は解決したわけだな」
「やっと家に帰れるわ」
 魔理沙とアリスがそれぞれに安堵の息を漏らすが、紫は首を横に振る。
「残念だけど……それはこの子達の性格変化の原因を解決したに過ぎないわ」
 この子達というのは、妖精達を率いていたこの五人の妖精達だ。
「この五人は妖精の中でも特別な位置にいてね。どちらかといえばあの氷精とよく似た、
 妖精と妖怪の中間、この子達の場合は精霊に近い存在と言った方が良いかしら」
 最も自然との関わりを深く持ち、その影響を受けやすい存在。
 世界を構成する五大要素それぞれの精達がいるのもその為だ。
 しかし彼女たちは他の妖精達と何ら変わりなく過ごしており、
 自分たちがまさかそのような存在であるとは思いもしなかったはずだ。
 しかし外界の悪影響が幻想郷の自然を次第に蝕み続け、
 その影響を真っ先に受けたのが彼女たち五人というわけである。
「それじゃあ、幻想郷に対する考え方は誤解だったと……」
 妖精達が目の敵にしていた人の自然への在り方、それは外界から入ってきたもの。
 幻想郷の住人とは関係がなかったものだ。
 しかしそれが人への憎悪として彼女たちの中に芽生えてしまった。
 だが彼女たちは自分たちが幻想郷に生きるものなのだということをどこかで知っていた。
 霊夢の説得に今まで揺らぐことの無かった意思が揺らいだのは、
 幻想郷の在り方というものを内心で感じていたためなのだろう。
「それで異変が解決した訳じゃないって、どういうことよ」
「それはですね」
 映姫が説明しようとしたとき、再びあの揺れが霊夢達を襲った。
 二度目ともなればすぐに対処もできる。
 いったん庭に出て空中へと飛び上がり、揺れが止まるのを待つ。
「やはり、だいぶ深刻化していたみたいですね……」
「どういうこと?」



「このままだと幻想郷は消えて無くなっちゃう。そういうことよ」



 紫の言葉に、その場にいた全員が息を呑んだ。



 ☆



 妖精の襲撃からようやく態勢を立て直すことのできた紅魔館。
 襲撃されたなど嘘のように以前の姿を取り戻している。
 メイド達の傷も殆ど治り、特にメイド長咲夜と門番美鈴の回復は誰よりも早かった。
 常日頃の生活態度の賜物といえるだろう。
 咲夜の場合はレミリアとフランドールが二人だけで出掛けることに心配し、
 時を止めてまでして治したという裏話があったりする。
「お嬢様と妹様だけで向かわれると仰ったときは本当に驚きましたよ」
 紅茶をカップに注ぎながら、咲夜はあのときの悔いを漏らす。
 それを聞いているのは図書館の主、パチュリー・ノーレッジ。
 そしてもう一人、いつも通りの招かれざる客。
 招かれていなくとも客ならば、きちんともてなすのが瀟洒なメイドである咲夜の在り方である。
「やっぱりここの紅茶は最高だぜ。以前に血入りのやつを飲まされたときは流石に噴いたけどな」
「人の書斎でずけずけと」
 からからと笑う魔理沙を横目で見ながら、パチュリーは持っていた書のページをめくった。
 いつも通りの光景だが、いつも通りの雰囲気ではなかったりする。


 それは二日前のあの紫の一言から全てが動き出した。


 ★


「幻想郷が消えて無くなるって、それどういうことよ」
「言ったままの意味よ? 消えて無くなる」
「じゃなくて、どうしていきなりそんなに話が飛躍するのかって聞いてるのよ!」
 大きな声で喚く霊夢達に、紫は大きなため息をついた。
 そんなに喚かなくても今から説明する、といった風である。
 それなら最初からわかりやすく言っていればよいものだが、
 紫の性格上そういう素直な受け答えはできないのだろう。
「あなた達も外の様子を見たなら、今幻想郷が酷い状況だということはわかっているわよね」
「だからそれはどうして起こったのかを聞いているんじゃない!」
 話がすぐに本題に入らないと文句を言い出す始末。
 紫の性格云々の前に、彼女たちの我慢できない性格にも問題があるようだ。
「少しは黙って人の話を聞くくらいできないのかしら。
 そこの小さな閻魔様が説教したくなるのも分かる気がするわ」
 小さな、と言われ肩を落とす映姫。
 しかしそんな事などまったく無視する一同。
「文句言わずにさっさと説明する!」
 はいはい、と投げやりな返答をする代わりに紫は話を続けた。
「この異変の元凶は今閻魔様が話してくれたように、外界からもたらされた悪影響。
 でも、直接的に関係しているのはその子達よ」
 言いながら紫が指し示したのは五匹の妖精。
 指された妖精達は何のことかわかっていない顔をしている。
「妖精と自然は表裏一体。どちらかに力の偏りが起こればバランスはすぐに崩れるわ」
「まさか、我々が力を引き上げたことが幻想郷の崩壊に繋がるというのですか?」
 信じられないという風に立ち上がる妖精。
 そんな彼女に、紫はまったく手加減することなく事実を突きつけた。
「あなた達は幻想郷の自然を守る為に力をつけた。それが裏目に出たようね」
「そんな……」
 愕然とする妖精達。
 自分たちのやってきたことが、まったく逆の方向に働いていたとは思っていなかったのだ。
「それでこの異変を解決することはできるの?」
「できるわ。両方のバランスを同じにすればいいのよ」
 片方の皿が落ちきる前に、もう片方に移せばいい。
 天秤ならば重い方から退けるか、軽い方に足せばよいだけのこと。
「で、その方法は?」
 もはや一刻の猶予もままならない。
 さっさと力の均衡を取り戻して、幻想郷崩壊などとばかげた結末を迎えさせてはならないのだ。
 しかしそんな緊迫した雰囲気の中、紫はちょっぴり舌を出して誤魔化すように笑った。
 容姿は美少女なので似合っていなくもないが、今この場には不釣り合いだ。
「わかりませんわ、てへ☆」
 刹那、部屋が凍り付いた。


 ☆


「いや、あの「てへ☆」はないぜ」
 思い出して身震いする魔理沙。
 もしこれを紫が聞いていたなら、すぐさまスキマ落ち確定である。
 あの後は、その手段を探るべく霊夢達は一度自宅へと戻った。
 そして魔理沙は妖精達が力をつけた原因であるあの魔導書のあった紅魔館の書庫へと赴いたのである。
 事情を聞いたパチュリーは、なんとか探ってみると言って協力の意思を見せてくれた。
 魔理沙は進展がなかったかを確認するためにここを訪れているのだ。
「それで妖精達が得た力を自然に移す方法は見つかったのか?」
「愚問ね。私と小悪魔がどれだけこの書斎で生活していると思っているのかしら」
 パチュリーは、積んである本の山の中から迷うことなく一冊の魔導書を取り出した。
 あれから二日で目的の本を見つけ出すとは、さすが動かない大図書館と言われるだけのことはある。
「必要なのは力をつけた本人達、つまり妖精ね。そして力を世界に分散させる媒介となるもの。
 これは世界を構成する五大要素に関連したものが好ましいわね」
「というと?」
「永遠亭の神宝、ですね」
 咲夜の言葉に頷くパチュリー。
 だが魔理沙の顔には苦い表情が浮かぶ。
「どうしたの? 顔色が悪いわよ」
「いやなんでもないぜ。それは神宝以外じゃ駄目なのか?」
 魔理沙はやたら神宝という言葉に反応している。
 それを見てパチュリー達は魔理沙が何かを隠していることに気がついた。
「……そういえば魔理沙、神宝を持って行った妖精と戦ったんですってね」
「え? まあ、な」
「もしかしてその時のどさくさでちゃっかり猫ばばしたりとかしてないでしょうね」
「そんなことするわけないぜ」
 とは言うものの、笑顔がぎこちない。
 性格はひねくれている割に、行動が単純なため少し探りを入れればすぐに自白する。
「今回は対象がかなり多いのよ。それだけの力の奔流に耐えられる代物でなければ
 この魔法は失敗に終わるわ。だからあの五つの神宝でなければ駄目なのよ」
「どうしてもか?」
「どうしても」
 魔理沙の潤んだ瞳に一瞬あてられそうになるが、ぐっと我慢してパチュリーは言った。
 幻想郷が壊れては研究も蒐集もへったくれもない。
 魔理沙もしぶしぶながら承諾した。
 後は妖精達を一カ所に集めるだけである。
「でも……」
 パチュリーの顔に翳りが差した。
「どうしたんだ? それでこの異常気象は元に戻るんだろ?」
「えぇ。異変自体は解決するわ……でも」
「なんだ、はっきりしないな」
 パチュリーはこの魔法によって、多くの犠牲が出ることを知ったのだ。
 問い詰められて話すと、聞いた魔理沙も側で聞いていた咲夜もその顔から表情を消した。



 ☆



 そして翌日。
 大妖精達の徒労の甲斐あって、妖精達はあの日と同じ集会所に集まっていた。
 五人の妖精も来ている。
 幻想郷のほぼ全ての妖精がここに集まっていることになる。
 本来ならば大妖精による説教のために集められたのだが、急遽予定は変更された。
「これだけいるとさすがに気持ち悪いわね」
「過ぎたるは及ばざるがごとし、ってな」
 霊夢と魔理沙はまた妖精達が暴れ出さないように、それを外から眺めていた。
 今回の要であるパチュリー、そして永遠亭から神宝を持ってくる役目を承った鈴仙がそこにいた。
 妖精達がざわめく中、鈴仙は魔理沙に歩み寄るといきなり大声で怒り出した。
「あなたねぇっ、うちの神宝を勝手に持って行くなんてどういう了見をしているのよっ」
 あの戦いの後、鈴仙は永琳と共に神宝を回収して回った。
 しかしサラマンダーシールドだけがどこを探しても見つからない。
 仕方なく四つの神宝を持って帰ったのだが、その犯人は魔理沙だった。
 疑う余地が大有りの対象がすぐ側にいたのに、それをみすみす見逃してしまったのは
 それだけあの戦いで疲弊していた為だ。
 それに神宝の殆どがあの戦いで傷つけられてしまっている。
 その補修のためにも早く帰りたかったのだ。
「返すんだから良いじゃないか」
「そういう問題じゃない!」
 魔理沙の悪い癖とはいえ、勝手に借りられる側としてはたまったものではない。
 隣でパチュリーが他人事とは思えずに頷いているのがその証拠である。
「あの……」
 そこへ大妖精が申し訳なさそうにやってきた。
 儀式がいつまでたっても始まらないため、様子を見に来たらしい。
 依然として異常気象天変地異は続いており、いつ幻想郷が崩壊を始めてもおかしくはない。
 早く魔法の儀式を始めなければならないのは山々なのだが。
「儀式自体はいつでも始められるわ……でもその前に一つ言っておかなければならないことがあるの」
 パチュリーの言葉の意味を知る魔理沙は顔を背ける。
 今からパチュリーが話すことは、大妖精にとってかなりのショックをもたらすことがわかっているからだ。
「この儀式、力を自然に還した妖精達は消滅するわ」


「え……?」


 ★


 それを聞いた魔理沙はパチュリーに詰め寄った。
「それって本当なのか?」
「何度も確認したわよ」
 パチュリーは、妖精達の使った魔法がどのようなものであったかを話し出した。
 あれは力を引き上げる魔法。
 つまり潜在している力を引き出す魔法なのだ。
 妖精達は自然から生まれ、その力の一端を持つ存在に過ぎない。
 しかしそれは自然が彼女たちの力の源であるとも言える。
 つまり妖精達のあの力はすべて彼女たちの潜在能力などではなく、
 自然から無理矢理に供給した力過ぎないということだ。
「それだけの力を再び自然に還すとなれば、それ以上の力が求められるのよ」
 破壊よりも創造に必要なエネルギーの方が多いのは自然の理だ。
 だから自然から供給したエネルギーだけでなく、妖精自身の力も必要となる。
 しかしそれだけの儀式に耐えられるほど妖精達の力は強くないのだ。
 耐えきれない者達は消滅を迎える。


 ☆


「そんな……みんなが消えちゃうなんて」
 大妖精は愕然とし、膝を地につけた。
 せっかく元の生活がもどろうしていたというのに。
 これが所行に対する対価ということなのだろうか。
 それにしては酷すぎる。
 幻想郷を崩壊に追いやろうとするほどの事をしでかしたのだから、
 代わりに消える羽目になるというのは仕方がないことだと言う者もいるだろう。
 だが目の前の大妖精を前にして、そんなことをしゃあしゃあと言える者はいないはずだ。
「我々は覚悟しています」
 そこへあのリーダー格の妖精がやってきていた。
 今の話を全て聞かれていたらしい。
「ただ我々五人以外の多くの妖精達には謝っても許されることではありませんが」
 ぱちん、と乾いた音と共にその妖精の頬が紅くなる。
 叩いたのはなんと大妖精だった。
「そんなこと、今更言っても仕方がないよっ」
「大妖精さま……」
「話はこの人たちから全部聞いた。あなた達があんなことをしたのは、
 本当はあなた達の所為じゃなかったって……でもだからって許される事じゃない」
「はい……」
 涙を流して怒る大妖精。
 妖精はそれをただ静かに聞いていた。
 映姫のおかげで性格が元の穏やかだった頃のものにもどっているのだ。
「みんなは私が説得する」
「しかし……消滅を甘んじて受けようなどと皆が承諾するかどうかは」
「私も一緒にいくから」
 その言葉に妖精は驚きを露わにする。
 大妖精は自然から力を得ていないはずだ。
 それではただの消滅損ではないか。
「でも私が一緒の方がみんな素直に応じてくれるよ」
「そんな……大妖精さま」
「いいの、私は」


 ☆


「――それで全て」
 大妖精は今回の異変に関することをすべて妖精達に伝えた。
 間々であの妖精達に捕捉をいれてもらいながら、なんとか伝えきると妖精達は誰も何も話し出さない。
 理解できないのではなく、理解できるからこそ言葉が出てこないのだ。
 主要な五人ですら知るよしもなかったことを、他の妖精達が知るはずがない。
「みんな、私達がいなくならないと幻想郷が消えちゃうの。だから……」
 頭を下げる大妖精。
 それを見た妖精達の間からは、それに対する文句を言う者は現れない。
 文句を言っても、どのみち幻想郷が崩壊すればすべて消えてしまうのだ。
 大妖精はそれを確認すると、パチュリーの方を向いた。
「準備……お願いします」



 巨大な魔法陣が地上に描かれる。
 上空から魔理沙がそれを確認し、魔法陣はまもなく完成した。
 内に五芒星と五角形が描かれた五行相克相生を意味する魔法陣。
 自然界を構成する五つの要素が互いに作用し合う様子を意味したものだ。
 そしてその定められた位置に鈴仙が神宝を置いていく。
「直したばかりだからあまり無理はさせないでって師匠は言っていたけど……」
 これから行うことの大きさを知って、それは無理だなと鈴仙は思った。
 だが神宝は修繕が効く。
 しかし妖精達は消滅してしまえば……。
 鈴仙はそのやりきれなさに思わず歯がみした。
「準備は整ったわね」
 そして魔法陣の中に入るように指示するパチュリー。
 大妖精は皆を先導した後、最後に魔法陣の中へと入った。
「良い? いったん魔法が完全に発動したらその陣の中からは出られないし入ることもできなくなるわ」
 エネルギーが一欠片も外部へ漏れないように結界が張られるという。
「大丈夫ですよ。逃げ出すような子はこの中にいませんから」
 大妖精の微笑みに、パチュリーは心が痛む思いがした。
 いくら自分たちの行った事へのツケとはいえ、もっと他に方法はなかったのかと。
「時間は少ないはずです。躊躇していたらみんなの決心も揺らいでしまいますし」
「わ、わかったわ。そんなに急かさないで」
 パチュリーは少し離れた位置まで移動すると、魔導書を開いた。
 そしてそこに書かれている呪文の詠唱を始める。
 魔法の発動を感じ取った魔法陣が淡い光を放ち、妖精達は互いの手を取ってその時を迎えようとしていた。
 次第に強くなる光。
 霊夢達が見守る中、儀式は着々と進行していく。
 そして詠唱もあとわずかに迫り、次の瞬間には魔法が完全に発動するその時だ。


「大妖精さま、ありがとう」


 大妖精と手をつないでいた妖精が突然その手を振り切り、背後にいた妖精がその背を押す。
 予想だにしてなかったことに、大妖精はバランスを崩して前のめりに倒れた。
 陣の一番端にいたため、その体は陣の外へと放り出される。
 その直後、詠唱が終わり魔法陣がその力を発動する。
 光に包まれて、その力を自然へと還していく妖精達。
「何でっ、どうしてっ」
 大妖精は魔法陣に手を伸ばすが、発動した魔法の結界に阻まれてその手が内へと届くことはない。
 それでも大妖精は結界を叩き続ける。
 もう声も届かない。
 ただ半透明のカーテンの向こうにいる姿が確認できるだけだ。
「みんなっ、私もみんなとっ」
 泣いて泣いて、叩いて叩いて、叫んで叫んで……。
 大妖精は仲間が粒子になって消えるその瞬間までずっとそうし続けた。
 妖精達はそんな大妖精に向かって涙の笑顔を向けながら消えていった。




「――――――――!!!!」




 声にもならない叫びだけが森中に木霊する。
 それは遠くの山々から跳ね返り山彦となってどこまでも運ばれていった。


 吹雪は止み、満開だった桜も青々した葉に戻る。
 幻想郷は元の姿を取り戻しつつあった。
 しかしそこに払われた犠牲はとても大きなものだった。


 ☆



 あれから数週間後の博麗神社。
 妖精がいなくなっただけで随分と静かになってしまった幻想郷。
 改めて妖精達の存在が幻想郷全体に広がっていたことを思い知らされる。


 まだまだ暑い黄昏時に、神社では暑中宴会が開かれていた。
 プリズムリバー姉妹の演奏をバックに、皆が暑さを忘れようと騒いでいる。
 その中には珍しい面子として大妖精の姿があった。
 チルノが気を利かせて誘ってきたらしい。
 皆面々に楽しそうにしている中、大妖精だけは無表情で盃の水面を見つめているだけ。
 そんな大妖精にチルノは宴会料理を持って近づく。
「ほら大妖精。美味しそうなの持ってきたよ」
「ありがと……でも欲しくないの」
 先程からずっとこの調子である。
 しかし無理もない話だ。
 目の前で仲間の消滅を見せつけられて、元気にしている方がどうかしている。
「重傷ね……」
 そんな二人のやり取りを眺めながら、霊夢は自身の盃に酒を注ぐ。
 そこへずいと差し出されるもう一つの盃。
 その持っている手から顔へと視線を動かすと、そこには笑みを浮かべる紫がいた。
「酒くらい自分で注ぎなさいよ」
 そうは言いながらも紫の盃は酒で満たされていく。
「だって巫女の注ぐお酒って縁起が良さそうじゃない」
「縁起ねぇ。御利益があるのかどうかすらわからない神社なのに」
「あらそんなに卑下するものじゃないわ。そういうのは気分だもの」
 嬉しそうに口をつける紫。
 リズミカルに動く喉を酒が通っていく。
 その飲みっぷりは流石と言うべきか。
「まぁ良いわ。それよりあれはどうにかできないの?」
「あれって?」
 霊夢が指し示す先、落ち込む大妖精の姿を見つける。
 紫はおかわりを差し出しながら答えた。
「仕方ないんじゃないの?」
 その盃に酒を注ぎながら霊夢は返す。
「少しくらい考えても良いじゃない」
「そう言われてもねぇ……」
 盃を満たす酒を揺らしながら、紫は視線を彷徨わせる。
 あまり考える気はないらしい。
 それは霊夢にとっても同じ事が言える。
 所詮哀しみを乗り切るのは本人しかない。
 立ち上がれなかったらそのままだし、他人がどうこう言ってところで、
 すぐに意識に変化をもたらせられるほど心というものは簡単にはできていないのだ。
「支えにはなっても、助けることはできない」
 大妖精を楽しませようとありとあらゆる手を尽くしているチルノを見ながらの台詞だ。
 いつもは大妖精がチルノの面倒を見るのが常の光景だが今日は真逆である。
「ねぇ霊夢。妖精と自然の関係については話したことあるかしら」
 突然話を変えられて霊夢は我に返る。
「何よ突然」
「どうなの?」
「確か聞いた気がするわ。あんたと閻魔様が外界見物から戻ってきたときに」
 そういえばそうだったわね、と紫は一口酒を飲む。
 そして盃から口を離すと、続きを話し始めた。
「妖精は自然の化身。自然からはみ出した小さな欠片が意思をもった姿……」
「そんな話だったわね」
「この間の一件で分かったと思うけど、自然と妖精はとても密接な関係で結ばれているの」
 確かにあの一件は妖精と自然の関係性故に起きた異変と言って良い。
 しかし今その話を持ち出してなんだというのか。
「自然が元気なら妖精だって元気。自然に元気がなければ妖精にも影響が出るわ」
「謎かけ?」
「考える気もない相手に謎を出すのは愚行よ」
 その言葉に耳を痛くする霊夢。
 普段から勘で生活している彼女にとって考えるという行為は、
 よほどの場面に直面しなければ行わない行為なのだ。
「でもこれは良い機会ね。少し考えてみなさいな。妖精と自然の関係について今一度」
「妖精と自然の関係について?」
 その関係についてはあの時も今もさんざん聞かされているではないか。
 それについて今更何を考えろと言うのだろうか。
「自然が元気なら妖精も元気……。妖精が元気なら自然も元気……?」
 それは自然を見れば妖精のバロメーターにもなるし、逆も考えられるということか。
「あっ、そうか」
「わかった?」
 霊夢は紫が大妖精に対して冷たい反応を示した意味がようやく理解できた。
 自分とはまた違った理由で紫はそう答えていたのだ。


「ねー、あんた達も少しは手伝ってよ」
 そこへお手上げ状態になったチルノが助けを求めてやってきた。
 自分一人ではもはやどうにもできないと思ったらしい。
 先程から料理や一発芸――蛙の瞬間凍結――などで気を引こうと努力していたが全て徒労に終わったようだ。
「そうね……じゃあ大妖精をこっちまで連れてきて」


 霊夢の指示に素直に従い、チルノは大妖精を引っ張るようにしてつれてきた。
「ねぇ大妖精」
「……なんですか?」
 大妖精は依然として元気がない。
 そんな大妖精に霊夢はわざと明るめの口調で話しかける。
「みんながいなくなってショックなのはわかるけど。そろそろ元気出さない?」
「そう言われても……」
 もう戻ってこないのに。
 その辛そうな顔は今にも泣き出しそうな表情でそれを訴える。
「自然の様子を見たら妖精の様子も分かるらしいわ」
「え?」
「あなたから見て今の自然はどう見えてる?」
 突然の質問に大妖精はしどろもどろになる。
 だが正直な性格の彼女は周囲の林や空を見て答えた。
「眠っているように……見えます」
「そう、それじゃあ妖精達は眠っていることになるわね」
「それはどういう……」
 霊夢は人差し指を立てて大妖精の唇に当てる。
 静かに、という指示に大妖精は口を噤んだ。
 霊夢はそのまま境内の一角に生えている花を指差した。
 つぼみをつけた状態の花は今にも咲きそうである。

 その時太陽の代わりに空に現れた月の光が雲間から差し込み、花を照らす。

 するとその光を受けて目を覚ましたように花が咲き始めた。

 大妖精が見守る中、花はその花びらをどんどん広げていく。

 そして完全に咲ききったとき、その中から一粒の光が飛び出してきた。

 光はゆっくりと動き、大妖精の前にやってくる。

 そして次第にその大きさを増し、大妖精と同じくらいの大きさにまでなった。

 その光の中、小さな欠伸をしながら半透明の羽を生やした少女が目を覚ます。





『おはよう』





 終幕

最終話ということで、多少ぶっちゃけ話を。
この話、元々はコメディ路線で行く予定でした。
今の形からは信じられないかもしれませんが。
結局はコメディよりも真面目路線で、と書き上げたら
ラストはなんじゃいこれはと言われるような作品に。
意地を張りすぎたのでしょうか。張りすぎたのでしょう。

語るスレでもとことん叩かれましたし。
コメントもがっかりしたみたいなものが多いですね。
こうなったらリメイクしましょう!
かなり卑怯なやり方かもしれませんが、この素材で。
媚を売るつもりではなく、私が悔いを残さないために。
雨虎
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コメント



0.1010簡易評価
5.40名前が無い程度の能力削除
人間を自然を破壊~ ネタはどうも苦手だなあ。
地球には同時に、自然を制御して生きようっていう、ガチで
自然に苦しめられた人々の思想も存在するわけで。
いやまあどうでもいいんですが、この終わりはなあ…閻魔様バカすぎるし。
後全体的に、キャラの大半が名前という記号が違うだけなのも…
8.30名前が無い程度の能力削除
>私は幻想郷における人々の意思を白黒させただけです
白黒つけた、ですかね?この部分

全体の感想としては、どうにも微妙
キャラの性格に違和感を感じたのも大きな理由ですが
ここまで話が大きくなる必要性があったのか?というか
私の中では幻想郷的ではないんですよね、この話
13.80アッザム・de・ロイヤル削除
最初から一気に読ませていただきました。様々な意味でとてもよい作品ですね、所々ひっかかったり、ちょっと共感しにくい所はあっても、それを補ってあまりある面白さでした。
 私は未熟で、貴方に偉そうな事を言えるような者ではありませんが、最後まできれいにまとまっているのも良かったと思います。こういうコメディー以外の作品は、下手に意外性を狙ったどんでん返しがあるより、こっちの方が好きなのです、あくまで個人的趣味ですが。
 ちなみに、20点足りないのは、大妖精が途中からちょっと影が薄いかなぁと感じたのと、次回作への期待分です。重箱の隅をつつくようで申し訳ない
 あと、ラストですが全てに賛同したわけではないにしろ、共感した部分は非常に大きかったです。
 最後に、私は普段名無しで投稿していますが、反発を覚悟の上でしっかり自分の考えを書いている貴方に敬意を表し、今回だけはPNで投稿いたしました。
 偉そうに長々と失礼しました、貴方の次回作を楽しみにお待ちしています。
16.無評価雨虎削除
やはり、と言いますか賛否両論の激しいラストだったかと。
それでもきちんと評価してくださり、ご意見まで頂けたことに感謝します。

>自然に苦しめられた人々の思想も存在するわけで。
仰るとおりです。ただやはりそれよりもあまり気にせずに
生きている人間の方が多いような気がしてならず、このような形に。
>閻魔様バカすぎるし。
>後全体的に、キャラの大半が名前という記号が違うだけなのも…
キャラを生かし切れていないのは、私の実力不足です。
無謀な挑戦にもかかわらず、意地だけで貫き通したようなものですから、
力不足が殊更目立って見えてしまう形になってしまったみたいです。
映姫様、もう少し目立たすべきでしたね。ラストまで出てこなかったのに、
結局ゆかりんが美味しいところ全部持って行きましたから。

>ここまで話が大きくなる必要性があったのか?というか
>私の中では幻想郷的ではないんですよね、この話
指摘された点、訂正しました。報告ありがとうございます。
確かに東方の異変って最初は大きく見えるけれど、大きくなる前に
些細な状態で解決されていますし、崩壊まで向かう様な
展開は似合わないのは、言われてみれば事実です。
今回は「妖精」という幻想郷では最も小さな存在が、とんでもないことを
引き起こすというコンセプトで最初から書いていたので、
やりすぎたかもしれませんが、当初の予定のまま書き上げたのです。
ただ「らしさ」を目指して書いている身としましては、反省点が
多々あるものとして、顕著に受け止めたいと思います。

>下手に意外性を狙ったどんでん返しがあるより
長い文、わかりやすくをモットーに書いたつもりです。
所々に王道的展開が見られるのもその為だったり。
>反発を覚悟の上でしっかり自分の考えを書いている貴方に敬意を表し
よもやこのようなお言葉を頂けるとは、全然思いもしておらず
このコメントを読ませていただいた瞬間本気で泣きそうになりました。
ありがとうございます。

今回は今まで以上に良い勉強をさせていただきました。
次回以降は1話完結のSSを何本か書いていく予定です。
ラストで表しきれなかった「らしさ」を求めて、引き続き
皆様の元へ創想話をお送りしていきますのでよろしくお願いします。
この作品へのご意見評価等、まだまだお待ちしております。
19.80名前が無い程度の能力削除
このシリーズの最初の方を読んだときは、妖精が強すぎてバランス悪い話だなーと思ってました。特に紅魔館での妖精の耐久力はやりすぎだと思ったんで、正直続きを読む気はしなかったんです。
でも、1,2面ボス連合が頑張りだした辺りから不自然さが目立たなくなって、続きを期待するようになってましたね。
ラストの妖精の帰還が多少ありがちだけれど、それでも綺麗で良かったです。
25.80Baaa削除
創想話自体余り見ない私が、『お、続き物だ』と深い意味を持たずに
読ませていただきました。
通しで読んで2時間くらい・・・想像以上の長編でしたね~

他のコメントにあるとおり、話が大きくなりすぎた感はありますが、
『小さなものが大きな事をする』と言うコンセプトは大好きです。

途中まで、全然出てこないレティが黒幕なのだと信じて疑いませんでした(笑
くろまく~

>オールキャスト
黒猫さんが見当たらなかった

#点数は比較対象がないので妥当に。
26.10世界爺削除
勿体無いなあ。
どうにも戦闘の描写とキャラの使い方が下手です。そのせいで大きく魅力を減じてしまっています。特に本来最強クラスであるはずの人物達が安易に踏み台とされるような描写が多いので、その点は正直読んでて辛かったです。もう一つカタルシスのようなものがあれば良かったのですが、一方的に負けっぱなしなことが多いのですっきりしません。
さらに言うと後半は思想が表に出すぎていて鼻につきました。どんな形であれ人を楽しませる目的で文章を書くのであれば、自身の主張は抑えて、エンターテイメントに尽くすべきです。人を説得したいのならもっと良い別の方法があるはず。
ただ、話の筋やテーマは好感が持てますし、なによりもっと工夫を重ねれば素晴らしい作品になる、という雰囲気を感じました。つまり、貴方はまだ伸びるはず。

やや尊大な言いとなってしまい申し訳ないですが、次回作、期待しています。
27.50翔菜削除
最初コメントで期待、との事を書きましたが、ネタ的にはかなりよかったんじゃないかと思います。
下地がいいのに展開が、とちょっとどこかのアニメみたいになっちゃった感じです。
あと既にあげられているように始終、キャラにどうも違和感がありました。
全然キャラが違う、というほどではなかったのですが、らしくない、と言いますか。
妖精が暴れた理由も自然の影響、というのは好きなのですが思想が入りすぎな感も。
崩壊に関してはやりすぎでは、と思いましたが四季が入り乱れるあたりは何か幻想郷っぽくてよいかなと個人的には。
あとなんだかんだと、最後まで読んでしまう面白さは十分にありましたし。

普段書かないような感想を書いていますが、こういう事を書くのもかなり期待していたからですし、何よりこれだけ長いものを書き上げた事は凄いと思いますので。
その点に敬意を表し、また〈Ⅰ〉にてコメントをさせて頂いたので、締めと言う事も含めまして。
偉そうになってしまいましたが、以前から貴方に期待しているいち読者の意見と言う事でひとつ。


で、まったく関係ないんですがコメディ路線も見てみたかったかなぁ、とw
28.無評価雨虎削除
色々とご意見をくださりありがとうございます。

>続きを期待するようになってましたね。
ありがとうございます。ご期待に添えたものが書けたか、となると
若干こちらの力不足が大きい作品になってしまいましたが、
全て読んでもらえたのは良かったです。

>黒猫さんが見当たらなかった
……今気がつきました。
プロットに第三話登場、と書いてあるのを見つけ今から
付け足そうかさ考えています。蛇足にならない程度の役回りなので
たぶんくどくはならないかと。

>勿体無いなあ。
皆さんの意見を要約するとこの一言なんだなぁと。
これまでこれほどの人に読んでもらったことがなく、
独りよがりな小説ばかり書いていたのが裏目に出てますね。
これからもっと精進します。

>下地がいいのに展開が
これも先程の「勿体ない」ですね。
これを思いついたときは、これは良いんじゃないかと
一気に第1話を書き上げた記憶があります。
ですが後に向かうにつれ、だんだん当初の勢いが減っていきました。
楽しい文を書く、というより書きたい物を書き上げることに
執着していたような気がします。
せっかく毎度コメントや評価を戴いていたのに、結局は自己満でした。
そこが今回最も反省すべき点であると受け止めております。
31.50aki削除
妖精大戦争完結、御苦労様でした。
とは言え…うむ、どうやら出遅れてしまったようです。
書きたいことが大体出てしまっていますから。申し訳ない。

自然に関してはいろいろあるとは思います。
『自然に苦しめられた』『自然を壊した』どちらも被害者側は、多かれ少なかれ負の感情を抱くでしょう。
それが幻想郷に流れ込んだ結果、今回の事件を引き起こした可能性もあります。
そんなものまで受け入れてしまうとは幻想郷は恐ろしい場所ですなぁ…。

なんか最後の部分を読んでいると「うしお○とら」の終わりを思い出すんですよ…なんでだろ?
33.無評価雨虎削除
>完結、御苦労様でした。
第一話の時からありがとうございました。
完結、という点ではきちんとお送りできて良かったとは思っています。
>そんなものまで受け入れてしまうとは幻想郷は恐ろしい場所ですなぁ…。
幻想郷はそういったシビアな一面も持ち合わせているものと解釈。
少し表現が間違った方向へ流れてしまいましたが。
36.30NICKEL削除
妖精はよほどのことが無い限り人を襲いません。
でも、この異常なまでの温暖化は自然に大きな負荷をかけています・・・・
レミリアとかさくやのような生活はやめるべきです。
太陽光や地熱などのエネルギーを積極的に使いましょう。
37.無評価雨虎削除
>妖精はよほどのことが無い限り人を襲いません
リメイクを書こうとして、この点に悩んでいます。
どうにか上手く書きたいところではありますが……
>この異常なまでの温暖化は自然に大きな負荷をかけています
私は扇風機しか使ってません。
おかげで電気代も浮き、自身の懐にも良い生活を送れていますよw
38.70読専削除
途中細かいところが色々気になったりもしましたが、幕引きの良さが
それをチャラにしてくれました。
良い作品だと思います。
39.無評価雨虎削除
>途中細かいところが色々気になったりもしましたが、幕引きの良さが
>それをチャラにしてくれました。
五話で終わっておくくらいが丁度良いと考えていたのは
正解だったみたいですね。本当はもう少し挟みたいネタも
あったんですが、ぐだぐだになるよりはということで省きました。
ご感想ありがとうございます。
40.無評価名前が無い程度の能力削除
妖精大戦争、全話読み終わりました。

紅魔館に白玉楼、永遠亭って妖精達強すぎだから(笑
まあ、永遠亭がやられた時点で白玉楼もやられるなとは思いましたが
すでにやられていたとは…
そして決戦、その後の異変、妖精達の決断…END
楽しく読ませていただきました。
決戦の舞台が舞台だけにラストは西行妖かと思ったけど
そーいう話じゃないって、空気読め自分 orz
テーマに関しては嫌いな人は嫌いなテーマなのであまり気にする必要はないと思う。(というかこのテーマで書くなら覚悟がいります)


欠点としては(偉そうな物言いですみません)、やはり出番にムラがありすぎるのが問題かと。
大妖精や四季様はもう少し活躍してもよかったと思います。
後、あれだけ多くのキャラが出たのなら、それぞれのエンディングがあるといいのでは。正直折角出したのにもったいないと感じました。
(個人的には四季様を探し回っていた小町とか)

点数はこれだけの物語でさらにリメイクを考えている、作者様の熱意に今後を期待して、本来入れようとした点数に+20点させていただきます。
次回作もしくはリメイク版に期待します!

最後に誤字と思われる物などを

>間接的に関わっているかもしれいという可能性は
間接的に関わっているかもしれないという可能性は
41.90名前が無い程度の能力削除
すみません!
ここまで書いて点数入れ忘れ orz
42.無評価雨虎削除
久しぶりに見てみたら、こんなコメントがあるじゃないですか(嬉)
簡単ではありますが応えさせていただきます。

>テーマに関しては嫌いな人は嫌いなテーマなのであまり気にする必要はないと思う。
最初はここまで好き嫌いがわかれるテーマだとは思っていませんでした。
もっとエンターテイメントなイメージを強くしたかったのですが、
そこより別の部分が微妙に前に出てしまっていたようですね。反省です。
ですが、このように言っていただけただけで肩の荷が軽くなりました。
>やはり出番にムラがありすぎるのが問題かと。
そうですね。全員を出そうと張り切ったのが、そもそもなのかなと。
もう少し主役を絞ってそこに焦点を当てるべきでした。
もし出すなら出すで、仰っているとおり全員のエンドを語っても
良かったかも知れませんね。
>次回作もしくはリメイク版に期待します!
リメイクには挑戦したいところですね。ですが、まだかなと思ってます。
今は他に書きたいネタがあったり、この話を良くする為の
修行期間であると思っていますので。

何にしても励みになるお言葉、ご指摘ありがとうございました。