Coolier - 新生・東方創想話

半分は人間だから・・・・・。

2006/07/16 12:07:39
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幽霊だって風邪をこじらせる事はある、誰が言ったか覚えてはいないが私の場合は半分人間、だから人間側が風邪をこじらせるのはごく当たり前のこと。
と、そんなみょんなことを考えていたが、今実際にこの私、魂魄妖夢は風邪でダウンしている。

ただし、一言にダウンといっても布団で縮こまってるわけではなく、色々な症状を精神力で押さえ込んで自室で瞑想中、たかが風邪如きで倒れたら魂魄の名が廃る、と思ってのことだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


座禅を組み、静かに瞑想を続ける妖夢。
視界は真っ黒、自分の周りは無音状態、混濁した思考、自分自身が周りの空気の溶け込むような感覚になる。
だがそんな感覚もまだ瞬間的に現れては消えてゆく、そんな不安定なものだ。


さて、まだまだ鍛錬が足りないか・・・・・・、と思った矢先。

「ばぁ~~~っ!」
「うひゃぁっ!」

突然幽々子が逆さに浮いた状態で現れ、それを見た妖夢は驚き、ひっくり返る。
「はぁ・・・・・・吃驚したぁ・・・・いきなり何をするんですか~?」
瞑想中に脅かされ、ひっくり返って地面にへばりついた状態で苦情をもらす妖夢。
「え~?だっていくら呼んでも反応がないんだからしょうがないじゃない」
そう、瞑想中で気付かなかった妖夢であったが、幽々子は朝食の催促のために呼んでいたのである。
無論、所々で無音状態になっていた妖夢には聞こえるはずも無いのだが。

「そうですか・・・・それでは今すぐに準備するので少し待っていてください」
「わ~い、ようやくの朝ごはんねー♪」

随分精神的に幼さが残るが、これも天然な上に食いしん坊な彼女だからこそ、違和感無しになせる発言である。
他の者が同じ台詞を言った場合、十中八九ドン引きになることと思う。


その一方で妖夢は、体調が万全で無いだけに、いつもは苦にならない調理と食事の準備が非常に辛く感じられた。

(頭が重い・・・・・・それに寒気もするし・・・・・・どこまで耐えられるか・・・・・・)
鈍い頭痛、季節外れのような寒気、その他発熱など、夏風邪の典型的な症状が出ている妖夢。
そんな状態で料理をするのだから大変である。

(いや、こんな夏風邪如きで倒れてなるものか、そんな程度なら気合で押し切るのみっ!)
そんな無理のあることを考えながら気合を入れなおす妖夢。
しかし精神的には充分耐えているのではあるが、肉体的には大変なことになっている。
顔は真っ赤、呼吸が乱れ、その上で時折体のバランスを崩し、鍋の中身をぶちまけそうになる。

「とりあえず、早く食事を完成させないと・・・・・・・・・、しかし風邪といっても思った以上に辛い・・・・」
風邪の症状に苦戦しながらも、着々と準備を進めていく。
味噌汁、白米、漬物、魚の煮付け等等・・・・・・・・・。

献立はいたって普通なのだが量が半端ではなく、少なく見積もったとしても、普通の人の5倍前後は普通に平らげる、その為家計も圧迫する羽目になるし、作った大量の料理を運ぶ妖夢(と半身)の負担も馬鹿にならない、本人は鍛錬のつもりでそうやっているのだから後者は問題ないだろうが。
ただ後者が問題にならないのはあくまで平常時、今のような病気をこじらせている時に、平常時と同じ負荷を体に掛けると殆どの場合は倒れてしまうだろう。

「うぅぅ、いつもは平気なんだけどここまで負荷が来るとは・・・・・・・・・」
今、妖夢と半身は前述の料理を全て幽々子の待つ部屋へと運んでいる。
量自体は普段と同じなのだが、今回は風邪をこじらせている分身体能力の低下が見受けられる。

しばらくして、食事を運び終わり、またしばらく後に朝食の時間も終わる、もちろん常人用の5倍は用意した食事は全て空になっている、米粒一つ残さずに。


「さて、片付けに行こうかな・・・・・・・・・?」
と妖夢は器の片付けの為に厨房へと向かおうとした刹那、一瞬意識を失い、畳の床に倒れる。
(あれ?体が動かない・・・・・・どうし・・・・て・・・・・・・・・?)
そこまで考えたところで完全に意識を失う、風邪引きの体に無理が祟ったのか、それとも普段からの理不尽な要求による疲労の蓄積から来るものなのか、それとも両方が重なって、肉体的な限界が来たのだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どれもありそうではあるが。








「う・・・・・・・・・ん・・・・」
どのくらいの時間が経ったのだろうか、ふと意識を取り戻した妖夢、目を開けて正面を見てみる。
自分の正面には天井、それ以外には何もない。
(私、寝てたのかな・・・・・・・・・?)
と思いながら身を起こす、すると色々な事が見えてくる、自室の机、箪笥、部屋の隅においてある手入れ道具・・・・・・。
そして妖夢の隣には幽々子がいた、倒れてしまった自分を看病し、見守ってくれていたのだろうか。
私は幽々子様に迷惑を掛けてしまったのか、と自責の念に駆られる。

「あの・・・・幽々子さま・・・・・・」
そうした想いを乗せて主に声をかける妖夢、よく見ると目尻に涙が浮かんでいる。
「よぅむー、いきなり倒れたから心配してたのよー?風邪こじらせてるなら早く言ってくれればいいのに・・・・」
と返す幽々子、よく聞くと声が若干涙ぐんでいる、それほど自分のことを心配してくれていたのか、と先ほどと同じく自責と後悔の念に駆られるが、少しだけ嬉しい部分もある。
そんなことを考えていると突然幽々子に抱かれる妖夢。

「えっ・・・・・・・・・幽々子様・・・・・・・・・?」
「妖夢、なんでもかんでも一人で抱え込むのは駄目、せっかく私がいるんだからもうちょっと相談なりなんなりして頂戴」
突然のことに動揺を隠せない妖夢と、よき話相手でもある従者を心配する幽々子。

「・・・・・・・・・はい」
とか細い声で答える妖夢と無言で、しかし暖かく従者をその胸に抱く幽々子。
その後、この2人の仲が急速に縮まったのだがそれはこの2人だけの秘密である。


~おしまい~
ゆゆ様と妖夢で私なりに暖かめなお話を書きたかった、今では満足している(意味不明)

と、今回は冥界組の暖かめ?なお話をお送りさせていただきましたがどうでしょうか。
かなり2人の精神年齢が幼くなっている気がしますが、それは余り気にしない方針でお願いします。
毎度のこと非常に短いのはお察しくださいorz

って思いっきりタイトルと中身が180度ずれてますね、必ずしも一致させる必要はないと私は考えていますが。
紫苑
[email protected]
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コメント



0.990簡易評価
26.40名前が無い程度の能力削除
こういう妖夢と幽々子もいいですね~
次回作も期待してます!!
31.80蜃気楼削除
いいですね。妖夢可愛いです!