注:食前、食事中、食後の方はなるべく読まないよう、お気をつけ下さい。
しとしと。
じめじめ。
むしむし。
この季節は、たとえ幻想郷であろうとも、あっちこっちで不快指数百の日々。
そんな中であるからして、常日頃から不快指数二百はあるんじゃないかと巫女が言う、ここ魔法の森の不快指数は、実に通常の三倍で。
「……あっついぜ~……」
ぱたぱたと、『納涼』の文字が書かれた、青と白の涼しげなカラーリングデザインのうちわを使いながら、アンダーウェアで室内をうろつくのは、長い金髪が美しい普通の魔法使い。本日は、さすがにいつもの暑苦しい衣装を身につけるつもりにならないのか、荒れ果てた室内でただ一つゴミや汚れと言った侵略軍からの防衛を保っているベッドに横になる彼女。
「冷房を効かせるには、そう言う系統の魔法を覚えるしかないのかねー……」
氷の精でも捕まえてきて、強制的に冷房代わりにするかなー、と乱暴なことを考えながら、先日、図書館から強奪……もとい、半永久的に拝借してきた本に手を伸ばす。
「んー……氷の魔法、氷の魔法……」
そう言えば、あの魔女は水系統の魔法も使ってたなぁ、と思いながらページを繰っていく。
してみると、彼女にしっかりと教えを請えば、もしかしたらこの季節でも快適に過ごせるのかもしれない。そんなことを考えながらその本を眺めていく間にも、額にはじんわりと汗が浮かんでくる。
森特有のこもった空気のおかげで、全く風の流れがない。窓を開けても、入ってくるのは湿気ばかりなり。この住環境を好んでここに住んでいるわけだが、それでも夏場のこの季節だけは『住むところ間違えたかな』と思えてしまうのは人間の身勝手だろうか。
ともあれ、彼女はそのまま、ごろりと寝返りを打った。
「……ん?」
その瞬間、何やら小さくて黒いものがさっと目の前を横切ったように見えた。
何だろうと思いながら身を起こして、それが隠れたと思われる枕元を探り、
「……お?」
がばっ、と枕を取り上げて。
「ひっ………!」
停止。
某所のメイドの如く、時間停止術を会得した彼女は、しばしそのままの姿勢で硬直した。枕元から現れたそれは、彼女を確認するなり、幻想郷最速を名乗った天狗にすら追いすがり、むしろ追い越すほどの高速で活動を開始する。
がさがさがさっ、と。
それに特有の音が響き渡り――。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
信じられないくらい、女らしい悲鳴が魔法の森に響き渡ったのだった――。
「というわけで、避暑に来させてもらったの」
「あんな所に住む奴らの気が知れないけれど、避暑に来るくらいならちゃんとしたところに家を移せば?」
「まあ、他人との接触は、出来る限り避けるのが魔法使いの信条なのよ」
と、傍らの人形の頭をなでながら語るのは、とにかくカラフルな印象を他者に与える少女――アリス・マーガトロイド。その彼女に、「ほいよ」と冷たい麦茶を差し出すのは、ここ、博麗神社の主である博麗霊夢である。
ちなみに、この麦茶の代金は巫女の食事に換算して三日分の食料だったりする。もちろん、アリスが持参してきたものだ。
「けれど、ここは風が通るから気持ちいいわね。古来より、和風の家屋は、夏場でも涼しく過ごせるような工夫がされていたとは言うけれど」
縁側に腰掛けて麦茶をすすれば、体温がすっと下がって熱が引いていったように思える。頭の上から差し込む日差しはそれほどでもないのだが、とにかく今日はじめじめむしむしだ。かたつむりが大喜びしそうな天候の中、風が吹くと涼しさが肌をなでていく。
「こんな蒸す天気なのに、何でこんなに涼しいのかしら」
「まあ、周りよりは高台にあるしね。あとは打ち水したりしてさ、少しでも涼しくなるように努力してんのよ」
「ふぅん。
うちで打ち水なんてしたら、もっと暑くなりそうね」
「確かにねぇ」
そんなことを語りながら、ふぅ、と息をつく。実に、手にした麦茶が冷たくて美味しい。
「今日もこれから一雨来るのかな」
「どうかしら。
でもさ、雨が降っても虹が架からなかったら、何か損した気持ちにならない?」
「んー……その気持ち、わからないでもないわ」
このところ、ずーっとこんな天気だしね、と霊夢。
そうして、再び、手にした麦茶をすすって――、
「……ん?」
その瞳が、曇り空の彼方に違和感を捉えた。
その違和感は、まっすぐにこちらに向かって飛んでくる。徐々にそのサイズが大きくなり――、
「うわぁぁぁぁぁぁん、霊夢ぅぅぅぅぅぅ!」
「あ、魔理沙……ってぇぇぇぇぇっ!?」
ずがっしゃぁぁぁぁぁぁぁんっ! という轟音を立てて、ほうきにまたがって飛んできた魔法使いの体当たりを食らい、霊夢は社殿の壁をぶち破って建物の奥まで、彼女と一緒になって飛んでいってしまった。
「な、何事!?」
あまりといえばあまりな展開について行けず、ようやく腰を浮かしたアリスの視線の先には、社殿の奥でもみくちゃになって目を回している霊夢と魔理沙の姿。
「ちょっと、大丈夫!?」
慌てて駆け寄って二人を揺り起こす。
「あ、あいたたた……。
……魔理沙、あんたの挑戦、しかと受け取ったわ。いきなりブレイジングスターかましてくるなんていい度胸してんじゃない!」
「……って、そういうのとは違うような」
まず最初に目を覚ました巫女が、一歩後ろに飛び退いて戦闘態勢を取る。顔を引きつらせるアリスに続いて、う~ん、と呻きながら魔理沙が身を起こして――、
「うわぁぁぁぁぁん!」
いきなりアリスに抱きついた。
「は、はい!?」
「……何事?」
またもやついて行けない展開に、二人の顔が引きつる。しかもよく見れば、魔理沙の服装は普段の暑苦しい黒白のあれではなく、肌も露わなアンダーウェア。着の身着のままで飛び出してきました、という言葉がこれ以上ないほど似合う姿だった。
「ち、ちょっと、魔理沙!? どうしたのよ!」
「出たぁ! 出たぁっ! 出たぁぁぁぁぁ!」
「出たって何が?」
「幽霊?」
「今時、そいつが幽霊見て怖がるか?」
霊夢の言葉に、確かに、とうなずくアリス。と言うか、彼女たちには、その幽霊に知り合いがいたりするのだからどうしようもない。
ともあれ、魔理沙が落ち着かなければ話も進みそうにない。仕方なく、霊夢はアリスにその場を任せて踵を返す。とりあえず、アンダーウェアで周囲をうろつかれては迷惑だとでも思ったのだろう。次に戻ってきた時、彼女の手には、薄手とはいえしっかりとした作りの部屋着があった。
「ほれ。これでも着て。あと、麦茶」
「うぅぅ……」
「どうしたのよ、魔理沙」
ぐすぐすと泣きじゃくる彼女。これはこれですごく新鮮な風景である。
普段の、傍若無人自分勝手の単語が服着て歩いているような彼女からは、とてもではないが想像できない。肩をすぼめてぐすぐすやっている様は、実に女の子らしくてかわいらしかった。
「じ、実は……出たんだ……」
「だから、何が?」
「……………この世の恐怖」
その一言に、二人、顔を見合わせる。
魔理沙は、とりあえず服に袖を通し、麦茶を一口してようやく落ち着いたのか、目元の涙をぬぐってから、
「……黒くて速くてでっかい奴……」
「ああ……奴か」
「Gね」
G。
それは、幻想郷であろうとも構わず存在する、この世界の生きる害悪であると同時に最強最悪の生物兵器。存在する、ただそれだけで人間に絶望と恐怖を与え、その音を聞くだけで不安に眠れぬ夜を過ごさせる、あのレミリアですら『奴には勝てない』と言わしめるほどの絶対の悪魔だ。
ちなみにそのレミリアが住む紅魔館にも奴はよく出没するらしく、メイド部隊の中で『G専門撃破部隊』が編成されるほどの有様らしい。なお、メイド長はGの前には全くの無力であるとのことだ。
まぁ、それはともあれ。
「……もしかして、魔理沙、アレ見て泣きながら逃げてきたの?」
「だ、だってだって! アリスの所に行ったら誰もいなくて……家に戻る気になれなくて……。枕元にいたんだぞ!? 枕元! それががさがさ言いながらこっちに突っ走ってきて、しまいには飛びかかって……いやぁぁぁぁぁぁ!」
……この状態を、そしてこの気持ちをどのように表現したらいいものだろうか。
あの魔理沙が。あの、怖いものなんてこの世のどこにもないぜ、あ、でもまんじゅう怖い、の魔理沙が。
「うわぁぁぁぁぁん、もう家に帰れないぃぃぃぃぃ」
って泣きじゃくっている姿をどのように表現したらいいのだろう。
「……あんたってさ、たまによくわからない弱点あるわよね」
「うん……確かに」
してみると、こういう、隠れた女の子っぽさが人気投票一位の秘訣なのだろうか。ふと考えてしまって、『私も秘密の弱点を創った方が萌えるかな?』と本気で首をかしげる東方シリーズ主人公。
ちなみに人形遣いの方は、「あー、よしよし」などとやっていたりする。
「まあ、それで? 何でうちに来たの」
「霊夢の家に泊めてよぉぉぉぉ……」
「アリスは?」
「ああ、私の家、奴出るわ。あの環境だものね」
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ! 奴いやぁぁぁぁぁぁ!」
「……これって結構面白いかも」
「右に同じく」
散々、その衣装とすばしっこさのせいで『あれっぽい』と言われていた魔法使いの、意外と言えば意外な一面の発露に、そろってうなずく巫女と人形遣い。
しかし、だ。
「正直、あんたをうちに泊める理由、ないし。それにそんな余裕もないのよねー」
「そんな!? 霊夢、お前、そこまで薄情な奴だったのか!? 見損なったぜ!」
「いやいや、そうじゃなくて。まずは落ち着け話を聞け」
べし、と祓え串で彼女の頭叩いてから、
「一応、うちは神社なわけね? おっけー?
それでね、近いうちに、ちょっとした祭事をやらないといけなくて、今、結構立て込んでるのよ。で、その状態で、あんたの面倒を見ている暇はないの」
「……うぅ」
「それに、うちだって奴くらい出るわよ。たまにでかいのが」
「どれくらい?」
「んー……五センチくらい」
ふぅ~……っと、意識が遠のくような仕草を見せて――いや、実際に遠のいたらしく、魔理沙が後ろ向きに、ばたーん、という豪快な音を立てて社殿の廊下にぶっ倒れた。またその姿が妙に女の子っぽくてにんともかんとも。
「……で、どうするの? 霊夢」
「まあ、こいつが無事に自分の家に住めるようにならないとダメでしょ」
「それもそうね……」
倒れた魔理沙のほっぺたをつんつんやっていたアリスが、手がかかるわね、と言わんばかりに肩をすくめた。
「と、くれば」
「その通り」
ざっ、と巫女が立ち上がる。
手にした祓え串で、遙か彼方を示し、彼女は宣言した。
「いざゆかん! 博麗G撃退部隊!」
――自分で言ってみて、何だかものすごく情けないなぁ、ということに気づいて肩を落とす巫女だった。
「うぅ~……入りたくないよぉ……」
「くっつかないでよ、うっとうしいわね」
などと言いつつも、アリスの顔がちょっぴり嬉しそうなのは、もはや言うまでもないだろう。
とりあえず、気絶した魔理沙を叩き起こして、三人は一路、魔法の森の魔理沙の家へ。辿り着いてみれば、『ああ、こりゃ奴が出ても仕方がないわ』というじめじめの空気が一同を迎えてくれる。「あんたら、よくこんな所に住んでいられるわね」とは霊夢の言葉だ。
かくして、彼女たちは目的地にやってきているのだが。
「ったく。あんたじゃないと、この荒れ果てた世界に光明を差すのは無理でしょうが」
ドアを開けたところから、荒れ果てた夢の島が広がっていたのだ。
確かに、これほどの状況ならGも出たくなるわ、と思わず納得してしまうほどのちらかしっぷり。ちらかしっぱなしおばけが住んでるんじゃないかと思えるほどの空間には足の踏み場などほとんどなく、しかもどこかからすえたような臭いが漂ってきていたりもする。
「で、どこに出たの」
霊夢に促されるまま、完全に腰の引けている魔理沙が「……あっち」と遠慮がちに指を差す。アリスの陰に隠れる形で、恐る恐る一同を案内するように、そろそろと足を進める彼女。当然、遅々として歩みは進まず、霊夢が後ろから蹴り食らわそうとして上海人形に止められたりもしたのだが、ともあれ。
「ここ?」
うんうん、と首を縦に振る魔理沙。そこには、プレートに、ぞんざいに『寝室。入る時はノックしろ』とだけ書かれた部屋だ。
どれどれ、と霊夢がドアを開けて室内へ。その室内も、本やらよくわからない道具やらで足の踏み場もない荒れ果て具合だったが、なぜかベッドだけはきれいさっぱりとした、違和感ばりばりの世界を形成している空間だった。
しかし、そのベッドも、シーツがずり落ちていたり枕が床の上に転がっていたりと散々な状態だったりするのだが。
「ベッドに出たとか言ったわね」
早速、霊夢が奴捜しを始める。
ベッドと壁の隙間、マットとベッドの台の間など、およそ、奴が潜んでいそうな場所をじっくり見て回る彼女に、恐る恐る、魔理沙が訊ねた。
「霊夢……怖くないの?」
なぜか、口調も女の子っぽくなっている。
「んー? そんなもん、怖がってどうすんのよ。奴らはね、ほったらかしておくと食料荒らしてくれんのよ。私の大切な、一日の糧を食い荒らす連中を許しておけるものですか。ふっふっふ」
なるほど、なかなか深刻な事情があるらしい。年代物の建物である博麗神社のことだ、さぞ、奴は盛大に住み着いていることなのだろう。
「けど、魔理沙って、どうしてこんなに部屋の中を汚して平気なのかしら」
「だ、だって、片づけるの面倒で……」
「そうやってめんどくさがってた始末がこれでしょ。少しは自重しなさいよ。全く、私が片づけに来るまで、ずーっとこのままなんだから」
「何、あんた、魔理沙の家にわざわざ掃除しに来てあげてるわけ?」
「ち、ちょっと! 何よ、その目! 勘違いしないでよ!
わ、私はただ、こいつが、掃除を手伝ってくれたらマジックアイテムくれるって言うから!」
「あー、はいはい。わかったわかった」
顔を真っ赤にして反論してくるアリスを適当にあしらって、霊夢はG探索に戻る。なおも、後ろでぎゃーぎゃーとアリスが喚いているが徹底して無視だ。全く微笑ましい事ね、などと思いながら、本棚の裏を覗いてみる。
……と。
「あ、いた」
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
その一言に、魔理沙が悲鳴上げて逃げ出そうとして、入り口で本に躓いて転倒して壁におでこぶつけて痛みに転げ回るという、ド○フも真っ青の自爆コントかましているが、それを気にする様子もなく、霊夢は本棚をごそっとずらしてみた。すると、その隙間に隠れていた一匹の『奴』が逃げ出そうと加速する。
その瞬間を見逃さず、
「博麗秘奥義! 骨躯廬苧薙武蠣駆っ!」
説明しよう! 博麗秘奥義『骨躯廬苧薙武蠣駆』とは、標的を発見すると同時に、右手に持った最強の奴対策兵器『新聞紙ソード(文々。新聞)』で渾身の力をもって一撃する、単なる物理攻撃であるっ!
「っしゃー、一撃撃破!」
「……やるわね」
見事に奴を撃破して、余裕の笑みの霊夢。と言うか、これは女の子の正しい姿から、およそ百八十度ほどずれてしまっているような気もするが、気にしてはいけないのだろう。多分。
「おーい、魔理沙ー。退治してやったわよー」
「うぅ~……痛いよぅ……G怖いよぅ……ぐすぐす……」
「……まさか奴は旧作魔理沙か?」
「……霊夢、その発言は危険よ」
ある意味では黒歴史となりつつある発言をかます霊夢に、アリスは顔を引きつらせる。もちろん、霊夢当人はそれに気づいてはいないようだが。
「……ま、ともあれ、これで奴はもう出ないんでしょ?」
よけいな話を振ってしまった罪滅ぼしなのか、あえて別の話題を提示するアリスに、しかし、うーん、と首をかしげる霊夢。
「何」
「んー……いや、この家のこの状況を考えるとさぁ」
そう言って、彼女は、
「正直、一匹二匹じゃないと思うんだけど」
「……ああ、うん。確かに……」
魔理沙の家と言えば、早い話、ゴミ置き場である。ゴミための中に人が生活しているようなものなのだ。
こんな状況の家に、奴が一匹二匹ですむだろうか。むしろ、それを百倍くらいしてもいいような気がしないでもない。
しかし、さすがの奴キラーである霊夢にも、それほどの数の奴を始末するとなると、家を丸ごと吹っ飛ばすくらいしか考えが思いつかず、困ったわねぇ、と腕組みをする。
「あの怖がりようだしさ」
廊下の上で、どこから持ってきたのか、座布団に頭突っ込んでがくがくぶるぶるしてる魔理沙の尻を見て、
「どうする?」
「んー……リグルを呼んでくるか……あるいは、そういうのに知識のありそうな人……」
「リグルはどこにいるか、いまいちわからないし……。そうなると……」
二人の視線が見事に重なった。
「……いたわね」
「専門家でなくても、そう言うのに詳しそうな人」
そうして、二人のセリフが重なる。
『永琳(さん)』
そういうわけで、怯える魔理沙を連れてやってきたのは、竹林の奥深くに居を構える永遠の人々とうさぎ達の楽園(とも言える)、永遠亭である。
「あらあら」
霊夢から事の次第を説明されて、開口一番のセリフがそれだった。
永琳の部屋に通された彼女たちの前には、永琳の弟子、鈴仙が運んできたお茶がいい香りを立てている。
「まあ、そういうわけでね。あんたなら、何かいい手段を知ってるんじゃないかな、って」
「そう言われてみれば、そう言う気がしてこなくもないけれどね」
「そういえば、うちにGってあんまり出ませんよね」
「あらあら、それは当然よ。だって、私が薬まいてるんだもの」
やっぱり、と顔を見合わせる霊夢とアリス。一方、魔理沙は、やっぱり座布団抱えて震えていたのだが、その一言を聞いてぱっと顔に笑顔を浮かべている。
「へぇ、そうなんだ」
「ええ、そうなのよ」
「じゃあさ、その薬、ちょっとでいいから分けてくれない? こいつの家の掃除は、奴を全部退治してから、ってことでさ」
どうかな? と提案をしてくる霊夢に、おっとりと永琳は微笑んで、
「ええ、構わないわよ。
別にお代を取るつもりもないし」
「珍しいわねー」
「あらあら。何だか、今のその子を見ているとウドンゲを思い出しちゃうのよ」
「……師匠、その話はもう忘れてくださいよ……」
なぜか、顔を赤くして、鈴仙。どうやら、何やら奴によろしくない思い出でもあるようである。まぁ、あれにいい思い出がある人生など、断じて送りたくはないものだが。
「うふふ。あの時のウドンゲはかわいかったわ」
「だからぁ……」
「まぁ、それは後で存分に語ってもらうとして」
「よかったわね、魔理沙。何とかなりそうよ」
アリスの言葉に、まるで子供みたいな笑顔を見せる魔理沙。本気で嬉しいのか、辺りにむやみやたらに幸せオーラを振りまく笑顔だ。とてもではないが、こんな顔を、彼女が見せることがあろうとは。一体誰が想像しただろうか。これだけで、都合、天狗の新聞が過去最大の売り上げを達成しそうな感じがするのだが、とりあえず、それはさておこう。
「じゃ、早速で悪いんだけど、その薬くれない?」
「ええ、いいわよ。
ああ、だけど、これを使う時は気をつけてね」
「ん? どゆこと? 何か副作用でもあんの?」
「そういうわけではないのだけど、この薬はあれを追い払った上で、使った建物に寄せ付けないようにする薬だから」
はて? と首をかしげる霊夢に説明をした後、よいしょ、と立ち上がった永琳が薬棚から瓶を一つ取り出し、それの中身を小さなビーカーへと移して彼女に渡してくる。
「ウドンゲ、あなたが同行してお手伝いしてあげなさい」
「はい」
「別にいいわよ。これまくだけなんでしょ?」
「ちょっと違うの。詳しくは、現地でウドンゲにね」
「はいよー。
よし、魔理沙、帰るわよ」
「やった! これで、今夜から奴に会わなくていいっ!」
「……この魔理沙はこれでいいかも」
『シャンハーイ?』
よくわからない発言をするご主人様に首をかしげ、『どういう意味だろうね?』と隣の蓬莱人形に訊ねる上海人形だった。
「さて」
もらってきた薬を、魔理沙邸の床の上に置いて、霊夢。その一方で、鈴仙が台所でお湯を沸かしている。
「ねぇ、ウドンゲ。これはこのままでいいの?」
「いいですよー。……っていうか、なぜに皆さん、私をウドンゲという。そう言っていいのは師匠だけなのに……」
何やら、ぶつぶつと声が聞こえたりもしたが。
「なーなー、まだかー? まだ終わらないかー?」
うきうき笑顔で、部屋の片隅で椅子に腰掛け、楽しそうに足を揺らしている魔理沙が訊ねてくる。ほんとに嬉しそうに笑っている彼女に、アリスが「子供みたいなことしてるんじゃないわよ」と横からたしなめていたりする光景が、本当に微笑ましかった。
「用意できました」
鈴仙が、やかんを片手に登場する。
「じゃ、始めますね。窓とかドアは開けてますね?」
「見ての通りね」
それでは、と鈴仙がお湯をビーカーの中の、透明の薬剤に向けてかけていく。沸騰したお湯がやかんの注ぎ口から勢いよく流れ落ち、薬剤に触れると、途端、真っ白な煙が周囲に立ち上った。
「うわ、何これ!」
「かなり煙たいですけど、人間には無害ですから。私もですけど」
一瞬にして辺りが真っ白に染まり、鈴仙の言う通り、かなりの煙たさだった。窓から体を乗り出して、ごほごほと咳をする。
「これ、かなり強力なタイプですから。目にもしみるし、辛いと思いますけど耐えてください」
「これって本来、外出してる時とかにやるもんなんじゃないの!?」
「まあ、そうなんですけど」
「おのれ永琳謀ったな! 霧雨公国に栄光あれー!」
「何だかよくわからないけど、本気で嬉しそうね……魔理沙……」
よくわからないネタを飛ばす魔理沙は、煙たさに目から涙を流しながらも笑顔で喜んでいるという、実に理解に苦しむ表情である。あきれたようにつぶやくアリスは、霊夢や魔理沙と違って、煙たさに顔をしかめている様子もなく、平然とその場に立っている。どうやら、彼女には、この煙はいささかのダメージを与えるものでもないらしい。
「そろそろ効き目が出てくる頃ですね」
煙がいよいよ盛大に噴き上がってきた頃になって。
――何やら、音が聞こえてきた。
「……あれ? この音って……」
かさかさ、かさかさ、かさかさ。
何やら聞き覚えのある音が響き渡る。具体的には足下から。
魔理沙もアリスも、その音は耳に響いているらしい。やめた方がいいとわかっていたのだが、霊夢は、ある意味では興味本位で、そっと足下に風を送ってみた。
その風に払われる形で、足下の真っ白な煙が少しずつ晴れていき――。
「ひっ……!」
「げっ……!」
「いっ……!」
その先に、霊夢が、アリスが、魔理沙が声を詰まらせ――。
「こ、これは……!」
鈴仙が空中へと避難した、その直後。
「きぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
魔法の森全てを震わせ、幻想郷を鳴動させる乙女の悲鳴が響き渡ったのだった。
「……あの状況は予想してなかったわ」
「ええ……私も……」
「あらあら」
戦い終わって日が暮れて、ここは永遠亭。
「まさか……Gの群れで床が黒く染まるとは……」
その光景を思い出したのか、さすがに気持ち悪そうな顔をして、霊夢が手元のお茶をすする。
――そう。
例の薬によって魔理沙の家から追い出されたGの数は、百や二百などというものではなかったのだ。薬に殺されまいとして、全力で魔理沙の家から逃げ出していったのは、それこそ足下に黒い絨毯が出来るほどのGの大群だったのである。
一体、どこにこれほどの、というほどの数。さすがにあれは戦慄した。それらが一斉に大移動をしている様は、まさに悪夢と言って差し支えなかったのである。
「まあ、あれで魔理沙の家は清潔になったわけだし……それはそれでよかったのかしら」
「そう……なのかもしれないけどさ」
問題は、である。
「G怖いG怖いG怖いG怖い怖いよ魅魔さまぁぁぁうぇぇぇぇぇぇぇぇん」
完全に心的外傷後ストレス障害状態になって、布団にくるまって泣きじゃくっている魔理沙なのであるが。
「まあ……あれはトラウマになりますよ」
と、鈴仙。
しかし、煙に隠れて気づかなかったとはいえ、あんなものの群れの中に足を浸していたのだと思うと寒気がする。ちなみに鈴仙は、気を落ち着けるためなのか、お茶と一緒になぜかにんじんの漬け物をかじっていたりするのだが。
「まぁ……そういうわけでさ。永琳、魔理沙のこと、しばらく頼むわね」
「あらあら」
「じゃあ、私たちは魔理沙の家の掃除かな?」
「そうなるわね……。
ああ、その、永琳さん。あの薬、私にもくれませんか? 何か、あの状況を見たら、私も不安になってきて……」
自分の家も、あの魔法の森の中にあることを思い出してみれば、確かにそれを疑っても問題はない。もっとも、魔理沙の家ほど、奴らが住みやすい環境を作っているわけではないのだが。
「ええ、構いませんよ。あらあら、今年は大人気になっちゃうかしら」
「というか、逃げた奴らはどこ行くんだろう……」
「さあ……」
あんまり想像したくはなかった。
「もうやだぁ、おうち帰りたくないぃ、G怖いぃ」
実に情けない声を響かせている魔理沙の存在が、今は無性に、ある意味、愛おしい。
霊夢とアリスは顔を見合わせ、改めて思う。
やはり、幻想郷最強は奴らなのだ、と。
なお、後日の話であるが、魔理沙の家から逃げ出したG達はリグルによって回収され、他人様に迷惑をかけないようにしなさい、とこっぴどく叱られた後、無事に(?)本来の生活スタイル――森の中での自給自足――に戻ったらしい。もちろん、この場合の『森』とはどこを示すのかは言うまでもないだろう。
それから一ヶ月ほどの間、家に帰るのを怖がって、魔理沙が博麗神社に入り浸るようになるのだが、一応、それはまた別の話。
――さて。
「いやぁぁぁぁぁぁ! Gが! Gがお風呂場に出たぁぁぁぁぁぁ!」
「はっ!? 咲夜さんの悲鳴!
紅魔館最精鋭、『G撃滅部隊』出撃っ!」
『はいっ! 美鈴隊長!』
そして、ここにもまた、永琳の薬をほしがることになる人間が一人。
しとしと。
じめじめ。
むしむし。
この季節は、たとえ幻想郷であろうとも、あっちこっちで不快指数百の日々。
そんな中であるからして、常日頃から不快指数二百はあるんじゃないかと巫女が言う、ここ魔法の森の不快指数は、実に通常の三倍で。
「……あっついぜ~……」
ぱたぱたと、『納涼』の文字が書かれた、青と白の涼しげなカラーリングデザインのうちわを使いながら、アンダーウェアで室内をうろつくのは、長い金髪が美しい普通の魔法使い。本日は、さすがにいつもの暑苦しい衣装を身につけるつもりにならないのか、荒れ果てた室内でただ一つゴミや汚れと言った侵略軍からの防衛を保っているベッドに横になる彼女。
「冷房を効かせるには、そう言う系統の魔法を覚えるしかないのかねー……」
氷の精でも捕まえてきて、強制的に冷房代わりにするかなー、と乱暴なことを考えながら、先日、図書館から強奪……もとい、半永久的に拝借してきた本に手を伸ばす。
「んー……氷の魔法、氷の魔法……」
そう言えば、あの魔女は水系統の魔法も使ってたなぁ、と思いながらページを繰っていく。
してみると、彼女にしっかりと教えを請えば、もしかしたらこの季節でも快適に過ごせるのかもしれない。そんなことを考えながらその本を眺めていく間にも、額にはじんわりと汗が浮かんでくる。
森特有のこもった空気のおかげで、全く風の流れがない。窓を開けても、入ってくるのは湿気ばかりなり。この住環境を好んでここに住んでいるわけだが、それでも夏場のこの季節だけは『住むところ間違えたかな』と思えてしまうのは人間の身勝手だろうか。
ともあれ、彼女はそのまま、ごろりと寝返りを打った。
「……ん?」
その瞬間、何やら小さくて黒いものがさっと目の前を横切ったように見えた。
何だろうと思いながら身を起こして、それが隠れたと思われる枕元を探り、
「……お?」
がばっ、と枕を取り上げて。
「ひっ………!」
停止。
某所のメイドの如く、時間停止術を会得した彼女は、しばしそのままの姿勢で硬直した。枕元から現れたそれは、彼女を確認するなり、幻想郷最速を名乗った天狗にすら追いすがり、むしろ追い越すほどの高速で活動を開始する。
がさがさがさっ、と。
それに特有の音が響き渡り――。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
信じられないくらい、女らしい悲鳴が魔法の森に響き渡ったのだった――。
「というわけで、避暑に来させてもらったの」
「あんな所に住む奴らの気が知れないけれど、避暑に来るくらいならちゃんとしたところに家を移せば?」
「まあ、他人との接触は、出来る限り避けるのが魔法使いの信条なのよ」
と、傍らの人形の頭をなでながら語るのは、とにかくカラフルな印象を他者に与える少女――アリス・マーガトロイド。その彼女に、「ほいよ」と冷たい麦茶を差し出すのは、ここ、博麗神社の主である博麗霊夢である。
ちなみに、この麦茶の代金は巫女の食事に換算して三日分の食料だったりする。もちろん、アリスが持参してきたものだ。
「けれど、ここは風が通るから気持ちいいわね。古来より、和風の家屋は、夏場でも涼しく過ごせるような工夫がされていたとは言うけれど」
縁側に腰掛けて麦茶をすすれば、体温がすっと下がって熱が引いていったように思える。頭の上から差し込む日差しはそれほどでもないのだが、とにかく今日はじめじめむしむしだ。かたつむりが大喜びしそうな天候の中、風が吹くと涼しさが肌をなでていく。
「こんな蒸す天気なのに、何でこんなに涼しいのかしら」
「まあ、周りよりは高台にあるしね。あとは打ち水したりしてさ、少しでも涼しくなるように努力してんのよ」
「ふぅん。
うちで打ち水なんてしたら、もっと暑くなりそうね」
「確かにねぇ」
そんなことを語りながら、ふぅ、と息をつく。実に、手にした麦茶が冷たくて美味しい。
「今日もこれから一雨来るのかな」
「どうかしら。
でもさ、雨が降っても虹が架からなかったら、何か損した気持ちにならない?」
「んー……その気持ち、わからないでもないわ」
このところ、ずーっとこんな天気だしね、と霊夢。
そうして、再び、手にした麦茶をすすって――、
「……ん?」
その瞳が、曇り空の彼方に違和感を捉えた。
その違和感は、まっすぐにこちらに向かって飛んでくる。徐々にそのサイズが大きくなり――、
「うわぁぁぁぁぁぁん、霊夢ぅぅぅぅぅぅ!」
「あ、魔理沙……ってぇぇぇぇぇっ!?」
ずがっしゃぁぁぁぁぁぁぁんっ! という轟音を立てて、ほうきにまたがって飛んできた魔法使いの体当たりを食らい、霊夢は社殿の壁をぶち破って建物の奥まで、彼女と一緒になって飛んでいってしまった。
「な、何事!?」
あまりといえばあまりな展開について行けず、ようやく腰を浮かしたアリスの視線の先には、社殿の奥でもみくちゃになって目を回している霊夢と魔理沙の姿。
「ちょっと、大丈夫!?」
慌てて駆け寄って二人を揺り起こす。
「あ、あいたたた……。
……魔理沙、あんたの挑戦、しかと受け取ったわ。いきなりブレイジングスターかましてくるなんていい度胸してんじゃない!」
「……って、そういうのとは違うような」
まず最初に目を覚ました巫女が、一歩後ろに飛び退いて戦闘態勢を取る。顔を引きつらせるアリスに続いて、う~ん、と呻きながら魔理沙が身を起こして――、
「うわぁぁぁぁぁん!」
いきなりアリスに抱きついた。
「は、はい!?」
「……何事?」
またもやついて行けない展開に、二人の顔が引きつる。しかもよく見れば、魔理沙の服装は普段の暑苦しい黒白のあれではなく、肌も露わなアンダーウェア。着の身着のままで飛び出してきました、という言葉がこれ以上ないほど似合う姿だった。
「ち、ちょっと、魔理沙!? どうしたのよ!」
「出たぁ! 出たぁっ! 出たぁぁぁぁぁ!」
「出たって何が?」
「幽霊?」
「今時、そいつが幽霊見て怖がるか?」
霊夢の言葉に、確かに、とうなずくアリス。と言うか、彼女たちには、その幽霊に知り合いがいたりするのだからどうしようもない。
ともあれ、魔理沙が落ち着かなければ話も進みそうにない。仕方なく、霊夢はアリスにその場を任せて踵を返す。とりあえず、アンダーウェアで周囲をうろつかれては迷惑だとでも思ったのだろう。次に戻ってきた時、彼女の手には、薄手とはいえしっかりとした作りの部屋着があった。
「ほれ。これでも着て。あと、麦茶」
「うぅぅ……」
「どうしたのよ、魔理沙」
ぐすぐすと泣きじゃくる彼女。これはこれですごく新鮮な風景である。
普段の、傍若無人自分勝手の単語が服着て歩いているような彼女からは、とてもではないが想像できない。肩をすぼめてぐすぐすやっている様は、実に女の子らしくてかわいらしかった。
「じ、実は……出たんだ……」
「だから、何が?」
「……………この世の恐怖」
その一言に、二人、顔を見合わせる。
魔理沙は、とりあえず服に袖を通し、麦茶を一口してようやく落ち着いたのか、目元の涙をぬぐってから、
「……黒くて速くてでっかい奴……」
「ああ……奴か」
「Gね」
G。
それは、幻想郷であろうとも構わず存在する、この世界の生きる害悪であると同時に最強最悪の生物兵器。存在する、ただそれだけで人間に絶望と恐怖を与え、その音を聞くだけで不安に眠れぬ夜を過ごさせる、あのレミリアですら『奴には勝てない』と言わしめるほどの絶対の悪魔だ。
ちなみにそのレミリアが住む紅魔館にも奴はよく出没するらしく、メイド部隊の中で『G専門撃破部隊』が編成されるほどの有様らしい。なお、メイド長はGの前には全くの無力であるとのことだ。
まぁ、それはともあれ。
「……もしかして、魔理沙、アレ見て泣きながら逃げてきたの?」
「だ、だってだって! アリスの所に行ったら誰もいなくて……家に戻る気になれなくて……。枕元にいたんだぞ!? 枕元! それががさがさ言いながらこっちに突っ走ってきて、しまいには飛びかかって……いやぁぁぁぁぁぁ!」
……この状態を、そしてこの気持ちをどのように表現したらいいものだろうか。
あの魔理沙が。あの、怖いものなんてこの世のどこにもないぜ、あ、でもまんじゅう怖い、の魔理沙が。
「うわぁぁぁぁぁん、もう家に帰れないぃぃぃぃぃ」
って泣きじゃくっている姿をどのように表現したらいいのだろう。
「……あんたってさ、たまによくわからない弱点あるわよね」
「うん……確かに」
してみると、こういう、隠れた女の子っぽさが人気投票一位の秘訣なのだろうか。ふと考えてしまって、『私も秘密の弱点を創った方が萌えるかな?』と本気で首をかしげる東方シリーズ主人公。
ちなみに人形遣いの方は、「あー、よしよし」などとやっていたりする。
「まあ、それで? 何でうちに来たの」
「霊夢の家に泊めてよぉぉぉぉ……」
「アリスは?」
「ああ、私の家、奴出るわ。あの環境だものね」
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ! 奴いやぁぁぁぁぁぁ!」
「……これって結構面白いかも」
「右に同じく」
散々、その衣装とすばしっこさのせいで『あれっぽい』と言われていた魔法使いの、意外と言えば意外な一面の発露に、そろってうなずく巫女と人形遣い。
しかし、だ。
「正直、あんたをうちに泊める理由、ないし。それにそんな余裕もないのよねー」
「そんな!? 霊夢、お前、そこまで薄情な奴だったのか!? 見損なったぜ!」
「いやいや、そうじゃなくて。まずは落ち着け話を聞け」
べし、と祓え串で彼女の頭叩いてから、
「一応、うちは神社なわけね? おっけー?
それでね、近いうちに、ちょっとした祭事をやらないといけなくて、今、結構立て込んでるのよ。で、その状態で、あんたの面倒を見ている暇はないの」
「……うぅ」
「それに、うちだって奴くらい出るわよ。たまにでかいのが」
「どれくらい?」
「んー……五センチくらい」
ふぅ~……っと、意識が遠のくような仕草を見せて――いや、実際に遠のいたらしく、魔理沙が後ろ向きに、ばたーん、という豪快な音を立てて社殿の廊下にぶっ倒れた。またその姿が妙に女の子っぽくてにんともかんとも。
「……で、どうするの? 霊夢」
「まあ、こいつが無事に自分の家に住めるようにならないとダメでしょ」
「それもそうね……」
倒れた魔理沙のほっぺたをつんつんやっていたアリスが、手がかかるわね、と言わんばかりに肩をすくめた。
「と、くれば」
「その通り」
ざっ、と巫女が立ち上がる。
手にした祓え串で、遙か彼方を示し、彼女は宣言した。
「いざゆかん! 博麗G撃退部隊!」
――自分で言ってみて、何だかものすごく情けないなぁ、ということに気づいて肩を落とす巫女だった。
「うぅ~……入りたくないよぉ……」
「くっつかないでよ、うっとうしいわね」
などと言いつつも、アリスの顔がちょっぴり嬉しそうなのは、もはや言うまでもないだろう。
とりあえず、気絶した魔理沙を叩き起こして、三人は一路、魔法の森の魔理沙の家へ。辿り着いてみれば、『ああ、こりゃ奴が出ても仕方がないわ』というじめじめの空気が一同を迎えてくれる。「あんたら、よくこんな所に住んでいられるわね」とは霊夢の言葉だ。
かくして、彼女たちは目的地にやってきているのだが。
「ったく。あんたじゃないと、この荒れ果てた世界に光明を差すのは無理でしょうが」
ドアを開けたところから、荒れ果てた夢の島が広がっていたのだ。
確かに、これほどの状況ならGも出たくなるわ、と思わず納得してしまうほどのちらかしっぷり。ちらかしっぱなしおばけが住んでるんじゃないかと思えるほどの空間には足の踏み場などほとんどなく、しかもどこかからすえたような臭いが漂ってきていたりもする。
「で、どこに出たの」
霊夢に促されるまま、完全に腰の引けている魔理沙が「……あっち」と遠慮がちに指を差す。アリスの陰に隠れる形で、恐る恐る一同を案内するように、そろそろと足を進める彼女。当然、遅々として歩みは進まず、霊夢が後ろから蹴り食らわそうとして上海人形に止められたりもしたのだが、ともあれ。
「ここ?」
うんうん、と首を縦に振る魔理沙。そこには、プレートに、ぞんざいに『寝室。入る時はノックしろ』とだけ書かれた部屋だ。
どれどれ、と霊夢がドアを開けて室内へ。その室内も、本やらよくわからない道具やらで足の踏み場もない荒れ果て具合だったが、なぜかベッドだけはきれいさっぱりとした、違和感ばりばりの世界を形成している空間だった。
しかし、そのベッドも、シーツがずり落ちていたり枕が床の上に転がっていたりと散々な状態だったりするのだが。
「ベッドに出たとか言ったわね」
早速、霊夢が奴捜しを始める。
ベッドと壁の隙間、マットとベッドの台の間など、およそ、奴が潜んでいそうな場所をじっくり見て回る彼女に、恐る恐る、魔理沙が訊ねた。
「霊夢……怖くないの?」
なぜか、口調も女の子っぽくなっている。
「んー? そんなもん、怖がってどうすんのよ。奴らはね、ほったらかしておくと食料荒らしてくれんのよ。私の大切な、一日の糧を食い荒らす連中を許しておけるものですか。ふっふっふ」
なるほど、なかなか深刻な事情があるらしい。年代物の建物である博麗神社のことだ、さぞ、奴は盛大に住み着いていることなのだろう。
「けど、魔理沙って、どうしてこんなに部屋の中を汚して平気なのかしら」
「だ、だって、片づけるの面倒で……」
「そうやってめんどくさがってた始末がこれでしょ。少しは自重しなさいよ。全く、私が片づけに来るまで、ずーっとこのままなんだから」
「何、あんた、魔理沙の家にわざわざ掃除しに来てあげてるわけ?」
「ち、ちょっと! 何よ、その目! 勘違いしないでよ!
わ、私はただ、こいつが、掃除を手伝ってくれたらマジックアイテムくれるって言うから!」
「あー、はいはい。わかったわかった」
顔を真っ赤にして反論してくるアリスを適当にあしらって、霊夢はG探索に戻る。なおも、後ろでぎゃーぎゃーとアリスが喚いているが徹底して無視だ。全く微笑ましい事ね、などと思いながら、本棚の裏を覗いてみる。
……と。
「あ、いた」
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
その一言に、魔理沙が悲鳴上げて逃げ出そうとして、入り口で本に躓いて転倒して壁におでこぶつけて痛みに転げ回るという、ド○フも真っ青の自爆コントかましているが、それを気にする様子もなく、霊夢は本棚をごそっとずらしてみた。すると、その隙間に隠れていた一匹の『奴』が逃げ出そうと加速する。
その瞬間を見逃さず、
「博麗秘奥義! 骨躯廬苧薙武蠣駆っ!」
説明しよう! 博麗秘奥義『骨躯廬苧薙武蠣駆』とは、標的を発見すると同時に、右手に持った最強の奴対策兵器『新聞紙ソード(文々。新聞)』で渾身の力をもって一撃する、単なる物理攻撃であるっ!
「っしゃー、一撃撃破!」
「……やるわね」
見事に奴を撃破して、余裕の笑みの霊夢。と言うか、これは女の子の正しい姿から、およそ百八十度ほどずれてしまっているような気もするが、気にしてはいけないのだろう。多分。
「おーい、魔理沙ー。退治してやったわよー」
「うぅ~……痛いよぅ……G怖いよぅ……ぐすぐす……」
「……まさか奴は旧作魔理沙か?」
「……霊夢、その発言は危険よ」
ある意味では黒歴史となりつつある発言をかます霊夢に、アリスは顔を引きつらせる。もちろん、霊夢当人はそれに気づいてはいないようだが。
「……ま、ともあれ、これで奴はもう出ないんでしょ?」
よけいな話を振ってしまった罪滅ぼしなのか、あえて別の話題を提示するアリスに、しかし、うーん、と首をかしげる霊夢。
「何」
「んー……いや、この家のこの状況を考えるとさぁ」
そう言って、彼女は、
「正直、一匹二匹じゃないと思うんだけど」
「……ああ、うん。確かに……」
魔理沙の家と言えば、早い話、ゴミ置き場である。ゴミための中に人が生活しているようなものなのだ。
こんな状況の家に、奴が一匹二匹ですむだろうか。むしろ、それを百倍くらいしてもいいような気がしないでもない。
しかし、さすがの奴キラーである霊夢にも、それほどの数の奴を始末するとなると、家を丸ごと吹っ飛ばすくらいしか考えが思いつかず、困ったわねぇ、と腕組みをする。
「あの怖がりようだしさ」
廊下の上で、どこから持ってきたのか、座布団に頭突っ込んでがくがくぶるぶるしてる魔理沙の尻を見て、
「どうする?」
「んー……リグルを呼んでくるか……あるいは、そういうのに知識のありそうな人……」
「リグルはどこにいるか、いまいちわからないし……。そうなると……」
二人の視線が見事に重なった。
「……いたわね」
「専門家でなくても、そう言うのに詳しそうな人」
そうして、二人のセリフが重なる。
『永琳(さん)』
そういうわけで、怯える魔理沙を連れてやってきたのは、竹林の奥深くに居を構える永遠の人々とうさぎ達の楽園(とも言える)、永遠亭である。
「あらあら」
霊夢から事の次第を説明されて、開口一番のセリフがそれだった。
永琳の部屋に通された彼女たちの前には、永琳の弟子、鈴仙が運んできたお茶がいい香りを立てている。
「まあ、そういうわけでね。あんたなら、何かいい手段を知ってるんじゃないかな、って」
「そう言われてみれば、そう言う気がしてこなくもないけれどね」
「そういえば、うちにGってあんまり出ませんよね」
「あらあら、それは当然よ。だって、私が薬まいてるんだもの」
やっぱり、と顔を見合わせる霊夢とアリス。一方、魔理沙は、やっぱり座布団抱えて震えていたのだが、その一言を聞いてぱっと顔に笑顔を浮かべている。
「へぇ、そうなんだ」
「ええ、そうなのよ」
「じゃあさ、その薬、ちょっとでいいから分けてくれない? こいつの家の掃除は、奴を全部退治してから、ってことでさ」
どうかな? と提案をしてくる霊夢に、おっとりと永琳は微笑んで、
「ええ、構わないわよ。
別にお代を取るつもりもないし」
「珍しいわねー」
「あらあら。何だか、今のその子を見ているとウドンゲを思い出しちゃうのよ」
「……師匠、その話はもう忘れてくださいよ……」
なぜか、顔を赤くして、鈴仙。どうやら、何やら奴によろしくない思い出でもあるようである。まぁ、あれにいい思い出がある人生など、断じて送りたくはないものだが。
「うふふ。あの時のウドンゲはかわいかったわ」
「だからぁ……」
「まぁ、それは後で存分に語ってもらうとして」
「よかったわね、魔理沙。何とかなりそうよ」
アリスの言葉に、まるで子供みたいな笑顔を見せる魔理沙。本気で嬉しいのか、辺りにむやみやたらに幸せオーラを振りまく笑顔だ。とてもではないが、こんな顔を、彼女が見せることがあろうとは。一体誰が想像しただろうか。これだけで、都合、天狗の新聞が過去最大の売り上げを達成しそうな感じがするのだが、とりあえず、それはさておこう。
「じゃ、早速で悪いんだけど、その薬くれない?」
「ええ、いいわよ。
ああ、だけど、これを使う時は気をつけてね」
「ん? どゆこと? 何か副作用でもあんの?」
「そういうわけではないのだけど、この薬はあれを追い払った上で、使った建物に寄せ付けないようにする薬だから」
はて? と首をかしげる霊夢に説明をした後、よいしょ、と立ち上がった永琳が薬棚から瓶を一つ取り出し、それの中身を小さなビーカーへと移して彼女に渡してくる。
「ウドンゲ、あなたが同行してお手伝いしてあげなさい」
「はい」
「別にいいわよ。これまくだけなんでしょ?」
「ちょっと違うの。詳しくは、現地でウドンゲにね」
「はいよー。
よし、魔理沙、帰るわよ」
「やった! これで、今夜から奴に会わなくていいっ!」
「……この魔理沙はこれでいいかも」
『シャンハーイ?』
よくわからない発言をするご主人様に首をかしげ、『どういう意味だろうね?』と隣の蓬莱人形に訊ねる上海人形だった。
「さて」
もらってきた薬を、魔理沙邸の床の上に置いて、霊夢。その一方で、鈴仙が台所でお湯を沸かしている。
「ねぇ、ウドンゲ。これはこのままでいいの?」
「いいですよー。……っていうか、なぜに皆さん、私をウドンゲという。そう言っていいのは師匠だけなのに……」
何やら、ぶつぶつと声が聞こえたりもしたが。
「なーなー、まだかー? まだ終わらないかー?」
うきうき笑顔で、部屋の片隅で椅子に腰掛け、楽しそうに足を揺らしている魔理沙が訊ねてくる。ほんとに嬉しそうに笑っている彼女に、アリスが「子供みたいなことしてるんじゃないわよ」と横からたしなめていたりする光景が、本当に微笑ましかった。
「用意できました」
鈴仙が、やかんを片手に登場する。
「じゃ、始めますね。窓とかドアは開けてますね?」
「見ての通りね」
それでは、と鈴仙がお湯をビーカーの中の、透明の薬剤に向けてかけていく。沸騰したお湯がやかんの注ぎ口から勢いよく流れ落ち、薬剤に触れると、途端、真っ白な煙が周囲に立ち上った。
「うわ、何これ!」
「かなり煙たいですけど、人間には無害ですから。私もですけど」
一瞬にして辺りが真っ白に染まり、鈴仙の言う通り、かなりの煙たさだった。窓から体を乗り出して、ごほごほと咳をする。
「これ、かなり強力なタイプですから。目にもしみるし、辛いと思いますけど耐えてください」
「これって本来、外出してる時とかにやるもんなんじゃないの!?」
「まあ、そうなんですけど」
「おのれ永琳謀ったな! 霧雨公国に栄光あれー!」
「何だかよくわからないけど、本気で嬉しそうね……魔理沙……」
よくわからないネタを飛ばす魔理沙は、煙たさに目から涙を流しながらも笑顔で喜んでいるという、実に理解に苦しむ表情である。あきれたようにつぶやくアリスは、霊夢や魔理沙と違って、煙たさに顔をしかめている様子もなく、平然とその場に立っている。どうやら、彼女には、この煙はいささかのダメージを与えるものでもないらしい。
「そろそろ効き目が出てくる頃ですね」
煙がいよいよ盛大に噴き上がってきた頃になって。
――何やら、音が聞こえてきた。
「……あれ? この音って……」
かさかさ、かさかさ、かさかさ。
何やら聞き覚えのある音が響き渡る。具体的には足下から。
魔理沙もアリスも、その音は耳に響いているらしい。やめた方がいいとわかっていたのだが、霊夢は、ある意味では興味本位で、そっと足下に風を送ってみた。
その風に払われる形で、足下の真っ白な煙が少しずつ晴れていき――。
「ひっ……!」
「げっ……!」
「いっ……!」
その先に、霊夢が、アリスが、魔理沙が声を詰まらせ――。
「こ、これは……!」
鈴仙が空中へと避難した、その直後。
「きぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
魔法の森全てを震わせ、幻想郷を鳴動させる乙女の悲鳴が響き渡ったのだった。
「……あの状況は予想してなかったわ」
「ええ……私も……」
「あらあら」
戦い終わって日が暮れて、ここは永遠亭。
「まさか……Gの群れで床が黒く染まるとは……」
その光景を思い出したのか、さすがに気持ち悪そうな顔をして、霊夢が手元のお茶をすする。
――そう。
例の薬によって魔理沙の家から追い出されたGの数は、百や二百などというものではなかったのだ。薬に殺されまいとして、全力で魔理沙の家から逃げ出していったのは、それこそ足下に黒い絨毯が出来るほどのGの大群だったのである。
一体、どこにこれほどの、というほどの数。さすがにあれは戦慄した。それらが一斉に大移動をしている様は、まさに悪夢と言って差し支えなかったのである。
「まあ、あれで魔理沙の家は清潔になったわけだし……それはそれでよかったのかしら」
「そう……なのかもしれないけどさ」
問題は、である。
「G怖いG怖いG怖いG怖い怖いよ魅魔さまぁぁぁうぇぇぇぇぇぇぇぇん」
完全に心的外傷後ストレス障害状態になって、布団にくるまって泣きじゃくっている魔理沙なのであるが。
「まあ……あれはトラウマになりますよ」
と、鈴仙。
しかし、煙に隠れて気づかなかったとはいえ、あんなものの群れの中に足を浸していたのだと思うと寒気がする。ちなみに鈴仙は、気を落ち着けるためなのか、お茶と一緒になぜかにんじんの漬け物をかじっていたりするのだが。
「まぁ……そういうわけでさ。永琳、魔理沙のこと、しばらく頼むわね」
「あらあら」
「じゃあ、私たちは魔理沙の家の掃除かな?」
「そうなるわね……。
ああ、その、永琳さん。あの薬、私にもくれませんか? 何か、あの状況を見たら、私も不安になってきて……」
自分の家も、あの魔法の森の中にあることを思い出してみれば、確かにそれを疑っても問題はない。もっとも、魔理沙の家ほど、奴らが住みやすい環境を作っているわけではないのだが。
「ええ、構いませんよ。あらあら、今年は大人気になっちゃうかしら」
「というか、逃げた奴らはどこ行くんだろう……」
「さあ……」
あんまり想像したくはなかった。
「もうやだぁ、おうち帰りたくないぃ、G怖いぃ」
実に情けない声を響かせている魔理沙の存在が、今は無性に、ある意味、愛おしい。
霊夢とアリスは顔を見合わせ、改めて思う。
やはり、幻想郷最強は奴らなのだ、と。
なお、後日の話であるが、魔理沙の家から逃げ出したG達はリグルによって回収され、他人様に迷惑をかけないようにしなさい、とこっぴどく叱られた後、無事に(?)本来の生活スタイル――森の中での自給自足――に戻ったらしい。もちろん、この場合の『森』とはどこを示すのかは言うまでもないだろう。
それから一ヶ月ほどの間、家に帰るのを怖がって、魔理沙が博麗神社に入り浸るようになるのだが、一応、それはまた別の話。
――さて。
「いやぁぁぁぁぁぁ! Gが! Gがお風呂場に出たぁぁぁぁぁぁ!」
「はっ!? 咲夜さんの悲鳴!
紅魔館最精鋭、『G撃滅部隊』出撃っ!」
『はいっ! 美鈴隊長!』
そして、ここにもまた、永琳の薬をほしがることになる人間が一人。
まだ対峙はしてませんがなんせ安(=ボロ)アパートの住人なもので…
再度読んだら師匠の口調に某A○IAのあの方を連想して+50点、という事で。
しかし、この魔理沙はなんだかいい。うん、同意。
ので叩きとスプレーのコンビで退治しました、許せリグル…
そうすると黒い絨毯を掃除する羽目になるのか…((((´д`))))
欲を言うならばGから逃げ惑う咲夜さんも見たかったですな。
さてG退治ですが。
・バルサンを使う場合は二週間毎に焚く事。
バルサンは卵の状態では効きません。なので、卵から幼虫が出てくる二週間後にもう一度バルサンを。
・部屋の大掃除を(必須)
Gは有機体ならば何でも食べます。なので髪の毛とか爪とかそういったものも何でもガツガツと。
なお、大掃除は冬がお勧め。Gは南の生き物なので、寒さに弱いのです。
……今夏だけどな!
・一人暮らしで、身体がタフならパボナを。
買うのにちょっとした手続きが要ります。
効果は劇的ですが、その分人体にも悪影響が出ます。
子供が居る家ではお薦め出来ません。
とまあ、つらつらと書いてみたり。
……駆除薬いるかなー。
お目汚しを…魔理沙と同じくひじょーにGを憎む私です。
て言うか、弟いわく寝ている最中に顔の上をガサガサと動き回っていたことがあったそうで…ガクガクブルブル
G対策にはホウ酸団子なるものも、非常に有効であります。
置いておくだけでG退治に効果があるので、部屋の隅っこに置いておくだけでOK!
ちなみに、効き目は長いですが切れた瞬間にGを見かける羽目になりますが…
というかマジで人類の敵です。
虫恐怖症の自分にとっては全くと言って他人事ではありません。というか自分の部屋も夢の島状態だし……。
それならば泣きじゃくる魔理沙をあやすアリスの姿にちょっと胸きゅん。
・・・アレはいやあああああぁぁぁぁぁっ! 大軍禁止いいいいいぃぃぃぃぃっ! 単騎も禁止いいいいいぃぃぃぃぃっ!(読者錯乱中)
・・・ちなみに樹齢数千年の巨木並の図太い神経持ってるうちの兄も、昔Gに顔面に飛びつかれて以来アレだけはダメらしいです・・・
そういやそろそろGの活動時期ですね・・・寮の部屋しっかり掃除しとこ・・・(--;;
・・・そしてG相手に無力な咲夜さんに密かに萌えた人、ここに同志がいるから恥じることなく手を上げてください(ぇ)
>師匠の口調に某A○IAのあの方を連想
>泣きじゃくる魔理沙をあやすアリスの姿にちょっと胸きゅん
2 人 と も 同 志 ! harukaさんの師匠はやっぱりあの人ですよねえ・・・
引っ付いて離れない咲夜さんに、困った顔をしながらも頭なでなでする美鈴も幻視!
魔理沙はこの後、G排除用の魔法を作るために必死で努力しそうですね。
ウチも霧雨邸状態なのですが不思議とGが湧きません。
週に一、二回の水周りへの熱湯消毒などが効いてるのか
それとも米と食パンしか食ってない状態なのでGの食すものが
そもそも乏しいせいなのか…。
素足で踏めます。
読んでみたいです。
Gよりも蚊に悩まされてる俺は勝ち組?
結構部屋汚いわりに見かけないんだよなぁ。
乙女魔理沙いいよ、乙女魔理沙
紅魔館で巨大なGと戦うやつ( ;´Д`)