Coolier - 新生・東方創想話

悪夢

2006/07/10 01:50:00
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   ―――変な夢を見た―――














 私、鈴仙はてゐが病気になったと聞き、見舞いに行く事にした。
「てゐ、具合はどう?」
 部屋の外から声をかけて中に入ると、そこには私の師匠である八意 永琳が居た。
 どうやら、てゐの看病してくれていたようだ。
 私は師匠に近づきながら、てゐの容体を聞いてみた。
「師匠、てゐの具合はどうですか?」
「今は落ち着いているわ」
 師匠が指差した先には、何の変哲も無い白兎が……
「あの……師匠、てゐは何処に?」
「この兎がてゐよ。てゐは兎になる奇病に罹ってしまったの」
 師匠は静かな口調で現状を説明してくれた。
「は……、ははは、何を言ってるんですか? 師匠。幾らなんでも、そんな冗談は……」
「冗談ではないわ。それに……」
 笑い飛ばそうとする私に、師匠は沈痛な面持ちで続ける。
「この病気は……移るの」
 そう言い、私の前に差し出された手鏡には、ブレザーを着た兎頭が写っていて……







「う~ん。う~ん」
「あれ? えーりんさま、れーせんどうかしたんですか?」
「てゐか。ちょっと胡蝶夢丸の新バージョンをウドンゲで実験中」
「うわ~、飲むとどうなるんです?」
「自分の資質に近い動物になる夢を見れるんだけど……どんな夢を見ているのかしら?」
















   ―――変な夢を見た―――











「妖夢~」
 幽々子の呼び声に、妖夢は料理の手を止めた。
「どうしました? ご飯はもう少しかかりますが」
 顔を出すとそこには彼女の主とその友人の姿があった。
「今日はご飯の仕度はいいわ」
「はいぃ? 今、何て言いました?」
 幽々子の口から出るはずのない台詞に、妖夢は思わず聞き返した。
「だから、ご飯の仕度はいいわよ、って」
「ゆ、幽々子様!? どこか具合でも悪いんですか!?」
「失礼ね~。今日のご飯は、私と紫で作るのよ」
 妖夢は慌てたが、幽々子の言葉に納得した。
「でも、何を作るんですか?」
「女体盛りよ」
「にょたいもり、ですか? それはどんな料理なんですか?」
 妖夢は聞いた事のない料理に、興味を抱いた。
 だから、主の「じゃあ、机の上に寝転がって」と、いう言葉に、「こうですか」と、疑いもせずに従ってしまっていた。
 良く考えれば何か裏がある筈なのに。つまり……
「何でスキマで拘束するんですかーっ!」
 妖夢は机に上がった途端に、紫のスキマに捕まっていた。
 動きを封じられた妖夢に、二人は笑顔でにじり寄る。
「い、いやぁーっ! 何で服を脱がすんですかーっ!」
 妖夢は慌ててもがくが、四肢を固定するスキマはびくともせず、全ての服を脱がされてしまった。
「料理するからに決まってるじゃない」
 幽々子の楽しそうな言葉に妖夢は冥界の外まで届けと言わんばかりに叫んだ。
「放してぇ!! 助けてぇーーっ!!」
 最も、叫んでも暴れてもスキマはびくともしないし、助けが来る訳も無かったが。
 暴れる妖夢に、二人は底の深い器を持って近寄ってくる。
「やめてーーーっ!!」
 幽々子は必死に叫び暴れる妖夢の体に器の中身を垂らした。
「ひゃぅっ! つ、冷たっ!」
「幽々子はめかぶにしたのね」
「ぬるぬるして気持ち悪いーっ!」
「そう言う紫は……あら、納豆なんてナイスね~」
「ネバネバはいやーーっ!」
「やっぱりここには、とろろね」
「あら、素敵」
「ちょっ、か、かゆっ! むず痒いーーーっ!」
 そう言いながら、幽々子と紫は楽しく妖夢を、盛り付けていったのだった。
「や、やだぁーーーーっ! 気持ち悪いーーーー!! 助けてーーーーッ!!!」







「う~、……いや~、……やめて~」
「……む~。妖夢~。ご飯~」
「はっ! す、すいません。すぐに仕度を……」
「大丈夫よ。寝てたから私が作っておいたわ」
「幽々子様が……ですか?」
「ええ。紫に教わった料理があったから」
「紫様の……料理……」
「ネバネバ丼っていって、納豆、めかぶ、オクラ、とろろをご飯にかけて……」
「―――はふぅ……」
「あれ? 妖夢~、どうして寝るの~? 食べないの~?」
「うぅぅ……ぬるぬる、いやぁ……ネバネバいやぁ……」



















   ―――変な夢を見た―――










「少しぐらい胸が大きいからって、いい気にならないでよ!」
「中国のくせに生意気だぜ!」
「その胸、切り落としてやりましょうか?」
 道を歩いていると、何故か一人の妖怪が霊夢、魔理沙、咲夜に虐められていた。
 さすがに妖怪とはいえ、見過ごす訳には行かないか。
「お前たち! いい加減にしろ!」
「何よ慧音。中国を庇うつもり?」
「流石にやり過ぎだからな。これ以上やるなら私が相手になるぞ」
 油断無く、三人に対し睨みを効かす。
「ちっ、しょうが無いわね」
「これ位で勘弁してやるぜ」
「覚えてなさいよ」
 どうやら、諦めてくれたらしい。三人は宙に浮き去っていった。
「大丈夫か?」
 私は虐められていた妖怪に声を掛けた。
「あ、はい。ありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか」
「いや、礼には及ばない」
 実際、三人を追い払っただけだし。
「いえ、せめてお礼に貴方の胸を大きくして差し上げましょう」
 ……は?
 今、何と?
「それでは、さよーならー」
「なっ! ちょっ、ちょっと待っ」
 追いかけようとするが、いきなり容量を増した胸の重みにバランスを崩し、すっ転んでしまった。
「待ってくれ~っ!」
 呼び止めようとした時には、妖怪の姿は何処にも無かった。
 そして、私の胸は服を破かんばかりに膨張していた。
「一体……この胸はどうすれば……」
 私はいきなりで、あんまりな出来事に途方に暮れてしまっていた。
「うわっ!? 何、その胸」
 気付けば、さっきの三人が私を取り囲んでいた。
「これじゃぁ、ほんとのウシチチね」
「と、言うより本物の牛だな」
「と言う事は、ニュウギュウね」
「乳牛! 乳牛!」「乳牛! 乳牛!」「牛乳! 牛乳!」「「「牛乳! 牛乳!」」」
 霊夢が、魔理沙が、咲夜が、私を囃し立てる。
「ち、違う。これは違うんだ」
「「「牛乳! 牛乳! 牛乳! 牛乳 牛乳! 牛乳!」」」
 私の言葉が、三人に届くはずも無く……
「うぅぅ、うわーーーーーっっ!!」







「……!
 ……牛乳……!
 牛乳貰いに来たんだけど、居ないのー!」
「あれ? 咲夜じゃないか、慧音に何か用?」
「あ、妹紅。いえ、牛乳を分けて貰いに来たんだけど、留守かしら?」
「ん? 家に居るはずだけど……やっぱり居るじゃない」
「本当だ。って、寝てるし」
「何かうなされてるみたいだけど。それにしても、何で牛乳を?」
「料理とかに使うし、里に行くよりこっちの方が確実だからね」
「とか言って、胸を大きくする為か?」
「んな訳ないでしょ。人の事言えないくせに」
「私には大きくなる体が無いもんでねぇ」
「うぅぅ……」
「あら? 起きたかしら?」
「乳牛って言うなあぁぁぁーーーーーーっ!!」
「痛っ! ちょっ、慧音っ! いきなり何を」
「こら! 慧音、家の中で暴れるなっ!」
「うがーーーーーっ!!」

















   ―――変な夢を見た―――











 突如、紅い霧に覆われた幻想郷。そして、異変を解決する為に旅立った黒い魔女。
 霧の発生源である紅い館を訪れた魔女の前に一人のメイドが立ち塞がった。

「さっさと諦めな。お前じゃ私には勝てないぜ」
「お嬢様の為にも、十六夜 咲夜の名に賭けてここは通さないわ」
 傷つきボロボロになりながらも、それこそが自分の役目なのだと咲夜は言い放った。
「解んない奴だな。いいか? 所詮、お前みたいなメイドごときが、この私に敵うはずがないんだ」
 それでも動かない咲夜に、魔女は忌々しげに舌打ちをした。
「いいからとっとと退けよ!! お嬢様とやらも、あの中国のように退治してやっからよー!」
「……あの中国のように、ですって………?」
 その言葉に、ぴくりと咲夜が反応した。
「中国とは……美鈴の、ことか…………? メイリンのことかーーーーーー!!!!」
「!? なっ、なにぃっ!?」
 咲夜の怒りの叫びと共に、目に見えるほどに膨れ上がった霊気に、魔女が驚きの声をあげた。
「バ、バカな……何だこの力は!? お前、ただのメイドじゃないのか!?」
「いいえ、違うわ……。今の私は、激しい怒りによって目覚めた十六夜 咲夜の真の姿、スーパーサクヤ人よっ!!」

 幻想郷の命運を賭けた最大の戦いが今、始まる!!







「はっ!?
 ……夢? でも、変な夢だったなぁ。まさか、咲夜さんが変身するなんて」
「私が何ですって?」
「あ、咲夜さん。いえ、ちょっと変な夢…を……」
「お使い先で私が大変な目に遭っていたというのに、門番が仕事中に居眠りだなんて、お仕置きが必要かしらねぇ?」
「いや、これは、その……」
「切り刻まれたい? それとも、針ねずみになりたい? 選ばせてあげるわ。中国」
「やだなぁ、名前で呼んでくださいよぅ」
「そう……欲張りねぇ、美鈴は。……両方がいいなんて」
「あ、あの。ざ、ざぐや゛ざん゛?」
「大丈夫、殺しはしないわ。だって……楽にはしないもの」
「ひ、ひぃっ! た、たすけっ」








   ―――変な夢を見た―――


「はっ!? ……夢?」
「仕事中に居眠りだなんて、いいご身分ねぇ。中……」




     ―――変な夢を見た―――


  「はっ!? ……夢?」
  「仕事中に居眠りだなん……」



       ―――変な夢を見た―――


    「はっ!? …」


           ―――変な夢を
龍玉ネタをやりたかった。
使い古されたネタでも構わなかった。今では満足している。
でも、スーパーサクヤ人はやりすぎたと思う。


何と言うか……いろんな意味でごめんなさい。

7/9 指摘のあった部分を修正。
非常口
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コメント



0.1430簡易評価
6.40名前が無い程度の能力削除
妖夢のセリフ、敬称が抜けてる個所があります。よりにもよって主の。
修正はお早めに。
15.60aki削除
龍玉ネタをやりたかった。
使い古されたネタでも構わなかった。今では満足している。
でも、スーパーサクヤ人はやりすぎたと思う。

うむむ…確かに。
アレがなければ最後まで楽しめたのに。残念。
しかし幽々子と紫はエロいなあ。
26.70反魂削除
元ネタは存じ上げませんが、こういうお話は好きです。
ネタを知らなくても、楽しんで読めましたですよ。