何事であっても、始まりという物はロクでもない事が発端である。
紅の霧事件 意味はないけれど、(主に太陽に)ムシャクシャしたから(R・Sさん 職業:お嬢様)
終わらずの冬事件 ちょっと桜を満開にしたかったから(Y・Sさん 職業:お嬢様)
連夜宴会症候群事件 好きだから。好きだから。宴会の事が。好きだから。(S・Iさん 職業:鬼)
偽月永夜事件 迎えが嫌だったから。後、ちょっとファンシーな気分だったから(K・Hさん 職業:お姫様)
花の異常開花事件 部下がサボっていたから(E・Sさん 職業:閻魔様)
ほんと、ロクでもない事である。と言うか私事ばかりである。
そんな訳で、この話もまたロクでもない思想から生まれた産物なのである。
─ 夏の紅魔館 ─
「暇」
紅魔館当主、レミリア・スカーレットが起き様に発した第一声はコレだった。
「お早う御座います、レミリアお嬢様。お召し物を失礼致しますわ」
そう言いながらレミリアの従者、十六夜 咲夜はレミリアの服を着替えさせる。
そしてそれと同時に、内心で頭を抱えていたりもする。
レミリアの起き様の「暇」発言は、それはもうロクでもない事しかしないのだ。
ある時は咲夜に犬の耳と尻尾を付けて四つんばいに歩かせて散歩させたり。
ある時はパチュリーに「クロスオーバーとか言うのをやってみたい」と言って頭の頂点に穴の開いたマッスルな人を召喚させたり。
ある時は美鈴に訓練を付けてあげるという名目の元、それはもうやり過ぎですよお嬢様って言いたくなるほどボロボロにしたり。
それはもう色んな意味で危険で、色んな意味でロクでもないのだ。
無論、一番被害を被っているのは咲夜なのは言うまでも無い。
そんな訳で、咲夜はレミリアの着替えを淡々と済ませながら頭の中にある情報を見つけ出す。
「本日の天候は快晴ですわ」
「特に外に出たい気分じゃないな」
「魔理沙が図書館に来訪しております」
「いや、私に言っても仕方ないでしょ」
「近隣の妖怪のまとめ役が謁見を申し出ております」
「面倒。美鈴に問答無用で追い払わせなさい」
「新規にメイドが5人増えました。全て人間です」
「そう、かんけいないね」
「ええい!何をすれば暇潰しになるんですかコンチクショー!」
「え、何、逆ギレ!?」
その後、口喧嘩からルール無用の残虐ファイトへと発展しつつ、穏やかに着替えは終了した。
二人ともゼェハァと息を少々切らしている。
呼吸を整えた後二人は、ガッチリと熱い握手を交わした。
「それは置いといて。他に何か面白い事は無いの?」
「そうですね。……そういえば、近々人里でお祭りがあると聞き及んでますが」
「へぇ、何の祭りなのかしら?」
レミリアが興味を持つ。
「確か『七夕』とか言うお祭りですわ。詳しい事は知りませんが」
「へぇ、咲夜でも知らない事があるんだ」
「私は『完璧なメイド』であって『全知全能なメイド』ではありませんわ」
申し訳御座いません。と、咲夜が頭を下げる。
「……となると、パチェに聞くしかないか」
そう呟くと、レミリアは咲夜を伴って部屋を後にした。
ヴワル大図書館。
数え切れないほどの蔵書を誇り、その佇まいは見るものを圧倒する。
……はずなのだが、最近は諸事情によりあちこちがボロボロになっていて、哀愁が漂っている図書館である。
無論、その原因と言えば
「パチュリー、今日はコレとコレとコレを借りていくぜ。いいよな?よし、ありがとう」
「まだ何も言ってな……早っ!何でもう出入り口まで移動してるのよ!?」
「本を取り戻したけりゃ追ってきなー。虚弱体質と出不精は罪だぜー?」
「待ってー、もってかないでー」
フラフラフワフワと飛んでくるパチュリーを魔理沙は後ろ向きに箒に乗りながら眺める。
速度自体は既に緩めており、パチュリーの飛行速度よりも遅いくらいだ。
「ほーら、早くしないと出ちまうぞー」
そうやってパチュリーに声をかけた次の瞬間。
バッターン!ゴキャッ
「パチェー、ちょっと聞きたいことがあるのだけれどいいかしらー?」
「お嬢様、扉はそうやって思いっきり開けるものではありませんわ」
「まぁ良いじゃないか。この大扉だって偶には開け放たれたいはずよ」
大扉を勢いよく開け放ち、レミリアと咲夜が大図書館へと入ってくる。
それを見たパチュリーは、扉を指差しパクパクと口を動かしていた。
「あらパチェ、どうしたの?」
「と、扉……」
「あー、もしかして五月蝿かった?」
「違うわ、扉の裏……」
「裏?」
それを聞いてレミリアは、完全に開かれている扉を閉める。
「あ」
「あら」
「あらら」
扉の後ろには、魔理沙がお約束なポーズで壁にめり込んでいた。
「おー痛、とんだ災難だぜ」
壁から引き剥がされた魔理沙は頭を抑えながら呟く。
頭からはドクドクと流血しているが、誰もツッコミを入れない。
三人揃って『自業自得』の結論に達したようだ。
「それで、今日はどうしたのレミィ」
「そうだな、お前がコッチに来るなんて珍しいじゃないか」
そう言った魔理沙は何時の間にか血が止まり、普通の顔をしていた。
勿論、顔に付着していた血も消えている事も忘れない。
「『七夕』がどういう祭りなのか教えてもらいに来たのだけれど」
「七夕ね、少し待ってて」
そう言うとパチュリーは一冊の本を取り出し、ページを捲りだす。
そしてあるページでその指が止まった。
「あったわレミィ。心して聞きなさい」
─ 七夕とは ─
今は昔、織姫という女傑と彦星という豪傑が七の月、七の日に名も無き川辺で決闘を始めた。
闘いは熾烈を極め、七刻にも及んだ。
しかし、突然の乱入により織姫は死に。彦星もまた二度と闘えない体となってしまう。
織姫は死に際に『また何時か、この日この場所にて死合ましょう』と彦星に言い残す。
彦星はそれを承諾し、再戦を信じてその川に織姫の体を流し、天へと送ったと言う。
その川は『天へと続く川、天へと送り出す川』等の意味を込め、『天の川』と呼ばれるようになったという。
また、七の月七の日にだけ天へ通じると言われ、
天に居る神へと願いを届けるために願いを書いた紙を激流に飲み込まれないように竹に括り付けて流した。
この事を世の人々は「竹に願いを載せる」との意味を込めて『竹願』と呼んだ。
現在の『短冊』はその言葉がナマリが入ったまま伝わった為とされている。
─ 美鈴書房『七にまつわる伝説の戦い』より ─
「そ、そんなに血の臭いがする祭りだったなんて……」
レミリアは思わずゴクリと喉を鳴らした。
「まぁ今では『竹に願望を書いた紙を吊るして成就を心に誓う』みたいなお祭りになってるみたいよ」
「何だかんだで無理矢理騒ぎたい理由を作った訳だぜ」
「なるほどねぇ。何だかつまらなそうだな」
「レミィには願望なんてほど遠いものね」
と、ここでレミリアの頭の中である方程式が打ち出される
七夕=願望×脳で考える人間達の心の奥+霊夢
=霊夢の心の奥の願望を叶える+それを私がやる
=霊夢の心の奥の願望を私が叶える
これをハクレーの方程式に当てはめると
七夕×お祭り=(霊夢の心の奥の願望を私が叶える÷(人々の畏怖+吸血衝動))×(運命を操る程度の能力+時を操る程度の能力)×3.14
七夕祭り=霊夢のハートを広東省でゲッチュ、素晴ラシキカナ地球ハ私ヲ軸トシテ回せ回せ回せ回せ回せ回せぇぇぇぇ!
計算完了
「フフフ、七夕祭りも中々面白そうね」
レミリアがニタリと笑う。
「いや、お前今『何だかつまらなそうだな』って言ったばっかだろ」
「魔理沙、今のお嬢様には多分聞こえてないわよ?」
「レミィはこうなると目的にしか進まないしね」
三者三様の反応。心なしか揃って呆れている様に見えるが、レミリアにはそんな事見えていない。
「咲夜、我々紅魔館は人間どもに全面協力。総出で七夕を盛り上げるわよ!」
「承知いたしました」
早速咲夜は行動を始める。
咲夜が図書館を出ようとすると、ふと何かの視線に気がついた。
後ろを振り向くと魔理沙がこちらを見つめている。
お前さんも中々苦労してるな。
目がそう言っていた。
咲夜は少し困った顔をすると
これが私の仕事であり、生き甲斐なのよ。
と、目で返事を返した。
─ 夏の永遠亭 ─
永遠亭の一室、机の上にもたれかかっている者と、その正面でお茶を啜る者が居た。
「あー、毎日毎日嫌になるほど暑いわね」
「仕方ありませんよ、梅雨が過ぎれば夏が来る。自然は必然なのですから」
永遠亭の表の主、蓬莱山 輝夜と
永遠亭の裏の主、八意 永琳である。
いやでももしかしたら色々と表に出てくる永琳が表の主で
あまり表に出ず、大事があった時にのみ動く輝夜が裏の主なのかもしれない。
「そう言えばそろそろ七夕の季節ねぇ」
「ええ、そうですね」
「七夕ってあれでしょう?織姫と彦星が一年に一回ネチョー、ネチョーってやる」
「身も蓋も無い言い方ですね。まぁ9割方正解ですけれど」
「やっぱりさ、伝説になってもそういう相手が居るのって羨ましいわよねー」
「姫にも随分と居たじゃないですか。言い寄ってこられた殿方が」
「んー、あの時はそういう気が起きなかったのよ。そういう永琳こそ、月ではモテモテだったじゃない」
「所詮男と言うのは顔か体しか見ないのですよ」
「はぁ」
「はぁ」
二人揃って溜め息を付く。
そういう行動を取ってもあまり違和感が無いのは、実年齢のなせる事なのだろうか。
ふと、輝夜が立ち上がり、壁に掛けてあった一文字槍を手にする。
「ねぇ永琳。いくら夏にしてもちょっと熱すぎないかしら?」
「そうですね。もしかすると何処かに狼藉者が潜んでるのかもしれませんね。主に不死鳥を纏うような」
「やっぱりそう思う?私としてはそういう狼藉者は排除した方が良いと思うのよ」
ドスッ!
輝夜が槍を構え、そのまま天井に一気に突き刺した。
「手応えあり」
ドスッ!
そう言って再び、同じ箇所に槍を突き刺しなおす。
すると、輝夜の目の前の畳が跳ね上がり
「おいすー、もこたんインしたお」
そこから人が現れた。
「姫、言い忘れましたが狼藉者は床下ですよ」
お茶を飲みながら永琳はポツリと言った。
「いや、まさか全然違う所を攻撃するとは思わなかった」
「違うわ。偶には王道を走ってみたくなったのよ」
「お気持ちお察しします、姫」
床下から乱入してきた藤原 妹紅も交え、蓬莱人三人、ユルユルとお茶を啜る。
外で鳴くセミの声が、妙に大きく聞こえた。
「それで妹紅、本日のご用件は殺し合い?それとも殺し合い?はたまた殺し合い?」
「それは魅力的な話だけどね。今日は殺し合い無し。全然別の用件だよ」
「珍しいわね。姫と殺し合いに来ないだなんて」
「まぁね。実はさ、慧音の里で七夕のお祭りをやるらしいんだけどさ」
「あら、それは面白そうね。永琳、特大の竹を用意して」
「そう言うと思いまして、既にウドンゲを取りに行かせてます」
「流石ね永琳」
「いやまぁそれでさ、永遠亭全体で参加してみないかって話なんだ」
「それはまた別の意味で珍しい話ね」
「そう言うと思いまして、既に裏は取ってあります」
「流石ね永琳」
永琳と妹紅の話を要約する。
紅魔館が何だか知らないが全面協力すると言って来た。
そしてそこの当主曰く『永遠亭や冥界にも強力を取り付ければそりゃもうゴッツイ祭りになるぞ?』との事。
当初は信用していなかった慧音だが、
レミリアの歴史を見て、パチュリーと綿密に話し合い、咲夜の巧妙な説得に折れ、提案を受け入れたらしい。
「それで永遠亭と面識があり、道中をほぼ完璧に覚えてる私に白羽の矢が立ったって訳」
「なるほどね」
「どうなさいますか?姫」
輝夜は目を閉じ、暫し思考を廻らせる。
これより輝夜会議を始めるわ。議長の輝夜よ
議長、今回の会議の内容はなにかしら?
それは今から説明するわ輝夜。とりあえず先走らないの
あら、御免なさい
今回の議題は『永遠亭は人里の祭りにどんな姿勢をみせるか』よ。それじゃ好き勝手に意見を出して頂戴
そうねぇ、特に断る理由は無いと思うけれど
そうね、今は永遠亭の財源も潤ってるし。輝夜の意見に賛成だわ
ちょっと待って、そもそも面識も無い人里に協力する必要は無いと思うの
輝夜の言う事にも一理あるわ。それに妹紅とは殺し合いをする仲なのよ?
いやいや輝夜。たまには殺し合わない時があっても良いじゃない
でも永琳の浴衣姿ならちょっと見てみたいかも
永琳の浴衣………
では『永琳の浴衣姿を見たいから協力する』で結論はよろしいですね?
ええ。全輝夜一致で決まりだわ
了解しました。それではこれにて輝夜会議を終わりたいと思います。皆、忙しい中集まってくれて感謝するわ
「良いわ。永遠亭も全面的にバックアップしょましょ」
「分かった、慧音にそう伝えておくよ」
「それでは私はウドンゲ達にその旨を伝えてきます」
結論を聞き、永琳は部屋を後にした。
「ところで妹紅」
「何だよ」
「殺し合いに来た訳じゃないと言っても、やっぱり私達は殺し合ってるのがシックリ来るとは思わない?」
「違いないね。慧音に伝える体力も残さなきゃならないし、一殺先取でいいな?」
「十分よ」
永遠亭に爆音が木霊した。
─ 夏の白玉楼 ─
スパァン!スパァン!
西行寺家の庭に軽快な音が鳴り響く。
その音の発生源では、庭師の魂魄 妖夢が木々の剪定をしていた。
そこへ、主の声が辺りに響く
「よーむー、よーむー」
「何でしょう、幽々子様」
剪定する手を休め、主の振り返る。
ポヤポヤとした女性が文字通り浮いていた。
「よーむー、そろそろ休憩にしておやつにしましょう。ちょっと小腹が空いたでしょう?主に私の」
「幽々子様の小腹が空いてどうするんですか。でも良い時間みたいですし、休憩にしましょうか」
顔に落ちてくる汗を拭いながら、妖夢は台所へと向かおうとする。
「あ、いいわよ妖夢。台所まで行かなくても」
「ですが行かなければお茶もおやつもありませんが」
「フッフッフ、幽々子様にお任せなさい」
そう言うと、幽々子は自分の帽子を取り、ゴソゴソと中を探る。
次の瞬間出てきたのは、キンキンに冷えた麦茶とアッサリとしたお煎餅。
「あの……幽々子様。つかぬ事をお聞きしますが、その帽子はどうなっているんです?」
「それはねぇ、乙女の秘密なのよ」
「白黒みたいな事言わないで下さい。どうせ紫様辺りに仕込んでもらったんでしょう?」
「あら、妖夢も随分とつまらない思考になっちゃったわねぇ。昔なら『ど、どうやったんですか幽々子様!?』とか言ってたのに」
「半分は人間ですから、少しずつですが成長しているのですよ」
そんな他愛も無い会話をしながらノンビリとする二人だった。
不意に、妖夢が刀を持って立ち上がった
「幽々子様、何者かが立ち入ったようですので迎え撃ちに参ります」
そう言って飛び立とうとする妖夢だったが、思いがけない言葉が出された。
「わざわざそんな事しなくてもいいわよ」
「ですがこの冥界に入り込んだ者を見定め、敵であれば斬るのが私の役目」
「いやいや妖夢。その必要は無いわ」
「理由をお聞かせ願いますか」
「もう貴女の後ろに居るからよ」
「嘘っ!?」
「う・そ♪」
妖夢は派手にずっこけた。
あまりに派手にこけ過ぎて、うっかり後頭部をぶつけてしまった。
頭を抑えながらゴロゴロとその場で転がる妖夢。先程までシリアスっぽかった空気は、見事にドリフ色に染まっていた。
「一応聞いておくけど、大丈夫?」
「ほら妖夢、狗に心配されちゃ駄目じゃない。そんな事じゃあ狛犬より性質が悪いわ」
「それで、紅魔の狗風情が私に何の用事かしら?」
騒ぎが落ち着いたところで、和室に場所を移し幽々子と咲夜が対面した。妖夢は襖の入り口付近に座している。
「はい。此度は我が紅魔館の当主、レミリア・スカーレットからの書状を渡す為の使者として参りました」
「そうでしたか。先程働いた暴言、どうぞお許しくださいませ」
「いえ、我々とそちらでは大した交友を持っておりません。警戒するのが普通でしょう。……こちらが書状です」
咲夜は懐から一通の便箋を出し、幽々子に手渡した。
「はてさて……。『ああ、霊夢。私は貴女の事を考えると昼も眠れなくなり、ハートがヒートしてブレイクしそうなの』」
「幽々子様。こういった堅い雰囲気が苦手なのは存じておりますが、マジメに読まなかったら相手に失礼ですよ」
「いやいや妖夢。本当にそう書かれているのよ」
「本当ですか!?」
「う・そ♪」
妖夢、二度目のズッコケ。今度は畳を一枚駄目にしてしまうほどおでこを削ってしまった。
「急に『たまには格式に則ってやりたいわ』と言うものだから何か怪しいとは思ったけれどね……」
「あら。何だかんだで貴女も妖夢には何も教えなかったじゃない」
「主の考えを先読みできなければ従者は務まりませんわ」
「いやいや、そういうところが未熟なのが妖夢の可愛さなのよ」
妖夢は二人のやり取りを聞くことしかできなかった。
「……と言うわけで、冥界にも全面的に協力をしてもらおうと説得に来たのですよ」
「まぁ話は大体分かったわ。悪く言えば貴女のお嬢様の我侭に付き合え、と」
「身も蓋もありませんが、それが真実です」
ふむぅ。と幽々子は腕を組み、考える。
そもそも今回の話は冥界には基本的にメリットは無い。
だがしかし、デメリットがあるのか?と言われると別段デメリットも無い。
要は承諾するにも拒否をするにも決め手が無いのだ。
(どうしようかしら)
幽々子は只管に思案に暮れる。
ふと、妖夢が神妙な顔付きでこちらを見ていることに気が付いた。
「どうしたの?妖夢」
「え、いや、別になんでもございません」
「ふぅん、そう」
そんな妖夢の様子を見て、幽々子は思わずクスリと笑う。
そして幽々子の答えは決まった。
「せっかくのお祭りですものね、たまには羽目を外してみるのも良いでしょう」
「それでは……」
「ええ、冥界からも全面的に協力はさせてもらうわ」
「承知しました。ではレミリア様にそうお伝えします」
「妖夢、彼女を丁重にお送りなさい」
「はい。咲夜殿、こちらへどうぞ」
そういって妖夢と咲夜は、屋敷の外へと出て行った。
「フフフ、妖夢も素直に『私も人間達のお祭りを見学してみたいです』って言えば良いのに」
どうやら先程、妖夢が幽々子の方を見ていたのはそういう意味合いだったらしい。
自分の我侭を押さえ込んで全てを主に任せるところは、やはり妖夢も従者なのだろう。
そういった所を敏感に察知して、出来る限りの要求を聞き届ける辺り、この二人は理想の主従関係の一つを保っているのかもしれない。
「たまには息抜きをさせてあげなきゃ駄目よねぇ」
誰に言うでもなく話しかける。
冥界はとても静かだった。
「で、この辺りで祭りに入れば至極平穏な祭りになったんだが……」
人里の近くの一軒家、そこの家主である上白沢 慧音は思わずこめかみを押さえる。
目の前にした我が家の屋根には、殴り書きで書かれた一枚の巨大な板が乗っていた。
【第○○回 チキチキ!!人里祭りについての色々な話し合いをする場所合同本部本部】
慧音には到底理解ができなかった。できたとしても理解したくなかった。
(そもそも何だ、○○回って回数不定じゃないか。
しかも長い。無駄に題名が長い。しかも本部って二回書かなくてもいいじゃないか。
大体チキチキって何だチキチキって、ああもう意味分からん。)
そこまで考えて、とりあえず慧音は真っ当な思考を手放した。
何はともあれ、自分の家に入らない訳には行かない。
慧音は覚悟を決めて自分の家の扉に手をかける。
ガラガラッ
「だから、ここの家屋や田畑を全部潰して紅魔館への直通道路を作るんだよ」
「いいえ、そこは私達が河川を永遠亭の近くへ引っ張るのに使うから譲れないわ」
「すかー、ふしゅー。よーむぅ、浴衣とっても似合ってるわよぉ……むにゅ」
「うおぉい!よりによって私の家で堂々と物騒な話をするなぁっ!」
無事に祭りができるものなのか、慧音はかなりの不安を感じ始めていた。
まぁいいか
回せ回せ~
…
……
Oh ジーザス!(笹と竹の区別が付かなかったらしい)
素麺吹いた
>「だから、ここの家屋や田畑を全部潰して紅魔館への直通道路を作るんだよ」
>「いいえ、そこは私達が河川を永遠亭の近くへ引っ張るのに使うから譲れないわ」
>「すかー、ふしゅー。よーむぅ、浴衣とっても似合ってるわよぉ……むにゅ」
>「うおぉい!よりによって私の家で堂々と物騒な話をするなぁっ!」
どこの悪の秘密組織の会議室ですか
ちょwwwwwオリエンタルラジオwwwwwwwwwwwww