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幻想刑事レイム 第十四話『夢想の心 この一撃にすべてをかけて』

2006/06/25 10:41:20
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 犯罪組織「マヨヒガ」は幻想刑事レイムを倒すためにダブラーを改造した改造ダブラーを生み出した。レイムはこれを迎撃するが勝負をつけることはできなかった。改造ダブラーの出現は幻想連邦警察の上司映姫長官にも衝撃を与えた。映姫長官はレイムにアドバイスをし、鍛えなおす為に秘書の小町をつれて博麗神社に向かった。

 主題歌(幻想刑事レイム)

 第十四話『夢想の心 この一撃にすべてをかけて』

 霊夢は畳の上に正座をしていた。此処は博麗神社の一室である。霊夢は何かを考えるときに此処を利用していた。
 静かに目を閉じる。霊夢は今までのダブラーとの戦いを思い出し、メイリンダブラーを倒すための作戦を立てようとしていた。


「シャンハーイ!」

 人形の群れが襲い掛かる。それを避けると同時に攻撃を仕掛ける。

「レッドビーム!」

 人形の群れが落ちる。しかし、そこにはシャンハイダブラーはいなかった。辺りを見回す。
 その隙を突き上空からシャンハイダブラーの手が首に絡みついた。


 ヨウセイダブラーが放ったエネルギー弾の弾幕が辺りを埋めつくした。

「レイムー!伏せろー!」

 マリサの声が聞こえた。嫌な予感がするので伏せ、、マリサの方を見た。
 そこには、自分がいるほうに向かってバズーカを構えているマリサがいた。

「くらえー!マスタースパーク!」

 七色の光がレイムを通り越していった。


「ハルー!」

 リリーダブラーの悲痛な叫びが耳に届く。

「リリー!やめなさい!貴女とは戦えない!」

 叫ぶ。たとえ耳に届かなくても。心に届くように。


 薙刀がコンバットスーツを切り裂く。火花が散り、背中に衝撃と痛みがはしる。

「カァー!」
「このっ、はあ!」

 足払いを掛けようとするもののカラスダブラーはすばやく上空へ飛び立つ。

「レッドビーム!」

 飛べない私は苦し紛れにレッドビームをやつに向けてはなった。


 今までの戦いの記憶が頭をよぎる。

 しかし、過去の戦いからは打開策は見つけることができなかった。

 すると、後ろの襖が静かに開いた。

 マリサだろうか。彼女はなんだかんだいって、霊夢の事を気にかけてくれているのだ。

 (まあ、その点はありがたいんだけど…。)

 後ろを振り返らずにゆっくりと口を開く。

「マリサ、この部屋には入ってこないでって何回言っ「久しぶりですね、レイム。」

 驚き、振り返る。そこにはいつも見慣れた白黒少女ではなく、幻想連邦警察の運動着を着た少女が立っていた。

「映姫長官…。」

 目の前にいる少女の名を呟くと、映姫はにこりと微笑み口を開いた。

「鍛えなおしてあげます。レイム。」


 一方、マヨヒガの本拠地「マヨヒガ城」では、メイリンダブラーの再改造が行われていた。レイムとの戦いでは後一歩のところでオーバーヒートを起こしてしまった。
 
「よし、終わったわ。」
「さすがです、ししょー。これでメイリンダブラーは時間無制限で戦えるわけですね。」

 この二人は、メイリーンとうどんげ。マヨヒガの幹部と助手である。改造ダブラーの発案者である。

「かなり、お叱りを受けたけどね。」
「いいじゃないですか。これでレイムを亡き者にできれば、だれも文句なんて言えなくなるはずですよ。」

 そうなのである。前回の戦いはエイリーンの独断であり、マヨヒガ城に帰った時にゆかりんには「な~んで、そんな面白そうなことをおしえてくれないのよ~。」と言われ、藍や魅魔には嫌味を言われてしまったのだ。

「まあ、このメイリンダブラーには頑張ってもらわないとね。」

 静かに微笑んだ。彼女の頭の中には、レイムに勝つメイリンダブラーの姿が浮かんでいた。


 霊夢の剣が盾に阻まれる。一拍おいて金属音が聞こえ、霊夢の剣が宙を舞った。

「踏み込みが甘い!その程度では、小町のほうがましな動きをしますよ!」
「はい!」
「もっと刃先に力を集中させなさい。懐に飛び込まなければすべて防がれてしまいますよ!」

 映姫と小町は博麗神社につくとマリサを呼び四人でマリサが撮った画像の分析を始めた。霊夢に勝機を見出す為である。

「今のままでは勝てる見込みは低いです。」
「そんなのわかっているわ。」
「なら、対策は立てているのですか?」
「それは…、今考えてるところよ。」

 すると、小町が大量の紙をもってやってきた。

「映姫長官、頼まれていた資料です。」
「ありがとう、小町。」

 その紙を受け取ると、霊夢のほうを見据えて口を開く。

「これが、あなたの勝率を上げる切り札です。」

 そして、紙を霊夢の渡す。そこに書かれていたのは、

「『コンバットスーツ強化案』?」
「そうです。これは上からの許可も取っています。」
「でも、なんでまた?」
「元々はかなり前からあったんですけどね。今回の改造ダブラーの件で正式に許可が下りたんです。」

 霊夢がさらに何か言おうとすると、奥のほうから声がかかった。

「長官、分析終了だぜ。」
「わかりました。レイム、あなたも来てください。今回の強化がなぜ必要か、説明します。」

 奥では、小町とマリサがモニターの前に立っていた。
 モニターにはマリサが撮ってきた霊夢とメイリンダブラーの戦いが映し出されていた。

「今回戦った改造ダブラーのパワーはざっとみて約三倍になります。」
「三倍!?」
「そして、さらにこの盾。この盾の強度はチタン合金の約二倍です。」
「なるほどな。レイムダイナミックを防いだのは伊達じゃないってか。」
「でも、この盾さえ攻略できれば…。」
 
 すると、映姫は画面を変える。レイムダイナミックのシーンが映った。

「もしこの時、盾がない状態でレイムダイナミックを命中させても改造ダブラーを倒すには至らないんです。」
「…、どういう事?」
「分析したところこの改造ダブラーの表皮の硬さは通常のダブラーの約二倍。もしレイムダイナミックを当てても、表皮で斬撃が止まってしまい致命的なダメージには…。」
「だから、強化を…。」
「しかし、それだけでは貴女は改造ダブラーに勝てません。新しい技が必要です。ここに来たのはコンバットスーツを強化し、あなたを鍛えなおすためです。明日から特別訓練を行います。」
「はい!」


「いいですか!?貴女のレイムダイナミックで盾が切れるのは証明済みです!しかし、その盾以上に改造ダブラーの皮膚は強固です!それを切断し、致命傷を与えるにはレイムダイナミックの威力を上げなければなりません!」

 刃先を霊夢に向ける。厳しい顔つきの澄んだ瞳。

「強化されたコンバットスーツではそれも可能でしょう。しかし、それだけではいけません!貴女自身がコンバットスーツに振り回されない為に体を鍛えなおさなければなりません。」

霊夢が後ろにとんだ。霊夢がいた所に映姫の剣が突き刺さった。

「どうしました!?遠慮はいりませんよ!」
「いきます!はあああ!!!」

 霊夢が映姫に飛び掛った。


「へ~、これが強化版コンバットスーツか。あんまり変わってない気もするぜ?」
「外見はほとんど変わってませんが出力は前回の三倍になってます。」
「装備は前とは変わっていますか?」
「ビームの威力を上げています。」
「そして最大の違いは、これ。」

 そういって小町の手には刀があった。

「それは?」
「大麻じゃ、出力に耐えられなくってね。レイムのデータからこれが一番使いやすいだろうと思って。」
「…、わかったわ。ありがと。」

 そして、二人が帰るときが来た。

「映姫長官、ありがとうございました。」
「私にできるのはここまでです。後はレイム、貴女次第です。」
「はい。」
「あ、あと、最後に言いたい事があります。」
「?なんですか?」
「夢想の心というのを知っていますか?」
「むそうのこころ?」
「そう、夢想とは夢のようにあてもないことを心に思うことという意味です。犯罪は人が人である限り無くなるものではないでしょう。しかし、夢想の心があればどんなことがあっても心を強く保つことができます。」
「夢想の心…。」
「がんばってくださいね。」
「はい!」


 霊夢が修行をしていたとき、ここ、マヨヒガ城でもメイリンダブラーの改良も終わっていた。

「エイリーン博士、ありがとうございました。これでレイムと戦うことができます。」
「ええ、メイリンダブラー、貴女がレイムを倒せば幻想郷は我らがマヨヒガのものになったも同然。」
「はい。レイムなんてイチコロです。」
「まあ、あっちも何か対抗策でも練ってるんでしょうけど。」
「大丈夫です。あの盾と、この体があれば、レイムなんておそるりにたらんです。」
「そうね。あなたの体は私の研究した中でも選りすぐりの強度を誇っているわ。たとえレイムダイナミックでもあなたを倒すことはできないわ。」
「今度、戦ったときがレイムの最後です。」


「ねえ、マリサ。」
「ん?なんだ?」
「もし、私が負けたら骨はここに埋めてくれない?」
「…、縁起でもない事言うなよ。」
「冗談よ。本気にした?」
「お前なぁ…。」

 その時、霊夢に向かって矢が飛んできた。霊夢はそれを無言で弾き落とした。
 その矢には文がついていた。

「矢文?」
「古風だな。」
「『明朝八時 湖の畔で待つ メイリンダブラー』」
「よし。」
「予行演習でもするか?」
「寝る。」
「は?」
「遅刻しちゃいけないでしょ?今のうちに寝とくのよ。」

 そう言うと霊夢は自室へと戻っていった。

「なんだ。余裕があるじゃないか。」


「なんて、眠れないじゃない。」

 霊夢は、寝室で正座をしていた。

「こんなことって今までなかったのに…。」

 自分の顔から汗が吹き出ていることに気づいた。汗の雫が畳に落ちる。

「生と死の間。シュレディンガーの猫状態か…。」

 自分が猫耳をつけている姿が頭をよぎる。

「ぷっ、はっはっはっはっは。まだ余裕がある、か。」

 気がつけば霊夢は安らかな寝息を立てていた。


 湖の畔。そこに立つ影が二つ。

「あら、早かったわね。」

 一つ目は霊夢。

「よく逃げ出さずにこれたわね。」

 もう一つはメイリンダブラー。

「いつもよりぐっすり眠れた気がするくらいよ。」
「減らず口を!」

 隣にあった岩を持ち上げ霊夢に向かって投げつける。

「とおっ!」

 避けると同時に近くの岩に飛び移る。

「巫女着!」

 手を上に掲げると光が霊夢を赤と白の戦士へと変える。

「幻想刑事レイム!」
「ふん。これでもくらえ!」

 再び岩がレイムに向かって投げられる。

「いくわよ!とおっ!」

 レイムは岩を叩き砕くと、メイリンダブラーに向かって飛び掛る。

「あんたを倒すわ!」
「こっちの台詞だ。お前を倒し、私はダブラーの頂点に立つ!」

 レイムの拳がメイリンダブラーの顔を捉える。

「軽い!」

 メイリンダブラーの平手打ちがレイムの腹を抉る。

「ぐっ!っこの程度!」

 レイムのハイキックがメイリンダブラーの顔を打つ。

「っか、軽いわよ!」

 メイリンダブラーの反撃の頭突きが決まる。

「ごっ!このお!」

 レイムの貫き手が首に突き刺さる。

「ぎゃっ!ごほっ!えげつな!」


 その頃、マヨヒガ城では。
 首領のゆかりんはその様子を面白そうに眺めていた。

「レイムをスキマ空間に引きずり込みなさい!」

 ゆかりんは次元と空間を操作し、スキマ空間という一種の異次元空間を作ることができるのだ。

 メイリンダブラーとレイムの間の空間に亀裂が走り、メイリンダブラーはそれに吸い込まれていった。

「ミコセリオーン!」

 ミコセリオンに乗り、レイムはスキマ空間に突入していく。
 その時、いきなりメイリンダブラーが飛び掛ってきた。

「落ちろー!!」

 抱きかかえられたレイムはそのまま空間の底へと落ちていった。


 メイリンダブラーを振り払い、レイムは地面に着地した。

「どこよ?ここ。」

 レイムが着地した場所は砂しかない、いわゆる砂漠と言う所であった。
 空には無数の目がこちらを見ているような見ていないような微妙な目線をしていた。
 その時、何もない空間から斧が飛んできてレイムに命中する。

「ふあ!」

 さらに反転して、レイムに向かって飛んできた。

「でやっ!」

 レイムは斧をキャッチすると斧が放たれた場所に向かって投げ返した。

 挿入歌(チェイス!レイム!)

 するとそこにメイリンダブラーが現われ斧を受け止めた。

「レイム!覚悟!」

 斧が振り下ろされレイムの頭を狙う。

「なんの!」

 レイムは真剣白刃取りをし、斧を受け止める。
 斧を押し上げ腹に蹴りを入れ、斧を弾く。
 するとすぐさまメイリンダブラーはレイムを掴み投げ飛ばす。

「とお!」

 レイムは着地すると同時に右手を標的に向けて突き出す。

「レッドビーム!」

 メイリンダブラーの足元が爆発する。
 さらに構えを取り追撃を行う。

「夢想封印ビーム!」

 しかし、メイリンダブラーに直撃すると思われたビームはどこからか現われた盾によって防がれてしまった。

「チャイナー!」

 さらに、剣が現われ刃先が突きつけられる。
 レイムは両手を腰に当て居合いのようなポーズをとると剣が現われた。

「とお!」

 挿入歌(スーパーヒーロー僕らのレイム)
 
 レイムの剣が横に薙ぎる。しかし、盾によって弾き返される。
 メイリンダブラーは盾を前に出し突進してきた。

「うりゃあああ!」

 レイムは盾で殴られ飛ばされる。
 受身を取り、立ち上がる。
 右手で構えた剣を左手でなぞる。剣が光に包まれた。

「夢想ブレード!」

 夢想ブレードを前に突き出し威嚇する。
 メイリンダブラーはそれを静かに睨む。
 そのまま両者動かず、時が流れる。それは一秒かもしくは一時間かもしれない。

「これで最後よ。」
「それはこっちの台詞だ!」

 レイムの心眼スコープが発動し、メイリンダブラーの動きを捕らえる。
 両者走り出し、剣と剣がぶつかり合う。
 二つの影が離れ、レイムが宙返りをし、剣が振り下ろされる。

「レイムダイナミック!」

 ガキン!

 レイムダイナミックはメイリンダブラーの盾に防がれていた。
 火花が散りレイムは空中で停止したままだった。

「勝った!こんなこともあろうかと!盾は強化済みよ!」

 そう叫び、レイムを力任せに弾き飛ばす。
 レイムは空中に投げ出されながらも体をコントロールし真上に飛ぶ。
 後方伸身宙返りをし位置を整え、叫ぶ。

「レイームダイナミーック!」

 エネルギーが刃先に集中していることがわかる。暴れまわるエネルギーを抑えながら標的に向かって振り下ろす。

「オーバーブレーク!」

 メイリンダブラーはとっさに盾でガードを行う。
 閃光が走った。
 静寂が二人の間を支配した。

「まさか、盾を貫通するなんて。」

 メイリンダブラーの口が開くと同時に盾が真っ二つになり、落ちる。
 崩れ落ちながらレイムの肩を掴む。

「ねえ、最後に、いいかしら?」
「なによ?」
「その反則技は何?」
「奥の手よ。体が悲鳴あげてる。」
「そう。がんばってね。まだマヨヒガは、改造ダブラーを造ってくるわ。」
「言われなくてもやってやるわよ。」
「マヨヒガ!バンザー!」

 爆発音が辺りに轟いた。
 レイムは爆風の中、これから激化していく戦いを思い、大きくため息をついた。

 ED(博麗神社をよろしく)歌 霧雨 魔理沙

 足を踏み出せばそこはもうスキマ世界 マリサに会いに出た霊夢をマヨヒガの罠が襲う
 不思議な空間から霊夢は脱出できるのか?
 次回、幻想刑事レイム『悪夢への招待状 道化師の宴』 お楽しみに
どうも。時の住み人です。
今回はレイムパワーアップ編を2話にわたって、書いてみました。
いかがだったでしょうか?
メイリンを活躍させたかったので強敵にしてみました。

マリサ、活躍させたいな。でも、むずかしいなあ。
がんばってみたいと思います。
最後になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
できれば感想をいただければうれしいです。
ではでは。

(ちなみに、回想シーンの戦いは第三話、五話、七話、十話です。)

(ご指摘のところを修正させていただきました)

(題名を改良しました)
時の住み人
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コメント



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8.60TNK.DS削除
一応、誤植っぽいので報告。
レイムダブラー→メイリンダブラー・・・では?ミコセリオンに乗るとこあたりで見つけたのですが・・・それ以外は大丈夫みたいです、次回作を待ってます。