オリキャラ男が出てきますご注意を
育春記
それは、ある晩秋の夜でした
私はパチュリー様の頼みごとを受けて竹林の奥に居ました
「大丈夫?送っていくけど」
「何度も来たんで道は分っていますんで
有難うございます鈴仙さん」
「じゃあ」
「ええ、では」
そう言って永遠亭から去って行きます
髪が風でサラサラと揺れます。
「さて、終わったしさっさと帰りましょう」
速度を上げて飛びます
と、そこに
「このニートが!!堕ちろ!」
「そっちこそ白沢が居なければ何も出来ないくせに!」
「何だと!」
いきなりの戦闘に巻き込まれてしました。
「パゼストバイフェニックス!」
「なんの!仏の御石の鉢!」
圧倒的な力に私は巻き込まれてしまい吹き飛ばされました
「むきゅ!」
パチュリー様の口癖が口から漏れました
そして私の意識は暗転してしまいました。
目が覚めると竹林で、
目の前には……卵がありました
大きさは本で読んだダチョウ位で奇妙な模様がついています。
「何の卵でしょう?」
周りには巣らしき物は無く
親らしいのも居ません
そこで私はこれを持って帰ることにしました
持って帰ってまず、パチュリー様に聞いてみます。
「危ない物が生まれなければ良いわ
それにしても・・・・こんな卵は初めてね
興味もあるし飼って良いわ。」
許可を貰いました
しかし、パチュリー様でも分らないこの卵は一体何なんでしょう?
とりあえず背中に背負って暖めてみることにします
「リトル、何してるんだ?」
執事の一朗さんです
この人も職業柄、結構な数の怪物を相手にしているはずです
聞いてみる事にしましょう
「こういう事情で……。」
「成る程な、俺も知らないな
そうだ、何でも知っている生き物に紹介状を書いてやる。」
そう言って紙を渡してくれました
「今行けば居ると思う
人間の里の小高い丘の家だ
その紙を見せれば分ってくれる。」
「ありがとうございます」
「良いって事だ」
そう言って人間の里へ向かいました
暫く飛んで目標の里に着きます
見えましたあのお家のようです。
コンコン
「誰だ?」
扉が開いて
人が姿を見せます
「妖怪?何でこんな時間に」
「えっと一朗さんからこれを見せればと」
「ふむ・・・・成る程
まあ、上がれ。」
そう言われるままに玄関から上に上がります
「リトルで良いのか」
「はい、えっと」
「上白沢 慧音と言う好きに呼んでくれ」
「えっと、じゃあ 上白沢さん」
「で、それが話の卵と言う訳か・・・・
ふむ、これは・・・・初めてだな」
「そうですか・・・・」
「興味もあるし
今日は遅い泊まって行け」
「あ、いいです
パチュリー様も心配しますし。」
「慧音ー」
「妹紅、起きたか」
「あの妹紅って」
「ああ一緒に暮らしている」
その声は何処かで聞いたことがありました
何処でしたっけ・・・・・・
その相手が出てきました。
「あっ!!」
「何だ知ってるのか妹紅」
「いいや知らない」
「いや、竹林で撃ち落されてしまって」
「ゴメンあの時飛び込んで来たのだったの」
「それはすまない
じゃあ一朗によろしくと」
「はい!」
そして去って行きます
また紅魔館です
「結局分らなかったのね」
「ええ・・・何の卵なんでしょう?」
とりあえず寝室に運んで抱いて寝ます
「何の卵かなー」
次の日です
卵が動きました
早速パチュリー様に言うと
「あと2,3日で孵化するわね。」
と言われました
どんな生き物が出てくるか分らないけど
楽しみです。
それから2日が経ちました
私は卵を背負って司書の仕事をこなしています。
「そろそろね」
「何が出てくるのやら」
「あの卵の模様は何処かで・・・・・」
3人が図書館に居ます
パチュリー様はともかく
一朗さんもよく来るとして
上白沢さんは初めてです
とその時卵が飛び跳ねました
「わっ!わっ!」
落っこちたら大変です
慌てて拾いました
パキッ!ピキッ!
卵のひびが広がり割れました
「!」
目の前に小さな羽を生やした子供が居ました
身長は75cm位
白い服を着ていて
それは赤い縁取りが控えめに刺繍されていて
それと同じ柄の帽子を被っています
そして羽は自分の皮膜のとは違い
ちゃんとした羽毛に包まれた天使の様な羽です
何が一番近いと言えば10人中10人が天使と答えるでしょう。
「「「これは」」」
「天使?」
「「春の妖精だ」」
彼女はきょろきょろと辺りを見回し
私の方を見てにっこり笑い
「お母さん!」と言いました
その瞬間私の頭は真っ白になりました。
「ちょっと席を外そう」
「同意」
「そうね」
3人が行ってしまいます
「私はどうすれば……」
「お母さん!」
「私!?」
「うんだって、ずっと感じてたもん
お母さんの温もり!」
そうでしたあの卵温めていたのは私でした
それだからこの子は私を母親と思ったのです
「私はお母さんじゃなくてリトルって言うんです」
「リトルお母さん!」
単語になっています。
とそこへ救いの手が!
「とりあえず御飯にしよう」
一朗さんが帰ってきました。
「誰?」
「一朗さんって言うんですよ」
「一朗おじさん!」
「そうだ一朗さんだ」
一朗さんの笑顔が一瞬凍りついたように見えました
「兎にも角にも月兎でも蓬莱人でもお腹は空く
食べた方が良いぞ!」
「わーい!」
食べながら聞きます
「この子は一体何の種族なんです?」
「春の妖精リリーホワイトの子供だと思う
リリーホワイトに関しては
「季節の妖精」に載っていたぞ。」
「そうですか」
「家に空き部屋もあるし良かったら引き取るが」
ぎゅっ
「いや!お母さんと一緒が良い!」
「そうか・・・・・どうする?」
頭の中に色々な事が浮かびます
この子は私を信頼してくれる
そしてぎゅっと服を握られたとき
説明できないような気持ちが浮かびました
そして決心しました
「私が親と認められた以上頑張ります!」
「そう言うと思っていたよ」
そうして私の奮闘記が始まります
まずは躾です
絶対あの黒い悪魔の様にはさせません
「お母さん?」
「あっ!大丈夫ですよ」
「そうですか」
そんなこんなで3日ほど経ちました
いよいよ季節は冬になり雪が降りました
あの子供の名前は元のままでリリーとしました
「ちゃんと服は片付けること」
「はーい」
喋るとき何処かを伸ばすのが癖みたいです
まあ、リリーホワイトは「春ですよー」と言う風に春を伝えるのが役目みたいです
詳しい生態は何も分かっていません
「母性本能が魔族にあったなんて驚きだわ」
「まあ、生き物は何でも持っていますし」
「そうね・・・・私はあの子だったわ。」
「昔話とは珍しい」
などと更に1ヶ月間程が過ぎてしまいました。
「リリー御飯ですよ」
「はーい!お母さん」
あの子は120cm位に育っていました
そして冬は少しずつ春になっていきました。
そして春が来ました
あの子は私より身長が高くなり
言葉遣いも変わってきました
「お母さん」だったのが「小悪魔さん」になりました
そして別れは突然来たのです。
「小悪魔さん今まで有難うございました」
ある晴れた春まじかの日
いつもよりも早く外では花が咲き始めていました。
「急にどうしたんですか?」
「春を伝えに行きます」
「もうちょっと居たらどうですか?
まだ雪も残っているし」
「いいえもう外から春を感じるんです
この幻想郷に、春がやってきたのを伝えること。それが私に出来るたった一つの事ですから…」
何故か寂しそうにリリーは言いました。
「行ってらっしゃい
必ず帰ってくるんですよ」
また会えると信じて送り出します
「行ってきます小悪魔さん」
そう言って彼女は飛び立ってゆきました。
2日後
それから2日が経ちました
上白沢さんがいそいそとした様子で来ました。
「何でリリーが卵だったかが分った」
「えっ!」
「リリー・ホワイトは、その季節のダメージによっては卵になって
回復を図る
去年は冬が長く続いていた所為で春は短く激しかった。
だが春の妖精は、一度も見ていない
それは、多分あの3人の攻撃でダメージを受けていた所へ妹紅と輝夜の
殺し合いに巻き込まれた。
結果卵になって次の春を待つことにした
と言う所だろう。」
「それがどうかしたんですか?」
「いや、春の妖精は春を伝えるために弾幕を張る
その結果襲われることが多いんだ。」
「…………。」
黙っていました
まさかあの子はそれを知っていて……
「行ってやったらどう?」
急に後ろから声が来ました
「パチュリー様!」
「心配なら、行ってやりなさい
主として許可するわ」
「はい!」
私は出来る限りの全力で飛びます。
このときの様子を門番とメイド長はこう語る
「まるで流星ですよ
赤い残像しか見えませんでした」
「時を遅くしても見えなかったわ」
一朗はほんの少し焦っていた
思いのほか、魔理沙がしぶとかったからである
と、そこへ
「春ですよー」
更に弾幕が追加される
避け切れないので
新たな弾幕を攻撃で吹き飛ばそうとした時
「止めてください!」
射線に飛び込む小悪魔
「クッ!」
射線を魔理沙に変えて撃つ
「やってくれるぜ!」
恋符「マスタースパーク」
射線には子悪魔と妖精+俺
「新作だ!受け取れ!」
盾符「-イージス-絶対防御の盾」
マスタースパークに耐える盾
それもあまり長く持たないだろう
盾が砕ける!
しかし、身を挺して盾にする
「負けたぜ」
魔理沙は根性に呆れて帰ってくれた
「一朗さん!」
「大丈夫だ
何があった」
私は一朗さんに在った事全てを話しました。
一朗さんは聞いてきました
「それがお前の選択なんだな」
「はい!」
「じゃあ、行って来い
その道の先に何があるか
見てきたら教えてくれ。」
「有難うございます」
「良いって事だ」
私はリリーを追いかけて飛びます。
「行ったか
後は無縁塚だけか……」
根岸は無縁塚目指して飛ぶ
この異変の正体を掴むために
「あの子は多分真実を知ったら泣くだろうな」
「ここで自殺はするな!」
「死神か・・・・・
今は近づかない方が良い
気が立っていてな」
「お、やるかい?」
「いいだろう相手をしてやるよ死神!」
三途の川上空で鎌と刀がぶつかり合う
「リリー!」
「小悪魔さん!」
「何であんなことをするんですか!」
「それが私の出来る、たった一つの事ですから…」
リリーは行くときと同じ返答をしました
「………バカ」
「えっ……?」
パチン!
おもいっきりあの娘の頬を叩きます。
口から言葉が溢れ出ます
「嘘つきです!
何が「必ず帰ってきます」ですか
私は………私はあなたをそんな子に育て覚えはありません!」
「………」
「私がついて行きます!」
そして、私達は幻想卿中を回りました
帰った時には夜になっていました
「お帰りリトル」
一朗さんがボロボロになった姿で迎えてくれました
「咲夜さんは・・・?」
「この異変を調べるそうだ
まあ、簡単な答えだがな」
そして夕食を食べてお風呂に入ります
その時あの子が妙なこと言いました
「小悪魔さんちょっと一人で入って良いですか?」
「良いですけどどうかしたんですか?」
「いえ・・・なんでもないです」
そこで私はメイドさん達のお風呂に入って
部屋に向かいました
「リリー居ますか?」
返事が無いので、ドアを開けて入ります
「入りますよー」
そこには紙が置いてありました
{テラスに居ます}
「そうですか・・・・」
しかし妙に気に引っかかります
そこで一朗さんに聞いてみます
そこで意外な返答が来ました
「なあ、リリーの目的は春を伝える事だよな」
「はい・・・・?」
「妖精ってのは生きる意味=目的だ
生きる意味を成し遂げた、その妖精はどうなるのか?」
「え、あ…あの。一朗さん?」
「この幻想郷中に春を伝え終えた今、それが生きる意味だったあの娘の存在は、一体どうなると思う?」
「……………」
「その目的を果たしたあの娘は…この幻想郷にとって必要な存在か………」
「………」
「行け
あの氷精でさえも同じような冬の精霊に別れを言うんだぞ
まして、お前の子供って言っても良い存在だろ。」
「……はい……行きます!」
私は廊下を急いで飛びます
ほどなくしてテラスに着きます
そこにあの子は居ました。
図書館その後
「一番嫌な役は俺か・・・・」
「うまい事やったわね」
「歯切れが悪いですよ」
「でもうまくやったと思うぞ私は」
「後は、主のみごころのみが知る」
「なんだそれ」
「一応聖職者なのでね聖書から取ってみた」
「珍しいな」
夜のテラス
「リリー…………」
「知って………しまったんですね」
「ええ後、どの位なんですか?」
「明日の朝に消えます。」
「…………。」
「だから・・・今日だけは一緒のベットで眠らせてください
・ ・ ・ ・
お母さん。」
「……………。」
ギュッと抱きしめます
「お母さん…。私は、今まで春を伝えてきた中で、今年ほど暖かい年は有りませんでした。それも何より…お母さんに育てて貰えたんですから
だから私も、お母さんと会えなくなるのは寂しいです。でもこの先、ずっと会えなく訳じゃないんですよ…
また、季節が一巡りする頃に来ます。」
「そう…ですよね。来年また会えますよね…」
「はい、お母さん…。来年も、必ず会いに来ますから。一番に貴女に春を伝えに来ますから…」
「………。」
瞳が徐々にぼやけ、その原因は次第に睫毛で支え切れぬほどに量を増し、頬と顎を伝い地面に零れた。
その瞼を拭う手のひらがあった。
「泣かないで下さい…お母さん…」
リリーもそっと抱きしめるように抱愛を返す
リトルもリリーを抱きしめ返していた。
か細い彼女の背中が、折れてしまうんじゃ無いかというくらい力強く。
「じゃあ寝ましょう」
「はい。お母さん」
そして2人は同じ寝室に入り
最後の夜を過ごした
回答
今まで私は、ずっと一人でした。
でも……それを寂しいと感じた事は、それまで有りません…。
あなたに出会うまでは、それが寂しいと言う事だとさえ知らなかったから…。
嬉しさを知るには、寂しさを知る必要があり……。
暖かさを知るには、冷たさを知る必要があります。
私は一人だからそれを知りませんでした…。
ずっと側に居てくれた、あなた…。
優しさと暖かさを教えてくれたのは、あなたなんですよ。
お母さん…。
だから……。
私、決めました。
そして、見つけましたよ。
私が居るべき、場所を…。
朝
昨日は狭かったシングルベット
今まであった事は現実だけど
また、今度は寂しい司書の仕事が入ります
体を起こして周りを見ます
机の上に昨日あの子が着ていたバスローブが在ります
律儀に畳んであります
「…………」
あの子に最初に教えた事
それは……「ちゃんと服とかは畳むんですよ!」
そのバスローブに腕を通します
いつもの服は、少し離れた所にあるからです
その時、ヒラリ と何かが落ちました
ダークブラウンの白い羽
それが限界でした。
「り、リリー……。うっ…ぐすっ…」
目から涙が零れ落ちますが、拭いません。
と、そこに、
______コン!コン!
特徴のあるノック
このノックの仕方をするのは一人しか居ません
しかし、その一人はもう居ません。
誰かの悪戯でしょうか……
その時
「お母さん…。まだ…寝てるんでしょうか?」
「さあな、でも疲れているだろうしもう一寸寝かしてやったどうだ?」
「っ!!」
その時扉越しに聞こえた声。悪魔の聴覚だからこそ聞き取れた、そのか細い小さな、可愛い声を。リトルは間違えようがなかった。
「り、リリー!」
大きな声でその名を呼ぶ。彼女の名を張り上げる。
「起きてるみたいですね」
「じゃあ事情を説明したらどうだ?」
ドアが開きます
そこに居たのは…………。
紅い縁取りがされた、白い衣装に映える金髪。自分と対成す、天使の翼。
今、自分が会いたい人が、笑顔を浮かべて立っていた。
「どうして……。」
「そんな事よりリトル、君に伝言だ」
「?」
「お嬢様からで
春の妖精リリー・ホワイトを
ヴワル図書館副司書に命ずる
との事だ。」
「!??!?!?」
「駄目だ思考が混乱している
リリー、君からも説明してくれ」
「あっはい
えっとお母さん…」
「どうして…リリーがここに居るんですか?」
説明しようとしていたリリーを遮ってしまいした
だけど私の頭はそれを言うのが精一杯でした。
「だって…貴女は春の妖精で。この幻想郷に春を伝えるのが役目で…」
「は…はい」
「それが終わったら…。終わった時には…消えてしまうって…」
「き、消えるっ!? 私がですかっ?」
リトルの言葉に、リリーはさも初耳だとばかりに目を丸くした。
「ええ…だってリリーが言ったんじゃないですかっ。季節が一巡りした来るって…。だから私は…」
「えーああぁ。もしかしてお母さん勘違いしてます?
私達季節の妖精は、確かにその季節以外はほとんど力を失ってしまいます。だから…その季節以外は自分の住処に籠もってずっとおとなしくしてるんです。
力を持たない妖精なんて、妖怪にとって絶好の獲物ですから…」
「俺も始めて知った
で、その過程で襲われたりすると卵になるそうだ」
説明は殆ど頭を素通りして行きました
唯一つ解ったのはこれからもリリーと居られる事
それだけでした
体から力が抜けて行きます
今自分は、どんな表情をしているんでしょうか。
もう心は、いろんな感情があふれ出てきて、制御することすら困難で。
言葉の代わりにリトルの内から洩れたのは、やはり…涙だった。
「ちょっ、お母さんっ!?」
先ほどより激しく泣きじゃくるリトルを見て、リリーは部屋の中へ急いで駆け寄る。
「どうしたんですか、おかあ…きゃぁ!」
瞳を覗き込もうとしたリリーの背中を、思い切り抱き寄せた。
身に再び暖かさが伝わってくる…。
「リリーッ、リリーッッ、リリィィッ!」
ただひたすらに名前を叫び続ける小悪魔。
そんな彼女を見て、リリーは自分も相手の背中に手を伸ばし。
「お、お母さん…。胸…苦しいです…」
そんなもの…さっきリトルが味わった苦しさに比べたら、全然大したこと無い。
「もう…離しませんから…。ぜったい…絶対に…」
「はい…」
リリーは瞼を閉じて、その二文字で小悪魔の思い全てを受け入れた。
そして次に、自分の思いを。愛しい小悪魔の耳元で囁く。
「ねえお母さん。さっきも言ったように、私はこれからの季節…ほとんど力を失います。
だから…その分支えてくださいね………。」
この後。幻想郷を包む開花事件は、日数を重ねる事に、次第に収まっていった。
だがこの年、紅魔館に新たに咲いた、一輪の花だけは、永遠に枯れる事はなかっだろう。
この年。ヴワルで働く司書が一人増えた。
ただそれだけの、そんなお話し…。
~fin~
おまけ
2日後
「あれ?」
「どうしたんですかリリー」
「いや、一朗さんが連れているあの娘って」
「……色違い?」
おまけ2
「悪戯が好きですね」
「貴方、ロミオとジュリエットの話を知ってるかしら?」
「はい
しかし親子ですよ
恋人では無い」
「説明しようと思っていたのに」
「暇な恋の天使も居たものですね」
「ま、当然それは建前ってものだけど…
で、その娘は何?」
「いや、異変の正体が2日前
「これが貴方に出来る唯一の善行です」
と言って卵を渡されたんですが……
まさかリリーの黒い奴が居るなんて」
「珍しいし退屈だから頂戴」
「いいえ試験の一つの課題なので」
「………そう」
「いやに諦めが早いですね」
「いえ、よく見て御覧なさい」
「ん?」
ぎゅっ!
「あ、あんたなんかより、この人のほうが良い!」
「成る程」
「そんなに懐いていたら私でも苦労するわよ」
-終-
育春記
それは、ある晩秋の夜でした
私はパチュリー様の頼みごとを受けて竹林の奥に居ました
「大丈夫?送っていくけど」
「何度も来たんで道は分っていますんで
有難うございます鈴仙さん」
「じゃあ」
「ええ、では」
そう言って永遠亭から去って行きます
髪が風でサラサラと揺れます。
「さて、終わったしさっさと帰りましょう」
速度を上げて飛びます
と、そこに
「このニートが!!堕ちろ!」
「そっちこそ白沢が居なければ何も出来ないくせに!」
「何だと!」
いきなりの戦闘に巻き込まれてしました。
「パゼストバイフェニックス!」
「なんの!仏の御石の鉢!」
圧倒的な力に私は巻き込まれてしまい吹き飛ばされました
「むきゅ!」
パチュリー様の口癖が口から漏れました
そして私の意識は暗転してしまいました。
目が覚めると竹林で、
目の前には……卵がありました
大きさは本で読んだダチョウ位で奇妙な模様がついています。
「何の卵でしょう?」
周りには巣らしき物は無く
親らしいのも居ません
そこで私はこれを持って帰ることにしました
持って帰ってまず、パチュリー様に聞いてみます。
「危ない物が生まれなければ良いわ
それにしても・・・・こんな卵は初めてね
興味もあるし飼って良いわ。」
許可を貰いました
しかし、パチュリー様でも分らないこの卵は一体何なんでしょう?
とりあえず背中に背負って暖めてみることにします
「リトル、何してるんだ?」
執事の一朗さんです
この人も職業柄、結構な数の怪物を相手にしているはずです
聞いてみる事にしましょう
「こういう事情で……。」
「成る程な、俺も知らないな
そうだ、何でも知っている生き物に紹介状を書いてやる。」
そう言って紙を渡してくれました
「今行けば居ると思う
人間の里の小高い丘の家だ
その紙を見せれば分ってくれる。」
「ありがとうございます」
「良いって事だ」
そう言って人間の里へ向かいました
暫く飛んで目標の里に着きます
見えましたあのお家のようです。
コンコン
「誰だ?」
扉が開いて
人が姿を見せます
「妖怪?何でこんな時間に」
「えっと一朗さんからこれを見せればと」
「ふむ・・・・成る程
まあ、上がれ。」
そう言われるままに玄関から上に上がります
「リトルで良いのか」
「はい、えっと」
「上白沢 慧音と言う好きに呼んでくれ」
「えっと、じゃあ 上白沢さん」
「で、それが話の卵と言う訳か・・・・
ふむ、これは・・・・初めてだな」
「そうですか・・・・」
「興味もあるし
今日は遅い泊まって行け」
「あ、いいです
パチュリー様も心配しますし。」
「慧音ー」
「妹紅、起きたか」
「あの妹紅って」
「ああ一緒に暮らしている」
その声は何処かで聞いたことがありました
何処でしたっけ・・・・・・
その相手が出てきました。
「あっ!!」
「何だ知ってるのか妹紅」
「いいや知らない」
「いや、竹林で撃ち落されてしまって」
「ゴメンあの時飛び込んで来たのだったの」
「それはすまない
じゃあ一朗によろしくと」
「はい!」
そして去って行きます
また紅魔館です
「結局分らなかったのね」
「ええ・・・何の卵なんでしょう?」
とりあえず寝室に運んで抱いて寝ます
「何の卵かなー」
次の日です
卵が動きました
早速パチュリー様に言うと
「あと2,3日で孵化するわね。」
と言われました
どんな生き物が出てくるか分らないけど
楽しみです。
それから2日が経ちました
私は卵を背負って司書の仕事をこなしています。
「そろそろね」
「何が出てくるのやら」
「あの卵の模様は何処かで・・・・・」
3人が図書館に居ます
パチュリー様はともかく
一朗さんもよく来るとして
上白沢さんは初めてです
とその時卵が飛び跳ねました
「わっ!わっ!」
落っこちたら大変です
慌てて拾いました
パキッ!ピキッ!
卵のひびが広がり割れました
「!」
目の前に小さな羽を生やした子供が居ました
身長は75cm位
白い服を着ていて
それは赤い縁取りが控えめに刺繍されていて
それと同じ柄の帽子を被っています
そして羽は自分の皮膜のとは違い
ちゃんとした羽毛に包まれた天使の様な羽です
何が一番近いと言えば10人中10人が天使と答えるでしょう。
「「「これは」」」
「天使?」
「「春の妖精だ」」
彼女はきょろきょろと辺りを見回し
私の方を見てにっこり笑い
「お母さん!」と言いました
その瞬間私の頭は真っ白になりました。
「ちょっと席を外そう」
「同意」
「そうね」
3人が行ってしまいます
「私はどうすれば……」
「お母さん!」
「私!?」
「うんだって、ずっと感じてたもん
お母さんの温もり!」
そうでしたあの卵温めていたのは私でした
それだからこの子は私を母親と思ったのです
「私はお母さんじゃなくてリトルって言うんです」
「リトルお母さん!」
単語になっています。
とそこへ救いの手が!
「とりあえず御飯にしよう」
一朗さんが帰ってきました。
「誰?」
「一朗さんって言うんですよ」
「一朗おじさん!」
「そうだ一朗さんだ」
一朗さんの笑顔が一瞬凍りついたように見えました
「兎にも角にも月兎でも蓬莱人でもお腹は空く
食べた方が良いぞ!」
「わーい!」
食べながら聞きます
「この子は一体何の種族なんです?」
「春の妖精リリーホワイトの子供だと思う
リリーホワイトに関しては
「季節の妖精」に載っていたぞ。」
「そうですか」
「家に空き部屋もあるし良かったら引き取るが」
ぎゅっ
「いや!お母さんと一緒が良い!」
「そうか・・・・・どうする?」
頭の中に色々な事が浮かびます
この子は私を信頼してくれる
そしてぎゅっと服を握られたとき
説明できないような気持ちが浮かびました
そして決心しました
「私が親と認められた以上頑張ります!」
「そう言うと思っていたよ」
そうして私の奮闘記が始まります
まずは躾です
絶対あの黒い悪魔の様にはさせません
「お母さん?」
「あっ!大丈夫ですよ」
「そうですか」
そんなこんなで3日ほど経ちました
いよいよ季節は冬になり雪が降りました
あの子供の名前は元のままでリリーとしました
「ちゃんと服は片付けること」
「はーい」
喋るとき何処かを伸ばすのが癖みたいです
まあ、リリーホワイトは「春ですよー」と言う風に春を伝えるのが役目みたいです
詳しい生態は何も分かっていません
「母性本能が魔族にあったなんて驚きだわ」
「まあ、生き物は何でも持っていますし」
「そうね・・・・私はあの子だったわ。」
「昔話とは珍しい」
などと更に1ヶ月間程が過ぎてしまいました。
「リリー御飯ですよ」
「はーい!お母さん」
あの子は120cm位に育っていました
そして冬は少しずつ春になっていきました。
そして春が来ました
あの子は私より身長が高くなり
言葉遣いも変わってきました
「お母さん」だったのが「小悪魔さん」になりました
そして別れは突然来たのです。
「小悪魔さん今まで有難うございました」
ある晴れた春まじかの日
いつもよりも早く外では花が咲き始めていました。
「急にどうしたんですか?」
「春を伝えに行きます」
「もうちょっと居たらどうですか?
まだ雪も残っているし」
「いいえもう外から春を感じるんです
この幻想郷に、春がやってきたのを伝えること。それが私に出来るたった一つの事ですから…」
何故か寂しそうにリリーは言いました。
「行ってらっしゃい
必ず帰ってくるんですよ」
また会えると信じて送り出します
「行ってきます小悪魔さん」
そう言って彼女は飛び立ってゆきました。
2日後
それから2日が経ちました
上白沢さんがいそいそとした様子で来ました。
「何でリリーが卵だったかが分った」
「えっ!」
「リリー・ホワイトは、その季節のダメージによっては卵になって
回復を図る
去年は冬が長く続いていた所為で春は短く激しかった。
だが春の妖精は、一度も見ていない
それは、多分あの3人の攻撃でダメージを受けていた所へ妹紅と輝夜の
殺し合いに巻き込まれた。
結果卵になって次の春を待つことにした
と言う所だろう。」
「それがどうかしたんですか?」
「いや、春の妖精は春を伝えるために弾幕を張る
その結果襲われることが多いんだ。」
「…………。」
黙っていました
まさかあの子はそれを知っていて……
「行ってやったらどう?」
急に後ろから声が来ました
「パチュリー様!」
「心配なら、行ってやりなさい
主として許可するわ」
「はい!」
私は出来る限りの全力で飛びます。
このときの様子を門番とメイド長はこう語る
「まるで流星ですよ
赤い残像しか見えませんでした」
「時を遅くしても見えなかったわ」
一朗はほんの少し焦っていた
思いのほか、魔理沙がしぶとかったからである
と、そこへ
「春ですよー」
更に弾幕が追加される
避け切れないので
新たな弾幕を攻撃で吹き飛ばそうとした時
「止めてください!」
射線に飛び込む小悪魔
「クッ!」
射線を魔理沙に変えて撃つ
「やってくれるぜ!」
恋符「マスタースパーク」
射線には子悪魔と妖精+俺
「新作だ!受け取れ!」
盾符「-イージス-絶対防御の盾」
マスタースパークに耐える盾
それもあまり長く持たないだろう
盾が砕ける!
しかし、身を挺して盾にする
「負けたぜ」
魔理沙は根性に呆れて帰ってくれた
「一朗さん!」
「大丈夫だ
何があった」
私は一朗さんに在った事全てを話しました。
一朗さんは聞いてきました
「それがお前の選択なんだな」
「はい!」
「じゃあ、行って来い
その道の先に何があるか
見てきたら教えてくれ。」
「有難うございます」
「良いって事だ」
私はリリーを追いかけて飛びます。
「行ったか
後は無縁塚だけか……」
根岸は無縁塚目指して飛ぶ
この異変の正体を掴むために
「あの子は多分真実を知ったら泣くだろうな」
「ここで自殺はするな!」
「死神か・・・・・
今は近づかない方が良い
気が立っていてな」
「お、やるかい?」
「いいだろう相手をしてやるよ死神!」
三途の川上空で鎌と刀がぶつかり合う
「リリー!」
「小悪魔さん!」
「何であんなことをするんですか!」
「それが私の出来る、たった一つの事ですから…」
リリーは行くときと同じ返答をしました
「………バカ」
「えっ……?」
パチン!
おもいっきりあの娘の頬を叩きます。
口から言葉が溢れ出ます
「嘘つきです!
何が「必ず帰ってきます」ですか
私は………私はあなたをそんな子に育て覚えはありません!」
「………」
「私がついて行きます!」
そして、私達は幻想卿中を回りました
帰った時には夜になっていました
「お帰りリトル」
一朗さんがボロボロになった姿で迎えてくれました
「咲夜さんは・・・?」
「この異変を調べるそうだ
まあ、簡単な答えだがな」
そして夕食を食べてお風呂に入ります
その時あの子が妙なこと言いました
「小悪魔さんちょっと一人で入って良いですか?」
「良いですけどどうかしたんですか?」
「いえ・・・なんでもないです」
そこで私はメイドさん達のお風呂に入って
部屋に向かいました
「リリー居ますか?」
返事が無いので、ドアを開けて入ります
「入りますよー」
そこには紙が置いてありました
{テラスに居ます}
「そうですか・・・・」
しかし妙に気に引っかかります
そこで一朗さんに聞いてみます
そこで意外な返答が来ました
「なあ、リリーの目的は春を伝える事だよな」
「はい・・・・?」
「妖精ってのは生きる意味=目的だ
生きる意味を成し遂げた、その妖精はどうなるのか?」
「え、あ…あの。一朗さん?」
「この幻想郷中に春を伝え終えた今、それが生きる意味だったあの娘の存在は、一体どうなると思う?」
「……………」
「その目的を果たしたあの娘は…この幻想郷にとって必要な存在か………」
「………」
「行け
あの氷精でさえも同じような冬の精霊に別れを言うんだぞ
まして、お前の子供って言っても良い存在だろ。」
「……はい……行きます!」
私は廊下を急いで飛びます
ほどなくしてテラスに着きます
そこにあの子は居ました。
図書館その後
「一番嫌な役は俺か・・・・」
「うまい事やったわね」
「歯切れが悪いですよ」
「でもうまくやったと思うぞ私は」
「後は、主のみごころのみが知る」
「なんだそれ」
「一応聖職者なのでね聖書から取ってみた」
「珍しいな」
夜のテラス
「リリー…………」
「知って………しまったんですね」
「ええ後、どの位なんですか?」
「明日の朝に消えます。」
「…………。」
「だから・・・今日だけは一緒のベットで眠らせてください
・ ・ ・ ・
お母さん。」
「……………。」
ギュッと抱きしめます
「お母さん…。私は、今まで春を伝えてきた中で、今年ほど暖かい年は有りませんでした。それも何より…お母さんに育てて貰えたんですから
だから私も、お母さんと会えなくなるのは寂しいです。でもこの先、ずっと会えなく訳じゃないんですよ…
また、季節が一巡りする頃に来ます。」
「そう…ですよね。来年また会えますよね…」
「はい、お母さん…。来年も、必ず会いに来ますから。一番に貴女に春を伝えに来ますから…」
「………。」
瞳が徐々にぼやけ、その原因は次第に睫毛で支え切れぬほどに量を増し、頬と顎を伝い地面に零れた。
その瞼を拭う手のひらがあった。
「泣かないで下さい…お母さん…」
リリーもそっと抱きしめるように抱愛を返す
リトルもリリーを抱きしめ返していた。
か細い彼女の背中が、折れてしまうんじゃ無いかというくらい力強く。
「じゃあ寝ましょう」
「はい。お母さん」
そして2人は同じ寝室に入り
最後の夜を過ごした
回答
今まで私は、ずっと一人でした。
でも……それを寂しいと感じた事は、それまで有りません…。
あなたに出会うまでは、それが寂しいと言う事だとさえ知らなかったから…。
嬉しさを知るには、寂しさを知る必要があり……。
暖かさを知るには、冷たさを知る必要があります。
私は一人だからそれを知りませんでした…。
ずっと側に居てくれた、あなた…。
優しさと暖かさを教えてくれたのは、あなたなんですよ。
お母さん…。
だから……。
私、決めました。
そして、見つけましたよ。
私が居るべき、場所を…。
朝
昨日は狭かったシングルベット
今まであった事は現実だけど
また、今度は寂しい司書の仕事が入ります
体を起こして周りを見ます
机の上に昨日あの子が着ていたバスローブが在ります
律儀に畳んであります
「…………」
あの子に最初に教えた事
それは……「ちゃんと服とかは畳むんですよ!」
そのバスローブに腕を通します
いつもの服は、少し離れた所にあるからです
その時、ヒラリ と何かが落ちました
ダークブラウンの白い羽
それが限界でした。
「り、リリー……。うっ…ぐすっ…」
目から涙が零れ落ちますが、拭いません。
と、そこに、
______コン!コン!
特徴のあるノック
このノックの仕方をするのは一人しか居ません
しかし、その一人はもう居ません。
誰かの悪戯でしょうか……
その時
「お母さん…。まだ…寝てるんでしょうか?」
「さあな、でも疲れているだろうしもう一寸寝かしてやったどうだ?」
「っ!!」
その時扉越しに聞こえた声。悪魔の聴覚だからこそ聞き取れた、そのか細い小さな、可愛い声を。リトルは間違えようがなかった。
「り、リリー!」
大きな声でその名を呼ぶ。彼女の名を張り上げる。
「起きてるみたいですね」
「じゃあ事情を説明したらどうだ?」
ドアが開きます
そこに居たのは…………。
紅い縁取りがされた、白い衣装に映える金髪。自分と対成す、天使の翼。
今、自分が会いたい人が、笑顔を浮かべて立っていた。
「どうして……。」
「そんな事よりリトル、君に伝言だ」
「?」
「お嬢様からで
春の妖精リリー・ホワイトを
ヴワル図書館副司書に命ずる
との事だ。」
「!??!?!?」
「駄目だ思考が混乱している
リリー、君からも説明してくれ」
「あっはい
えっとお母さん…」
「どうして…リリーがここに居るんですか?」
説明しようとしていたリリーを遮ってしまいした
だけど私の頭はそれを言うのが精一杯でした。
「だって…貴女は春の妖精で。この幻想郷に春を伝えるのが役目で…」
「は…はい」
「それが終わったら…。終わった時には…消えてしまうって…」
「き、消えるっ!? 私がですかっ?」
リトルの言葉に、リリーはさも初耳だとばかりに目を丸くした。
「ええ…だってリリーが言ったんじゃないですかっ。季節が一巡りした来るって…。だから私は…」
「えーああぁ。もしかしてお母さん勘違いしてます?
私達季節の妖精は、確かにその季節以外はほとんど力を失ってしまいます。だから…その季節以外は自分の住処に籠もってずっとおとなしくしてるんです。
力を持たない妖精なんて、妖怪にとって絶好の獲物ですから…」
「俺も始めて知った
で、その過程で襲われたりすると卵になるそうだ」
説明は殆ど頭を素通りして行きました
唯一つ解ったのはこれからもリリーと居られる事
それだけでした
体から力が抜けて行きます
今自分は、どんな表情をしているんでしょうか。
もう心は、いろんな感情があふれ出てきて、制御することすら困難で。
言葉の代わりにリトルの内から洩れたのは、やはり…涙だった。
「ちょっ、お母さんっ!?」
先ほどより激しく泣きじゃくるリトルを見て、リリーは部屋の中へ急いで駆け寄る。
「どうしたんですか、おかあ…きゃぁ!」
瞳を覗き込もうとしたリリーの背中を、思い切り抱き寄せた。
身に再び暖かさが伝わってくる…。
「リリーッ、リリーッッ、リリィィッ!」
ただひたすらに名前を叫び続ける小悪魔。
そんな彼女を見て、リリーは自分も相手の背中に手を伸ばし。
「お、お母さん…。胸…苦しいです…」
そんなもの…さっきリトルが味わった苦しさに比べたら、全然大したこと無い。
「もう…離しませんから…。ぜったい…絶対に…」
「はい…」
リリーは瞼を閉じて、その二文字で小悪魔の思い全てを受け入れた。
そして次に、自分の思いを。愛しい小悪魔の耳元で囁く。
「ねえお母さん。さっきも言ったように、私はこれからの季節…ほとんど力を失います。
だから…その分支えてくださいね………。」
この後。幻想郷を包む開花事件は、日数を重ねる事に、次第に収まっていった。
だがこの年、紅魔館に新たに咲いた、一輪の花だけは、永遠に枯れる事はなかっだろう。
この年。ヴワルで働く司書が一人増えた。
ただそれだけの、そんなお話し…。
~fin~
おまけ
2日後
「あれ?」
「どうしたんですかリリー」
「いや、一朗さんが連れているあの娘って」
「……色違い?」
おまけ2
「悪戯が好きですね」
「貴方、ロミオとジュリエットの話を知ってるかしら?」
「はい
しかし親子ですよ
恋人では無い」
「説明しようと思っていたのに」
「暇な恋の天使も居たものですね」
「ま、当然それは建前ってものだけど…
で、その娘は何?」
「いや、異変の正体が2日前
「これが貴方に出来る唯一の善行です」
と言って卵を渡されたんですが……
まさかリリーの黒い奴が居るなんて」
「珍しいし退屈だから頂戴」
「いいえ試験の一つの課題なので」
「………そう」
「いやに諦めが早いですね」
「いえ、よく見て御覧なさい」
「ん?」
ぎゅっ!
「あ、あんたなんかより、この人のほうが良い!」
「成る程」
「そんなに懐いていたら私でも苦労するわよ」
-終-
句読点があったりなかったりとかも気になるところ。
投稿するということは、誰かに読んでもらうということ。
それをもっと意識すれば自然と良くなるはず。頑張れ。
しかし、名前さんの言う通り、文章があまり宜しくないと感じました。
リトル視点で話が流れていると思いきや、いきなり一郎視点になったり、ナレーションが入っていたりで混ぜ雑ぜな感じで…。
例えて言うとせっかくのいい素材を全部ごった煮にして、味を台無しにしちゃってる、そういう感じがします。
話の内容は良かったので、今度はそれを旨く料理できる様に頑張ってみて下さい。
次回作、期待しています。
それと質問
オリキャラの一朗ですが、モデルはもしかして某葉っぱ系の作品に登場するセバスチャンな執事デスか?