パチュリー・ノーレッジは目つきが悪い。
いつでも眠そうというか機嫌が悪いというか陰険というかそこここでの修飾にはいとまが無いほどの目つきの悪さである。いわば目つきが悪いオブジイヤー。
さてその目つきの悪さであるがそれには段階があることにヴワル魔法図書館の司書であり彼女の使い魔である通称小悪魔は気づいた。召還され、契約してから日々連綿と続くパチュリー・ノーレッジ観察の賜物である。ちなみにきちんと帳簿につけてある。名前は「パチュリー様の様子を日々連日連夜無休で観察しそれを書き留めるための本」略して「むきゅー本」である。
ではどのような段階が存在するのであろうか。
まず軽い段階である。特に何もせず、友人であるところのレミリア・スカーレットと会話するときなどは目つきの悪さも大概軽減されている。レベルであらわすならば1といったところか。ちなみにそれでも常人のそれと比較すると「お前っていつもそんなんだよな。目玉も半分くらいに削れてるんじゃないか?」とはいつも図書館に泥棒、いや強盗、天狗の新聞風にいうなら空き巣に入るとある人間の弁である。賛同するにはいささか暴論ではあるが、いつも伏せられた瞼に遮られた目玉が機能不全に陥らないという保障はないわけで、そういう意味ではある種納得のいく論理であった。
酷い段階にいくと、これまた酷いとしか言いようが無く、目つきが悪いというかすでに糸目、いやわずかに瞳が確認できる分だけ性質が悪い。その段階に至る瞬間を小悪魔は観察していた。
その観察は七日七晩続き、その最中に例の人間が「新魔法だぜー」とかいって乱入したり、七色の人形師が資料を探しに来たり、妹様の遊びに付き合わされたり、波乱中の波乱含みであった。
そんな混乱の最中、ようやく小悪魔は糸目のように目を細めるパチュリーの姿を確認することができた。それは七日目の昼下がりのこと、なぜか一週間にわたり続けられた乱痴気騒ぎがようやく終焉を迎え、ゆったりとしたお茶会を催していたときのことである。
いつものように薄暗く、奥まった場所にある閲覧室。こここそがパチュリーの私室であり寝室である。一応、主人であるレミリアの友人であるという理由でちゃんとした部屋(しかも私室・寝室は別に用意してある)はあるのだが、生来の出不精と虚弱体質が祟ってか、この閲覧室から出ようとしないのである。本人いわく、「本の近くだと落ち着くのよ」だそうである。
話が逸れた。さてその閲覧室で、いつものようにパチュリーが本を読み、いつものように小悪魔がお茶を淹れていたときのことである。パチュリーを観察するのは小悪魔の生きがいのひとつであるが、先に述べた理由により、ここ最近は一挙一動をつぶさに観察していた。もちろん、気配を悟られるなどという無様な真似はしない。
「パチュリー様、お茶が入りましたよ」
「そう。そこにおいておいて頂戴」
そんないつもと同じやり取りの後、時間にして三分ほどであろうか、パチュリーが小悪魔の淹れたお茶を口に運び、そして再びカップをテーブルに戻す。
その瞬間。意識が本を読むことに戻された瞬間、例の酷い目つきが展開されたのである。あ、と小悪魔は口の中だけで小さな声をあげた。そしてそれを目の前の主人さながらの思考速度で考察しはじめる。それはつまり、なぜ本を読む段階に至ったとき目つきが悪くなったか、ということをだ。
……とはいえ、考えられる原因などそうは浮かばない。一般に、目を細めるという行為は視界の調整に用いられるものである。そう考えれば、答えは自明の理でありつまり簡単にいってしまえば、
パチュリー・ノーレッジは視力が悪い、ということだ。
・ ・ ・ ・ ・
さて悪魔種でありながらも「悪魔らしくないわね」などと主人に揶揄される小悪魔、主人の目が悪いとなればそれを矯正せねばなるまい、と思い至った。
だがしかし自分は悪魔である。悪魔にとって瞳とはモノを視るものではなく、モノを縛るものである故に、解決法など自力で思い当たるはずもなかった。悪魔にとって視力は絶対のモノであり、「悪くなる」ということはあり得ないのだからそれは当然の帰結である。
けれども小悪魔には諦めるという選択肢は選ぼうという気はなく、丁度いいことに自分は図書館の主に仕える悪魔。本は知識であり、知識は本である。判らぬものは調べればよい。
魔術式を展開する。魔方陣-ヘキサグラム-が四つ、彼女の周りを取り囲む。陣の真中から一本、二本、三本……淡く光る線が縦横無尽に伸びて行く。その燐光を湛えた魔法の指は、図書館の中を走り、奔り、やがてはすべての本棚を覆いつくす。
これは彼女の編み出した魔術、あえて名付けるならば検索魔術とでも言おうか。ただでさえ広い上、力のある魔道書などから放たれる魔力により歪められる図書館内を捜索、そして本が無くならない様に監視するためにここに居ついて七日目に創作したのである。
さてそんな機能を持つ魔法ゆえ、もちろん捜索するキーワード指定などもでき、彼女が目的とする視力矯正の方法論が書かれている書物はすぐに見つかった。ぐい、と魔法の指を引っ張れば次の瞬間には、彼女の手にその本は納まっていた。
ぱら、とページを捲る。その書物には民間療法から科学的見地からの治療法、薬物食物様々な矯正の仕方が載っていた。しかし、小悪魔はそれのどれをも没にしていく。
まず食物。ぶるーべりーだのなんだの、正直時間がかかりすぎるから没。なおかつパチュリーは好き嫌いが多く、また食事もあまりしないため効果なしと判断。
次に薬物。問答無用で却下。劇物を与えたネズミみたいなことになる。
では民間療法などはどうだろうと思ったが、それもきっと無理だろう。僕である小悪魔からの進言なんて聞き入られないに違いない。というかきっと三日間しか続かない。
最後に科学的云々だが、小悪魔が「そもそも科学ってなに?」と理解できなかったため当然却下である。
小悪魔はうなだれた。いくら広い図書館といえども、蔵書量には限りがあり、手元にこの一冊しか寄せられていない以上もうこの図書館には同様の内容を持った本は無く、手がかりは早々に潰えてしまったということである。全くもってふがいない。
しかし、ぱらぱらとまるでパラパラ漫画を見るようにページを送っていた小悪魔の指が止まった。その開かれたページを凝視する。そこにはこう書かれてあった。
「眼鏡……」
・ ・ ・ ・ ・
処は変わり、魔法の森の近く、まさに森とそうでないところの境界に位置する雑貨屋、香霖堂である。よく晴れた日のこと、本日は風も穏やかで、わいのわいのと騒ぎ立てる常連の少女達も尋ねてこない。主人である森近霖之助はそんな静かな環境で、外の世界のモノと思われる書物を読みふけっていた。
さやさやと、木の葉の擦れる音だけが、周りを支配していた。そんな光景が、何よりも貴重なものだと知っている霖之助は、まさに至福だったのである。
とはいえ、雑貨屋としてこの閑古鳥の鳴きっぷりは正直どうだろう、と彼をよく知らない者ならば思うだろう。だがそれは彼の環境といつも店に来る少女たちを知らないゆえの感想であって、同じ儲からないという状況なら、マイナスよりゼロのほうがマシなのである。
そんな至福を噛み締めていた彼だったが、良きにつれ悪きにつれ、彼の周りを覆う空気には、静寂を尊ぶ想いなどないらしい。彼が読んでいたのは外の世界の論文らしきものだったが、ちょうど結論を読もうとページを捲ったとき、客の来訪を告げる鈴の音が鳴った。
ちりん、と音を立てて開く扉に目を向けると、そこには一人の少女が立っていた。
いやいや、確かに少女だが、彼女は見た目で人間ではないと理解できるほどの立派な羽が生えていた。なぜだか禍々しくも見える赤髪もそれを助長しているように見える。
霖之助は面識が無かったが、もしこの場に常連の少女の一人がいたらこう言うだろう。「おや? 珍しいなお前が外に出るなんて」と。
けれど彼は彼女ではないので、至極真っ当な言葉を投げかける。
「いらっしゃい。香霖堂へようこそ。何をお探しかな、悪魔のお嬢さん」
あ、と声をかけられた少女、とっくにお分かりだろうが小悪魔である、は小さく呻いた。
さて手がかりを見つけ、いつも図書館の本を強奪していく彼女の言を思い出し、あるかもしれぬと希望を抱いてやってきたわけであるが、二つ小悪魔にとって誤算があった。
まず一つは、本泥棒がいつも訪れていると聞いたので、この店の店主は女性だと思い込んでいたことだった。男口調で、豪快に本を奪っていく彼女ではあるが、所々の所作はまこと女性らしい繊細さが垣間見える彼女の人間関係において、なぜだか女性しかいないと間違った核心を抱いていたのである。
しかし、それだけならばさして問題は無い。見たこともない人間が男だろうと女だろうと、話す内容は変わらないわけであり遣り取りに支障が出るはずも無い。そう、相対する状態が正常ならば。
小悪魔二つ目の、そして最大の誤算は自分自身にあった。人間の少女相応の容姿をしている彼女だが、それはまだ幼いという証なのだ。故に「小」悪魔などと呼称されているのである。
そう、彼女は圧倒的に経験が足りていないのである。その事実が何を指しているかというと、つまりは簡単なことであり、しかし致命的な事実になるのであった。
最大の誤算。彼女は、男性というものと会話するということが初めてなのである。
「あ、えと、えーっ……と、ですね」
「まあなんにせよ、中に入ってくるといい。入り口で用件を承るわけにもいかないだろう?」
「ぅ、え。と、そお、です、よね」
「ああ。とりあえずこっちに来てくれないか。一応こちらが客用のカウンターになっているのでね」
とてとて、と指された場所に覚束ない足取りで進む小悪魔は、ようやく店主である霖之助の顔をしっかと見ることができた。その顔にあるのは、先ほど本で確認したソレであった。なるほど、形状のみの図しかあの本には載っていなかったが、見てみれば納得、実に理に適った構造となっていた。そんなことを考えるうちに、何とか落ち着いてきた気がする小悪魔は、ようやく訪れた理由を思いだし声をあげた。
「エとでスね」
声が上ずった。
「うん、何だろう」
しかもスルーされた。なまじっか反応されるより辛い仕打ちだと小悪魔は心で泣いた。だが一旦口に出してしまった以上引っ込みもつかない。思わずクナイ弾を打ち込みたくなるほど恥ずかしい想いをひた隠しにしつつ、本来の目的を口に出した。
「それください」
「……はて、それ、とはなんなのだろう?」
うう、とうなる。今度は声が上ずらないように端的に述べたのだが、端的過ぎた。
まあそれもそうで、小悪魔は霖之助を見ていない。視てしまったら魔眼が云々、というまともな理由ではなく、何のことは無くまだ彼女は慣れていないだけである。目的のものを視界に捕らえてすらないので、霖之助が理解できないのも当然だろう。
失敗も二度続けば心も耐性がつくもので、ようやく小悪魔も平常心を取り戻してきた。二割程度だが。すう、と息を吸って、ハイ今度こそ。
「あ……っ、と。め、……がね、です。めがね、ください」
「ふむ? 眼鏡かい?」
いえました。言えましたよパチュリー様、褒めてください大いに。と、小悪魔は自分の為したことに感動仕切りで気づかない。霖之助は難しそうにううむとうなっていた。眼鏡くださいだけじゃ判らない。そりゃ彼はそれなりに聡いが、読心術なんぞ習得していないので当然のことである。
というか、悪魔も眼鏡かけるとはこれまた不思議だなあとも思っていた。
「……何故眼鏡がご入用で?」
悩んだ末に霖之助は声をかける。眼鏡を欲しがる、ということは視力が悪い、ということだ。しかし悪魔が視力で悩むなんてことは「ありえない」。だから不思議だった。まあ、仮にこの悪魔が眼鏡を蒐集しているとかだったら納得できるのだが、と蒐集つながりで不思議な縁の続いている金髪の少女を思い浮かべる。彼女も不思議な力のある眼鏡の一つや二つありそうだな、などとも。
また、小悪魔は小悪魔で、くださいといえばもらえると思っていただけに言葉に詰まっていた。いやまあ理由はあるし、話せないなんてことはないのだが、さっきの単語で精一杯な自分に長文が言えるのか、という迷いが身を縛っていたのである。
しばし沈黙が続いた。その黙の重さにつぶれたのは小悪魔が先だった。というか霖之助は別にその沈黙を破らなくても良いのだから、小悪魔が話し出すのは当然なのだが。
「ご、主人が、主人の、えと目がいけなくて、つまり悪い目つきを治す、いや矯正? うん矯正。だから必要なんです眼鏡。だからくださいすぐください」
「ああつまり、キミのご主人は視力が悪いから、補正するために欲しいと。そういうことか」
微妙に通ってるような通ってないような小悪魔の台詞を、誰でもわかりやすく噛み砕く霖之助。その解読というか理解力はさすがといえばさすがのものだった。いつでも滅茶苦茶な少女たちに付き合っていると、その手の耐性が伸びるのだろうか。
まあそれはそれとして、久しぶりに来たまともな客である。きちんと応対してあげたいのは山々であるが、しかしそれには問題があった。
「まあ僕自身の予備もあるし。御用立ては出来なくも無いが、その主人の視力が判らないことにはどうしようもないな。そのあたりは聞いていないのかい?」
そうである。眼鏡というものは、レンズの度によっても変わるもので、ちゃんと自分の瞳にあった度のレンズを使用しなければ、余計見えなくなったり、見えすぎたり、視えなくても良いものが視えたりするのである。
一方小悪魔はというと、その言葉に首をかしげた。というか、視力なんて確認できるわけが無いのだ。たとえ根暗で内気で引き篭もりなのだとしても仮にも主人に、そんなことを聞くことなどできるわけがないのだから。とはいえ、何もせずに帰ったのではここに来た意味がなくなるわけで、そこのところどーにかしないと、と考えをめぐらせる。
「あーとうーと、いや実は知らないんですがまあ。本を目つき悪くして読まない程度くらいのがあればよろしいかなと存じるしだいなのですがどうなのでしょう?」
巡らせすぎて口調がおかしかった。だがコレが限界だ。
しかし、その言葉を聴いて霖之助はそうか、とうなずいた。
「まあ。正確なところも僕には出来ないからそう言ってくれて助かった。少し時間がかかるから、店の中でも見ていて待っているといい。ああ、もし白黒の服の女の子と巫女の子が来たら隠れたほうがいいと思う。君みたいな見た目悪魔らしい悪魔は、彼女たちにしてみれば格好の的になるだろうからね」
そう言い捨てて、霖之助は奥に引っ込んだ。
視界に彼が映らなくなったことで、ほうと息をついた小悪魔は、言葉に甘えて店の中を見て回ることにした。
しかし、狭い店なのですぐに一周してしまった。確かによく判らない、それこそガラクタとしか思えないものや、不思議な魔力を感じるもの、様々なモノが陳列してあり面白くないことはないだが、いかんせん並びが無秩序で、見てて美を感じない。シリーズモノは1巻からきっちり、同じジャンルはきちんと同じ棚に入れる、という整理整頓がモットーの小悪魔としては、なんだかなあ、としらけてしまうのであった。
そんなこんななことを考えているうちに、それなりに時が立っていたらしい。窓に差し込んでいた陽光は夕日に取って代わり、店の中が茜色に染まったとき、ようやく霖之助が戻ってきた。
「すまないね。時間がかかってしまった」
言いながら、彼は手にした箱を小悪魔に差し出す。受け取って、開けてみればそこには、ちょっと細長い長方形のレンズがはまった眼鏡が布に包まれて収まっていた。
「あ。ありがとうございます。えっと、これ、御代で」
そして、小悪魔は手にしていた小包をカウンターの上に置いた。これは、小悪魔が御代として持ってきた魔道書である。書物を勝手に持ち出していいのか、という意見が聞こえそうだが、これは図書館の書物ではなく、れっきとした彼女の私物であった。なので、主人の機嫌も損ねないという寸法なのである。
「……ふむ」
「……あれ。お気に召しませんで?」
「ああいや、まともに御代なんて頂戴したのが久しぶりでね。少々感動していたところさ」
なんとも悲しい話である。とはいえ、霖之助自身に悲壮感がないのは救いと言えるかもしれない。誰にとっての救いかどうかは知らないが。
そして、もう一度お礼を言って、小悪魔は出入り口に足を向けた。紆余曲折、というか一方的な難題はあったが、思いつきでの行動としては上出来な部類と言えるだろう。満足して扉に手をかけ、外へと踏み出したとき、彼女の後ろ姿に向かって霖之助の声が聞こえた。
「またの御贔屓を。御代を払ってくれるのならば、人も妖怪も悪魔でも歓迎するよ」
また来よう、と小悪魔はなんとはなしに思った。
・ ・ ・ ・ ・
「それが、コレなのかしら?」
そして小悪魔は、あの目つきの悪さを自分に向けられるのがどんな気持ちになるかをライブで味わっていた。身が縮こまると思いながらも、こんな視線を常時向けられる書物のためにも主人を説き伏せなければ、と決心もした。司書としてとてつもなく立派だが、果たしてそれが成せるのかというと本人にも自信はなかった。頼りにならねぇー、と自己ツッコミすらしてしまう始末である。
「えーと。ハイ。眼鏡です」
「不要よ」
うわ一言でバッサリいきやがったよこの紫もやし。と小悪魔が思ったかどうかはともかく、あまりにも単刀直入電光石火の回答であった。いや問答ではなかったのだから、自己主張と言うべきか。
それはともかく、自分としても最善……ではないかもしれないが次善くらいの行動をとったと自負している小悪魔としては、ここでパチュリーに眼鏡をかけてもらわねば意味がないのである。少なくとも、自前の書物を失い損になる。
「まあそこをなんとか」
「いらないわ」
「まあまあ」
「いらないっての」
「ためしに一回」
「試す必要も無い」
「後生ですから」
「前だろうが後だろうがいらない」
にべもない、とはこのことを指すのだろう。取り付く島もない、でもいいかもしれない。とにかく全然反応すらしてくれないパチュリーに、小悪魔の決意は段々尻すぼみになっていった。尻尾も垂れ下がるってなもんである。
折角苦労したのになあ、と既に少々諦めていたのだが、そんな小悪魔に運命が微笑んだ。
「あら。何してるの貴女たち」
暖簾に腕押し問答をしていた彼女たちの元に現れたのは、紅魔館の主、紅き吸血鬼レミリア・スカーレットであった。生来の気まぐれが、今日この瞬間図書館に足を運ばせたらしい。
「ああレミィ。この子がね」
「パチュリー様に眼鏡をかけて頂こうかと」
殆ど同時に答える主従。長年の付き合いは、呼吸のタイミングすら同調させるというが、それは正しくこれのことだろうというくらいの息のぴったりさだった。阿吽の呼吸、なんてのは正しい言葉なのだろう。
「ふーん」
幻想郷では、というより彼女の周りではあまり見かけない物品を目にし、実に興味深そうに小悪魔の手にした眼鏡を眺めるレミリア。最初はただの興味本位な顔が、段々と愉快そうな顔にゆがんでいく。その顔をみたパチュリーは、明らかに眉を顰めた。
「パチェ、かけて」
鶴の一声。
・ ・ ・ ・ ・
かくして、小悪魔の大きいんだか小さいんだかよく判らない企みは主の友人の一言でケリがついた。ところでパチュリーであるが、結局のところ彼女の持ってきた眼鏡を愛用している。どうやら食べ物に対する食わず嫌いと同じようなもので、実際使ってみたらなんともまあよく字が読める、とお喜びになっていたのだった。
そしてまた、今日もいつもどおり、お茶を飲みながら書物を読む毎日を送っているのである。ただその少女の目つきは、今はもう悪くはない。
「やあ今日も来たわよパチェ。相変わらずそれかけてると何となく知識人っぽく見えるわね」
ただまあ。実際のところ、友人の褒める言葉が聞きたいだけなんじゃないかなあ、とはその言葉を聴くたびに少し顔の緩む主を見つめる小悪魔の、勝手な想像である。
小悪魔かぁいいー。
どもる小悪魔可愛すぎ。ついでにさりげなくツンデレなパチェ最高。
そんなパチュリーが大好きだっっっっっ!
脳内に眼鏡パチェを補完して帰ります。
しかし小悪魔の最初の(会話した)男になるとは……香霖め(w
対男性免疫無いこぁかぁいいよ~
それは兎も角、お帰りなさいw
ABYSSさんの書く幻想郷の日常の話大好きなんで、帰ってきてくれて嬉しいです。これからも頑張ってくださいませw
…ところでむきゅー本は貸し出し許可でませんかね?
メガネをかけて本を読むパチェを幻視しました
思わず顔がにやけてしまったw
拙作は約半年ぶりに書いた東方SSだったもので、色々アレなのですが概ね好評を頂けた様で。まぁ私の技術ではなく小悪魔の可愛さのおかげですね。
嬉しいのでコメントのレスなどをしてみんとす。
>翔菜さん
小悪魔はほんと可愛くて。必要以上にデフォルメしてしまいます。今後の課題。
>名前が~能力さん
眼鏡パチェ萌え!
>翼さん
あたふた小悪魔を見るには、耐性の低い格好をしていけばいいらしいですヨ。というか、これがツンデレなのですか……!意識してなかったっ。
>つきさん
パチェはれみりゃ様の言うことを結構優先します。そんな脳内設定。なので私もそんなパチュリーは大好きです!
>ザッツワンさん
「犯罪級……ですか? わ、なんだか悪魔っぽくていいですね!」と小悪魔さんが申しておりました。
>bernerdさん
そのタイトルが判る貴方とは友人になれそうです(やめれ)。補完した後、正式設定としてください。
>変身Dさん
小悪魔はパチェ大好きなので。あ、小悪魔のはじめての(手をつないだ)男になるってのはどうですか? まあ私がしますけど(ぇー
>CODEXさん
れんずきらめくのーれっじ♪ 男性免疫はちょっとできました。でも香霖だからまだ浅いほうじゃないかと。
>床間たろひさん
わ。わわ、そんな勿体無いお言葉……。ありがとうございます。私もたろひさんの「幻想郷的」な物語凄い好きなので、応援してます! お互い頑張りましょうっ。
>CCCCさん
むきゅー本は、かの本泥棒ですら「まるであいつじゃないみたいだったな。まさか私の魔法が通じないとは……」と匙を投げてますので、それでもよかったら挑戦していただけたら……。
>名前が~能力さん
眼鏡が正しいのか、最後のレミパチェ意見が正しいのか。まあ両方正しいですよね。
>はむすたさん
まーべらす! と思っていただけて幸いでございます。私もこんな悪魔召還したい。
>名前が~能力さん
幻視でなく、ぜひそれを公式にしてもらいたい! と思う私は眼鏡萌え。
>名前が~能力さん
小悪魔は可愛いのでにやけるのはしょうがないのです。
>名前が~能力さん
ありがとうございます。その言葉でしばらく生きていけそうです。
では改めて、コメントと評価ありがとうございました。