「ちょっと、魔理沙!?何やってるの!?」
遠くでレミリアたちが叫んでいる。もちろん魔理沙の耳には届いているが、彼女は動かない。
そう、魔理沙は箱の中にあった物をばら撒いてその中で仁王立ちしていたのだ。
「何って、勝つための作戦だぜ」
「危ないわ!もうソレは倒さなくていい、私たちが何とかするから魔理沙は早く逃げて!」
「大丈夫だ・・・私の予想が正しけりゃ、次にアイツが攻撃してくる瞬間勝負は決まる。私の勝ちでな」
サクヤゴンの攻撃力を見て圧倒的な戦力差を理解できないほど魔理沙はバカではない。
そして決定的なチャンスを前にして逃げ出すほど臆病でもない。故に、魔理沙はこうしている。
(アイツは・・・あのナイフで私を狙わない。狙うのは私の『影』だ)
「WRYYYYY!」
サクヤゴンがナイフを投げる。ナイフは全て紙一重の所で魔理沙の体を掠め、そのうち一本が影を正確に貫く。
魔理沙の予想その一が、当たった。
(私の動きを封じるのは次の攻撃を確実に当てるため。そして攻撃をする時、奴は必ず近づいて来てこっちを向く・・・その時がチャンスなんだ)
魔理沙はすぐに影をつなぎ止めているナイフを砕くが、その場から動かない。サクヤゴンを誘うかのように待っている。
動かない魔理沙にサクヤゴンが近づく。魔理沙が逃げも隠れもしないのをいい事に、余裕たっぷりといった感じでゆっくり近づいて来る。
ここまでの魔理沙の予想は完全に当たっていた。
そしてサクヤゴンの目の輝きがますます激しくなる。遠くの方で紅魔館の誰かが叫んでいるようだがもう聞こえない。聞こえたところで魔理沙は聞く耳を持たない。
どうせ『危ない』とか『逃げて』とか言っているのだろう、だが生憎もう少しで勝てそうな所なのだ。今更動くわけにはいかない。
「KUAHHHHHH・・・・・・・」
サクヤゴンが雄叫びを上げた。それは獲物を捉えた事による歓喜の声か、攻撃前の気合の叫びか。
眩いほどの光が辺りを包み込む。だが魔理沙は動かない。
自分の仮説に自信を持って、一歩も動かずサクヤゴンを待っていた。
「さあ、来い!」
「KUAHHHHHHHHHHHH・・・・・・ァ?」
今まさに攻撃を仕掛けようとするサクヤゴンの動きが止まった。その視線は魔理沙の足元一点に注がれ、動かない。
そこには魔理沙がばら撒いた物・・・さっき偶然見つけた箱の中身があった。
「・・・・・・違う世界から来たと言ってもメイド長はメイド長。『これ』を見て何とも思わないわけないよな?」
「ゥ・・・・・・ア・・・・・」
「好きなだけ見ていいぜ。私は取りゃしないから」
その場に沈黙が流れる。
サクヤゴンは『それ』をじっと凝視し。魔理沙はその様子を見守り。レミリアたちも後ろから見守り。
どれほどの時間が経っただろうか、沈黙を破ったのはサクヤゴンだった。
「ウホッ!イイオ嬢様・・・・・・」
「・・・そうかそうか、じゃあ遠慮せず持っていけ。お前にくれてやる」
「ウホォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・ォブ!?」
ドヴシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一昔前の漫画のように。サクヤゴンは両の鼻の穴から豪快に赤いものを噴き出して真後ろに倒れた。
倒れた後も赤い噴水は続く。そしてそれも納まり、サクヤゴンの体が少しずつ崩れ始めていく。
「オォォォォォ・・・・・・・・オジョウ・・・・・サマ・・・・・・・・・・・・・・」
サクヤゴンの体は灰となり、風に吹かれて舞い上がる。
舞い上がった灰は宙にわだかまり、やがて一つにまとまり、幾筋もの光を放って消えた。
魔理沙がサクヤゴンを倒し、紅魔館を、幻想郷を救ったのだった。
「魔理沙!大丈夫!?」
フランドールが真っ先に駆け寄ってくる。
「ああ、何も問題ない。少し掠り傷ができちゃったけどな」
「でも・・・どうやって倒したの?マスタースパークも効かない化け物・・・・・・」
「秘密はこれさ」
足元に落ちている一枚の紙を拾って見せる。写っているのはおめかししたレミリアの姿。
「・・・・・・これ、お姉様じゃない」
「そう。この辺に散らばってるの、全部レミリアの写真だぜ」
「ああ、そういえば」
落ちている写真を何枚か見てレミリアが声を上げる。
「咲夜が私を盗撮してたらしくてね、それを見て夜な夜なハァハァしてたらしいの。それは別に構わないんだけど」
「構わないのか?(^^;」
「構わないの。とにかく、見るだけならいいんだけどそのせいで鼻血をよく出すようになってね、
部屋は汚れるし貴重な血が勿体ないし咲夜の健康も心配だったから咲夜がいない時に隠しておいたの。
まさかこんな形で見つかるとは思わなかったわ」
「・・・・・私はこんなのであの化け物が消えるとまでは思わなかったけどな。失血死する程度には使えると思ったが」
「で、この写真どうする?」
「捨てた方がいいわね。それも、咲夜が帰って来ないうちに急いで」
「私がどうかしましたか?」
その声に、その場にいた誰もが振り向く。平行宇宙のサクヤゴンならぬ、この世界の十六夜 咲夜が帰って来ていたのだ。
「サクヤg・・・じゃなくて咲夜。ずいぶん早かったじゃない」
「お嬢様のため、急いで来ましたわ。それにしてもお庭が・・・・・」
「あ、ああ。皆で妖怪退治だぜ。な?パチュリー」
「(何で私に話を振るの!?)そ、そう!大きい奴が出てきて大変だったのよ」
「まぁ、私のマスタースパークには敵わなかったんだけどな(嘘は言ってないよな・・・多分)」
「ふぅん・・・・・・あら、これは?」
「ウホッ!いいお嬢様・・・・・・」
まるでデジャヴのような光景。サクヤゴンと全く同じリアクション、全く同じセリフで咲夜は鼻血を噴いて倒れた。
その手には、着替え中なのか下着姿のレミリアの写真。信じられないほど強い力で握っていて、取ろうと思っても手を離さない。気を失っているはずなのに、だ。
「レミリア、写真は・・・・・」
「・・・・・・捨てる程度じゃヌルいわね、全部燃やす事にするわ」
「メイド長が持ってるのはどうする?」
「・・・咲夜ごと燃やしちゃおうかしら」
「お前が写真を隠した意味、分かる気がする・・・・色々とご愁傷様だぜ」
戦闘でで荒れ果てた庭と鼻血を噴いて倒れるメイド長。
どうしようもなくやるせない空気がそこにあった。
(追記)
その時は誰も言及しなかったし気付きもしなかったが、事件から10日ほど経ってようやく美鈴が帰還した。
ボロボロの彼女を迎えたのは咲夜の『今までどこで遊んでたのかしら?ん?』という言葉と殺意に満ちた殺人ドールだったのは言うまでもない。
MISSION COMPLETE
遠くでレミリアたちが叫んでいる。もちろん魔理沙の耳には届いているが、彼女は動かない。
そう、魔理沙は箱の中にあった物をばら撒いてその中で仁王立ちしていたのだ。
「何って、勝つための作戦だぜ」
「危ないわ!もうソレは倒さなくていい、私たちが何とかするから魔理沙は早く逃げて!」
「大丈夫だ・・・私の予想が正しけりゃ、次にアイツが攻撃してくる瞬間勝負は決まる。私の勝ちでな」
サクヤゴンの攻撃力を見て圧倒的な戦力差を理解できないほど魔理沙はバカではない。
そして決定的なチャンスを前にして逃げ出すほど臆病でもない。故に、魔理沙はこうしている。
(アイツは・・・あのナイフで私を狙わない。狙うのは私の『影』だ)
「WRYYYYY!」
サクヤゴンがナイフを投げる。ナイフは全て紙一重の所で魔理沙の体を掠め、そのうち一本が影を正確に貫く。
魔理沙の予想その一が、当たった。
(私の動きを封じるのは次の攻撃を確実に当てるため。そして攻撃をする時、奴は必ず近づいて来てこっちを向く・・・その時がチャンスなんだ)
魔理沙はすぐに影をつなぎ止めているナイフを砕くが、その場から動かない。サクヤゴンを誘うかのように待っている。
動かない魔理沙にサクヤゴンが近づく。魔理沙が逃げも隠れもしないのをいい事に、余裕たっぷりといった感じでゆっくり近づいて来る。
ここまでの魔理沙の予想は完全に当たっていた。
そしてサクヤゴンの目の輝きがますます激しくなる。遠くの方で紅魔館の誰かが叫んでいるようだがもう聞こえない。聞こえたところで魔理沙は聞く耳を持たない。
どうせ『危ない』とか『逃げて』とか言っているのだろう、だが生憎もう少しで勝てそうな所なのだ。今更動くわけにはいかない。
「KUAHHHHHH・・・・・・・」
サクヤゴンが雄叫びを上げた。それは獲物を捉えた事による歓喜の声か、攻撃前の気合の叫びか。
眩いほどの光が辺りを包み込む。だが魔理沙は動かない。
自分の仮説に自信を持って、一歩も動かずサクヤゴンを待っていた。
「さあ、来い!」
「KUAHHHHHHHHHHHH・・・・・・ァ?」
今まさに攻撃を仕掛けようとするサクヤゴンの動きが止まった。その視線は魔理沙の足元一点に注がれ、動かない。
そこには魔理沙がばら撒いた物・・・さっき偶然見つけた箱の中身があった。
「・・・・・・違う世界から来たと言ってもメイド長はメイド長。『これ』を見て何とも思わないわけないよな?」
「ゥ・・・・・・ア・・・・・」
「好きなだけ見ていいぜ。私は取りゃしないから」
その場に沈黙が流れる。
サクヤゴンは『それ』をじっと凝視し。魔理沙はその様子を見守り。レミリアたちも後ろから見守り。
どれほどの時間が経っただろうか、沈黙を破ったのはサクヤゴンだった。
「ウホッ!イイオ嬢様・・・・・・」
「・・・そうかそうか、じゃあ遠慮せず持っていけ。お前にくれてやる」
「ウホォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・ォブ!?」
ドヴシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一昔前の漫画のように。サクヤゴンは両の鼻の穴から豪快に赤いものを噴き出して真後ろに倒れた。
倒れた後も赤い噴水は続く。そしてそれも納まり、サクヤゴンの体が少しずつ崩れ始めていく。
「オォォォォォ・・・・・・・・オジョウ・・・・・サマ・・・・・・・・・・・・・・」
サクヤゴンの体は灰となり、風に吹かれて舞い上がる。
舞い上がった灰は宙にわだかまり、やがて一つにまとまり、幾筋もの光を放って消えた。
魔理沙がサクヤゴンを倒し、紅魔館を、幻想郷を救ったのだった。
「魔理沙!大丈夫!?」
フランドールが真っ先に駆け寄ってくる。
「ああ、何も問題ない。少し掠り傷ができちゃったけどな」
「でも・・・どうやって倒したの?マスタースパークも効かない化け物・・・・・・」
「秘密はこれさ」
足元に落ちている一枚の紙を拾って見せる。写っているのはおめかししたレミリアの姿。
「・・・・・・これ、お姉様じゃない」
「そう。この辺に散らばってるの、全部レミリアの写真だぜ」
「ああ、そういえば」
落ちている写真を何枚か見てレミリアが声を上げる。
「咲夜が私を盗撮してたらしくてね、それを見て夜な夜なハァハァしてたらしいの。それは別に構わないんだけど」
「構わないのか?(^^;」
「構わないの。とにかく、見るだけならいいんだけどそのせいで鼻血をよく出すようになってね、
部屋は汚れるし貴重な血が勿体ないし咲夜の健康も心配だったから咲夜がいない時に隠しておいたの。
まさかこんな形で見つかるとは思わなかったわ」
「・・・・・私はこんなのであの化け物が消えるとまでは思わなかったけどな。失血死する程度には使えると思ったが」
「で、この写真どうする?」
「捨てた方がいいわね。それも、咲夜が帰って来ないうちに急いで」
「私がどうかしましたか?」
その声に、その場にいた誰もが振り向く。平行宇宙のサクヤゴンならぬ、この世界の十六夜 咲夜が帰って来ていたのだ。
「サクヤg・・・じゃなくて咲夜。ずいぶん早かったじゃない」
「お嬢様のため、急いで来ましたわ。それにしてもお庭が・・・・・」
「あ、ああ。皆で妖怪退治だぜ。な?パチュリー」
「(何で私に話を振るの!?)そ、そう!大きい奴が出てきて大変だったのよ」
「まぁ、私のマスタースパークには敵わなかったんだけどな(嘘は言ってないよな・・・多分)」
「ふぅん・・・・・・あら、これは?」
「ウホッ!いいお嬢様・・・・・・」
まるでデジャヴのような光景。サクヤゴンと全く同じリアクション、全く同じセリフで咲夜は鼻血を噴いて倒れた。
その手には、着替え中なのか下着姿のレミリアの写真。信じられないほど強い力で握っていて、取ろうと思っても手を離さない。気を失っているはずなのに、だ。
「レミリア、写真は・・・・・」
「・・・・・・捨てる程度じゃヌルいわね、全部燃やす事にするわ」
「メイド長が持ってるのはどうする?」
「・・・咲夜ごと燃やしちゃおうかしら」
「お前が写真を隠した意味、分かる気がする・・・・色々とご愁傷様だぜ」
戦闘でで荒れ果てた庭と鼻血を噴いて倒れるメイド長。
どうしようもなくやるせない空気がそこにあった。
(追記)
その時は誰も言及しなかったし気付きもしなかったが、事件から10日ほど経ってようやく美鈴が帰還した。
ボロボロの彼女を迎えたのは咲夜の『今までどこで遊んでたのかしら?ん?』という言葉と殺意に満ちた殺人ドールだったのは言うまでもない。
MISSION COMPLETE
100点は同情の意味を込めて。
チョー下らな過ぎて逆に笑えた。
酷すぎて笑いが止まらんwwwwww
まあ点数は出さないけど。