改めて見ると本当に大きい。自分の頭が相手の踝の辺りまでしか届いていないというのはどういう事か。
それだけ目の前の相手・・・サクヤゴンが巨大だという事だ。
しかし、足元まで来ても踏み潰されるどころか気付かれる気配すらない。見て見ぬふりという事も考えられるが。
「こいつ、本当に動かないな・・・生きてるのか?」
靴を小突いてみても、軽く蹴ってみても反応しない。サイズ相応の衝撃を与えないと反応しないのかも知れない。
「ん~・・・・・あ、そうだ。フラン、ちょっと頼みたい事が・・・」
「何?」
「ちょっと協力してくれ。そんなに難しい事じゃないから」
ゴニョゴニョ・・・
「・・・で、私が合図をしたら・・・・・」
「ふんふん」
ゴニョゴニョ・・・
「できるだけ正確に狙ってくれよ」
「任せて!」
「あと、中国」
「はい?」
「そこにいて。絶対に動くなよ・・・その位置が今すごくイイ」
「はぁ・・・・・」
「よし、じゃあ始めるぞ!」
魔理沙の声を合図に、フランドールが禁忌『レーヴァテイン』を発動させる。
辺りに立ち込める異様な妖気、広がる殺意。レミリア、パチュリーは慌てて一歩下がる。
魔理沙は慌てず騒がず、レーヴァテインの刀身に手をかざす。
「で、これに私の魔力を上乗せすると・・・・・こうなる!」
青白い光が紅い刀身を包み込む。あの刃のような鋭さは消え、むしろ棍棒のような力強さを感じさせる。
「こ・・・・これは!?」
「何でもよく斬れ過ぎるレーヴァテインに私の魔力でコーティングを施したんだ、切れ味をなくすようにな。
今のレーヴァテインはいわば太くて長い鈍器、殴る事はできるが斬る事は絶対にできないぜ」
「・・・それでフランに特攻させる気?」
「相手の能力が分からないのにそんな危険な事はさせないぜ。様子見をするんだよ」
「だから、どうやって?それを投げるの?」
「今からやるのさ。さあフラン、OKだ。遠慮なくやってくれ!」
「分かったわ!」
おもむろに動かない美鈴の横に来るフランドール。
美鈴は全てを理解した。理解してしまった。妹様がこれから何をするのか。自分がこれから何をされるのか・・・
「あの妹様なんでそんな長い物持って私の所へ来るんでしょうか(ガクプル」
「中国動かないでね、まっすぐ飛ばないから」
「いやまっすぐ飛ばないって私はボールじゃないし寧ろ人型なんですが(ガクガクプルプル」
「チャー・・・シュー・・・」
「うわ華麗な一本足打ホブゥッ!!」
「メェーン!!」
DOGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!
爆発音にも似た音を発し、凶悪な鈍器は美鈴をサクヤゴンの顔面に向かってぶっ飛ばしていた。
「よし!ホームランコースだフラン!」
「やった!」
「これであの化け物は何らかの反応を示すはず・・・どう出るかな?」
美鈴はさながら巨大な弾頭となって頭からサクヤゴンの眉間に向かって飛んでいく。
そしてまさに着弾しようとしたその時!
ガッ
それまで不動だったサクヤゴンが動いた。意外なほど機敏な動きで美鈴弾頭をキャッチする。
「おおっ、やっぱり動けるのか・・・しかもなかなか素早い」
「あの巨体で動き回ったら迷惑だわ。お庭に穴が開いちゃう」
「動きの速さだけじゃなくて、精密さと動体視力もかなりのものね」
「サクヤゴンも時を止められるのかな?」
「平行宇宙のメイド長・・・だとしたらできるのかもな」
「とりあえず助けてくださ~い!」
5人の会話が交錯する中、サクヤゴンはある一点をじっと見つめていた。それは己の手の中でもがく美鈴の姿。
ていうか美鈴が生きている。レーヴァテインで思い切りぶっ飛ばされたのに、だ。
その事をさも当然のように受け取っているあたり、紅魔館の住人の間には鉄のごとき信頼と結束があるようだ。
「ひっ!今目が合った!」
「頑張れ中国。とりあえず何か話しかけてみろ」
「無理です~!」
「そいつにも口がある。しかも平行宇宙出身とはいえメイド長、言葉は通じるはずだ!多分」
「ダメ!目とか光ってて怖い~!」
「美鈴、やらなかったら後でスカーレットマイスタの刑よ」
「賢者の石もサービスするわ」
「レーヴァテインの千本ノックもやっちゃうわよ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『どうする?』
吸血姫と妹姫と病弱魔女の声が奏でる恐怖の三重唱。
紅い髪の美鈴の顔がみるみるうちに蒼白くなっていくのがよく分かる。
「・・・・・・・・華人小娘・紅 美鈴!喜んでファファーストココンタクツを取らせていたたただきまぅっ!(ガクガクガクガク」
ありえないほど震えた声を聞き、これを『恐怖による支配』と言うんだな・・・・・と魔理沙は思った。
そして心の中で呟く。『骨は拾ってやるぜ、中国』と。
それだけ目の前の相手・・・サクヤゴンが巨大だという事だ。
しかし、足元まで来ても踏み潰されるどころか気付かれる気配すらない。見て見ぬふりという事も考えられるが。
「こいつ、本当に動かないな・・・生きてるのか?」
靴を小突いてみても、軽く蹴ってみても反応しない。サイズ相応の衝撃を与えないと反応しないのかも知れない。
「ん~・・・・・あ、そうだ。フラン、ちょっと頼みたい事が・・・」
「何?」
「ちょっと協力してくれ。そんなに難しい事じゃないから」
ゴニョゴニョ・・・
「・・・で、私が合図をしたら・・・・・」
「ふんふん」
ゴニョゴニョ・・・
「できるだけ正確に狙ってくれよ」
「任せて!」
「あと、中国」
「はい?」
「そこにいて。絶対に動くなよ・・・その位置が今すごくイイ」
「はぁ・・・・・」
「よし、じゃあ始めるぞ!」
魔理沙の声を合図に、フランドールが禁忌『レーヴァテイン』を発動させる。
辺りに立ち込める異様な妖気、広がる殺意。レミリア、パチュリーは慌てて一歩下がる。
魔理沙は慌てず騒がず、レーヴァテインの刀身に手をかざす。
「で、これに私の魔力を上乗せすると・・・・・こうなる!」
青白い光が紅い刀身を包み込む。あの刃のような鋭さは消え、むしろ棍棒のような力強さを感じさせる。
「こ・・・・これは!?」
「何でもよく斬れ過ぎるレーヴァテインに私の魔力でコーティングを施したんだ、切れ味をなくすようにな。
今のレーヴァテインはいわば太くて長い鈍器、殴る事はできるが斬る事は絶対にできないぜ」
「・・・それでフランに特攻させる気?」
「相手の能力が分からないのにそんな危険な事はさせないぜ。様子見をするんだよ」
「だから、どうやって?それを投げるの?」
「今からやるのさ。さあフラン、OKだ。遠慮なくやってくれ!」
「分かったわ!」
おもむろに動かない美鈴の横に来るフランドール。
美鈴は全てを理解した。理解してしまった。妹様がこれから何をするのか。自分がこれから何をされるのか・・・
「あの妹様なんでそんな長い物持って私の所へ来るんでしょうか(ガクプル」
「中国動かないでね、まっすぐ飛ばないから」
「いやまっすぐ飛ばないって私はボールじゃないし寧ろ人型なんですが(ガクガクプルプル」
「チャー・・・シュー・・・」
「うわ華麗な一本足打ホブゥッ!!」
「メェーン!!」
DOGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!
爆発音にも似た音を発し、凶悪な鈍器は美鈴をサクヤゴンの顔面に向かってぶっ飛ばしていた。
「よし!ホームランコースだフラン!」
「やった!」
「これであの化け物は何らかの反応を示すはず・・・どう出るかな?」
美鈴はさながら巨大な弾頭となって頭からサクヤゴンの眉間に向かって飛んでいく。
そしてまさに着弾しようとしたその時!
ガッ
それまで不動だったサクヤゴンが動いた。意外なほど機敏な動きで美鈴弾頭をキャッチする。
「おおっ、やっぱり動けるのか・・・しかもなかなか素早い」
「あの巨体で動き回ったら迷惑だわ。お庭に穴が開いちゃう」
「動きの速さだけじゃなくて、精密さと動体視力もかなりのものね」
「サクヤゴンも時を止められるのかな?」
「平行宇宙のメイド長・・・だとしたらできるのかもな」
「とりあえず助けてくださ~い!」
5人の会話が交錯する中、サクヤゴンはある一点をじっと見つめていた。それは己の手の中でもがく美鈴の姿。
ていうか美鈴が生きている。レーヴァテインで思い切りぶっ飛ばされたのに、だ。
その事をさも当然のように受け取っているあたり、紅魔館の住人の間には鉄のごとき信頼と結束があるようだ。
「ひっ!今目が合った!」
「頑張れ中国。とりあえず何か話しかけてみろ」
「無理です~!」
「そいつにも口がある。しかも平行宇宙出身とはいえメイド長、言葉は通じるはずだ!多分」
「ダメ!目とか光ってて怖い~!」
「美鈴、やらなかったら後でスカーレットマイスタの刑よ」
「賢者の石もサービスするわ」
「レーヴァテインの千本ノックもやっちゃうわよ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『どうする?』
吸血姫と妹姫と病弱魔女の声が奏でる恐怖の三重唱。
紅い髪の美鈴の顔がみるみるうちに蒼白くなっていくのがよく分かる。
「・・・・・・・・華人小娘・紅 美鈴!喜んでファファーストココンタクツを取らせていたたただきまぅっ!(ガクガクガクガク」
ありえないほど震えた声を聞き、これを『恐怖による支配』と言うんだな・・・・・と魔理沙は思った。
そして心の中で呟く。『骨は拾ってやるぜ、中国』と。