西行寺の屋敷にて
幽々子「これは・・・・・、どういうことかしら?」
レミリア「見ての通りよ。」
幽々子は、レミリアから渡された報告書に目を通す。
幽々子「参号機は大破。他の三機も、それぞれ損傷が激しいわ。」
レミリア「あんなの出てくるなんて、予想もしてなかったわ。」
幽々子「流石に、ここまでの被害は予想してなかったわ。」
レミリア「でも、まだ余裕はあるでしょう?」
幽々子「・・・とにかく、これ以上の失敗は遠慮願うわ。」
レミリア「失敗?そんなことないわ。」
レミリアは背を向け、
レミリア「これも、計画のうちよ。」
その場を去って行った。
幽々子「計画も何も、この企画自体行き当たりばったりじゃない。」
それを言っては、お終いである。
・
・
・
藍「いかん・・・・・、いかんぞ、このままでは・・・。」
紅魔館のある一室にて、八雲藍は、悩んでいた。
藍「最近、いいところがないじゃないか・・・・。出てくる敵に、一撃で粉砕されたりして・・・・。」
フランゲリオン弐号機のパイロットとして、マヨイガから出稼ぎに来た藍であったが、どうも最近調子が良くないらしい。
藍「どうした私。最初のころは大活躍だったじゃないか私。
最近どうした私。このままでは、減給・・・・、否、最悪の場合、クビ・・・・・?」
厳しいときもあるが、食事付き下宿可。
そんな割と良いバイトを、むざむざとクビになるつもりはない、と考える。
藍「・・・・・・あ~、何と言うか、私らしくもない。」
悩むのは性に合わないらしい。
藍「よし、ここは一つ、スッパ・・・・・・。」
橙「スッパ・・・・・・、何?」
スッパ、と言ったとき、橙が現われた。
藍「お、橙。」
橙「スッパ・・・、スッパって、まさか・・・・・。」
藍「橙・・・?どうした?」
橙の様子が、明らかにおかしい。
橙「そんな・・・・、藍様が・・・、藍様が・・・・。」
藍「おお~い・・・、どうした、橙よ。」
橙「『スッパテンコー』をするなんて!!」
藍「・・・・・・はい?」
橙が叫び、藍は呆然とする。
橙「そんな・・・、いつも凛々しく明るい藍様が、下半身裸で・・・・・。」
藍「橙!それ、迷信・・・・・・。」
橙「いやあああああ~~~!!!」
藍「橙!私はスッパテンコーなんてやらな・・・・・。」
橙「やっぱりぃぃ~~~~!!」
藍「こら、人の話はちゃんと最後まで・・・・。」
橙「やっぱり、メイドの言ってたこと、ほんとだった・・・・。」
藍「な・・・、なんちゅうことを吹き込んでくれたんだ・・・・。」
橙「うわ~ん!!」
ダッ!
橙は部屋を飛び出し、
くるくるくる・・・・・
飛翔毘沙門天ではるか彼方へ去って行った。
藍「ああ~!ちぇ~~~ん!!!」
橙は見えなくなった。
藍「ああ・・・、誤解だ・・・。誤解だよ、橙・・・。私は、私はただ・・・・。」
藍は、ただ呟くだけだった。
藍「すっぱいレモンにでもかぶりついて、くぅ~!ってやってストレス解消したかっただけなんだよ・・・。」
その呟きは、誰にも聞こえていなかった。
・
・
・
咲夜「なるほど。それで落ち込んでいるのね。」
美鈴「はい。」
藍「ちぇ~ん・・・・・。かむば~っく・・・・・。」
橙に逃げられた藍は、泣くばかりであった。
藍「おろろ~ん・・・・・・。」
咲夜「これじゃあ、使い物にならないわね。」
美鈴「どうしたもんでしょうね?」
咲夜「う~ん・・・・。」
藍のこの有様に、悩む二人。
と、そのとき
うい~ん! うい~ん!
美鈴「敵襲!?」
咲夜「う~ん・・・・・、よし。」
美鈴「?」
咲夜「そこの辛気臭い狐に告ぐ。」
藍「何だ・・・・?」
咲夜「この敵は、あなた一人で何とかしなさい。そうすれば、迷子の猫を探してきてあげるわ。」
藍「ほ、本当か!?」
咲夜「ほんとよ。」
藍「よし!ちゃんと手柄を立ててくるぞ!」
藍は勇んで出撃する。
咲夜「これで、使い物になるわ。」
美鈴「一時的な処置ですけどね。」
咲夜「美鈴、一応あなたも後詰で。」
美鈴「了解です。」
美鈴も出撃する。
・
・
・
紅魔館の上空。
リリカ「ここが、今日の仕事場ね~。」
ルナサ「そうみたいね。」
メルラン「・・・・・・・。」
そこには、プリズムリバー三姉妹がいた。
メルラン「・・・・・・・・ξ・∀・)。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
ガッ!
メルラン「いたたたた・・・・・。」
ルナサ「メルラン、しっかりして。仕事だよ。」
リリカ「で、姉さん。今日は誰に頼まれたの?」
ルナサ「それは・・・・・。」
メルラン「あ、待って。誰か出てきたわ。」
三姉妹の目に、何かが映った。
藍「おお、あれが今回の標的だな!」
美鈴「三人か。」
藍「助太刀は無用だぞ。」
美鈴「大丈夫なの?」
藍「なあに、まかせておけ。」
藍は、やる気まんまんである。
ルナサ「何?あれ・・・・・。」
メルラン「変わったお客さんね。」
リリカ「すごいね~。」
ルナサ「しかし、どんなお客にも音楽をお届け。それが騒霊演奏隊。」
メルラン「お客様は神様です。」
ルナサ「それはちがうと思う。」
リリカ「まあ、しょうがないから行こうよ。」
ルナサ「そうね。」
三姉妹は、弐号機に近づく。
ルナサ「おや?巨大な人の中に狐が。」
メルラン「こっちが本体みたいね。」
藍「ふふふ・・・。橙の為だ!覚悟しろ。」
リリカ「慌てない慌てない。」
藍「何だ、遺言か?辞世の句か?」
ルナサ「戦の前に、一曲どうぞ。」
藍「いや、そんなもんはいらん。」
メルラン「それでは、演奏開始~。」
藍「いや、聞けって。」
ルナサ「曲目は、『いぬのおまわりさん』。」
藍「何?」
演奏が開始される。
たらたったたらたったたらららら~
んたたたら~たったっんたたたた~
ルナサ「・・・・~♪」
藍「まいごのまいごの子猫ちゃん、あなたのおうちは・・・・・。はっ!」
藍は突如頭の中に、橙が迷子で困っているビジョンを浮かべた。
メルラン「・・・・~♪」
藍「あああ・・・、おうち~をきいてもわからない~、なまえ~を・・・・・、橙~~~~~!!」
リリカ「・・・・~♪」
藍「にゃんにゃんにゃにゃ~ん、にゃんにゃんにゃにゃ~ん・・・・・。」
ルナサ「・・・・~♪」
藍「な~いてばかりいる子猫ちゃん・・・・。あ、あ、あああああ・・・・・・。」
ドカァ!
藍は操縦席から飛び出し、
藍「ちぇ~~~ん!!!今行くぞ~~~~~!!!だから泣くなぁ~~~~~!!!!」
橙を探しに、猛スピードで飛び去っていった。
ルナサ「ご清聴、ありがとうございます。」
メルラン「姉さん、もういないって。」
ルナサ「あれ?」
聞き手がいなくなってることに気付き、ちょっとびっくりするルナサ。
ルナサ「失礼なお客ね。」
リリカ「大丈夫だよ~。もう一人そこにいるし。」
メルラン「それじゃあ、今度は何にする?」
三姉妹は、次の曲目について相談を始める。
一方、
美鈴「・・・・・・・。」
咲夜『・・・・・・・。』
藍の脱走劇に、呆然とする美鈴と咲夜。
美鈴「ど、どうしましょう?」
咲夜『どうするって・・・・。」
ルナサ「さて、続いては・・・・。」
美鈴「む!?」
再び演奏を開始しようとする三姉妹。
そのとき、
パチュリー「下がって。」
パチュリーの零号機が、前へ出た。
美鈴「パチュリー様、何時の間に?」
パチュリー「今度こそ完成!恋符『マスタースパーク』。」
ゴオオオオオオオオオオ・・・・・・
ルナサ「うわああああ・・・・・・・・。」
パチュリーは、完成したてのマスタースパークを、三姉妹に向けて放った。
ドサッ!
地に落ちる三姉妹。
ルナサ「うぐぐ・・・・・・・。」
リリカ「姉さん、大丈夫?」
ルナサ「リリカ、さっき、私を盾にしたでしょ?」
リリカ「気のせいだよ~。」
ルナサ「あ~、そう。メルラン、そっちはだいじょう・・・・・?」
リリカ「これは・・・・。」
メルラン「ξ・∀・)。」
ルナサ「リリカ、逃げるよ!」
リリカ「うん!」
ルナサとリリカは、メルランを置いて、急いで逃げ出す。
パチュリー「ふ~、どうやら成功みたいね。」
咲夜『あのちんどん屋は、マスタースパークで一撃。有効な手段ですね。』
美鈴「敵が逃げていきます。」
咲夜『・・・ん?』
パチュリー「どうしたの?」
咲夜『敵は三人だったはず。でも、逃げてるのは二人。おかしいわ。』
美鈴「あ、地面に・・・・・。」
地面には、メルランだけが残っている。
メルラン「・・・・・・・。」
咲夜『様子がおかしいわ。』
パチュリー「いやな感じね。」
明らかに様子がおかしい。
メルラン「ξ・∀・)めるぽ!」
うん、おかしい。
美鈴「どうします?」
咲夜『とりあえず、牢屋行きね。回収を。』
パチュリー「了解。」
メルランに近づくパチュリー。
パチュリー「こんなの、本でも見たことないわ。ξ・∀・)」
咲夜『?パチュリー様?』
パチュリー「ん?ξ・∀・)どうしたの?ξ・∀・)」
美鈴「台詞が、おかしいです。」
パチュリー「え?ξ・∀・)こ、これは・・・・・!ξ・∀・)ξ・∀・)」
パチュリーの台詞が、おかしくなってきた。
感染したらしい。
ルナサ「始まったか・・・・・。」
リリカ「こうなったら、もう手遅れだね。」
ルナサ「めるぽハザード、とでも言うのかな?」
リリカ「パクリっぽくて、あんまりオススメできないネーミングね。」
ルナサ「うん。そう思う。」
ルナサとリリカは、様子を見ていた。
ξチュリー「う・・・・・、ξ・∀・) な、名前まで・・・・・・!ξ・∀・)」
美鈴「パチュリー様!!」
パチュ・)「ええと、こんな時は・・・・。ξ・∀・)」
咲夜『本に載ってるの?』
刻々とξ・∀・)に侵食されてゆくパチュリー。
パ・∀リー「・・・・・なるほど。ξ・∀・)」
美鈴「パチュリー様?」
ξチュ・)「私がξ・∀・)、完全に侵食される前に・・・・・。ξ・∀・)」
美鈴「ま、まさか・・・・・!?」
パ・∀リ)「あなたにはξ・∀・)、しばらく苦労ξ・∀・)してもらうことになるわ。ξ・∀・)」
美鈴「いけません!それだけは・・・・・!」
ξチ∀・ー「これしかξ・∀・)、思いつかないわ。ξ・∀・)仕方ξ・∀・)ないことよ。ξ・∀・)」
美鈴「駄目です!」
パ・∀・)「頑ξ・∀・)張ξ・∀・)ってξ・∀・)ね。ξ・∀・)」
パチュリーが最後にそう言った瞬間、
どごおおおおおおおおおおおおおん・・・・・・・・・・
零号機は、自爆した。
美鈴「パチュリーさまぁぁぁ~~~!!!」
ひゅ~・・・・・
メルラン「ξ・∀・)めるぽ~・・・・・・・・・。」
その爆風でおかしくなったメルランは、遠くへ飛んでいった。
ルナサ「終わった・・・・。」
リリカ「メルラン姉さん、さようなら・・・・。」
ルナサ「殺したら駄目。拾って帰るよ。」
リリカ「は~い。」
その辺で見ていたルナサとリリカは、メルランが飛んでいった方へ向かった。
美鈴「・・・・・パチュリー様・・・・・・。」
呆然とする美鈴。
しかし、
美鈴「まあ、あのヒトが死んだとは思えないし。帰るか。」
気を取り直して、とっとと帰っていった。
・
・
・
咲夜「パチュリー様・・・・。立派な最期でした・・・。」
?「そうかしら?」
咲夜「ええ。こちらが侵食される前に元を絶つ。自分を犠牲にして・・・・。」
?「そこまで褒められると、ちょっとくすぐったいわ。」
司令室では、咲夜と、あと誰かさんが会話をしていた。
咲夜「で?」
パチュリー「何?」
咲夜「さっき自爆した人は、一体何だったんですか?」
パチュリー「分身。」
咲夜「また、パクったんですか?」
パチュリー「そうよ。使えるものは使わなきゃね。」
その誰かさんとは、さっき自爆したはずのパチュリー。
どうやら零号機には、パチュリーの分身が乗っていたらしい。
咲夜「でも、どうするんですか?もう零号機は使えませんよ?」
パチュリー「レミィ、怒るかしら?」
咲夜「どうでしょうね?」
とりあえず言い訳でも考える二人。
パチュリー「まあ、言い訳は考えておくから、あなたは事後処理をお願いね。」
咲夜「了解です。」
パチュリーは、図書館に戻っていった。
美鈴「ただいま。」
咲夜「おかえり。」
少しして、美鈴が帰ってきた。
美鈴「さっき、パチュリー様が居たような気が・・・・・。」
咲夜「気のせいよ。」
美鈴「気のせいですか。」
咲夜「気のせいよ。」
パチュリーの存在は、気のせいにされた。
咲夜「さて、と。」
美鈴「何処へ?」
咲夜「決まってるでしょう?」
美鈴「猫狩りですか?」
咲夜「狐狩りよ。うちの機密を知ってるわけだし。」
美鈴「余所に漏れるわけにはいかない、と。」
咲夜「留守はお願い。すぐ帰るから。」
咲夜は、藍の捜索に出掛けた。
美鈴「零号機は破壊、弐号機はパイロット不在。じゃあ、ここを守るのは、私だけ・・・・?」
美鈴は、自分が今置かれた状況を整理した。
美鈴「っていうか、生身で戦った方が・・・・・。」
却下。
・
・
・
ルナサ「・・・・・・居た。」
メルラン「・・・・・・・。」
メルランを発見したルナサ。
リリカ「あ~、やっと帰れるのね~。」
ルナサ「ほら、メルラン。しっかりして。」
メルラン「ξ・∀・)めるぽ~・・・・・・。」
寝言もおかしかった。
ルナサ「まだ、後遺症が・・・・?ξ・∀・)」
リリカ「あれ?姉さん姉さん。」
ルナサ「ん?ξ・∀・)」
リリカ「台詞が。」
ルナサ「え・・・・?ξ・∀・)」
ルナサ、感染。
ルナサ「ああ、しまった・・・ξ・∀・)。つい、うっかり・・・ξ・∀・)。」
リリカ「もう、手遅れね~。」
ルナサ「っていうかξ・∀・)、なんで大丈夫なのξ・∀・)?」
リリカ「そりゃあ、ワクチンの一つや二つあれば・・・・。」
ルナサ「そうξ・∀・)いうのはξ・∀・)、ちゃんと言・・・・ξ・∀・)。」
ルナサの台詞は、途中で終わり、
ルナサ「ξ・∀・)めるぽ!」
完全にやられた。
メルラン「ξ・∀・)めるぽ!」
ルナサ「ξ・∀・)めるぽ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン「め・・・・・。」
ルナサ「る・・・ぽ・・・。」
リリカ「ごめんね~。なんか叩きたくなるのよ。」
バタ・・・・
姉二人をぶん殴るリリカ。
二人は気絶する。
リリカ「それじゃ、帰るよ~。」
気を失った二人を持って、リリカは家に帰っていった。
第拾話 完
幽々子「これは・・・・・、どういうことかしら?」
レミリア「見ての通りよ。」
幽々子は、レミリアから渡された報告書に目を通す。
幽々子「参号機は大破。他の三機も、それぞれ損傷が激しいわ。」
レミリア「あんなの出てくるなんて、予想もしてなかったわ。」
幽々子「流石に、ここまでの被害は予想してなかったわ。」
レミリア「でも、まだ余裕はあるでしょう?」
幽々子「・・・とにかく、これ以上の失敗は遠慮願うわ。」
レミリア「失敗?そんなことないわ。」
レミリアは背を向け、
レミリア「これも、計画のうちよ。」
その場を去って行った。
幽々子「計画も何も、この企画自体行き当たりばったりじゃない。」
それを言っては、お終いである。
・
・
・
藍「いかん・・・・・、いかんぞ、このままでは・・・。」
紅魔館のある一室にて、八雲藍は、悩んでいた。
藍「最近、いいところがないじゃないか・・・・。出てくる敵に、一撃で粉砕されたりして・・・・。」
フランゲリオン弐号機のパイロットとして、マヨイガから出稼ぎに来た藍であったが、どうも最近調子が良くないらしい。
藍「どうした私。最初のころは大活躍だったじゃないか私。
最近どうした私。このままでは、減給・・・・、否、最悪の場合、クビ・・・・・?」
厳しいときもあるが、食事付き下宿可。
そんな割と良いバイトを、むざむざとクビになるつもりはない、と考える。
藍「・・・・・・あ~、何と言うか、私らしくもない。」
悩むのは性に合わないらしい。
藍「よし、ここは一つ、スッパ・・・・・・。」
橙「スッパ・・・・・・、何?」
スッパ、と言ったとき、橙が現われた。
藍「お、橙。」
橙「スッパ・・・、スッパって、まさか・・・・・。」
藍「橙・・・?どうした?」
橙の様子が、明らかにおかしい。
橙「そんな・・・・、藍様が・・・、藍様が・・・・。」
藍「おお~い・・・、どうした、橙よ。」
橙「『スッパテンコー』をするなんて!!」
藍「・・・・・・はい?」
橙が叫び、藍は呆然とする。
橙「そんな・・・、いつも凛々しく明るい藍様が、下半身裸で・・・・・。」
藍「橙!それ、迷信・・・・・・。」
橙「いやあああああ~~~!!!」
藍「橙!私はスッパテンコーなんてやらな・・・・・。」
橙「やっぱりぃぃ~~~~!!」
藍「こら、人の話はちゃんと最後まで・・・・。」
橙「やっぱり、メイドの言ってたこと、ほんとだった・・・・。」
藍「な・・・、なんちゅうことを吹き込んでくれたんだ・・・・。」
橙「うわ~ん!!」
ダッ!
橙は部屋を飛び出し、
くるくるくる・・・・・
飛翔毘沙門天ではるか彼方へ去って行った。
藍「ああ~!ちぇ~~~ん!!!」
橙は見えなくなった。
藍「ああ・・・、誤解だ・・・。誤解だよ、橙・・・。私は、私はただ・・・・。」
藍は、ただ呟くだけだった。
藍「すっぱいレモンにでもかぶりついて、くぅ~!ってやってストレス解消したかっただけなんだよ・・・。」
その呟きは、誰にも聞こえていなかった。
・
・
・
咲夜「なるほど。それで落ち込んでいるのね。」
美鈴「はい。」
藍「ちぇ~ん・・・・・。かむば~っく・・・・・。」
橙に逃げられた藍は、泣くばかりであった。
藍「おろろ~ん・・・・・・。」
咲夜「これじゃあ、使い物にならないわね。」
美鈴「どうしたもんでしょうね?」
咲夜「う~ん・・・・。」
藍のこの有様に、悩む二人。
と、そのとき
うい~ん! うい~ん!
美鈴「敵襲!?」
咲夜「う~ん・・・・・、よし。」
美鈴「?」
咲夜「そこの辛気臭い狐に告ぐ。」
藍「何だ・・・・?」
咲夜「この敵は、あなた一人で何とかしなさい。そうすれば、迷子の猫を探してきてあげるわ。」
藍「ほ、本当か!?」
咲夜「ほんとよ。」
藍「よし!ちゃんと手柄を立ててくるぞ!」
藍は勇んで出撃する。
咲夜「これで、使い物になるわ。」
美鈴「一時的な処置ですけどね。」
咲夜「美鈴、一応あなたも後詰で。」
美鈴「了解です。」
美鈴も出撃する。
・
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紅魔館の上空。
リリカ「ここが、今日の仕事場ね~。」
ルナサ「そうみたいね。」
メルラン「・・・・・・・。」
そこには、プリズムリバー三姉妹がいた。
メルラン「・・・・・・・・ξ・∀・)。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
ガッ!
メルラン「いたたたた・・・・・。」
ルナサ「メルラン、しっかりして。仕事だよ。」
リリカ「で、姉さん。今日は誰に頼まれたの?」
ルナサ「それは・・・・・。」
メルラン「あ、待って。誰か出てきたわ。」
三姉妹の目に、何かが映った。
藍「おお、あれが今回の標的だな!」
美鈴「三人か。」
藍「助太刀は無用だぞ。」
美鈴「大丈夫なの?」
藍「なあに、まかせておけ。」
藍は、やる気まんまんである。
ルナサ「何?あれ・・・・・。」
メルラン「変わったお客さんね。」
リリカ「すごいね~。」
ルナサ「しかし、どんなお客にも音楽をお届け。それが騒霊演奏隊。」
メルラン「お客様は神様です。」
ルナサ「それはちがうと思う。」
リリカ「まあ、しょうがないから行こうよ。」
ルナサ「そうね。」
三姉妹は、弐号機に近づく。
ルナサ「おや?巨大な人の中に狐が。」
メルラン「こっちが本体みたいね。」
藍「ふふふ・・・。橙の為だ!覚悟しろ。」
リリカ「慌てない慌てない。」
藍「何だ、遺言か?辞世の句か?」
ルナサ「戦の前に、一曲どうぞ。」
藍「いや、そんなもんはいらん。」
メルラン「それでは、演奏開始~。」
藍「いや、聞けって。」
ルナサ「曲目は、『いぬのおまわりさん』。」
藍「何?」
演奏が開始される。
たらたったたらたったたらららら~
んたたたら~たったっんたたたた~
ルナサ「・・・・~♪」
藍「まいごのまいごの子猫ちゃん、あなたのおうちは・・・・・。はっ!」
藍は突如頭の中に、橙が迷子で困っているビジョンを浮かべた。
メルラン「・・・・~♪」
藍「あああ・・・、おうち~をきいてもわからない~、なまえ~を・・・・・、橙~~~~~!!」
リリカ「・・・・~♪」
藍「にゃんにゃんにゃにゃ~ん、にゃんにゃんにゃにゃ~ん・・・・・。」
ルナサ「・・・・~♪」
藍「な~いてばかりいる子猫ちゃん・・・・。あ、あ、あああああ・・・・・・。」
ドカァ!
藍は操縦席から飛び出し、
藍「ちぇ~~~ん!!!今行くぞ~~~~~!!!だから泣くなぁ~~~~~!!!!」
橙を探しに、猛スピードで飛び去っていった。
ルナサ「ご清聴、ありがとうございます。」
メルラン「姉さん、もういないって。」
ルナサ「あれ?」
聞き手がいなくなってることに気付き、ちょっとびっくりするルナサ。
ルナサ「失礼なお客ね。」
リリカ「大丈夫だよ~。もう一人そこにいるし。」
メルラン「それじゃあ、今度は何にする?」
三姉妹は、次の曲目について相談を始める。
一方、
美鈴「・・・・・・・。」
咲夜『・・・・・・・。』
藍の脱走劇に、呆然とする美鈴と咲夜。
美鈴「ど、どうしましょう?」
咲夜『どうするって・・・・。」
ルナサ「さて、続いては・・・・。」
美鈴「む!?」
再び演奏を開始しようとする三姉妹。
そのとき、
パチュリー「下がって。」
パチュリーの零号機が、前へ出た。
美鈴「パチュリー様、何時の間に?」
パチュリー「今度こそ完成!恋符『マスタースパーク』。」
ゴオオオオオオオオオオ・・・・・・
ルナサ「うわああああ・・・・・・・・。」
パチュリーは、完成したてのマスタースパークを、三姉妹に向けて放った。
ドサッ!
地に落ちる三姉妹。
ルナサ「うぐぐ・・・・・・・。」
リリカ「姉さん、大丈夫?」
ルナサ「リリカ、さっき、私を盾にしたでしょ?」
リリカ「気のせいだよ~。」
ルナサ「あ~、そう。メルラン、そっちはだいじょう・・・・・?」
リリカ「これは・・・・。」
メルラン「ξ・∀・)。」
ルナサ「リリカ、逃げるよ!」
リリカ「うん!」
ルナサとリリカは、メルランを置いて、急いで逃げ出す。
パチュリー「ふ~、どうやら成功みたいね。」
咲夜『あのちんどん屋は、マスタースパークで一撃。有効な手段ですね。』
美鈴「敵が逃げていきます。」
咲夜『・・・ん?』
パチュリー「どうしたの?」
咲夜『敵は三人だったはず。でも、逃げてるのは二人。おかしいわ。』
美鈴「あ、地面に・・・・・。」
地面には、メルランだけが残っている。
メルラン「・・・・・・・。」
咲夜『様子がおかしいわ。』
パチュリー「いやな感じね。」
明らかに様子がおかしい。
メルラン「ξ・∀・)めるぽ!」
うん、おかしい。
美鈴「どうします?」
咲夜『とりあえず、牢屋行きね。回収を。』
パチュリー「了解。」
メルランに近づくパチュリー。
パチュリー「こんなの、本でも見たことないわ。ξ・∀・)」
咲夜『?パチュリー様?』
パチュリー「ん?ξ・∀・)どうしたの?ξ・∀・)」
美鈴「台詞が、おかしいです。」
パチュリー「え?ξ・∀・)こ、これは・・・・・!ξ・∀・)ξ・∀・)」
パチュリーの台詞が、おかしくなってきた。
感染したらしい。
ルナサ「始まったか・・・・・。」
リリカ「こうなったら、もう手遅れだね。」
ルナサ「めるぽハザード、とでも言うのかな?」
リリカ「パクリっぽくて、あんまりオススメできないネーミングね。」
ルナサ「うん。そう思う。」
ルナサとリリカは、様子を見ていた。
ξチュリー「う・・・・・、ξ・∀・) な、名前まで・・・・・・!ξ・∀・)」
美鈴「パチュリー様!!」
パチュ・)「ええと、こんな時は・・・・。ξ・∀・)」
咲夜『本に載ってるの?』
刻々とξ・∀・)に侵食されてゆくパチュリー。
パ・∀リー「・・・・・なるほど。ξ・∀・)」
美鈴「パチュリー様?」
ξチュ・)「私がξ・∀・)、完全に侵食される前に・・・・・。ξ・∀・)」
美鈴「ま、まさか・・・・・!?」
パ・∀リ)「あなたにはξ・∀・)、しばらく苦労ξ・∀・)してもらうことになるわ。ξ・∀・)」
美鈴「いけません!それだけは・・・・・!」
ξチ∀・ー「これしかξ・∀・)、思いつかないわ。ξ・∀・)仕方ξ・∀・)ないことよ。ξ・∀・)」
美鈴「駄目です!」
パ・∀・)「頑ξ・∀・)張ξ・∀・)ってξ・∀・)ね。ξ・∀・)」
パチュリーが最後にそう言った瞬間、
どごおおおおおおおおおおおおおん・・・・・・・・・・
零号機は、自爆した。
美鈴「パチュリーさまぁぁぁ~~~!!!」
ひゅ~・・・・・
メルラン「ξ・∀・)めるぽ~・・・・・・・・・。」
その爆風でおかしくなったメルランは、遠くへ飛んでいった。
ルナサ「終わった・・・・。」
リリカ「メルラン姉さん、さようなら・・・・。」
ルナサ「殺したら駄目。拾って帰るよ。」
リリカ「は~い。」
その辺で見ていたルナサとリリカは、メルランが飛んでいった方へ向かった。
美鈴「・・・・・パチュリー様・・・・・・。」
呆然とする美鈴。
しかし、
美鈴「まあ、あのヒトが死んだとは思えないし。帰るか。」
気を取り直して、とっとと帰っていった。
・
・
・
咲夜「パチュリー様・・・・。立派な最期でした・・・。」
?「そうかしら?」
咲夜「ええ。こちらが侵食される前に元を絶つ。自分を犠牲にして・・・・。」
?「そこまで褒められると、ちょっとくすぐったいわ。」
司令室では、咲夜と、あと誰かさんが会話をしていた。
咲夜「で?」
パチュリー「何?」
咲夜「さっき自爆した人は、一体何だったんですか?」
パチュリー「分身。」
咲夜「また、パクったんですか?」
パチュリー「そうよ。使えるものは使わなきゃね。」
その誰かさんとは、さっき自爆したはずのパチュリー。
どうやら零号機には、パチュリーの分身が乗っていたらしい。
咲夜「でも、どうするんですか?もう零号機は使えませんよ?」
パチュリー「レミィ、怒るかしら?」
咲夜「どうでしょうね?」
とりあえず言い訳でも考える二人。
パチュリー「まあ、言い訳は考えておくから、あなたは事後処理をお願いね。」
咲夜「了解です。」
パチュリーは、図書館に戻っていった。
美鈴「ただいま。」
咲夜「おかえり。」
少しして、美鈴が帰ってきた。
美鈴「さっき、パチュリー様が居たような気が・・・・・。」
咲夜「気のせいよ。」
美鈴「気のせいですか。」
咲夜「気のせいよ。」
パチュリーの存在は、気のせいにされた。
咲夜「さて、と。」
美鈴「何処へ?」
咲夜「決まってるでしょう?」
美鈴「猫狩りですか?」
咲夜「狐狩りよ。うちの機密を知ってるわけだし。」
美鈴「余所に漏れるわけにはいかない、と。」
咲夜「留守はお願い。すぐ帰るから。」
咲夜は、藍の捜索に出掛けた。
美鈴「零号機は破壊、弐号機はパイロット不在。じゃあ、ここを守るのは、私だけ・・・・?」
美鈴は、自分が今置かれた状況を整理した。
美鈴「っていうか、生身で戦った方が・・・・・。」
却下。
・
・
・
ルナサ「・・・・・・居た。」
メルラン「・・・・・・・。」
メルランを発見したルナサ。
リリカ「あ~、やっと帰れるのね~。」
ルナサ「ほら、メルラン。しっかりして。」
メルラン「ξ・∀・)めるぽ~・・・・・・。」
寝言もおかしかった。
ルナサ「まだ、後遺症が・・・・?ξ・∀・)」
リリカ「あれ?姉さん姉さん。」
ルナサ「ん?ξ・∀・)」
リリカ「台詞が。」
ルナサ「え・・・・?ξ・∀・)」
ルナサ、感染。
ルナサ「ああ、しまった・・・ξ・∀・)。つい、うっかり・・・ξ・∀・)。」
リリカ「もう、手遅れね~。」
ルナサ「っていうかξ・∀・)、なんで大丈夫なのξ・∀・)?」
リリカ「そりゃあ、ワクチンの一つや二つあれば・・・・。」
ルナサ「そうξ・∀・)いうのはξ・∀・)、ちゃんと言・・・・ξ・∀・)。」
ルナサの台詞は、途中で終わり、
ルナサ「ξ・∀・)めるぽ!」
完全にやられた。
メルラン「ξ・∀・)めるぽ!」
ルナサ「ξ・∀・)めるぽ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン「め・・・・・。」
ルナサ「る・・・ぽ・・・。」
リリカ「ごめんね~。なんか叩きたくなるのよ。」
バタ・・・・
姉二人をぶん殴るリリカ。
二人は気絶する。
リリカ「それじゃ、帰るよ~。」
気を失った二人を持って、リリカは家に帰っていった。
第拾話 完
何でめるぽはこんなに面白いんだ、と小一時間…
前半笑いっぱなしでした。すばらし。
もう終盤ですね。頑張ってくださいませー。
ξチ∀・ーってどう発音するんだろう。
次回もこの感じだといいですね。
ルナサさんは相変わらず・・・(謎