紅魔館にて
コンコン
咲夜「美鈴?」
コンコン
咲夜「居ないの?」
カチャ
咲夜「あら、カギが開いてる。」
咲夜は美鈴を探して、彼女の部屋まで来てみた。
が、部屋からの反応はなかった。
咲夜「・・・・・・やっぱり居ない。」
部屋の中に入っても、やっぱり居ない。
咲夜「地味だから存在が消えたのかな?・・・・・・ん?」
咲夜はふと、手紙らしきものを見つける。
咲夜「どれどれ・・・・。」
咲夜は、手紙を読む。
『 事が落ち着くまで、探さないで下さい。
事が落ち着いたら、探しに来て下さい。
門番 紅 美鈴
追伸:私の存在を忘れないで下さい。名前も。』
咲夜「・・・・・仕方ないわねえ。」
置き手紙を見た咲夜は、仕方なく認めることにした。
・
・
・
レミリア「そう。逃げたのね。」
咲夜「気持ちはわからないでもないですが・・・。」
レミリア「でも、すぐにでも忘れそうね。」
咲夜「気持ちはわからないでもないですが・・・。っていうか、すごくわかります。」
レミリア「で、フランドールは?」
咲夜「今は部屋に戻られて、大人しくしていますが・・・・・。」
レミリア「まだ怒っているの?」
咲夜「はい。」
レミリア「仕方ない子ねえ・・・・・。」
咲夜「ちなみに美鈴ですが、お嬢様にも怒られると思ってます。」
レミリア「こっちも仕方のない子ねえ・・・・。別に怒ってなんかいないのに。」
・
・
・
美鈴「はあ~・・・・・・・。」
一時的にとはいえ、家無き子になった美鈴は、途方にくれていた。
美鈴「しばらく紅魔館には戻れないし・・・・・。どうしようか・・・・・・・。」
フランドールが最後に見せたアレは、美鈴の恐怖心を駆り立てるに十分過ぎた。
美鈴「霧雨邸は、主人不在・・・・。神社、博麗神社は・・・・・?」
ふと、博麗神社の存在を思い出した。
美鈴「仕方ないか。しばらくかくまってもらおう・・・・・。」
美鈴は、博麗神社へと向かった。
・
・
・
ところ変わって、博麗神社。
いや、博麗神社だった所。
霊夢「ふふ・・・・・。ふふふふふ・・・・・・・。」
巫女、博麗霊夢は、それはもうブチギレていた。
先ほどの、初号機対参号機の戦いで、神社は跡形もなく破壊されてしまったからだ。
霊夢「な~にが悲しくて、でっかい妹君のケンカのとばっちりを受けなきゃならないのよ・・・・。」
もう、腹が立つやら悲しいやら、憎いやら虚しいやら、定かならぬ心境らしい。
霊夢「・・・でも、こうなればやることはただ一つ!紅魔館殲滅!!」
そう決心した霊夢。
そして
霊夢「わが神社の祟り神にして人間界の神(仮)よ!我に力を与えよ!奴らに復讐できるだけの力を!」
ゴロゴロゴロ・・・・・
霊夢が叫んだ瞬間、あたりに暗雲が現れた。
次の瞬間、
ど~ん!
霊夢に雷が落ちた。
霊夢「・・・・・力がみなぎる・・・・・。この力に加えて・・・・。」
霊夢は、再び叫んだ。
霊夢「陰陽玉よ!今こそ真の力を開放するとき!」
グゥオオオオオオオオオオオオ!!
そう叫んだ瞬間陰陽玉は、すさまじい、そして禍々しい気を放出させた。
霊夢「ふふふ・・・、この力があれば、シスターオブスカーレットだろうが、何だろうが・・・・・。」
・
・
・
美鈴「うわわわわ・・・・・・・・・。」
茂みから、霊夢が悪魔に魂を売り渡す瞬間を目撃した美鈴。
霊夢「はははははははは!!」
美鈴「あ、あの力・・・。紅魔館が危ない!」
その力のすさまじさは、離れた位置にいた美鈴にも伝わってきたらしい。
美鈴「急いで戻らなきゃ・・・・・。」
霊夢「む!?」
霊夢が、美鈴の隠れている方を向いた。
霊夢「・・・・そこにいるのは誰かな~?」
美鈴「(見つかった!?)」
霊夢が近づいてくる。
美鈴「に、にゃ~・・・・・。」
霊夢「猫か。」
美鈴「うにゃ~・・・・。」
霊夢「猫ね。」
美鈴「にゃ~ん。」
美鈴は、猫真似でその場を凌ぐ。
霊夢「そんな古典的な手で、私を騙せると思ったか~!!」
美鈴「うわああああ~~~!!?」
凌げなかった。
霊夢は叫びながら、美鈴の隠れている茂みへ駆け寄った。
霊夢「紅魔館門番、中国・・・・・。あんたが、ここを壊したのか?」
美鈴「(ブルン!ブルン!)」
霊夢「そう・・・・・。」
必死に首を横に振り、無実を訴える美鈴。
実際、無実ではないが。
霊夢「なら、ここで死ね~!夢符『エクスターミネイション』」
美鈴「わ~!」
ど~ん!
霊夢は容赦なく攻撃を仕掛ける。
美鈴は攻撃をかろうじてかわした。
美鈴「あああ、いや、私はやってない・・・・・・・。」
霊夢「あんたが壊したとか、壊さなかったとか、そんなことはどうでもいい・・・・・。」
美鈴「ひえ~・・・・・・・。」
自分が、神社を破壊した初号機に乗っていた、なんて言ったら、一秒で消される雰囲気である。
霊夢「紅魔館を滅ぼす!それが私の役目よ!」
美鈴「あわわ・・・・・。」
霊夢「そんなわけで、紅魔館関係者は一人残らず消す。あんたは第一号。」
美鈴「い、いや、その・・・、私はさっき紅魔館から脱走してきたから・・・・・。」
霊夢「ほう?」
美鈴「妹様怒らせたから、多分あのままだと命がない・・・・。」
霊夢「ふんふん。」
美鈴「さらに、お嬢様や咲夜さんも怒ってるだろうし。だから、避難しに来たんだけど・・・・。」
霊夢「ならばその命、貰い受ける!!」
ダッ!
霊夢が美鈴に跳びかかった。
美鈴「うわ~~!!」
かろうじて攻撃をかわす美鈴。
美鈴「こ、この哀れな子羊に・・・。あんたには慈悲ってのが無いの?」
霊夢「無い!」
美鈴「ひどい!」
霊夢「どっちにしろ、あんたを生かしておくつもりは無いわ。ケヒヒ・・・・・。」
美鈴「く、くそ!背水の陣だ!」
美鈴は慌てて紅魔館方面に撤退した。
霊夢「あっちは紅魔館ね・・・。そういうのを、四面楚歌っていうんじゃなくて?ケヒヒ・・・・・。」
霊夢も、紅魔館方面へ飛び立った。
・
・
・
霊夢「待て~!逃げるな!」
どか~ん!
どか~ん!
美鈴「く!」
霊夢は、美鈴に追撃を仕掛ける。
美鈴「何て破壊力・・・・。さっきのは、ただの演出じゃなかったのね。」
そうこうしているうちに、紅魔館が見えてきた。
美鈴「あの中に入れば・・・・。」
霊夢「そうはいかないわ。」
ど~ん
美鈴「うわ~・・・・・・・・。」
攻撃は、ついに美鈴に当たった。
ボチャ~ン・・・・・
美鈴は、湖に落下する。
霊夢「ケヒヒ・・・。一匹撃墜。さて、次は・・・・・・・・。」
・
・
・
うい~ん!うい~ん!うい~ん!
レミリア「どうしたの?」
咲夜「敵です。」
レミリア「映像に出して。」
咲夜「はい。」
映像が出される。
レミリア「・・・・・・・・これは。」
咲夜「ドえらいのが出てきましたね。」
レミリア「何の用かは知らないけど、咲夜。」
咲夜「はい。」
レミリア「一応用件を聞いてみてくれる?」
咲夜「はい。」
・
・
・
霊夢「ケヒヒ・・・・。では、さっそく攻撃・・・・・。」
霊夢は攻撃態勢に入った。
咲夜『そこの紅白に告ぐ!』
咲夜からの放送。
霊夢「何の用?」
咲夜『それはこっちの台詞よ。何しに来た?』
霊夢「ちょっと、あんたらを根絶やしに。」
咲夜『お引取り願いますわ。』
霊夢「お断りしますわ。」
咲夜『うちを根絶やしにするなんて。寝言は寝て言え、ですわ。』
霊夢「寝言を言えない位、深い眠りに誘って差し上げますわ。ケヒヒ・・・・・。」
咲夜『まったく。うちが何したってのよ?大体、今日のあんた、変よ。いつも変だけど。』
霊夢「とぼけるんじゃないわよ。」
咲夜『どういうことよ?』
霊夢「さっき、でっかい妹君同士の喧嘩に、神社が巻き込まれたの。」
咲夜『そうなの?』
霊夢「おかげで、神社は九割方壊滅。」
咲夜『それは気の毒だったわね。』
霊夢「この怒りを何処へぶつけるか。それは紅魔館のみ!」
咲夜『そんなもんぶつけられても、困るわ。』
霊夢「困るなら、尚更ぶつけたくなるわ・・・・・・。喰らえ!」
霊夢が懐からスペルカードを取り出した。
霊夢「霊符『夢想封印 散』!!」
ギュイイイイイイイイン!
ずどば~~~ん!!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・
まあ、なにやら大げさな効果音がとともに、攻撃が紅魔館を直撃した。
レミリア「く・・・・・。」
咲夜「ぬう・・・・。」
霊夢『どうだ!ケヒヒヒヒ。』
その振動は、地下の司令部まで届いた。
咲夜「何てこと・・・・・・。」
レミリア「どうしたの?」
咲夜「館の窓ガラスが、18枚割られました!」
レミリア「それは大変!すぐに修理を!」
咲夜「無理です。その前にやられます。」
レミリア「フランゲリオンは?」
咲夜「なんとか出撃できます。しかし・・・・。」
レミリア「しかし?」
咲夜「零号機は修理が不完全。初号機はパイロット逃亡です。弐号機だけでは・・・・。」
レミリア「仕方ない。弐号機を出して。パチェは初号機で!」
咲夜「了解です。」
紅魔館は、かつて無い危機を迎えた。
・
・
・
藍「よしよし。ここらで汚名返上といくか。」
まずは、藍が弐号機で出撃。
パチュリー「・・・・・・・・無理ね。」
パチュリーは初号機に乗ったが、無理と感じた。
咲夜「中国率、0%・・・・・・。」
パチュリー「ごめんなさい。でも、私には中国率なんて無いから。」
咲夜「仕方ありません。今すぐチャイナドレスに着替えてください。で、髪にお団子を・・・。」
パチュリー「そんな時間は無いわ。あったとしても、絶対やらない。」
レミリア「仕方ないわね。降りて。」
パチュリー「わかったわ。」
パチュリーは、初号機から降りた。
レミリア「・・・・・・・・。」
咲夜「お嬢様、どちらへ?」
レミリア「ここの指揮は任せるわ。私は行くところがあるから。」
咲夜「・・・・・わかりました。お気をつけて。」
レミリアは、司令室から姿を消した。
・
・
・
霊夢「んん~?早速出てきたわね。」
霊夢に対抗するために、まず弐号機がでる。
藍「覚悟しろ!紅白。」
霊夢「ケヒヒヒヒ・・・。野生を忘れた狐に、私が負けると思って?」
藍「くらえ~!!」
弐号機は霊夢に攻撃を仕掛ける。
がきぃん!
藍「何!?」
霊夢「くくく・・・・。あはははは!」
ドゥ!
藍「うわあ!」
霊夢は攻撃を弾き、さらに衝撃波で弐号機を吹き飛ばす。
霊夢「ケヒヒ・・・。本物の妹君より弱いんじゃないの?」
藍「・・・言わせておけば!」
弐号機は再び霊夢に襲いかかる。
しかし、
霊夢「雑魚は大人しくしていて頂戴。夢符『二重結界』!!」
グオオオオン!!
藍「く!?動けない・・・・?」
霊夢の二重結界を喰らい、動けなくなった。
霊夢「今の私は神の力を借り、さらにお払い棒も二つで攻撃力も二倍!合計で十倍くらいパワーアップしてるわ。」
藍「ほんとなの?」
霊夢「後半は嘘。」
藍「でも、式よりよっぽど、協力な何かが憑いてるみたいだな・・・・・。」
霊夢「とどめよ!」
霊夢が弐号機にトドメをさそうとした、そのとき、
パチュリー「スキあり!」
霊夢「!?」
零号機が現れた。
咲夜『零号機!?パチュリー様、危険です!』
パチュリー「悪霊退散!恋符『マスタースパーク』!」
霊夢「な!?何故、そのスペルを?」
パチュリー「パクられたらパクり返せ、よ。覚悟!」
パチュリーが、パクりマスタースパークを撃った。
どかあ~ん!
霊夢「・・・・・・・・。」
藍「・・・・・・・・。」
咲夜『・・・・・・・・。」
パチュリー「・・・・・・ケホ。」
ずず~ん・・・・
マスタースパークのスペルカードは暴発。
パチュリーはそれに巻き込まれ、真っ黒こげになって、意識を失った。
同時に、零号機は地面に倒れる。
霊夢「コピーってのは、案外難しいのよ。あんまり手を出すもんじゃないわ。」
霊夢は、その様子を冷静に分析し、
咲夜『万事休す、か・・・・・・。』
咲夜は半ば諦めていた。
・
・
・
そのころ、撃墜された美鈴は、
美鈴「ぜ~・・・、ぜ~・・・・・・。」
生きていた。
美鈴「こ、ここは、何処・・・・・?」
どうやら、迷っているらしい。
美鈴「・・・・・・でも、ここなら安全そうね。」
ひとまず、休憩。
したのはよかったが。
レミリア「あら、美鈴。帰ってたの?」
美鈴「ぎゃあああ~!」
レミリアが現れた。
レミリア「何よ。お化けか悪魔でも見たように。」
美鈴「い、いや、悪魔でしょう?」
レミリア「まあ、いいわ。それより。」
美鈴「はいぃ~!勝手に抜け出して申し訳ありません!参号機壊して申し訳ありません!
妹様を怒らせて申し訳ありません!今すぐ初号機に乗って戦いますので、どうかお許しを~!!」
レミリア「・・・・・・私も咲夜も、別に怒ってはいないけど。」
美鈴「・・・・・へ?」
レミリア「妹は私がなだめたところよ。もう大丈夫。」
美鈴「よ、よかった~・・・・。」
レミリア「外が苦戦してるわ。援護に行って頂戴。」
美鈴「は、はい!」
家出して一日経たず。
美鈴は、紅魔館に帰ってきた。
そして、再び戦場へ赴く。
・
・
・
ギュイイイイン・・・・・
咲夜「!?初号機が・・・。誰?」
初号機に反応があった。
咲夜は、操縦席の映像を見る。
咲夜「・・・・美鈴。あなた、いつの間に?」
美鈴「咲夜さん。今すぐ出撃命令を!」
咲夜「いけるわね?」
美鈴「はい。」
咲夜「なら、行ってきなさい!」
ゴオオオオオオ!
そして、初号機は出撃する。
・
・
・
それで、戦場の方であるが、もう何というか、目も当てられない状態である。
弐号機は軽く蹴散らされ、零号機にいたっては意味も無い自爆である。
霊夢「ケヒヒヒヒ。もう打ち止めかしら・・・?」
藍「くそ~。またも紅白に負けるのか・・・・。」
霊夢は、弐号機にトドメをさそうとしていた。
と、そのときである。
ずず~ん
美鈴「そこまでよ。」
霊夢「む?」
霊夢の後方に初号機が姿を現した。
霊夢「あんた、門番ね。生きてたの?」
美鈴「まあ、ね。」
霊夢「しかも、そのでっかいの・・・・。あんたか。」
美鈴「ん?」
霊夢「あんたのそれが、神社を破壊したのね?」
美鈴「あ~、いや、でも、私に責任は無い・・・・。」
霊夢「問答無用!!」
霊夢は、陰陽玉を初号機に飛ばす。
ドカ!
ドカ!
美鈴「く!」
初号機は、結構後ろのほうまで吹っ飛ばされる。
美鈴「つ、強い・・・・・。」
霊夢「ケヒヒ・・・・。どうかしら?真の力を解放した、陰陽玉の力は。」
美鈴「う、動けない?何で・・・・?」
霊夢「神社の恨み、今こそ晴らすとき!」
美鈴「やられる・・・・・・・!」
霊夢「死ね~!!イビルフィールド!!」
どか~~~~ん!!
・
・
・
咲夜「あ、あの技は、一体・・・・。」
レミリア「・・・彼女は、悪の化身に魂を売った。」
咲夜「お嬢様・・・。」
レミリア「まさか、あんなに強くなるなんてね。相変わらず、常識が通じない身だわ。」
咲夜「お嬢様!外が全滅した以上、ここも時間の問題。早くお逃げください。」
レミリア「不正解。」
咲夜「お嬢様?」
レミリア「全滅?まだ、初号機は生きてるわ。よって、あれがここに来ることは無い。逃げる必要もないわ。」
咲夜「・・・・・これは!?」
・
・
・
霊夢「もう、完全に打ち止めのようね。ケヒヒ・・・・・・。」
霊夢は、勝利を確信した。
霊夢「それじゃあ、さっさと紅魔館を瓦礫の山にして、その後は・・・・。ケヒヒ・・・・。」
霊夢が紅魔館破壊のため、力を集中し始めた、そのとき、
どっくん
どっくん
霊夢「ケヒ?何よ、この音は?」
何やら、鼓動のような音が聞こえ始めた。
そして、
ギギギギギ・・・・・
初号機「・・・・・・・・・・。」
初号機が立ち上がった。
霊夢「ケヒャ、まだやる気?面倒だから、一緒に吹っ飛んで頂戴。夢符『封魔・・・!」
ドドドドドド!
霊夢「ケ~!?」
初号機「グォオオオオオオオオオオオ!!」
霊夢の攻撃の隙を突き、初号機が奇襲をかける。
咲夜「中国率400%!まさに、4000年の歴史です。」
レミリア「意味がわからないわ。」
司令室は割と冷静に、その様子を観察していた。
で、割と冗談じゃない出来事に直面した霊夢はと言うと。
霊夢「こ、こいつ・・・。発狂した・・・?」
初号機「ウオオオオオオオ!!」
霊夢「ケ、ケヒヒヒヒ!なら、これでトドメを・・・・。」
初号機「グオオオオオオオ~ン!!」
パシ!
霊夢「・・・・・・・ケ?」
初号機に捕らえられた。
咲夜「どっかで見た光景ですね。」
レミリア「そうね。懐かしいわ。」
司令室は、思い出に浸っていた。
霊夢「ケヒ~!こいつ、放せ!」
初号機「グア~ン!」
霊夢「ケヒャ・・・・・?」
初号機は霊夢をつまみ上げ、大口を開けた。
そして、
霊夢「ちょっと!まさか!?私を食べても、美味しくもなんとも・・・・・。」
パク!
初号機「(モグモグ・・・・・・。)」
喰った。
レミリア「な、何てこと・・・・・。」
咲夜「巫女を・・・・、喰ってる・・・・・?」
レミリア「美味しそう・・・・。」
咲夜「駄目です。あんなの食べたら、お腹壊すどころじゃすみませんよ。」
レミリア「そんなの、食べてみないとわからないわ。」」
司令室で、そんな会話がなされていた。
と、次の瞬間、、
初号機「・・・・・ぺッ!」
ばっちゃ~ん!
レミリア「あ、吐いた。」
咲夜「相当不味かったんでしょう。」
レミリア「残念。」
初号機は霊夢を吐き出した。
吐き出された霊夢は湖に落水、そのまま姿を消した。
初号機「グオオオオオオオオオ!!!」
咲夜「怒ってますね。」
レミリア「そんなに酷かったのかしら?」
初号機「・・・・・・・・・・。」
咲夜「初号機、沈黙しました。」
レミリア「気が済んだみたいね。全機、回収して。」
咲夜「了解です。」
・
・
・
かつてない激戦を制した紅魔館であったが、その被害は大変なものであった。
ガラス18枚の取替え、入り口付近の修理、フランゲリオンの修理など、その手間は馬鹿にならない。
そして、
咲夜「・・・・・・何てことなの。」
咲夜は初号機の操縦席を見て、愕然とした。
咲夜「これが、中国率400%の正体・・・。」
初号機の操縦席に、美鈴はいない。
いや、ちがう。
操縦席に、座っていなかった。
美鈴「・・・・・・・・・・・。」
操縦席がある空間には、美鈴は居た。
しかし、
咲夜「どうやったら、こんな体勢になれるのかしら?」
レミリア「操縦席の天井に頭から突っ込んで、頭が抜けなくなった状態ね。」
咲夜「説明のほど、ありがとうございます。」
頭が天井にめり込み、身体は宙吊り状態。
そんな状況で、美鈴は気を失っていた。
咲夜「そして彼女は初号機と一体化。それが400%の正体・・・・。」
レミリア「流石、中国の化身ね。」
咲夜「正体もわかったところで、救出に行ってきます。」
レミリア「あ、私、ちょっと出かけてくるけど、あとはよろしくね。」
咲夜「わかりました。」
レミリアはその場を去り、咲夜は美鈴の救出に向かう。
咲夜「よくもまあ、こんな体勢で落ちないものね。」
咲夜は美鈴の足を掴み、
ズボ!
と景気のいい音とともに、美鈴を引っこ抜いた。
咲夜「ほら、いつまでも寝てないで、置きなさい。」
美鈴「う~・・・・・・。」
ぴしぴし
咲夜は美鈴の頬を軽く叩いてみる。
美鈴「う~ん・・・・・・。」
咲夜「こんなところで寝てたら、風邪ひくわよ?」
ぱんぱん
さらに叩いてみる。
美鈴「あう~・・・・・・。」
咲夜「仕事しなさいって。」
ババババババババババ!!
さらに叩いてみる。
美鈴「・・・・・・・・グフッ・・・・・・。」
咲夜「あら?トドメ刺しちゃったかな?」
美鈴はがっくりうなだれてしまった。
咲夜「救護班!運んで頂戴。」
橙「了解~。」
美鈴は医務室へ運ばれた。
・
・
・
美鈴「う~ん・・・・?」
医務室にて、美鈴は目覚めた。
美鈴「ここは・・・・・?」
パチュリー「医務室よ。」
隣のベッドで寝ていたパチュリーが話し掛ける。
美鈴「パチュリー様。一体何が・・・?」
パチュリー「あの紅白に襲撃されて、私もこのとおりだわ。」
美鈴「!あいつは!?」
パチュリー「やっつけたわ。初号機が。」
美鈴「初号機が・・・・?」
咲夜「その通りよ。」
咲夜が現われる。
咲夜「初号機は暴走。そしてあいつを捕まえて取って喰ったの。で、不味かったみたいだから吐き出した。」
パチュリー「で、被害の方は、どうなの?」
咲夜「酷いものね。窓ガラスが半分くらい割られてたわ。玄関先も修繕しなきゃ。」
パチュリー「フランゲリオンは?」
咲夜「三体とも修理が必要ね。大して壊れてはないけど、強力な結界で動きを封じられてます。」
パチュリー「こうしちゃいられないわね。」
パチュリーは立ち上がる。
咲夜「どちらへ?」
パチュリー「結界を解いてみるわ。」
咲夜「お願いします。」
パチュリー「まったく、こんなになるなら、今作ってるものを早く完成させなきゃね。」
咲夜「熱心ですね。地下にいるアレの影響ですか?」
パチュリー「さあ、どうかしらね。」
咲夜「自爆だけは勘弁してください。」
パチュリー「気をつけるわ。」
そう言って、部屋を出て行くパチュリー。
美鈴「自爆って?」
咲夜「ええ。さっきの戦闘で、豪快に自爆してくれたのよ。」
美鈴「それは、また・・・・・。」
咲夜「で、あなたは大丈夫なの?」
美鈴「あ、はい、何とか・・・。」
咲夜「よろしい。じゃあ、早速初号機の整備でもしてきて頂戴。」
美鈴「了解です。」
咲夜「勝手に家出なんかしないでよ?人材を探すのだって大変なんだから。」
美鈴「はい。どーもすみませんでした。」
美鈴も、部屋を出る。
こうして美鈴は、紅魔館門番、もといフランゲリオン初号機のパイロットに返り咲いた。
が、やはりそれがロクでもない仕事であるという事実は、変わらなかった。
第九話 完
コンコン
咲夜「美鈴?」
コンコン
咲夜「居ないの?」
カチャ
咲夜「あら、カギが開いてる。」
咲夜は美鈴を探して、彼女の部屋まで来てみた。
が、部屋からの反応はなかった。
咲夜「・・・・・・やっぱり居ない。」
部屋の中に入っても、やっぱり居ない。
咲夜「地味だから存在が消えたのかな?・・・・・・ん?」
咲夜はふと、手紙らしきものを見つける。
咲夜「どれどれ・・・・。」
咲夜は、手紙を読む。
『 事が落ち着くまで、探さないで下さい。
事が落ち着いたら、探しに来て下さい。
門番 紅 美鈴
追伸:私の存在を忘れないで下さい。名前も。』
咲夜「・・・・・仕方ないわねえ。」
置き手紙を見た咲夜は、仕方なく認めることにした。
・
・
・
レミリア「そう。逃げたのね。」
咲夜「気持ちはわからないでもないですが・・・。」
レミリア「でも、すぐにでも忘れそうね。」
咲夜「気持ちはわからないでもないですが・・・。っていうか、すごくわかります。」
レミリア「で、フランドールは?」
咲夜「今は部屋に戻られて、大人しくしていますが・・・・・。」
レミリア「まだ怒っているの?」
咲夜「はい。」
レミリア「仕方ない子ねえ・・・・・。」
咲夜「ちなみに美鈴ですが、お嬢様にも怒られると思ってます。」
レミリア「こっちも仕方のない子ねえ・・・・。別に怒ってなんかいないのに。」
・
・
・
美鈴「はあ~・・・・・・・。」
一時的にとはいえ、家無き子になった美鈴は、途方にくれていた。
美鈴「しばらく紅魔館には戻れないし・・・・・。どうしようか・・・・・・・。」
フランドールが最後に見せたアレは、美鈴の恐怖心を駆り立てるに十分過ぎた。
美鈴「霧雨邸は、主人不在・・・・。神社、博麗神社は・・・・・?」
ふと、博麗神社の存在を思い出した。
美鈴「仕方ないか。しばらくかくまってもらおう・・・・・。」
美鈴は、博麗神社へと向かった。
・
・
・
ところ変わって、博麗神社。
いや、博麗神社だった所。
霊夢「ふふ・・・・・。ふふふふふ・・・・・・・。」
巫女、博麗霊夢は、それはもうブチギレていた。
先ほどの、初号機対参号機の戦いで、神社は跡形もなく破壊されてしまったからだ。
霊夢「な~にが悲しくて、でっかい妹君のケンカのとばっちりを受けなきゃならないのよ・・・・。」
もう、腹が立つやら悲しいやら、憎いやら虚しいやら、定かならぬ心境らしい。
霊夢「・・・でも、こうなればやることはただ一つ!紅魔館殲滅!!」
そう決心した霊夢。
そして
霊夢「わが神社の祟り神にして人間界の神(仮)よ!我に力を与えよ!奴らに復讐できるだけの力を!」
ゴロゴロゴロ・・・・・
霊夢が叫んだ瞬間、あたりに暗雲が現れた。
次の瞬間、
ど~ん!
霊夢に雷が落ちた。
霊夢「・・・・・力がみなぎる・・・・・。この力に加えて・・・・。」
霊夢は、再び叫んだ。
霊夢「陰陽玉よ!今こそ真の力を開放するとき!」
グゥオオオオオオオオオオオオ!!
そう叫んだ瞬間陰陽玉は、すさまじい、そして禍々しい気を放出させた。
霊夢「ふふふ・・・、この力があれば、シスターオブスカーレットだろうが、何だろうが・・・・・。」
・
・
・
美鈴「うわわわわ・・・・・・・・・。」
茂みから、霊夢が悪魔に魂を売り渡す瞬間を目撃した美鈴。
霊夢「はははははははは!!」
美鈴「あ、あの力・・・。紅魔館が危ない!」
その力のすさまじさは、離れた位置にいた美鈴にも伝わってきたらしい。
美鈴「急いで戻らなきゃ・・・・・。」
霊夢「む!?」
霊夢が、美鈴の隠れている方を向いた。
霊夢「・・・・そこにいるのは誰かな~?」
美鈴「(見つかった!?)」
霊夢が近づいてくる。
美鈴「に、にゃ~・・・・・。」
霊夢「猫か。」
美鈴「うにゃ~・・・・。」
霊夢「猫ね。」
美鈴「にゃ~ん。」
美鈴は、猫真似でその場を凌ぐ。
霊夢「そんな古典的な手で、私を騙せると思ったか~!!」
美鈴「うわああああ~~~!!?」
凌げなかった。
霊夢は叫びながら、美鈴の隠れている茂みへ駆け寄った。
霊夢「紅魔館門番、中国・・・・・。あんたが、ここを壊したのか?」
美鈴「(ブルン!ブルン!)」
霊夢「そう・・・・・。」
必死に首を横に振り、無実を訴える美鈴。
実際、無実ではないが。
霊夢「なら、ここで死ね~!夢符『エクスターミネイション』」
美鈴「わ~!」
ど~ん!
霊夢は容赦なく攻撃を仕掛ける。
美鈴は攻撃をかろうじてかわした。
美鈴「あああ、いや、私はやってない・・・・・・・。」
霊夢「あんたが壊したとか、壊さなかったとか、そんなことはどうでもいい・・・・・。」
美鈴「ひえ~・・・・・・・。」
自分が、神社を破壊した初号機に乗っていた、なんて言ったら、一秒で消される雰囲気である。
霊夢「紅魔館を滅ぼす!それが私の役目よ!」
美鈴「あわわ・・・・・。」
霊夢「そんなわけで、紅魔館関係者は一人残らず消す。あんたは第一号。」
美鈴「い、いや、その・・・、私はさっき紅魔館から脱走してきたから・・・・・。」
霊夢「ほう?」
美鈴「妹様怒らせたから、多分あのままだと命がない・・・・。」
霊夢「ふんふん。」
美鈴「さらに、お嬢様や咲夜さんも怒ってるだろうし。だから、避難しに来たんだけど・・・・。」
霊夢「ならばその命、貰い受ける!!」
ダッ!
霊夢が美鈴に跳びかかった。
美鈴「うわ~~!!」
かろうじて攻撃をかわす美鈴。
美鈴「こ、この哀れな子羊に・・・。あんたには慈悲ってのが無いの?」
霊夢「無い!」
美鈴「ひどい!」
霊夢「どっちにしろ、あんたを生かしておくつもりは無いわ。ケヒヒ・・・・・。」
美鈴「く、くそ!背水の陣だ!」
美鈴は慌てて紅魔館方面に撤退した。
霊夢「あっちは紅魔館ね・・・。そういうのを、四面楚歌っていうんじゃなくて?ケヒヒ・・・・・。」
霊夢も、紅魔館方面へ飛び立った。
・
・
・
霊夢「待て~!逃げるな!」
どか~ん!
どか~ん!
美鈴「く!」
霊夢は、美鈴に追撃を仕掛ける。
美鈴「何て破壊力・・・・。さっきのは、ただの演出じゃなかったのね。」
そうこうしているうちに、紅魔館が見えてきた。
美鈴「あの中に入れば・・・・。」
霊夢「そうはいかないわ。」
ど~ん
美鈴「うわ~・・・・・・・・。」
攻撃は、ついに美鈴に当たった。
ボチャ~ン・・・・・
美鈴は、湖に落下する。
霊夢「ケヒヒ・・・。一匹撃墜。さて、次は・・・・・・・・。」
・
・
・
うい~ん!うい~ん!うい~ん!
レミリア「どうしたの?」
咲夜「敵です。」
レミリア「映像に出して。」
咲夜「はい。」
映像が出される。
レミリア「・・・・・・・・これは。」
咲夜「ドえらいのが出てきましたね。」
レミリア「何の用かは知らないけど、咲夜。」
咲夜「はい。」
レミリア「一応用件を聞いてみてくれる?」
咲夜「はい。」
・
・
・
霊夢「ケヒヒ・・・・。では、さっそく攻撃・・・・・。」
霊夢は攻撃態勢に入った。
咲夜『そこの紅白に告ぐ!』
咲夜からの放送。
霊夢「何の用?」
咲夜『それはこっちの台詞よ。何しに来た?』
霊夢「ちょっと、あんたらを根絶やしに。」
咲夜『お引取り願いますわ。』
霊夢「お断りしますわ。」
咲夜『うちを根絶やしにするなんて。寝言は寝て言え、ですわ。』
霊夢「寝言を言えない位、深い眠りに誘って差し上げますわ。ケヒヒ・・・・・。」
咲夜『まったく。うちが何したってのよ?大体、今日のあんた、変よ。いつも変だけど。』
霊夢「とぼけるんじゃないわよ。」
咲夜『どういうことよ?』
霊夢「さっき、でっかい妹君同士の喧嘩に、神社が巻き込まれたの。」
咲夜『そうなの?』
霊夢「おかげで、神社は九割方壊滅。」
咲夜『それは気の毒だったわね。』
霊夢「この怒りを何処へぶつけるか。それは紅魔館のみ!」
咲夜『そんなもんぶつけられても、困るわ。』
霊夢「困るなら、尚更ぶつけたくなるわ・・・・・・。喰らえ!」
霊夢が懐からスペルカードを取り出した。
霊夢「霊符『夢想封印 散』!!」
ギュイイイイイイイイン!
ずどば~~~ん!!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・
まあ、なにやら大げさな効果音がとともに、攻撃が紅魔館を直撃した。
レミリア「く・・・・・。」
咲夜「ぬう・・・・。」
霊夢『どうだ!ケヒヒヒヒ。』
その振動は、地下の司令部まで届いた。
咲夜「何てこと・・・・・・。」
レミリア「どうしたの?」
咲夜「館の窓ガラスが、18枚割られました!」
レミリア「それは大変!すぐに修理を!」
咲夜「無理です。その前にやられます。」
レミリア「フランゲリオンは?」
咲夜「なんとか出撃できます。しかし・・・・。」
レミリア「しかし?」
咲夜「零号機は修理が不完全。初号機はパイロット逃亡です。弐号機だけでは・・・・。」
レミリア「仕方ない。弐号機を出して。パチェは初号機で!」
咲夜「了解です。」
紅魔館は、かつて無い危機を迎えた。
・
・
・
藍「よしよし。ここらで汚名返上といくか。」
まずは、藍が弐号機で出撃。
パチュリー「・・・・・・・・無理ね。」
パチュリーは初号機に乗ったが、無理と感じた。
咲夜「中国率、0%・・・・・・。」
パチュリー「ごめんなさい。でも、私には中国率なんて無いから。」
咲夜「仕方ありません。今すぐチャイナドレスに着替えてください。で、髪にお団子を・・・。」
パチュリー「そんな時間は無いわ。あったとしても、絶対やらない。」
レミリア「仕方ないわね。降りて。」
パチュリー「わかったわ。」
パチュリーは、初号機から降りた。
レミリア「・・・・・・・・。」
咲夜「お嬢様、どちらへ?」
レミリア「ここの指揮は任せるわ。私は行くところがあるから。」
咲夜「・・・・・わかりました。お気をつけて。」
レミリアは、司令室から姿を消した。
・
・
・
霊夢「んん~?早速出てきたわね。」
霊夢に対抗するために、まず弐号機がでる。
藍「覚悟しろ!紅白。」
霊夢「ケヒヒヒヒ・・・。野生を忘れた狐に、私が負けると思って?」
藍「くらえ~!!」
弐号機は霊夢に攻撃を仕掛ける。
がきぃん!
藍「何!?」
霊夢「くくく・・・・。あはははは!」
ドゥ!
藍「うわあ!」
霊夢は攻撃を弾き、さらに衝撃波で弐号機を吹き飛ばす。
霊夢「ケヒヒ・・・。本物の妹君より弱いんじゃないの?」
藍「・・・言わせておけば!」
弐号機は再び霊夢に襲いかかる。
しかし、
霊夢「雑魚は大人しくしていて頂戴。夢符『二重結界』!!」
グオオオオン!!
藍「く!?動けない・・・・?」
霊夢の二重結界を喰らい、動けなくなった。
霊夢「今の私は神の力を借り、さらにお払い棒も二つで攻撃力も二倍!合計で十倍くらいパワーアップしてるわ。」
藍「ほんとなの?」
霊夢「後半は嘘。」
藍「でも、式よりよっぽど、協力な何かが憑いてるみたいだな・・・・・。」
霊夢「とどめよ!」
霊夢が弐号機にトドメをさそうとした、そのとき、
パチュリー「スキあり!」
霊夢「!?」
零号機が現れた。
咲夜『零号機!?パチュリー様、危険です!』
パチュリー「悪霊退散!恋符『マスタースパーク』!」
霊夢「な!?何故、そのスペルを?」
パチュリー「パクられたらパクり返せ、よ。覚悟!」
パチュリーが、パクりマスタースパークを撃った。
どかあ~ん!
霊夢「・・・・・・・・。」
藍「・・・・・・・・。」
咲夜『・・・・・・・・。」
パチュリー「・・・・・・ケホ。」
ずず~ん・・・・
マスタースパークのスペルカードは暴発。
パチュリーはそれに巻き込まれ、真っ黒こげになって、意識を失った。
同時に、零号機は地面に倒れる。
霊夢「コピーってのは、案外難しいのよ。あんまり手を出すもんじゃないわ。」
霊夢は、その様子を冷静に分析し、
咲夜『万事休す、か・・・・・・。』
咲夜は半ば諦めていた。
・
・
・
そのころ、撃墜された美鈴は、
美鈴「ぜ~・・・、ぜ~・・・・・・。」
生きていた。
美鈴「こ、ここは、何処・・・・・?」
どうやら、迷っているらしい。
美鈴「・・・・・・でも、ここなら安全そうね。」
ひとまず、休憩。
したのはよかったが。
レミリア「あら、美鈴。帰ってたの?」
美鈴「ぎゃあああ~!」
レミリアが現れた。
レミリア「何よ。お化けか悪魔でも見たように。」
美鈴「い、いや、悪魔でしょう?」
レミリア「まあ、いいわ。それより。」
美鈴「はいぃ~!勝手に抜け出して申し訳ありません!参号機壊して申し訳ありません!
妹様を怒らせて申し訳ありません!今すぐ初号機に乗って戦いますので、どうかお許しを~!!」
レミリア「・・・・・・私も咲夜も、別に怒ってはいないけど。」
美鈴「・・・・・へ?」
レミリア「妹は私がなだめたところよ。もう大丈夫。」
美鈴「よ、よかった~・・・・。」
レミリア「外が苦戦してるわ。援護に行って頂戴。」
美鈴「は、はい!」
家出して一日経たず。
美鈴は、紅魔館に帰ってきた。
そして、再び戦場へ赴く。
・
・
・
ギュイイイイン・・・・・
咲夜「!?初号機が・・・。誰?」
初号機に反応があった。
咲夜は、操縦席の映像を見る。
咲夜「・・・・美鈴。あなた、いつの間に?」
美鈴「咲夜さん。今すぐ出撃命令を!」
咲夜「いけるわね?」
美鈴「はい。」
咲夜「なら、行ってきなさい!」
ゴオオオオオオ!
そして、初号機は出撃する。
・
・
・
それで、戦場の方であるが、もう何というか、目も当てられない状態である。
弐号機は軽く蹴散らされ、零号機にいたっては意味も無い自爆である。
霊夢「ケヒヒヒヒ。もう打ち止めかしら・・・?」
藍「くそ~。またも紅白に負けるのか・・・・。」
霊夢は、弐号機にトドメをさそうとしていた。
と、そのときである。
ずず~ん
美鈴「そこまでよ。」
霊夢「む?」
霊夢の後方に初号機が姿を現した。
霊夢「あんた、門番ね。生きてたの?」
美鈴「まあ、ね。」
霊夢「しかも、そのでっかいの・・・・。あんたか。」
美鈴「ん?」
霊夢「あんたのそれが、神社を破壊したのね?」
美鈴「あ~、いや、でも、私に責任は無い・・・・。」
霊夢「問答無用!!」
霊夢は、陰陽玉を初号機に飛ばす。
ドカ!
ドカ!
美鈴「く!」
初号機は、結構後ろのほうまで吹っ飛ばされる。
美鈴「つ、強い・・・・・。」
霊夢「ケヒヒ・・・・。どうかしら?真の力を解放した、陰陽玉の力は。」
美鈴「う、動けない?何で・・・・?」
霊夢「神社の恨み、今こそ晴らすとき!」
美鈴「やられる・・・・・・・!」
霊夢「死ね~!!イビルフィールド!!」
どか~~~~ん!!
・
・
・
咲夜「あ、あの技は、一体・・・・。」
レミリア「・・・彼女は、悪の化身に魂を売った。」
咲夜「お嬢様・・・。」
レミリア「まさか、あんなに強くなるなんてね。相変わらず、常識が通じない身だわ。」
咲夜「お嬢様!外が全滅した以上、ここも時間の問題。早くお逃げください。」
レミリア「不正解。」
咲夜「お嬢様?」
レミリア「全滅?まだ、初号機は生きてるわ。よって、あれがここに来ることは無い。逃げる必要もないわ。」
咲夜「・・・・・これは!?」
・
・
・
霊夢「もう、完全に打ち止めのようね。ケヒヒ・・・・・・。」
霊夢は、勝利を確信した。
霊夢「それじゃあ、さっさと紅魔館を瓦礫の山にして、その後は・・・・。ケヒヒ・・・・。」
霊夢が紅魔館破壊のため、力を集中し始めた、そのとき、
どっくん
どっくん
霊夢「ケヒ?何よ、この音は?」
何やら、鼓動のような音が聞こえ始めた。
そして、
ギギギギギ・・・・・
初号機「・・・・・・・・・・。」
初号機が立ち上がった。
霊夢「ケヒャ、まだやる気?面倒だから、一緒に吹っ飛んで頂戴。夢符『封魔・・・!」
ドドドドドド!
霊夢「ケ~!?」
初号機「グォオオオオオオオオオオオ!!」
霊夢の攻撃の隙を突き、初号機が奇襲をかける。
咲夜「中国率400%!まさに、4000年の歴史です。」
レミリア「意味がわからないわ。」
司令室は割と冷静に、その様子を観察していた。
で、割と冗談じゃない出来事に直面した霊夢はと言うと。
霊夢「こ、こいつ・・・。発狂した・・・?」
初号機「ウオオオオオオオ!!」
霊夢「ケ、ケヒヒヒヒ!なら、これでトドメを・・・・。」
初号機「グオオオオオオオ~ン!!」
パシ!
霊夢「・・・・・・・ケ?」
初号機に捕らえられた。
咲夜「どっかで見た光景ですね。」
レミリア「そうね。懐かしいわ。」
司令室は、思い出に浸っていた。
霊夢「ケヒ~!こいつ、放せ!」
初号機「グア~ン!」
霊夢「ケヒャ・・・・・?」
初号機は霊夢をつまみ上げ、大口を開けた。
そして、
霊夢「ちょっと!まさか!?私を食べても、美味しくもなんとも・・・・・。」
パク!
初号機「(モグモグ・・・・・・。)」
喰った。
レミリア「な、何てこと・・・・・。」
咲夜「巫女を・・・・、喰ってる・・・・・?」
レミリア「美味しそう・・・・。」
咲夜「駄目です。あんなの食べたら、お腹壊すどころじゃすみませんよ。」
レミリア「そんなの、食べてみないとわからないわ。」」
司令室で、そんな会話がなされていた。
と、次の瞬間、、
初号機「・・・・・ぺッ!」
ばっちゃ~ん!
レミリア「あ、吐いた。」
咲夜「相当不味かったんでしょう。」
レミリア「残念。」
初号機は霊夢を吐き出した。
吐き出された霊夢は湖に落水、そのまま姿を消した。
初号機「グオオオオオオオオオ!!!」
咲夜「怒ってますね。」
レミリア「そんなに酷かったのかしら?」
初号機「・・・・・・・・・・。」
咲夜「初号機、沈黙しました。」
レミリア「気が済んだみたいね。全機、回収して。」
咲夜「了解です。」
・
・
・
かつてない激戦を制した紅魔館であったが、その被害は大変なものであった。
ガラス18枚の取替え、入り口付近の修理、フランゲリオンの修理など、その手間は馬鹿にならない。
そして、
咲夜「・・・・・・何てことなの。」
咲夜は初号機の操縦席を見て、愕然とした。
咲夜「これが、中国率400%の正体・・・。」
初号機の操縦席に、美鈴はいない。
いや、ちがう。
操縦席に、座っていなかった。
美鈴「・・・・・・・・・・・。」
操縦席がある空間には、美鈴は居た。
しかし、
咲夜「どうやったら、こんな体勢になれるのかしら?」
レミリア「操縦席の天井に頭から突っ込んで、頭が抜けなくなった状態ね。」
咲夜「説明のほど、ありがとうございます。」
頭が天井にめり込み、身体は宙吊り状態。
そんな状況で、美鈴は気を失っていた。
咲夜「そして彼女は初号機と一体化。それが400%の正体・・・・。」
レミリア「流石、中国の化身ね。」
咲夜「正体もわかったところで、救出に行ってきます。」
レミリア「あ、私、ちょっと出かけてくるけど、あとはよろしくね。」
咲夜「わかりました。」
レミリアはその場を去り、咲夜は美鈴の救出に向かう。
咲夜「よくもまあ、こんな体勢で落ちないものね。」
咲夜は美鈴の足を掴み、
ズボ!
と景気のいい音とともに、美鈴を引っこ抜いた。
咲夜「ほら、いつまでも寝てないで、置きなさい。」
美鈴「う~・・・・・・。」
ぴしぴし
咲夜は美鈴の頬を軽く叩いてみる。
美鈴「う~ん・・・・・・。」
咲夜「こんなところで寝てたら、風邪ひくわよ?」
ぱんぱん
さらに叩いてみる。
美鈴「あう~・・・・・・。」
咲夜「仕事しなさいって。」
ババババババババババ!!
さらに叩いてみる。
美鈴「・・・・・・・・グフッ・・・・・・。」
咲夜「あら?トドメ刺しちゃったかな?」
美鈴はがっくりうなだれてしまった。
咲夜「救護班!運んで頂戴。」
橙「了解~。」
美鈴は医務室へ運ばれた。
・
・
・
美鈴「う~ん・・・・?」
医務室にて、美鈴は目覚めた。
美鈴「ここは・・・・・?」
パチュリー「医務室よ。」
隣のベッドで寝ていたパチュリーが話し掛ける。
美鈴「パチュリー様。一体何が・・・?」
パチュリー「あの紅白に襲撃されて、私もこのとおりだわ。」
美鈴「!あいつは!?」
パチュリー「やっつけたわ。初号機が。」
美鈴「初号機が・・・・?」
咲夜「その通りよ。」
咲夜が現われる。
咲夜「初号機は暴走。そしてあいつを捕まえて取って喰ったの。で、不味かったみたいだから吐き出した。」
パチュリー「で、被害の方は、どうなの?」
咲夜「酷いものね。窓ガラスが半分くらい割られてたわ。玄関先も修繕しなきゃ。」
パチュリー「フランゲリオンは?」
咲夜「三体とも修理が必要ね。大して壊れてはないけど、強力な結界で動きを封じられてます。」
パチュリー「こうしちゃいられないわね。」
パチュリーは立ち上がる。
咲夜「どちらへ?」
パチュリー「結界を解いてみるわ。」
咲夜「お願いします。」
パチュリー「まったく、こんなになるなら、今作ってるものを早く完成させなきゃね。」
咲夜「熱心ですね。地下にいるアレの影響ですか?」
パチュリー「さあ、どうかしらね。」
咲夜「自爆だけは勘弁してください。」
パチュリー「気をつけるわ。」
そう言って、部屋を出て行くパチュリー。
美鈴「自爆って?」
咲夜「ええ。さっきの戦闘で、豪快に自爆してくれたのよ。」
美鈴「それは、また・・・・・。」
咲夜「で、あなたは大丈夫なの?」
美鈴「あ、はい、何とか・・・。」
咲夜「よろしい。じゃあ、早速初号機の整備でもしてきて頂戴。」
美鈴「了解です。」
咲夜「勝手に家出なんかしないでよ?人材を探すのだって大変なんだから。」
美鈴「はい。どーもすみませんでした。」
美鈴も、部屋を出る。
こうして美鈴は、紅魔館門番、もといフランゲリオン初号機のパイロットに返り咲いた。
が、やはりそれがロクでもない仕事であるという事実は、変わらなかった。
第九話 完
現場と司令室の緊張感のギャップも面白い。
咲夜さんも名に言ってるんだか(w
今死ぬほど空腹なんですが飯食えなくなっちゃいましたがどーしてくれますかーッ!(爆笑
笑いすぎて頬が筋肉痛ですー。助けてくださいー。
本日のクリティカルヒット:「ケヒヒ」
壊れ霊夢は目新しすぎて笑いが止まらないw
…ヤバイ面白すぎる。
できればチャイナドレスにお団子のパチュリーを・・・w
窓ガラス16枚というところに、芸の細かさが光っていて、相変わらず面白いですねw
キャラクターが面白いです(特に中国)