Coolier - 新生・東方創想話

全ての星

2006/05/16 17:56:16
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「・・・・・・ん・・・」

うっすらと生い茂る森の中、一人の少女が目を覚ます

「・・・眠い・・・」

少女はそう呟きながらも両腕を地面に立て、ゆっくりと上体を引き起こした

「・・・ここは・・・どこ?」

うっすらと生い茂る森の中、一人の少女が立ち上がる



その右手にはお払い棒、その左手には陰陽玉、そして一風変わった巫女服が彼女を包んでいた



「わけが・・・わからないわね」

ほんの少し歩くと森の切れ目が見えた
眼前に広がるは青い空、そしてただひたすら青が広がり、底の見えない崖

「ここはどこなの?」

答える者は誰もいない、ただひたすらに崖にそって歩き、その森からの出口が無いことを知る
一周し、二周し、歩みが止まる、そして何時しか目の覚めたあの場所へと戻りつつ、何も無い空を見上げた

「・・・・・・う~ん」

どれだけ空を見上げても、空が近くなることはない
飛べない、否、浮けない、だから両腕を伸ばしてみた、何の意味もなかった
軽く飛び跳ねてみた、跳んでから少しだけ飛べた、だけど少しだけだった

「閉じ込められた?」
「どうやら、そのようね」

声が響く、彼女の物では無い別の声が

「あら・・・今は日中よ、傘は差さなくて大丈夫なの?」
「どうやら、そのようね」

少女が一人、舞い降りる
銀の髪、紅の瞳、その背に一対の蝙蝠の翼、それは見紛う事なき吸血鬼

「どうやら、そうみたいね」
「そうみたいだから、始めましょう?」

吸血鬼の右手に紅い光が集う
少女のお払い棒を持つ手に力が入る

「一体何を始めるつもり?」
「決まっているでしょう、貴女と私の存在をかけた戦い、勝利せし者だけがこの場を抜ける事が出来る」
「敗北したものは?」
「空のもずく」

二人の距離が縮まる、爪と針の衝突音が森へと響き渡る

「それだけ聞けば、十分よ」
「貴女が消えれば、もっと十分なのだけれど」










「・・・・・・」

目を開く、辺りを見渡す、そこは森ではないどこか

「・・・レミリア・・・」

紅の館の主、レミリア・スカーレット
彼女の圧倒的な身体能力の前に、崖際に追い詰められ、なおも襲い来る彼女
その恐怖に飲まれ、無我夢中で跳ね除けた、それがどう転んだのかはわからない
だが、次の瞬間、永遠の空へ落ちようとしていたのは彼女だった

「・・・!」

その時の顔が忘れられない、まるで全ての希望を断たれたかのような顔
だから右手を精一杯彼女へと伸ばした、そしてその手は彼女へと届いた

「馬鹿ね・・・」

彼女はそう言って私の手を払いのけた、故に彼女は落ちていった
でも何故か、その顔はにこやかに微笑んでいた

次の瞬間、白い光に包まれた
そして立っていたのが、ここだった
体の傷も、消えていた

「今度は・・・数が揃っているのね」

どこかの場所のどこかから、名も知らぬ妖怪が姿を現す
それは人の姿なのか、それとも違うのか

「・・・かかってきなさい」

途端、妖怪達が飛び掛ってくる
一匹は頭を叩きに、一匹は身体を切り裂きに、そして残りの妖怪達も

「負けないわよ、私は」










「そうか、だが私も負けないぜ?」

対峙する、一人の魔法使い

「一体誰が、何を企んでいるの」
「さあな、そいつはわからない」

舞台は湖・・・否、泉
視界に軽く収まる程度の器から、どこからともなく溢れ続ける水が流れ続ける

「わかることは唯一つ」
「そう、唯一つ・・・勝ち残ることだ」

水の上なのに歩く事ができる、これで飛べないのだから、苦笑物だ
そんな泉の上で、巫女と魔法使いが対峙する

「霊夢・・・いくぜ!」
「来なさい! 魔理沙!」










「・・・待っていたわ」
「遅かったな」

また舞台は変わった
冥界、亡霊たちの住まう所、白玉楼
そこにはさも居て当然のように、冥界の主と冥界一硬い盾が居る

「今度は、二人が相手なのね」
「ええ、二人が相手なのよ」

魔理沙は、戦いの最中にどこかに消えた
理由は分からない、ただし爆発が起きた事だけは分かっている
起きた理由が分からない、結局、いつの間にか白い光に包まれていた

「だから、こっちも二人だぜ?」
「あら、魔理沙」

私の後ろでにやにやした笑みを浮かべる魔法使い
そんなに共に戦う事が嬉しいのだろうか

「結局、どこに行ってたのよ」
「さあな、それはわからない」

少なくとも、私は嬉しかった

「わかることは唯一つだぜ?」
「そうね、唯一つ」
「そうよ、唯一つ」
「唯一つだけ」

『勝つ事』

四人の声が重なり合う、それが戦いの開始の合図










「紅魔館へようこそ、私は、ここのメイド長の十六夜咲夜と申します」
「言わなくても分かるわよ」

また舞台は変わった、共に戦った魔理沙の姿は無い
魔理沙は別れる事を知っていたのだろうか、知っていて笑ってくれたのだろうか
・・・また、魔理沙と会えるのだろうか

「言わなくても分かるのなら、始めましょう」
「その前に貴女に一つだけ聞きたいことがあるわ」

咲夜がホルスターに納めてあったナイフを抜き取る

「何を聞きたいの?」
「もしここに来たのがレミリアだったら・・・貴女は戦う?」

途端、目の色が紅へと変わる、殺気が空気を伝わり私へと届く
その眼光は全て私へと向けられ、その銀の刃は月の明かりを反射し続けた

「・・・つまらない事を聞いてしまったわね」
「ええ、最高につまらなかったわ・・・私達に許されている事は、勝つ事だけなのよ」










「あー、ようやく来た来た」
「来た来たって・・・」

博麗神社、私の住む場所
その境内で豪快に酒を浴びる鬼の姿
その姿は大きく、鳥居を背もたれにしているほどであった

「その大きさは反則じゃないの?」
「そうでも無いみたいだけど?」
「そうよ、反則はどちらかといえばこちらの方よ」
「まったく持ってその通りです、お嬢様」

気付けばこちらは三人
無邪気な笑みを浮かべる吸血鬼と飄々とした表情の完全で瀟洒な従者
そして呆れ果てる巫女

「何でレミリアがここに居るのよ・・・」
「貴女がその手を伸ばしてくれたから」
「お嬢様が居る所に咲夜ありですわ」
「あんたには聞いてない」

ずしんと音が響き、鬼がむくりと立ち上がる
不思議と脅えも恐怖も何も無い、あるはずが無い

「それじゃ」
「鬼退治と」
「いきましょう」
「・・・あー・・・桃太郎は誰?」










「あー! 霊夢が来た!」
「巫女巫女レイム~♪ 巫女巫女レイム~♪」
「今度はやけに豪勢ね」

次に移り変わった舞台は、紅魔湖のほとり
待ち受けるは、チルノ、ミスティア、ルーミア、リグル、橙、ブリズムリバー三姉妹と
いつもの宴会でおなじみの妖精や妖怪達だった

「それで、こっちは一人なの?」
「そーなのかー」
「さー! 皆で霊夢をぎったんぎったんにするよー!」
「・・・本当にどうやら一人みたいね」

ざぶんざぶんと、湖に水飛沫が上がる
その数はおよそ八つ、そしてほとりにその姿が残っていたのは霊夢だけであった










「・・・・・・」
「・・・・・・」

この舞台は、今までとは違っていた
周りを見渡せば鉄に覆われた奇妙な空間
そう、まるで何かの中に居るような

「こんな世界を作った人もそろそろ限界が近いのかしら?」
「さあね、それは私には分からないわ」

私の前に立ちはだかる少女
その右手にはお払い棒、その左手には陰陽玉、そして一風変わった巫女服が彼女を包んでいた

「成る程ね、貴女は私」
「そう、そして私は貴女」

姿、形、声、何一つ変わらぬ自分がそこに居る

「でも違うわ、私は私、貴女は貴女」

だけど、違う存在、そこにいるのは『そこに居るべき』自分

「分からないわね、私には」
「そうね、貴女にはわからない、でも私には分かる」

そしてここに居るのは、ここまで『歩んできた』自分

「でも私は分からなくてもいい、私がすべき事は一つだもの」
「そうね、そして私がすべき事も唯一つ」

故に彼女達は戦う、すべき事をする為に










「そして辿り着いた一人の霊夢、そんな彼女を最後に待ち受けていたのは」
「結局は貴女なのね、紫」

また舞台は移り変わる、最後の舞台へと移り変わる
そこはどこなのか、ここはどこなのか、宇宙か、それとも隙間の中か、それとも闇の中なのか
唯一つ分かる事があるとすれば、そこに一人の妖怪が待ち受けていたことだけ

「それで、何を企んでいるの?」
「企む? 心外ね、私は何も企んでなんかいないわよ?」

扇で口元を隠し、クスクスと微笑む

「これほどの大掛かりな事をしておいてそんな訳が無いじゃない」
「あら、本当の事よ?」
「・・・まだとぼける気?」
「怖いわねぇ、でも私は何も企んでいないわ、ただ童心に帰って遊んでいただけの事」
「こんな事を遊び心でやったのなら、なおさら性質が悪いわよ!」

霊夢から投げつけられた札を、紫はその傘で弾く様に消し去る
ぱらぱらと焦げ、ばらばらになった札が何も無い空間へと消えてゆく

「そうね、貴女達にとっては悪い事かもしれない、だけどもこれは貴女達の宿命」
「宿命ですって?」
「宿命、そう、貴女達がこの世に生まれ出でた時から避けられぬ事」
「そんな無茶苦茶な宿命なんか、レミリアでも言わないわよ?」
「それは分からないわ、だけども・・・もしその宿命に抗うというのならば・・・」
「抗うわよ、そのためにここまで来たのだから」

強い眼光で紫を見つめ、その右手に持つお払い棒に仙力を集わせる
それに応え、紫もゆっくりと扇をおろし・・・にぱあっと笑った

「・・・いうのならば、あと三分は早く来るべきだったわね、それじゃまた今度~」
「は? え? ちょちょっ、ちょっと待ちなさいよコラー!!」




















「誰か居るのっ!?」

作業室の扉を豪快に開け、一人の少女が飛び込んでくる

「おかしいわね、確かに物音が聞こえたのに・・・・・・って何よこれー!!」

彼女の視界に移ったのは、散乱し、作業台から所々に転げ落ちている人形達
その人形達はよくよく見れば、どこか妖精や妖怪達の姿に似ている

そして作業台の上には博麗神社を模した模型の中で寄り添い会う吸血鬼とメイドの人形や
白玉楼を模した模型の中で重なり合っている魔法使い達の人形もあった

「ここまで荒らすのは一人しかいないわね・・・魔理沙ぁぁ!!」

バタンと扉を豪快に閉め、一人の少女がバタバタと部屋を出て行く
その様子を、人形を製作する工具の隙間から一つの紅白人形が見送っていたような気がした・・・。










ゴトゴト・・・

アリス邸の応接間をゆっくりと徘徊する謎のダンボール
恐らく中に誰かが入っているのだろう、それが誰かは言う必要も無いが

「ところで魔理沙、貴女は今何をしているのかしら?」

その一言で、ちょっとだけダンボールが跳ね上がった気がした

「・・・て、偵察任務中だぜ」
「偵察? 一体何を?」
「敵を知る事こそ、勝利への近道だからああっ!?」

途端、ガバッと持ち上げられ、放り投げられるダンボール
だが持ち上げたのは魔理沙ではなく、アリスだった


「・・・ショウタイムよ!」

「ああ楽しかったわ~」
「うー、また私やられ役じゃーんー!」
「はぁ・・・紫様、いい年こいて人形遊びはおやめください」
「萃香、巨大化して藍をとっちめなさい」
「イエッサーボス!」
「あああゴメンナサイゴメンナサイ!!」



というわけで製作決定を祝って、この作品を捧げます、勿論逃げます
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.2310簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
スマブラ吹いたwww
4.60変身D削除
最初は何処の閉鎖空間かと思ったら最後に納得のオチが。
取りあえず潜入にダンボールは必須ですね(w
5.80名前が無い程度の能力削除
森近 霖之助 参戦決定!!
7.50翔菜削除
スマブラかwwww
14.90Aliasfill削除
スマブラキタコレ!!wwwww
15.80名前が無い程度の能力削除
空のもずく 噴いた
17.70白毛玉削除
笑(予想外で声がでないようだ
29.60月影 夜葬削除
スマブラですか……懐かしい
38.70名前が無い程度の能力削除
最後のネタは……w