Coolier - 新生・東方創想話

あらしのよあけ

2006/05/08 04:18:07
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(注)同作品集「ふぶきのよるに」の続編になります。








『博麗神社の巫女が、スキマ妖怪に餌付けされたらしい』





そんな噂が、幻想郷のあちらこちらに広まって、もう何日になるだろうか。
人の噂も七十五日と言うけれど、生憎として私の気はそんなに長くはない。
早い話、私は迷惑しているのだ。

確かに紫の事は嫌いじゃない……というか、好きだと自分から言った気もする。
でも、それと、こうした風評はまったく別の問題だ。
日々の糧に困窮する事はままあれど、生命の危機にまで至ったのは、あの吹雪の数日間だけ。
その稀な例を、さも当然の日常のように取り上げられるのは、
胸と等しき平坦な思考を持つ私とて、到底我慢ならない。

ならば、どうすればこの不本意な風評を吹き飛ばす事が出来るのか?
答えは簡単。
私は紫の力を借りずとも自立している。と証明すれば良いのだ。
そうすれば、後は意識せずとも自動的に噂のほうから広まってくれるに違いない。
主に黒白魔法使いやら音速の幻想ブン屋やらの手よって、だろうけど。

大体にして、私には紫を頼りにした記憶なんて、あの一件くらいしか記憶に無い。
まあ、永夜の怪事の時には、何度か危うい所を救われた気もするけど、元々あれは紫のほうから頼ってきたものだし、
いつだったか麻雀をやった時に、救いの手ならぬ救いのイカサマを差し伸べてきた件に関しては、
こちらから頼んだ覚えがないのでノーカウント。ノーカウント……!
後、魔理沙とアリスが暴走して、博麗神社ごと私を消し去ろうと目論んだ事変もあったけど、
あれはそもそもとして紫が事の発端なので、協力するのは当たり前だと思う。
それと、萃香が起こした宴会騒動の際に答えを示してくれたのは……。

……って、改めて思い返すと、本当に助けられてばっかりな気がするわね。
まだ出会ってから一年経ったか経たないかって所なのに、色々とまあ。
今はこうして暢気に回想できるんだから、悪いことでも無かったんだろうけど。

む?
こら、博麗霊夢。
浸ってる場合じゃないっての。
私が言いたいのは、まかり間違っても紫に餌付けなんてされてないとの証明。
ただ、それだけの事だ。
他意なんて無い……多分。

そして、今。
望んでいた機会は、向こうのほうからお見えになられていた。
……いや、それどころか、腰を据えて鎮座なさって下さっていたのだ。










<一日目>


「飽きもせずに吹き荒れ放題……少しは分散しろってのよ。効率悪いわね」


ひっきりなしに鳴り響く風の音と、ガタガタと五月蝿い雨戸の音に、つい愚痴が漏れた。
自分がお約束の神に愛されている事は知っていたけど、こうも同じパターンでは呆れもする。
差異と言えば、吹き付けるのが雪ではなく雨に変わったくらいだろうか。
要するに、私は嵐の中に閉じ込められていた訳だ。
窓も扉も全てが締め切られた室内で、一人愚痴を漏らし続けるという構図は、
記憶を手繰るまでもなく、容易に思い返す事が出来た。

もっとも、何から何までが、あの吹雪の夜と同じなのかというと答えは否。
まず、私自身が、この半幽閉劇を予測してたという点が大きい。
予測してたのなら何でここにいるのかと言われると返答に困るけど、
それくらいは誤差修正範囲内だと思いたい。
というかお願い、思わせて。

そ、それに、あの時とは違って、今回は食料の備蓄も万端なのよ。
どうせきっかり三日分だろうと思った輩は素人。
不測に不測を重ねた場合を想定して、優に一月は耐え凌げるだけの量を確保しておいたのだ。
もはや非常用というよりは山篭りに近い雰囲気になっちゃったけど、まあ良し。
流石にこれならば、紫も説教なんてして来ないでしょ。

『あのねぇ霊夢、貴方はやる事が極端過ぎるのよ。何事も無かった場合はどうするつもり?』

……うー、幻聴の分際で、言った側から説教しないで。
自分でも少しばかり後悔してるんだから。
まあ、それはともかくとして、いくらか気分が陰鬱めいているのは確か。
例え予測していたと言っても、実際に嵐に閉じ込められれば当然だろう。

と、いうわけで、気晴らしも兼ねてお茶を入れてみる事にした。
一日何十回と取っている行動に気晴らしも何も無いんだけど、実際それくらいしかする事が無いのだから仕方ない。
それに、お茶は私の活力源であり、命の源。
即ち、生命の水でポーションで青色一号で鉄人二十八号だ。
何でもかんでも限定版を付ければ良いというものではないくらい、偉大なる曲芸様が教えてくれた筈なのに……!

おほん。
ともかく、お茶だ。
これが切れると、私は大変な事になってしまう。
どう大変なのかと言うと、まず情緒が不安定になり、次に全身に震えが走り、更には眩暈も起こし、
いつしか幻覚まで見るようになり、最終的には死に至る……まあ、最後は想像だけど。

『明らかなヤク中の症状ね』

ああ、ほら、また幻聴。
それもこれも全部、お茶が原因だ。
知らずの内に私物が無くなるのは全部妖精の仕業で、私が幻聴を耳にするのは全部カテキン不足のせいなのだ。
より良き未来と切実なる現在の為に、
入れよう茶葉を。沸かそうお湯を!




「どっきーどっき、とーまらない~、たぶん~」

本来、お茶を入れる準備というのは、面倒な部類の作業に入るものかもしれない。
でも、私はこの時間が好きだ。
茶筒の蓋を開いた瞬間が好きだ。
乾いた茶葉の香りが鼻腔をくすぐった瞬間など心がおどる。
茶菓子を用意すべく戸棚を開くのが好きだ。
秘蔵の煎餅が存分に湿気ていたのを見るのは屈辱の極みだ。
水を薬缶に入れるのが好きだ。
ただの竹製の筒の分際で、夏も冬も正常に水が供給される様など感動すら覚える。

……そういえば、この水道もどきも紫が作ったんだっけ。
いつだったかの宴会の時に、『井戸が遠いから冬場なんか水汲みも大変なのよ』
とか愚痴ってたら、何故か翌朝には出来上がっていたという次第だ。
別に確認した訳じゃないけど、そんな事をわざわざ実行するような心当たりなんて紫しかない。
魔理沙は論外だし、レミリアなら部下を総動員しての突貫工事に入るだろうから直ぐに分かる。
萃香ならその場で水を萃めようと試み、博麗神社をダムの底に変えてくれるに違いない。
まったく、誰も頼んでないってのに、過保護にも程があるわ。

ん?
なら、紫だって、何処かの空間から怪しげな装置でも引っ張り出した末に、
原因不明の大爆発を起こしてオチを付ける。とでも考えるのが普通ではないのか?
それなのに、どうして私は、紫が作ったのだと確信していたんだろう。

「……あー、やめやめ。思考停止っ」

自分へと言い聞かせる為に、わざと口に出してみる。
だって、何だかさっきから紫の事ばっかり思い浮かべてる気がしたから。
でも、それは本末転倒というものだ。
この天然の荒行は、私が一人立ちしていることを世間様に示す為なんだから。




結局この日、私が紫の名前を思い浮かべた回数は、両手では足りなかった。















<二日目>



「やはり、ね」

翌朝。
目覚めた私を出迎えたのは、昨日にもまして激しく叩きつける雨と風の音だった。
即ち、博麗神社を襲う嵐は、二十四時間の壁を越える鉄腕振りを発揮したという訳だ。
しかし、その事実は、私に一片の驚きさえも与えはしない。

「ふ……予想通り!」

そう、すべては予想通りだったからだ。
嵐に見舞われるのが予測済みならば、当然長引くであろう事も予測済み。
最初からそれを見越して、向こう三日間は何の予定も入れなかったのだ。
元々予定なんて皆無だけど、気分の問題だから関係無し。
我ながら、なんと鋭い洞察力だろう。
今の私ならばキラを名乗ったところで何ら不自然は無いに違いない。

……むー?
どうも最近、思考に妙なノイズが乗っている気がしてならない。
原因は多分、紫が気紛れに置いていった漫画のせいだろう。
読書は別に好きじゃないけど、あの系統のものは読みやすいので、結構気に入ってたりする。
というか、続きが気になって仕方が無い。
新刊、早く届けてくれないかしら。

って、また紫か。
だから考えるなってば。
こんな事じゃ餌付け以前に依存症との噂でも流されかねないわ。
喧嘩師が侠客立ちをするならば、私は紫断ちをしなければならないのだ。
女一代、博麗霊夢。ここにあり!





「ぽんぽんぽーん、と」

という訳で、極めつけに暇だった私は、珍しくも縫い物などに手を付けていた。
対象は勿論、いつもの改造巫女服。
いつものと言っても、別に毎日同じ服を着ている訳じゃなくて、同様のタイプのものが複数あるという意味だ。
自分で言うのも何だけど、私は日用品……主に衣服のバリエーションが余り多くない。
寝巻きを除けば、四六時中の殆どをこの格好で過ごしているからだ。
巫女たるもの、大事なのは外観から。
誰が言ったは忘れたが、私はその格言を律儀に守っているという訳だ。
でも不思議なことに、自分から名乗らない限り、初見で巫女と気付いてくれる相手は、まこと少なかったりする。
はてさて、何がいけないんだろう。
フリルの多さは多分問題無いはず。
幽々子なんて私以上にフリル過多なのに、しっかり和服と認識されてるもの。
色合いに関しても特に疑問点は浮かばない。

1、巫女の衣装は紅白の二色である。
2、私の服装は紅白の二色である。
3、私は巫女である。

完璧なまでの三段論法だ。
天才だろうと知識人だろうと歴史食いだろうと、これに反論する事は不可能だろう。
反論よりも先に呆れの溜息が聞こえそうな気がしたが、気がしただけなので無視。
とすると……。
……やっぱり腋?
通りすがりのおっさんが突然『そこはかとなくエロス……』などと呟くのも、これが原因なの?

でも、腋は塞げない。
心の傷も塞げない。
この僅かなスキマを塞ぐのは、決して許されない事なのだ。
前に一度試してみたところ、天は割れ、大地は裂け、門番は名前で呼ばれ、月兎の耳は立つという、
幻想郷史上でも稀に見る大惨事が発生した。
どうやら私の腋は、自分の意思とは無関係の、因果律といった段階にまで上りつめてしまったらしい。
そこまで逝ってしまうと、悲しいを通り越して、どこか誇らしくすら思えるから不思議だ。

「……塞いだら、この嵐も収まるのかしらね」

言ってはみたものの、実行に移す事を考えると思わず震えが走る。
上手く行けばそれで良い。
だが、もしマイナスの方向に力が働いたなら……恐らく私は、小町の漕ぐ船に揺られる羽目になるだろう。
そして、船以上に揺れるツインウェポンを前に、悲嘆の涙に暮れるに違いない。
あな恐ろしや、腋におっぱい。



「いたっ!」

馬鹿な事を考えていたら、手元を狂わせてしまった。
元々縫い物なんて得意でも何でも無いのだから、気を逸らせばこうなるのは自明の理だ。
少し反省すると共に、今、自分が着ている服に視線を移す。
既製品と見紛う程の見事な仕上がりだ。
しかし、これが一年以上前からの着古しであると誰が想像出来るだろう。
要するに、その頃から殆ど身体的な成長をしていないという事なんだけど、それは置いといて。

「……そういやあいつ、こんなものも得意なのよね」

多分に漏れず、この服も紫が修復したものだった。
もはや日常とも言える戦闘行為の数々に、存分にぼろぼろになった巫女服の成れの果て。
流石にこれはもう着れないという事で、捨てようとした所を止められたのだ。
その時の紫曰く。

『あー、駄目よ。こんなに残り香が染み付いた貴重品……じゃなくて、勿体無いじゃないの。
 私が直してあげるから、貸して御覧なさい』

だそうだ。
前半部分のノイズは気になったが、それ以上に紫の手腕には驚かされた。
何しろ、別段特別な力を働かせた様子も無いのに、ありふれた裁縫道具のみを用いてこれを仕上げて見せたのだから。
あらゆるものは反則スキマパワーで取り寄せて、それでいてあっさりと打ち捨てる。
そんなイメージを持っていただけに、紫の行動と『勿体無い』という言葉は二重の衝撃だった。
私が縫い物を自分でするようになったのは、それが切っ掛けだ。

別に、これまでも困っていた訳じゃない。
何かしら不足したものがあれば、殆どが霖之助さんのところから拝借することで済んでいたし、
私自身もそれが当然だと思っていた。

でも、そんな光景を目の当たりにすれば、気だって多少は変わる。
自力でどうにか出来るのならば、それに越した事は無いし、
また、それまで殆ど感じる事の無かった物品に対する愛着のようなものが、なんとなく沸いてきたような気がしたから。
ついでに言うならば、紫が普通にしていることを自分に出来ないのが癪だったのもあるけど。



「……はあ……」

深い溜息と共に、ごろりと畳に寝転がる。
なんとなく、やる気が失せてしまった。

今朝、心に誓ってから、一体どれくらいの時間が経過した?
計ってはいないけど、恐らくは一時に満たないだろう。
だと言うのに私は、結局こうして、あのスキマ妖怪の事ばかりを考えている始末だ。
博麗霊夢とは、これほどまでに意思の弱い存在だったんだろうか。

……。

きっと、その通りなんだろう。
何の事は無い。
必死に噂を否定した結果に得たものは、それが紛れも無い真実だったとの認識。
結局の所、私という存在はもう、紫無しには始まらなくなっていたのだ。
まあ流石に、餌付けって表現は引っ掛かるけど、概ね近いものだったとは認めざるを得ない。
もう否定しても仕方が無いこと。それは、この二日間で存分に自覚した。

しかし、だ
それならば私はどうするべきなんだろう。
この嵐の中を飛び出し、勘でマヨヒガを探し当てて、紫の胸にでも飛び込んでみる?
……。
違う気がする。
私のキャラじゃない。とかそういう次元とは別に、何かが違うと思う。
なら、何が正しいのかと問われても、答えは出てこない。
どうやら、日頃から物事を真剣に考えずに生きてきたツケが、ここに来て一気に支払わされる形になったらしい。
頭が春なんて称されるのは、やっぱり褒め言葉じゃないんだ。

「……あんたさえ来れば、ちっとは進展しそうなんだけどね」

そんな独り言を呟きつつ、ぼんやりと中空を見つめる。

隙間は、開かない。











<三日目>



「……」

終始無言のままに御飯をよそり、味噌汁を椀に注ぐ。
一人なんだから無言なのは当たり前なんだろうけど、このところ独り言が多くなっていたので、意味はある。
それくらい、私の精神が疲弊していたという証拠だ。

「いただきます」

日々の恵みへの感謝は忘れない。
これは絶対に欠かしてはならない事だ。

……でも、正直美味しくない。
何時もと同じ作り方をした味噌汁なのに、まるで灰汁を掬ったかのような味に感じられる。
多分、理由は二つ。
一つは、ここ最近口にしていたものと比較してしまうから。
そしてもう一つが、その作り手の存在が認識できないから。

「ぐーたら妖怪って名高い癖に、なんで家事万能なのよ。反則。イカサマ。年増。水虫。キユ」

思いつく限りの悪口を並べ立ててみる。
しかし、反応は無い。
本気で怒った時の空気が凍りつくような微笑も無ければ、呆れた時の細めた目も見られない。
紫は、来ない。

「……馬鹿らしい」

誰とも無しに言い捨てつつ、残った朝食をかき込むように平らげる。
味なんて、さっぱり分からなかったけど。








「……流石にもう、収まってきたみたいね」

居座り初めてから、おおよそ三日間。
休む事なく博麗神社に雨風を叩きつけ続けた嵐だったが、どうやら体力切れらしい。
音やら振動やらが、次第に小さくなってきているのが、室内の私にもはっきりと実感できた。
この様子なら、あと数時間もすれば、外出可能なくらいまで落ち着くだろう。
きっと境内なんて、筆舌に尽くし難い惨状になってるんだろうけど、
想像すると確実に鬱になりそうなので止めておく。

「む」

その時、ぐぅ、とお腹が鳴った。
自然、私の表情は更に鬱の方向へと傾きを増す。
この一日、行動どころか、殆ど起き上がりすらしなかったのに、どうしてお腹が空くんだろう。
作るのが面倒で、昼食を抜いたという点を踏まえても、やはり理不尽だ。

「ま、いっか。一食抜いたなら、二食抜いたって同じよね」

物が無いときは我慢出来ない癖に、いざ備えがあるとどうでも良いと思える。
そんな適当極まりない自分の精神構造に、思わず笑いが込み上げる。
きっと、見てらいれないくらい卑屈な笑みなんだろうけど。

『こーら。そんなんだから育つべき所が育たないのよ』
「うっさい、馬鹿。幻聴のくせに皮肉まで言わないで」

まったく、どこまでも腹立たしい。
どうせ皮肉を言うなら、ちゃんと姿を見せてからにしろってのよ。
そうすれば、何時もみたいに、肉体的な成長過程の差異に関する反論を展開しつつ、
茶碗を箸で叩いて催促してあげるのに。

「いつも、みたいに」

擦れて消えそうな声と共に、力なく卓袱台に突っ伏してみる。
もしも、これを三日前の夜に慣行していたなら、皿は跳ね上がり、醤油は飛び散りの大混乱。
あげく鍋に顔面を突っ込んだ私は、全治二週間程度の火傷を負う羽目になっていただろう。
でも、今は卓袱台には何も置かれていないから心配無用だ。
置いてあったところで、それを咎める輩が存在しない以上、何の問題も無い。

……。
ああ、はいはい、分かってるってば。
問題はある。
主に、私の精神状態に、だ。
原因は言うまでもなく紫の不在にあるんだろうけど、それでも、餌付けされたという事実だけは認められない。
確かに切っ掛けはそうだったかもしれないけど、今は違うと断言出来る。
私が求めているのは、紫の存在そのものだと気付いたからだ。
体裁なんてこの際どうでもいい。
私は、あいつと一緒にいたい。

……あ、そうだ。
いっそ私のほうが料理をしてみるのも良いかも知れない。
まあ、あいつ程上手には出来ないかも知れないけど、それでもきっと補える筈。
料理は愛情って言うくらいだし。

「……愛情?」

思わず自分で突っ込みを入れてしまった。
驚く間も無いくらい、すんなりと浮かび上がった言葉。
これまで、理解しようと頑張っても、さっぱり進展が無かった筈のもの。
……でも、それも当然か。
考えに考えた末で結論が浮かび上がるような事象とは違ったのだから。


「こらー、紫ー」

自然と言葉が口をついて出る。
そうせずには、いられなかったのだ。

「聞いてるのー? 聞いてなくても言うけどー」

「あんたの思惑通りに、目覚めてやったわよー」

「でもねー、肝心のあんたのほうが約束守らないで、どうすんのよー」

「三日間もほったらかしにしといて、存分にまとわりつくも何も無いでしょうがー」

「軍法会議ものよー、厳罰は免れないわよー、それが嫌ならー」

「……さっさと出てきなさいよー」






その時だった。

「……!?」

突っ伏したままの私の背後の空間。
物質が存在する筈もないそこに、何かの変動があるのが感じ取れたのだ。
どうして見もせずに分かるのか?
分かるに決まってる。
空間が開くという感覚は、私にとってはもう、ごく当たり前のものだから。

「……ったく、やっぱり聞いてたんじゃないの」

本心とは裏腹に捻くれた言葉しか出なかった。
でも、紫ならばそれくらいは察してくれるだろう。
そして、察した上で、わざと誤解した振りをするのだろう。
それが私達の滑稽で暖かな日常なのだから。

ならばせめて、という訳でもないけど、表情だけは精一杯の笑顔を作ってみせる。
これくらいは許されるだろうし、何よりも、作るまでもなく自然に浮かんでしまったのだ。










「こちらタイムパトロールです! この時代に密猟者の一団が逃げ込んだとの情報が……」
「鼻からスパゲティ食べて帰れ!!」

ぞろぞろと入り込んできた制服の一団を、全員まとめて陰陽鬼神玉で叩き返す。
幻想郷にはピー助なんていないのよ。












「あー、もう。紛らわしいわね」

憤りもそのままに、元の場所へと座り直す。
よくよく考えてみれば、別に振り出しに戻る必要なんて無いんだけど、こうなれば私も意地というもの。
紫が来るまで、この体勢で待つと心に決めたのだ。

そして、待つことおよそ三十分。
私の背後から、空間が再び口を開ける様子が感じ取れた。

「……」

いや、落ち着くのよ霊夢。
またどっかの勘違いが来たのかもしれないわ。
ここは冷静に判断して……。

……よし。
今度は紫に違いないわ。
何となく、悲壮っぽい雰囲気を感じるから。
きっとあいつにも気まずさみたいなものがあるのね。
その珍しき人間味に免じて、罵倒は軽減してあげましょう。


「遅いわよ馬鹿。あんたの好きな豆大福、全部食べちゃう所だったじゃ……」
「おれは死なん……苦痛を意に介しているヒマもない……必ずきさまを仕留めるッ!」


空間からご登場遊ばしたのは、何故か既にして満身創痍の、世界を間違えたとしか思えない筋肉男でした。
お約束の神は、そんなに私がお気に入りなのでしょうか。
でも、天を恨んだところで、事態は何も進展はしないかと思われました。
故に、私は考えます。
浮かび上がった選択肢は、およそ三つになるでしょうか。

1、美少女霊夢は突如排除のアイデアがひらめく
2、紫が来て助けてくれる
3、どうにもならない。ドリフ時空は非情である

この内、三番目は、ただの現状維持なので却下します。
そして二番目は、私が望んで止まぬ展開ではありますが、
こんな思考を働かせている時点で有り得ないでしょう。
即ち、最初から選択肢など存在しなかったのです。


「いいから死んでろっ!!」

夢想天生の発動は、久方振りの事でした。













「ったく、一体何だってのよ……」

ああ、もう駄目。
今日の博麗神社には、お約束の神様がたくましいアホ毛を揺らして居座っているに違いない。
こうなると、何もかもが阿呆らしくなってきた。
もう寝てしまおう。
これ以上、鬱陶しい来訪者が来ないように、十六重くらいに結界を張ってから。
多分、こういうのをふて寝って言うんだろうけど、そんなの知ったことじゃない。
全部紫が悪いんだ。



「お邪魔しまーす」
「はいはい、今度は誰よ。異世界の勇者様? 星界軍の巡察艦? 印度のヨガマスター? 
 誰でもいいけど、ここは違うわよ。命が惜しけりゃ、さっさと帰りなさい」
「あらあら、今日の霊夢ちゃんはごきげんななめさんねぇ」
「え」

これだけ俊敏な動作が出来たのかと自分でも驚くくらいの勢いで振り返る。
ウェーブの掛かった長い金髪に、女性としての特徴をこれでもかとばかりに前面に押し出したスタイル。
……いや、そんな外見的特長なんて、今更挙げる必要も無いか。
何故かいつもとは違った、女の子女の子した服装だったけど、だからと言って見間違える筈も無い。

「……紫」
「はーい、げんそーきょーのアイドル、やくもゆかりんでーす」

ふざけた口調に、ふざけた態度。
それ自体は珍しいものでもない……というか普段通りだ。
でも、今日の紫には、それとは明らかな差異が感じ取れた。

「あんた、酔ってるの?」
「おばかさんねぇ、この天下のスキマよーかい様が、アルコールなんかにしはいされるわけがないでしょー」
「……」

酔っ払いのお約束とも言える返答、本当にありがとうございました。
それに加えて、台詞が平仮名混じりかつ間延びし過ぎの三拍子。
私でなくとも、十人中十人が、この人酔ってますと答えるに違いない。
人じゃないけど。

「んー、でも、すこーしだけ飲みすぎちゃったかも。
 だって、ゆゆこが、とっておきから35番めのきしょーひんとか言うんだもん」
「……幽々子?」

知らずの内に、声が硬くなって来ているのが分かる。
紫はそれに気付いた風もなく、赤ら顔のままにしなだれ掛かって来た。

「冥界はこっちのてんこーとは無関係だから良いわよねぇ。
 あ、てんこーって言っても藍の事じゃないからね。やってたけど」
「……」
「ありゃ、どったの霊夢? 今日は無口さん? 新属性へのめざめ?」

生憎、私の中で目覚めていたのは、属性じゃなくて感情。
それも、これまでに自覚したことのない類いのもの。
当然、それが何と呼ぶものなのかを、私は知らない。
だからという訳でもないけど、私はその感情に素直に従ってみることにした。
何事も、実践が一番だ。


「くっ付くな、馬鹿っ!!」
「きゃん!」

力任せに振りほどく。
余程酔いが回っていたのか、紫はどこかで聞いたような悲鳴と共に、無様に畳を転がった。

「んもぅ、あんまりらんぼーにしないでよ。私はか弱き女の子なのよぉ?」
「残念だけど、あんたの軽口に付き合う気は無いわ。早く目の前から消えて」
「……霊夢?」
「気安く名前で呼ばないでよっ! 帰れっ!」

一つ、分かった事がある。
それまで私は、憤りが頂点に達すると冷静になる性質だと思っていた。
でも、それは違ったようだ。
人間やっぱり、怒るときは荒れるのだと。

「ね、ねぇ、なにを荒れてるのか知らないけど、少しれーせーに……」
「誰のせいで冷静じゃなくなったと思ってるのよ!」
「……わたし?」
「っ……そうよっ! 散々に人の心を掻き乱しておいて、肝心な時になって暢気に酒浸り?
 私を馬鹿にするのも大概にしなさいよっ!」
「そんなこと……」

分かってる。
全部、自分勝手な八つ当たりだって。
側に居て欲しいと思っていたのなら、最初からそう言えば良かったんだから。
しかし私は、この中途半端なプライドを捨てきれなかった。
それどころか、今をもってなお邪魔しようとしているのだ。

「無いとは言わせないわよ。
 どうせこの三日間だって、二人して私の間抜けな様を覗き見ては、酒の肴にでもしてたんでしょ。
 あんた、幽々子の言う事なら何だって聞いちゃうもんね。
 でも、流石に呆れたんじゃない? あの博麗の巫女がこんな抜け殻になってたんだから」
「……」

すぅ、と、紫の顔から血の気が引いていくのが、はっきりと見て取れた。
怒ったんだろうか。それとも、本当に呆れたんだろうか。
何れにせよ、引っ叩くなり何なり、好きにすれば良い。
大体にして、もう自分でも何を言っているのかよく分かっていないのだ。
ここら辺で強引にでも止めて貰わないと、むしろ困る。


けれど、次の瞬間。
私はそれ以上に困惑する羽目に陥った。

「なっ、なんで、そんなことゆーのよぉ……」
「え」

あろう事か紫は、突如としてぽろぽろと涙を零し始めたのだ。
それが嘘泣きなのかどうかを判断出来る程の余裕なんて無い。
いくら酒が入っているのだとは言え、紫が泣いている姿なんて初めて見るのだから。

「わっ、わたし、そんなひどいこと言わないもの。霊夢の事、だいすきだから」
「……」
「でも、そんなふうに思われてたなんて、なさけなくて、かなしくて、ひぐっ」

爆発した筈の怒りは、拍子抜けするくらい、あっさりと何処かへ飛んで消えた。
理由は簡単だ。
所詮、私の憤怒など、ただの逆切れでしかなかったのだと。
そして、紫の拙い言葉が紛れも無い本心であると、理解してしまったからだ。
そうである以上……もう、意地を張っても仕方ない。



「……分かってるってば。嘘よ、嘘。ちょっと取り乱しただけ」
「ふぇ?」

ぽん、と。紫の頭に手を置く。
何時も被っている帽子が無かったからか、さらさらとした髪の感触が伝わってくる。

「ったく、泣きたいのはこっちのほうだったのに、調子が狂わされるにも程があるわ。
 あんた、絶対わざとやってるでしょ?」
「ひっく……」
「あー、だから泣くんじゃないの。
 そんな所も含めて大好きだって言ってるんだから」
「……ほんとに?」
「嘘ならこんな事しないわよ」

そう言いつつ、今だ泣きじゃくる紫の頭を撫でる。
明らかに普段と立場が入れ替わっているが、余り悪い気分では無かった。

そもそも、身長差のせいで構図的にイマイチだろうという意見は、鼻で笑い飛ばして差し上げたい。
何故なら、私と紫は、座高が殆ど変わらないのだ。
……。
三秒ほど鬱になった。
八雲紫なんて日本的な名前の癖に、明らかに日本人体型から逸脱しているのは如何なものだろう。
まあ、こいつがその気になれば、体型くらい簡単に変動させられるんだろうけど。





どれくらいの間、そうしていただろうか。
紫は、ようやく泣き止んだかと思うと、頭を撫でていた私の手を、抱え込むように握り締めた。
その時、少し名残惜しく思ったのは秘密だ。

「……私だってね」
「?」
「私だって、時には落ち込む事くらいあるのよ」
「それで、酒に逃げたって?」
「そうなるのかしら。……でも、霊夢にまでそれを見せちゃ駄目よね。御免なさい」
「今更謝っても遅いわよ、馬鹿」
「うう……」
「白玉楼の宴会は、さぞかし楽しかったんでしょうね。 
 でもその間、私は嵐に閉じ込められては、一人寂しくお茶漬けを啜ってたのよ」
「……」

ここで、ようやく気が付いた。
何の事は無い。
私は幽々子に嫉妬していたのだ。
それ故の、理不尽なまでの激昂。
そして、それ故の、現在の安堵感。
紫が最終的に、私を頼って来てくれた事に対しての。

「あんたが嘘吐きなのは今に始まった事じゃないけど、流石に今回のは許し難いわ。
 あれだけ偉そうに宣言したんだから、きっちり守り通してみなさいってのよ」
「……宣言?」
「まさか忘れたなんて言わないわよね?」
「い、言う訳が無いでしょう」
「どうしてどもるのかしら」
「ま、まだお酒が抜けてないのよ。こう見えてもアルコールには弱い性質なんだから」
「……」

相変わらず、何処まで本気なのか、さっぱり分からない。
でも、追求は後回し。
今はこの馬鹿に、極めてシンプルな解答を示してやるのが先決だ。

「ん、しょ、っと」
「……」
「……思い出した?」
「……ええ、存分に」

全身の力を抜き、紫という名の座椅子に存分に身体を預ける。
魔理沙辺りが見たら引き付けを起こしかねない体勢だけど、
私自身としてはもう慣れきっていたものだし、別に恥ずかしくも何とも無い。
むしろ落ち着く。
言うなれば、ホームポジションというものだろうか。

「『私が愛という感情を理解するまで引っ付いて回る』だったかしら。
 でも紫は私を七十八時間と四十分も放置したわ」
「……ええと、その件に関して少し言い訳をさせて貰うと、
 とうに理解してくれていたものとばかり思っていたのだけど」
「とんでもない自惚れね。
 生憎だけど私は、愛なんてぜーんぜん分かってないわ。
 だから紫はこれからも、四六時中未来永劫、私に引っ付いて回らないといけないのよ」
「そ、そう……」

この体勢からは見えないけど、紫は苦笑いを浮かべているに違いない。
いい気味だ。
私を本気にさせた報い、身を持って知りなさい。

「何よ。自分から言っておいて後悔?」
「……それは有り得ないわ。私は二度と後悔なんてしない」
「……?」

どこか含みのある返答だった。
追求すべく、体勢を入れ変えようと試みたが、
それよりも紫の両手が、私を包み込む方が早かった。

「ねぇ、霊夢」
「何よ」
「一つだけ、私からのお願い聞いてくれる?」
「内容によるわね」
「簡単よ……霊夢は、私に黙って居なくなったりしないでね」

お願いというよりは、懇願に近い響きだった。
表面的に受け取るだけなら、楽なものだ。
むしろ、私の環境を省みるに、居なくなるほうが難しいと思う。
でも、きっと紫は、そんな意味で言ったんじゃないんだろう。

突然の涙。前後不覚になる程の痛飲。そして幽々子の存在。
それらの符号が指し示すのは、一つの解。

でも、それは別段気になるものではなかった。
その解は、愉快なものとは言い難かったけど、それはそれ。
あいつ等の間に何があったところで、所詮は過去の話に過ぎないからだ。

今、紫はこうして私の元にいる。
それだけで、十分だ。

「馬鹿」
「うー。今日、そう呼ばれるのは何回目かしら」
「馬鹿に馬鹿って言うのは当たり前でしょ。
 四六時中引っ付かれてるのに、どうやって居なくなれって言うのよ」

どちらかと言うと、私のほうが引っ付いてるんだけどね。

「という訳で、不本意ながら、答えは是。
 ったく、そんなくだらない事を、わざわざ勿体ぶって聞くんじゃないの」
「……」
「それよりもあんたは、空白の七十八時間四十二分をどう埋め合わせるかを考えなさい」
「……少し増えてないかしら?」
「き、気のせいよ」

酔っ払いの癖に、妙な事だけは覚えていたようだ。
流石にこれは言えない。
三日前、紫がスキマ経由で帰路に就いた後も、二分間ほど見送ったままでいただなんて。

「そんなにも想ってくれただなんて……女冥利に尽きるわね」
「く、口に出してた?」
「……あら、今度は霊夢のほうが忘れんぼさんね」

紫の調子が、次第に普段通りのものに戻ってきているのが分かる。
対する私はというと、脳内麻薬が切れたのか、段々と気恥ずかしさのようなものを覚え始めている。
これは拙い傾向ではないだろうか。

「わ、私が何を忘れてるってのよ」
「体の距離が近づけば、心の距離も近くなる。
 今の私には、霊夢の心の声がよーく聞こえるわよ」
「……」
「霊夢には聞こえないかしら?」

結論。
断固として、抗戦しよう。

「……聞こえない。全然聞こえないわ。
 このくらいじゃ、距離が近いだなんて言えないもの」
「むー、困ったわね。どうすれば良いのかしら」
「簡単よ。もっと近づけば良いだけの事」
「距離ね。……これくらい?」
「もっと」
「なら……これくらい?」
「もっと」
「となると……」
「ん……」


こういう時に、酒臭いと言ってしまうのは、やはりマナー違反なんだろうか?


















「幽々子様ー、幽々子様ってば、いい加減起きて下さいよ。もうお昼近くですよ」
「くー、むきゅー、くけー、めそー」
「寝言なのか鼾なのかはっきりして下さい」
「寝言よ、寝言」
「普通、寝言で返答は返さないと思います」
「むぅ、出来る突っ込みね。流石はグリーンストライパーの称号を持つ勇者だけの事はあるわ」
「勝手に意味不明な称号を付けないで下さい。……って、その手に持っているものは何ですか?」
「ん? ああ、これね。 昨日、寝る前に思いついた格言よ。忘れないように書き留めておいたの」
「はあ、確かに物忘れ激しいですもんね。というか、格言ってそんな簡単に思いつくようなものなんですか?」
「それが思いついてしまったのよ。この溢れんばかりの才能には我ながら恐ろしいものを感じるわ」
「私も別の意味で恐ろしいです。というわけで、起きましょう」
「むー、どんな格言なのか聞いてくれないの?」
「起きて下さったら聞きますから」
「まあ生意気言っちゃって。私に交換条件を突きつけようだなんて、増長するにも程があるわ!」
「この無駄な時間を省く為ならば、増長だって非行だってEX化だって何だってしますよ」
「……うー……」
「……ああ、はい。聞きます。聞きますから、そんな捨てられた子犬のような目をしないで下さいよ」
「わーい」
「……で、どのような格言なのですか?」
「『押して駄目なら引いてみろ』」
「それって、思いっきり既出じゃないですか」
「最後まで聞きなさい。私が思いついたのは、これの改良バージョンよ」
「はあ……」
「『押して効いたなら引けばクリティカル』……どう?」
「……」
「……」
「……あ、お昼は久し振りに鰻を焼こうと思っているのですが」
「早く起きて支度なさい! いつまで寝ているの!」
「お言葉ですが、私は昨晩より一睡もしてません」
「え? 駄目じゃないの。良く寝ない子は育たないわよ?」
「宴会の後始末が私一人の手に任されたのでなければ、その言にも頷けたのですけど」
「……それはそれ、というものよ」
「意味が分かりませんから」
「ま、天下の二日酔いも鰻の前には叶わないわね。仕方ないから、この格言は紫にでもプレゼントしましょう」
「……? どうしてそこで紫様の名前が出てくるんですか?」
「さあね。でも、どの道、もう必要ないわね」
「???」
「さて、これ以上妖夢をからかっても仕方が無いわね。
 せっかく快晴なのだから、食前の散歩でもしようかしら」
「え? 今日は薄曇ですよ?」
「そんな筈が無いわ」
「と言われましても……」

困惑顔の妖夢を余所に、幽々子は視線を襖の向こう側へと飛ばす。
当然、この場所から空模様が視界に入る筈も無い。
しかしそれは、幽々子にとっては何の関係もなかった。
何しろ、彼女の見つめる先は、冥界ですらなかったのだから。


「嵐の過ぎた後は、快晴に決まってるでしょう」




         ,. -‐'''''¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは縞パン話を書こうと思ったら
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いつのまにかゆかれいむを書いていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をしたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭が春になりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '´ /::::/-‐  \    ツンデレだとかエロスだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんな素敵なもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…




どうも、YDSです。
上のはノイズ……じゃなくてかなり真実です。
これが結界組の力なのでしょうか。
『妄想乙』で済まされそうな話ではありますが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

……しかし、これもクロスオーバー作品の範疇に入るんでしょうかね?
YDS
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コメント



0.5430簡易評価
3.70名前が無い程度の能力削除
屈折してるぜ!だがそれがいいw
4.無評価名前が無い程度の能力削除
腋巫女ナース吹いた
6.90名前が無い程度の能力削除
曲芸商法吹いた
10.80変身D削除
あー……何と言うか、甘くないように見えて実はすっごく甘いような気がしますよ、このお話(汗
兎にも角にも泣いているゆかりんが素敵でした、涙は女のコの武器であり兵器であるとはよく言ったものです(何
17.80名前が無い程度の能力削除
少佐吹いた
22.100削除
ゆかりんが可愛らしすぎる
24.100ぐい井戸・御簾田削除
風間「あなたをゆかれいむの…えーと…」
ゴン「偉い人」
風間「そうそう、それそれ」
26.80白毛玉削除
曲芸でワラタ
ゆかりん可愛い
30.100名前が無い程度の能力削除
素敵な話に細かく仕込まれたネタの多い事。
でもYDSさんの話の場合、あまり気にならないんですよね。
濃いネタが多いし笑えるんだけど、話の邪魔になってないというか。不思議です。
女の子女の子してるけど、素直じゃない辺りが霊夢っぽかったり。
好きなコンビの話だし、とても良かったと思います。
32.90名前が無い程度の能力削除
バニラアイスみたく甘い、素敵なお話をありがとうございました。
34.90CODEX削除
あぁそうとも、先の話であれだけ甘甘だったっつーのに・・・
今回の糖分は、当に致死量・・・・がく
37.80名前が無い程度の能力削除
ちょwwwキユwww
ストレートだとダダ甘になりそうなお話も、ネタで割られて飲みやすく。
42.80名前が無い程度の能力削除
ゆかれいむはせかいをすくうって
ばっちゃがいってた!
43.100名前が無い程度の能力削除
なんだこれ。
激 し く 癒 さ れ る よ う な 気 が す る
46.100名前が無い程度の能力削除
最近霊夢の腋を隠すと幻想卿的にもとんでもないことになるって評判のウワサだ
48.100無銘削除
途中の時空パトロール吹きました
だがあまっあまのゆかれいむにいやされました

あと妖夢はブルーストライパーでs(現世斬
49.90名前が無い程度の能力削除
なるほど確かにクリティカルwww
唯一大局を見ていたのはゆゆ様だけだったんでしょうね
53.1074削除
どっかで見たネタがでてくるたび捨てたくなった。
前のが良かったから最後まで読んだが。
57.90名前が無い程度の能力削除
甘いぜ
チョコ入りおはぎはちみつがけより甘いぜ
タイムパトロール吹いた。
63.80熱暴走削除
「ぱわー おぶ らぶ」
素直じゃない霊夢が、自分的に新鮮でした
ごちそうさま
67.100削除
わたしのこーと わーすれないでーよ なーきやむよーに ぎゅっとだきしめて
70.100名前が無い程度の能力削除
後書きで吹いた
71.100じょにーず削除
ゆかれいむだっていいじゃない  にんげんだもの
82.80ドク削除
つーか紫さん、霊夢にどんな漫画読ませてんだよw
90.90油揚げ削除
ああ、いい。いいですねぇ。らぶです、らぶ。
91.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんと座高が同じな霊夢もえ
95.100真十郎削除
ガッツ吹いた
激甘一杯、ごちそうさまでした。
113.100名前が無い程度の能力削除
口から砂糖吐いて倒れたぜ
114.80名前が無い程度の能力削除
>「おれは死なん……苦痛を意に介しているヒマもない……必ずきさまを仕留めるッ!」
暗黒空間にお帰りくださいw
116.90名前が無い程度の能力削除
あんたのおかげで糖尿病になったゼ!
119.100名前が無い程度の能力削除
ラストの幽冥コンビ笑った
125.100名前が無い程度の能力削除
( ゚∀゚)o彡°!!!( ゚∀゚)o彡°!!!( ゚∀゚)o彡°!!!( ゚∀゚)o彡°!!!( ゚∀゚)o彡°!!!( ゚∀゚)o彡°!!!
(もはや言葉にならない)
141.100名前が無い程度の能力削除
>押して効いたなら引けばクリティカル
ゆゆ様さすがです!
142.100名前が無い程度の能力削除
ごちそうさまでした。
143.100名前が無い程度の能力削除
グッド