※本来なら『プチ東方創想話ミニ』向けのネタかもしれませんが、ご意見・ご感想をいただきたいので
こちらに投稿させて頂きました
※基本的にキャラは壊れ気味です
「今年は……またすごい事になってるな…」
妖夢はいつものように白玉楼の広大な庭の手入れを始めようとしたところ、
思わず桜の木に目を奪われてしまった
今年の白玉楼の桜は満開中の満開だった。桜の花がこれでもかとばかりに枝にひしめき合って咲いている
「春も奪ってないのにこんなに咲くなんて…」
「よ~む~、どうしたの~?」
妖夢が桜に目だけでなく心まで奪われていると、幽々子が団子を片手に歩いてきた
ちなみに、二人は10分ほど前に朝食を済ませたばかりで、さらに幽々子はデザートに饅頭を10個ほど食べたあとだ
「…また食べてるんですか?ていうか、この間茶菓子の隠し場所変えたばかりなのに……」
「そんなのとっくに見つけちゃったわよ~。それで、どうかしたの?」
「そうだった、幽々子様!見てください、今年はこんなに桜が……!」
「あら、そうね」
さらりと答える幽々子。その反応に何か物足りなさを感じる妖夢
「……あの~、幽々子様?」
「何?妖夢」
「もっとリアクションとりましょうよ。何というか、『うわぁ~!』とか、『すごぉ~い!』とか…」
「ワー。スゴーイ。」
幽々子は何のイントネーションもつけずに棒読みのセリフをかました
ドラマでこんな風にセリフを言ってしまったらエキストラまでの降格はほぼ間違いないだろう
(何だろう…今、ものすごくバカにされた気がする……)
妖夢は何だか空しい気分になった。リアクションを求めた妖夢が悪いといえばそうなのかもしれないが…
「でもホント今年はすごいわねぇ~。じゃあお花見でもしましょうか」
「ずいぶんあっさり決めちゃうんですね」
「だって楽しいじゃない♪」
幽々子はにっこり笑って団子をひとつ食べた
「ところで、私たちだけでやるんですか?」
「もちろん、みんな呼ぶわよ。それじゃ妖夢、準備お願いね」
「はぁ……それはいいんですがこのことはどうやってみなさんに伝えましょうか?」
「う~ん、そうねぇ…」
そう言って幽々子はもうひとつ団子を食べた。そしてちらり、と桜の木のそばにあった庭木の茂みを見た
「それじゃ彼女に頼みましょうか」
「彼女?」
幽々子は最後の団子を食べた。そして残った串を先ほどの茂みに投げた
その速さはすさまじく、妖夢の眼ですらかろうじてでしか見えないくらいだ
串が茂みの中に入ると ストンッ という音がした
「……」
「……」
「……いっったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」
壮絶な断末魔と共に茂みから何かが飛び出てきた
「あっ、あれは……」
《ここから少し先までは別次元の声です》
「カラスだっ!」
「天狗だっ!!」
「いや、あれは……」
「「「射命丸 文だっっ!!」」」
《ここから幻想郷に戻ります》
ということで、ガセネタ新聞記者こと射命丸 文が頭に串を刺したまま茂みから飛び出てきた
「いつかの新聞屋さんじゃないですか」
「いきなりひどいじゃないですかっ!ていうか刺さるもんなんですか、これっ!?」
団子の刺さっている串は危なくないように先の突起部分が切られている。その状態で人の頭に刺さるということは
相当な威力で命中したに違いない
「あら、人の家の敷地内に勝手に入り込んでるんだからこれぐらいは普通じゃない?」
「仕方ないじゃないですか。これは私の疑問を確かめるための取材なんですから……。ちなみに、もう解決しました」
文はそう言いながら頭に刺さっていた団子の串を抜いた
『血ぃ吹き出るんじゃねぇの?』と思ったそこの人。……ギャグですから
「疑問?一体何ですか?」
「えぇ、それはここの庭師が『ふんどしを着用しているのでは?』という……はっ!!」
文は『しまったっ!』という顔をした。だが時すでに遅し、ご本人のまわりからはとんでもない殺気が漂っていた
《この疑問は作者の勝手な妄想ですのであまり気にしないでください。ちなみに文の取材(というよりも覗き)の結果、普通の下着だったとか》
「………幽々子様、斬っていいですよね?」
スラリ、と静かに楼観剣と白楼剣を抜き、構える妖夢。許しが出ればすぐにでも斬れるように…
「わ~っ!ちょ、ちょっと待ってくださ~いっ!!」
「そうよ妖夢、まだ斬っちゃだめよ」
(『まだ』ってことはいつか斬られる!?)
文の幻想郷一の俊足を持ってすれば逃げることも可能だろうが、妖夢のすさまじい殺気により
足がすくんでしまってそれは封じられてしまっている
「あなたにちょっと頼みたいことがあるのよ」
「た、たたた頼みたいことですか?」
幽々子はにっこりと話しかけてくるが、その裏には鬼のような顔で二本の刀を身構える妖夢がいるため文は声が震えてしまった
「今日の午後からここでお花見することを新聞でみんなに知らせてほしいのよ」
「えぇ~、午後までにですかぁ?私はこれから取材したいところがありますし、第一、時間的にもちょっと無理が……」
「あら、それは残念。妖夢、斬っておしm「うわ~っ!やりますっ!やりますからっ!!」
「(チッ!)」
急いで幽々子の言葉を止める文。「あと少しで斬れたのに…」と舌打ちする妖夢
と、ここで妖夢の気が抜けたせいか殺気が薄くなった
「(チャンスッ!)そっ、それじゃあ今すぐ刷ってくるのでこれにて~っ!」
その隙を突き、文は最高速度で冥界の出口へと逃げるように飛んでいった。というか逃げた。
妖夢は追いかけようとしたが、文はあっという間に見えなくなってしまったのでさすがにあきらめた
(……いつか、斬る…!)
「あの様子ならすぐに作ってくれそうねぇ~。妖夢、ナイス脅し♪」
幽々子は妖夢に向かって手を突き出して親指をグッ、と立てている
それはあんただろ……、と心の中でつぶやく妖夢
「それでは幽々子様、わたしは準備のほうを……」
「あっ、妖夢ちょっと待って」
そう言って幽々子はどこからともなくある服を取り出した
「今日はこれを着て仕事をしてほしいのよ」
「っ!まっ、マジですかぁぁーーーーーーー、幽々子様ぁぁ!!?」
「まじぃ~~♪」
―――――その日の昼ごろ、幻想郷の上空を一人の疲れきった顔をした新聞記者が号外をばら撒きながら力無く飛んでいた
号外の内容は以下の通りだ
『怪奇現象!?冥界の桜、狂い咲き!』
今日の朝方、冥界の大豪邸『白玉楼』に庭師の「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」という叫び声が響き渡った。
その理由は庭に桜が狂い咲いていたからという事だった。
庭師の魂魄 妖夢さんの話によると「今年は春を奪っていないのにもかかわらず、これだけの桜が咲き誇ることはつぶ○きシローが
出てくる番組くらい珍しい!」と少々テンパリ気味で答えていた。
そんな庭師とは違い、白玉楼の主であり冥界のお嬢様でもある西行寺 幽々子さんはいたって冷静に事を受け入れ、そして喜んだ。
そこで、幽々子さんが「この喜びをみんなにも味わってもらいたい」ということで、今日の午後より白玉楼にて
春の大宴会を開くことを決めた。(なお、この大宴会は基本的に飲み放題・食べ放題とのこと)
時間は『とにかく』午後です。みなさんも振るって参加しましょう。
ちなみに、文曰く「今回の新聞は、事実を面白おかしく書いてみました!」とのこと
こうして、幻想郷中にこの大宴会のことが知れ渡ることとなった―――――
【ある春の大宴会 第一部】
~それぞれの花見~
ということで、午後に冥界の結界の前にはいつものメンバー+αが集まった
集まったメンバーは…
霊夢、魔理沙、アリス、紅魔館組(咲夜さん、美鈴、レミリア、パチュリー)、プリズムリバー三姉妹、ミスティア
永遠亭組(輝夜、永琳、鈴仙)、妹紅、慧音、八雲一家 の計19名
さて、この中に『花見』ではなく『魔理沙見』に来ている人が3人います。さぁ見つけてみよう!(正解は後ほど…)
「いや~、結構集まったな」
「そりゃあ、タダで食べ放題、飲み放題なら誰だって寄ってくるわよ」
霊夢は魔理沙のほうきに乗りながら話していた。もちろん、体はぴったりと魔理沙にくっついている
その様子を遠くから羨ましさに満ち溢れた目で見つめる1週間少女と七色の魔法使いがいるのはまた別の話。
「それもそうだな。ところで霊夢、ひとつ聞きたいんだが……」
「何、魔理沙?ちなみに今夜は空いてr「いや、そうじゃなくて」
「霊夢、なんでパックと輪ゴムを持ってるんだ?」
魔理沙の言ったとおり、霊夢はスーパーのお惣菜売り場にある透明なパックと輪ゴムを持ってきていた
「なんでって……余ったおつまみを持ち帰って数日分の食料にしようかと思って」
「…なんか考えがオバサンくさいぜ?」
「そうかしら?案外普通だと思うけど…」
こうでもしなければ霊夢の食事はつらいのか…、と本気で悲しくなってしまった魔理沙
一方こちら、八雲一家は――――――――
「いい?二人とも、おいしいと思ったおつまみはかたっぱしからそれに詰めときなさい!」
「分かりました!紫様!」
「うん、やっぱり橙はおりこうさんね♪ほら藍、返事は?」
「………はい、分かりました(オバサンくさい…。ていうかこんなにたくさんのパックどこから持ってきたんだろう…)」
こちらは食費とかそういうのではなく単なるオバサンパワーかと思われる
「やっぱり人がいっぱい来たね~。これなら演奏する甲斐があるよ!」
「めるぽっ!!」
「メルランもご機嫌だし、今日はいい演奏ができそうね」
「そして今日こそボーカルは私ねぇ~♪」
宴会目当てではない人たちも約4名混ざっているようだ
「それじゃーみんなぁ!今日は騒ぐぞーっ!!」
(全員)『おぉー!』
「突入ーーっ!」
魔理沙の掛け声と共に全員が結界の上を飛び越えて中に入った
そして階段の中腹辺りまで上ったところで妖夢が出迎えてくれた
「あっ…い、いらっしゃいませ……みなさん…」
(全員)『・・・・・・あれ?』
妖夢の格好を見て先ほどの勢いは一気に冷めた。霊夢が勇気を出して妖夢に尋ねる
「あんた…なんでメイド服なんか着てんの?」
「まさかお前にそんな趣味があったとは……意外だぜ」
「い、いや、あの、これは幽々子様が…!」
みんなに向かって顔を赤らめながら一生懸命解釈する妖夢。このままでは妖夢がコスプレ大好きキャラになってしまう。
それだけは何としても阻止したかった
(くっ!私の専売特許を!)
「いっ、痛い!咲夜さん、つねらないでくださいっ!」
後ろのほうでは歯を食いしばる咲夜さんに美鈴がつねられていた
「あの子がそんなのに目覚めちゃったなんてねぇ…」
「お前も大変なんだな…」
唯一の親友として幽々子を心配する紫。お互い苦労する主人を持ったことに同情してしまう藍
「はぁ……あ、でも案外動きやすいんですよ?それに、なぜか胸パットも埋め込まれていますし…」
(んなっ!?しかも私の胸パット疑惑を皮肉ってる!?あんの亡霊嬢ーーーっ!!)
「ざ、ざぐやざん……じ、じま゛っでま゛…ず……」
やっぱり後ろでは咲夜さんにヘッドロックをかまされている美鈴。もうこれ死ぬんじゃないか?、ってくらい絞められているが
妖怪だからその辺は大丈夫です、きっと。
「そ……それではみなさん、幽々子様がもう始めちゃってますので、急いでください」
「呼んどいて私たちが来る前に始めるなんて…」
「まぁいいじゃないか、霊夢。それより、おつまみ食い尽くされないうちに行こうぜ」
「お席は用意してあります。こっちです」
そう言って妖夢はみんなを誘導していった。と、ここで後ろの方では何やら悪巧みを考える天才さんがいた
(メイド服……いいかもね…)
「師匠、どうかしましたか?」
「いいえ?何でもないわよ…ウドンゲ…」
「そ、そうですか…」
帰ったらなんかされる…。長年の勘で鈴仙はそう思った
妖夢に案内された場所には、すでに桜の木の下にシートが何枚か敷かれており、幽霊たちもいつにも増して賑やかになっていた
木の下に集まって話(?)をしている幽霊もいれば、これだけの満開が嬉しいのか桜の周りを飛び回っている幽霊もいた
だが幽霊が多すぎるせいか、幽々子『らしき』姿が見当たらない
「妖夢、幽々子の姿が見えないけど、どこにいったのかしら?」
紫が辺りを見渡したあとに妖夢に問いかけた。みんなも探しているが、やはり見つけられない
「えっ?あそこにいますよ?」
「おいおい、そっちならさっき見たけどいなかっ……た……?」
妖夢の指差したほうを見た魔理沙は思わず目を疑った。同じくそちらを向いた全員もそうなってしまった
その方向には大きく手を振る幽々子がいた。これだけならなんともないのだが、今日の幽々子には何かが足りない
《ここでまた別次元です》
「無かったんだよ…。頭にのっているはずの帽子(?)と、それについているドリ○ャスマークがっ!!」
「「「なっ…なんだってぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」」」
《はい、ここから戻ります》
という事で、今日の幽々子はいつもの頭のアレが無く、ピンク色の髪の毛が丸出しだった
「みんなぁ~、こっちこっち~♪」
(全員の心の中)『え゛え゛え゛え゛え゛っ!!?』
もうこれはあれか?『突然変異』ってやつだろうか?、と誰もが心の中でそう悟った。だがそうなると、幽々子がこうなってしまった理由が
気になるところである
「ほら、あっちで手を振って(ガシッ!)うわっ!?」
妖夢の言葉の途中で、紫が首に手を回し顔をこちらに引き寄せた。それに合わせて霊夢と魔理沙が詰め寄り、幽々子に聞こえないように
小声で話し始めた
「(ちょっと妖夢!何で今日は幽々子の頭にアレが無いのっ!?)」
「(えっ!?さ…さぁ、何ででしょうか紫様…。今日はつけなくてもいいと思ったんじゃ…?)」
「(そんなことしたらあいつがあいつじゃ無くなっちゃうでしょっ!?あれはあいつのオシャレなんだから!)」
「(もしかして、流石にド○キャスじゃ古すぎるから新しくプレ○テ2に変えるつもりなんじゃないか!?)」
「(そんなの幽々子や閻魔が許しても私たちが許さないわっ!妖夢、何とかしてドリキ○スの良さを思い出させてあげなさい!)」
「(えぇっ!?私がですかっ!?ていうか別にそういう問題じゃない気がするんですが……)」
「もぉ~、さっきから呼んでるのにどうしたの?」
気付くと幽々子が後ろに立っていた。ここでとっさに妖夢の首から腕を外し、紫が説得を試みた
「あ、あのね幽々子。○リキャスも悪くないと思うのよ?ソ○ックだってできるし、それに何より今ならソフトが安いし…(汗」
「?どうしたの、紫?」
なんだか状況がよく分からない幽々子。どうやら本人にはあまり自覚が無いようだ
「とにかく!いつものアレを着けなさい!!」
もう面倒くさくなってしまった紫は、幽々子の両肩を掴んで怒鳴った。もとい叱った。
「えぇ~?でも今日はいつもと違う格好のほうがいいなぁ~、と思って…」
「そんなわがまま言っちゃだめでしょ!?メッ!!」
「いや、メッ!、て紫様……幽々子様は赤ん坊じゃないんですから…」
紫の説得を聞いていて思わずツッコんでしまった妖夢。まぁ、歳の差でいえばそれぐらいはあってもおかしくn(スキマ
「そこまで言うなら仕方ないわねぇ~…」
幽々子はそう言うと、どこからともなくいつもの頭のアレを取り出し、頭にカポッとはめた
それを確認した全員はとにかくホッとした。ものすごく。
「さぁみんな~!あとは好きのところに座って、好きなようにやっていいわよ~!」
仕切りなおすように幽々子はみんなに呼びかけた
なんとも適当な進行ではあるが、『宴会なんてこんなものだろう』と誰もが思っていた
「さてと、私はどこへ座るか……」
「「「魔理沙っ!一緒に座らないっ!?」」」
どこに座るか迷っていた魔理沙に、霊夢・アリス・パチュリーの3人がものすごく必死な顔で詰め寄った
「お、おう…そうだな、そうしよう……」
あれはほとんど脅迫だった気がする…、とのちに魔理沙は語ったという
「さてと咲夜、私たちはどこへ座るのかしら?」
「そうですね……」
「それなら、私たちのところで飲まない?」
紅魔館組を誘ってきたのは、永琳だった。後ろにはすでに席について花見を始めている永遠亭のメンバーもいる
「あら、あなたたちのほうから誘ってくるなんて、珍しいわね?」
「こういう時ぐらい、みんなで楽しみたいでしょ?」
「そうですよお嬢様。それに、永琳さんと少しお話したいことがありますし…」
「…まぁ、咲夜がいいって言うなら、私も構わないけど」
「(あ、私の意見は聞かないんですね……)」
レミリアもまんざらではないのか、あっさりとOKした。後ろのほうではレミリアに忘れられているかもしれない美鈴。
その時、レミリアに見えないように咲夜さんが永琳に「グッジョブ!」と親指をぐっと立てたのは、また別の話……
「さて幽々子。私たちも始めましょうか」
「そうね紫。それじゃ妖夢、準備よろしくね」
「はぁ……やっぱりそうきますか…」
さすがの妖夢も今回ばかりは疲れていた。メイド服という慣れない服装で午前中から宴会の準備に追われていたのだから無理も無い
「よし、それでは私も手伝おうか」
そんな妖夢を気遣ったのか、藍が率先して手伝いを申し出た
「えっ!?で、でも今日は藍さんはお客様という形ですし…」
「なに、気にするな。こっちだっていつもやっていることだ」
「そ、そうですか?では、お言葉に甘えてお願いします」
そして妖夢と藍は白玉楼の屋敷のほうへと歩いていった
「やっぱりこの宴会の準備、全部妖夢にやらせたの?相変わらず人使いが荒いわねぇ」
「あら、一日中式を働かせている紫に言われたくないわね」
どうやらあの二人の従者、何か繋がるものがあるようだ……
そんなこんなで妖夢・幽々子を含めた計21人が、以下の4グループに分かれた
Aグループ
魔理沙・霊夢・アリス・パチュリー
Bグループ
紅魔館組(咲夜さん・レミリア・美鈴)、永遠亭組(永琳・鈴仙・輝夜)、慧音、妹紅
Cグループ
八雲一家、妖夢・幽々子
Dグループ
プリズムリバー三姉妹、ミスティア
ちなみに、Dグループの面々は飲み食いが目的ではなく、ただ演奏や歌を披露しに来ただけのようだ
それでは、ここからはグループ別に見ていってみましょう
Aグループの場合
~マリサ様が見られてる!?~
「いや~、神社の桜もいいけどここの桜はまた豪華だな」
「あら、うちだってこれぐらい咲くことはあるわよ?」
「そんなの見たこと無いけどね」
「…桜なんて久しぶりに見たわ」
こちらAグループの席では、魔理沙を囲むように霊夢・アリス・パチュリーの4人が日本酒片手に普通に花見を楽しんでいた
………会話だけ聞くと。
「……ところで、3人とも?」
「「「何?魔理沙?」」」
魔理沙の問いかけに3人が同時に反応する。彼女たちにはあまり自覚が無いようだが、魔理沙はツッコまずにはいられなかった
「…桜を見ようぜ?」
そう、今まであえてスルーしていたが、霊夢・アリス・パチュリーの3人の目線はすべて『桜』ではなく『魔理沙』に集中していた
これではもはや『花見』じゃなくて『魔理沙見』である
「あっ、ごめんごめん。魔理沙がいつもより可愛いからつい…」
「べ、別にあんたじゃなくて向こうの桜を見てただけよ!」
(魔理沙……今日こそあなたを…!)
こんなこと言いつつも決して目線をずらさない三人。それには訳があったのだ……
それはここに来る途中のこと。3人は今日で『魔理沙が本当に好きなのは誰なのか?』をはっきりさせるため、決闘(?)を霊夢が
持ちかけたのだ。もちろん他の2人も同意した。ルールは至極簡単で、魔理沙を口説き、落とした人の勝ちである
それならば先手をとった方が良いのだろうが、ここはあくまでナチュラルに魔理沙に接することを3人は望んでいた
(さぁ……いったい誰から仕掛けるの!?)
(ふっ……いくら抗おうとも魔理沙は私のものよ…)
2人の出方を伺うために周りを見渡すアリス。そして、余裕なのかそそくさとおつまみをパックに詰める霊夢
その時だった。
「魔理沙……」
((来たっっ!!!))
先手を取ったのはパチュリーだった。霊夢とアリスは瞬時にパチュリーのほうを向き、今までとは明らかに違う目つきで凝視した
「ん?どうしたんだ、パチュリー?」
「…私、外の桜なんて初めて見た気がするわ」
そう言ってパチュリーは頭上の桜を見上げた。花が風で揺れる度、ピンク色の花びらが空に舞っている
「そりゃパチュリーはいっつも図書館で本読んでるからな」
魔理沙もにっこりしながら桜を見上げた
「初めは外にあまり興味が無かった。だけど、こうして外に出るようになったのは魔理沙のおかげなの」
「わたしのおかげ?」
魔理沙は不思議そうな顔でパチュリーを覗き込んだ
「そう。あなたがいつも私のところへ来てくれたから、外に興味が湧いたの。そして、こんなに綺麗な桜が見れた。
だから、魔理沙には本当に感謝してるわ…」
「パチュリー……」
一方で、その様子を見ていた他2人は―――――
(こっ、このクサイ台詞の連発……!まさか『ロマンティック大作戦』っ!?)
(あの荒技を使うなんて……中々やるわね…)
なにぃ!?、といったポーズをとりながら驚愕するアリスと、鋭い目つきで感心する霊夢
『ロマンティック大作戦』とは?
『ロマンティック大作戦』とは、相手を口説き落とすときに使う作戦の一つで、少女マンガに出てくるような言動で相手に接することにより
「もしかして、この人のこと好きにならなきゃいけないんじゃないのか?」という気持ちにさせてしまう高度な技である。
ただ、この作戦を行うためには聞いているほうが恥ずかしくなってくる様なクサイ台詞を言わなければならないため、
実行できるのは相当素直な人、もしくは夢見がちな少女に限られる。
最後に注意してほしいのが、『ロマンチック』ではなく『ロマンティック』だということだっ!!
by香霖堂の店主
(あんな大技を使ってくるなんて……このままじゃ魔理沙が落とされる・・・…かもっ!!)
あの2人が何だか良い雰囲気になっていることに、アリスは焦りを隠せなかった
そんなアリスを尻目に、パチュリーの作戦はついに最後の言葉を切り出そうとしていた
「…ねぇ、魔理沙……?」
「うん?」
パチュリーが頬を赤らめながら魔理沙のほうを向く。そして魔理沙もパチュリーのほうを向いたので丁度顔を見つめ合うような形になった
パチュリーは一度はためらいつつも、覚悟を決め、口を開いた
「私…魔理沙の事が…」
そこまで言った時だった。魔理沙の目の前をオレンジ色の光線が駆け抜けたと思ったら、パチュリーが吹き飛ばされていた
「ぐはぁっ!?」
「パチュリーっ!?」
ズザーッ、という音を立てて吹っ飛ぶパチュリーと、何が起こったかよく分からない魔理沙
そこへアリスが慌てる演g……じゃなくて慌てながら駆け寄った
「ごっ、ごめんなさい!大丈夫っ!?」
「アリス、どういう事だ?」
「えぇ魔理沙、何だか私の上海人形が桜を見れて嬉しかったのかレーザーを撃っちゃったのよ。まったくこの子ったら…」
「シャンハイッ!?」
上海人形は『いや、あんたがスペカ唱えたんだろっ!?』と言いたそうな目でアリスを見た
だが幸いにも魔理沙はそれに気付いてなかった
「そうだったのか。それにしても、パチュリー大丈夫か?」
あの説明ですんなり納得してしまう魔理沙。パチュリーはというと、レーザーが直撃していたので結構なダメージを負っていた
「ふぅ……しょうがないわね…」
アリスは一息つくと、倒れているパチュリーに近づいてしゃがんだ。そしてパチュリーはアリスを見ながら
魔理沙に聞こえないように言った
「(うぅ…妨害なんて有り……?)」
「(あら?『無し』とは聞いてないわよ?)」
パチュリーを見下ろしながら悪人の笑みを浮かべるアリス
アリスの悪人レベルが上がりました! (デ○ラー級)
そうは言いつつもアリスはちゃんと治療の魔法をかけている
「………アリス…?」
「かっ、勘違いしないでよねっ!私はただ自分のせいにされるのが嫌なだけだからっ!!」
ちなみに、今のアリスの台詞はいつもよりも2倍くらいの声で言っているので、魔理沙にもよ~く聞こえています
「(…案外優しいところもあるね……ってまずい!この言動は『オペレーション・ツンデレ』っ!?)」
見直し始めていたパチュリーが、ハッとアリスを見上げる
アリスは治療の魔法をかけながらまた悪人の笑みを浮かべていた
「(ふふっ……今頃気付いたの?悪いけどあなたには私の作戦の糧となってもらうわ…!)」
アリスの悪人レベルがまた上がりました! (フ○ーザ級)
『オペレーション・ツンデレ』とは?
『オペレーション・ツンデレ』とは、相手をオトすときに行う作戦の一つで、『普段は嫌味なことしか言えないが
本当はとても優しい』といった不器用な性格をすることで相手への印象をより一層強くすることができる上級テクニックである。
ただし、この作戦を行うにはその嫌味な性格の部分を相手に印象付けなくてはならないため、多大な準備期間を
要してしまうことだ。
by『未知のアイテムの名称と用途がわかる程度の能力』を持つ人
「(冗談じゃないわ…!あと一歩のとこなのに…!)」
「あぁ、まだ動いちゃだめよ。まだ治療が終わってないんだから」
「くぅ……!」
起き上がろうとしたパチュリーをアリスが押さえつる。
パチュリー自身もまだ起き上がれるまで回復していなかったので従わざるを得なかった
そんな修羅場が繰り広げられていることを知らずに魔理沙が近づいて話しかけてきた
「へぇ……やっぱりアリスもいいとこあるじゃないか」
アリスの予想通り、魔理沙にはなかなかの好印象のようだ
アリスは『この機会を逃してなるものかっ!!』とオペレーション・ツンデレを畳み掛けようとした
「べっ、別に私はただ……っ!」
「あ、そうだ」
アリスの言葉をさえぎるように魔理沙が手をポン、と叩いた
「なぁアリス、この間見せてもらった『敵の戦闘力が分かる』っていうマジックアイテム貸してくれないか?アレを使えば
新しい魔法ができそうなんだが……」
「あっ、あれだけはダメよ!手に入れるのにどれだけ苦労したことか…」
「そんな事言わずにさ~。頼むぜ~」
魔理沙は顔の前に手を合わせて頭を下げていた
「(うっ……で、でもここは魔理沙への印象を良くするために…っ!)まっ、まぁそこまで言うなら
貸してあげなくもないけど……」
アリスは顔を赤くして横を向きながら言った
魔理沙はその言葉を聞くと目を輝かせた
「本当かっ!?サンキュー、アリスっ!!やっぱり持つべきものは『友達』だよなっ!!」
そう言ってアリスの手を両手で掴み、ブンブンと上下に振った。
が、これがいけなかった
(まっ、魔理沙が私の手を……っ!!しかも今、『友達』って……っ!!)
「どうしたアリス?顔が赤いぜ?」
アリスの顔がさらに真っ赤になっていく。もうトマトにだって負けないくらい赤いだろう
そしてついに――――――
ボンッ
アリス 耐熱限界。
「あぁ、アリスっ!?」
アリスは頭から軽い爆発音と共に煙を出した。魔理沙も流石に驚き手を離す
すると、アリスの体がグラリと傾き、パチュリーの方へと倒れていった
「えっ!?ちょっ、まっ……!」
パチュリーはアリスののしかかりを転がって避けようとした。
だか結局間に合わず、アリスの体がパチュリーのお腹の上にのしかかってきた
「ぐぇぶっ!」
パチュリーのステータス
上海人形のレーザーのダメージ+アリスの治療魔法+アリスののしかかり=HP 0 戦闘不能
「ま……魔理…沙……(ガクッ)」
パチュリーはとても未練がある顔で気絶してしまった。
もしこれで幽霊になってしまっていたら、三代先まで魔理沙に憑り付いていることだろう
「……いったいどうしちゃったんだ?2人とも?」
(………そろそろかしらね)
2人の身に何が起こったかよく分からない魔理沙
そしてその後方でおつまみを5パック分ほど詰め終えた霊夢が立ち上がり、魔理沙に近づいていく
この落ち着き様、どうやらあの2人が共倒れするのはすでに予想済みだったと思われる
「魔理沙」
ビクッと一瞬体を揺らして魔理沙はゆっくりと後ろを振り向いた。先ほどから妙な行動が立て続けに起こったため警戒心が増しているようだ
「れ…霊夢、どうした?」
霊夢の作戦、それは―――――
「お酒のおかわり、どう?」
「お…おぅ、いただくぜ」
『普通に魔理沙とお花見を楽しむこと』だった。
【第二部へつづく】
こちらに投稿させて頂きました
※基本的にキャラは壊れ気味です
「今年は……またすごい事になってるな…」
妖夢はいつものように白玉楼の広大な庭の手入れを始めようとしたところ、
思わず桜の木に目を奪われてしまった
今年の白玉楼の桜は満開中の満開だった。桜の花がこれでもかとばかりに枝にひしめき合って咲いている
「春も奪ってないのにこんなに咲くなんて…」
「よ~む~、どうしたの~?」
妖夢が桜に目だけでなく心まで奪われていると、幽々子が団子を片手に歩いてきた
ちなみに、二人は10分ほど前に朝食を済ませたばかりで、さらに幽々子はデザートに饅頭を10個ほど食べたあとだ
「…また食べてるんですか?ていうか、この間茶菓子の隠し場所変えたばかりなのに……」
「そんなのとっくに見つけちゃったわよ~。それで、どうかしたの?」
「そうだった、幽々子様!見てください、今年はこんなに桜が……!」
「あら、そうね」
さらりと答える幽々子。その反応に何か物足りなさを感じる妖夢
「……あの~、幽々子様?」
「何?妖夢」
「もっとリアクションとりましょうよ。何というか、『うわぁ~!』とか、『すごぉ~い!』とか…」
「ワー。スゴーイ。」
幽々子は何のイントネーションもつけずに棒読みのセリフをかました
ドラマでこんな風にセリフを言ってしまったらエキストラまでの降格はほぼ間違いないだろう
(何だろう…今、ものすごくバカにされた気がする……)
妖夢は何だか空しい気分になった。リアクションを求めた妖夢が悪いといえばそうなのかもしれないが…
「でもホント今年はすごいわねぇ~。じゃあお花見でもしましょうか」
「ずいぶんあっさり決めちゃうんですね」
「だって楽しいじゃない♪」
幽々子はにっこり笑って団子をひとつ食べた
「ところで、私たちだけでやるんですか?」
「もちろん、みんな呼ぶわよ。それじゃ妖夢、準備お願いね」
「はぁ……それはいいんですがこのことはどうやってみなさんに伝えましょうか?」
「う~ん、そうねぇ…」
そう言って幽々子はもうひとつ団子を食べた。そしてちらり、と桜の木のそばにあった庭木の茂みを見た
「それじゃ彼女に頼みましょうか」
「彼女?」
幽々子は最後の団子を食べた。そして残った串を先ほどの茂みに投げた
その速さはすさまじく、妖夢の眼ですらかろうじてでしか見えないくらいだ
串が茂みの中に入ると ストンッ という音がした
「……」
「……」
「……いっったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」
壮絶な断末魔と共に茂みから何かが飛び出てきた
「あっ、あれは……」
《ここから少し先までは別次元の声です》
「カラスだっ!」
「天狗だっ!!」
「いや、あれは……」
「「「射命丸 文だっっ!!」」」
《ここから幻想郷に戻ります》
ということで、ガセネタ新聞記者こと射命丸 文が頭に串を刺したまま茂みから飛び出てきた
「いつかの新聞屋さんじゃないですか」
「いきなりひどいじゃないですかっ!ていうか刺さるもんなんですか、これっ!?」
団子の刺さっている串は危なくないように先の突起部分が切られている。その状態で人の頭に刺さるということは
相当な威力で命中したに違いない
「あら、人の家の敷地内に勝手に入り込んでるんだからこれぐらいは普通じゃない?」
「仕方ないじゃないですか。これは私の疑問を確かめるための取材なんですから……。ちなみに、もう解決しました」
文はそう言いながら頭に刺さっていた団子の串を抜いた
『血ぃ吹き出るんじゃねぇの?』と思ったそこの人。……ギャグですから
「疑問?一体何ですか?」
「えぇ、それはここの庭師が『ふんどしを着用しているのでは?』という……はっ!!」
文は『しまったっ!』という顔をした。だが時すでに遅し、ご本人のまわりからはとんでもない殺気が漂っていた
《この疑問は作者の勝手な妄想ですのであまり気にしないでください。ちなみに文の取材(というよりも覗き)の結果、普通の下着だったとか》
「………幽々子様、斬っていいですよね?」
スラリ、と静かに楼観剣と白楼剣を抜き、構える妖夢。許しが出ればすぐにでも斬れるように…
「わ~っ!ちょ、ちょっと待ってくださ~いっ!!」
「そうよ妖夢、まだ斬っちゃだめよ」
(『まだ』ってことはいつか斬られる!?)
文の幻想郷一の俊足を持ってすれば逃げることも可能だろうが、妖夢のすさまじい殺気により
足がすくんでしまってそれは封じられてしまっている
「あなたにちょっと頼みたいことがあるのよ」
「た、たたた頼みたいことですか?」
幽々子はにっこりと話しかけてくるが、その裏には鬼のような顔で二本の刀を身構える妖夢がいるため文は声が震えてしまった
「今日の午後からここでお花見することを新聞でみんなに知らせてほしいのよ」
「えぇ~、午後までにですかぁ?私はこれから取材したいところがありますし、第一、時間的にもちょっと無理が……」
「あら、それは残念。妖夢、斬っておしm「うわ~っ!やりますっ!やりますからっ!!」
「(チッ!)」
急いで幽々子の言葉を止める文。「あと少しで斬れたのに…」と舌打ちする妖夢
と、ここで妖夢の気が抜けたせいか殺気が薄くなった
「(チャンスッ!)そっ、それじゃあ今すぐ刷ってくるのでこれにて~っ!」
その隙を突き、文は最高速度で冥界の出口へと逃げるように飛んでいった。というか逃げた。
妖夢は追いかけようとしたが、文はあっという間に見えなくなってしまったのでさすがにあきらめた
(……いつか、斬る…!)
「あの様子ならすぐに作ってくれそうねぇ~。妖夢、ナイス脅し♪」
幽々子は妖夢に向かって手を突き出して親指をグッ、と立てている
それはあんただろ……、と心の中でつぶやく妖夢
「それでは幽々子様、わたしは準備のほうを……」
「あっ、妖夢ちょっと待って」
そう言って幽々子はどこからともなくある服を取り出した
「今日はこれを着て仕事をしてほしいのよ」
「っ!まっ、マジですかぁぁーーーーーーー、幽々子様ぁぁ!!?」
「まじぃ~~♪」
―――――その日の昼ごろ、幻想郷の上空を一人の疲れきった顔をした新聞記者が号外をばら撒きながら力無く飛んでいた
号外の内容は以下の通りだ
『怪奇現象!?冥界の桜、狂い咲き!』
今日の朝方、冥界の大豪邸『白玉楼』に庭師の「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」という叫び声が響き渡った。
その理由は庭に桜が狂い咲いていたからという事だった。
庭師の魂魄 妖夢さんの話によると「今年は春を奪っていないのにもかかわらず、これだけの桜が咲き誇ることはつぶ○きシローが
出てくる番組くらい珍しい!」と少々テンパリ気味で答えていた。
そんな庭師とは違い、白玉楼の主であり冥界のお嬢様でもある西行寺 幽々子さんはいたって冷静に事を受け入れ、そして喜んだ。
そこで、幽々子さんが「この喜びをみんなにも味わってもらいたい」ということで、今日の午後より白玉楼にて
春の大宴会を開くことを決めた。(なお、この大宴会は基本的に飲み放題・食べ放題とのこと)
時間は『とにかく』午後です。みなさんも振るって参加しましょう。
ちなみに、文曰く「今回の新聞は、事実を面白おかしく書いてみました!」とのこと
こうして、幻想郷中にこの大宴会のことが知れ渡ることとなった―――――
【ある春の大宴会 第一部】
~それぞれの花見~
ということで、午後に冥界の結界の前にはいつものメンバー+αが集まった
集まったメンバーは…
霊夢、魔理沙、アリス、紅魔館組(咲夜さん、美鈴、レミリア、パチュリー)、プリズムリバー三姉妹、ミスティア
永遠亭組(輝夜、永琳、鈴仙)、妹紅、慧音、八雲一家 の計19名
さて、この中に『花見』ではなく『魔理沙見』に来ている人が3人います。さぁ見つけてみよう!(正解は後ほど…)
「いや~、結構集まったな」
「そりゃあ、タダで食べ放題、飲み放題なら誰だって寄ってくるわよ」
霊夢は魔理沙のほうきに乗りながら話していた。もちろん、体はぴったりと魔理沙にくっついている
その様子を遠くから羨ましさに満ち溢れた目で見つめる1週間少女と七色の魔法使いがいるのはまた別の話。
「それもそうだな。ところで霊夢、ひとつ聞きたいんだが……」
「何、魔理沙?ちなみに今夜は空いてr「いや、そうじゃなくて」
「霊夢、なんでパックと輪ゴムを持ってるんだ?」
魔理沙の言ったとおり、霊夢はスーパーのお惣菜売り場にある透明なパックと輪ゴムを持ってきていた
「なんでって……余ったおつまみを持ち帰って数日分の食料にしようかと思って」
「…なんか考えがオバサンくさいぜ?」
「そうかしら?案外普通だと思うけど…」
こうでもしなければ霊夢の食事はつらいのか…、と本気で悲しくなってしまった魔理沙
一方こちら、八雲一家は――――――――
「いい?二人とも、おいしいと思ったおつまみはかたっぱしからそれに詰めときなさい!」
「分かりました!紫様!」
「うん、やっぱり橙はおりこうさんね♪ほら藍、返事は?」
「………はい、分かりました(オバサンくさい…。ていうかこんなにたくさんのパックどこから持ってきたんだろう…)」
こちらは食費とかそういうのではなく単なるオバサンパワーかと思われる
「やっぱり人がいっぱい来たね~。これなら演奏する甲斐があるよ!」
「めるぽっ!!」
「メルランもご機嫌だし、今日はいい演奏ができそうね」
「そして今日こそボーカルは私ねぇ~♪」
宴会目当てではない人たちも約4名混ざっているようだ
「それじゃーみんなぁ!今日は騒ぐぞーっ!!」
(全員)『おぉー!』
「突入ーーっ!」
魔理沙の掛け声と共に全員が結界の上を飛び越えて中に入った
そして階段の中腹辺りまで上ったところで妖夢が出迎えてくれた
「あっ…い、いらっしゃいませ……みなさん…」
(全員)『・・・・・・あれ?』
妖夢の格好を見て先ほどの勢いは一気に冷めた。霊夢が勇気を出して妖夢に尋ねる
「あんた…なんでメイド服なんか着てんの?」
「まさかお前にそんな趣味があったとは……意外だぜ」
「い、いや、あの、これは幽々子様が…!」
みんなに向かって顔を赤らめながら一生懸命解釈する妖夢。このままでは妖夢がコスプレ大好きキャラになってしまう。
それだけは何としても阻止したかった
(くっ!私の専売特許を!)
「いっ、痛い!咲夜さん、つねらないでくださいっ!」
後ろのほうでは歯を食いしばる咲夜さんに美鈴がつねられていた
「あの子がそんなのに目覚めちゃったなんてねぇ…」
「お前も大変なんだな…」
唯一の親友として幽々子を心配する紫。お互い苦労する主人を持ったことに同情してしまう藍
「はぁ……あ、でも案外動きやすいんですよ?それに、なぜか胸パットも埋め込まれていますし…」
(んなっ!?しかも私の胸パット疑惑を皮肉ってる!?あんの亡霊嬢ーーーっ!!)
「ざ、ざぐやざん……じ、じま゛っでま゛…ず……」
やっぱり後ろでは咲夜さんにヘッドロックをかまされている美鈴。もうこれ死ぬんじゃないか?、ってくらい絞められているが
妖怪だからその辺は大丈夫です、きっと。
「そ……それではみなさん、幽々子様がもう始めちゃってますので、急いでください」
「呼んどいて私たちが来る前に始めるなんて…」
「まぁいいじゃないか、霊夢。それより、おつまみ食い尽くされないうちに行こうぜ」
「お席は用意してあります。こっちです」
そう言って妖夢はみんなを誘導していった。と、ここで後ろの方では何やら悪巧みを考える天才さんがいた
(メイド服……いいかもね…)
「師匠、どうかしましたか?」
「いいえ?何でもないわよ…ウドンゲ…」
「そ、そうですか…」
帰ったらなんかされる…。長年の勘で鈴仙はそう思った
妖夢に案内された場所には、すでに桜の木の下にシートが何枚か敷かれており、幽霊たちもいつにも増して賑やかになっていた
木の下に集まって話(?)をしている幽霊もいれば、これだけの満開が嬉しいのか桜の周りを飛び回っている幽霊もいた
だが幽霊が多すぎるせいか、幽々子『らしき』姿が見当たらない
「妖夢、幽々子の姿が見えないけど、どこにいったのかしら?」
紫が辺りを見渡したあとに妖夢に問いかけた。みんなも探しているが、やはり見つけられない
「えっ?あそこにいますよ?」
「おいおい、そっちならさっき見たけどいなかっ……た……?」
妖夢の指差したほうを見た魔理沙は思わず目を疑った。同じくそちらを向いた全員もそうなってしまった
その方向には大きく手を振る幽々子がいた。これだけならなんともないのだが、今日の幽々子には何かが足りない
《ここでまた別次元です》
「無かったんだよ…。頭にのっているはずの帽子(?)と、それについているドリ○ャスマークがっ!!」
「「「なっ…なんだってぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」」」
《はい、ここから戻ります》
という事で、今日の幽々子はいつもの頭のアレが無く、ピンク色の髪の毛が丸出しだった
「みんなぁ~、こっちこっち~♪」
(全員の心の中)『え゛え゛え゛え゛え゛っ!!?』
もうこれはあれか?『突然変異』ってやつだろうか?、と誰もが心の中でそう悟った。だがそうなると、幽々子がこうなってしまった理由が
気になるところである
「ほら、あっちで手を振って(ガシッ!)うわっ!?」
妖夢の言葉の途中で、紫が首に手を回し顔をこちらに引き寄せた。それに合わせて霊夢と魔理沙が詰め寄り、幽々子に聞こえないように
小声で話し始めた
「(ちょっと妖夢!何で今日は幽々子の頭にアレが無いのっ!?)」
「(えっ!?さ…さぁ、何ででしょうか紫様…。今日はつけなくてもいいと思ったんじゃ…?)」
「(そんなことしたらあいつがあいつじゃ無くなっちゃうでしょっ!?あれはあいつのオシャレなんだから!)」
「(もしかして、流石にド○キャスじゃ古すぎるから新しくプレ○テ2に変えるつもりなんじゃないか!?)」
「(そんなの幽々子や閻魔が許しても私たちが許さないわっ!妖夢、何とかしてドリキ○スの良さを思い出させてあげなさい!)」
「(えぇっ!?私がですかっ!?ていうか別にそういう問題じゃない気がするんですが……)」
「もぉ~、さっきから呼んでるのにどうしたの?」
気付くと幽々子が後ろに立っていた。ここでとっさに妖夢の首から腕を外し、紫が説得を試みた
「あ、あのね幽々子。○リキャスも悪くないと思うのよ?ソ○ックだってできるし、それに何より今ならソフトが安いし…(汗」
「?どうしたの、紫?」
なんだか状況がよく分からない幽々子。どうやら本人にはあまり自覚が無いようだ
「とにかく!いつものアレを着けなさい!!」
もう面倒くさくなってしまった紫は、幽々子の両肩を掴んで怒鳴った。もとい叱った。
「えぇ~?でも今日はいつもと違う格好のほうがいいなぁ~、と思って…」
「そんなわがまま言っちゃだめでしょ!?メッ!!」
「いや、メッ!、て紫様……幽々子様は赤ん坊じゃないんですから…」
紫の説得を聞いていて思わずツッコんでしまった妖夢。まぁ、歳の差でいえばそれぐらいはあってもおかしくn(スキマ
「そこまで言うなら仕方ないわねぇ~…」
幽々子はそう言うと、どこからともなくいつもの頭のアレを取り出し、頭にカポッとはめた
それを確認した全員はとにかくホッとした。ものすごく。
「さぁみんな~!あとは好きのところに座って、好きなようにやっていいわよ~!」
仕切りなおすように幽々子はみんなに呼びかけた
なんとも適当な進行ではあるが、『宴会なんてこんなものだろう』と誰もが思っていた
「さてと、私はどこへ座るか……」
「「「魔理沙っ!一緒に座らないっ!?」」」
どこに座るか迷っていた魔理沙に、霊夢・アリス・パチュリーの3人がものすごく必死な顔で詰め寄った
「お、おう…そうだな、そうしよう……」
あれはほとんど脅迫だった気がする…、とのちに魔理沙は語ったという
「さてと咲夜、私たちはどこへ座るのかしら?」
「そうですね……」
「それなら、私たちのところで飲まない?」
紅魔館組を誘ってきたのは、永琳だった。後ろにはすでに席について花見を始めている永遠亭のメンバーもいる
「あら、あなたたちのほうから誘ってくるなんて、珍しいわね?」
「こういう時ぐらい、みんなで楽しみたいでしょ?」
「そうですよお嬢様。それに、永琳さんと少しお話したいことがありますし…」
「…まぁ、咲夜がいいって言うなら、私も構わないけど」
「(あ、私の意見は聞かないんですね……)」
レミリアもまんざらではないのか、あっさりとOKした。後ろのほうではレミリアに忘れられているかもしれない美鈴。
その時、レミリアに見えないように咲夜さんが永琳に「グッジョブ!」と親指をぐっと立てたのは、また別の話……
「さて幽々子。私たちも始めましょうか」
「そうね紫。それじゃ妖夢、準備よろしくね」
「はぁ……やっぱりそうきますか…」
さすがの妖夢も今回ばかりは疲れていた。メイド服という慣れない服装で午前中から宴会の準備に追われていたのだから無理も無い
「よし、それでは私も手伝おうか」
そんな妖夢を気遣ったのか、藍が率先して手伝いを申し出た
「えっ!?で、でも今日は藍さんはお客様という形ですし…」
「なに、気にするな。こっちだっていつもやっていることだ」
「そ、そうですか?では、お言葉に甘えてお願いします」
そして妖夢と藍は白玉楼の屋敷のほうへと歩いていった
「やっぱりこの宴会の準備、全部妖夢にやらせたの?相変わらず人使いが荒いわねぇ」
「あら、一日中式を働かせている紫に言われたくないわね」
どうやらあの二人の従者、何か繋がるものがあるようだ……
そんなこんなで妖夢・幽々子を含めた計21人が、以下の4グループに分かれた
Aグループ
魔理沙・霊夢・アリス・パチュリー
Bグループ
紅魔館組(咲夜さん・レミリア・美鈴)、永遠亭組(永琳・鈴仙・輝夜)、慧音、妹紅
Cグループ
八雲一家、妖夢・幽々子
Dグループ
プリズムリバー三姉妹、ミスティア
ちなみに、Dグループの面々は飲み食いが目的ではなく、ただ演奏や歌を披露しに来ただけのようだ
それでは、ここからはグループ別に見ていってみましょう
Aグループの場合
~マリサ様が見られてる!?~
「いや~、神社の桜もいいけどここの桜はまた豪華だな」
「あら、うちだってこれぐらい咲くことはあるわよ?」
「そんなの見たこと無いけどね」
「…桜なんて久しぶりに見たわ」
こちらAグループの席では、魔理沙を囲むように霊夢・アリス・パチュリーの4人が日本酒片手に普通に花見を楽しんでいた
………会話だけ聞くと。
「……ところで、3人とも?」
「「「何?魔理沙?」」」
魔理沙の問いかけに3人が同時に反応する。彼女たちにはあまり自覚が無いようだが、魔理沙はツッコまずにはいられなかった
「…桜を見ようぜ?」
そう、今まであえてスルーしていたが、霊夢・アリス・パチュリーの3人の目線はすべて『桜』ではなく『魔理沙』に集中していた
これではもはや『花見』じゃなくて『魔理沙見』である
「あっ、ごめんごめん。魔理沙がいつもより可愛いからつい…」
「べ、別にあんたじゃなくて向こうの桜を見てただけよ!」
(魔理沙……今日こそあなたを…!)
こんなこと言いつつも決して目線をずらさない三人。それには訳があったのだ……
それはここに来る途中のこと。3人は今日で『魔理沙が本当に好きなのは誰なのか?』をはっきりさせるため、決闘(?)を霊夢が
持ちかけたのだ。もちろん他の2人も同意した。ルールは至極簡単で、魔理沙を口説き、落とした人の勝ちである
それならば先手をとった方が良いのだろうが、ここはあくまでナチュラルに魔理沙に接することを3人は望んでいた
(さぁ……いったい誰から仕掛けるの!?)
(ふっ……いくら抗おうとも魔理沙は私のものよ…)
2人の出方を伺うために周りを見渡すアリス。そして、余裕なのかそそくさとおつまみをパックに詰める霊夢
その時だった。
「魔理沙……」
((来たっっ!!!))
先手を取ったのはパチュリーだった。霊夢とアリスは瞬時にパチュリーのほうを向き、今までとは明らかに違う目つきで凝視した
「ん?どうしたんだ、パチュリー?」
「…私、外の桜なんて初めて見た気がするわ」
そう言ってパチュリーは頭上の桜を見上げた。花が風で揺れる度、ピンク色の花びらが空に舞っている
「そりゃパチュリーはいっつも図書館で本読んでるからな」
魔理沙もにっこりしながら桜を見上げた
「初めは外にあまり興味が無かった。だけど、こうして外に出るようになったのは魔理沙のおかげなの」
「わたしのおかげ?」
魔理沙は不思議そうな顔でパチュリーを覗き込んだ
「そう。あなたがいつも私のところへ来てくれたから、外に興味が湧いたの。そして、こんなに綺麗な桜が見れた。
だから、魔理沙には本当に感謝してるわ…」
「パチュリー……」
一方で、その様子を見ていた他2人は―――――
(こっ、このクサイ台詞の連発……!まさか『ロマンティック大作戦』っ!?)
(あの荒技を使うなんて……中々やるわね…)
なにぃ!?、といったポーズをとりながら驚愕するアリスと、鋭い目つきで感心する霊夢
『ロマンティック大作戦』とは?
『ロマンティック大作戦』とは、相手を口説き落とすときに使う作戦の一つで、少女マンガに出てくるような言動で相手に接することにより
「もしかして、この人のこと好きにならなきゃいけないんじゃないのか?」という気持ちにさせてしまう高度な技である。
ただ、この作戦を行うためには聞いているほうが恥ずかしくなってくる様なクサイ台詞を言わなければならないため、
実行できるのは相当素直な人、もしくは夢見がちな少女に限られる。
最後に注意してほしいのが、『ロマンチック』ではなく『ロマンティック』だということだっ!!
by香霖堂の店主
(あんな大技を使ってくるなんて……このままじゃ魔理沙が落とされる・・・…かもっ!!)
あの2人が何だか良い雰囲気になっていることに、アリスは焦りを隠せなかった
そんなアリスを尻目に、パチュリーの作戦はついに最後の言葉を切り出そうとしていた
「…ねぇ、魔理沙……?」
「うん?」
パチュリーが頬を赤らめながら魔理沙のほうを向く。そして魔理沙もパチュリーのほうを向いたので丁度顔を見つめ合うような形になった
パチュリーは一度はためらいつつも、覚悟を決め、口を開いた
「私…魔理沙の事が…」
そこまで言った時だった。魔理沙の目の前をオレンジ色の光線が駆け抜けたと思ったら、パチュリーが吹き飛ばされていた
「ぐはぁっ!?」
「パチュリーっ!?」
ズザーッ、という音を立てて吹っ飛ぶパチュリーと、何が起こったかよく分からない魔理沙
そこへアリスが慌てる演g……じゃなくて慌てながら駆け寄った
「ごっ、ごめんなさい!大丈夫っ!?」
「アリス、どういう事だ?」
「えぇ魔理沙、何だか私の上海人形が桜を見れて嬉しかったのかレーザーを撃っちゃったのよ。まったくこの子ったら…」
「シャンハイッ!?」
上海人形は『いや、あんたがスペカ唱えたんだろっ!?』と言いたそうな目でアリスを見た
だが幸いにも魔理沙はそれに気付いてなかった
「そうだったのか。それにしても、パチュリー大丈夫か?」
あの説明ですんなり納得してしまう魔理沙。パチュリーはというと、レーザーが直撃していたので結構なダメージを負っていた
「ふぅ……しょうがないわね…」
アリスは一息つくと、倒れているパチュリーに近づいてしゃがんだ。そしてパチュリーはアリスを見ながら
魔理沙に聞こえないように言った
「(うぅ…妨害なんて有り……?)」
「(あら?『無し』とは聞いてないわよ?)」
パチュリーを見下ろしながら悪人の笑みを浮かべるアリス
アリスの悪人レベルが上がりました! (デ○ラー級)
そうは言いつつもアリスはちゃんと治療の魔法をかけている
「………アリス…?」
「かっ、勘違いしないでよねっ!私はただ自分のせいにされるのが嫌なだけだからっ!!」
ちなみに、今のアリスの台詞はいつもよりも2倍くらいの声で言っているので、魔理沙にもよ~く聞こえています
「(…案外優しいところもあるね……ってまずい!この言動は『オペレーション・ツンデレ』っ!?)」
見直し始めていたパチュリーが、ハッとアリスを見上げる
アリスは治療の魔法をかけながらまた悪人の笑みを浮かべていた
「(ふふっ……今頃気付いたの?悪いけどあなたには私の作戦の糧となってもらうわ…!)」
アリスの悪人レベルがまた上がりました! (フ○ーザ級)
『オペレーション・ツンデレ』とは?
『オペレーション・ツンデレ』とは、相手をオトすときに行う作戦の一つで、『普段は嫌味なことしか言えないが
本当はとても優しい』といった不器用な性格をすることで相手への印象をより一層強くすることができる上級テクニックである。
ただし、この作戦を行うにはその嫌味な性格の部分を相手に印象付けなくてはならないため、多大な準備期間を
要してしまうことだ。
by『未知のアイテムの名称と用途がわかる程度の能力』を持つ人
「(冗談じゃないわ…!あと一歩のとこなのに…!)」
「あぁ、まだ動いちゃだめよ。まだ治療が終わってないんだから」
「くぅ……!」
起き上がろうとしたパチュリーをアリスが押さえつる。
パチュリー自身もまだ起き上がれるまで回復していなかったので従わざるを得なかった
そんな修羅場が繰り広げられていることを知らずに魔理沙が近づいて話しかけてきた
「へぇ……やっぱりアリスもいいとこあるじゃないか」
アリスの予想通り、魔理沙にはなかなかの好印象のようだ
アリスは『この機会を逃してなるものかっ!!』とオペレーション・ツンデレを畳み掛けようとした
「べっ、別に私はただ……っ!」
「あ、そうだ」
アリスの言葉をさえぎるように魔理沙が手をポン、と叩いた
「なぁアリス、この間見せてもらった『敵の戦闘力が分かる』っていうマジックアイテム貸してくれないか?アレを使えば
新しい魔法ができそうなんだが……」
「あっ、あれだけはダメよ!手に入れるのにどれだけ苦労したことか…」
「そんな事言わずにさ~。頼むぜ~」
魔理沙は顔の前に手を合わせて頭を下げていた
「(うっ……で、でもここは魔理沙への印象を良くするために…っ!)まっ、まぁそこまで言うなら
貸してあげなくもないけど……」
アリスは顔を赤くして横を向きながら言った
魔理沙はその言葉を聞くと目を輝かせた
「本当かっ!?サンキュー、アリスっ!!やっぱり持つべきものは『友達』だよなっ!!」
そう言ってアリスの手を両手で掴み、ブンブンと上下に振った。
が、これがいけなかった
(まっ、魔理沙が私の手を……っ!!しかも今、『友達』って……っ!!)
「どうしたアリス?顔が赤いぜ?」
アリスの顔がさらに真っ赤になっていく。もうトマトにだって負けないくらい赤いだろう
そしてついに――――――
ボンッ
アリス 耐熱限界。
「あぁ、アリスっ!?」
アリスは頭から軽い爆発音と共に煙を出した。魔理沙も流石に驚き手を離す
すると、アリスの体がグラリと傾き、パチュリーの方へと倒れていった
「えっ!?ちょっ、まっ……!」
パチュリーはアリスののしかかりを転がって避けようとした。
だか結局間に合わず、アリスの体がパチュリーのお腹の上にのしかかってきた
「ぐぇぶっ!」
パチュリーのステータス
上海人形のレーザーのダメージ+アリスの治療魔法+アリスののしかかり=HP 0 戦闘不能
「ま……魔理…沙……(ガクッ)」
パチュリーはとても未練がある顔で気絶してしまった。
もしこれで幽霊になってしまっていたら、三代先まで魔理沙に憑り付いていることだろう
「……いったいどうしちゃったんだ?2人とも?」
(………そろそろかしらね)
2人の身に何が起こったかよく分からない魔理沙
そしてその後方でおつまみを5パック分ほど詰め終えた霊夢が立ち上がり、魔理沙に近づいていく
この落ち着き様、どうやらあの2人が共倒れするのはすでに予想済みだったと思われる
「魔理沙」
ビクッと一瞬体を揺らして魔理沙はゆっくりと後ろを振り向いた。先ほどから妙な行動が立て続けに起こったため警戒心が増しているようだ
「れ…霊夢、どうした?」
霊夢の作戦、それは―――――
「お酒のおかわり、どう?」
「お…おぅ、いただくぜ」
『普通に魔理沙とお花見を楽しむこと』だった。
【第二部へつづく】
早くみたいですねぇ♪
ところで、オペレーション・ツンデレが成功してたらアリスの悪人レベルは○神月級になってたんでしょうかね。