Coolier - 新生・東方創想話

幻想一弾幕遊戯(2)

2006/04/22 10:52:02
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※この作中、数名が適度に壊れていますが深く気にしないでください。
 そういうのが苦手な人は引き返すと良いかもしれません。





文々。新聞


幻想郷一を決める弾幕遊戯


○月○日、幻想郷で幻想一弾幕遊戯が開かれた。
参加者の中には日光を苦手とする方も居た為、ドーム状の大きな屋敷で開かれる事となった。
ルールは先日発行した号外に掲載してあった通りである。
2vs2のタッグマッチ。一試合に持ち込めるスペルカードは一人三枚まで。
勝敗は、相手チームの二人を戦闘不能にするか、リング外に落とす事で決める。

なお、優勝賞品は金10万円。
及び、博麗神社の巫女、博麗 霊夢を一日だけ自由に利用する権利である。
優勝者は彼女と宴会を開くなり、雑用させるなり好きにしていいとのこと。


第一試合の対戦カードは紅魔館から参戦したレミリア・スカーレット(吸血鬼)と、
同じく紅魔館より参戦の十六夜 咲夜(人間)のペア。
対するは、八雲 紫(妖怪)の式神の八雲 藍(式神)と、その式神橙(式神)のペアである。
式神組は善戦するものの紅魔館の主レミリアの異様な邪気に圧倒され敗退してしまう。
敗退したお二人は取材に対して以下の様に話してくれた。

「私が藍様の足を引っ張った所為です。
 きっと藍様だけならあの二人にだって負けなかった筈なんです!
 でも、でも私が役立たずだったから…役立たずだったから…!」
                                         (橙)

「元々紫様に『体が鈍らない為に参加しなさい』って言われて橙と参加したんです。
 でもまさか初戦に紅魔のあの二人と当たるとは思いませんでした。
 大方、紫様のことだからこの対戦表もある程度仕組んでいたのでしょう?
 そもそも、賞金の方は分かるけれど副賞はおかしいでしょう。
 年中春頭の巫女なんて借りたところで喜ぶ者は限られてる。それにあの巫女も巫女だ。
 後から聞いたらお金につられて捕まったそうじゃないか。
 全く…そう考えるとこの大会は全てが最初から仕組まれていたんじゃないかと思うよ」
                                         (藍)

式神といっても、矢張り性格は十人十色の様である。

第二試合の対戦カードは冥界白玉楼より、二百由旬の胃袋を持つ西行寺 幽々子(亡霊)
そして、妖怪が鍛えたと言う刀を使う冥界の庭師、魂魄 妖夢(半人半霊)
対するペアは永遠亭より、因幡の兎ペア。
自称月兎の鈴仙・優曇華院・イナバ(兎)と、地上の兎の因幡 てゐ(兎)
試合展開は兎ペアが優勢かと思えたが、惜しくも食気の前に狂気が破れた。

「妖夢もまだまだ修行が足りないわ。
 と言うより妖忌は一体どんな指導をしていたのかしら。
 まさか妖夢があんな風に立ち向かうなんて…。

 それより、お腹が空いたわ。目の前の烏は食べても良いのかしら?」
                                    (幽々子)

これ以上の取材は危険と判断し、勝手ながら切り上げさせて頂きました。
皆様もこれを機会に鳥を食べるという習慣を改めてみてはどうだろうか。

尚、以降の試合については同紙二面以降に。
                                    (射命丸 文)












「第三試合、夢の魔法少女対決!普通の魔法使い、霧雨 魔理沙と七色の魔法使いアリス・マーガトロイド!」

何かが最高潮に達しつつある文が叫ぶ。
その後、お決まりの様に霊夢にマイクを差し出す。

「対して、紅魔館の魔女パチュリー・ノーレッジと、吸血鬼にして魔法少女、フランドール・スカーレットー」

リングには既に四人の姿─あと映姫─があった。
と言うより、どういうわけか既に一触即発の雰囲気である。
魔理沙とフランを除いて。
つまりは、アリスとパチュリーが。

「ふふふ、残念だったわねぇ紅魔館の知識人さん。
 今度も魔理沙は私が取っちゃった」
「あなたはどうせ魔理沙しか組む相手いないじゃない。
 所詮はお情けで組んでもらってるのよ。それが分からないあなたが残念ね…」
「言うじゃない、あなただって持病の喘息の所為でスペルもまともに唱えれないくせに。
 そんなあなたは図書館に引き篭もって大人しく読書してるべきよ」
「持病も何も持っていない。スペルもまともに唱えられる。
 そんな素敵な能力を持っているのに家に引き篭もって人形遊びしているネクラは誰かしら…?」
「口では色々言っても、魔理沙が紅魔館の図書館に本盗みに来るの待ってるんでしょ?
 知ってるんだから、私。本当はあの魔術書だってあなたが自分から選んで渡したんでしょ」
「なっ、なんでそれを……!
 だったらあなただって魔理沙そっくりの人形作って夜な夜なあんなことやこんなことしてるんでしょ…!」
「なななななんであなたがそんなことまで知ってるのよぅ!?」
「あら、出任せで言ってみたのに本当だったのね……怖い怖い」
「くっ、この病弱娘めが!」
「病弱で弱っている乙女は、主人公とフラグが立ちやすいのよ、色々」

会話の内容がどろどろしすぎである。
と言うか、フラグって何のフラグだ。

「やれやれだぜ…」
「やっほー、魔理沙」
「お、フラン。元気だったか?」
「元気元気。大変だね、魔理沙の相方ー」

お互い様だぜ、と返した。
と言うより今から戦うのに世間話をしている場合なのか。

「そうだわ、審判」

パチュリーが何か思いついたのか審判を呼ぶ。

「この試合、勝った方が次の試合で魔理沙とペアを組めるってどう?」
「どうと言われましても」

流石の映姫も少し困惑している。
当たり前と言えば当たり前である。

「面白そうじゃない。許可するわ」

実況を全くしない司会席の方から紫が声を上げた。

「だ、そうです」

それで良いのか、閻魔。

「ふふん、人形遊びしか出来ないあなたと、七種の精霊魔法を操る私。勝敗は見えているわ」
「あーら、七色の称号は私のものよ。どっちが魔理沙の相棒に相応しいかその体に刻んでやるわ!」

二人の背景が龍虎と化している。
ハブとマングースでも可。むしろ、そっちの方が。








─魔女達の弾幕遊戯。








「えー、では。第三試合、始め!」

最早、変則しすぎてどう合図を取れば良いのか分からなかったようである。

「月符─」
「操符─」

開始の合図とともに、両者同時にスペルカードを発動した。
今更だが、全員血気盛んではなかろうか。

「サイレントセレナ!」
「ドールズインシー!」

大量に展開された弾幕を、ばら撒かれた人形が展開した弾幕で防ぐ。
恋する乙女同士の対決は派手である。派手なのか?

一方何だかんだで蚊帳の外の魔理沙。
戦わずして何だか二回戦進出が決まっているのも妙な気分だ。
不戦勝と言うべきなのか。いや、きっと違う。
そんな心のツッコミも空しい。

「まーりーさー」

フランは魔理沙の背中に抱きついて離れない。
ある意味蚊帳の外その2である。
しかもなんだかこっちは不戦敗コースまっしぐらの。

「さっきから重いぜ、フラン」
「折角だし遊ぼうよー」
「そうだなぁ。あいつら私達のこと忘れてないか」

そんな事を言ってる間にも、

「喰らえ!日符・ロイヤルフレアァ!」
「なんの!魔符・アーティフルサクリファイス!」

無意味に派手である。
大丈夫なのか、パチュリー。
あんなに叫んじゃって。

「そういえば、よく考えたらフランが勝てば二回戦は私とフランが組むんじゃないのか?
 パチュリーはさっき『勝った方が』って言ってたしな。フランがダメとは言ってないぜ」

言われてからフランもハッとした。

「そっか!流石だね、魔理沙」
「何が流石なんだ?」
「よし!じゃあ魔理沙、一緒にこれ使おう」

ごそごそと二枚のスペルカードを取り出して片方を魔理沙に渡した。
と、言うか既にペアを組んでいる。
真の勝ち組は、蚊帳の外の二人か。

「お、良いのか?こっそりぱくっちゃうぜ?」
「いいよいいよー」

しかも盗作宣言である。

「それじゃ、行くよー。せーの」
「「禁忌・恋の迷路!」」

やりたい放題である。

一方、全く気付いてない恋する乙女二人は、

「火水木金土符・賢者の石!」
「咒詛・上海人形と蓬莱人形!」

しかも何か混ざっている。








─そして誰もいなくなるか?








恋する乙女は盲目なのよ!と言わんばかりに思いっきり被弾した二人は敢え無く敗退。
よく分からない変則試合の勝者、そして二回戦で魔理沙のパートナーのキップを手にしたのはフラン。
後に七を冠する二人の乙女は文のインタビューにこう答えている。

「迂闊だったわ。妹様が魔理沙とちょくちょく遊んでいるのを忘れてた」
「っていうか魔理沙はいつの間にあの吸血鬼と組んでたの!?しかも同じスペル使ってたじゃない!
 もう、魔理沙の馬鹿!どうして私のスペルカードはぱくってくれないのよ!」

ぱくって欲しいのか。








─兎にも角にも。








「さぁ、第一回戦最後の対戦カードとなりました。早いものです」
「っていうか魔法組は二回戦以降どうなるのよ。
 アリスが抜けてフランが入って……そのまま魔法組で続行?それとも紅魔組2で続行?」
「魔法組で続行です。あ、どうせなら紅夢組に変えましょうか?」
「また微妙に古いネタを持ってくるじゃない。しかもそれ魔理沙のだし」

やれやれと言った表情である。
それはもう、全てにおいて。

「では、第四試合は因縁の対決となりました。永遠亭より、元月の民のお二人!
 竹取飛翔!蓬莱山 輝夜と、月のぼん…、頭脳こと八意 永琳!」
「ちょっと、今なんて言いそうになったのよ」
「対するは」

思いっきりスルーである。

「蓬莱の人の形、藤原 妹紅!そして、歴史を操る半人半獣、上白沢 慧音!」
「少し語弊があるが。別にそこまで凄い事は出来ないぞ」

最も、何かが最高潮な文が聞いているはずも無い。
現に霊夢にとって唯一の出番の選手紹介も一人でやっている。

「一回戦の大取。しかも相手はあの憎き輝夜……!
 ふふふ、願ってもない組み合わせ。ね、慧音」
「いや、私は正直誰とでも良いんだが」
「つれないなぁ、そこは『あぁそうだな。愛してるよ私の妹紅』って言わないと」
「…………何で?」

何でだろう。

「永琳、一回戦はあの妹紅よ。
 今日こそ必ず射止める。じゃない、仕留める」
「ですが姫様、問題はあのハクタク。彼女の歴史を隠す能力は脅威ですよ」
「そうよ、私と妹紅がこんなに争うのもきっとあいつが私と妹紅の仲をどこかに隠してしまったからだわ」
「姫様、元々そんな歴史ありません」

蓬莱の薬を飲んだ人は皆こんなのばっかりか。








─ホラーイ。
        by蓬莱人形







「慧音、出来るだけ下がって後方支援お願い。
 慧音以外は死なない人間だから多分本気の勝負になるから」
「あ、あぁ分かった」

こうなると試合というよりは死合である。
勝敗はリング外に落とすしかない様な。

「では、第四試合、始めてください」

段々映姫にもやる気が無くなって来た様である。
むしろ、帰って裁きをしないと。
小町が、小町が真面目に仕事するようになっちゃったから。

「輝夜あぁぁ!!」

先手必勝、妹紅の不死鳥拳(仮名
対する輝夜はというと、

「来なさい、妹紅!受け止めてあげるわ!」

普通に避けろ。

会場にいるほぼ全員─映姫、永琳、慧音含む─がそう思った。
案の定強烈な右ストレートが輝夜に直撃する。
が、物凄い踏ん張りで耐えた。
流石蓬莱の薬を飲んでいるだけある。いや、関係ない。

「ふ、ふふ、あなたの愛しかと受け取ったわ、妹紅」
「はい?」

妄想も此処まで行くと見事である。

「今度は私の番よ!しかと受け取りなさい!」
「うわっ!?」

どこに持っていたのか、突然出てきた竹を思いっきり側頭部目掛けて振るった。
当たり前だが、妹紅はしゃがんで避ける。
死ななくても痛いのは嫌なのだ。

「ちょ、何で避けるのよ!」
「当たり前だっ!」

思いっきりつっこむと同時に額に矢が突き刺さった。
それも、常人なら即死コースのそれが。

「ぎゃああああああ!!い、痛い痛い痛い!」
「ああっ、妹紅!大丈夫か!」

緊張感があるのか無いのか。

「ちょっと永琳!何やってるのよ!」
「え、えぇ?何か拙い事でも?」
「拙いに決まってるでしょ!妹紅に傷を付けて良いのは私だけなのよ!」
「姫様、もしかして何か変なものでも拾い食いしたんですか?」

したのかもしれない。
いや、きっとしたのだろう。

「うわーん、慧音ぇー。巨乳が苛めるー」

そのまま慧音の胸に飛び込んだ。
柔らかい弾力を楽しみながら至福の笑みを浮かべている。

「よしよし、可哀想に。痛いの痛いの飛んでけー」
「ありがとう、慧音!これでまた戦えるよ!」

緊張感が無い。
開始前の警告は何だったのか。

「こうなったら一気に決めてやる……!
 不死、火の、鳥!」

スペルカード一枚で意味も無くモーションが長い。

「来るわよ永琳!私の後ろに下がって!」
「姫様……また素で受け止めるつもりじゃ…」

有り得る。

「鳳・翼・天・翔おぉぉぉぉ!!」

火の鳥と化してつっこむ。
そういえば、何処かでこんな攻撃がなかったか。

「その程度の火力、私の難題の前には無力!
 難題『火鼠の皮衣』!!」

妹紅の突進を真っ向から受け止めた。
スペルカードを使ったとは言え、真っ向勝負に出た辺りには敬意を払う。

「くっ、やるな輝夜」
「何年こうしてると思ってるの?
 あなたのスペルカードは隅から隅まで手に取るように知ってるわ」

まともな台詞かと思いきや表情が邪だった辺り違うのだろう。

「今度はこっちから行くわよ!
 難題『龍の頸の玉』!」
「国符・三種の神器 鏡」

迫り来るレーザー。
が、思いっきりはね返る。
アリなのか。いや、恐らくアリなんだろう。

「うわぁ!永琳助けて!」
「姫様……」

必死になって自分のレーザーを避ける輝夜
永琳は人知れず目頭が熱くなった。

「仕方ない、こうなったら…」

ごそごそとスペルカードを探す。
そして、異変に気付いた。

「あ、あれ?おかしいわね」

何処にも、スペルカードが、無い。
ちゃんと持ってきたはずだ。
何故だ、何処かで落としたのか。
月の頭脳の持ち主とはいえ流石に焦る。

「そ、そんな……スペルカードが………」

ふと、輝夜と妹紅の戦況を見ていた慧音と目が合った。

「ま、まさか」

そのまさかだ。

「歴史を隠す程度の能力。
 悪いがお前のスペルカードは隠させてもらった」

最早なんでもアリである。
よく考えたら慧音は無敵なのでは無いのか。

「上白沢 慧音………!
 なんて……なんて恐ろしい子なの…!?」

そんなこと言ってる場合ではない。

「パゼストバイフェニックス!」
「うわあああああん!」

苛めっ子が弱い者苛めしているような構図になりつつある。

「妹紅に抱き付かれたいけど熱いのはいやあぁぁ!
 あ、でも熱い抱擁は嬉しいかも!」
「ひ、姫様!公衆の面前でなんて事を叫んでますか!」








─開始前、下駄箱の上に隠しておきました。
                            けゐね







一回戦全試合中最も長く、最も緊張感の無かった第四試合。
最終的に輝夜が苦し紛れに放った弾幕を再び慧音にはね返され自滅。
永琳は引き際を察して自分からリング外に降りたらしい。

こうして、良くも悪くも四組の選手達が次の試合へと駒を進めた。
輝夜ごめんよ、ごめんよ輝夜。

それよりアリスとパチュリーって何かと共通点があるんですね。
七色の魔法使いと、一週間少女。
どっちも七を冠する魔法使い(魔女)ですし。
コーエン
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コメント



0.900簡易評価
8.90名前が無い程度の能力削除
素晴らしい!

これは誤字かな?
正確→性格
だと思う
13.80どっかの牛っぽいの削除
最後の一戦一方的だなぁ
それはそうと慧音は、そう強いんですよ
ほかの作品だとあんまこっち方向に活躍しないんだよな、ギャグだと