Coolier - 新生・東方創想話

東方霊夢伝

2006/04/17 08:09:46
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*そう言うのがダメな方は読まないでください
*大丈夫な方は↓へどうぞ





























「いい天気ね~・・・」
暖かい陽射しの下、霊夢は縁側でお茶を飲んでいた。
博麗神社のいつもの光景だ。
「やっほ~、れいむ~」
「あら、橙じゃない」
橙が元気良く霊夢の元へ駆け寄ってくる。
橙は宴会以来博麗神社がすっかり気に入って頻繁に訪れるようになっていた。
「今お茶を持ってくるわね」
「うん!」
霊夢は立ち上がると部屋へ入っていった。
そしてお盆に急須と湯のみを載せて戻ってきた。
「まだ熱いから冷まして飲んでね」
「は~い」
橙にお茶を注いで渡すと自分の湯のみにもお茶を注ぐ。
隣では橙が息を吹きかけてお茶を冷ましていた。
当然ながら猫舌だ。
「うふふ」
霊夢はそんな橙の仕種を見て楽しそうに笑う。
「あらあら、楽しそうね。私たちも仲間に入れてくれないかしら?」
「あ!紫様!藍様!」
紫と藍に橙が駆け寄る。
「邪魔をするな霊夢」
「気にしてないわ」
藍が駆け寄ってきた橙を抱きながら霊夢に頭を下げる。
霊夢はそんな光景を微笑みながら見つめる。
「私にもお茶をもらえるかしら?」
紫が霊夢にお茶を催促した。
「しょうがないわね」
霊夢がゆっくりと立ち上がった。
「あ!れいむ!私も手伝うよ!」
橙が片手を高く上げて言う。
「じゃあお願いできるかしら?」
「橙、十分注意するんだぞ」
「は~い!」
橙は藍に元気良く返事を返した。
霊夢はお盆に急須を載せて再び部屋へと入っていった。
その後を橙が嬉しそうに追いかけていった。

「楽しそうね・・・」
「以前霊夢から子供が大好きだと聞きました」
紫と藍は縁側に腰掛ける。
「そう・・・でもあの子は永遠に母親にはなれない・・・」
「え・・・?」
紫の懺悔するかのような言葉に思わず藍は聞き返した。
「あの子の背中・・・見たことあるかしら?」
「そう言えば一度も無いですね。以前幻想郷に温泉が沸いた時でも霊夢は襦袢を着て入っていましたね。確か巫女は他人に裸を見せてはいけないとか・・・」
藍が思い出すように言う。
「酷いものよ・・・火傷や切り傷だらけでもう正常な皮膚は殆ど残っていないわ・・・」
「・・・!」
藍は紫の言葉に驚いた。
「あの子は本当は博麗の血を引いてはいないわ・・・あの子は昔ある里で忌子として生まれたの・・・」
「・・・」
紫の言葉を黙って藍は聞いている。
「あの子の勘の鋭さは生まれつきのものよ・・・だから赤ん坊の時から危険に敏感だったわ・・・里では霊夢が泣くと妖怪がくるって言われるほどにね・・・」
「その鋭い勘故に・・・」
「ええ・・・妖怪を呼ぶ存在として監禁され・・・傷付けられ・・・そして男達の捌け口となったわ・・・」
藍の言葉に頷きながら紫は続けた。
「酷い・・・」
藍は硬く手を握り締めていた。
「そのせいであの子は二度と子供の産めない体になってしまった・・・」
女として最大の喜びである母になる事は霊夢には叶わぬ夢となってしまっていた。
「ところで藍。霊夢のスカートってやたらとはためいていないかしら?」
「そう言われてみれば・・・風も無いのに不自然なほどにヒラヒラしてますね・・・」
紫が突然投げ掛けた質問に藍は戸惑いながらも答える。
「あの子はね・・・歩く事はおろか・・・立つ事すら不可能なのよ・・・」
「・・・まさか!」
「ええ・・・足を何度も複雑骨折させられて・・・しかも曲がって引っ付いてしまっているの・・・だからあの子は常に僅かに浮かぶ事で歩いているように見せかけているのよ・・・」
「そんな・・・」
骨折した時は真直ぐにして添え木を当てなければ骨が正常に戻らない。
そして一度曲がってしまった骨は二度と元には戻らず歩けなくなってしまう。
「そんな霊夢を哀れんだ先代の巫女が霊夢を里から連れ出して育てたのよ・・・術で記憶の封印を行い、霊夢を自分の娘として育てたわ・・・不幸な事に難病で若くして亡くなってしまったけど・・・」
「じゃあ・・・今の霊夢は・・・」
藍の言葉に紫は頷いた。
「ええ、偽りの記憶を与えられて、自分の生まれた里の方面には出来うる限り行かないように術を施されているわ・・・」
「こんな事が・・・こんな事が許されていいのか!」
藍は思わず立ち上がった。
「先代の巫女もどれだけ復讐したかった事かしらね・・・でも博麗の巫女として人間の敵にはなれないって・・・とても悔しそうだったわ・・・」
「紫様は先代の巫女とお知り合いだったんですね・・・」
「ええ・・・優しい笑顔の美しい女性だったわ・・・決して怒る事の無かった彼女が唯一怒りを露にしたのはこの時だけだったわ・・・」
紫が視線を空に向けながら懐かしむ。
しかしその声には悲しみが滲み出ている。
暗い雰囲気が今の博麗神社を包んでいた。
「紫様・・・私は妖怪です・・・妖怪が人を襲って何の問題がありますか?」
「そんな事をしたって霊夢は喜ばないし先代の巫女も悲しむだけよ」
紫は藍に止めさせるように言う。
「分かっています!でも・・・紫様は覚えていらっしゃいますか?私達が霊夢に敗れた時の事を・・・」
「ええ・・・襲い掛かった私達を倒したかと思ったら傷の手当をして謝ったのよね・・・傷をつけちゃってごめんなさいって・・・悪いのは私達だったのに・・・」
「霊夢は人一倍傷付ける事に敏感なんでしょうね・・・記憶は無くても覚えているんでしょうかね・・・」
霊夢は今までの騒動で全ての者に手加減をし、勝利した後傷の手当てまで行っていたのだ。
例えそれが騒動の張本人であろうと、何人もの人を殺した妖怪であろうと・・・。
「しかし霊夢は例え自分を傷付けた者でも人であれば救わなければならない!そんな理不尽な話がありますか!」
「・・・あっていいわけがないじゃない!でもそれはエゴよ!私達のエゴに過ぎないわ!」
「昼間から喧嘩するなら他所でやってくれないかしら?
「う~・・・紫様も藍様も喧嘩したらだめぇ~・・・」
怒鳴りあう紫と藍を戻ってきた霊夢と橙が止めさせた。
霊夢は少し呆れ顔を、橙は悲しそうな顔をしていた。
「すまない・・・感情的になりすぎてしまった・・・」
「私こそ・・・」
「まあお茶でも飲んで落ち着きなさい」
霊夢がお盆に載せた湯のみを二人に手渡す。
「私ががんばって入れたんだよ!」
「紫様と藍様のお茶は私が入れるんだって聞かなかったものね」
嬉しそうに言う橙を霊夢は笑いながら見つめている。
そんな光景を見た紫と藍はお茶に視線を移したまま止まっていた。
「霊夢、橙、私はちょっと用事を思い出したわ・・・悪いけど藍、ついてきてくれるかしら?」
「分かりました」
お茶を一気に飲み干すと紫がそう言った。
藍も同じく一気にお茶を飲むと紫について博麗神社を後にした。
「・・・?あの二人どうしちゃったのかしら?」
「なんか変だったね~?」
残された二人は頭の上に?を出しながら首を傾げるのだった。

「紫様・・・里の場所は分かっているのですか?」
「残念だけど知らないわ。だから慧音に会いに行くの」
二人は慧音の住んでいる庵にやってきた。

「おや?紫殿と藍殿ではないか。何の用事だい?」
のんびりくつろいでいた慧音が二人の来訪に少し驚きながら声をかけた。
「霊夢が生まれた里を知らないかしら?」
「・・・知っているが・・・どういうつもりだ?」
訝しげに慧音は聞き返す。
「紫様、慧音は霊夢の事を知らないのですか?」
「霊夢の事は里でも極力無い事とされてきたし先代の巫女もなるべく話さなかったわ。だから慧音が知らないのも仕方がないわね」
そう言った紫は霊夢の事を話し始めた。

「そんな事があったのか・・・私も半妖として生まれてきたがそこまで酷い扱いを受けた事はなかった・・・」
慧音自身子供時代は差別や偏見を受けたりもしたがそれでも傷をつけられたり監禁されたりはしなかった。
「分かった。私もついていこう」
「お願いするわね」
三人は霊夢の生まれた里へと飛び立っていった。

「ここだ。一番北にある里だから私も滅多に来ない。あまり歓迎もされないのでな」
三人が着いた村はどこかギスギスした空気が漂っていた。
しかもそこかしこから三人を睨み付ける視線を感じ取れた。
「悪いが長老の家に案内してくれないか?」
慧音は近くで畑仕事をしていた村人に声をかけた。
「この村の一番奥にあるでかい家がそうだ。勝手に行け」
村人は顔を上げる事すらなく乱暴に言い放った。
三人は不快感を感じながら長老の家にやってきた。

「いやいや・・・村の者が失礼をしたようでもうしわけない。この村はあまり余所者が好きではないのでな」
一見すれば柔和な笑顔の老人に見える長老だがその目には射るような鋭さが感じ取れる。
「謝辞はいい。単刀直入に言わせて貰う。この里出身である霊夢の事を聞かせてもらいたい」
「おお!霊夢様の事ですか」
喜んでいるように見えるが実際には罵詈雑言を並べたい所だろう。
「いや~あのような素晴らしい巫女様がまさかこの里出身だという事は本当に嬉しい限りでございます」
「本当にそう思うの?」
紫がそう長老に聞き返した。
「んなわけねぇだろこの妖怪が!あんな奴がこの里出身って言うだけで反吐が出るわ!・・・!!!」
突如罵詈雑言を並べ始める長老。
長老自身突然本音を言ってしまった自分に驚いているようだった。
「貴方の嘘と本音の境をいじらせて貰ったわ。今の貴方は本音しか言えないわ」
「さあ。霊夢に思っていることを全て話してもらおうか」
藍が鋭い爪を長老の首筋に当てた。
「あんな忌子を殺さずに育ててやっただけでも感謝してほしいもんだな!だからあいつは俺達を守る義務があるんだ!」
もはや自棄となって長老は言い続ける。
「貴様!それでも人間か!」
「はいは~い、そこまでにしときなさい」
「紫様!藍様!」
慧音が長老の胸倉を掴んだ時だった。
「霊夢!それに橙!」
入り口に霊夢と橙が立っていた。
「紫達が慧音つれてどっかに行ったって妹紅が神社に来たもんだから橙と一緒に追いかけてきたのよ。さて、紫達は兎も角貴方まで人間を襲うつもりとはどう言う事かしら慧音?」
「それは・・・」
慧音が言いよどんでいた時だった。
「さっさと助けろこの忌子が!育ててやった恩を忘れたのか!」
「・・・?助けに来たのにいきなり悪態をつかれるなんて初めてだわ」
「しまった!境をいじったままだったわ!」
流石に霊夢も助ける気が失せたのか困惑した表情をしている。
紫が己の失態に慌てた。
「早くしろこの殻潰し!また足の骨を折られたいのか!」
「あ・・・」
そして長老の言葉は霊夢の引いてはいけない引き金を引いてしまった。
『黙れ殻潰し!大人しくしろ!』
『嫌!止めて!酷い事しないでぇ!』
『五月蝿い!』
ボギィ!!!
『ぎゃぁぁぁぁ!!!』
霊夢の頭の中で封印されていた記憶が蘇る。
背中を焼けた鉄の棒で殴られた記憶・・・。
お腹が空いたと言っただけで殴られた記憶・・・。
犯されそうになり、それを拒んだら骨を折られた記憶・・・。
全てが蘇ってしまった。
「いや・・・いや・・・いや・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
霊夢の叫び声と共に当たりは光に飲み込まれた。

「・・・さま!・・りさま!紫様!しっかりして下さい!」
「う・・・!何が起こったの・・・?」
藍に揺り起こされた紫が辺りを見回した。
そこにはただ瓦礫の山と焦げた大地が広がっているだけだった。
「霊夢が暴走したんです!紫様が咄嗟に結界を張ってくれたので私達は無事でした!」
紫は本能で危険を察し結界を張ったのだがあまりの強力な衝撃に気を失ったのだ。
「霊夢は何処かへ飛んで行ってしまいました」
「・・・!まずいわ!今の霊夢は人間を怨んでいるわ!慧音!スキマを貴方の里につなぐから里の歴史を隠して!」
「分かった!近隣の里も隠しておこう!」
慧音がスキマに入ると紫は立ち上がった。
「藍!私は幻想郷中を回ってこの事を伝えてくるわ!貴方は橙と一緒にここに残って生きている人をマヨヒガに放り込んでおいて!」
「分かりました!お気をつけて!」
紫はスキマを開くとまずは紅魔館に急いだ。

「ふわ~・・・いい天気・・・く~・・・」
紅魔館の門の前で美鈴が立ったまま寝ている。
「レミリアに取り次いで!早く!」
「わ!咲夜さん私はサボってませ・・・って紫さん?どうしたんですか?」
スキマから飛び出してきた紫の叫び声に寝ぼけながら起きる美鈴。
「いいから早くレミリアに取り次いで!一刻を争う緊急事態なの!」
「わ、分かりました!事後承諾で構いませんからどうぞ通ってください!」
紫のあまりの剣幕に美鈴は驚きながらも門を開けた。
紫は美鈴に軽く頭を下げると紅魔館に駆け込んでいった。

「そう・・・事態は把握したわ。咲夜、紅魔館中に警戒態勢をとる様に指示しておいて」
「かしこまりました」
咲夜が一礼すると直ぐに部屋から消えた。
「私は他の場所にいる人達にここに避難するように言ってくるわ。ここが一番安全だもの」
「分かったわ。その様に手配しておくわね」
レミリアの言葉が終わらないうちに紫は飛び出していった。
この館は時空が操られているのでスキマを使えないのだ。

「ふぅ・・・門番も結構面倒ね~」
ウドンゲが溜息を着きながら永遠亭の門前に立っていた。
「ウドンゲ!永琳か輝夜に取り次いで!」
「わ!びっくりした・・・どうしたんですか?
突如スキマから現れた紫にウドンゲが驚きながら尋ねた。
「緊急事態よ!」
「わ、分かりました!師匠の部屋に案内します!」
「お願いね!」
ウドンゲに連れられて紫は永琳の部屋に案内された。

「事情は分かったわ。姫様は今妹紅と戯れてますから二人ともぶん殴って連れて行くわ」
「お願いね!」
紫は慌てて飛び出していった。
「てゐ!ウドンゲ!貴方達はイナバ達を連れて先に紅魔館に行きなさい!」
「了解です師匠!」
「分かったよ!」
ウドンゲとてゐが部屋を出て行った。
「さて・・・あの二人を連れてこなきゃ」
永琳は少し溜息を着くと山火事の原因である二人を捕まえに部屋を後にした。

「ほえ~・・・霊夢がね~」
「幽々子!貴方どういう状況か分かってるの!?」
あくまでのんびりした幽々子に紫の口調が荒くなる。
「紫様、これでも幽々子様は理解しています。準備が出来次第紅魔館に向かうのでほかの場所へお急ぎください」
「頼んだわよ妖夢!」
頼りなさそうな幽々子ではなく妖夢に念を押して紫はスキマに飛び込んでいった。
「あんまり信用されてないのね~私って~」
「いえ、紫様は幽々子様をとっても信用なさっていますよ。でも今はそんな余裕がないのです。それじゃあ急いで準備しますよ」
少し悲しそうな幽々子を妖夢は励ました。

「・・・紅魔館、永遠亭、白玉楼、全部回ったわね・・・後は魔理沙だけど・・・」
霧雨宅に来た紫だったが魔理沙は留守だった。
「あの子・・・どこにいったのかしら・・・」
紫は魔理沙を探す為に空へ飛び上がった。

「私に惚れると火傷するぜ~♪」
自作のテーマソングを歌いながら魔理沙は博麗神社を目指していた。
「何せ私は恋の魔砲使い~・・・ん?なんか寒気がするな」
そろそろ博麗神社が見える場所まで来た魔理沙は突如変化した雰囲気に歌を止めた。
「霊夢の奴一体何やってるんだ?」
そう言いながら博麗神社へと魔理沙は降り立った。
「お~い、霊夢や~い」
魔理沙が声をかけると霊夢が出てきた。
しかしいつもの紅白の巫女服ではなく黒く染まった巫女服だった。
良く見ればそれは血で赤黒くなっていたのだった。
「れ、霊夢!?一体どうしたんだ!」
「・・・夢想封印」
魔理沙の問い掛けに答えずにスペルカードを放つ霊夢。
普通は虹色に輝く夢想封印が今は黒く染まっていた。
「くっ!いきなり弾幕ごっことは少々無茶苦茶だぜ!」
「・・・封魔陣」
空中に飛び上がって避けた魔理沙を霊夢は新たなスペルカードで追いかける。
「ち!避けきれないか!行くぜ!マスタースパーク!!」
魔理沙は霊夢に向けてマスタースパークを放った。
幻想郷の中でも最高の威力を誇ると言われるマスタースパークは封魔陣を破壊して霊夢に迫った。
「・・・・」
しかしマスタースパークは霊夢が片手を突き出しただけであっさり二つに分かれた。
「な!」
「・・・夢想天生」
驚く魔理沙に次のスペルカードが放たれた。
「ぐぁぁぁぁ!」
魔理沙は叫び声と共に墜落した。
「・・・・」
「れ・・・いむ・・・」
墜落した魔理沙に霊夢は近寄っていった。
霊夢は魔理沙の首を掴むと締め上げた。
「かはっ・・・やめ・・・てくれ・・・れ・・・い・・・む・・・」
しかし霊夢の手は容赦なく魔理沙の首を締め上げていく。
徐々に魔理沙の意識が薄れていった時だった。
「やめなさい!」
霊夢の手に妖怪針が突き刺さった。
霊夢が手を押さえた際に魔理沙が解放された。
地面に落ちる前に魔理沙はスキマに飲み込まれた。
「霊夢!貴方親友の魔理沙を殺すつもりなの!」
妖怪針を投げた紫が立っていた。
「・・・邪魔をするな」
霊夢の手から霊力の波動が放たれる。
「くっ!」
紫は慌ててスキマに入り避けた。
「今のままじゃ説得も無理ね・・・」
スキマに救助した魔理沙を連れて紅魔館へと紫は逃げていった。
博麗神社には黒いオーラをあふれ出す霊夢が佇んでいた。

「状況は・・・?」
「現在霊夢は博麗神社で動きを止めています。歴史を隠した里は今の所被害無しです」
レミリアの問い掛けに咲夜が淡々と答える。
「魔理沙はパチュリー様と永琳様が手当てをなさっています。直ぐに回復するでしょう」
「そう・・・」
現在紅魔館は幻想郷中の実力者達が集まっている。
幻想郷の中で一番頑丈な為である。
「まさか霊夢が幻想郷最大の敵になるなんて・・・」
「信じがたいですが事実ですね・・・」
レミリアの言葉を咲夜が継いだ。
「どうするの~?ここだってずっと安全って訳じゃないのよ~」
「いざと成れば・・・私が霊夢を切る!」
幽々子が心配そうに、しかしあくまでのんびりと言う。
妖夢は普段の陽気な顔を完全に武人の顔に変えていた。
「正直に言って、それは無理よ・・・普段の霊夢ですら私達に手加減してそれでいて無傷なのよ?本気を通り越した今の霊夢なら私達全員で掛かっても勝てないわね・・・」
レミリアが否定した。
事実霊夢は今まで誰にも負けたことが無かった。
それはここにいる全ての者が実感している事だった。
「魔理沙が気がついたわ」
永琳が魔理沙の治療を終えてやってきた。
「でも心の傷までは直せないわ・・・」
永琳の報告によれば今の魔理沙は完全に無気力状態だった。
親友と信じていた霊夢に殺されかければ無理も無いだろう。
「私が話をしてくるわ」
紫はそう言って部屋を出て行った。

「魔理沙」
「・・・」
紫が声をかけるが魔理沙は虚ろな目をしたまま全く動かなかった。
魂の抜け殻、まさにその言葉どおりであろう。
「今の霊夢は普通じゃ無いのは気がついていると思うわ」
構わず紫は話を続けた。
微かに反応をする魔理沙。
「霊夢はね・・・昔忌子として様々な虐待を受けていたわ・・・そんな霊夢を哀れに思った先代博麗の巫女が霊夢を連れ出して記憶を封印したの」
「・・・!」
紫の言葉に今度は大きく反応する魔理沙。
徐々に目の色が戻ってきていた。
「でも・・・私の浅はかな行動で霊夢の記憶を戻してしまったの・・・どれだけ謝っても済む問題じゃないけど・・・ごめんなさい・・・」
「お前のせいじゃないぜ・・・」
「魔理沙・・・」
先ほどの魂の抜け殻は今は霧雨魔理沙に戻っていた。
「私を図書館に連れて行ってくれ。霊夢をどうにかする方法を探したい」
「分かったわ」
まだ傷でうまく動けない魔理沙を紫は背負って図書館へ連れて行った。

「これでもない・・・これでもない・・・リトル!次の本を持ってきて!」
「は、はい!ただ今お持ちします~!」
図書館ではパチュリーが様々な魔道書を捲っては目的の魔法が無いと次の魔道書を捲る。
使い魔のリトルが慌しく本を次々と運んでいる。
「パチュリー、私も手伝うぜ」
「今は猫の手でも借りたい気分よ」
「私の手を貸すぜ」
魔理沙は魔道書を手に取るとページを次々と捲っていった。
「猫じゃなくて狐の手を貸すわね」
紫は藍を呼ぶとリトルと一緒に本を運ばせ始めた。
図書館にページを捲る音が響いていた。

「私達が見つけた解決方法は4つよ」
暫くしてパチュリーと魔理沙は見つけた方法を皆に教えるべく広間へとやってきた。
「1、霊夢を封印する。一番成功率が高い方法だけど長い年月が経てば封印も解けてしまうしお勧めできないわね」
パチュリーがそう言って溜息をつく。
「2、霊夢の過去へ言って歴史を書き換える。だけどこれをやると今の霊夢は無い事になってしまうぜ・・・」
魔理沙がそう言って視線を落とす。
「3、霊夢にもう一度記憶の封印を施す。成功確率はあまり高くないしまたこんな事も起こり得るわ・・・」
パチュリーは厳しい表情をしている。
「4、霊夢の心に入って霊夢を説得する。成功確率は一番低いが完全に解決するにはこれしかないぜ」
魔理沙は真剣な表情をした。
広間にいる全員はただ沈黙していた。
「今から採決を取るわ。自分がこれで良いと思う解決方法に手を上げてくれるかしら」
そして満場一致で4番が決定した。

「心の中では自分の能力は全く使えないわ。だから能力無しで戦闘能力の高い人を選ぶ事になるわ。後私は一緒に行かなければならないわ」
そう言ってパチュリーは全員を見渡す。
「まず妖夢、それから美鈴。貴方達は決定よ。能力が使えなくても貴方達の戦闘能力は高いからよ」
「分かりました」
「はい!」
妖夢と美鈴が一歩前に出た。
「続いて咲夜、それからレミィもお願い」
「分かりましたわ」
「いいわよ」
咲夜とレミリアが一歩前に出る。
「これぐらいかしら?」
「私も参加させてもらうぜ」
魔理沙が一歩前に出た。
「いいわ。残りの人は外で霊夢の相手をしてもらうわ。勝つ必要は全く無いわ。ただ霊夢が外に出るのを止めるだけでいいわ。外も中もどちらも危険よ。がんばりましょう」
全員が力強く頷いた。

全員は博麗神社へとやってきた。
以前は澄み切った空気と美しい景観を持つ博麗神社だったが今は負の感情がもたらす暗い気配が包み込んでいた。
「いいわね。作戦通り妹紅と輝夜が突撃して時間を稼ぐ。その間に霊夢の心への突入部隊がパチュリーの呪文で入る。その後紫のスキマで突入部隊の体を仕舞った後は時間稼ぎをするのよ」
レミリアが仕切り、他の者たちは力強く頷いた。

「てるよと組むのは癪だがいくぜ!」
「もこたんてるよって言わないで!」
お互いに罵り合いながら妹紅と輝夜が霊夢に突撃する。
「・・・夢想天生」
「いきなりかよ!てるよシールド!」
「もこたん酷い~!」
黒い弾幕を妹紅が輝夜を盾にして避ける。
当然輝夜はボロボロになってリザレクションした。
「・・・夢想天生」
「ぬあー!てるよミサイル!」
「私ばっかりぃ~!」
妹紅は掴んでいた輝夜を弾幕に向かって放り投げた。
迫り来る弾幕に輝夜が激突した。
激しい閃光と共に爆発音が響き渡る。
輝夜は再びリザレクションした。
「・・・博麗弾幕結界」
「これでも喰らえ!ロケットてるよ!」
「いい加減にしてぇ~!」
再び弾幕に投げ飛ばされる輝夜だった。

「今よ・・・」
霊夢が妹紅と輝夜の挑発に引かれている内に突入部隊は近寄っていた。
「uoygninasiramiesetousira:nokirorahayukas:uokiasnuz:ooknetappusoyiisonat:onianaramotagidanahotuomoowamasuojoahayukas・・・」
人語として理解不能な呪文をパチュリーが唱える。
そして突入部隊の6人はその場でゆっくりと倒れるとスキマに飲み込まれていった。

「突入部隊の体を回収したわ。後は全力を持って彼女達が帰ってくるまで霊夢の相手をし続けるのよ」
紫が二人に叫んだ。
「分かってるよ!ドリルプレッシャーてるよ!」
「目が回るぅ~!」
完全に盾にされている輝夜が回転しながら弾幕に突っ込んでいった。

「・・・ここが霊夢の心の中ね」
パチュリーが辺りを見回しながら言う。
「博麗神社・・・」
美鈴がそう呟いた。
事実今6人が立っているのは博麗神社の境内である。
「やはり霊夢さんにとってここは思い入れの深い場所なんですね」
妖夢が関心したように言う。
「それより、これから何をすればいいのかしら?」
咲夜がパチュリーを見る。
「まずは霊夢の心の一番奥に行く必要があるぜ」
魔理沙がその問い掛けに答えた。
「なら早く探しましょう。外もあまり長持ちしないでしょうしね」
レミリアが行動を促した。
6人は博麗神社の中へと足を踏み入れた。
「長い廊下・・・ですね。永遠亭の無限廊下みたいです」
妖夢の言うとおり中は長い廊下になっており等間隔に障子がある。
「この廊下の一番突き当たりに心の奥があるはずよ。最もそう簡単には行かせてもらえないでしょうけどね」
パチュリーの言葉が終わるより早く障子をあけて黒い影が飛び出してきた。
「あれは一体!?」
「心の防衛本能だ!霊夢の形をしているが霊夢じゃないから安心してくれ!あいつにやられると永遠に霊夢の心に取り込まれてしまうぜ!」
魔理沙がそう言って箒を構える。
「魔理沙!貴方箒なんてどこから取り出したの!?」
「ここは心の世界だから少しくらいなら空想の力を具現化できるんだぜ!流石に弾幕は無理だけどな」
「なるほど!ならば私は白桜剣を!」
妖夢がそう言うと白桜剣が妖夢の手に握られていた。
「じゃあナイフ投げ放題ね」
咲夜の手にも何本ものナイフが握られていた。
「行きますよ!」
美鈴が拳を構えた。
「私は悪いけど見学ね」
「その分私が働くわよ」
後ろに下がるパチュリーにレミリアがそう声をかけた。
影の霊夢達と6人-1人の戦いが始まった。

「くそ!てるよの使い回しも限界があるぜ!アイアンてるよ!」
「はれぇ~!」
外では妹紅が輝夜を投げて霊夢の気を引きつけていた。
「そろそろ選手交代かしらね・・・」
紫が取り出した時計を見ながら厳しい表情をする。
妹紅と輝夜のペアは不死身な為に長く時間を稼げるがそれでも限界はある。
6人が霊夢の心に入ってから既に30分が経過していた。
「早くしてくれないと私達が持たないわよ・・・」
「くそ~!ターボスマッシャーてるよ!」
「わひぃ~!」
輝夜はもう何十回と繰り返したリザレクションをまたしたのだった。

「・・・数が・・・多い!」
妖夢が影の霊夢2人を纏めて切り裂きながら叫んだ。
「このままじゃジリ貧ね・・・」
美鈴も影の霊夢を纏めて吹き飛ばしながら言う。
「せめて時を止める事さえできれば・・・」
咲夜がナイフを投げながら悔しがる。
「マスタースパークさえ撃てれば・・・」
魔理沙も箒で影の霊夢を殴りつけながら言う。
「いい加減に・・・どきなさいよ!」
レミリアが爪を使って影の霊夢を切り裂く。
「もう少しのはずだから・・・皆がんばって」
パチュリーは後ろで応援していた。

「もう限界だ!これでラスト!てるよブースター!」
「あへぇ~!」
もうヘロヘロでボロボロの輝夜を投げつけた妹紅が後ろに下がる。
「次は私達だ!橙!行くぞ!」
「分かったよ藍様!」
藍と橙の式コンビが霊夢との戦闘を開始した。

「ここね・・・ここが霊夢の心の一番奥・・・」
廊下の突き当たりに厳重に封印された障子が現れた。
「行くわよ・・・」
パチュリーが障子を開け放った。
そして6人は光に包まれた。

「きゃあ!」
「橙!大丈夫か!?」
弾幕に当たってしまった橙が気絶してしまった。
「永琳!頼む!」
「分かっているわ!」
ボロボロになった輝夜を治療していた永琳が橙を素早く回収すると治療を始めた。
「くっ!人前ではやりたくなかったが!脱げば脱ぐほど強くなる!スッパ神拳を見せてやる!テンコォォォォォォ!!!!!」
藍は奇声と共にスッパになった。
そして確かに服を着ているときより強かった。

「お母さ~ん!」
小さな霊夢が美しい女性に駆け寄る。
「あらあら、霊夢ったら甘えん坊ね」
女性は微笑みながら霊夢を抱きしめる。
「うふふ、お母さんのいい匂い~」
「あらあら・・・」
女性と小さな霊夢は楽しそうに笑う。
そしてそこで光景は止まる。
その光景を小さな霊夢が見つめている。
「お母さ~ん!」
小さな霊夢が美しい女性に駆け寄る。
「あらあら、霊夢ったら甘えん坊ね」
女性は微笑みながら霊夢を抱きしめる。
「うふふ、お母さんのいい匂い~」
「あらあら・・・」
女性と小さな霊夢は楽しそうに笑う。
そしてそこで光景は止まる。
その光景を小さな霊夢が見つめている。
「お母さ~ん!」
小さな霊夢が美しい女性に駆け寄る。
「あらあら、霊夢ったら甘えん坊ね」
女性は微笑みながら霊夢を抱きしめる。
「うふふ、お母さんのいい匂い~」
「あらあら・・・」
女性と小さな霊夢は楽しそうに笑う。
そしてそこで光景は止まる。
その光景を小さな霊夢が見つめている。

「なんなの・・・これ・・・」
咲夜が戸惑いの声をだす。
「臆病者の部屋よ」
「誰だ!」
魔理沙が声のした方を向くとそこには黒い服の霊夢が居た。
「そいつは第一の霊夢、とでも言えばいいのかしらね?私達の大元よ。そしてあの映像の女性が私達の本当の母親よ。忌子と言われた私達を庇って育てたのよ。この後直ぐに死んだけどね」
黒霊夢は別になんの感情も込めずに言う。
「それが母親に対する言葉なの!」
黒霊夢の言葉に思わず妖夢が叫んだ。
妖夢自身母を知らないがそれでも罵った事は一度も無い。
「私としては育てずに殺して欲しかったわよ。そうすれば私が生まれる事も私が苦しむ事も無かったのだから」
寧ろ憎しみすら感じ取れる言葉を放つ黒霊夢。
「痛みを和らげる為にもう一つの人格を作り出し防衛したわけね・・・」
「違うわ。そいつは私に全てを押し付けて逃げ込んだのよ。楽しかった日々だけを繰り返して、苦痛には目も向けすらしない。私はそいつが作り出した生贄よ」
黒霊夢は憎そうに小さな霊夢を睨み付ける。
「その後博麗の巫女が私達を封印して第三の霊夢を作り出した。それがあんた達の言う霊夢よ」
「その霊夢はどこかしら?」
レミリアが黒霊夢に聞いた。
「とっくに消滅したんじゃない?元々そいつの複製なんだし、力関係的に言えば私のが上だもの」
「そんな・・・」
美鈴が悲痛な声を出す。
「兎に角。今のあんた達は私にとって邪魔者でしかないわ。私はこれから幻想郷を滅ぼすの。全ての人間に復讐するの。分かったら邪魔しないで」
「残念だけどそうはいかないわ・・・」
パチュリーがそう言った。
「どこまでも平行線ね。言っておくけど私に勝つ事は不可能だし、万が一勝てたとしても私を消滅させれば霊夢は廃人になるだけよ?」
「八方塞とはまさにこの事ね・・・」
咲夜が悔しそうに言う。
「でも変じゃないかしら。いくら封印が施されていたとしても力関係の上な貴方が今まで一度も出てこないなんて」
「・・・・」
パチュリーの言葉に黒霊夢が沈黙した。
「つまりお前は何処かで第一の霊夢と第三の霊夢を恐れていたって訳だぜ」
「残念だけど魔理沙。それは少し違うわね。正確には第二の霊夢は第一と第三より前に出たくなかったのよ」
魔理沙の考えをレミリアが訂正した。
その答えが正解なのか黒霊夢は驚愕の表情を浮かべている。
「つまり、霊夢さんはどこまでも霊夢さんって事なんですね。当然第二の霊夢さんも心の底から全てを憎んでいるわけじゃない。ただ怒りの捌け口が分からないから手当たり次第に攻撃しているだけ。博麗神社に留まっているのも必要以上に破壊を広げないため・・・」
「でたらめ言わないで!」
美鈴の言葉に黒霊夢が叫ぶ。
「ではなぜそんなに慌てているんですか?本当は貴方だってこんな事はしたくない。でも第一の霊夢に苦しみを与えたくない。第三の霊夢は行方知れず。だから自分が悪者になって全てを背負う。違いますか?」
「違う!違う!私は優しくなんか無い!私の全ては憎悪で出来ている!優しさなんてあるものか!」
妖夢の言葉に耳を塞いで黒霊夢は叫ぶ。
「はいはい、それ以上虐めないの」
全員が振り向いた先には普通の霊夢が立っていた。
「霊夢!って全員霊夢だったぜ・・・とりあえず第三の霊夢!今までどこに居たんだ!」
魔理沙が一瞬考えた後普通の霊夢を呼んだ。
「残念だけど私は第三の霊夢じゃないわ。第一の霊夢が生み出した第四の霊夢ね」
第四の霊夢はゆっくりと黒霊夢に近寄っていく。
「全く、第三の霊夢が危険な状態だからっていきなり取り込む事ないでしょ。あの子だって決して弱くないのよ」
「それは・・・」
黒霊夢が第四の霊夢に困惑した表情を向ける。
「第一の私もいい加減無関心のふりを止めなさい!私を作っておきながら無視しとおすつもり!?」
「う・・・」
第一の霊夢がバツの悪そうな顔をしながら振り向いた。
「なんか・・・心配して損した気分ね・・・」
レミリアが肩をすくめながら言った。
「何言ってんの、あんた達が来てくれなきゃ私は生まれなかったし永遠に第二の霊夢が暴れ続けるところだったわよ」
第四の霊夢が笑いながら言う。
「さて、そろそろ一人になるわよ。あんまり霊夢が沢山いると問題も起きるしね」
「分かってるわよ。でも全部をあわせた性格になるから以前の霊夢とは変わっちゃうわね」
「それは仕方が無いんじゃないかしら。とりあえず第二の霊夢が占める割合が少ない事を祈るだけね」
三人の霊夢が一つに重なっていった。
眩い光が6人を包み込んだ。
「いつまで人の心に入り込んでいるつもりなの。さっさと帰りなさい」
霊夢の言葉と共に全員気を失った。

「結局私達しか防げないじゃないの!」
妹紅が二順目を迎えていた。
あの後スッパした藍は直ぐにリタイア、他の面々もあまり持たないうちにリタイアしてしまったのだった。
最も永琳とウドンゲは救護班として活動していたので戦闘には参加していないが・・・。
ちなみに輝夜はというと・・・。
「もこたん放してぇ~!」
「五月蝿い!てるよホームラン!」
「ひぎぃ~!」
いまや完全に妹紅にバット扱いされていた。
霊夢が放った霊気弾を霊夢に向かって打ち返した。
「ストップストップ!もう普通の霊夢に戻ったぞ~!!!!!!」
心の戻ってきた魔理沙が慌てて妹紅を止めたが遅かった。
「皆迷惑かけてごめへぶわ!」
正気に戻った霊夢が謝ろうとしたところに妹紅が打ち返した霊気弾が顔面に直撃した。
そのまま凄い勢いで吹き飛んだ霊夢は障子を突き破って室内に入ってしまった。
「「「「あ・・・」」」」
その場にいた全員が息をのんだ。
ゆっくりと障子を開けて霊夢が出てきた。
その顔は満面の笑みが浮かんでいた。
その場にいた殆どの者が胸を撫で下ろした。
よかった、元の霊夢だ・・・と。
しかし撫で下ろさなかったのが6人。
「いきなりの熱烈歓迎ありがとう!とりあえず全員死ね!!」
再び恐ろしい勢いで黒い弾幕を霊夢が放つ。
「魔理沙ぁ~!!!ぜんっぜん戻ってないじゃないか~!!!!」
「いやあれはあれで本来の霊夢であって今までの霊夢とは少し違うんだぜ!とりあえず逃げろ~!!!」
黒い弾幕を避けながら魔理沙は高速で飛び立った。
それを追う様に次々と逃げ出す面々。
「まてぇ~!!!!」
それを追って霊夢が弾幕を作り出す。
だが良く見ればその弾幕は普段の通り様々な色に輝く弾幕になっていた。
その事に気がついたのは心に入った6人だけだったがどの道弾幕自体は本気な物な為に結局逃げるしかなかった。

その後霊夢を迫害していた里の人々は英姫によって長い長い説教の後に裁かれたのであった。
こうして幻想郷を巻き込んだ大騒動はたいした被害もなく無事に終わりを告げたのであった。
ちなみにこの事件を新聞に掲載しようとした文が暫く家に引き篭もり結局掲載しなかったと言う珍しい事があったが結局理由は分からずじまいだった。
ただ文は頻りに「黒い弾幕が・・・黒い弾幕が・・・」と言っていたと烏天狗達が言っていたが真偽の程は定かでない。

終わり
ちょっと長いのを作ってみました。感想お待ちしております。

おまけ 分かっちゃってるかもしれませんが夢に入る為の呪文を逆さまに読んでみてください。読みにくければ普通に日本語入力で逆に打てばわかります。ちょっとした小ネタです^^
儚夢龍也
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コメント



0.370簡易評価
5.70アティラリ削除
んーとね、なんつったらいいんだろう。
あくまで自分の主観だけど、せっかくのシリアスっぽい展開だったのに申し訳無さげに組み込まれたギャグのせいで何だかとてもしょっぱい出来上がりに見えたの。
でも話の内容とか中々面白く感じたし。
何よりてるよシールドで吹いてしまった自分の負けってことで。
7.10名前が無い程度の能力削除
自分が書きたいから書いたって感じですね。
他人に読ませるために書いたのではない。そんな印象。

ここに投稿したということは、SSを人に読ませたいのだと自分は受け取ります。
オナニーなら今のままでもいいんですけど、人に読ませたいならもっと昇華して欲しいのです。

と、思うがままに言ってみる。
8.30名前が無い程度の能力削除
話としては一通り筋が通っていると思いますが、てるよ系とスッパでシリアスとしてのSSにギャグSSが滲みがでてしまっていると思います。これではせっかくのシリアスとして完成度を下げてしまうと思いました。また、話の展開に少々急ぎすぎていると感じます。勝手ながら、氏の次の作品と改善に期待します。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
というか何唐突に人の暗い過去べらべら喋ってやがるんだオイ。
そこで思い切りつまづきましたぜ。
11.無評価名前が無い程度の能力削除
おっと、00:30:15の名前が無い程度の能力は00:17:41の名前が無い程度の能力と同一人物です
13.30名前が無い程度の能力削除
シリアスな箇所はいい感じですが、てるよとスッパの所為で台無しです。次に期待
14.無評価名前がない程度の能力削除
あー、なんかいろいろ書かれてるけど…
俺が言いたいのは唯一つ
「ゼノギアスでもクリアした???」
なんか、心の中の霊夢とかめっさ似ているんだけど…気のせい?
17.無評価むみょー削除
「死」や「迫害」などのテーマで物語を構築する場合、
書き手にはそれなりの覚悟が必要だと思うのです。
テーマに対する誠実さの問題とも言い換えられますが、
軽々しく取り扱って良いものではないのでは、と。

正直、何の脈絡もなくシリアスとギャグを混ぜたようにしか見えない
この作品は、テーマに対する誠実性のない物にしか思えませんでした。
それは取り上げたテーマに対しても失礼だし、
そのテーマによって犠牲になった「霊夢」というキャラクターに対しても
失礼ではないかなと。

今までの作品も拝見していますが、取り上げるテーマは
いつも中々良いと感じます。
それを十分検討し、練り込んで作品として昇華していただけると、
読む側としてはとてもとても嬉しいです。
19.30対馬 光龍削除
なかなか面白かったです。
ですが、他の方がおっしゃってるように、シリアスの途中に変なギャグが組み込まれているため、何だか半端な感じがしました。
スッパテンコーはともかくとして、てるよシリーズは正直しつこいとも思いました。
名前的にはスパ○ボですし…

他に、紫は何故霊夢の過去を知ろうとしたのでしょうか?
興味本位だと言えばそれでも通りますが、いまいち理由が見えません。
そこら辺ももうちょっとはっきりすると良いかもしれません。
それと、ツッコまれることを望んでいるのかもしれませんが、アリスはいずこに…?
20.-10幻想と空想の混ぜ人削除
最後、思いっきり映姫の名前が・・・
あと、シリアスとギャグの境目が酷いです、曖昧すぎます
某マッチョ漫画の人の作品でも読んで上手な差込方を勉強しましょう
28.-30名前が無い程度の能力削除
次に期待しています
30.無評価削除
なんつーか、藍様がなんでか知らんけど人間(霊夢)の肩とか持っててすごく違和感があって。一旦読むの止めて。
ちょっと気になることがあってもう一回読み始めて。どシリアスなシーンなのにドリルプレッシャーてるよで。

突っ込みどころ
魔理沙が心の世界について詳しすぎね? 理由の説明とかは要らないけど。
しろさくらけんってなんですか?
小ネタ入れる暇があったら校正しましょうよ。
なにこのグダグダな解決。全体的にグダグダグダだけど。グダグダグダグダ。

あのね。ギャグとシリアスはきちんの分けるから面白いんであってね。
ギャグとネチョしか書いてない私が言うのもなんだけどね。
例えば賽銭箱が壊されたとかお茶っ葉が切れたとかってアホくさい理由で暴走した霊夢だったら無能門番バリアーMk.Ⅱでもいいと思うんだよね。
シリアスなら一度絶望的なダメージを食らってリアイアした妹紅と輝夜が味方がピンチのときにボロボロになって帰ってきて「蓬莱人を舐めるんじゃないわよッ」とかってそんな感じ。ごめん、シリアス書けないから適当なこと言った。
38.無評価名前を喰われた人削除
何て言ったら良いのやら…
うん、まぁ、とりあえず………、オナるんだったら自分のサイトですれば?
あと、
読み物、読ませる物を気取るんだったらもうチョイ校正とか投稿前にしろよ。

あと最後に言いたい事は、

小ネタとか微妙なギャグ入れる余裕あんだったら、全編シリアス路線で貫き通せや!
読んでて ダ レ て く る わ!

以 上 ! です。もう言いたい事は有りません。
(ある意味)良い物読ませて頂きました。本当に有り難う御座いました。
42.10名前が無い程度の名前削除
「それが母親に対する言葉なの!」って何かマズい事言ったかな?
罵った訳ではないと思うが……。
書きたい要素・単語を詰め込んだだけで後は丸投げしたように見えます。
せっかくのシリアス素材なのだから、ちゃんとカッコ良く貫いて欲しかったです。

……でも、アリスの出番がないのが一番切なかった。
51.無評価名前が無い程度の能力削除
今も昔もオリジナル設定やキャラが出てくると低くなるねぇ