※注意!このSSにはぶっ壊れ輝夜やネトゲ厨的表現が含まれています。
「永琳、クレジットカードよこしなさい」
「はぁ……またインターネットでお買い物ですか」
「ネトゲよネトゲ。毎回プリペイドカード買って料金支払うのも面倒だから。
そろそろクレカ課金に切り替えようと思うの」
「いくらなんですか?あまりに高いようだとちょっと……」
「後で明細見れば分かるでしょ。貰っていくわよ」
姫様は私の財布からクレジットカードを勝手に抜き取り、悠々と去っていった。
……強く言ってでも止めるべきだったのだろうか。
「でも、姫様が喜んでくれるのならこれぐらいは……」
「なぁ~~~~~にが『これぐらいは』ですか。師匠。甘すぎやしませんかぁ?」
扉を開けて入ってきたのはウドンゲ。先ほどの姫様との会話も聞かれていたのだろう。
「師匠、ウチの家計がどうなってるのか一番ご存知なのはあなたでしょぉ?
ちぃと危機感なさすぎじゃないですか?」
ウドンゲの視線が、痛い。何も言い返せず俯く私を、嘲るような眼で見下ろしている。
こんな冷たい眼をするような子じゃなかったのに。
だけど、ウドンゲがこうなってしまったのも私の責任。私の金銭管理が甘かったばかりに……。
「まぁいいですよ。そろそろ仕事に行かなきゃなんないし。
八件も指名が入ってるんですよね。人気者はつらいなぁ。あの人たちそんなに私の事が好きなんでしょうかぁ?
抜くのって結構大変なんですよねぇ。ああ忙しい忙しい」
ウドンゲは卑屈な笑みを浮かべて出て行った。
「本当に……ごめんね」
◆
半年ほど前の事。永遠亭は未曾有の経済危機に襲われた。
原因は、姫様の浪費。
ゲーム内のアイテムを、現実の金で買うというシステムがあるネットゲームに、ハマってしまわれたのだ。
「うはwwwこの剣強ええwww買い!!wwwこのポーションもすっげwww買うしかないわwwwww」
プライドの高い姫様は、仮想世界の中ででも一番で居たかったのだろう。
姫様はそれこそ湯水のようにお金を注ぎ込んだ。
山のようにプリペイドカードを買い込み、ありったけのアイテムを購入した。
一個百万円という狂いに狂った価格設定のアイテムも躊躇無く買った。それも大量に。
「もう最高!私最強!BANZAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAI!」
姫様は大いに喜んで楽しんだ。だけど、その代償はあまりにも大きかった。
永遠亭の貯金は底を尽き、多額の借金を返済するために、姫様以外の皆が大きな犠牲を払った。
ウドンゲに至っては、彼女の人格まで変わってしまう事となった。
「だ、大丈夫ですよ師匠。私、頑張ります。こ、これくらい怖くなんてないです!」
初仕事の時、無理して笑って見せたウドンゲの表情が思い出されて、胸が痛くなる。
薬の販売程度では到底返すことの出来ない莫大な借金を返すために、彼女は売ってはいけないものを売ってしまったのだ。
不幸なことに、その仕事でのウドンゲの人気はナンバーワンとなってしまった。
結果として借金返済に大きく貢献したが……だからこそ、辛い。
◆
突然鳴り響いた電話の音が私を回想から引き戻した。
慌てて受話器を取り、耳に当てる。
「もしもし!?てゐなの!?」
「――琳様?私は大丈夫で――すいませ―ノイズが――」
耳障りな電子音がてゐの声を遮る。
てゐからの電話はいつもこうだ。傍受されるのを避けるための機械を使っているかららしい。
しばらくして、雑音が少し落ち着いた。
「――これで、よしと。ごめんなさい、ちょっと調整に手間取っちゃって」
「ううん。それより、あなた無事なのね?そこは安全なの?今どこにいるの?」
「心配してくれてありがとうございます。こっちは無事ですよ。ただ、あまり長くはお話できませんけど……。
詳しい場所は言えませんが、今は南米に居ます。やっぱこの辺は暑いですねー」
「南米!?」
「ブツの受け渡しとか、まあ色々ありまして。
これで上手くいけば結構な額のお金を持って帰れると思いますので、楽しみに待っててくださいね」
「てゐ……。お願い、もう帰ってきて。やっぱりそんな危険なことは駄目よ。
あなたの身になにかあったらどうするの……」
「大丈夫大丈夫。そんなヘマはしませんから~。
私の能力って、結構交渉にも使えるんですよ。だから取引相手とも上手くやっていけてますし。
……っと、すいませんそろそろ切ります。また落ち着いたら連絡しますね」
「ま、待って!」
……電話は切れていた。
相当危ない橋を渡っているだろうに、てゐはいつも明るく語る。
なるべく私に心配をかけないようにと……。
◆
てゐとの電話から一週間。私はこの状況を打破するための策を考え続けていた。
ウドンゲ、てゐ、そして永遠亭に住む全ての兔達、みんなが身を削って働き続けている。
笑顔の無くなった永遠亭。
もう、こんな悪夢は終わらせよう。
◆
「姫様、失礼します」
「何よ今忙しいのよ。攻城戦の最中なのよ。見て分かるでしょう?」
私は無視して姫様の部屋に上がりこみ、姫様の目の前に立ち強い口調で言う。
「蓬莱の玉の枝ですが、あれ売りました」
「 え?( ゚Д゚) 」
「その他の難題も、全部売りました。まああれらは玉の枝と違ってレプリカですから、多少値は落ちましたけど」
「 えっ?( ゚Д゚) 」
「姫様が以前開催した月都万象展、あれに展示していた宝も、綺麗さっぱり全部売りました」
「 ( ゚д゚ ) 」
「こっち見んな」
「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待ってよえーりん!え、何?まさかマジ話?ギャグ?ドッキリ?」
「姫様が使ってた私のクレジットカードですが、あれも停止しておきました」
「は?え、ちょ、課金停止?本気?私のネトゲライフはどうなるの?私のレベル99魔法剣士は?!」
「今月末までは遊べますよ。まああと三日しかありませんが」
「三日!?あと三日!?ね、ねえ、永遠の寿命を持つ私はこれからどうすればいいの!?
何を楽しみにして生きていけばいいの!?ねえ!?」
「妹紅と仲良く弾幕ごっこすればいいじゃないですか。
我が家にパソコン来る前でも、姫様は普通に楽しそうに過ごせてましたし」
「弾幕ごっこ!?い、今更そんな野蛮なこと出来ないわよ!
ね、ねえ、えーりん、考え直してよ。そうだ!私がゲーム脳になっちゃんだと思っているんでしょう!?
わ、私は大丈夫よ。どこぞのお偉い教授が言うゲーム脳なんて嘘っぱちなんだから!
だって私一日二十二時間しかゲームしてないし、お肌もつやつやでしょ?ね?見てみて?このほっぺのとことか。
ちゃんと健康のためにウォーキングもしてるのよ?トイレに行くまでの廊下しっかり歩いてるんだから!ね?
えーりんだって、何よその巨乳?え、エロすぎでしょ?あ、ごめん、そんな顔しないで、お願い。
ネトゲだって一日十時間にするから、ね?お金も少しだけ無駄遣い控えるし。うん、本当よ?
だから、だから、ね、あなたの可愛いお姫様をあまりいじめないでよ、ね?お願いだから!」
「あぁ、ごめんなさい。ネトゲ出来るのはあと三日じゃなくて今日まででした。
プロバイダーとの契約も切りましたし、そのパソコンも売ります。そろそろ業者が引き取りにきますから」
「……」
「もちろんその他姫様の娯楽用品は全て売りさばきますので、そのつもりで」
「……」
「あとこれからは、毎朝六時に起きて家事の手伝いをして頂きます。厳しいようですが、全て姫様のためです」
「……」
「姫様、聞いてますか?」
「人生\(^o^)/オワタ」
脳がショートしてしまったのか、はちきれんばかりの笑顔を浮かべ奇妙な踊りを始めた姫様。
流石に厳しすぎたかもしれないけど、これが永遠亭を救い、何より姫様自身を救うことになるのだから。
「師匠、私、もうあんな仕事しなくていいんですか!?」
またもや盗み聞きしてたらしいウドンゲが、障子をバーンと開ける。
「ええ、借金は綺麗に無くなったわ。
もうあなたの耳を引っこ抜いて売るなんて仕事しなくていいのよ」
「や、やったー!あれ本当に辛かったんですよー。すぐ生えてくるんですけどね、
やっぱり抜くときちょっと痛くて……。買った人は一体何に使うんでしょうね?」
花が咲くように、ウドンゲの顔に笑顔が戻った。……本当に、随分と久しぶりに見る笑顔だ。
この決断を下して、本当に良かったと思う。
「そうだ!てゐにも教えてあげなきゃ!って、連絡つかないんだった。困ったなぁ……」
「てゐなら、さっき補導したって現地の警察から電話があったわ。
マラカナン球場前でダフ屋やってる所を見つかっちゃったみたい。
(見た目の)年齢が年齢だし、大目に見てくれたみたいね。逮捕じゃなくて本当に良かったわ」
「……よ、良かったぁ~~。もう!帰ってきたらきっちりお説教しましょうね!」
「ふふっ。あの子も永遠亭のために頑張ってたんだし、ほどほどにしてあげてね」
「駄目ですよ、こういう時こそしっかり言い聞かせないと」
「あはは」
「もぅ、何がおかしいんですか師匠~」
◆
あれから数ヶ月。
よほどショックを受けたのか、姫様は物凄い勢いで笑い声を上げながら何日もの間踊り続けていた。
やって来た妹紅に五、六回焼き殺されてようやく正気に戻り、今度は何日もの間弾幕ごっこし続けた。
ウドンゲはいつものように私の助手として頑張っている。
てゐは少しも反省した様子がなく、相変わらず嘘を付いてはウドンゲを困らせている。
やっぱり、永遠亭はこうでなくては。
◆
「姫様」
「何よ永琳」
「いえ……その、私も少しだけやってみたんですが」
「だから、何よ」
「ネトゲって面白いですね」
「ちょwwwおまっwwwwww」
~オワタ~
えーりん容赦なさすぎでワロス
笑いがこみ上げましたwナイス
それはともかく
イイネ
いやいや別にいかがわしい想像をしていた訳ではry
まぁ、知り合いにもネットゲームに10000円とかつぎ込むヴァカがいたりなんかするので、輝夜に親近感が…;;;
ちなみに私は無料ネットゲーム以外やらないんですけどね(リネ2以外皆無料ゲームと大差ないし
GJ! ∑d(゜∀゜ )
輝夜が何もしないとしても、主君が働く理由はありませんし、
月々の利用料も3000円以下、プロバイダを入れてもなあ……
とは言えどんなネトゲやっとるのやら、マクロゲーかな
でもSSとしては高得点をつけられるものだと思えないので。
とネトゲ知らない人が言ってみる。
あと、うどんげの耳下さい。頭に刺して何か受信します。
指名って事は、他の兎もやってるのか。
いや、あの頃は魔が差したというか取り憑かれてたと言うか。ごにょごにょ。
もうフリーゲームしかしないよ。
私のやっているUOはあんな金ゲーみたいじゃなくって良かった。
PKに無料で武器や剣配ってPKKに狙われるけどorz
ぶっ飛んだ発想に笑ってしまいましたw
つか生えるのかよw