射命丸 文はCHOCOBO HOUND隊員 リボルバー・アリスから
リグル・ナイトバグ社長を救出する。
だが彼女は既に起爆コードを漏らしていた。
今や生ゴミ発射を阻止できるのはチルノに託した起爆コード緊急解除用の鍵か、
スカーレット・ギア開発者ルーミア博士しかいない。
そう文に語った後リグルもまた突然の心臓発作で息絶えてしまった。
文はチルノに渡された鍵は無視して
地下104Fのルーミアへの連絡を試みる事に決定した。
文:「下書きは終わりました。地上に戻ったら史上最高の新聞が完成しますね。」
チルノ:「待て、でたらめ書きすぎだ!鍵とか貰ってないから!」
文:「リグル社長がチルノさんに渡したとおっしゃってたじゃ無いですか。」
チルノ:「リグルはあんたの考えた台本をそのまま棒読みしてただけで ―っうぶごわっ!」
文:「あ!大丈夫ですか!つい手が滑って…」
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「気を付けるんだチルノ、その付近には禁止ワードに反応する地雷が設置されてある。」
パチェ:「チルノ!応答してくれ!チルノ!チルノーーー!!」
チルノ:「生きてます!とても痛いけど生きてます!」
不思議な地下迷宮101F 「拷問部屋」
サイコ・咲夜はリボルバー・アリスに頼まれた品を持ってきた。
「アリス様、殺虫スプレーを持って参りました。」
ドアをノックするも、返事は無い。
「入りますよ?」
その部屋はおぞましい光景だった。
部屋の中央には一匹の虫の死骸。
そして虫一匹ごときに無数のゴキブリホイホイがくっついている。
その奥にアリスは居た。
大量の鴉と共に横たわっていた。
「大丈夫ですか?」
指でつついても反応は無い。
精神に進入を試みても、進入先の精神が存在しない。
まさか、と思った。
妖怪はこれ程単純で弱い生命体だと思った事は今までに無かった。
ただ、肉体にちょっと傷がついただけで体は正常に機能しなくなる。
大きく損傷した時は脳が停止して動作すらしない。
脳が活動を終了したその時は精神は縮み、やがて消えてしまう。
これは理解していた。
だが、これはあまりに突然過ぎた。
わずか十五分程度の間、部屋から離れただけで、
つい先程まで笑顔で居たアリスの顔から表情が抜けている。
―いつだったろうか、アリスが笑顔を見せるようになった日
アリスがCHOCOBO HOUNDの新たな隊員となった最初の頃、
無表情で仕事を的確にこなしていた。
毎夜、紅魔館に忍び込みヴワル図書館の入り口から見て一番右側の776番目の本棚、
その下にスプーン一つで地下100Fにも渡る大迷宮を作り上げた。
物音一つ立てずにスプーンでカリカリと削り、小石を集めては固めて階段や壁を完成させた。
私は仕事熱心なアリスに菓子や紅茶を届けて行く事も多かった。
アリスは誰にも誉められる事は無かった。
恐らくCHOCOBO HOUND隊員でも迷宮を作った人の名前すら知らないだろう。
それほど隠密な作業であったのだ。
それでも作り続けていた。
ちなみに101F以降の追加工事は私や上のお方が担当している。
だから100Fと101Fは少し雰囲気が変わっている。
地下迷宮と地下施設の差といった感じだ。
恐らく50Fまで作った頃だろうか、アリスは地下迷宮の上にある本棚に興味を持った。
右手にスプーンを持ち、左手で本を読むという行為は普通の人間には出来ないだろう。
50Fから59Fにかけては通路だけの完全大迷路となっている。
迷宮に相応しい場所だ。
やがて、80Fの作業に入る頃にはアリスの顔に僅かながらにも表情と思われる物が見えた。
あの本の影響だろうか?
次第に私とも話す様になった。
結界を破く事が出来たり、人形を用いた呪術を
使い慣れている事を私に教えてくれたのもその頃だった。
教えてくれたのであって自慢では無い口調であった。
90Fからは私も暇な時に手伝って居た。
少し前とは驚く程変わり、まるで別人だった。
笑顔で呪術や拷問について語ってくれる事も多かった。
「上位クラスの虫はそう簡単に死なないから長時間拷問が出来るんですよ」
この言葉は今でも覚えている。
アリスは私の知らない事もたくさん教えてくれた。
昔の私はただ他人の精神に進入して情報収集したり、サイコキネシスを使用する位しか出来なかった。
アリスが数多くの知識を私に教えてくれる事によって私の生き方は変わった。
全てはアリスのおかげだろう。
そして今、そのアリスは糸の切れた操り人形の様に動かない。
血液循環を目的とした臓器の動きも全く感じ取れない。
一部例外を除いて、多くの妖怪は人間同様に、
体内に血液が流れなければ正常に体が動かせない。
正直、アリスがやられるなんて事は有り得なかった。
常に余裕を残して全てを完全にこなすアリスが何故やられたのかとても不思議だった。
しかし、アリスがやられた以上、もう過去を振り返っても意味は無い。
これからどうするのかが重要なのである。
アリスから教わった知識によれば一度この状態に陥れば治療方法は無い。
予防しか無いのである。
私は侵入者に復讐する事を誓った。
侵入者の肉体に大きな損傷を負わせて活動を停止させれば、今は亡きアリスも喜ぶだろう。
昔の私は一対五でも戦闘で勝利を収めた。
そこにアリスから教わった完全な知識があればどんな強敵でも勝てる自信がある。
相手はたったの二人だ。
負ける気はしない。
アリス、貴方の仇は私が取る!
不思議な地下迷宮102F
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「やはりサイコ・咲夜があの部屋にいたわ。
地下に降りて正解だったわ。」
文:「大佐、これから一体どうすればいいのです?」
パチェ:「まずはリグルの言っていたルーミアと連絡を取って。」
文:「どうやって?」
パチェ:「この遠距離会話魔法本はいくつか兄弟本があって、ルーミアも同じ本を持っているわ。
特定のページを開いてセレクトボタンを押せば連絡が取れるわ。」
文:「そのページとは?」
パチェ:「あ、ど忘れした。」
メイリン:「安心して。博士は地下104Fのどこかに居るわ。」
文:「わかりました。探してみますね。」
不思議な地下迷宮103F「通路」
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「気をつけて!サイコ・咲夜がその先の部屋に居るわ!」
パチェ:「サイコ・咲夜は心を読み取る事が出来る。
頭の中で考えた事は全てサイコ・咲夜に伝わってしまうわ!」
文:「大丈夫です。作戦は考えてあります。」
不思議な地下迷宮103F「部屋」
私は不思議な事に冷静だった。
自分の感情を怒りから
憎しみに変換する事によってさらに力が増した様にも感じる。
103Fは今までの階と違って特殊な作りになっている。
102Fの拷問部屋の中心の床は板を一枚置いただけの様な簡単な構造だ。
そこを破壊すれば侵入者よりも早く移動して行動を妨害する事が出来る。
勿論、今通ってきた道は封鎖してある。
この階は長い通路とその先にこの部屋がある。
この部屋を抜けなければ104Fへの階段は降りる事が出来ない。
ここには一風変わった仕掛けがあって、
侵入者を惑わす事や徹底的に攻撃する事も可能だ。
この部屋は私が私の為に作った部屋だ。
左右の壁に本がぎっしりと詰まった本棚で覆っている。
中心に机とイスがあり、今そこに私は座っている。
普通の侵入者ならこの部屋の階段の在処すら判らない筈だ。
私にはあの侵入者の心が読める。
この部屋に向かってきている。
一歩、また一歩と通路からこの部屋へと移動している。
やっと長い通路を通り抜けて来た様だ。
そう思った矢先に本来は横に開くべき筈の
金属製のドアが部屋側に向かって大きく歪み、鈍い音を立てて開いた。
そして轟音と埃を立ててドアは倒れた。
チルノ:「今度こそは戦闘に参加させろー!」
文:「わかりました。そうさせますよ。」
命を賭けた戦いに自分からやって来るという行為は狂人でしか無い。
哀れな妖精だ。
脳天気な妖精が私に向かって一直線に走ってきた。
妖精の周りには氷の槍三本が一緒に同じ軌道を描いてやって来ている。
それらは余りにも単純な動きだった。
スピードこそはある物の、全て直線にしか動作しない。
眼前に来た所で体を横にすっと動かしただけで回避が出来た。
妖精は勢い余って本棚に衝突し、その場に倒れて活動を停止した。
これは完全な活動停止とは違う。一時的な活動停止であり、刺激を与えればすぐに回復する。
また、この本棚は特殊な作りになっているので物理的な衝撃が加えられても本が飛び出す事は無い。
もう一人の侵入者はドアの前で微動だにせず、こちらを見据えている、
サイコ・咲夜:「私はサイコ・咲夜。お前の考えている事や思った事は全て脳に記憶される。
私はその脳に接続して精神に侵入し、心を見る事が出来る。」
侵入者は表情一つ変えずにただ佇んでいる。
サイコ・咲夜:「信用出来ない?なら証拠にお前の精神を探ってやろう。」
文:「お好きにどうぞ。」
この侵入者は余りにも特殊だった。
今までに例が無かった精神を持っている。
サイコ・咲夜:「…ふーむ、少し特殊な考え方を持ってい様だな。
フィクション小説が好き。間違い無い?」
文:「正確にはフィクション新聞 …って、私は真実以外の事は嫌いですよ。
それにそんな能力しか使えないのですか?」
サイコ・咲夜:「私の能力はこれだけじゃ無い。」
文:「何があるのです?」
サイコ・咲夜:「これから私の言う事を正確に行えば、鬱病になる。
信用出来ないなら試してみるといい。」
文:「それはどんな事でして?」
サイコ・咲夜:「いい?まずモニターから30cm以上顔を離して、両手を胸の前で組んで。
そうしたら心を全て空にして何も考えていない状態に。すると時計の音が聞こえる筈。」
文:「時計の音で誰が鬱病になるんですか。」
サイコ・咲夜:「これで終わりじゃ無い。その状態を維持するのが重要。
すると近所の音が気になり始める。ほら、水道の蛇口を捻る音が聞こえて来た。」
文:「あのー、ここは地下だから近所とか関係無いですよ…」
サイコ・咲夜は大きく誤算だな、と思った。
もう少し状況を見直すべきだった。
加えて相手の精神はとても強い。
侵入を試みても細かい所までは読み取れない。
だが、別におおまかな事が判明すれば良いのである。
大丈夫だ、勝算はある。
サイコ・咲夜:「デモンストレーションはこれ位にしておこう。」
これを合図に戦闘は始まった。
まず最初に両足を地面から離して背後に壁を回した。
私は人間だが、宙を浮遊する事が出来る。
侵入者はあの妖精とは違った軌道の動きでこちらに突進して来た。
滑らかな曲線を描いて拳を握っている。
宙を浮遊したまま、私は動かない。
侵入者の右腕が顔に飛んで来た。
実に素早い一撃だった。
それをすっと頭を下げただけで回避した。
すると左腕が脇腹に向かって来た。
これも体を横に射程外に移動させただけで当たらなかった。
サイコ・咲夜:「無駄だ!私にはお前の心が読める。
私に攻撃は何一つ当たらない。」
そろそろ反撃しよう。
壁から背を引き、音も無く空中を移動して部屋の中心に当たる場所に移動した。
侵入者はこちらの様子を伺っている様で先程の場所からは移動していない。
ナイフをポケットから三本取り出し、そのうち二本を右手で投げた。
右側に飛んだナイフを素早い身のこなしで回避して左側のナイフは体を低くして避けられた。
最初のナイフを避けられたと同時に左手で残ったナイフを足に向かって投げた。
しかし、避けられてしまった。
サイコ・咲夜:「何故だ?心が読めない!」
心が読めなくても戦闘は可能だ。
サイコキネシスを利用する事により
空間の歪みを発生させてボール状に形成し、
それを相手に投げつけた。
見た目はガラスの水晶の様で部屋中の物を取り込んでいる。
その映像は常に渦巻き、捻れている。
弾速は明らかに遅い。
それでも確実に侵入者に向かって移動している。
通常の人がこの光景を見たら
追尾性を持っているが、足の者に対しては意味は無い様には思えるだろう。
侵入者は攻撃を無視して突撃してきた。
サイコ・咲夜:「無駄だ。」
私は複雑な攻撃をすらすらと回避する事が出来る。
そんな事はどうでも良い。
もうすぐ、どうでも良くなる。
サイコボールが侵入者を追跡し、
Uターンをして部屋の中心に当たる場所に到着した。
その途端、追跡を中止してボールが小さくなり始めた。
カチカチと甲高い音を立て始めた。
侵入者は足を止めてそれに目をやった。
もはや中身がガラス玉の様に部屋を写しているのではなく、
無数の刃物が魚類の様に隙間無くボールの中を泳いで居るのだ。
ボールは破裂した。
正確に言えば空間の歪みが正常な状態に戻ったとも言える。
これにより何十、何百という単位のナイフを部屋中に撒いた。
このナイフは移動中、重力に反してカーブする性質を持っている。
進行方法は完全にランダムだ。
心が読めないのならば弾幕戦だ。
侵入者はダンスを踊っているかの様にナイフを避け続けている。
私の周囲と部屋中の壁と本棚、あの妖精の周りやイスと机。
その場所は空間が歪んでいて、命中したナイフを再び部屋の中心に戻している。
先程のボールの速度は遅かったが、このナイフの速度は異常としか言い様が無い。
それでも侵入者は器用に全身を動かして避けている。
アリスがやられた理由が少し判った気がする。
次にサイコキネシスを本棚にぶつけて、
全ての本棚の本を全て取り出した。
本はページをぱらぱらと捲り、
お互いに目の前に居る本へ向けて無数のナイフを放った。
侵入者に直接当てるのが目的ではない。
ナイフは目標に当たる前に空間の歪みに囚われ、
部屋の中心の空間へと移動されて撒かれる。
そして撒かれたナイフは再び部屋の中心へと空間移動される。
先程も言ったが、私にはナイフは当たらない。
本棚と同じ様に歪んだ空間が私を纏っている。
私には人の心が読める。
動きが読める。
次にあの場所に行くという事も判る。
しかし、この侵入者は特別だ。
心が読めない。
侵入者はその心の動きに反して行動を取っている。
まるで精神と肉体が分離している様だ。
もう一度試してみよう。
避けられるかどうかを。
あの侵入者の方向進路へ向けて
前回の物とは比べ物にならない程のスピードを持ったサイコボールを投げつけた。
このボールにぶつかれば体勢を崩してナイフを直撃するだろう。
心を見てみた。
不思議な事に自分から当たりに行く様な動きを取ろうとしている。
精神世界ではなく、こっちの世界の侵入者は、
心が示した行き先とは全く別方向に移動している。
心が読めても、侵入者は常に心を変えている。
結果的に心が読めない。
左右の本棚から常に直線的なナイフが出ている。
中心から行き先が不特定でカーブするナイフが絶え間無く撒かれている。
その状態でサイコボールを投げつけても避けられる。
私の攻撃方法はパターン化しているが、
ナイフの動きはパターン化していない。
何故避けられる?
この侵入者に弾幕は通用しない。
恐るべき反射神経と素早い身のこなしを兼ね備えている。
だが、それはあくまでも肉体的面でしか無い。
心が読めないのは外側の精神が強いだけかもしれない。
心の内部は弱いのかもしれないだろう。
攻撃の手を止め、本を本棚に戻した。
空間の歪みを正常な物に修正してナイフの動きを全て停止させた。
ナイフが床に落ち、部屋中に金属の音が響き渡った。
サイコ・咲夜:「確かにお前は対した奴だ。…しかしお前の弱点は判っている。」
私があの妖精に手をかざすと、妖精の頭部以外の肉体が再度行動を取る事が出来る状態になった。
これにより行動を操る事が出来る。
妖精が立ち上がり、頭だけがだらんと下を向いた状態になった。
文:「チルノさん、どうしました?」
侵入者が妖精に声を掛けたが、それは無意味だ。
今、あの妖精の体は私が支配している。
私の思うがままに操る事が出来る。
ガガガガガガッ
ポチ
パチェ:「文。チルノは正気じゃ無いのよ。攻撃しないで。」
メイリン:「サイコ・咲夜よ。彼女がチルノさんを操っているんだわ。」
パチェ:「傷つけないで!気絶させて。」
文:「わかりました。」
サイコ・咲夜:「妖精よ、その侵入者を殺すんだ。
お前はあいつの事が憎くてたまらない。殺したい程憎い。」
暗示をかければ妖精は氷の槍を手に取り、侵入者へと向かって歩き出した。
侵入者はいくら強くても仲間には手を出せない筈だ。
妖精が氷の槍を大きく掲げて侵入者に向けて振りかぶろうとしたその時だった。
予想外の事が起きた。
侵入者が妖精に向けてパンチを二発撃ち込んだ。
最後に蹴りを入れて妖精は大の字に倒れた。
本当にこの二人は仲間なのか?
侵入者はマウントポジションを取り、ダウンしている妖精をさらに殴り続けている。
次に首を絞めている。
やりすぎだ。
今、死なれては困る。
なら、これはどうだろう?
妖精を侵入者から引きずり剥がし、再び両足を使わせて立たせた。
サイコ・咲夜:「そうか、ならばこうするしかない。
さぁチルノよ。この侵入者の前で自分の頭をぶち抜くんだ!」
妖精は右手で氷の槍を握りしめて先端を自分自身の頭に向けた。
頭と槍の距離はまだ大きく離れている。
ゆっくりと腕の関節を曲げて徐々に氷の槍を近づけていく。
これであの侵入者はどうするだろうか?
―なんという事だ。
侵入者は氷の槍を妖精の頭に押しつけている。
妖精は必死で槍を遠ざけている。
妖精は自分で体を動かす事が出来ている。
私の支配能力の効果が無くなっている。
意識を戻したとでも言うのか?
チルノ:「待て!押すな!本当に死ぬから!」
文:「あ、そうでしたね。」
サイコ・咲夜:「何故だ!何故意識を取り戻している!」
文:「残念だけれども、チルノの精神は私より頑丈なのですよ。」
サイコ・咲夜:「そっ、そんな馬鹿な…」
何故だ…、何故勝てない!
ふと見ると私は完全に無防備だ。
侵入者と妖精は一方的に私を殴ったり蹴ったりしている。
その攻撃は全て不規則で避けられない。
何故だ…、心が読めない!
全身に激痛が走って戦う気力が残っていない。
気づけば私は地面に横たわっていた。
…ここまでか。
…短い一生だった。
サイコ・咲夜:「そ、そうか。私の負けた理由…
私には予知能力なんて無かった…」
文:「予知能力なんて必要ないですよ。
未来を変えていく勇気があれば十分です。」
サイコ・咲夜:「そうか…その未来とやらを教えてやろう…
スカーレット・ギアの地下整備基地に行くにはそこの机の棚に入るんだ…」
文:「どうして私に?」
サイコ・咲夜:「私は人の心が読める。
今まで、何千人もの心と過去と、未来へ繋がる現在を覗いて来た…。」
しかし、お前は特別だ。むしろ、私達と同じだ…
過去も未来も無い。この瞬間だけを生きる。それだけの存在だ。」
喋る度に口から赤い霧状の物質が噴出される。
恐らく私も長くは無いだろう。
サイコ・咲夜:「妖怪や人間は他人を幸福する様に作られていない。
この世で生きる事を始めた時から、他人を不幸にする様に運命づけられている…」
「私が、初めて人の心に侵入した相手は実の父親だった。
父親の心の中には私に対する殺意しか無かった…」
「父親は母さんが死んだのは私の出産が原因だと考えていた…
私は…父親に殺されると思った。」
「…その時、私の未来が消えた。
過去も無くした…」
「気が付いた時、村は炎に包まれていた。」
文:「過去を清算する為に村を焼き払ったのですね。」
サイコ・咲夜:「お前の中にも同じ様なトラウマがあるな…
お前は、私と同じだ…」
「私は…そんなお前に賭けてみたくなった。
お前はボスと同じ、いや…それ以上だ…」
「階段への道を開けてやろう…未来を知りたければ階段を降りるといい…」
机の棚が開き、棚の中の四次元的な空間に
深い階段が見える様になった。
昔、青いタヌキがやって来た事もあった。
意識が朦朧とする。
口から出る言語が不安定になっている。
徐々に視野が狭くなり、目に入る映像が
様々な濃さの赤とモノクロだけに変わっていく。
「…力を誰かの為に使ったのは…これが初めてだ…」
見える物が赤と黒の二色になった。
「妙だ……懐かしい…感覚が…する……」
脳からの信号がついに体へと
伝わらなくなって、意識はそこで途切れた。
チルノ:「こいつも、色々と悲しい過去を持ってたんだな…
ところで、あんたのトラウマって何?」
文:「それは聞かないでくださいよ。
それじゃあ早くルーミア博士の所に行きましょうか。」
テロリストの生ゴミ攻撃を阻止するには、起爆コードを解除するか、
スカーレット・ギア事態を破壊するしかない。
チルノと共にスカーレット・ギアのある地下整備基地を目指す文。
だがその前にCHOCOBO HOUND隊員 サイコ・咲夜が立ち塞がった。
激闘の末破れたサイコ・咲夜は最後の力を振り絞り、
地下への階段の場所を文に示して息絶えた。
チルノ:「だから!もう変な事書かないで!
それが本当に新聞になって世間に出回ったら大変な事になるから!」
文:「いいですか?私は本当にあった出来事を書いているのです。
事実を正確に伝えるのが私の義務なのですよ。」
不思議な地下迷宮104F「研究室前の通路」
ガガガガガガッ
ポチ
パチェ:「文、その部屋で武器は使っちゃ駄目。」
メイリン:「催眠術を使って武器を使えない様にしたわ。」
文:「なんです?私を死なせる気ですか?」
チルノ:「いや、あんた武器持ってないだろ!」
メイリン:「忘れたの?そこはルーミア博士が居るのよ。」
文:「ああ、たくさん箱が積まれている訳ですけど、これが全部ルーミア博士ですか?」
メイリン:「いえ、それはルーミア博士では無いわ。
博士は唯一のスカーレット・ギア開発者の生き残りだから絶対に危害を与えない事。いい?」
文:「わかりました。」
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「文、気を付けろ。そこから先の通路には消臭スプレーの爽やかな香りが充満している。
おまけに床には低圧電流が流されている。」
文:「低圧とはさすが、省エネですね。あ!チルノさん、先に行かないでください!」
チルノ:「ブルァウブァルブァァァァブァルルルル アグアー アグァー ァァー」
パチェ:「チルノ!応答しろ!チルノ!チルノー!」
チルノ:「本気にしないで!生きてますよ!」
レティ:「まず、低圧電流のスイッチを切るんだ。
スイッチは低圧電流の通路の手前の壁にある筈だ。」
文:「あ、これですね。切りました。」
レティ:「そうすればここから先に進む事が出来る。」
不思議な地下迷宮104F「研究室」
文:「やっと到着しましたね。
あれがルーミア博士ですね!」
チルノ:「待って、ルーミアが、頭上にある十字架とそこから出てる糸に操られてるみたいだよ!」
文:「ああ、あれはですね。
そうです。幻覚ですよ。」
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「こちらメイリン。魔道レーダーで確認してみたけどそんな物は実在しないわよ。」
チルノ:「じゃああれは一体何!?キョンシーとかゾンビみたいに
両手を真正面に伸ばしてるよ! どうみても異常だよ!」
文:「どうみてもラジオ体操ですよね。」
メイリン:「ですねぇ。」
チルノ:「そういう問題じゃ無いから!」
文:「ってそれはどうでも良いけどあれは何!?ルーミア博士が凄い怯えてますよ!」
チルノ:「あ、あれは!ルーミアが黒い影に襲われてる!」
ルーミア:「あなた、誰…?」
リボルバー・アリス:「私の友は何処だ?」
ルーミア:「何の事?」
チルノ:「あ、やばい!ルーミアに気づかれた!」
ルーミア:「今度は何…?」
リボルバー・アリス:「これはこれは…。文…!待っていたぞ文!」
文:「貴方は?」
リボルバー・アリス:「敵でも味方でも無い。
そういったくだらない関係を超越した世界から来た。」
文:「まさか!貴方はアリスさん!拷問部屋で死んだはず!
目的はなんです?」
チルノ:「待って、敵に”さん”を付けるのもどうかと思うよ!」
リボルバー・アリス:「二人きりで勝負をつけたい。
ずっと待ち望んでいた。ただお前との一時を楽しみたい。」
ルーミア:「な、何だこの状況…これじゃまるでアニメじゃない!」
リボルバー・アリス:「決着を着ける為にあの世から還って来た。」
文:「恨みでも?」
リボルバー・アリス:「そんな小さな感情ではない。
お前との生死を賭けた戦い。そこにのみ快楽がある。
お前を殺す事。お前に殺される事。どちらでも同じだ。」
ルーミア:「ウワアアアアアッ」
チルノ:「待て!あたしも一緒にロッカーに入れてくれ!」
リボルバー・アリス:「良いだろう!特等席で見ているが良い!」
文:「博士は必要なのです!手出しをする人は許しませんよ!」
リボルバー・アリス:「さぁ、私を感じさせてくれ!生きる実感をくれ!」
改めてアリスさんの様子を見直すとします。
作戦を練る為です。
アリスさんは五体満足で、右手に装着している武器は ―なんでしょう?あれは?
正式名称は判りませんね。
とりあえず今回はシングルアトラクションアームとかいう銃は持っていない様です。
本題に戻ろうと思います。
鋭いナイフの様なの刃物が親指以外の四本指から生えてる手袋ですね。
えーと、長さが一つ辺り十七cm程でしょうか、とても長いです。
滑らかな曲線の刃物で先端が鋭くてまさに悪魔の爪って感じですね。
ナイフの他には鉄パイプを縦に切断した様な物が
指の外側についていて、手の甲の部分には鉄板があります。
正確には手袋に、では無くて指の金属部品にナイフがついています。
要点をまとめると、どこにでもある革手袋に
ガントレットの様に金属部品をつけて指先にナイフがあるだけです。
これを作った人はとても器用な様です。
指の関節の動きに合わせて手袋にくっついている金属部品が動いています。
後でちょっと取材をしに戻って来たいくらい興味があります。
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「思考を早くしろ。
僅かな隙が死という結末を産むのが戦場だ。」
パチェ:「もう一度言うわよ?ここでは博士の命が最優先。
絶対に弾幕は使っちゃ駄目。わかった?」
文:「またですか、わかりましたよ。」
アリスさんは爪手袋をこちらに向けて
ゆったりとしたペースで歩いて来ています。
歩きながら指を曲げたり伸ばしたりする度に
金属がガチャガチャ言ってちょっと騒音レベルが高いです。
私も新聞記者の新米の頃だったら、
さすがにちょっと怖がってたかもしれません。
とりあえず、素手と刃物じゃ勝ち目が無いので武器を探す事にしようと思います。
ありましたありました。アルミ製のパイプで良いですね。
ちょっと重いですけど、これで戦えるでしょう。
チルノ:(待て!ここは研究室だ!そんな物が…)
ルーミア:(大声出したら見つりますよ!)
チルノ:(しかも片手で持…)
ルーミア:(少しは静かにして!)
まずは頭上目掛けて振りかぶってみます。
するとアリスさんは私の行動よりも早く右腕を動かして防御しました。
金属特有の甲高い音がして受け止められてしまいました。
そして弾かれました。
片手で弾くという事はもの凄い腕力、又はかなりの強度を持った金属という事です。
棒状武器は取り扱いが難しいのですが、
どうやらアリスさんの爪手袋なら素早く攻撃が出来る様です。
証拠に私が一歩後ろに退くのが少しでも遅れていれば喉が裂けていたでしょう。
次に右肩目掛けて思いっきりぶつけたつもりなのですが、
これも爪手袋で防御されてしまいました。
なんて頑丈な爪なのでしょう。
本来ならこんなパイプを正面から切ったらナイフは普通刃こぼれしそうな訳なのですが、
見た所、対した傷は無い様でとても良い材質かもしれません。
リボルバー・アリス:「そんな武器では私には勝てん!」
私は右手だけでパイプを持ち、
仕事の依頼が無い左の肘で顎にダメージを負わせる事に成功しました。
後ろによろめいて完全に無防備になっている状態なので
蹴りを腹に命中させる事も出来ました。
リボルバー・アリス:「…そうだ、それでいい。戦いの基本は格闘だ。
武器や装備はそれを補う為にある!」
この言葉を合図にアリスさんは急に素早くなった気がします。
頭部目掛けてパイプを振るった所、姿勢を低くして避けられて
その状態で足払いをされたので何も準備をしていない私には直撃しました。
尻餅をついた私に向かって爪手袋を振り下ろされましたが、
右側に向かって一度体を横に回転して立ち上がる事で攻撃は床を引っ掻いて嫌な音を出すだけで終わりました。
立ち上がる時に右足を垂直に伸ばし、
左足に軸を置いて相手の腰に大きな打撃を与えて
少し前のめりによろめいた所でパイプを腹に向かって
フルスイングする事によって大ダメージを直撃させる事は出来たと思います。
リボルバー・アリス:「懐かしいな!この痛み、ずっと待っていた!」
また先程と同じ要領で左肩に向けてパイプを振りかぶってみました。
すると今度は爪手袋を使わずに
左腕だけで受け止めるという芸を見せてくれました。
次の瞬間でした。
腹部に激痛が走りました。
目をやるとそこには膝が私の腹に直撃していたのです。
とても痛かったです。
目を向けている先を元に戻すと爪手袋が私の頭上にあります。
これはとても危険。
とっさに身を引こうにも鉄パイプを強力な握力で握られて離れることが出来ない。
ここで武器を相手に与えてしまえばさらに危険。
握られたままの鉄パイプを強引に私の眼前に引っ張り、爪手袋の攻撃を防ぐ事が出来ました。
爪は鉄パイプにざっくりと食い込んでいます。
凄い切れ味ですね。
食い込んでいるのは刃物の中心辺り。
先端の尖っている部分は
私の額に当たるかその位で止まっている。
リボルバー・アリス:「思い出さないか!このバトルを!」
私はこんな戦いをした事が無い様に思います。
なんとかこの状態を抜け出す事が出来ました。
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「その桁外れな運動能力 …多分、そいつの体は強化骨格だ。」
文:「強化骨格?義手とかそういう物?」
レティ:「いや、根本的に違うな。義手や義足は失われた部分を補うのが目的。
強化骨格は人間以上の戦闘能力を実現する為に人の体を人工物に置き換える。」
文:「戦闘に特化している訳ですね。」
レティ:「開発が進まれていると噂は聞いた事はあるが、
あくまでも噂だと思っていた。まさか本当に存在するとはな。」
また爪手袋が飛んできた。
行動パターンは大体読める様になって来ました。
左手で爪手袋を壁に押さえつけ、残った腕で攻撃されても無視して鉄パイプを肩口に突き刺した。
アリスさんは意外にも突き刺してもびくともしませんでした。
悲鳴も何もあげません。
リボルバー・アリス:「もっと痛みをくれ!もっと!もっとだ!」
パイプを引き抜き、一回転させて頭部へと直撃させました。
私は奇妙な事に気が付いた。
普通、怪我をすると血を流す。
なのに、アリスさんは血を流さない。
代わりに木屑や糸が出てくる。
床にたくさんの糸が散らばっている。
一部、まだ魔力が残っていて光っている物もあります。
―これはまさか?
頭部へのダメージでよろめいている所を
失礼して、喉元にパイプで突きを入れた。
すると不思議な事に簡単に頭が宙を舞い、木片と糸が飛び散った。
首があった場所から断面を覗いて見ると、
そこにはやはり生き物は思えない物がありました。
そこは木材を中心に太い糸が何重にもなって筋肉の役割をしている様です。
これはどうやら頭部が無いと動かない仕掛けでした。
現にもう動いていません。
少しずつアリスさんの姿が消えて行き、
そこにはただの人の形を模した木片と糸だけが残りました。
ポチ。
文:「リボルバー・アリスです。リボルバー・アリスはどこかで生きています。
大佐、間違い無いです。」
パチェ:「そんな事は無いわ。奴は拷問部屋で死んだはず。」
メイリン:「そう、殺されたはず。でも生きていたのよ。」
パチェ:「なんですって?」
メイリン:「さっき魔道レーダーをのログを見たけど、
最初から拷問部屋にリボルバー・アリスは居なかったわ。」
パチェ:「それはつまり…」
文:「もしかして、今のと同じ人形?」
メイリン:「昔、CHOCOBO HOUNDでは人形に魔力を吹き込んで
制作者と同じ姿を持たせる実験がされていたのよ。」
文:「そんな実験が?元隊員の私でも知りませんよ。」
メイリン:「それは文さんが除隊した後の話ですから。
あの人形は制作者と限りなく似た魔法脳を持っているけど
記憶を修正してより殺意を増させる事も出来るわ。
そして感じる感覚を痛みだけにしているみたい。
これによって戦闘的に活動する人形が出来るのよ。」
文:「という事はまだあの人形がまだ複数居るという事?」
メイリン:「そうなるわね。人形は物体であって生命体では無いから
魔道レーダーには感知されないわ。気をつけて!」
文:「わかりました。」
文:「さてさて、そろそろ出てくださいよ。」
チルノ:「あ、もう終わってたんですか。」
ルーミア:「あなたも、仲間?」
文:「まぁ、そういう事になるでしょう。」
ルーミア:「奴らとは…違うようだね。」
チルノ:「ところでさ、今回は話す相手の手帳を渡してないから別にいいけど、
ルーミアの両手両足から生えてる糸は何?その糸を操ってる十字架は一体何!?
ほら!今、ルーミアの頭が後ろにがくんって倒れた!白目出てるよ!絶対意識無いよ!」
チルノ:「待って!二人して睨まないで!
そしてロッカーに入れないで!暗いよ!ここ密室だよ!
ってちょっと!ロッカーを潰さないで!出れなくなるから!」
文:「スカーレット・ギアの開発者、ルーミア博士ですね?」
ルーミア:「…私を知っているようだね。」
文:「リグルさんから聞いたのです。」
ルーミア:「助けに来てくれたの?」
文:「残念ですけど、そうじゃ無いです。
聞きたい事があるのです。」
ルーミア:「なんでしょう?」
文:「スカーレット・ギアについてです。
あれが作られた真の目的は?」
ルーミア:「フランドール。あれの事?あれは紅魔館に立ち入る物を
撃墜する為に作られた防御用の物だよ。
あ、フランドールってのはスカーレット・ギアのコードネーム。」
文:「コードネームについてはリグルから聞いています。
それはともかく、今回のスカーレット・ギアが
単なる生ゴミ搭載歩行戦車では無い事は判っています。」
ルーミア:「生ゴミ…一体何の事?」
文:「テロリスト達はスカーレット・ギアを使って
幻想郷全体に生ゴミ攻撃をしかけようとしているのです。
知らないはずはありません。」
ルーミア:「彼らは生ゴミを肥料にして
幻想郷に撒いて緑を多くしようとしているのでは無いの?」
文:「それが違うのです。積んでいる武器については知らされていないのですか?」
ルーミア:「武器?そんなの私には知らされませんよ。
武装は別の場所で作られていたんですから。」
文:「…まさか、本当に知らなかったとは…」
ルーミア:「でも、おおまかな武装については判りますよ。」
文:「生ゴミ以外に武器があるのですか?」
ルーミア:「ありますよ。クランベリートラップ、
レーヴァテイン、ファーオブアカインドがある事しか判りませんが…
きっと、これ意外にも武器を持っているかも。」
文:「レーヴァテインだって?」
ルーミア:「私も名前だけで正体については知らされてないの。」
文:「そうですか…。とにかく、情報をどうもありがとうございます。」
ルーミア:「そうそう、私はこの研究所、いや基地に詳しいから、
ここの事やフランドールの事なら遠慮無く聞いてくださいな。
それと、闇に姿を隠せるから食料貯蔵庫と武器庫に出入り出来るから、
何か欲しい時は届けてあげるよ。」
文:「それはとても嬉しいです。」
ルーミア:「私の遠距離会話魔法本に連絡したい時は、
そっちが持っている本の307ページ目を開いてセレクトボタンを押して。
それじゃあ、私は別の場所に隠れます。またどこかで会いましょう。」
チルノ:「やっと出れた!って何これ!誰も居ない!
文ー!ルーミアー!どこに行ったんだー!」
チルノ:「なんだ?そこの怪しい人!
私は迷子じゃ無い!勝手に誘拐するな!」
不思議な地下迷宮105F
文:「あれ!チルノが居ない!」
メイリン:「チルノなら106Fに拉致されているわ。」
文:「わかりました。探しに行きますね。」
不思議な地下迷宮97F
このフロアには小部屋がたくさんある。
そこには大量の食料が保存されている。
後で体力回復アイテムが不足したら戻ってくると良い場所だ。
だが、恐るべき悪魔がその場にたった今、到着した。
ルーミア:「食欲をもてあます。」
リグル・ナイトバグ社長を救出する。
だが彼女は既に起爆コードを漏らしていた。
今や生ゴミ発射を阻止できるのはチルノに託した起爆コード緊急解除用の鍵か、
スカーレット・ギア開発者ルーミア博士しかいない。
そう文に語った後リグルもまた突然の心臓発作で息絶えてしまった。
文はチルノに渡された鍵は無視して
地下104Fのルーミアへの連絡を試みる事に決定した。
文:「下書きは終わりました。地上に戻ったら史上最高の新聞が完成しますね。」
チルノ:「待て、でたらめ書きすぎだ!鍵とか貰ってないから!」
文:「リグル社長がチルノさんに渡したとおっしゃってたじゃ無いですか。」
チルノ:「リグルはあんたの考えた台本をそのまま棒読みしてただけで ―っうぶごわっ!」
文:「あ!大丈夫ですか!つい手が滑って…」
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「気を付けるんだチルノ、その付近には禁止ワードに反応する地雷が設置されてある。」
パチェ:「チルノ!応答してくれ!チルノ!チルノーーー!!」
チルノ:「生きてます!とても痛いけど生きてます!」
不思議な地下迷宮101F 「拷問部屋」
サイコ・咲夜はリボルバー・アリスに頼まれた品を持ってきた。
「アリス様、殺虫スプレーを持って参りました。」
ドアをノックするも、返事は無い。
「入りますよ?」
その部屋はおぞましい光景だった。
部屋の中央には一匹の虫の死骸。
そして虫一匹ごときに無数のゴキブリホイホイがくっついている。
その奥にアリスは居た。
大量の鴉と共に横たわっていた。
「大丈夫ですか?」
指でつついても反応は無い。
精神に進入を試みても、進入先の精神が存在しない。
まさか、と思った。
妖怪はこれ程単純で弱い生命体だと思った事は今までに無かった。
ただ、肉体にちょっと傷がついただけで体は正常に機能しなくなる。
大きく損傷した時は脳が停止して動作すらしない。
脳が活動を終了したその時は精神は縮み、やがて消えてしまう。
これは理解していた。
だが、これはあまりに突然過ぎた。
わずか十五分程度の間、部屋から離れただけで、
つい先程まで笑顔で居たアリスの顔から表情が抜けている。
―いつだったろうか、アリスが笑顔を見せるようになった日
アリスがCHOCOBO HOUNDの新たな隊員となった最初の頃、
無表情で仕事を的確にこなしていた。
毎夜、紅魔館に忍び込みヴワル図書館の入り口から見て一番右側の776番目の本棚、
その下にスプーン一つで地下100Fにも渡る大迷宮を作り上げた。
物音一つ立てずにスプーンでカリカリと削り、小石を集めては固めて階段や壁を完成させた。
私は仕事熱心なアリスに菓子や紅茶を届けて行く事も多かった。
アリスは誰にも誉められる事は無かった。
恐らくCHOCOBO HOUND隊員でも迷宮を作った人の名前すら知らないだろう。
それほど隠密な作業であったのだ。
それでも作り続けていた。
ちなみに101F以降の追加工事は私や上のお方が担当している。
だから100Fと101Fは少し雰囲気が変わっている。
地下迷宮と地下施設の差といった感じだ。
恐らく50Fまで作った頃だろうか、アリスは地下迷宮の上にある本棚に興味を持った。
右手にスプーンを持ち、左手で本を読むという行為は普通の人間には出来ないだろう。
50Fから59Fにかけては通路だけの完全大迷路となっている。
迷宮に相応しい場所だ。
やがて、80Fの作業に入る頃にはアリスの顔に僅かながらにも表情と思われる物が見えた。
あの本の影響だろうか?
次第に私とも話す様になった。
結界を破く事が出来たり、人形を用いた呪術を
使い慣れている事を私に教えてくれたのもその頃だった。
教えてくれたのであって自慢では無い口調であった。
90Fからは私も暇な時に手伝って居た。
少し前とは驚く程変わり、まるで別人だった。
笑顔で呪術や拷問について語ってくれる事も多かった。
「上位クラスの虫はそう簡単に死なないから長時間拷問が出来るんですよ」
この言葉は今でも覚えている。
アリスは私の知らない事もたくさん教えてくれた。
昔の私はただ他人の精神に進入して情報収集したり、サイコキネシスを使用する位しか出来なかった。
アリスが数多くの知識を私に教えてくれる事によって私の生き方は変わった。
全てはアリスのおかげだろう。
そして今、そのアリスは糸の切れた操り人形の様に動かない。
血液循環を目的とした臓器の動きも全く感じ取れない。
一部例外を除いて、多くの妖怪は人間同様に、
体内に血液が流れなければ正常に体が動かせない。
正直、アリスがやられるなんて事は有り得なかった。
常に余裕を残して全てを完全にこなすアリスが何故やられたのかとても不思議だった。
しかし、アリスがやられた以上、もう過去を振り返っても意味は無い。
これからどうするのかが重要なのである。
アリスから教わった知識によれば一度この状態に陥れば治療方法は無い。
予防しか無いのである。
私は侵入者に復讐する事を誓った。
侵入者の肉体に大きな損傷を負わせて活動を停止させれば、今は亡きアリスも喜ぶだろう。
昔の私は一対五でも戦闘で勝利を収めた。
そこにアリスから教わった完全な知識があればどんな強敵でも勝てる自信がある。
相手はたったの二人だ。
負ける気はしない。
アリス、貴方の仇は私が取る!
不思議な地下迷宮102F
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「やはりサイコ・咲夜があの部屋にいたわ。
地下に降りて正解だったわ。」
文:「大佐、これから一体どうすればいいのです?」
パチェ:「まずはリグルの言っていたルーミアと連絡を取って。」
文:「どうやって?」
パチェ:「この遠距離会話魔法本はいくつか兄弟本があって、ルーミアも同じ本を持っているわ。
特定のページを開いてセレクトボタンを押せば連絡が取れるわ。」
文:「そのページとは?」
パチェ:「あ、ど忘れした。」
メイリン:「安心して。博士は地下104Fのどこかに居るわ。」
文:「わかりました。探してみますね。」
不思議な地下迷宮103F「通路」
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「気をつけて!サイコ・咲夜がその先の部屋に居るわ!」
パチェ:「サイコ・咲夜は心を読み取る事が出来る。
頭の中で考えた事は全てサイコ・咲夜に伝わってしまうわ!」
文:「大丈夫です。作戦は考えてあります。」
不思議な地下迷宮103F「部屋」
私は不思議な事に冷静だった。
自分の感情を怒りから
憎しみに変換する事によってさらに力が増した様にも感じる。
103Fは今までの階と違って特殊な作りになっている。
102Fの拷問部屋の中心の床は板を一枚置いただけの様な簡単な構造だ。
そこを破壊すれば侵入者よりも早く移動して行動を妨害する事が出来る。
勿論、今通ってきた道は封鎖してある。
この階は長い通路とその先にこの部屋がある。
この部屋を抜けなければ104Fへの階段は降りる事が出来ない。
ここには一風変わった仕掛けがあって、
侵入者を惑わす事や徹底的に攻撃する事も可能だ。
この部屋は私が私の為に作った部屋だ。
左右の壁に本がぎっしりと詰まった本棚で覆っている。
中心に机とイスがあり、今そこに私は座っている。
普通の侵入者ならこの部屋の階段の在処すら判らない筈だ。
私にはあの侵入者の心が読める。
この部屋に向かってきている。
一歩、また一歩と通路からこの部屋へと移動している。
やっと長い通路を通り抜けて来た様だ。
そう思った矢先に本来は横に開くべき筈の
金属製のドアが部屋側に向かって大きく歪み、鈍い音を立てて開いた。
そして轟音と埃を立ててドアは倒れた。
チルノ:「今度こそは戦闘に参加させろー!」
文:「わかりました。そうさせますよ。」
命を賭けた戦いに自分からやって来るという行為は狂人でしか無い。
哀れな妖精だ。
脳天気な妖精が私に向かって一直線に走ってきた。
妖精の周りには氷の槍三本が一緒に同じ軌道を描いてやって来ている。
それらは余りにも単純な動きだった。
スピードこそはある物の、全て直線にしか動作しない。
眼前に来た所で体を横にすっと動かしただけで回避が出来た。
妖精は勢い余って本棚に衝突し、その場に倒れて活動を停止した。
これは完全な活動停止とは違う。一時的な活動停止であり、刺激を与えればすぐに回復する。
また、この本棚は特殊な作りになっているので物理的な衝撃が加えられても本が飛び出す事は無い。
もう一人の侵入者はドアの前で微動だにせず、こちらを見据えている、
サイコ・咲夜:「私はサイコ・咲夜。お前の考えている事や思った事は全て脳に記憶される。
私はその脳に接続して精神に侵入し、心を見る事が出来る。」
侵入者は表情一つ変えずにただ佇んでいる。
サイコ・咲夜:「信用出来ない?なら証拠にお前の精神を探ってやろう。」
文:「お好きにどうぞ。」
この侵入者は余りにも特殊だった。
今までに例が無かった精神を持っている。
サイコ・咲夜:「…ふーむ、少し特殊な考え方を持ってい様だな。
フィクション小説が好き。間違い無い?」
文:「正確にはフィクション新聞 …って、私は真実以外の事は嫌いですよ。
それにそんな能力しか使えないのですか?」
サイコ・咲夜:「私の能力はこれだけじゃ無い。」
文:「何があるのです?」
サイコ・咲夜:「これから私の言う事を正確に行えば、鬱病になる。
信用出来ないなら試してみるといい。」
文:「それはどんな事でして?」
サイコ・咲夜:「いい?まずモニターから30cm以上顔を離して、両手を胸の前で組んで。
そうしたら心を全て空にして何も考えていない状態に。すると時計の音が聞こえる筈。」
文:「時計の音で誰が鬱病になるんですか。」
サイコ・咲夜:「これで終わりじゃ無い。その状態を維持するのが重要。
すると近所の音が気になり始める。ほら、水道の蛇口を捻る音が聞こえて来た。」
文:「あのー、ここは地下だから近所とか関係無いですよ…」
サイコ・咲夜は大きく誤算だな、と思った。
もう少し状況を見直すべきだった。
加えて相手の精神はとても強い。
侵入を試みても細かい所までは読み取れない。
だが、別におおまかな事が判明すれば良いのである。
大丈夫だ、勝算はある。
サイコ・咲夜:「デモンストレーションはこれ位にしておこう。」
これを合図に戦闘は始まった。
まず最初に両足を地面から離して背後に壁を回した。
私は人間だが、宙を浮遊する事が出来る。
侵入者はあの妖精とは違った軌道の動きでこちらに突進して来た。
滑らかな曲線を描いて拳を握っている。
宙を浮遊したまま、私は動かない。
侵入者の右腕が顔に飛んで来た。
実に素早い一撃だった。
それをすっと頭を下げただけで回避した。
すると左腕が脇腹に向かって来た。
これも体を横に射程外に移動させただけで当たらなかった。
サイコ・咲夜:「無駄だ!私にはお前の心が読める。
私に攻撃は何一つ当たらない。」
そろそろ反撃しよう。
壁から背を引き、音も無く空中を移動して部屋の中心に当たる場所に移動した。
侵入者はこちらの様子を伺っている様で先程の場所からは移動していない。
ナイフをポケットから三本取り出し、そのうち二本を右手で投げた。
右側に飛んだナイフを素早い身のこなしで回避して左側のナイフは体を低くして避けられた。
最初のナイフを避けられたと同時に左手で残ったナイフを足に向かって投げた。
しかし、避けられてしまった。
サイコ・咲夜:「何故だ?心が読めない!」
心が読めなくても戦闘は可能だ。
サイコキネシスを利用する事により
空間の歪みを発生させてボール状に形成し、
それを相手に投げつけた。
見た目はガラスの水晶の様で部屋中の物を取り込んでいる。
その映像は常に渦巻き、捻れている。
弾速は明らかに遅い。
それでも確実に侵入者に向かって移動している。
通常の人がこの光景を見たら
追尾性を持っているが、足の者に対しては意味は無い様には思えるだろう。
侵入者は攻撃を無視して突撃してきた。
サイコ・咲夜:「無駄だ。」
私は複雑な攻撃をすらすらと回避する事が出来る。
そんな事はどうでも良い。
もうすぐ、どうでも良くなる。
サイコボールが侵入者を追跡し、
Uターンをして部屋の中心に当たる場所に到着した。
その途端、追跡を中止してボールが小さくなり始めた。
カチカチと甲高い音を立て始めた。
侵入者は足を止めてそれに目をやった。
もはや中身がガラス玉の様に部屋を写しているのではなく、
無数の刃物が魚類の様に隙間無くボールの中を泳いで居るのだ。
ボールは破裂した。
正確に言えば空間の歪みが正常な状態に戻ったとも言える。
これにより何十、何百という単位のナイフを部屋中に撒いた。
このナイフは移動中、重力に反してカーブする性質を持っている。
進行方法は完全にランダムだ。
心が読めないのならば弾幕戦だ。
侵入者はダンスを踊っているかの様にナイフを避け続けている。
私の周囲と部屋中の壁と本棚、あの妖精の周りやイスと机。
その場所は空間が歪んでいて、命中したナイフを再び部屋の中心に戻している。
先程のボールの速度は遅かったが、このナイフの速度は異常としか言い様が無い。
それでも侵入者は器用に全身を動かして避けている。
アリスがやられた理由が少し判った気がする。
次にサイコキネシスを本棚にぶつけて、
全ての本棚の本を全て取り出した。
本はページをぱらぱらと捲り、
お互いに目の前に居る本へ向けて無数のナイフを放った。
侵入者に直接当てるのが目的ではない。
ナイフは目標に当たる前に空間の歪みに囚われ、
部屋の中心の空間へと移動されて撒かれる。
そして撒かれたナイフは再び部屋の中心へと空間移動される。
先程も言ったが、私にはナイフは当たらない。
本棚と同じ様に歪んだ空間が私を纏っている。
私には人の心が読める。
動きが読める。
次にあの場所に行くという事も判る。
しかし、この侵入者は特別だ。
心が読めない。
侵入者はその心の動きに反して行動を取っている。
まるで精神と肉体が分離している様だ。
もう一度試してみよう。
避けられるかどうかを。
あの侵入者の方向進路へ向けて
前回の物とは比べ物にならない程のスピードを持ったサイコボールを投げつけた。
このボールにぶつかれば体勢を崩してナイフを直撃するだろう。
心を見てみた。
不思議な事に自分から当たりに行く様な動きを取ろうとしている。
精神世界ではなく、こっちの世界の侵入者は、
心が示した行き先とは全く別方向に移動している。
心が読めても、侵入者は常に心を変えている。
結果的に心が読めない。
左右の本棚から常に直線的なナイフが出ている。
中心から行き先が不特定でカーブするナイフが絶え間無く撒かれている。
その状態でサイコボールを投げつけても避けられる。
私の攻撃方法はパターン化しているが、
ナイフの動きはパターン化していない。
何故避けられる?
この侵入者に弾幕は通用しない。
恐るべき反射神経と素早い身のこなしを兼ね備えている。
だが、それはあくまでも肉体的面でしか無い。
心が読めないのは外側の精神が強いだけかもしれない。
心の内部は弱いのかもしれないだろう。
攻撃の手を止め、本を本棚に戻した。
空間の歪みを正常な物に修正してナイフの動きを全て停止させた。
ナイフが床に落ち、部屋中に金属の音が響き渡った。
サイコ・咲夜:「確かにお前は対した奴だ。…しかしお前の弱点は判っている。」
私があの妖精に手をかざすと、妖精の頭部以外の肉体が再度行動を取る事が出来る状態になった。
これにより行動を操る事が出来る。
妖精が立ち上がり、頭だけがだらんと下を向いた状態になった。
文:「チルノさん、どうしました?」
侵入者が妖精に声を掛けたが、それは無意味だ。
今、あの妖精の体は私が支配している。
私の思うがままに操る事が出来る。
ガガガガガガッ
ポチ
パチェ:「文。チルノは正気じゃ無いのよ。攻撃しないで。」
メイリン:「サイコ・咲夜よ。彼女がチルノさんを操っているんだわ。」
パチェ:「傷つけないで!気絶させて。」
文:「わかりました。」
サイコ・咲夜:「妖精よ、その侵入者を殺すんだ。
お前はあいつの事が憎くてたまらない。殺したい程憎い。」
暗示をかければ妖精は氷の槍を手に取り、侵入者へと向かって歩き出した。
侵入者はいくら強くても仲間には手を出せない筈だ。
妖精が氷の槍を大きく掲げて侵入者に向けて振りかぶろうとしたその時だった。
予想外の事が起きた。
侵入者が妖精に向けてパンチを二発撃ち込んだ。
最後に蹴りを入れて妖精は大の字に倒れた。
本当にこの二人は仲間なのか?
侵入者はマウントポジションを取り、ダウンしている妖精をさらに殴り続けている。
次に首を絞めている。
やりすぎだ。
今、死なれては困る。
なら、これはどうだろう?
妖精を侵入者から引きずり剥がし、再び両足を使わせて立たせた。
サイコ・咲夜:「そうか、ならばこうするしかない。
さぁチルノよ。この侵入者の前で自分の頭をぶち抜くんだ!」
妖精は右手で氷の槍を握りしめて先端を自分自身の頭に向けた。
頭と槍の距離はまだ大きく離れている。
ゆっくりと腕の関節を曲げて徐々に氷の槍を近づけていく。
これであの侵入者はどうするだろうか?
―なんという事だ。
侵入者は氷の槍を妖精の頭に押しつけている。
妖精は必死で槍を遠ざけている。
妖精は自分で体を動かす事が出来ている。
私の支配能力の効果が無くなっている。
意識を戻したとでも言うのか?
チルノ:「待て!押すな!本当に死ぬから!」
文:「あ、そうでしたね。」
サイコ・咲夜:「何故だ!何故意識を取り戻している!」
文:「残念だけれども、チルノの精神は私より頑丈なのですよ。」
サイコ・咲夜:「そっ、そんな馬鹿な…」
何故だ…、何故勝てない!
ふと見ると私は完全に無防備だ。
侵入者と妖精は一方的に私を殴ったり蹴ったりしている。
その攻撃は全て不規則で避けられない。
何故だ…、心が読めない!
全身に激痛が走って戦う気力が残っていない。
気づけば私は地面に横たわっていた。
…ここまでか。
…短い一生だった。
サイコ・咲夜:「そ、そうか。私の負けた理由…
私には予知能力なんて無かった…」
文:「予知能力なんて必要ないですよ。
未来を変えていく勇気があれば十分です。」
サイコ・咲夜:「そうか…その未来とやらを教えてやろう…
スカーレット・ギアの地下整備基地に行くにはそこの机の棚に入るんだ…」
文:「どうして私に?」
サイコ・咲夜:「私は人の心が読める。
今まで、何千人もの心と過去と、未来へ繋がる現在を覗いて来た…。」
しかし、お前は特別だ。むしろ、私達と同じだ…
過去も未来も無い。この瞬間だけを生きる。それだけの存在だ。」
喋る度に口から赤い霧状の物質が噴出される。
恐らく私も長くは無いだろう。
サイコ・咲夜:「妖怪や人間は他人を幸福する様に作られていない。
この世で生きる事を始めた時から、他人を不幸にする様に運命づけられている…」
「私が、初めて人の心に侵入した相手は実の父親だった。
父親の心の中には私に対する殺意しか無かった…」
「父親は母さんが死んだのは私の出産が原因だと考えていた…
私は…父親に殺されると思った。」
「…その時、私の未来が消えた。
過去も無くした…」
「気が付いた時、村は炎に包まれていた。」
文:「過去を清算する為に村を焼き払ったのですね。」
サイコ・咲夜:「お前の中にも同じ様なトラウマがあるな…
お前は、私と同じだ…」
「私は…そんなお前に賭けてみたくなった。
お前はボスと同じ、いや…それ以上だ…」
「階段への道を開けてやろう…未来を知りたければ階段を降りるといい…」
机の棚が開き、棚の中の四次元的な空間に
深い階段が見える様になった。
昔、青いタヌキがやって来た事もあった。
意識が朦朧とする。
口から出る言語が不安定になっている。
徐々に視野が狭くなり、目に入る映像が
様々な濃さの赤とモノクロだけに変わっていく。
「…力を誰かの為に使ったのは…これが初めてだ…」
見える物が赤と黒の二色になった。
「妙だ……懐かしい…感覚が…する……」
脳からの信号がついに体へと
伝わらなくなって、意識はそこで途切れた。
チルノ:「こいつも、色々と悲しい過去を持ってたんだな…
ところで、あんたのトラウマって何?」
文:「それは聞かないでくださいよ。
それじゃあ早くルーミア博士の所に行きましょうか。」
テロリストの生ゴミ攻撃を阻止するには、起爆コードを解除するか、
スカーレット・ギア事態を破壊するしかない。
チルノと共にスカーレット・ギアのある地下整備基地を目指す文。
だがその前にCHOCOBO HOUND隊員 サイコ・咲夜が立ち塞がった。
激闘の末破れたサイコ・咲夜は最後の力を振り絞り、
地下への階段の場所を文に示して息絶えた。
チルノ:「だから!もう変な事書かないで!
それが本当に新聞になって世間に出回ったら大変な事になるから!」
文:「いいですか?私は本当にあった出来事を書いているのです。
事実を正確に伝えるのが私の義務なのですよ。」
不思議な地下迷宮104F「研究室前の通路」
ガガガガガガッ
ポチ
パチェ:「文、その部屋で武器は使っちゃ駄目。」
メイリン:「催眠術を使って武器を使えない様にしたわ。」
文:「なんです?私を死なせる気ですか?」
チルノ:「いや、あんた武器持ってないだろ!」
メイリン:「忘れたの?そこはルーミア博士が居るのよ。」
文:「ああ、たくさん箱が積まれている訳ですけど、これが全部ルーミア博士ですか?」
メイリン:「いえ、それはルーミア博士では無いわ。
博士は唯一のスカーレット・ギア開発者の生き残りだから絶対に危害を与えない事。いい?」
文:「わかりました。」
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「文、気を付けろ。そこから先の通路には消臭スプレーの爽やかな香りが充満している。
おまけに床には低圧電流が流されている。」
文:「低圧とはさすが、省エネですね。あ!チルノさん、先に行かないでください!」
チルノ:「ブルァウブァルブァァァァブァルルルル アグアー アグァー ァァー」
パチェ:「チルノ!応答しろ!チルノ!チルノー!」
チルノ:「本気にしないで!生きてますよ!」
レティ:「まず、低圧電流のスイッチを切るんだ。
スイッチは低圧電流の通路の手前の壁にある筈だ。」
文:「あ、これですね。切りました。」
レティ:「そうすればここから先に進む事が出来る。」
不思議な地下迷宮104F「研究室」
文:「やっと到着しましたね。
あれがルーミア博士ですね!」
チルノ:「待って、ルーミアが、頭上にある十字架とそこから出てる糸に操られてるみたいだよ!」
文:「ああ、あれはですね。
そうです。幻覚ですよ。」
ガガガガガガッ
ポチ
メイリン:「こちらメイリン。魔道レーダーで確認してみたけどそんな物は実在しないわよ。」
チルノ:「じゃああれは一体何!?キョンシーとかゾンビみたいに
両手を真正面に伸ばしてるよ! どうみても異常だよ!」
文:「どうみてもラジオ体操ですよね。」
メイリン:「ですねぇ。」
チルノ:「そういう問題じゃ無いから!」
文:「ってそれはどうでも良いけどあれは何!?ルーミア博士が凄い怯えてますよ!」
チルノ:「あ、あれは!ルーミアが黒い影に襲われてる!」
ルーミア:「あなた、誰…?」
リボルバー・アリス:「私の友は何処だ?」
ルーミア:「何の事?」
チルノ:「あ、やばい!ルーミアに気づかれた!」
ルーミア:「今度は何…?」
リボルバー・アリス:「これはこれは…。文…!待っていたぞ文!」
文:「貴方は?」
リボルバー・アリス:「敵でも味方でも無い。
そういったくだらない関係を超越した世界から来た。」
文:「まさか!貴方はアリスさん!拷問部屋で死んだはず!
目的はなんです?」
チルノ:「待って、敵に”さん”を付けるのもどうかと思うよ!」
リボルバー・アリス:「二人きりで勝負をつけたい。
ずっと待ち望んでいた。ただお前との一時を楽しみたい。」
ルーミア:「な、何だこの状況…これじゃまるでアニメじゃない!」
リボルバー・アリス:「決着を着ける為にあの世から還って来た。」
文:「恨みでも?」
リボルバー・アリス:「そんな小さな感情ではない。
お前との生死を賭けた戦い。そこにのみ快楽がある。
お前を殺す事。お前に殺される事。どちらでも同じだ。」
ルーミア:「ウワアアアアアッ」
チルノ:「待て!あたしも一緒にロッカーに入れてくれ!」
リボルバー・アリス:「良いだろう!特等席で見ているが良い!」
文:「博士は必要なのです!手出しをする人は許しませんよ!」
リボルバー・アリス:「さぁ、私を感じさせてくれ!生きる実感をくれ!」
改めてアリスさんの様子を見直すとします。
作戦を練る為です。
アリスさんは五体満足で、右手に装着している武器は ―なんでしょう?あれは?
正式名称は判りませんね。
とりあえず今回はシングルアトラクションアームとかいう銃は持っていない様です。
本題に戻ろうと思います。
鋭いナイフの様なの刃物が親指以外の四本指から生えてる手袋ですね。
えーと、長さが一つ辺り十七cm程でしょうか、とても長いです。
滑らかな曲線の刃物で先端が鋭くてまさに悪魔の爪って感じですね。
ナイフの他には鉄パイプを縦に切断した様な物が
指の外側についていて、手の甲の部分には鉄板があります。
正確には手袋に、では無くて指の金属部品にナイフがついています。
要点をまとめると、どこにでもある革手袋に
ガントレットの様に金属部品をつけて指先にナイフがあるだけです。
これを作った人はとても器用な様です。
指の関節の動きに合わせて手袋にくっついている金属部品が動いています。
後でちょっと取材をしに戻って来たいくらい興味があります。
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「思考を早くしろ。
僅かな隙が死という結末を産むのが戦場だ。」
パチェ:「もう一度言うわよ?ここでは博士の命が最優先。
絶対に弾幕は使っちゃ駄目。わかった?」
文:「またですか、わかりましたよ。」
アリスさんは爪手袋をこちらに向けて
ゆったりとしたペースで歩いて来ています。
歩きながら指を曲げたり伸ばしたりする度に
金属がガチャガチャ言ってちょっと騒音レベルが高いです。
私も新聞記者の新米の頃だったら、
さすがにちょっと怖がってたかもしれません。
とりあえず、素手と刃物じゃ勝ち目が無いので武器を探す事にしようと思います。
ありましたありました。アルミ製のパイプで良いですね。
ちょっと重いですけど、これで戦えるでしょう。
チルノ:(待て!ここは研究室だ!そんな物が…)
ルーミア:(大声出したら見つりますよ!)
チルノ:(しかも片手で持…)
ルーミア:(少しは静かにして!)
まずは頭上目掛けて振りかぶってみます。
するとアリスさんは私の行動よりも早く右腕を動かして防御しました。
金属特有の甲高い音がして受け止められてしまいました。
そして弾かれました。
片手で弾くという事はもの凄い腕力、又はかなりの強度を持った金属という事です。
棒状武器は取り扱いが難しいのですが、
どうやらアリスさんの爪手袋なら素早く攻撃が出来る様です。
証拠に私が一歩後ろに退くのが少しでも遅れていれば喉が裂けていたでしょう。
次に右肩目掛けて思いっきりぶつけたつもりなのですが、
これも爪手袋で防御されてしまいました。
なんて頑丈な爪なのでしょう。
本来ならこんなパイプを正面から切ったらナイフは普通刃こぼれしそうな訳なのですが、
見た所、対した傷は無い様でとても良い材質かもしれません。
リボルバー・アリス:「そんな武器では私には勝てん!」
私は右手だけでパイプを持ち、
仕事の依頼が無い左の肘で顎にダメージを負わせる事に成功しました。
後ろによろめいて完全に無防備になっている状態なので
蹴りを腹に命中させる事も出来ました。
リボルバー・アリス:「…そうだ、それでいい。戦いの基本は格闘だ。
武器や装備はそれを補う為にある!」
この言葉を合図にアリスさんは急に素早くなった気がします。
頭部目掛けてパイプを振るった所、姿勢を低くして避けられて
その状態で足払いをされたので何も準備をしていない私には直撃しました。
尻餅をついた私に向かって爪手袋を振り下ろされましたが、
右側に向かって一度体を横に回転して立ち上がる事で攻撃は床を引っ掻いて嫌な音を出すだけで終わりました。
立ち上がる時に右足を垂直に伸ばし、
左足に軸を置いて相手の腰に大きな打撃を与えて
少し前のめりによろめいた所でパイプを腹に向かって
フルスイングする事によって大ダメージを直撃させる事は出来たと思います。
リボルバー・アリス:「懐かしいな!この痛み、ずっと待っていた!」
また先程と同じ要領で左肩に向けてパイプを振りかぶってみました。
すると今度は爪手袋を使わずに
左腕だけで受け止めるという芸を見せてくれました。
次の瞬間でした。
腹部に激痛が走りました。
目をやるとそこには膝が私の腹に直撃していたのです。
とても痛かったです。
目を向けている先を元に戻すと爪手袋が私の頭上にあります。
これはとても危険。
とっさに身を引こうにも鉄パイプを強力な握力で握られて離れることが出来ない。
ここで武器を相手に与えてしまえばさらに危険。
握られたままの鉄パイプを強引に私の眼前に引っ張り、爪手袋の攻撃を防ぐ事が出来ました。
爪は鉄パイプにざっくりと食い込んでいます。
凄い切れ味ですね。
食い込んでいるのは刃物の中心辺り。
先端の尖っている部分は
私の額に当たるかその位で止まっている。
リボルバー・アリス:「思い出さないか!このバトルを!」
私はこんな戦いをした事が無い様に思います。
なんとかこの状態を抜け出す事が出来ました。
ガガガガガガッ
ポチ
レティ:「その桁外れな運動能力 …多分、そいつの体は強化骨格だ。」
文:「強化骨格?義手とかそういう物?」
レティ:「いや、根本的に違うな。義手や義足は失われた部分を補うのが目的。
強化骨格は人間以上の戦闘能力を実現する為に人の体を人工物に置き換える。」
文:「戦闘に特化している訳ですね。」
レティ:「開発が進まれていると噂は聞いた事はあるが、
あくまでも噂だと思っていた。まさか本当に存在するとはな。」
また爪手袋が飛んできた。
行動パターンは大体読める様になって来ました。
左手で爪手袋を壁に押さえつけ、残った腕で攻撃されても無視して鉄パイプを肩口に突き刺した。
アリスさんは意外にも突き刺してもびくともしませんでした。
悲鳴も何もあげません。
リボルバー・アリス:「もっと痛みをくれ!もっと!もっとだ!」
パイプを引き抜き、一回転させて頭部へと直撃させました。
私は奇妙な事に気が付いた。
普通、怪我をすると血を流す。
なのに、アリスさんは血を流さない。
代わりに木屑や糸が出てくる。
床にたくさんの糸が散らばっている。
一部、まだ魔力が残っていて光っている物もあります。
―これはまさか?
頭部へのダメージでよろめいている所を
失礼して、喉元にパイプで突きを入れた。
すると不思議な事に簡単に頭が宙を舞い、木片と糸が飛び散った。
首があった場所から断面を覗いて見ると、
そこにはやはり生き物は思えない物がありました。
そこは木材を中心に太い糸が何重にもなって筋肉の役割をしている様です。
これはどうやら頭部が無いと動かない仕掛けでした。
現にもう動いていません。
少しずつアリスさんの姿が消えて行き、
そこにはただの人の形を模した木片と糸だけが残りました。
ポチ。
文:「リボルバー・アリスです。リボルバー・アリスはどこかで生きています。
大佐、間違い無いです。」
パチェ:「そんな事は無いわ。奴は拷問部屋で死んだはず。」
メイリン:「そう、殺されたはず。でも生きていたのよ。」
パチェ:「なんですって?」
メイリン:「さっき魔道レーダーをのログを見たけど、
最初から拷問部屋にリボルバー・アリスは居なかったわ。」
パチェ:「それはつまり…」
文:「もしかして、今のと同じ人形?」
メイリン:「昔、CHOCOBO HOUNDでは人形に魔力を吹き込んで
制作者と同じ姿を持たせる実験がされていたのよ。」
文:「そんな実験が?元隊員の私でも知りませんよ。」
メイリン:「それは文さんが除隊した後の話ですから。
あの人形は制作者と限りなく似た魔法脳を持っているけど
記憶を修正してより殺意を増させる事も出来るわ。
そして感じる感覚を痛みだけにしているみたい。
これによって戦闘的に活動する人形が出来るのよ。」
文:「という事はまだあの人形がまだ複数居るという事?」
メイリン:「そうなるわね。人形は物体であって生命体では無いから
魔道レーダーには感知されないわ。気をつけて!」
文:「わかりました。」
文:「さてさて、そろそろ出てくださいよ。」
チルノ:「あ、もう終わってたんですか。」
ルーミア:「あなたも、仲間?」
文:「まぁ、そういう事になるでしょう。」
ルーミア:「奴らとは…違うようだね。」
チルノ:「ところでさ、今回は話す相手の手帳を渡してないから別にいいけど、
ルーミアの両手両足から生えてる糸は何?その糸を操ってる十字架は一体何!?
ほら!今、ルーミアの頭が後ろにがくんって倒れた!白目出てるよ!絶対意識無いよ!」
チルノ:「待って!二人して睨まないで!
そしてロッカーに入れないで!暗いよ!ここ密室だよ!
ってちょっと!ロッカーを潰さないで!出れなくなるから!」
文:「スカーレット・ギアの開発者、ルーミア博士ですね?」
ルーミア:「…私を知っているようだね。」
文:「リグルさんから聞いたのです。」
ルーミア:「助けに来てくれたの?」
文:「残念ですけど、そうじゃ無いです。
聞きたい事があるのです。」
ルーミア:「なんでしょう?」
文:「スカーレット・ギアについてです。
あれが作られた真の目的は?」
ルーミア:「フランドール。あれの事?あれは紅魔館に立ち入る物を
撃墜する為に作られた防御用の物だよ。
あ、フランドールってのはスカーレット・ギアのコードネーム。」
文:「コードネームについてはリグルから聞いています。
それはともかく、今回のスカーレット・ギアが
単なる生ゴミ搭載歩行戦車では無い事は判っています。」
ルーミア:「生ゴミ…一体何の事?」
文:「テロリスト達はスカーレット・ギアを使って
幻想郷全体に生ゴミ攻撃をしかけようとしているのです。
知らないはずはありません。」
ルーミア:「彼らは生ゴミを肥料にして
幻想郷に撒いて緑を多くしようとしているのでは無いの?」
文:「それが違うのです。積んでいる武器については知らされていないのですか?」
ルーミア:「武器?そんなの私には知らされませんよ。
武装は別の場所で作られていたんですから。」
文:「…まさか、本当に知らなかったとは…」
ルーミア:「でも、おおまかな武装については判りますよ。」
文:「生ゴミ以外に武器があるのですか?」
ルーミア:「ありますよ。クランベリートラップ、
レーヴァテイン、ファーオブアカインドがある事しか判りませんが…
きっと、これ意外にも武器を持っているかも。」
文:「レーヴァテインだって?」
ルーミア:「私も名前だけで正体については知らされてないの。」
文:「そうですか…。とにかく、情報をどうもありがとうございます。」
ルーミア:「そうそう、私はこの研究所、いや基地に詳しいから、
ここの事やフランドールの事なら遠慮無く聞いてくださいな。
それと、闇に姿を隠せるから食料貯蔵庫と武器庫に出入り出来るから、
何か欲しい時は届けてあげるよ。」
文:「それはとても嬉しいです。」
ルーミア:「私の遠距離会話魔法本に連絡したい時は、
そっちが持っている本の307ページ目を開いてセレクトボタンを押して。
それじゃあ、私は別の場所に隠れます。またどこかで会いましょう。」
チルノ:「やっと出れた!って何これ!誰も居ない!
文ー!ルーミアー!どこに行ったんだー!」
チルノ:「なんだ?そこの怪しい人!
私は迷子じゃ無い!勝手に誘拐するな!」
不思議な地下迷宮105F
文:「あれ!チルノが居ない!」
メイリン:「チルノなら106Fに拉致されているわ。」
文:「わかりました。探しに行きますね。」
不思議な地下迷宮97F
このフロアには小部屋がたくさんある。
そこには大量の食料が保存されている。
後で体力回復アイテムが不足したら戻ってくると良い場所だ。
だが、恐るべき悪魔がその場にたった今、到着した。
ルーミア:「食欲をもてあます。」
良い作品なんですが、文の視点でですます調と普通(?)の調子が混ざっていたので少し違和感を覚えました。
それと戦闘中、あまりに文が淡々としているので。
あれをメモとして手帖に書いているにしても、流石に平坦な気がします。
まあ、天狗ならもしかしたら分かりませんが、文花帖での妹紅との会話にしても自分の命の危険には怯えているようなので……。
まあ、私の言うことなのであまりお気になさらずに、これからも頑張ってください。
応援しています。
もちろん、性的な意味で。