「…で、何でこうなるかな?」
「…さぁ、何でなんでしょう。」
ここは博麗神社。今の時間は夜。いつもながらの宴会が行われていたのだが…。
「喰らえーっ!」ばしゅうぅっ!
「効かないわよっ!」ぼしゅっ!
何故かものすごい弾幕合戦が行われていた。
それを見ているのは2人。
「で、貴方は参加しないの?」
「というかわたしは被害者と思ってもいい気がするんですけど。」
「…まぁそうねぇ。向こうで争ってるし。」
「後片付け手伝いますよ。」
「…助かるわ。」
話し合っているのは霊夢と…何故かここにいる美鈴である。
憧れと
「まぁまぁ2人とも…人気があるってことよ。」
「そうなのかしら?」
「そうなんでしょうか?」
突如隙間から現れたのは紫である。
「まぁわたしも参加してもいいんだけど。」
「止めてよ?あんたまで参加したらどうなるか…。」
「わたしの場合は残ったぼろぼろになってる相手を倒すだけでいいのよ。」
「何ですって…まさか貴女も…?」
「そのあとに霊夢、貴女をおいs…ぐぼあっ!」ひゅごっ!
「あんたもかっ!」ぱしぃっ!
霊夢は紫に向かって思いっきり陰陽玉を投げつけた。そのまま紫は数メートル吹っ飛び動かなくなった。
「…大変ですね。」
「貴方もでしょ…というかどうするのよ。」
「はい?」
「もしあの3人のうち1人が勝ち残ったとして…わたしなら倒せるけど貴方じゃぁ…。」
「…そういえばそうですねぇ。うまくいっても引き分けくらいでしょうか。」
「何か秘策でもあるの?」
「まぁそんなところです。」
霊夢と美鈴はそんな話をしているのだが、周りの状況を説明すると。
魔理沙VSアリスVSレミリアVS萃香 と 妖夢VS咲夜VS妹紅 で弾幕しあっているのだ。
他の連中は寝てたり、写真を撮ってたり、応援してたりする。
「…何でこんなことになったんだっけ?」
「…えーっと。確か…あの鬼の一言がきっかけだったような。」
[数時間前]
「酒が足りない~。」
「瓢箪があるでしょ貴女は。」
「違うお酒が飲みたいのっ!」
「レミリアがいっぱい持ってきてたじゃない。」
「ワインはそんなに好きじゃないの~。」
霊夢と萃香はそんなやり取りをしていた。
そもそもこの宴会は何故かは分からないが行われているものである。霊夢は食事のためだけに了承したという経緯があるのだが…。
「お久しぶりです、霊夢さん。」
「あら?珍しいわね…貴女まで来ているなんて。門番のほうはいいの?」
「まぁそうなんですけど…今日はパチュリー様が紅魔館の周りに新しい魔法障壁を張ってるんですよ。」
「魔法障壁?」
「えぇ…まぁ実験的にってことみたいですけど。それで大抵の妖怪は近づけないとか。」
「対マスタースパーク用の実験かしらね…魔理沙と対戦してから頑張ってるみたいだし。」
「あら…アリス?魔理沙はどうしたのよ。」
「向こうよ…まぁ見れば分かるわ。」
そういってアリスが指を指した方向には…。
「うぃー…。」
「く~…。」
「…師弟で酔いつぶれてるわね。」
魔理沙と魅魔が並んで寝ていた。
「飲み比べしてダブルノックダウンよ。」
「というか魅魔は悪霊じゃない…。」
「それは幽々子と同じじゃない?」
「…それもそうね。」
と、そのとき。
「れ~む~…。」ぎゅむぅ
「わきゃぁっ!?」
霊夢の後ろから萃香が抱きついてきた。
「いいにおいー…。」すりすり
「…何してるのよ。」
「酔ってますね…絡み酒なんでしょうか?」
「ちょっと萃香…離れなさいよ。」
「やだー…。」すりすり
ぎゅっと抱きつき頬擦りしている。
「かなりの力入れてますね。」
「く…アリス、剥がすの手伝って。」
「てぃっ!」びしっ
と萃香の首に一撃。
「はぅっ。」
一瞬力が弱まった隙に霊夢は萃香の腕から抜け出した。
「はぁ…ありがと。」
萃香は首を押さえながら…。
「むー…霊夢は渡さないよっ!」
「ちょっと萃香?何を言って…。」
「アリスだっけ?あんたも霊夢のこと好きなんでしょ?」
「なっ!?」
「…はい?」
「へー、そうだったんですか。」
アリスは驚き、霊夢は?顔、美鈴は何か納得したような顔をしている。
「へへーん。気が付かないのは本人とあまり馴染みのない人くらいで、霊夢をいつも見てるわたしから見ればばればれよ。」
「~~~っ!」ぼんっ
アリスは耳まで真っ赤になりながら萃香を睨み付ける。
「あ、アリス?」
「あ~…これはやばいかも。」
「何か反論は~?」
「わ、わたしは別にっ…。」
「いいのかなー…霊夢の前でそんなこと言っちゃって後悔するんじゃないの?友達のいない人形遣いさん?」
「(ぷちんっ)このっ!上海っ!」ごあぁっ!
萃香の一言に一気に頭に血が上ったアリスは、上海を呼び寄せ萃香に弾幕を放つが。
「あははっ!」ひゅんっ!
萃香は笑いつつ弾幕を避け、空へと飛んでいった。
「まてぇっ!」ひゅっ!
アリスもそれを追いかけていった。
残された2人はというと。
「…アリスって誰か好きな人がいるみたいだったのは知ってたけど、魔理沙じゃなくてわたしのことだったのね。」
「まぁアリスさんは良くしてくれる人は好きになっちゃうと思いますから。」
「ってことは何?魔理沙も好きってこと?」
「パチュリー様もだと思いますよ?」
「…なるほど。それもそうね。」
「ずっと1人でいたからそういうのに弱いし、憧れてるんですよ。きっと。」
「まぁ分からなくはないけど…。」
「それにアリスさん自身は気が付いてないかもしれませんけど…アリスさん結構可愛いですし。」
「自分に自信がないだけなのよね…全く、わたしから言わせてみればアリスはもう友達なんだけどなぁ。」
「わたしもそうだと思ってるんですけどねぇ…。」
そんなことをいいつつ弾幕を見ていた。
「霊夢はわたしのものっ!」
「させないわよっ!」
そこにさらに弾幕が飛んできた。
「紅符『不夜城レッド』」どっ!
「くうぅ!?」
「恋符『マスタースパーク』」どがあぁっ!
「うきゃあぁっ!?」
「わたしたちも。」
「参加させてもらうぜっ!」
会話を聞いていたレミリアと魔理沙がそれに参加した。
「あー、いつの間にか魔理沙も起きてるわね。」
「やっぱりお嬢様も参加ですか…あの2人も霊夢さんのことが好きなんですね。」
「好き…ねぇ。」
美鈴の後ろから急に妹紅が声をかけた。
「はわっ!?妹紅さん!?」
「不死人じゃないの…どうしたのよ?」
「わたしは美鈴さんのほうが好き~。」だき
そう言って美鈴に抱きついた。
「はふぅっ!?」
「酔ってるわね…。」
「ちょっ…妹紅さんっ!?って何気にすごい力!?」
「んー…。」ぎゅー
それを見て反応したのは2人。
「何してるのよっ!?」
「何してるんですかっ!?」
「メイドに庭師…貴女たちには美鈴さんは渡さないー。」
咲夜と妖夢である。
「へ?」
「なっ!?」
「くっ…。」
「えーと…まさか3人とも…?」
3人とも酔っているようであるが…目が本気と書いてマジである。
「向こうみたいに力ずくでやる?」ざっ
「望むところよ…。」ちゃ
「行きますっ!」ちゃきんっ
[そして戻って現在]
「…で、霊夢さんは誰を選ぶんです?」
「…貴女もよ?」
「そうですねぇ…でも霊夢さん?」
「何?」
「もう1人…参加ですね。」
「は!?」
「花符『幻想郷の開花』!」ぶおおぉぉっ!
「うおぉっ!?」
「なっ!?」
「面白そうなことしてるわね…わたしも参加させてもらうわよっ!」ごおぉっ
4人に弾幕を放ち、そのまま向かっていったのは…。
「…幽香じゃない。」
「さっきまで寝てたようですけど…気が付いたみたいですね。」
「なるほど。」
「しかしあれだな…止めなくていいのか?」
2人に声をかけてきたのは慧音と。
「まぁ…無理だろうから後できつく言うしかないんじゃないの?」
永琳である。
「貴女はあの不死人のことが好きじゃないっけ?」
「まぁそうだが…他に好きな人がいてもわたしは構わないからな。」
「浮気おーけーってこと?」
「いやいや…お互いに好きあっていれば問題なかろう。」
「それにここは幻想郷なのよ。それくらいは別にいいんじゃない?」
「あんたらは…。」
「まぁまぁ…それは一理あると思いますし。」
「…まぁいいけど。それよりあの姫はどうしたのよ?」
「さっき邪魔しようとして弾幕を撃とうとしたところに、あの3人が気が付いて一斉射撃されていたわ。」
「…そりゃ災難で。」
「それで今復活中よ。あっちでうどんげとてゐが診てるわ。」
少しはなれたところを見ると。
「ぅーぁー…。」
「姫っ!しっかりしてくださいっ!」
「だからほっといても復活するって。」
「…。」
ぼそぼそと何か輝夜は何か言おうとしている。
「何ですかっ!?」
「…美鈴って人…亡き者にすればもこたんはわたしにっ!」がばっ
「ってそんなことを言ったら!?」
「六道剣『一念無量劫』」どっ!
「メイド秘技『殺人ドール』」ひゅがっ!
「蓬莱『凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-』」ごああぁぁぁっ!
3人はその言葉を聞き、一斉に輝夜目掛けて弾幕を放った。
「復活していきなりっ!?ぐきゃあぁっ!」ごがががががっ!
「やっぱりですかぁっ!避けきれ…あぅっ!」どむっ!
「何でわたしまで~っ!」ひゅー
鈴仙とてゐは爆風で吹っ飛ばされただけだが、直撃を受けた輝夜は殆ど跡形もなく吹っ飛んでいた。
「…あら。」
「災難続きね。」
「鈴仙さんまでも…。」
「いっそのことこの夜だけ食べてしまうか?」
「…まぁそれもいいんだけど、これも一興ということでいいんじゃない?」
「さすが霊夢さんですね。」
「まぁそれもいいんだが…これは文にしてみればいい場所だな。」
「ネタには困りませんけどね。」ふわり
「噂をすれば…ってどうしたのよ?」
「いえーこれで多分争奪戦?は全員参加っぽいので、心境を聞きに来たんですが。」
「紫はさっき沈黙させたけどね。」
「で、2人とも今はどんな感じですか?」
「せめてもうちょっと高いところでやってほしいわ。」
「悪い気はしませんけど、霊夢さんに迷惑ですよね。」
「ふむふむ…では肝心の質問なんですけど…すばり誰が好きなんです?」
「直球ね。」
「まぁ一番いい質問だと思いますが?」
「まぁそうだけど…。」
「で、どうなんです?」
「それじゃ逆に質問、貴女は誰が好き?」
「へ?わたしですか?」
文は少し考え込むと。
「わたしは…好きな人を限定は出来ませんかね~。」
「は?」
「わたしを好いてくれる人がいれば言いと思ってますから。まぁしいていえば…この幻想郷が好きってところでしょうか?」
「わたしもそれと同じよ。」
「…なるほど。」
「わたしもそうですね。」
「ふんふん…分かりました。」
「ま、でもさすがにこういう喧嘩っぽいのは勘弁してほしいけどね。」
「場所に寄らず迷惑ですよね。」
「そうですねぇ…ではありがとうございましたっ!そういうことでっ。」びゅんっ
文はカメラ片手に飛んでいった。
「要するにさっきわたしが言ったのと同じということか?」
「まぁそうね。」
「そうかもしれませんね~。」
「でも今はどうするのよ。」
「周りを見れば分かるわよ?」
「…あぁなるほど、そういうことね。」
「は?」
「ぼろぼろになっていればいるほど効くでしょうから。」
「ま、後でのお楽しみということで。」
[さらに数時間後]
「ふー…何とかなったわね。」
「ぜーぜー…勝ったわ。」
結局…途中から参加していた幽香、そして妹紅が残っていた。
「まぁ予想通りね。」
「そうですねぇ…。」
「さぁ霊夢…わたしと一緒に…。」
「美鈴さん…。」
「はっ!」ひゅんっ
「はぅっ!?」ごちんっ
霊夢は陰陽玉を幽香に投げつけた。
「い、いきなり何を…。」
「周りを見なさい。」
「は…?」
「神社の境内だけじゃなく、社まで被害が及んでるのが見えないとは言わせないわよ。」
「…えーと。」
「喧嘩の前に周りをよく見なさい。」
「うぐ…。」
「えーと美鈴さん…?」
その光景を横目に、妹紅は美鈴に話しかけるが。
「奪い合う、というより子供の喧嘩にしか見えませんでしたよ。」
「え…でもそれは…。」
「もうちょっと大人だと思ってたんですけど残念です。しかも霊夢さんに迷惑かけてるし。」
「う…。」
2人はそんなことを言われてがっくりとしてしまう。
「ということで罰として後片付けよろしくー。」
「あとで咲夜さんたちも起こして手伝ってもらいましょう。」
「あぁ美鈴さん、貴女は帰っていいわよ?」
「えと…いいんですか?」
「それよりそこで倒れてるパチュリーと小悪魔さん、フランを運んであげるほうが先決よ。」
「へ?…パチュリー様?」ゆさゆさ
美鈴は倒れているパチュリーに近寄り揺すってみるが。
「魔理沙とかアリスとかの真似して無理して飲んでたみたいだから。小悪魔さんは大妖精とかと飲んでたし…フランは魔理沙やレミリアの真似して飲んでたみたいだけど。」
「えーと?パチュリー様ー?…って明らかにやばい顔色してるんですけどっ!?」
ごろんとうつ伏せになっていたのを仰向けにしてみると…明らかにやばそうな顔をしていた。
「小悪魔さんは一番最初に潰れてたから起こせば起きると思うけど?」
「こ、小悪魔さ~んっ!」
美鈴は近くに倒れていた小悪魔を揺すり始めた。
「えーっと霊夢…?」
「幽香…目がすっきり覚めそうな香りの花でも出して、みんな起こして片付けしなさい。」
「えーとこういうときは…逃げるが勝ちねっ!」
そう言いつつ高速で逃げようとしたが…。
「『二重結界』」ぶぉん
「ぅわっ!?」ごちんっ
幽香は二重結界に閉じ込められてしまう。
「逃げようたって無駄よ。あとそこもね。」ぶぉん
「はぅあっ!?」ごんっ
気づかれないように逃げようとした妹紅も同じように捕まった。
「さーてと…ぶつぶつ。」
「な、何を?」
「『高展開捕縛式二重結界』発動っ!」ぶぅんっ!
「はっ!?」
「そのスペルは何よ…?」
「わたしが後片付けが終わったと判断したら解いてあげる。」
「…効果は?」
「範囲は博麗神社の敷地限定で、わたしの許可なしに出ようと思ったら二重結界が発動するのよ。」
「うげ…。」
「何てスペルよ…。」
「まぁ結界の効果が高い博麗神社の敷地内だからこそ出来るスペルなんだけどね。ということで、よろしく~。」
「ではわたしはパチュリー様がやばいのでそろそろ帰りますね。」
「えぇ…て本当に見るからにやばそうね。」
「ぅーぐー…。」ぐったり
パチュリーは美鈴に背負われている。
「頭痛いですけど…頑張ります~…。」
「妹様…大丈夫ですか?」
「な、なんとかー…。」
「…その一番顔色が悪いのにこれを飲ませてあげなさい。酔い覚ましよ。」
「えーっと…ちゃんとしたものですか?」
「さすがにこの顔色を見て新作とか実験作は渡さないわよ。今も1錠飲ませて、帰って休んだらまた飲ませなさい。」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
「また遊びに来るときはお土産持ってきなさいね。」
「はいっ!ではお先に失礼しますね。」ひゅん
そういって3人は紅魔館へ向かって飛んでいった。
「さてと…起きてるんでしょ?そこの亡霊の姫さん。」
「気が付いてた?」
むくりと近くに倒れていた幽々子が起き上がる。
「まぁね。聞いてたと思うけど、あんたのとこの庭師借りるわよ。」
「えと…わたしの食j…何でもありません。」
幽々子は何か言おうとしたのだが…霊夢の気迫に押されてそういってしまった。
「よろしい。」
「まぁわたしが食事を作りますよ…紫さまも橙たちも運ばないといけないですし。」
藍は片手に紫を担ぎ、反対側に橙を抱えている。
「助かるわー。」
「わたしも姫とうどんげたちを運ばないと…。」
「チルノちゃんとルーミアちゃんー、帰るわよー。」
「どうやらリグルやミスティアも完全に寝ているようだな…プリズムリバー3姉妹は大丈夫か?」
「まぁ何とかね…それに荷物とかは簡単なものしか持って来てないから大丈夫よ。」
「助けてけーねっ!」どんどんっ
「自業自得だろう?ちゃんと片付けて帰ってきなさい。」
「ぅ…。」
「それでは失礼する。」
「また宴会するときは呼んでねー。」
「はいはい。新聞屋にでも頼むわよ。」
「呼びましたか?」
「…あんたまだいたのね。」
「まぁ一通り写真も撮ったので、これから帰って編集でもしようかなと思ってたところなんですよ。」
「…まぁ変なこと書かなければそれでいいわ。」
「分かってます。それではっ!」ひゅんっ
「さーて…あ、それともう1つ。」
霊夢は皆が飛んでいったのを確認し、幽香たちに向き直ると。
「…何よ。」
「分かってると思うけど、片付けの他にもやることはあるのよ?」
「…まさか。」
「そのまさか。ちゃんと壊れた境内や社も直しておきなさい。」
「な…。」
「早くやらないと帰れないわよ?」
「ぅ…分かったわ。」
「仕方ないかぁ…。」
「大工道具はそこに置いてあるから。それじゃ頑張ってねー。」
そういって霊夢はふわりと浮いた。
「…霊夢?ちょっと、何処に行くのよ?」
「結構時間がかかりそうだから紅魔館に行ってくるわ。」
「はい?」
「よく見ればその理由も分かるわ。それじゃ…わたしがいないからって逃げないようにね。」
霊夢はそういうとすぐに飛び立って行ってしまった。
「ちょ…って行っちゃったわ。」
「…えーと。てぃっ!」ぼぅっ!
ばしゅぅっ!
妹紅は火炎弾を放つが、それは消滅してしまった。
「…。」ひゅんっ!ごちっ!
今度は飛んで行こうとしてみたが、何か硬いものにぶつかった。
「本当に無理みたいね。しかも博麗神社内限定だから防御力も上がってるわ。」
「いたた…みんな起こして早めに終わらせましょう…。」
「そうね…とりあえず目覚まし用に香りのいい花を…。」
「何でわたしまで…。」ざっざっ
「それはこっちのセリフよ…。」どごっ
魔理沙は箒で境内を掃いていた。
ちなみにもう日が昇っているため、レミリアは片手で日傘を差している。そして片手で捲れ上がっている岩盤を直していた。
「ぼやいてないでちゃんとしなさい。あ、上海!それはそっちじゃないわよ。」
アリスはゴミを人形たちと一緒に処理していた。
「逃げようとしてもダメ…サボろうとしてもダメなんてね…。」
「サボろうとすると弾幕が飛んでくるなんて…何てスペルよ。」
妹紅、幽香は壊れた屋根を補修していた。
「うわ…。」
「霊夢さんが言ってたのはこのことですね…。」
妖夢と萃香は家の中を調べていたのだが。
「どうした?」
「よーく見てください…これなんですが。」
「…げ。衝撃のせいか…。」
「どうしたのよ?」
「いや…これを見れば分かる。」
「何よ…って柱にひびが入ってるじゃない!?」
「このまま住んでて雪とかどっさり降ったら…。」
「それにここは霊夢の寝室じゃない…そうなったら霊夢は潰れるわね。」
「それはやばいんじゃない…?」
「死んだら恨まれるどころじゃ済みそうにないぞ…。」
「屋根ごと一旦ずらして柱自体を取り替えるか、補修しないと無理ですよこれ。」
「補修ね…そうだ。萃香さん。」
「ん?何?」
「ひびが入ってる柱の部分に木の物質を萃めて補強してくれないかしら?」
「なるほど…その手があったか。」
「りょーかいー。」
「その後に全体的に補修して見栄え良くしておけばいいのよ。」
「…長年何もしてないんだろうが、よく見れば全体的にボロボロだな。」
「…ほんと。よく持ってるわね、この神社。」
「紅魔館はいつもメイドたちがいるし、壊れてもすぐに直せるけど…。」
「いっそのこと全体的に修理しちまうか?」
「まぁ霊夢のことを考えると、ね…でもその前にここから出れないから材料が足りないわ。」
「そういえばそうだね…まぁ今は言われたことをやるしかなさそう…。」
「まぁそうね…とりあえず早く終わらせて先に帰った美鈴にお仕置きを…いたっ!?」ごんっ
咲夜の頭目掛けて弾幕が飛んできた。
「美鈴さんは悪くないってことみたいね。」
「いたた…この結界は霊夢とリンクしているの!?」
「どうやらそうみたいね…。」
「全く…とりあえず作業を進めようぜ。」
「んー…こういうお茶も中々美味しいわね。」
「あはは。そう言ってもらえるとありがたいです。」
霊夢と美鈴の2人は美鈴の部屋でお茶会をしていた。
門番の仕事はというと…霊夢が美鈴が中国茶を淹れるのが得意だと咲夜から聞いていたので、無理矢理引っ張ってきたのだ。美鈴自体はさすがに仕事がある~と断ったのだが、霊夢はそれならと紅魔館に張ってあった魔法障壁を自分の結界と組み合わせてさらに強力にしてしまった。門番隊は唖然、そして霊夢はこれでいいんでしょ?と言って美鈴を引っ張って美鈴の自室まで来たのだ。
「いたた…。」
「あ、パチュリー様。」
「あれ…?美鈴?」
「やっと目が覚めたのね…。」
ちなみにフランと子悪魔は自力で自室に戻ったのだが、パチュリーはやばい顔色だったので美鈴の部屋につれてきていた。
その後美鈴はお茶を淹れる前に気の力でパチュリーを治していた。
「あぁ、無理に動いたらダメですよ。」
「ぅ…。」
「戻ってきたときに気の流れはきちんとしておきましたから。あとこれを飲んでください、あの薬師さんからもらったものですので。」
「ありがと…。」
パチュリーは美鈴から渡されたお茶と錠剤を飲んだ。
「…ふぅ。」
「お酒に慣れてないのにあんなに飲むからよ。」
「ちょっと無理したわね…って何で貴女が美鈴の部屋にいるのよ。その前に美鈴、門番の仕事はどうしたの?」
「いえ…それなんですが…。」
「外の魔法障壁ね、あれ結構強力だったけど。一箇所だけ弱いところがあったからわたしの結界を上乗せしておいたわよ。」
「…は?」
「魔法障壁の発生部分。あれ門の内側にあったじゃない?そこの部分から大体真上、門の上に当たる部分が弱かったわよ。」
「さすがですね。」
「結界に関してはあのスキマ妖怪に次いで得意みたいだし…すごいわね。」
「ありがと。」
「で、わたしは引っ張られてきて、こうやって霊夢さんにお茶を出しているというわけです。」
「ところでレミィと咲夜、フランに小悪魔はどうしたの?」
「小悪魔さんと妹様は自室に戻って寝てますよ。」
「レミリアと咲夜は昨日の後始末中。」
「後始末?」
「貴女は気を失ってたけどね。あの後喧嘩が始まったのよ。」
「というより奪い合いというべきでしょうか…。」
「それで境内どころか社まで被害が及んでね。」
「今その修理をしてます。」
「なるほど…だから後始末ね。でも喧嘩って原因は何よ?」
「えーっと…。」
「わたしと美鈴さんの奪い合いよ。」
「は?」
「要するに争奪戦?そんな感じよ。」
「…何となく察しはついたわ。貴女たち人気あるもの。」
「あはは…。」
「まぁ悪い気はしないんだけど、迷惑考えずにやるのはさすがにね。」
「後先考えず、しかも周りを見ずに弾幕るのばかりだからよ。」
「何かあると弾幕しちゃいますからね…。」
「魔理沙だけじゃなくレミィもそうだし、あの咲夜でさえ頭に血が上るとそうなるじゃない。」
「…そういえばそうですねぇ。」
「迷惑かけすぎよ…全く。」
「まぁ注意しても無駄ってものね。さて…だいぶ気分も良くなってきたから自室に戻るわね。」
「あとでメイドたちに小悪魔さんの分も含めて食事を持って行かせますね。」
「分かったわ。それじゃぁ。」がちゃ
そう言ってパチュリーは部屋から出て行った。
「さて…もう一杯ちょうだい。」
「あはは…帰らなくていいんですか?」
「結界張ってきたから大丈夫よ。」
「結界って…閉じ込めちゃったんですか?」
「うん。」
「うんって…。」
美鈴は冷や汗を流していた。
「てか…屋根とか完全に破壊されてるところがあるから瓦とか足りないぞ。」
「どうするのよ。」
「どうするって言われても…何処かから持ってくるしかないわよ。」
「貴女でも無理?」
「萃められなくはないけど…たぶん他のところから盗むことになっちゃうから結界が反応すると思うんだけど。」
「それもそうですね…。」
「それに作るにしても面倒だし…。」
そこに大荷物を抱えた人が飛んできた。
「霊夢のことだからそんなだろうと思ったよ…大変そうだな。」
「あ、けーねっ!」
慧音である。
「古家で使わなくなった瓦や、木材なんかを持ってきたぞ。」
「ありがと~!」
「まだかかりそうなのか?」
「破損箇所が多すぎて大変よ…まだまだかかると思うわ。」
「ふむ…まぁ霊夢のことだからわたしが能力を使おうとしても無駄だろうな。」
「むぅ…。」
「まぁあとで食事やらも持ってくるから、頑張ってくれ。」
「全く…何でこんなことをしなくちゃならないのよ。」
「自業自得だろう…。」
「そういえば。」
まだ2人は美鈴の部屋でお茶を飲んでいたのだが。
「はい?」
「ちょっと気になったんだけど…誰が一番なのよ?」
「へ?」
「いや…貴女の話を聞いてると、あの不死人の妹紅と咲夜は親友、妖夢は後輩って感じじゃない。」
「それを言うなら霊夢さんもですよ?」
「わたし?」
「みんな友達って感じで。」
「あー…そうかもね。」
「で、どうなんですか?」
「貴女こそ。」
お互いにじーっとにらみ合っている。
「…にらみ合ってても埒があきませんね。」
「そうね。」
「結局…他に誰か好きな人がいるんですか?」
「…それじゃぁ交換条件。貴女も教えて?」
「…分かりました。でもいるかいないかだけで。」
「分かったわ。」
「じゃぁ同時に。」
「えぇ…せーの。」
「「いる。」」
「…。」
「…。」
2人とも言ったと同時に驚いていた。
「てことは何?お互いにあの争奪戦してたやつら以外に好きな人が別にいると。」
「そうみたいですね…。」
「で?誰なのよ。」
「そ、そんなこと言えませんよっ!」
「でも他に…案外わたしだったりして?まさかね。」
「…。」かあぁ
美鈴は顔を真っ赤にしている。
かなり分かりやすい顔であった。
「…え?まさか…本当に?」
「…えと、その…はい。」
「…でも何でわたしなのよ?」
「さすがに隠し切れませんでしたね…でもこうなったら言いますね。前はお嬢様や咲夜さんのことが好きでした。」
「…。」
「でも憧れのほうが強かったんですよ。でもそんなときにその憧れの人を倒したのが…。」
「わたしだったってことね。」
「そういうことです。最初は憧れだったんですけど…でもそこからがお嬢様や咲夜さんへの思いとは別の方向へ向かっていったんです。」
「好きに変わったって事?」
「全てにおいて完璧って感じなので…。」
「そうでもないわよ?というかそれ言ったら咲夜のほうが完璧じゃないのよ。それに魔理沙だって…。」
「咲夜さんは従者としては完璧ですね。それに魔理沙さんはどっちかというと完全な敵って感じでしたし。」
「なるほどね…でもわたしから見たら貴女こそ完璧じゃない。」
「そ、そうですか?」
「料理も出来るし、優しいし。」
急にそんなことを言われたので美鈴はさらに真っ赤になっている。
「優しいのは霊夢さんもですよ。」
「そうかな…ん、そうね…貴女も好きな人のことを言ったのならわたしも言わないとね。」
「…いいんですか?」
「いいのよ。だって目の前にいるんだし。」
「…はぃ?」
美鈴は唖然。
「…。」ぼんっ
霊夢は真っ赤になりながらお茶をすすっている。
「えーと…えええぇぇぇっ!?」
そして絶叫…かなりの大声で叫んだ。
「…なんか馬鹿みたい。ものすごく緊張してたのに。」
「えと…そうは見えなかったんですけど。」
「わたしから見れば貴女もよ。こっちは一杯一杯だったのよ?」
「わ、わたしもですよ。実はお茶を淹れてたときも手が震えてましたしっ!」
「…こういう機会でもなければ2人きりになることも出来ないと思ってね。」
「あ、それでさっきも…。」
「そういうこと。いつもなら絶対に邪魔が入るからね…少し強引に引っ張ってきたってことよ。」
「あはは…そうですね。」
「…。」
「…。」
お互い真っ赤になり、黙り込んでしまった。
「えーと…隣いいですか?」
「ん…いいわよ。」
「えへへ…。」
「…。」ぼんっ
「結局…もぐもぐ、霊夢は、んくっ、誰が好きなんだろう、ぷはぁっ、な。」
あれから少したった後、慧音は大きなお弁当を抱えて神社にやってきた。
「食べるかしゃべるかどっちかにしなさい。」
そして現在昼食中である。
「美鈴さんもね。けーねなら分かるんじゃない?」
「分かったとしても教えんよ。」
「教えなさいよ。」
「さすがに霊夢には逆らえる気にはなれないからな。それにそれは個人の好きだろう?」
「まぁそうだけど…。」
「気になるわね。」
「まぁとりあえず…これを終わらせましょう。」
「そうですね。」
そしてまた各自作業を始めた。
「何か恥ずかしいわね…。」
「そうですね…。」
その後2人はお互い真っ赤になりながら並んで座っていた。
「手…いいかしら?」
「いいですよ。」
「ん…。」ぎゅ
「…霊夢さんの手、暖かいです。」
「…よくそんな恥ずかしいこと言えるわね。」
「あはは…でも霊夢さん、わたしのどこが好きなんですか?」
「…わたしにはないものを持ってるからよ。」
「霊夢さんにはないもの…?」
「まずはその体型。」
「えーっと…。」
「後はみんなに気を回せるってところね。」
「…そうでしょうか?」
「わたしにはないのよ…気を使うことなんて出来ないし。」
「でも…やろうと頑張ってるんでしょう?」
「貴女を見てから特にね。頑張ろうと思えば思うほど、貴女が凄いと思えてくるのよ。」
「…ありがとうございます。」
「ん…でも良かった。」
「はい?」
「美鈴さんもわたしのこと好きでいて…。」
「…わたしもです。」ぎゅ
「ん…。」
二人はお互いを抱きしめあい、美鈴は霊夢の頭を時折撫でたりしていた。
「これで終わり…か?」
もうすでに夕方近くである。
「やっと終わったのね…さすがにこの日差しの中ではきつかったわ…。」
「早く帰らないと…。」
「ね、眠いぃっ!」
そういいながら飛ぼうとするが…。
「ん?…結界が解けてないわね。」
「えと…?」
「まだ何かあるってのか…?」
「…探してみましょうか。」
各自ばらけ色々見回りを始めた。
「…。」ぎゅ
「…。」なでなで
「…そろそろ時間ね。」
「あ、もうですか…。」
「名残惜しいけど…また遊びに来るわ。そのときはまたお茶を淹れてちょうだいね。」
「はいっ!」
「結界を解いてと…。」
「ここから操作できるんですか。」
「まぁ張るのは無理だけど解くことくらいはね。」
ぶぅん
「お?結界が解けたみたいだな。」
「…寝てたのかしらね。」
「紅魔館のベッドはふかふかですからね。」
「それじゃまた次の宴会で。」
「帰って寝よう…さすがに疲れた…。」
「そろそろレミリアと咲夜が帰ってくるころね。」
「はい…。」
「また遊びに来るし、宴会のときには来なさいよ?」
「はい。」
「ん。それじゃ出ましょうか。」
「あ、待ってください。」
「ん?まだ何か…んぅっ!?」
美鈴はぐぃっと霊夢の顔を自分のほうに向けさせ…。
「ん…。」
「んん…ん…。」
唇に自分の唇を合わせた。
「…はぁ。」
「…やっぱり恥ずかしいことが好きなの?」
「そうかもしれませんね~。」
「でもありがと…。」
「はい…こちらこそです。」
「帰ったわ。」
「ただいま。」
もうすでに日は落ちている。
「おかえりなさい。」
「遅かったわね。」
門の前でレミリアと咲夜を美鈴と霊夢は迎えていた。
「破損箇所が凄かったから大変だったわよ…。」
「ほとんどはさっきの弾幕のせいだからね。」
「美鈴…。」
「はい?」
「あとでお仕置き…いたぁっ!?」ごんっ
「美鈴さんは悪くないでしょう?」ぱしっ
「…やめておきなさい、咲夜。」
「…分かりました。」
「とりあえず今日は明日まで眠るわ。昨日から寝てないし…。」
「わたしも眠らせてもらいます…久しぶりにこんなに起きてた気がするわ…。」
そう言って2人は部屋へと飛んで行った。
「さてと…あ、そうだ美鈴さん。」
「はい?」
「これ持っておきなさい。」
ひょいっと何処からか小さい袋のようなものを取り出し、美鈴に渡した。
「お守り…?」
「ま、御利益はあるかないかは分からないけどね。」
「あはは…ありがたくもらっておきますね。」
「それじゃ…またね。」
「はい。お気をつけてー。」
[後日]
あれから数日後…紅魔館門前。
「また来たぜっ!」
「また来ちゃいましたか…。」
今日も魔理沙が飛んできたのだが…少し違う顔つきである。
「一応許可はもらってあるんだが…今日は別用でな?」
「はい?」
「この間先に帰っただろ?そのお返しだっ!」
「逆恨みじゃないですかぁっ!?」
魔理沙は符を構え…。
「問答無用っ!恋符『マスタースパーク』!」ごああぁぁぁっ!
「う、うわあぁぁっ!!」
衝撃と閃光が美鈴に襲い掛かる。
「…ふぅ、すっきりし…なにぃっ!?」
「…あれ?」ばしゅうぅぅっ!
しかし…美鈴にあたる寸前でマスタースパークは消滅してしまった。
「ふ、防いだだと!?」
「これは…?」
撃った魔理沙から見ると美鈴が防いだようにしか見えなかった。
「ちっ!恋符2枚連続っ!『ダブルスパーク』!!!」どっどごおぉぉっ!
魔理沙はさらに2枚撃ってみるが…。
「…えーっと。」ばしゅっばしゅうぅぅっ!
「な、なんてやつだ…。」
それすら防いでしまう。
「わたし何もしてないんですけどー。」
美鈴は何がなんだか分からずにいる。
そして魔理沙は…。
「こうなったらこれを…魔砲!『ファイナルスパーク』!いっけえぇぇっ!!!」ど…ごおおおぉぉぉっ!!
自分の最大魔砲を放つ、が。
「…まさか。」どしゅううぅぅっ!!
美鈴は自分の首にかけていたお守りが光っていることに気が付いた。
どうやら霊夢がこのお守りに、美鈴が何かダメージを受けようとしたときに結界が発動するように仕込んで置いたらしい。
しかもかなり強力な結界が発動するようになっているようだ。
「…う、嘘だああぁぁぁぁぁっ!」ひゅごぉっ
魔理沙はファイナルスパークすら防がれたショックからか、泣きながら飛んでいってしまった。
「あ…行っちゃった。…霊夢さん、ありがとうございます。これ、大事にしますね。」
「霊夢うぅぅっ!」
あの後…魔理沙は自分が出せる最高速度で泣きながら霊夢のところへと来ていた。
「…どうしたのよ。珍しいわね、貴女が泣くなんて。」
「あの門番に魔砲が効かなかったんだっ!」
「へー…(あのお守り…良かったわ、ちゃんと防いでくれたのね)。」
「自信がなくなってきた…。」
「で、何でわたしのところに来るのよ。」
霊夢は少し冷たい目で魔理沙を見る。
「分からないのか…?」
「用がないならさっさと帰って実験でもしてなさい。」
「暇そうじゃないか…。」
「わたしはこれから出かけるのよ。」
「ぅ…。」
「誰かに慰めてもらいたいなら、アリスのところでも行けばいいじゃないの。」
そう冷たく言い放つと…。
「霊夢の馬鹿ぁっ!うわああぁぁぁんっ!」たたたたただんっひゅおぉっ!
魔理沙はさらにショックを受け、大泣きで飛んで行ってしまった。
「…ま、こんなとこかしらね。大雑把な魔理沙にはわたしより、アリスみたいな細かいところを気にする人がお似合いよ。」
霊夢は箒を何時もの場所に置くと。
「さーてと…お茶でも飲みに行こうかしらね。」
そういって紅魔館へ向かって飛んでいった。
霊夢の顔は晴れ晴れとしていて、まさに楽園の巫女の顔つきであった。
その後魔理沙はアリスとくっついてまた一騒動起こるのだが…それはまた別のお話。
「…さぁ、何でなんでしょう。」
ここは博麗神社。今の時間は夜。いつもながらの宴会が行われていたのだが…。
「喰らえーっ!」ばしゅうぅっ!
「効かないわよっ!」ぼしゅっ!
何故かものすごい弾幕合戦が行われていた。
それを見ているのは2人。
「で、貴方は参加しないの?」
「というかわたしは被害者と思ってもいい気がするんですけど。」
「…まぁそうねぇ。向こうで争ってるし。」
「後片付け手伝いますよ。」
「…助かるわ。」
話し合っているのは霊夢と…何故かここにいる美鈴である。
憧れと
「まぁまぁ2人とも…人気があるってことよ。」
「そうなのかしら?」
「そうなんでしょうか?」
突如隙間から現れたのは紫である。
「まぁわたしも参加してもいいんだけど。」
「止めてよ?あんたまで参加したらどうなるか…。」
「わたしの場合は残ったぼろぼろになってる相手を倒すだけでいいのよ。」
「何ですって…まさか貴女も…?」
「そのあとに霊夢、貴女をおいs…ぐぼあっ!」ひゅごっ!
「あんたもかっ!」ぱしぃっ!
霊夢は紫に向かって思いっきり陰陽玉を投げつけた。そのまま紫は数メートル吹っ飛び動かなくなった。
「…大変ですね。」
「貴方もでしょ…というかどうするのよ。」
「はい?」
「もしあの3人のうち1人が勝ち残ったとして…わたしなら倒せるけど貴方じゃぁ…。」
「…そういえばそうですねぇ。うまくいっても引き分けくらいでしょうか。」
「何か秘策でもあるの?」
「まぁそんなところです。」
霊夢と美鈴はそんな話をしているのだが、周りの状況を説明すると。
魔理沙VSアリスVSレミリアVS萃香 と 妖夢VS咲夜VS妹紅 で弾幕しあっているのだ。
他の連中は寝てたり、写真を撮ってたり、応援してたりする。
「…何でこんなことになったんだっけ?」
「…えーっと。確か…あの鬼の一言がきっかけだったような。」
[数時間前]
「酒が足りない~。」
「瓢箪があるでしょ貴女は。」
「違うお酒が飲みたいのっ!」
「レミリアがいっぱい持ってきてたじゃない。」
「ワインはそんなに好きじゃないの~。」
霊夢と萃香はそんなやり取りをしていた。
そもそもこの宴会は何故かは分からないが行われているものである。霊夢は食事のためだけに了承したという経緯があるのだが…。
「お久しぶりです、霊夢さん。」
「あら?珍しいわね…貴女まで来ているなんて。門番のほうはいいの?」
「まぁそうなんですけど…今日はパチュリー様が紅魔館の周りに新しい魔法障壁を張ってるんですよ。」
「魔法障壁?」
「えぇ…まぁ実験的にってことみたいですけど。それで大抵の妖怪は近づけないとか。」
「対マスタースパーク用の実験かしらね…魔理沙と対戦してから頑張ってるみたいだし。」
「あら…アリス?魔理沙はどうしたのよ。」
「向こうよ…まぁ見れば分かるわ。」
そういってアリスが指を指した方向には…。
「うぃー…。」
「く~…。」
「…師弟で酔いつぶれてるわね。」
魔理沙と魅魔が並んで寝ていた。
「飲み比べしてダブルノックダウンよ。」
「というか魅魔は悪霊じゃない…。」
「それは幽々子と同じじゃない?」
「…それもそうね。」
と、そのとき。
「れ~む~…。」ぎゅむぅ
「わきゃぁっ!?」
霊夢の後ろから萃香が抱きついてきた。
「いいにおいー…。」すりすり
「…何してるのよ。」
「酔ってますね…絡み酒なんでしょうか?」
「ちょっと萃香…離れなさいよ。」
「やだー…。」すりすり
ぎゅっと抱きつき頬擦りしている。
「かなりの力入れてますね。」
「く…アリス、剥がすの手伝って。」
「てぃっ!」びしっ
と萃香の首に一撃。
「はぅっ。」
一瞬力が弱まった隙に霊夢は萃香の腕から抜け出した。
「はぁ…ありがと。」
萃香は首を押さえながら…。
「むー…霊夢は渡さないよっ!」
「ちょっと萃香?何を言って…。」
「アリスだっけ?あんたも霊夢のこと好きなんでしょ?」
「なっ!?」
「…はい?」
「へー、そうだったんですか。」
アリスは驚き、霊夢は?顔、美鈴は何か納得したような顔をしている。
「へへーん。気が付かないのは本人とあまり馴染みのない人くらいで、霊夢をいつも見てるわたしから見ればばればれよ。」
「~~~っ!」ぼんっ
アリスは耳まで真っ赤になりながら萃香を睨み付ける。
「あ、アリス?」
「あ~…これはやばいかも。」
「何か反論は~?」
「わ、わたしは別にっ…。」
「いいのかなー…霊夢の前でそんなこと言っちゃって後悔するんじゃないの?友達のいない人形遣いさん?」
「(ぷちんっ)このっ!上海っ!」ごあぁっ!
萃香の一言に一気に頭に血が上ったアリスは、上海を呼び寄せ萃香に弾幕を放つが。
「あははっ!」ひゅんっ!
萃香は笑いつつ弾幕を避け、空へと飛んでいった。
「まてぇっ!」ひゅっ!
アリスもそれを追いかけていった。
残された2人はというと。
「…アリスって誰か好きな人がいるみたいだったのは知ってたけど、魔理沙じゃなくてわたしのことだったのね。」
「まぁアリスさんは良くしてくれる人は好きになっちゃうと思いますから。」
「ってことは何?魔理沙も好きってこと?」
「パチュリー様もだと思いますよ?」
「…なるほど。それもそうね。」
「ずっと1人でいたからそういうのに弱いし、憧れてるんですよ。きっと。」
「まぁ分からなくはないけど…。」
「それにアリスさん自身は気が付いてないかもしれませんけど…アリスさん結構可愛いですし。」
「自分に自信がないだけなのよね…全く、わたしから言わせてみればアリスはもう友達なんだけどなぁ。」
「わたしもそうだと思ってるんですけどねぇ…。」
そんなことをいいつつ弾幕を見ていた。
「霊夢はわたしのものっ!」
「させないわよっ!」
そこにさらに弾幕が飛んできた。
「紅符『不夜城レッド』」どっ!
「くうぅ!?」
「恋符『マスタースパーク』」どがあぁっ!
「うきゃあぁっ!?」
「わたしたちも。」
「参加させてもらうぜっ!」
会話を聞いていたレミリアと魔理沙がそれに参加した。
「あー、いつの間にか魔理沙も起きてるわね。」
「やっぱりお嬢様も参加ですか…あの2人も霊夢さんのことが好きなんですね。」
「好き…ねぇ。」
美鈴の後ろから急に妹紅が声をかけた。
「はわっ!?妹紅さん!?」
「不死人じゃないの…どうしたのよ?」
「わたしは美鈴さんのほうが好き~。」だき
そう言って美鈴に抱きついた。
「はふぅっ!?」
「酔ってるわね…。」
「ちょっ…妹紅さんっ!?って何気にすごい力!?」
「んー…。」ぎゅー
それを見て反応したのは2人。
「何してるのよっ!?」
「何してるんですかっ!?」
「メイドに庭師…貴女たちには美鈴さんは渡さないー。」
咲夜と妖夢である。
「へ?」
「なっ!?」
「くっ…。」
「えーと…まさか3人とも…?」
3人とも酔っているようであるが…目が本気と書いてマジである。
「向こうみたいに力ずくでやる?」ざっ
「望むところよ…。」ちゃ
「行きますっ!」ちゃきんっ
[そして戻って現在]
「…で、霊夢さんは誰を選ぶんです?」
「…貴女もよ?」
「そうですねぇ…でも霊夢さん?」
「何?」
「もう1人…参加ですね。」
「は!?」
「花符『幻想郷の開花』!」ぶおおぉぉっ!
「うおぉっ!?」
「なっ!?」
「面白そうなことしてるわね…わたしも参加させてもらうわよっ!」ごおぉっ
4人に弾幕を放ち、そのまま向かっていったのは…。
「…幽香じゃない。」
「さっきまで寝てたようですけど…気が付いたみたいですね。」
「なるほど。」
「しかしあれだな…止めなくていいのか?」
2人に声をかけてきたのは慧音と。
「まぁ…無理だろうから後できつく言うしかないんじゃないの?」
永琳である。
「貴女はあの不死人のことが好きじゃないっけ?」
「まぁそうだが…他に好きな人がいてもわたしは構わないからな。」
「浮気おーけーってこと?」
「いやいや…お互いに好きあっていれば問題なかろう。」
「それにここは幻想郷なのよ。それくらいは別にいいんじゃない?」
「あんたらは…。」
「まぁまぁ…それは一理あると思いますし。」
「…まぁいいけど。それよりあの姫はどうしたのよ?」
「さっき邪魔しようとして弾幕を撃とうとしたところに、あの3人が気が付いて一斉射撃されていたわ。」
「…そりゃ災難で。」
「それで今復活中よ。あっちでうどんげとてゐが診てるわ。」
少しはなれたところを見ると。
「ぅーぁー…。」
「姫っ!しっかりしてくださいっ!」
「だからほっといても復活するって。」
「…。」
ぼそぼそと何か輝夜は何か言おうとしている。
「何ですかっ!?」
「…美鈴って人…亡き者にすればもこたんはわたしにっ!」がばっ
「ってそんなことを言ったら!?」
「六道剣『一念無量劫』」どっ!
「メイド秘技『殺人ドール』」ひゅがっ!
「蓬莱『凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-』」ごああぁぁぁっ!
3人はその言葉を聞き、一斉に輝夜目掛けて弾幕を放った。
「復活していきなりっ!?ぐきゃあぁっ!」ごがががががっ!
「やっぱりですかぁっ!避けきれ…あぅっ!」どむっ!
「何でわたしまで~っ!」ひゅー
鈴仙とてゐは爆風で吹っ飛ばされただけだが、直撃を受けた輝夜は殆ど跡形もなく吹っ飛んでいた。
「…あら。」
「災難続きね。」
「鈴仙さんまでも…。」
「いっそのことこの夜だけ食べてしまうか?」
「…まぁそれもいいんだけど、これも一興ということでいいんじゃない?」
「さすが霊夢さんですね。」
「まぁそれもいいんだが…これは文にしてみればいい場所だな。」
「ネタには困りませんけどね。」ふわり
「噂をすれば…ってどうしたのよ?」
「いえーこれで多分争奪戦?は全員参加っぽいので、心境を聞きに来たんですが。」
「紫はさっき沈黙させたけどね。」
「で、2人とも今はどんな感じですか?」
「せめてもうちょっと高いところでやってほしいわ。」
「悪い気はしませんけど、霊夢さんに迷惑ですよね。」
「ふむふむ…では肝心の質問なんですけど…すばり誰が好きなんです?」
「直球ね。」
「まぁ一番いい質問だと思いますが?」
「まぁそうだけど…。」
「で、どうなんです?」
「それじゃ逆に質問、貴女は誰が好き?」
「へ?わたしですか?」
文は少し考え込むと。
「わたしは…好きな人を限定は出来ませんかね~。」
「は?」
「わたしを好いてくれる人がいれば言いと思ってますから。まぁしいていえば…この幻想郷が好きってところでしょうか?」
「わたしもそれと同じよ。」
「…なるほど。」
「わたしもそうですね。」
「ふんふん…分かりました。」
「ま、でもさすがにこういう喧嘩っぽいのは勘弁してほしいけどね。」
「場所に寄らず迷惑ですよね。」
「そうですねぇ…ではありがとうございましたっ!そういうことでっ。」びゅんっ
文はカメラ片手に飛んでいった。
「要するにさっきわたしが言ったのと同じということか?」
「まぁそうね。」
「そうかもしれませんね~。」
「でも今はどうするのよ。」
「周りを見れば分かるわよ?」
「…あぁなるほど、そういうことね。」
「は?」
「ぼろぼろになっていればいるほど効くでしょうから。」
「ま、後でのお楽しみということで。」
[さらに数時間後]
「ふー…何とかなったわね。」
「ぜーぜー…勝ったわ。」
結局…途中から参加していた幽香、そして妹紅が残っていた。
「まぁ予想通りね。」
「そうですねぇ…。」
「さぁ霊夢…わたしと一緒に…。」
「美鈴さん…。」
「はっ!」ひゅんっ
「はぅっ!?」ごちんっ
霊夢は陰陽玉を幽香に投げつけた。
「い、いきなり何を…。」
「周りを見なさい。」
「は…?」
「神社の境内だけじゃなく、社まで被害が及んでるのが見えないとは言わせないわよ。」
「…えーと。」
「喧嘩の前に周りをよく見なさい。」
「うぐ…。」
「えーと美鈴さん…?」
その光景を横目に、妹紅は美鈴に話しかけるが。
「奪い合う、というより子供の喧嘩にしか見えませんでしたよ。」
「え…でもそれは…。」
「もうちょっと大人だと思ってたんですけど残念です。しかも霊夢さんに迷惑かけてるし。」
「う…。」
2人はそんなことを言われてがっくりとしてしまう。
「ということで罰として後片付けよろしくー。」
「あとで咲夜さんたちも起こして手伝ってもらいましょう。」
「あぁ美鈴さん、貴女は帰っていいわよ?」
「えと…いいんですか?」
「それよりそこで倒れてるパチュリーと小悪魔さん、フランを運んであげるほうが先決よ。」
「へ?…パチュリー様?」ゆさゆさ
美鈴は倒れているパチュリーに近寄り揺すってみるが。
「魔理沙とかアリスとかの真似して無理して飲んでたみたいだから。小悪魔さんは大妖精とかと飲んでたし…フランは魔理沙やレミリアの真似して飲んでたみたいだけど。」
「えーと?パチュリー様ー?…って明らかにやばい顔色してるんですけどっ!?」
ごろんとうつ伏せになっていたのを仰向けにしてみると…明らかにやばそうな顔をしていた。
「小悪魔さんは一番最初に潰れてたから起こせば起きると思うけど?」
「こ、小悪魔さ~んっ!」
美鈴は近くに倒れていた小悪魔を揺すり始めた。
「えーっと霊夢…?」
「幽香…目がすっきり覚めそうな香りの花でも出して、みんな起こして片付けしなさい。」
「えーとこういうときは…逃げるが勝ちねっ!」
そう言いつつ高速で逃げようとしたが…。
「『二重結界』」ぶぉん
「ぅわっ!?」ごちんっ
幽香は二重結界に閉じ込められてしまう。
「逃げようたって無駄よ。あとそこもね。」ぶぉん
「はぅあっ!?」ごんっ
気づかれないように逃げようとした妹紅も同じように捕まった。
「さーてと…ぶつぶつ。」
「な、何を?」
「『高展開捕縛式二重結界』発動っ!」ぶぅんっ!
「はっ!?」
「そのスペルは何よ…?」
「わたしが後片付けが終わったと判断したら解いてあげる。」
「…効果は?」
「範囲は博麗神社の敷地限定で、わたしの許可なしに出ようと思ったら二重結界が発動するのよ。」
「うげ…。」
「何てスペルよ…。」
「まぁ結界の効果が高い博麗神社の敷地内だからこそ出来るスペルなんだけどね。ということで、よろしく~。」
「ではわたしはパチュリー様がやばいのでそろそろ帰りますね。」
「えぇ…て本当に見るからにやばそうね。」
「ぅーぐー…。」ぐったり
パチュリーは美鈴に背負われている。
「頭痛いですけど…頑張ります~…。」
「妹様…大丈夫ですか?」
「な、なんとかー…。」
「…その一番顔色が悪いのにこれを飲ませてあげなさい。酔い覚ましよ。」
「えーっと…ちゃんとしたものですか?」
「さすがにこの顔色を見て新作とか実験作は渡さないわよ。今も1錠飲ませて、帰って休んだらまた飲ませなさい。」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
「また遊びに来るときはお土産持ってきなさいね。」
「はいっ!ではお先に失礼しますね。」ひゅん
そういって3人は紅魔館へ向かって飛んでいった。
「さてと…起きてるんでしょ?そこの亡霊の姫さん。」
「気が付いてた?」
むくりと近くに倒れていた幽々子が起き上がる。
「まぁね。聞いてたと思うけど、あんたのとこの庭師借りるわよ。」
「えと…わたしの食j…何でもありません。」
幽々子は何か言おうとしたのだが…霊夢の気迫に押されてそういってしまった。
「よろしい。」
「まぁわたしが食事を作りますよ…紫さまも橙たちも運ばないといけないですし。」
藍は片手に紫を担ぎ、反対側に橙を抱えている。
「助かるわー。」
「わたしも姫とうどんげたちを運ばないと…。」
「チルノちゃんとルーミアちゃんー、帰るわよー。」
「どうやらリグルやミスティアも完全に寝ているようだな…プリズムリバー3姉妹は大丈夫か?」
「まぁ何とかね…それに荷物とかは簡単なものしか持って来てないから大丈夫よ。」
「助けてけーねっ!」どんどんっ
「自業自得だろう?ちゃんと片付けて帰ってきなさい。」
「ぅ…。」
「それでは失礼する。」
「また宴会するときは呼んでねー。」
「はいはい。新聞屋にでも頼むわよ。」
「呼びましたか?」
「…あんたまだいたのね。」
「まぁ一通り写真も撮ったので、これから帰って編集でもしようかなと思ってたところなんですよ。」
「…まぁ変なこと書かなければそれでいいわ。」
「分かってます。それではっ!」ひゅんっ
「さーて…あ、それともう1つ。」
霊夢は皆が飛んでいったのを確認し、幽香たちに向き直ると。
「…何よ。」
「分かってると思うけど、片付けの他にもやることはあるのよ?」
「…まさか。」
「そのまさか。ちゃんと壊れた境内や社も直しておきなさい。」
「な…。」
「早くやらないと帰れないわよ?」
「ぅ…分かったわ。」
「仕方ないかぁ…。」
「大工道具はそこに置いてあるから。それじゃ頑張ってねー。」
そういって霊夢はふわりと浮いた。
「…霊夢?ちょっと、何処に行くのよ?」
「結構時間がかかりそうだから紅魔館に行ってくるわ。」
「はい?」
「よく見ればその理由も分かるわ。それじゃ…わたしがいないからって逃げないようにね。」
霊夢はそういうとすぐに飛び立って行ってしまった。
「ちょ…って行っちゃったわ。」
「…えーと。てぃっ!」ぼぅっ!
ばしゅぅっ!
妹紅は火炎弾を放つが、それは消滅してしまった。
「…。」ひゅんっ!ごちっ!
今度は飛んで行こうとしてみたが、何か硬いものにぶつかった。
「本当に無理みたいね。しかも博麗神社内限定だから防御力も上がってるわ。」
「いたた…みんな起こして早めに終わらせましょう…。」
「そうね…とりあえず目覚まし用に香りのいい花を…。」
「何でわたしまで…。」ざっざっ
「それはこっちのセリフよ…。」どごっ
魔理沙は箒で境内を掃いていた。
ちなみにもう日が昇っているため、レミリアは片手で日傘を差している。そして片手で捲れ上がっている岩盤を直していた。
「ぼやいてないでちゃんとしなさい。あ、上海!それはそっちじゃないわよ。」
アリスはゴミを人形たちと一緒に処理していた。
「逃げようとしてもダメ…サボろうとしてもダメなんてね…。」
「サボろうとすると弾幕が飛んでくるなんて…何てスペルよ。」
妹紅、幽香は壊れた屋根を補修していた。
「うわ…。」
「霊夢さんが言ってたのはこのことですね…。」
妖夢と萃香は家の中を調べていたのだが。
「どうした?」
「よーく見てください…これなんですが。」
「…げ。衝撃のせいか…。」
「どうしたのよ?」
「いや…これを見れば分かる。」
「何よ…って柱にひびが入ってるじゃない!?」
「このまま住んでて雪とかどっさり降ったら…。」
「それにここは霊夢の寝室じゃない…そうなったら霊夢は潰れるわね。」
「それはやばいんじゃない…?」
「死んだら恨まれるどころじゃ済みそうにないぞ…。」
「屋根ごと一旦ずらして柱自体を取り替えるか、補修しないと無理ですよこれ。」
「補修ね…そうだ。萃香さん。」
「ん?何?」
「ひびが入ってる柱の部分に木の物質を萃めて補強してくれないかしら?」
「なるほど…その手があったか。」
「りょーかいー。」
「その後に全体的に補修して見栄え良くしておけばいいのよ。」
「…長年何もしてないんだろうが、よく見れば全体的にボロボロだな。」
「…ほんと。よく持ってるわね、この神社。」
「紅魔館はいつもメイドたちがいるし、壊れてもすぐに直せるけど…。」
「いっそのこと全体的に修理しちまうか?」
「まぁ霊夢のことを考えると、ね…でもその前にここから出れないから材料が足りないわ。」
「そういえばそうだね…まぁ今は言われたことをやるしかなさそう…。」
「まぁそうね…とりあえず早く終わらせて先に帰った美鈴にお仕置きを…いたっ!?」ごんっ
咲夜の頭目掛けて弾幕が飛んできた。
「美鈴さんは悪くないってことみたいね。」
「いたた…この結界は霊夢とリンクしているの!?」
「どうやらそうみたいね…。」
「全く…とりあえず作業を進めようぜ。」
「んー…こういうお茶も中々美味しいわね。」
「あはは。そう言ってもらえるとありがたいです。」
霊夢と美鈴の2人は美鈴の部屋でお茶会をしていた。
門番の仕事はというと…霊夢が美鈴が中国茶を淹れるのが得意だと咲夜から聞いていたので、無理矢理引っ張ってきたのだ。美鈴自体はさすがに仕事がある~と断ったのだが、霊夢はそれならと紅魔館に張ってあった魔法障壁を自分の結界と組み合わせてさらに強力にしてしまった。門番隊は唖然、そして霊夢はこれでいいんでしょ?と言って美鈴を引っ張って美鈴の自室まで来たのだ。
「いたた…。」
「あ、パチュリー様。」
「あれ…?美鈴?」
「やっと目が覚めたのね…。」
ちなみにフランと子悪魔は自力で自室に戻ったのだが、パチュリーはやばい顔色だったので美鈴の部屋につれてきていた。
その後美鈴はお茶を淹れる前に気の力でパチュリーを治していた。
「あぁ、無理に動いたらダメですよ。」
「ぅ…。」
「戻ってきたときに気の流れはきちんとしておきましたから。あとこれを飲んでください、あの薬師さんからもらったものですので。」
「ありがと…。」
パチュリーは美鈴から渡されたお茶と錠剤を飲んだ。
「…ふぅ。」
「お酒に慣れてないのにあんなに飲むからよ。」
「ちょっと無理したわね…って何で貴女が美鈴の部屋にいるのよ。その前に美鈴、門番の仕事はどうしたの?」
「いえ…それなんですが…。」
「外の魔法障壁ね、あれ結構強力だったけど。一箇所だけ弱いところがあったからわたしの結界を上乗せしておいたわよ。」
「…は?」
「魔法障壁の発生部分。あれ門の内側にあったじゃない?そこの部分から大体真上、門の上に当たる部分が弱かったわよ。」
「さすがですね。」
「結界に関してはあのスキマ妖怪に次いで得意みたいだし…すごいわね。」
「ありがと。」
「で、わたしは引っ張られてきて、こうやって霊夢さんにお茶を出しているというわけです。」
「ところでレミィと咲夜、フランに小悪魔はどうしたの?」
「小悪魔さんと妹様は自室に戻って寝てますよ。」
「レミリアと咲夜は昨日の後始末中。」
「後始末?」
「貴女は気を失ってたけどね。あの後喧嘩が始まったのよ。」
「というより奪い合いというべきでしょうか…。」
「それで境内どころか社まで被害が及んでね。」
「今その修理をしてます。」
「なるほど…だから後始末ね。でも喧嘩って原因は何よ?」
「えーっと…。」
「わたしと美鈴さんの奪い合いよ。」
「は?」
「要するに争奪戦?そんな感じよ。」
「…何となく察しはついたわ。貴女たち人気あるもの。」
「あはは…。」
「まぁ悪い気はしないんだけど、迷惑考えずにやるのはさすがにね。」
「後先考えず、しかも周りを見ずに弾幕るのばかりだからよ。」
「何かあると弾幕しちゃいますからね…。」
「魔理沙だけじゃなくレミィもそうだし、あの咲夜でさえ頭に血が上るとそうなるじゃない。」
「…そういえばそうですねぇ。」
「迷惑かけすぎよ…全く。」
「まぁ注意しても無駄ってものね。さて…だいぶ気分も良くなってきたから自室に戻るわね。」
「あとでメイドたちに小悪魔さんの分も含めて食事を持って行かせますね。」
「分かったわ。それじゃぁ。」がちゃ
そう言ってパチュリーは部屋から出て行った。
「さて…もう一杯ちょうだい。」
「あはは…帰らなくていいんですか?」
「結界張ってきたから大丈夫よ。」
「結界って…閉じ込めちゃったんですか?」
「うん。」
「うんって…。」
美鈴は冷や汗を流していた。
「てか…屋根とか完全に破壊されてるところがあるから瓦とか足りないぞ。」
「どうするのよ。」
「どうするって言われても…何処かから持ってくるしかないわよ。」
「貴女でも無理?」
「萃められなくはないけど…たぶん他のところから盗むことになっちゃうから結界が反応すると思うんだけど。」
「それもそうですね…。」
「それに作るにしても面倒だし…。」
そこに大荷物を抱えた人が飛んできた。
「霊夢のことだからそんなだろうと思ったよ…大変そうだな。」
「あ、けーねっ!」
慧音である。
「古家で使わなくなった瓦や、木材なんかを持ってきたぞ。」
「ありがと~!」
「まだかかりそうなのか?」
「破損箇所が多すぎて大変よ…まだまだかかると思うわ。」
「ふむ…まぁ霊夢のことだからわたしが能力を使おうとしても無駄だろうな。」
「むぅ…。」
「まぁあとで食事やらも持ってくるから、頑張ってくれ。」
「全く…何でこんなことをしなくちゃならないのよ。」
「自業自得だろう…。」
「そういえば。」
まだ2人は美鈴の部屋でお茶を飲んでいたのだが。
「はい?」
「ちょっと気になったんだけど…誰が一番なのよ?」
「へ?」
「いや…貴女の話を聞いてると、あの不死人の妹紅と咲夜は親友、妖夢は後輩って感じじゃない。」
「それを言うなら霊夢さんもですよ?」
「わたし?」
「みんな友達って感じで。」
「あー…そうかもね。」
「で、どうなんですか?」
「貴女こそ。」
お互いにじーっとにらみ合っている。
「…にらみ合ってても埒があきませんね。」
「そうね。」
「結局…他に誰か好きな人がいるんですか?」
「…それじゃぁ交換条件。貴女も教えて?」
「…分かりました。でもいるかいないかだけで。」
「分かったわ。」
「じゃぁ同時に。」
「えぇ…せーの。」
「「いる。」」
「…。」
「…。」
2人とも言ったと同時に驚いていた。
「てことは何?お互いにあの争奪戦してたやつら以外に好きな人が別にいると。」
「そうみたいですね…。」
「で?誰なのよ。」
「そ、そんなこと言えませんよっ!」
「でも他に…案外わたしだったりして?まさかね。」
「…。」かあぁ
美鈴は顔を真っ赤にしている。
かなり分かりやすい顔であった。
「…え?まさか…本当に?」
「…えと、その…はい。」
「…でも何でわたしなのよ?」
「さすがに隠し切れませんでしたね…でもこうなったら言いますね。前はお嬢様や咲夜さんのことが好きでした。」
「…。」
「でも憧れのほうが強かったんですよ。でもそんなときにその憧れの人を倒したのが…。」
「わたしだったってことね。」
「そういうことです。最初は憧れだったんですけど…でもそこからがお嬢様や咲夜さんへの思いとは別の方向へ向かっていったんです。」
「好きに変わったって事?」
「全てにおいて完璧って感じなので…。」
「そうでもないわよ?というかそれ言ったら咲夜のほうが完璧じゃないのよ。それに魔理沙だって…。」
「咲夜さんは従者としては完璧ですね。それに魔理沙さんはどっちかというと完全な敵って感じでしたし。」
「なるほどね…でもわたしから見たら貴女こそ完璧じゃない。」
「そ、そうですか?」
「料理も出来るし、優しいし。」
急にそんなことを言われたので美鈴はさらに真っ赤になっている。
「優しいのは霊夢さんもですよ。」
「そうかな…ん、そうね…貴女も好きな人のことを言ったのならわたしも言わないとね。」
「…いいんですか?」
「いいのよ。だって目の前にいるんだし。」
「…はぃ?」
美鈴は唖然。
「…。」ぼんっ
霊夢は真っ赤になりながらお茶をすすっている。
「えーと…えええぇぇぇっ!?」
そして絶叫…かなりの大声で叫んだ。
「…なんか馬鹿みたい。ものすごく緊張してたのに。」
「えと…そうは見えなかったんですけど。」
「わたしから見れば貴女もよ。こっちは一杯一杯だったのよ?」
「わ、わたしもですよ。実はお茶を淹れてたときも手が震えてましたしっ!」
「…こういう機会でもなければ2人きりになることも出来ないと思ってね。」
「あ、それでさっきも…。」
「そういうこと。いつもなら絶対に邪魔が入るからね…少し強引に引っ張ってきたってことよ。」
「あはは…そうですね。」
「…。」
「…。」
お互い真っ赤になり、黙り込んでしまった。
「えーと…隣いいですか?」
「ん…いいわよ。」
「えへへ…。」
「…。」ぼんっ
「結局…もぐもぐ、霊夢は、んくっ、誰が好きなんだろう、ぷはぁっ、な。」
あれから少したった後、慧音は大きなお弁当を抱えて神社にやってきた。
「食べるかしゃべるかどっちかにしなさい。」
そして現在昼食中である。
「美鈴さんもね。けーねなら分かるんじゃない?」
「分かったとしても教えんよ。」
「教えなさいよ。」
「さすがに霊夢には逆らえる気にはなれないからな。それにそれは個人の好きだろう?」
「まぁそうだけど…。」
「気になるわね。」
「まぁとりあえず…これを終わらせましょう。」
「そうですね。」
そしてまた各自作業を始めた。
「何か恥ずかしいわね…。」
「そうですね…。」
その後2人はお互い真っ赤になりながら並んで座っていた。
「手…いいかしら?」
「いいですよ。」
「ん…。」ぎゅ
「…霊夢さんの手、暖かいです。」
「…よくそんな恥ずかしいこと言えるわね。」
「あはは…でも霊夢さん、わたしのどこが好きなんですか?」
「…わたしにはないものを持ってるからよ。」
「霊夢さんにはないもの…?」
「まずはその体型。」
「えーっと…。」
「後はみんなに気を回せるってところね。」
「…そうでしょうか?」
「わたしにはないのよ…気を使うことなんて出来ないし。」
「でも…やろうと頑張ってるんでしょう?」
「貴女を見てから特にね。頑張ろうと思えば思うほど、貴女が凄いと思えてくるのよ。」
「…ありがとうございます。」
「ん…でも良かった。」
「はい?」
「美鈴さんもわたしのこと好きでいて…。」
「…わたしもです。」ぎゅ
「ん…。」
二人はお互いを抱きしめあい、美鈴は霊夢の頭を時折撫でたりしていた。
「これで終わり…か?」
もうすでに夕方近くである。
「やっと終わったのね…さすがにこの日差しの中ではきつかったわ…。」
「早く帰らないと…。」
「ね、眠いぃっ!」
そういいながら飛ぼうとするが…。
「ん?…結界が解けてないわね。」
「えと…?」
「まだ何かあるってのか…?」
「…探してみましょうか。」
各自ばらけ色々見回りを始めた。
「…。」ぎゅ
「…。」なでなで
「…そろそろ時間ね。」
「あ、もうですか…。」
「名残惜しいけど…また遊びに来るわ。そのときはまたお茶を淹れてちょうだいね。」
「はいっ!」
「結界を解いてと…。」
「ここから操作できるんですか。」
「まぁ張るのは無理だけど解くことくらいはね。」
ぶぅん
「お?結界が解けたみたいだな。」
「…寝てたのかしらね。」
「紅魔館のベッドはふかふかですからね。」
「それじゃまた次の宴会で。」
「帰って寝よう…さすがに疲れた…。」
「そろそろレミリアと咲夜が帰ってくるころね。」
「はい…。」
「また遊びに来るし、宴会のときには来なさいよ?」
「はい。」
「ん。それじゃ出ましょうか。」
「あ、待ってください。」
「ん?まだ何か…んぅっ!?」
美鈴はぐぃっと霊夢の顔を自分のほうに向けさせ…。
「ん…。」
「んん…ん…。」
唇に自分の唇を合わせた。
「…はぁ。」
「…やっぱり恥ずかしいことが好きなの?」
「そうかもしれませんね~。」
「でもありがと…。」
「はい…こちらこそです。」
「帰ったわ。」
「ただいま。」
もうすでに日は落ちている。
「おかえりなさい。」
「遅かったわね。」
門の前でレミリアと咲夜を美鈴と霊夢は迎えていた。
「破損箇所が凄かったから大変だったわよ…。」
「ほとんどはさっきの弾幕のせいだからね。」
「美鈴…。」
「はい?」
「あとでお仕置き…いたぁっ!?」ごんっ
「美鈴さんは悪くないでしょう?」ぱしっ
「…やめておきなさい、咲夜。」
「…分かりました。」
「とりあえず今日は明日まで眠るわ。昨日から寝てないし…。」
「わたしも眠らせてもらいます…久しぶりにこんなに起きてた気がするわ…。」
そう言って2人は部屋へと飛んで行った。
「さてと…あ、そうだ美鈴さん。」
「はい?」
「これ持っておきなさい。」
ひょいっと何処からか小さい袋のようなものを取り出し、美鈴に渡した。
「お守り…?」
「ま、御利益はあるかないかは分からないけどね。」
「あはは…ありがたくもらっておきますね。」
「それじゃ…またね。」
「はい。お気をつけてー。」
[後日]
あれから数日後…紅魔館門前。
「また来たぜっ!」
「また来ちゃいましたか…。」
今日も魔理沙が飛んできたのだが…少し違う顔つきである。
「一応許可はもらってあるんだが…今日は別用でな?」
「はい?」
「この間先に帰っただろ?そのお返しだっ!」
「逆恨みじゃないですかぁっ!?」
魔理沙は符を構え…。
「問答無用っ!恋符『マスタースパーク』!」ごああぁぁぁっ!
「う、うわあぁぁっ!!」
衝撃と閃光が美鈴に襲い掛かる。
「…ふぅ、すっきりし…なにぃっ!?」
「…あれ?」ばしゅうぅぅっ!
しかし…美鈴にあたる寸前でマスタースパークは消滅してしまった。
「ふ、防いだだと!?」
「これは…?」
撃った魔理沙から見ると美鈴が防いだようにしか見えなかった。
「ちっ!恋符2枚連続っ!『ダブルスパーク』!!!」どっどごおぉぉっ!
魔理沙はさらに2枚撃ってみるが…。
「…えーっと。」ばしゅっばしゅうぅぅっ!
「な、なんてやつだ…。」
それすら防いでしまう。
「わたし何もしてないんですけどー。」
美鈴は何がなんだか分からずにいる。
そして魔理沙は…。
「こうなったらこれを…魔砲!『ファイナルスパーク』!いっけえぇぇっ!!!」ど…ごおおおぉぉぉっ!!
自分の最大魔砲を放つ、が。
「…まさか。」どしゅううぅぅっ!!
美鈴は自分の首にかけていたお守りが光っていることに気が付いた。
どうやら霊夢がこのお守りに、美鈴が何かダメージを受けようとしたときに結界が発動するように仕込んで置いたらしい。
しかもかなり強力な結界が発動するようになっているようだ。
「…う、嘘だああぁぁぁぁぁっ!」ひゅごぉっ
魔理沙はファイナルスパークすら防がれたショックからか、泣きながら飛んでいってしまった。
「あ…行っちゃった。…霊夢さん、ありがとうございます。これ、大事にしますね。」
「霊夢うぅぅっ!」
あの後…魔理沙は自分が出せる最高速度で泣きながら霊夢のところへと来ていた。
「…どうしたのよ。珍しいわね、貴女が泣くなんて。」
「あの門番に魔砲が効かなかったんだっ!」
「へー…(あのお守り…良かったわ、ちゃんと防いでくれたのね)。」
「自信がなくなってきた…。」
「で、何でわたしのところに来るのよ。」
霊夢は少し冷たい目で魔理沙を見る。
「分からないのか…?」
「用がないならさっさと帰って実験でもしてなさい。」
「暇そうじゃないか…。」
「わたしはこれから出かけるのよ。」
「ぅ…。」
「誰かに慰めてもらいたいなら、アリスのところでも行けばいいじゃないの。」
そう冷たく言い放つと…。
「霊夢の馬鹿ぁっ!うわああぁぁぁんっ!」たたたたただんっひゅおぉっ!
魔理沙はさらにショックを受け、大泣きで飛んで行ってしまった。
「…ま、こんなとこかしらね。大雑把な魔理沙にはわたしより、アリスみたいな細かいところを気にする人がお似合いよ。」
霊夢は箒を何時もの場所に置くと。
「さーてと…お茶でも飲みに行こうかしらね。」
そういって紅魔館へ向かって飛んでいった。
霊夢の顔は晴れ晴れとしていて、まさに楽園の巫女の顔つきであった。
その後魔理沙はアリスとくっついてまた一騒動起こるのだが…それはまた別のお話。
発見者先着一名様には特に何もありません
いや、言ってみたかっただけなんですが
楽しく読ませてもらいました。
しかし、争奪戦すごいなぁ。。。苦笑
もうちょっと何て言うんでしょう、全体的に背景とかの描写が欲しかったかなぁ。
差し迫った感じというか、台詞が多いので告白のシーンまでアッサリしすぎてしまった印象。
好みの問題かもしれませんが。
で、あと誤字なんかを。
>「それよりそこで倒れてるパチュリーと子悪魔さん
小悪魔、これは他では確か間違ってなかったと思います。
あと軒並み『博霊』になってました。『博麗』ですねー。
あと背景描写があっさりめと、台詞のみでの進行ならかなりの修練を要するとかかな。
誤字が多いのは気をつけるとして…(汗
やはり背景描写は少ないですかね?これはもう癖に近いので…(汗
もうちょっと頑張って書いてみることにします。
珍しい組み合わせは他にも考えているのでそのうちまたっ!
霊夢と美鈴なら案外こんなふうにあっさり行くのかも?とも思えました。
新鮮で良かったです。