「だーい、よーせー!!!」
また⑨が来たようね。全く飽きないわねー、まあ私も人のこと言えないんだけどね。
私とチルノは結構長い付き合いね。昔からいつも一緒で、来る日も来る日も悪戯ばっかしてるわ。
何か不味いことになってもチルノは⑨だからねー、私の変わりになってくれる事が多いのよ~。おかげでけっこー助かってるわ。
一緒に居ても、基本的動くのはチルノね。興味持っちゃったモノにはすぐ行動するわね、この子。全く、何時までたっても子供なんだから・・・
でもまあ、それが妖精ってもんだからしょうがないわね。私も面白そうなことには目がないしー
もちろん、私はもう少し大人な行動をとれるわよ?チルノは妖精の中でも稀な⑨具合だからねー。そこ一緒にしないで欲しいわ。
この前は紅魔館の門番さんに悪戯したわね。池の水で小さな氷を作って投げさせて遊んだわ。私が教えた通り「やーい中国ー、お前の名前は中国だー!」と歌いながら投げさせたわ。最初はちょっと反論していたのだけど「所詮は妖精、それも⑨の戯言」と無視しだしたけど、またチルノの投げる氷が当たらない事、それが足元にコツコツ、コツコツ当たるだけだから陰湿なイジメみたくなって、次第に「私は⑨ごときにまで・・・」みたいに思ったのかしらね?最終的には体育座りしていじけてたわ。面白かったわー。
そしてその前にも、大がまさんが居る沼まで連れて行ってみたら、面白いくらい簡単にイベントが起きたわね。あれは笑ったわねー、まさか食べられちゃうなんてね。バカっぽくてチルノらしいわ。
ま、チルノをけしかければ退屈する事はないからね。
さて、今日はなにをさせようかしら?うふふ、楽しみね♪
「おーーーーーい!だーーい!よーーう!せーーい!」
ああ、ああ。それにしても何てバカっぽいの・・・
そんな遠くから大声出して、おもいっきり手を振らないでもいいじゃない!見てるこっちが恥ずかしいわ!
・・・あら?今日はレティさんが居ないのね?そういえばギリギリもう春ねー
レティさんは冬の妖怪で、チルノや私なんかのいいお姉さんね。チルノったら冬になるとレティさんにべったりで、レティさんも大変そうよねー
この前そのこと聞いてみたら「私は構わないわ、可愛い妹みたいなものだから。」と笑顔で言われてしまった。やっぱり大人ねー、黒幕なんて軽々しく言えるのは余裕のある証拠よねー、憧れるわー。
でもあの体型はパスね。そこまで憧れた覚えはないわ。
あーっとそれから「あんまりチルノで遊んじゃダメよ?」とも言われてたっけー。やっぱバレバレだったか。
「だーーーーーーーーーい!よーーーーーーっ!せーーーーーーーーーーーー!!!!」
「うるさいわね!聞こえてるわよ!」
こんな至近距離で大声出さないで欲しいわ、ホント。
「んー?じゃあちゃんと返事してよ!わかんないじゃない!!」
この・・・・ホントこれだから⑨は・・・・
「はぁ、あんな遠くから大声で叫べば誰でもわかるわよ。それぐらい理解しなさいよ。」
「それでも呼んでるんだから返事くらいしてよ!」
「あー、はいはい。今度からはそうするわよ。それでいいわね。」
「ふん、そうよ。」
全く、なに無い胸張ってるんだか。チルノごときが、それで私に勝ったつもりなのかしら?それなら、ここから私の手腕を見せてやるわ。
「うん、それじゃあ、今日は何しようか!」
・・・・・・・まあいっか。
こんなトコでやっきになってもいい事無いわ。
「そうねぇ、また沼にでも行く?」
「いいわ!みてらっしゃい!あの大がま!今日こそ返り討ちよ!アタイの力、思い知らせてやる!!!」
今日も退屈はなさそうね♪
「きゅ~~~~」
まんまと妖精大砲やられたわね。今日もきれーにポーンっと飛んだわね~
全く、「ふっふっふ。今日はスペルカード発動させてカチンカチンにしてやるんだから!」とは勇んだものの、本来の目的忘れて蛙を凍らせるのに夢中になっちゃって・・・・・
そんなの背後から食べてください。って言ってるようなものよ?まあ、チルノだし、しょうがないかぁ。
今は気絶したチルノを木の幹を枕に、横にしているわ。
今日の妖精大砲はちょっと威力が強かったわね。凄いとなされて来ちゃったわ。おかげで探すのが大変だったわよ。
ここら辺は綺麗なお花が沢山咲いてるから、私のお気に入りの場所。でもまさかこんなに飛ばされるとは・・・・
恐るべし大がま!ね。
「ん~~あ~~、も~ダメ~~~」
・・・・何だか間抜けな寝言ね~、すっごく負け犬っぽいわよ、チルノ。実際負け犬だったけど。
それにしても、柔らかそうなほっぺね~。すごーいぷにぷにしてそう・・・・
この状況ですることは一つね・・・・・
えい♪
「ぷにゃっ」
あぁん、柔らかーい!思った通り、ぷにぷにのむにむにね~。気持ちいいわー
「ひぁ・・・」
えいえい
「ふぃぁ・・ふぃぁ」
うりうり~
「ふゅぁぁ~」
ホンットにぷにっぷにね。これは病み付きよ~。
そっれにしても、ここまでされても起きないなんて・・・・・・
うりゃ!
「ひにゃっ?!いひゃい!いひゃい!いひゃい!」
つねっちゃった♪
「ひょ、ひょっほ!ひゃひひゅんひょひょ!!」
「ん~?チルノがなかなか起きないから、起こしてあげたんじゃない。」
むにー
「ひゃあー!いひゃい!いひゃい!はひゃひひぇひょー!!」
「んー、どーしよっかなー」
むにーーーっと
「ひゃふへひゃう!ひゃふへひゃう!」
こんな伸びるんだから破れないわよ。ま、これくらいにしときますか。
「んじゃー、はい。」
ぴっ
「ひあああ!!痛い!痛い!いーたーいーーーー!!!」
「おはよう♪目は覚めた?」
「ひょ、ひょっと!にゃにすんのよ!」
口調がまだ変よ?頬も真っ赤、ちょっとやりすぎたかしら?
「あら、いくら起こしても起きないチルノが悪いんじゃない。」
「うっ、そうなの?」
「嘘ついてどーするのよ?ホントよ、ホント。」
嘘だけど
「そ、そっか・・・でももうちょっと優しく起こしてよ!」
「だから起きなかったじゃない。」
「それでも優しく起こすの!」
「はいはい、次からは気をつけるわ。」
「ホントね!痛いのは嫌だからね!」
「はいはーい、わかったわよ。」
んー、でもあの感触は忘れられないわ~、また今度やろうっと♪
「それにしても、ここはどこ?」
「ああ、チルノはここに来た事なかったっけ?」
「うん、無いわ。うわー、綺麗な花がいっぱい咲いてるね!」
おお!⑨よ!よくぞ気づいた!気にもしないかと思っていたわ。
「花って凍らせると綺麗なのよね!」
ドライフラワーみたくなるのかしら?
「ふーん、ちょっとやってみせてよ。」
「いいわよ、じゃあまずこれで。」
チルノは手近にあった花へ手を伸ばし、無造作に摘む。ああ、そんな摘み方じゃ花が潰れそうじゃない・・・・
「それ!いくよ!」
カキーンっと一瞬で花が凍る。
「どう!キラキラして綺麗でしょ!」
「へー、ホントねー、綺麗・・・。」
これはホント綺麗だった。花びらがキラキラと日の光を浴びて輝いている。こんなの見た事無いわ。
「へっへー、どう?見直したでしょ」
・・・・・なんでチルノを見直さなきゃいけないのよ、あんたは⑨、コレ以下にはなってもこれ以上にはならないわ。
「そうだ!ここにある花、全部凍らせてあげる!」
はあ?何を言いだした?この⑨は・・・・
「皆凍れー!」
ちょっ!そんなことしたらお花が全滅しちゃうじゃない!
「ま、待ちなさい。チルノ!」
「パーフェクトフr」
「はいはい、そこで止めときなさい。」
花符「幻想郷の開花」
「「え?」」
いきなり現れた、日傘をさした緑髪の女の人を見て、というか目の前の光景を見て、私達は一瞬固まった。
目の前のお花達が一斉に開花し、心なしかこちらに向かっている。
「あー!あんたはこの前アタイをイジメた!」
「あら?またイジメられたいのかしら?」
なんかやばそー・・・・っ?!!
「ちょ!チルノ!逃げるよ」
「なんでよ!こいつだけは倒さないと!」
いや、見た感じ無理だから!相手も割とヤル気だし!
「えっと、違うわ、お花を見て!お花を!」
「え?っうわ?!向かってくる?!」
「ふふふ、さあ行って。私のお友達よ。」
ひいいいい!蔦が迫ってくるううう!!!!!
「チ!チルノ!こっち!」
私はチルノの手を取って飛び立つ!
「え?!え?!うわあ!!!」
「ちょっとチルノ!ちゃんと飛んでよ!」
引っ張られる体勢だったチルノをなんとか自力で飛ぶ体勢にし、私達は木々の間をこれでもかっというくらい急いで飛んだ!
視界の端に移る蔦が怖すぎる。何で動くのよ!しかも結構早いし!!!
「ね、ねぇ!ちょっと早いよ!」
この⑨は・・・どこまで⑨なんだ・・・・・
「早くしないと、あのお化け蔦に捕まっちゃうでしょうが!!!」
私は再度チルノの手を取って速度を上げる!逃げ切れるのか?いや!逃げ切るのだ!!!
「あらら、ま、今日はこの辺で許してあげましょうか♪」
そうとは知らず、私達はそれから一時間、全力で逃げた。つ、疲れた・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日ももう終わる、太陽がお家へ帰ろうとしているからだ。通常、妖怪達にとってはこれから活動時間なんのだろうが、妖精にしてみたらあまり関係の無い話。今日は疲れたから早く帰って寝よう・・・・
ちなみにチルノは逃げ疲れて寝ちゃった。死ぬかと思ったから私が全力出しちゃったからかな。チルノにはちょっと辛かったかもね。
今チルノをおんぶして歩いている。飛ぶ気力も無いほど疲れたわ・・・・
直に目を覚ましたチルノと別れ、私も帰路へつく。
今日は散々な目にあったわね。全く、あんな目にあったのはそもそもチルノの所為よ!「お花を皆凍らす」なんて言うから、変なのに追いかけられたじゃない!
一人の時ならいくらでも無謀な喧嘩売っても買ってもいいけど、私に被害が出るような事は止めて欲しいわ!
はぁ、なんであんなのと一緒に居るのだろうか・・・・
最早そこから疑問になってきた・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・やっぱり、チルノが好きだから、かな。
昔からずっと一緒に居て、何かする時はいつも一緒だった。
チルノのおかげでいっぱい大変な目にもあったけど、やっぱりチルノと一緒に居るのは楽しいし、何より私はチルノの笑顔が好き。
屈託の無い、心の底から楽しそうな笑顔が・・・・
ああー、何考えてるんだろ私!
全く、あれもこれも、何もかも全部チルノの所為ね!この⑨!
ふー、明日は、チルノと何をして遊ぼうかな♪