Coolier - 新生・東方創想話

それは静かな昼だった

2006/03/12 22:09:01
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ものすごい、暗い話です、気分が悪くなる表現が含まれています。
ほのぼのした話や秘封倶楽部が好きな方は戻るをクリックした方が良いかもしれません。
それでも良いならどうぞ・・。



























 12:35

マエリベリー・ハーンはカフェでおしゃれなティーの時間を満喫していた。窓際で町行く車を眺めながらコーヒーを飲む金髪の少女はえも言えぬ雰囲気を出していて、店内の男性客の注目の的だった。

「おいおい、あの子マジかわいくね?」
「声かけてみようぜ」
「お前が行ったって見向きもされねえって」
「つーか外人?日本語通じんのかな?」


そんな人達に気づきもせずメリーはただただ思うのだった。

「遅せぇ・・」
心は修羅のごとくだった。

何?なんでアイツはあんなに遅いわけ?つーか、あれだ時間が分かる能力持ってるくせに遅刻?なにそれ?バカにしてるの?もうこれは才能ね。

でも、粛正を加える必要があるわね・・・・・そうだ!







 カランカラン

ああ、奴が来た。

「遅れてごめんメリー」

この言葉もいつもと変わらない、日々デジャブを感じて生きているわ。

「いいわ、私は心が広いから。とりあえずこの頼んでおいたコーヒーでも飲みなさい」
そう言って、とっておいたコーヒーを蓮子に差し出す。
「有り難う、気が利くわね」

 ゴク   ブハッ
飲んだ瞬間に壮大に噴いた。
「何これ!?甘っ!」

「ははは、バカめ!引っかかったな!そのコーヒーは私が丹誠込めて砂糖を飽和させた激甘ドリンクよ、ククク、それを飲むと血糖値が一万くらいになる程の威力だ!せいぜい成人病に気を付け・・うわ!何をする!」

「サメナイウチニ・・・ほらたーんとお飲み」
気付は背後を取られ鼻をつままれ口の中にそのドリンクを流し込まれる始末。

「やめっ、甘!甘ぁ!」
ああ、やめとけばよかった・・・・と猛烈に後悔した。



「うう、まだ舌の感覚が・・・って、ケーキを甘く感じないってどういう事よ・・・」
「自業自得」
「なによ、蓮子が遅れてきたのが悪いんじゃない!むしろ、しょうゆコーラを作らなかっただけありがたいと思いなさいよ!」
しょうゆコーラとはその名の通りコーラにしょうゆをブレンドした物だ。しょうゆの辛さとコーラの甘さ、そして炭酸の絶妙なハーモニーがたまらなく不味い。
「まあ、結局メリーが飲むことになるんだけど」
「やめれ」
「メリーもね」


まあ、コントはこれぐらいにして本題に入る。

「で?今日の活動は?まさかとかじゃないわよね?」
適当に
「・・・アタリよ、メリー」
「わ~い・・・帰る!」
「わー!ウソ!ウソだから帰らないで話を聞いて!」
「次嘘ついたらコーヒー飲ますわ」
「分かったから・・・・ゴホン」

「実は新しい結界を見つけたのよ」

「じゃあ、つまり・・・」
「ええ、『結界破り』、秘封倶楽部の出番よ」
「まあ、出番っていうか、それしかやってないんだけどね」
「まったくその通りね」
「で?その結界は?」
「ええ、実は意外と近くに有ったの――――」




















「へぇ、こんな所に路地が」
蓮子についてきた所、それは商店街の裏路地、何度もこの商店街で買い物したり、また、ここは学校に行くための近道でもあるため裏路地には詳しかったはずだが、こんな通路が有るとはメリー自身まったく知らなかった。きっと、蓮子が教えてくれなかったら一生気付くことは無かっただろう。

「たぶん、結界の影響ね、ここら辺一帯の空間が歪んでしまっているから、普通の人では気付きにくくなっていると思うの」
「なるほどね、確かに道行く人は誰もこの路地の方を見ないわね」
人通りは多かった、夕飯の買い物をしに来た主婦が行き来し、店の店員が威勢のいい声をあげる、だが、この通路を見る、はてまた入ってくる人はいなかった。

「今回はどうやってこんな所を知ったというの?」
「う~ん、説明がめんどくさい」
「まったく、適当ね」
「うっさい、さっさと行くわよ」
「はいはい」
蓮子が先を行く、その後をメリーがついて行く、道はマンガで書いたような裏路地だった、猫が何匹かたむろしていて、段ボールの上にいる黒猫がコチラを警戒していた、倒れたゴミ箱をカラスが漁っていた、これで浮浪者とかいたら完璧にスラムだなと思った。

「着いたわ」
蓮子が足を止めた、そこには確かに結界があった。
分かりやすい、時空の裂け目、ポッカリと空いたスキマ。

「準備はいい?」
「OK、いつでもいいわ」
「―――それじゃあ、1,2、3で向こうにダイブよ」
「わかった」

 ゴクリ
いつも、この瞬間は緊張する。

 1      2      3―――――


二人は結界の中に身を投じた、と同時に目の前が真っ白な光に包まれた。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









 メリー!

 この声は蓮子・・・

 メリー!!

 蓮子が私を呼んでる・・・

 メリー!!!

 起きなくちゃ・・・学校に遅れる・・・



「って、蓮子に合わせてたら、確実遅刻じゃん!!」

「あ、起きた」
「おはよう、蓮子。朝食はトーストにハムと目玉焼きを乗せたのが食べたいわ」
「私はメリーのメイドでもないし、今は朝でもないわ。忘れたの?」
「はいはい、分かってますよ、で?今の状況は?」
そうだ、今は結界の向こう側に来たのよ、そしたら変な光に包まれて私は気を失って・・・・どうなったけ?正直蓮子のメイド姿が頭から離れない。
「どうなったも何も、周りを見てよ」
「う~ん?」

そこは、入った所と同じ、空を見上げると空は赤く時刻は夕方と思う、まったくいつもと変わらない世界だった。

「う~ん、結構気を失ってたみたいね・・」
「そうね、私が先に起きたけど、すぐにメリーもその後起きたから・・」
「って言うか、全然変わってないね・・ハズレだったのかな?」
「そうかもね、結界にハズレ、アタリなんて有るのかしら?」
「さあ?少なくともこの結界はダメだったという事ね、あ、もう消えちゃってるけど」
「ホントだ、さっきは気が動転してて気付かなかったけど」
先ほど入った結界は既に跡形もなくなっていて、そこにはコンクリートの壁があった。

「・・・帰ろっか?」
「そうね・・もう暗くなってきたし・・」
そう言うと私達はもと来た路地を引き返した、ああ、まだ黒猫とカラスがいる・・ここは彼らの縄張りなんだろうか?相変わらず、黒猫はこっちを睨んでいる、金色の目が印象的だった。

そして商店街が見える所まで戻ってきて、路地を抜け商店街に出る。








―――――私達は異変に気付いた。




「ねえ、蓮子・・・・」



「なんで全部の店のシャッターが閉まってるの?」

今は夕飯時のちょっと前だろう、商店街がもっとも活気に溢れる頃だ

 なのに

 何故 

どのお店も閉まってるの? どうして誰もいないの?

「ねえ、今の時間は?」
もしかしたら今はもう夜かも知れない、空は明るいが、きっと何か白夜とかに違いない。

「今は十二時四十九分」
「・・・・」
やはり、何かがおかしい。

「じゃあ、とりあえず辺りを見て回ろうよ」
「うん・・」
とりあえず歩き出した。

「それにしても、薄気味悪いわね」
誰もいない商店街、よく見ると看板やシャッターは錆びて赤褐色に変色している。
空は赤く、雲で陰り薄暗い、太陽も月も出ていない。
聞こえる音は風で看板がキイキイ音を立てる音、風が通路に響く音、そして私達の靴がたてる音だけで、静を通り越して五月蠅かった。


 カラカラ コツ コツ     ビュウ ――――― コツ コツ 
  
  コツ           コツ コツ          キイキイ

    キイキイ パタパタ   コツ               コツ

       ビュウ   ――――――――  コツ コツ


 ああ 五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い――――



「霧が出てきたわね・・」
「うん、遠くまで見えなくなってきたわ」
だいぶ歩くと霧が出てきた、しかも結構濃い。そもそも、こんな町中で霧なんて出るのだろうか?


「!!」
「蓮子?」
「メリー!人よ!今人影が見えたわ!」
「え?どこ?」
「こっちよ!」
そう言うと蓮子は霧の中に駆けだしていった。
「ちょっと、蓮子!速いって!待ってよ!」
霧に消えてゆく蓮子の姿。

ふと、霧が晴れた、そこには友人の姿はなかった・・・。

「・・はぐれちゃったか・・・電話してみよう」

ツ ツ ツ トルルルルトルルルトルルル

『現在電波の届かない所にいらっしゃるか―――――』

プチッ


携帯電話を切って、画面を見てみる。

圏外だった。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






蓮子が消えた辺りでしばらく待っていたが、いっこうに蓮子が現れる様子がなかった。

しばらく歩くことにした、相変わらず人影が見あたらないし、開いている店もない。

「まずは蓮子を探そう」それが私の第一目的だった。

蓮子がいそうな場所、蓮子の行動パターンを読む。
そして、私が考えついた場所、それはやはりいつものカフェだ。
秘封倶楽部の集合場所、きっと、あそこに行けば蓮子はいるはずだ、私はそう確信していた。

歩いてるときも人ましてや走ってる車の姿も見あたらなかった。何台か路上駐車している車があるが、その車も朽ち果てタイヤもパンクしていて動かせそうにない。まあ、最も鍵がないと動かないし、私は運転も出来ない。

蓮子がいなくなって、また再び静寂の世界、さっきは二人だったが、今は一人。
あのときを思い出す、あの夢の中で変な生物に出会ったこと、体が赤く燃える少女を見たときのこと。

あのときも一人だったな・・。


コツコツ コツコツ コツコツ

通りに私の靴の音が響く。

コツコツ コツコツ コツコツ

コツコツ コツコツ コツコツ

コツコツ コツコツ コツコツ

コツコツ コツコツ コツコツ

コツコツ コツコツ コツコツ―――――――ガサッ

「!?」


 ガサッ ガサ ガサ ガサ


拙い、なんの音だコレは・・・虫にしては音が大きすぎる。
なにか、大きな・・・それこそ人間くらいの大きさの生物が地面を擦るような音。
体を強ばらせる、集中しろ、この音はどこから聞こえてくるんだ?
ふと、後ろに目をやると鉄製のパイプが落ちていた、急いでそれを拾い上げる。



 音が止んだ?



さっきのは空耳だったのか?風で何かが転がっていただけなのだろうか?
辺りを警戒してみる、確かに先ほどと変わりはないし、あいかわらず何も――――


 ドッ


「!!」
ソレは車の下から突如出てきた。

「うわぁぁっ!」
思いっきり鉄パイプを振り下ろす。

 ガツッ ドン ドン ドン
何度も何度も振り下ろす、ソレはまだ動いてる。



何度振り下ろしたであろうか、そいつはもう動かなくなった。
それにしてもナンダコレハ?
見た目人間のように見える、が全身が褐色だし、なにより顔が無い、いや有るのだが目も鼻も無い、有るのは口だけだった。ソレは鮮血(血も赤いというかどす黒かったが)をまき散らして倒れている、いたる所、私が振り下ろしたパイプのせいで変形している。


はあ・・はあ・・
乱れてしまった呼吸を整える。


「行くわよ・・・」
私はそう決心した。


数歩進んで再びさっきのソレを見てみる、そこには既に何も無かった。


立ち止まってみると、聞こえてくるのは、もう風で揺れる錆びたシャッターが揺れる音。

 ガシャ ガシャ ガシャ

ああ 五月蠅い――――






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







「着いた・・」
ようやくたどり着いたいつものカフェ。

「それにしても・・・」
ここだけ妙に空気が重い、何というか世界が歪んでいるのがはっきりと分かる。
一目で分かる、本能が告げているココニハハイッテハイケナイと。
だけど、きっと蓮子もここにいる、そんな気がした。


 ゴクリ

「行くわよ・・」

覚悟を決めてドアに手を掛ける。


 ギイィ ガラン ガラン


古びた音を立ててドアが開く。
中は電機がついて無く、真っ暗だった。


 ガタッ

「!!」
急いで音の鳴った方向を見る。
だいぶ目が暗闇に慣れてきた、よく目を凝らしてみてみる。


 ナニカガイル


奥の方に窓からの光で一つの影が見える。
「誰!?」
ギュと鉄パイプを握りしめ、構える。


「メリー?」


暗くてよく見えないけど、この声は蓮子だ。
「蓮・・子?」
「そうよ、何よ遅かったじゃない、メリーが遅いなんて珍しい」
「なによ、私を置いてさっさと行っちゃったくせに」
「ごめんごめん」


 ナンダ コノ イワカン


「とりあえず、これでも食べて」


 アア、ワカッタ


「何これ・・・」

 
 クラクテワカラナカッタケド


蓮子が私にくれた物は


 レンコノカオモナイ
 

黒猫の死体だった。


「・・・・・」
「メリー?」


「蓮子ごめんね・・」

鉄パイプを振った 鮮血と帽子が飛んだ。





私は椅子に座りテーブルに肘をついている

 窓から外を見てみる

 窓から道路が見える 行き交う人も車も無い

錆びた 時間が止まっている時計のような 誰もいない世界 

 何処だろうここは 何度も見たこと有るのだけど

  知らないこんな所 

外は知らない世界 きっとココは 知らない

 さっきは燃えるように紅かった空も今では鉛色

  暗い な

 ああ また霧が出てる 視界が白く なって

   ゆ く

 おかしいな ここは屋内なのに






























「・・・・」

そこはカフェ、どうやら寝ていたようだ、目の前には頼んでおいたコーヒーが置かれている。時計に目をやると、時刻は十二時半を過ぎた頃だった。

「う~ん、最近疲れてたからな・・・」

「でも、どうやらまた蓮子は遅刻みたいね」
相変わらず奴は来ていない。

何?なんでアイツはあんなに遅いわけ?つーか、あれだ時間が分かる能力持ってるくせに遅刻?なにそれ?バカにしてるの?もうこれは才能ね。

でも、粛正を加える必要があるわね・・・・・そうだ!







 カランカラン

ああ、奴が来た。

「遅れてごめんメリー」

この言葉もいつもと変わらない、日々デジャブを感じて生きているわ。

「いいわ、私は心が広いから。とりあえずこの頼んでおいたコーヒーでも飲みなさい」
そう言って、とっておいたコーヒーを蓮子に差し出す。
「有り難う、気が利くわね」

ゴク   ブハッ
飲んだ瞬間に壮大に噴いた。
「何これ!?甘っ!」

「ははは、バカめ!引っかかったな!そのコーヒーは私が丹誠込めて砂糖を飽和させた激甘ドリンクよ、ククク、それを飲むと血糖値が一万くらいになる程の威力だ!せいぜい成人病に気を付け・・うわ!何をする!」

「サメナイウチニ・・・ほらたーんとお飲み」
気付は背後を取られ鼻をつままれ口の中にそのドリンクを流し込まれる始末。

「やめっ、甘!甘ぁ!」
ああ、やめとけばよかった・・・・と猛烈に後悔した。



「うう、まだ舌の感覚が・・・って、ケーキを甘く感じないってどういう事よ・・・」
「自業自得」
「なによ、蓮子が遅れてきたのが悪いんじゃない!むしろ、しょうゆコーラを作らなかっただけありがたいと思いなさいよ!」
しょうゆコーラとはその名の通りコーラにしょうゆをブレンドした物だ。しょうゆの辛さとコーラの甘さ、そして炭酸の絶妙なハーモニーがたまらなく不味い。
「まあ、結局メリーが飲むことになるんだけど」
「やめれ」
「メリーもね」


まあ、コントはこれぐらいにして本題に入る。

と、その前に

「ところで、蓮子。あなた帽子はどうしたの?」
今日の蓮子は帽子をかぶっていなかった。
「いや、どうやら無くしちゃったみたいなのよ、あれお気に入りだったのになぁ」

「ねえ、メリー。どうしてそんな鉄パイプ持ってるの?かち込みでも行くの?」
「? 誰がそんな物持って・・・」

手には確かに、鉄製のパイプが握られていた。


 ナンデ?  

ドウシテコレガココニ?


「・・・これは」
「?」
「・・・最近物騒だからね、持ち歩いてるの・・・」
「ぷっ、ははは、そんなために鉄パイプ!?メリーのセンスは抜群ね、でも警察に掴まらないようにしてよね」
「うん・・・」


コレガアルトシタラモシカシタラ・・。


「ねえ、蓮子の帽子だけど、多分、そっちのテーブルの下に落ちてるわ」
「え!?」

「ホントだ!って、なんでメリーが知ってるのよ!さてはメリーが隠したわね!」
「うん・・・ゴメン・・」
「なによ、今日はやけに素直じゃない」

「で・・・・今日の活動は何?」

「それはね・・・」







『実は新しい結界を見つけたのよ』






<何処にも続かない>
読んでくださいまして、有り難うございました、ようこそ、静かなる恐怖の世界へ、って私の文章力では全然怖くなかったですね・・・。

前回にギャグ書いたので今回はホラーを書いてみたのですが、とりあえず、ほのぼのした秘封倶楽部の話が好きな人にすみませんでした、次があったらどうなるかな・・。

あと、タイトルでピンときた方はちょっとすごいです、ヒントを言うと某ゲームのパロ、内容もそんな感じのテイストで、まあ、文章内でほどんど気付かれたでしょうが・・・まんまですw

誤字脱字等有りましたらご報告願います。
サブ
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コメント



0.400簡易評価
1.50神矢削除
サイレントヒル、ですかね?3あたり。
違ったらごめんなさい!
赤錆あたりが似てるんですけどね。
違ったらごめんなさい!
顔の無い怪物?も出てくるんで。
違ってたらホントごめんなさい!
12.100名前が無い程度の能力削除
サイレントヒル・・・
この人たちどこの世界にいても違和感ないですね
14.90名前が無い程度の能力削除
このての話は好きなモンで