この作品はとある作家のとある作品をオマージュっちゅーかパクリっちゅーかそれ系の事をしている気がなきにしもあらずです。しかし、元作者様に怒られるような事はやっていない。やっていないと言っておきますが、訴えられたら土下座して謝ります。だから
――ごめんなさい。
「んふ」
口元がにやける。それを抑えようと顔の筋肉を力強く引いてはいるが、どうしても口元が緩むのは抑えられなかった。
可笑しい。これからの事を考えると可笑しくて堪らない。邪に釣り上がった口は、留まる所を知らずさらに釣り上がった。
「ふふふ、うふふふふふふ」
なんて。
――嗚呼、何て可笑しいのだろう。
きっと皆は混沌と化す。それは絶対的に止めようが無い。決定された未来、誰も侵害する事ができない阻められた道。そう、彼女に抵抗できる者など存在しないのだ。
「あは、あははははは、あはははははははははははは!!」
狂ったように――或いは狂っているのかもしれない――彼女は哂う。こんな喜劇の始まりを想えば、たとえ彼女ではなくとも狂わずには居られなかっただろう。
美しい指が、その一本の線に触れる。滑らかな肌が愛しそうにその境界を撫でた。触れる面は指から指先へと移り、やがて爪へ。嘲笑いながらその境界を弾き――裂いた。
これで、もう止まらない。既に手遅れだ。この瞬間、全てを巻き込むこの瞬間の快楽と言えば、正に性的な絶頂に似ている。彼女は背骨に走る痺れに身を任せ、体を震わせた。瞳には、強い陶酔の色がある。
彼女、稀代の大妖怪は、八雲紫は悪戯と大事の境界に穴を開けた。
ちなみに、シリアスな出だしをしているがまったそんな事はないので悪しからず。
拙い。この感情は何なのだろう。魔理沙は胸元を強く掴みながら、目の前の光景を見続けた。顔は既に赤く紅潮している。
魔理沙の目の前には、一人の少女が眠っていた。外見的な年齢は魔理沙とそう変わらないだろうが、その普段からは想像し難い無防備な姿と、あどけない寝顔が幾分か年下に見せている。
少女、魂魄妖夢は博麗神社の縁側で、足を垂れながら寝ていた。猫のように体を丸めながらも、手は伸びているのが愛らしい。
魔理沙はまるで硝子細工でも触るかのような手つきで妖夢の頬に触れようとして、手を戻す。触れてしまえばこの瞬間が砕けてしまうのではないだろうか。そんな思いが魔理沙の手を進めさせなかった。
心の中で葛藤する。触れるべきか、否か。
否と解いても、長くは持つまい。魔理沙は既に妖夢の虜だ。
そう、これが恋というものなのだろう。触れる事は絶対的な禁忌だと思うのに、どうしようもなく触れたい。霧雨魔理沙は恋の魔砲使い、このような感情はむしろ人一倍強いと言っても過言ではない。魔理沙の胸には、今桃色の息吹がかけられている。そう、きっとこれピュアラヴ。
魔理沙はこのあどけない顔を。愛らしく薄く笑みを作る妖夢の表情を――
「歪めてぇ」
邪な恋もあったもんだ。まぁ、所詮魔砲使いだ。なんでも弾けりゃいいと思っているに違いない。
さぁ、どうやって歪めてやろうか。彼女が飛び起きるような行為がいい。剥いて縛ると言うのはどうだろうか。きっと泣いて懇願してくれるに違いない。それとも、股間に人肌程度のお茶を垂らして、彼女が起きたら冷たい眼で見つめるのいうのはどうだろうか。きっと彼女は羞恥に顔を歪める。その時の顔を見たら、きっと私は絶頂してしまう。寝ているうちに体を痺れさせ、彼女の剣で少しずつ衣服を裂けばどんな顔が見れるだろうか。楽しみで仕方が無い。
どうしようかと思案していた魔理沙は、神社の隅にあるものを見つけた。それを見て、魔理沙は急いで口元を押さえる。口が、哂ってしまう。
音を立てないようにそれに近づき、軽く力を入れて引き抜く。妖夢は、起きていない。魔理沙はそのまま妖夢の頭上に立った。彼女を吟味し、今し方手に入れたばかりのそれを、妖夢の耳に思い切り突き刺した。
「ヅッ!」
普段では聞けないような妖夢の声を、鼓膜に振るわせる。何て心地がいいんだろう。
「……あ、っひ」
甘い、とろけるような声を出しながら、妖夢は自分の頭上に誰かが立っているのに気付く。恐る恐る顔を上げると、そこには見知らぬ誰かが居た。
違う。見知らぬ相手ではない。むしろ、良く知っていると言っていい。しかし、彼女は普段の印象からはかけ離れ、絡みつくような視線を送ってきている。口元には手を添えて。あの口は、きっと哂っている。
「あ……ああぁ」
恐怖に顔を引きつらせた。何だ。何だこれは。未だかつて、これほどの恐怖は感じたことが無い。
何故だ。何故こんなに怖い。実力はさほどかわらないのに、いざとなれば逃げ切る事だってできるのに、この距離ならば彼女が瞬くよりも早く切って捨てる事ができるのに。
何故――彼女の哂った目はこんなに怖いのだ。
魔理沙がゆっくりと顔を下ろしてきた時、ついに妖夢の限界は来た。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
自分でも何を言っているか分からない絶叫を発しながら、妖夢は駆ける。耳の中に入っていたそれを引き抜いて、後悔した。恥も見聞もなくしても、自分で引き抜くべきではなかった。こんなものを突っ込まれたかと思うと、背筋が凍る。
妖夢は感情を爆発させ、ひたすら走る。後ろを振り返ると、魔理沙は先程の位置から動かずねっとりとした視線を送っている。
何故動かない。追いかけてきてくれたほうが、幾分も恐怖が紛れたのに。妖夢は一時でも早くその視線から逃れる為に、ただひたすら走った。悪夢を振り払うように。
「ちょっと、何! 何なのよ!」
境内を掃除していた霊夢が、誰かの、恐らく妖夢の絶叫を聞いて駆けつけてきた。そこには既に妖夢はおらず、にやにやした笑みを浮かべた魔理沙だけがいる。
「魔理沙、何があったの?」
「いやぁ、ちょっと悪戯を。たまにはいいもんだな」
「そういうことは聞いてないわよ」
多少苛々しながら、霊夢が言う。いざとなれば掃除用の竹箒を一閃する覚悟だ。
「突っ込んだ」
「……は?」
魔理沙の言葉に着いていけなかった霊夢が、聞き返す。
「耳の中に、ねこじゃらしをつっこんだんだ」
「あー、えー、なにやってんのあんた」
「いやぁ、あいつ虐め甲斐があるっつーかなんつーか、幽々子の気持ちが分かった気がするぜ」
「……まあ、ほどほどにね」
途端馬鹿馬鹿しくなり、霊夢がおざなりな返事をして掃除に戻る。結局ただの悪戯だ。
なんかやりすぎな気がしないでもなかったが、どうでもいいので放っておいた。
幽々子は珍しく一人で現界を漂っていた。いつも控えているはずの庭師は居ない。何をやっているかは知らないが、今日は博麗神社に行っているはずだ。
一人で出るのもどうかと思ったが、たまにはこういうのもいいものだ。あてもなく一人での散歩は、悪い気分ではない。
「助けて! 誰か助けてぇ!」
いきなり助けを求める声が聞こえた。ふよふよと、いつもの調子でそちらに振り向くと、いきなり誰かが幽々子に激突した。
幽々子は慌てず騒がず、脱力する。そうすれば衝撃が全身から抜けて行ってくれる。大したダメージも負わなかった幽々子は、胸に飛び込んできた誰かを見た。背中に鳥の羽が生えている知り合いは、一人しかいない。
「あら、ミスティアね。嬉しいわー」
「ほ、本当? 助けてくれる?」
あまり幽々子が得意ではないミスティアだったが、幽々子の好意的な言葉に思わず期待する。
「自分から食べられにくるなんて」
しかし、幽々子はまったく話を聞かずに切り返した。
「ひぃぃ!」
ミスティアは絶叫し、暴れまわる。しかし、幽々子はミスティアの力を上手い具合に分散させ、自分の胸から逃がさなかった。
「そんなに戦々恐々としなくても、話は聞いてあげるわよ」
「き、聞く? 助けてくれる?」
「ええ。その代わり後でかじらせて?」
「嫌だぁぁぁぁぁ!」
「なによう。全部よこせなんて言ってないわよ。ただ、ちょっと二の腕辺りを頂戴って、ね?」
「具体的なのがもっといやだぁぁぁぁぁぁぁ!」
力の限り暴れまわるが、力の使い方に大きな差がある上に身長差もある。抜け出す事はほぼ絶望的だ。
「ほぉら、幽々子お姉さんに話してみなさい。ある程度の事はなんとかしてあげるわよ? 二の腕と交換で」
ぴたり、ミスティアが止まる。幽々子はそれをみて、にやけた。
交換条件を出されてそれを飲むということは、それだけの事が起こったということだ。成る程、ミスティアが何をやらかしたのかは知らないが、相当な事があったのだろう。妖夢をからかえず面白みが足りない散歩だったが、これはまた面白い事態に出くわしたものだ。
「で? 何があったの」
「……チルノが」
「チルノが?」
「溶けた」
一瞬、何と答えたものかと考える。あの妖精が溶けるとは、本気かそれとも化かそうとしているのか。どちらにしても判断に苦しむ。
だから、取り合えず聞いてみることにした。
「なんでまた」
「うん、チルノって冬の妖精なのに全然それっぽくないじゃない? 実は夏の妖精なんじゃないかと思ったの。だから、悪戯心で溜めといた夏を一気にチルノに使ったら」
「溶けたと」
「うん」
「貴女、予想以上に馬鹿ねぇ」
「ちなみに今居る所がチルノが溶けた場所ね」
幽々子はどってことない顔をしているが、さりげなくその場を一歩分移動した。話も真実っぽいし、そんな所に浮いているのは幽々子でも躊躇われる。
「ねえ、私どうしよう?」
「無理」
「えぇ! 速っ!」
「来年の冬に期待しましょう」
幽々子はミスティアを離し、ふわり、空高く飛んでいく。
「ちょっ、まっ、お願い、何とかぁ、待ってぇ!」
聞く耳持たず飛ぶ。あぁやだやだ。子供は時折信じられない事をするからやだ。
幽々子は空を見上げる。まぶしすぎる日差しは、目に優しくない。もうちょいこう、優しくてまともな世界のあり方があるんじゃないかと幽々子は考えた。
「アホばかりでやだわ~」
ぽろりと漏らした一言は、自分にも言える事でちょっとへこんだ。
若気の至り。人間誰しもが持つものであり、それは避けようの無いものだと言える。浅慮の果てに引き起こされるそれは、時として取り返しのつかないことにもなる。
彼女、蓬莱山輝夜もそうだった。若くないというつっこみは止めて頂きたい。私も重々承知はしている。だが、至ってしまったものはしかたがないではないか。衝動のままに行動した結果ミスを犯してしまった事を、若気の至り以外に何と言えというのだ。
それはともかく、今、輝夜の両手には二本の耳、合計四本が握られている。片方は肉厚であるが力の無い感じの、片方はサイズ的には普通の兎の耳程度なのだが如何せん萎びている。さらに、輝夜の足元には二人の人間が転がっている。両者とも頭を抱え、白目を剥きながら気絶している。
なぜこんな状況になったのか。なぜ輝夜が重大な罪を犯した人間のように佇んでいるのか。
それは、今から5分ほど遡る。
ぶちん。
「ぎゃー!」
「ぎょえー!」
短すぎたのでもう15分ほど遡る。
発端はなんだったのか、既に輝夜は覚えていない。彼女にとって、今は自分に怒りがあるというのが全てである。そして怒りの矛先は、目の前のイナバ二人に向いていた。
二人のイナバが互いに足を引っ張ってしまい、ミスを犯した。それに対し輝夜は、彼女達の主人として説教をしていたのだが。彼女は兎を言い分けない。全ての兎をイナバとひとまとめにする。故にどちらが説教されているのかが分からない状態が続き、あろう事かイナバの一匹が呼びわけをしてくれなどと、恐れ多くも主人に対し意見を述べたのだ。
月でも地上でも蝶よ花よと育てられた輝夜は、従者に意見など垂れられた事は無い。もしそれをするにしても、意見していいのは八意永琳ただ一人である。これはもう怒り心頭するしかない。
故に、二人のイナバを怒鳴りつけていたのだが。またその態度が気に入らない。一匹のイナバは輝夜の話を右から左に聞き流し、もう一匹は反省しているようには見えるものの、どこまで反省しているかが全く分からない。
輝夜は怒り、叫んだ。
「あんたたちをイナバじゃなくしてやるわよ!」
勿論、輝夜にそんなことはできない。耳が無くなろうが毛が無くなろうが、兎は兎なのである。だから、耳を掴み引っ張ったのも、悪戯半分の折檻のつもりだった。
まさか、抜けるとは思わなかったのだ。
生々しい音もせず、大した抵抗も見せずに、耳はあっさり抜けた。イナバたちは輝夜が掴む耳をこの世の終わりのような目で見ると、急に脱力しやがて白目を剥いて倒れたのだ。
輝夜は耳が抜けたのが予想外ならそれでイナバが倒れたのも予想外だ。結果、どうしていいか分からず耳を握り締めたまま佇んでいた。
どうしよう。そんな事も呟けない。輝夜には耳がなぜ取れたのかが分からなければ、どうやったら元に戻るのかも分からない。しばらく考え、考え付かず、結局彼女の名前を呼んだ。
「永琳」
「はい、輝夜様」
輝夜が読んだ瞬間、障子が開く。紅魔館のメイドに勝るとも劣らない輝夜の従者は、呼べばいつでも出てくる。
輝夜は無言で、永琳に手に持った耳を突き出した。永琳は始め、それを疑問符を浮かべて見ていたが、周りの惨状を見て理解した。少なくとも輝夜にはそう見える。
「取れちゃった」
「……みたいですねぇ」
永琳はいまいち煮え切らない切り替えしをする。煮えきられても困るが。
「どうしよう」
「……えー、どうしましょう」
二人してイナバを見るが、如何せんどうしようもない。
「糊でくっつけるとか」
「いえ、流石にそれはどうかと」
糊でくっついた耳など、本人達も嫌だろう。
そもそも、この耳は本人にとってどれほどの存在なのだろうか。あれか、耳の無い兎は兎じゃないのだろうか。飛べない豚はただの豚のように。飛べる豚は豚じゃないけどな。
「生え変わって、くる?」
「私に聞かれましても」
よねぇ。輝夜が同意する。自分の誇る従者が兎の生態に詳しくても、それはそれで嫌だ。色々捨てた気分になってしまう。
結局、二人は兎の頭から少し耳が生えてくるまでの数時間、ずっとそうして佇んでいた。
パチュリー・ノーレッジ。強力な魔法と豊富な知識を併せ持つ紅魔館の顔の一人である。生まれつき強大な魔力を持ち、それを扱いきる類稀な技術。そして技術を十全に生かしきる豊富な知識。まさにミスターパーフェクトである。当然だが男ではない。
今日も今日とて彼女は自分の使い魔が淹れた紅茶を飲みながら、優雅に読書である。本に目を落としているがあまり文字は見えていない。こういうのは格好が大事なのであまり問題ではない。
一口音も立てずに飲み込み、ため息を一つ。――今日はアッサムね。ちなみにアールグレイである。舌もあまり上等ではないようだ。
どごん。けたたましい音を立てて、図書館の扉が破壊された。こんな真似をするのは幻想郷広しと言えども魔理沙ただ一人なのだが、今日のパチュリーは慌てない。なにしろ、今日は本を持っていかれる心配は無い。
――攻撃力を考えて防御魔法を使ったんだけど。流石は私の作った魔法ね。一人納得する。
所々炎の赤みが混じった白煙の向こう側には、魔理沙よりも背の高いシルエットがある。煙が晴れれば、そこにはパチュリーと同じく紅魔館の顔である一人、十六夜咲夜が立っていた。いつもの様に一糸の乱れすら許さない格好ではなく、全身が煤け所々メイド服が破けている。咲夜は肩で息をしながら、怒りをぶつけた。
「パチュリー様! これは一体どういうことですか!」
絶叫しながら咲夜が取り出したのは、一本のナイフ。いつも彼女が持っているような銀製のそれではなく、多少厚みが強く切れ味が鈍そうな、重さで対象を叩き切るタイプの投げナイフだ。その刀身には良く見れば、紋様のようなものが浮かんでいる。
パチュリーは見えていない本から視線を逸らさずに、いつもの咲夜のようにそっけなく言った。
「ナイフよ。強力な」
「限度があります!」
いつもの咲夜には、パチュリーが防御魔法を使った扉を破壊するほどの力は無い。ナイフは所詮ナイフであり、いくら上手く扱おうとも一定以上の威力にはならない。そこでパチュリーが特製のナイフを咲夜に渡したのだが、威力は予想以上だった。
「確かにナイフ自体の攻撃力を上げてほしいとは言いましたけど、限度があります! だいたい何故金属片が大量に飛ぶんですか!?」
「ほら、あれよ。咲夜が前に言ってたやつ。ボールベアリングとかいう金属を撒き散らす」
「クレイモアですか」
「そうよ、それ。クレイモゥア」
「何故そこだけイングリッシュ?」
特に英語ではない。
「とにかく、これは危険過ぎます! 危うく私も相手も死ぬところでしたよ!」
「……チッ」
「それはどういった意図を含んだ舌打ちでしょうか」
「まあ、いいじゃない。ちょっとしたお茶目、悪戯よ」
「命がけで悪戯に付き合わされる身にもなってください」
「貴女なら時間を止めて避けられるでしょ」
「時間を止める前に死んでしまえば意味がありませんっ!」
パチュリーはその咲夜の台詞に、鼻で笑った。
「完璧で瀟洒なメイドが聞いて呆れるわね」
「クレイモアを避けきるのはどういった類の完璧で瀟洒加減なのでしょうか」
こめかみに血管を浮き上がらせた咲夜が、手の平にナイフを構える。ナイフは鈍い輝きを反射させ、咲夜の顔をより凶悪に映し出す。
「どうやら、実力で分かっていただくしかないようですね」
「そのナイフで、私に分からせる気かしら」
パチュリー自身は微動だにせず、その体勢のまま中に浮かび上がる。咲夜を見下ろし威厳を記してはいるが、飛んだときに同時に持ってきた本と紅茶が何をしたいのか分からせない。
咲夜は手首を最大限に生かし、最速でナイフを投げた。パチュリーに分からせるには、威力を直に知らしめればいいだろう。ナイフは多分障壁に阻まれるが、問題ない。あれの威力はその程度でどうこうできるものではない。
咲夜はそう考えたが、
「浅はかね、咲夜。私が作ったものなのだから、魔法を解く方法くらい……」
最後まで言えなかった。ナイフはパチュリーの魔法解除を清々しく無視し、障壁を叩いた。衝撃に吹き飛ばされたパチュリーは、壁に激突する直前でとまり、首をかしげた。
「……あれぇ?」
「まぁ、何でか知りませんがパチュリー様本人でも解除できないみたいですし。日ごろ何もしない無駄飯ぐらいなのに大きい顔をされているパチュリー様に、ここらでお灸をすえましょうか」
「なんか、限りなく本音に近い部分が見えたわね」
「いいえ、まだまだですわ」
口元に手を当てて、瀟洒に笑う。
「まだ腹に溜めてるものがあるの……」
「そりゃ当然」
「もうちょっと理性ある人間らしく、穏便に事を済ませられないかしら?」
「相手がパチュリー様以外でしたら考えますわ。例えば穏便に暗殺とか」
「殺伐としたじゃない。まあいいわ。貴女、ネコとして機能してないし、ここらで再教育も必要でしょう」
「あぁ、あれはわざとです」
「殺ス」
一帯がナイフと魔法で弾けた。
みしりと、壁が悲鳴を上げた。断続的に大きな衝撃音と振動が響く。その度に埃が舞い、いつもならば不機嫌になるところだが今日はそうではない。
彼女、レミリア・スカーレットはカフェテラスに居たが、いつもあるはずの紅茶も従者もいない。ただ一人、暇を持て余し肘をつきながらだらりとしていた。どうやらパチュリーと咲夜が喧嘩をしているみたいだが、なんとなく億劫で相手にする気が起きなかった。故に、舞う埃を目で追いながら足をばたつかせている。
今日は日差しも強いので、どこかに行くのは酷く、なんというか疲れる。全く、吸血鬼も楽じゃない。こんな事を思っているレミリアは世の中の吸血鬼に謝るべきである。伝説上の吸血鬼は日光に当たれば問答無用で灰だ。
「おねーさまっ」
だれている所に、可愛らしい誰かの声。その一声で、レミリアは即座に座を戻した。その声の主相手に無様な姿は絶対に晒せない。
「あらフラン、どうしたの」
言いながら、ゆっくりとできうる限り華麗に背後を見る。そこには、レミリアの最も愛する妹が居た。ただし、格好はいつものそれではない。
彼女、フランドール・スカーレットは何故かメイド服を着用し、手にはティーセットを持っていた。誰のを借りたのか、メイド服は大きすぎてフランドールの手が殆ど隠れている。スカートも引きずるほど長いが、彼女は浮いているのでそれは問題ではないようだ。
「まあ、可愛いわね」
「でしょ? うん、えへへ~。咲夜に似てる?」
「ええ、咲夜よりも可愛らしいわ」
言いはするものの、如何せん服が大きすぎてあまり似合っているとは言い難い。だが、それはレミリアの愛する妹への色眼鏡、そもそもフランドールに似合わない格好など存在しない。
「今日は咲夜がいないから、私がお姉様のメイドなの」
なんとも可愛らしい事を言う。これは母の娘に対する心境に似ているのではないだろうか、レミリアは思う。
「この紅茶、私が淹れたの。すごいでしょ?」
花のような笑みをこぼし、フランドールは語る。レミリアは心の中でだけ感涙した。
かれこれ500年近く、レミリアはフランドールを幽閉し恨まれているのではないかと、何度も思った。そう思う度にフランドールの心が知りたいと思っていたが、フランドールはこうしてレミリアを慕っている。私は間違えてなかった、レミリアは涙した。
「ええ、とても凄いわフラン。偉いわね」
レミリアの言葉にはにかみながら、フランドールはティーセットを用意する。レミリアの前に空のカップが置かれ、次に砂糖とミルク。最後にカップに紅茶が注がれた。
紅茶にミルクと砂糖を入れて、レミリアは口をつける。長時間葉に浸かっていたそれは当然渋いものであったが、レミリアはそんな事を気にせず飲み干す。嗚呼、何て幸せな一時だろう。
カップをソーサーに置き、フランドールに微笑みかける。美味しかったと伝えようとしたが――何故か口が動かなかった。言葉の代わりに、血がだくだくと垂れ流される。
「わぁい、成功! どう、お姉様。びっくりした?」
レミリアは答えない。その代わりに、側頭部をテーブルに叩きつけた。カップとソーサーを割り、レミリアは沈黙する。
「あれ?」
フランドールは疑問符を浮かべる。姉は動かなかった。
フランドールが用意した紅茶、それ自体は普通のものである。拙い淹れ方ではあるが、吸血鬼が血を吐き出して倒れるようなものは入れていない。
仕掛けは、砂糖。フランドールは砂糖の変わりに、銀粉を置いたのだ。少し姉を驚かせようと、ちょっと叱られるかもしれないがあまり良く考えずに行った。
ほんの少しの悪戯心だったのだ。フランドールもまさか、銀粉で姉が倒れるなどとは夢にも思わなかった。
「……あれぇ?」
首を傾げる。姉は全く反応しなかった。
私は早い。この幻想郷にて最も早い。記事とは速さこそが命であり、情報を知るのには速さこそが命。ならば、この幻想郷にて記者を生業としている私以上に早いものなど存在しないのだ。
風を切る。否、最早風のほうから私を避けていく。誰も私には追いつけない。そう、元最速と謳われた霧雨魔理沙ですら私には遠く及ばないのだ。
テンション上がる。なんかいろいろ上がる。だって最速だし。
目指すはあの山の向こう側。そこにはスクープがある気がする。確証はない。ある気さえすればなんとかなるし、無くっても捏造すれば言い。記者の思考として間違っているとは思うな、タブロイドなんてそんなもんだ。
帽子とか服とか飛んで行きそうな気がするが、そんな事は気にしない。気にしなければテンションが上がる。テンション上がればチョー気分いい。
何かを轢き倒しても気にしない。誰かが悲鳴を上げたってそんなものは無視だ無視。だれも私の前を走らせない。とにかく突っ走ればいいのである。
「小町っ、待ちなさい」
「ごめんなさいごめんなさい四季さま、ごめんなさいっ!」
彼女、小野塚小町は自分の上司である四季映姫・ヤマナザドゥから逃げていた。発端は忘れた。既にどうでもいいことだ。ただ、何か悪戯をした事だけは心の端に置いてある。
説教をされるのはいい。あまり有り難くないが、既に慣れている。しかし、しかしだ。今日だけは逃げなければならない。
背後から鋭い風切り音がする。振り返らずとも分かる、あれは卒塔婆の音だ。さほど聞きなれない、しかし一度聞いたら転生しても忘れられない音。精神の中心を突き破り、本能にまで刷り込まれた恐怖。
思わず絶叫したくなる。しかし、そんな事をしていれば追いつかれるだろう。何を差し置いても、今は逃げなければならない。
厭だ、厭だ。絶対に厭だ。
――卒塔婆だけは、絶対に厭だ。
森の中なんて私には関係ない。動かぬ対象物など、私にとっては無いのと同じだ。体を小さく回しながら、脅威など何も感じない木々をすり抜ける。
このスピードで激突してしまえば、いくら私とて無事では済むまい。しかし、そんなヘマはしない。私はスピードスター、かわす事に専念すれば博麗の巫女のスペルカードだろうがスキマ妖怪の結界だろうが問題ではない。
身よ、この動体視力。私は永遠亭の従者の衝撃写真ですらも撮影してみせたのだ。それを記事にして追い掛け回されたが、私は生きている。つまりこれ、最速。追いかけ足も逃げ足も最速である事間違いなし。
私を流星と言わずして何と言う。もうあの魔法使いには流星など語らせない。
私は一刀の奔る剣になり、世界を抜ける。
「嫌っ、嫌ぁっ!」
背後から四季映姫の十八番、ラストジャッジメントが降り注ぐ。これは真の恐怖ではない。しかし、これを喰らえば足が止まる。止まれば卒塔婆。故に当たるわけにはいかない。
せめてもの抵抗と背後に銭を投げながら飛ぶが、効果の程は全くと言っていいほど無いだろう。
「そんなに逃げ回ってぇ! ギルティ・オワ・ギルティ行きますよ!?」
「罪決定!? 片方はノットギルティじゃないんですか!?」
「私がルール!」
「うわーん、俺様ルールだぁ!」
体が悲鳴を上げるほど速度を上げる。先程から舞い散る葉に当たり、顔は見れないほど酷くなっているだろう。高速で対象物に当たっているのだから、顔は多分蚯蚓腫れが酷い。
だが、やはり止まれない。視界の端に卒塔婆が見えている気がするのだ。恐怖で気が狂いそうになる。
「――捉えたわ」
すぐ背後で、映姫の感情の無い声がする。反射的に振り返る。そこには、卒塔婆を振りかぶった映姫が居た。
悲鳴すら上げられない恐怖の中、小町は前に進みながら己の切り札を出した。
私は低く低く、地面のすれすれを飛ぶ。速さとは即ち、加速と最高速と機動力の総合値。全てを備えた私は常に限界を楽しむ。そして限界を極め超えてこそ、私の最速が証明されるのだ。
まだ遠くはあるが、この先にある岩も限界で避けてみせよう。水のように美しく、雷のように激しく、風のように完璧に華麗に。服が触れるような近さで。
顔がにやけてしまうのは仕方が無いことだろう。私は生涯最速を名乗り、そして誰も近づけさせない。そんな自負を持ち、証明し続けるのだ。
音を突き破る世界の中、私はどこかで見た気がする二人を追い越した。当然、そんな二人の事など気にしない。
衝撃波と共に、誰かが高速で迫ってきた。いつか見た、情報屋の娘だ。恐ろしい速度と、その衝撃に映姫が一瞬怯む。
チャンスだ。小町は悟る。
己の距離を操る能力、それを最大限に生かし、この先の山の麓、そう、丁度大岩がそびえている部分までの距離を大きく縮めた。
距離を縮めると同時に、ブン屋が小町の横に位置取る。
小町は、射命丸文と一緒に切り離された世界を駆けた。
急に、私の視界から景色が飛んだ。次に見えたのは灰色の岩肌。私は今までこれほどの距離を一瞬にして飛んだ事は無い。限界を超えた、そんな感動が胸を吹き荒れた。私は、酷く興奮した。
興奮冷めぬまま、私は岩肌に激突した。首筋からの鈍い音が、脳を占拠した。
「――ッシ!」
気合の烈波と共に、小町は一気に距離を飛ぶ。背後遠くに、豆ほどの大きさの映姫が見えた。まだ完全とは言えないが、距離をとることには成功した。卒塔婆の恐怖から逃れ、小町は安堵のため息を吐こうとして――
すぐ横で、聞くに堪えない音がした。一瞬音に脳を焼かれ、恐る恐る横を見る。そこには、顔面から岩に激突した射命丸文が居た。
「ぶっ!」
盛大に吐く。岩肌は血塗れ、文はどう見ても頭と首が潰れているようにしか見えない。こんなスプラッタ在りえないという惨状に、小町は顔を真っ青にした。
やっちまった。そう思いながら、恐る恐る文に触れる。文は触れられた瞬間、岩から頭が抜け大地と言うリングに沈む。仰向けに倒れた彼女の口元が何故か笑っているのが、とても怖かった。
「な、なぁ、大丈夫? あたい、やっちまったかな?」
その言葉は文に向けたのか、それとも自分に向けたのか、小町自身にも分からない。
こんなことは初めてだ。初めてじゃなくても困る。どうする事もできずに、ただおろおろとする。背後から、優しく肩を叩かれた。
「小町」
映姫が、慈しむ顔で小町を見ている。あぁ、やっぱり持つべきものは頼りになる上司だ。なんだかんだ言って、こうして困ったときには助けてくれるのだから。小町は縋る視線を映姫に向けた。
す、と。映姫の目が細まる。顔から一気に感情が無くなった。
「おしおき、ですね」
「嫌ァァァァァッ!!」
「卒塔婆一本追加。ぐりぐりコースですね」
「いやっ! ぐりぐりは止めて! 痛いのは嫌なの! 痛いのが気持ちよくなるのもいやなのぉっ!」
小町の首をがっちりと掴んだ手は、まるで万力のようだ。体格でも力でも勝る小町を、映姫は難なく引きずる。
「せめて、せめてこいつをどうにかして下さい!」
小町の言葉に、初めて気付いたかのように血塗れの文に視線を向ける。そして、対して考えもせずに視線をはずした。
「……まぁ、天狗ですし何とかなるでしょう」
「なるの!? いや無理ですよ!」
「ならなくてもそれは運命です。おとなしく地獄に行ってもらいます」
「鬼っ! 悪魔っ! 閻魔っ!」
「貴女の言い分はぐりぐり三本の後に聞きましょう」
「一本増えてるぅぅぅぅ!! 卒塔婆は嫌ぁぁぁぁぁ!!」
このときの小町の絶叫は近隣の村にまで届いた。これが発端で妖怪卒塔婆というものが姿も見せずに出現し、歴史の半妖怪を大いに困らせた。
「うふふふふ」
紫は片手にせんべい、もう片手にお茶を持ちながら、スキマを覗いて笑っていた。スキマの先には幻想郷にいる人物の、色々な姿が映し出されている。
「あぁ、可笑しいわ」
せんべいの最後の一切れを口に放り込み、お茶を啜る。彼女達の姿にもせんべいにも大いに満足し、畳の上に寝転がる。スキマで悪戯、これほど楽しい事はなかなか無いだろう。
「あ、紫様、ただいまです」
いつのまにやら帰って気が橙が、転がっている紫に声をかける。
「あら橙、お帰り~。うふふ」
「紫様、機嫌いいですねー」
「そうねぇ。とっても面白かったわ」
口元を袖で隠し、ふふふと笑う。その姿は絵になり、非常に美しいのであるが残念な事に中身は破綻している。
「じゃあ私、ご飯まで寝るから。そうねぇ、藍が帰ってきたら起こしてね」
「はーい」
右手を勢いよく上げて返事をする橙。子供っぽくはあるが、この素直で可愛い式の式が紫は好きだった。
返事に満足し、スキマに体半分だけを入れて眠る紫。橙はそれを見送って、さて、自分はどうしようかと佇んだ。今遊んで帰ってきたばかりなのだ、もう特にする事も無い。
そうだ、今日は暑い。紫に冷たいタオルを額にかけていたら、きっと良く眠れる。そして、良く眠れれば自分をほめてくれるのではないか。橙はそう思い、台所に向かった。
台所でたらいに氷を入れながら、ふと思った。ちょっとくらい『悪戯』しても、罰は当たらないのではないか、と。
紫は、まだ開けた境界を閉じてはいない。
藍は疲れた体を鳴らしながら、帰路についていた。今日は紫の仕事の補佐で出ていたのではない。白玉楼に向かっていたのだ。
紫と幽々子、旧知の知り合いの二人は同じように従者を持っている。とはいえ、従者に休暇すら渡さないのは忍びないのかそれとも他の理由か、たまに自分の従者に暇を出すともう片方の従者を相手に渡す。こうして、藍と妖夢は交互に休暇を取るようになっていた。
しかし、今日は疲れた。幽々子が居なかったからいつものような難題を出されたわけは無かったが、代わりに庭の掃除をしていた。剪定は妖夢がやっているので済んでいるが、その代わりに雑草や落ち葉の処理をしていた。これが、中々重労働である。鬼だったならば一瞬で終わるのに、そう思っていた。
つい先程まで仕事をしていたからか、体が熱い。それとも、紫の元へ返れる喜びからだろうか。なんだかんだ言って、主の下は心地が良い。
……つーか、ぶっちゃけ物理的に熱くない?
何故か肌の正面だけが焼けるような熱みを持っている。衣服がちょっとこげているような気がする。
ってゆーかもう、普通に燃えてる。マヨヒガが燃えてる。
「……嘘ォ」
燃え上がる我が家を見ながら、藍が漏らした。煌々とした赤は、正に天にも届きそうな勢いだ。
藍の正面には、彼女と同じように燃え上がる家を見つめる橙がいた。呆然としながら、焦げてずり落ちる衣服を直そうともしないで呆然としている。
「あー……、橙? 一体何があったんだ」
話しかけられた橙はびくりと肩を竦ませた。恐る恐る振り返り、藍を見る。
「ら、藍さま? ……ごめんなさい」
「いや、まず待て橙。先に何があったのかを説明してくれ」
「えぇと」
橙は拙いながらも、説明を始める。紫の機嫌が良かった事、その後寝た事、紫にほめられようとしたがちょっとした悪戯心が芽生えた事。
「それで、何故マヨヒガが燃えてるんだ?」
「今日はあったかいから、逆にあったかいタオルをかぶせようとして……」
「して?」
「いきなり釜の中が燃え上がって、そしたら油に燃え移っちゃった」
藍が呆れながらもため息をつく。橙はそれを見て、怒られるのではないかとびくびくしていた。本当は怒るべきなのかもしれないが、悪戯気質な彼女を怒鳴りつけるのはなんとなく気が引ける。
マヨヒガの修理は面倒ではあるが、まぁ、仕方なしと取っておこう。老朽化が進み、そろそろなんとかしなければと思っていた頃でもある。
藍が手を上げると、橙はびくりと体を竦ませた。藍は手を頭の上に置き、髪を梳くように撫でる。
「仕方が無い、とは言えないが今度からは控えるように。それで、紫様は?」
橙が無言でマヨヒガを指差した。藍は吹いた。
「寝てたから。スキマに挟まって動かなかったの」
「いやいやいや! だって! えー、だって……えー!」
藍は大急ぎでマヨヒガへと向かう。しかし、それは強力な炎に阻まれた。一応結界を張って防御をしているのに、この炎はそれを全く無視して迫ってきていた。
「うわ、あちっ! ありえねっ! ゆっ、紫様ぁー!!」
結局紫は、炎が鎮火するまで救出されなかった。死にはしなかったものの、火傷で全治一ヶ月の怪我を負債することになる。
余談ではあるが、紫はあまりの恥ずかしさで実に2週間も引きこもったと言う。
なんか萌えた。
>>「歪めてぇ」
超同意。
でも面白いからいいや。
「壮絶」の一語に尽きます。
というか小町、何か目覚めてるのか?
ドリフパンチのゆあきんに合掌。
次回作も楽しみにしています。
なんかもうフォロー不可能な犠牲者がちらほら。
あと入り口に注意書きが増えたのでバッシングはないと思いますです。
幽々子様の最後の一言がこのSSの全てを語っていると思うのは気のせいでしょうk(w
下腹部の辺りがむずむずしますた。
しかも第一巻。
フランちゃんはかわいいなぁ うふふ
でも魔理沙の思考はあれで素なんだから恐ろしい。
>「……あれぇ?」
萌えました。