Coolier - 新生・東方創想話

さくら さくら ~歌聖~

2006/03/08 02:53:46
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タイトル通り、今作は千年前の歌聖の話です。東方キャラは一切出ないことをあらかじめご了承ください。
(追記)「さくら さくら」は「願わくは~」で始まる詩を東方世界で解釈することを基底としておりますので、本来の歌い人である西行法師と歌(および本作)とは何の関係もないものとしてお読みください。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――願わくは 花の下にて 春死なむ






 自然は美しい。
 ありふれた言葉。陳腐な言葉。だけど私はこれ以上自然を表した言葉を知らない。幼い頃、山から見下ろした春の景色に心打たれ、以来三十余年、私は自然に魅せられ続けている。
 春の賑わい、夏の明るさ、秋の静けさ、冬の清さ。私はたくさんの歌を詠み、人の作った膨大な歌を詠んできた。しかしまだまだ。私の自然への想いを表す歌を、私はいまだ詠むことができない。私が今まで作った歌は、私の中では未完成。言葉が欲しい。私の想いを全て含んだ言葉が欲しい。それをさがすために、私は今まで歌人として生きてきた。
「ゆうさん、ゆうさん。行くよ」
 隣からの声に顔を向ける。友人のあきさんが呆れた顔で私を眺めていた。どうやら空を見上げたままぼうっとし過ぎていたらしい。あきさんはいきなりぼうっとするのはやめてほしいといつも言っているけれど、どうしようもないのだ。自然は常に移ろい、私の目を惹きつけるのだから。
「行きましょうか」
 目で謝意を示し、並んで歩く。あきさんとはもう連れ立って十年になる。私の歌に感動したといって、半ば強引に付き人となった。それからずっと、歩いて空を見上げて立ち止まり、また歩いて空を見上げて立ち止まりを繰り返す私に、根気強くついてきている。よく続くものだと常々思うのだが、あきさんは「ゆうさんの歌を最初に聴ける喜びに比べればなにということもない」と笑う。
「それで、どこへ向かうんだい?」
「そうね、これから夏が来るのだし、見事な緑が見れるところをさがしましょう」
 目的地は常に探すもの。それが私達の旅だった。
 ここは人と妖怪がはびこる幻想郷。その名の通り、幻想の郷であることを魅せてくれる景色を、私はずっと探している。




 濃い緑が景色を染める。夏も半ばを過ぎ、暑さはこの身を焼くかのよう。雲ひとつない青空を見上げながら歩いていると、どこからか歌が聞こえてきた。
「あら? この歌」
「ゆうさんの歌だね」
 懐かしい。数年前の夏に詠んだ歌だ。声の出所を探した私は、その歌い手を知って驚いた。
 鳥の妖怪だった。妖怪の中には歌好きの者がいることは知っていたけれど、まさか自分の歌を歌われるとは思わなかった。二人して木の上で歌う妖怪を見上げていると、こちらに気づいた妖怪が飛び立ち、こちらに向かってきた。焦るあきさんをなだめ、到着を待つ。
「ちょいとそこ行く旅の人、私の歌を聞いていかない?」
「ぜひにと言いたいところですが、私達は見ての通り、お返しできるものがありません」
「結構結構、これは私が聞いて欲しいだけ。最後まで聞いていただければ、それだけで結構よ」
「ならあきさん、ここらで少し、休みましょうか」
 問いかけると、「ゆうさん!」とあきさんが非難の声をあげる。
「いやいや旦那、そう怯えずに。私はただいま満ち足りていてね、襲うことなどないから安心しなよ」
 それはつまりすでに食事を終えたということ。それを悟ったあきさんは一瞬顔をしかめて私を見る。しかし私が変わらず微笑んで見つめていると、やがて諦めたのか、あきさんは大きく息を吐いて妖怪の申し出を承諾した。
「それでは、お楽しみいただけますよう――」
 そうして鳥の妖怪は、高い澄んだ声で歌いだした。私の知る歌、知らない歌。私の作った歌もあったし、私の歌を真似たものまであった。歌の順序も考えられており、歌と歌を繋ぐ際の違和感は微塵もない。私はもちろん、いつの間にかあきさんまでもが、この妖怪の歌う世界に浸っていった。
「――それでは、これにて私の歌はお仕舞いと相成ります」
「こちらこそ、素晴らしい一時をいただき感謝の言葉もありません。願わくば、再び貴方の歌を聞く日が訪れますよう」
「さてさて、次に会う時、私は貴方を頂いてしまうかもしれないよ」
 笑いあって、鳥の妖怪が飛び去るのを見送る。視線を地へと戻せば、周囲に隠れるようにいくつかの人影が見えた。一人また一人と帰っていく彼らを尻目に、私は傍らに立つあきさんへ声をかける。
「素敵でしたね、あきさん」
「ん? ああ、そうだね」
 私の声で余韻から覚めたあきさんは、いかんいかんと首を振って、私へ鋭い視線を向けてきた。
「ゆうさん、今回はいいけど、妖怪を待つなんて愚かもいいところだよ。もしあの妖怪が私達を襲うつもりだったらどうするんだい」
「それなら大丈夫。あの妖怪が私達を襲うつもりだったなら、まず私達には近づきませんでしたよ」
 懐から一つのお守りを取り出し、あきさんの目の前に掲げてみせる。あきさんはそれを手に取り少しの間いじってから、首をかしげた。
「お守り?」
「ええ。敵避けの力が宿っているそうです」
「これに、そんな力が?」
 驚くあきさんに頷きを返す。
 私がこうして旅をしていられるのは、ひとえにこのお守りのおかげだ。昔――あきさんと出会うよりも昔に、私は女の妖怪に出会った。彼女は敵意どころか、むしろ親しみに近いものを見せながら私の歌を褒め、旅の守りにとこのお守りをくれた。なんでも、私に害意を持つ者から私を遠ざけることができるらしい。
 私の説明にあきさんは納得しかねているようだったが、「事実、私達は襲われたことがないでしょう?」と言うと、そういえばそうか、と一応納得した顔をした。
 お守りを返してもらい、歩き出す。数歩歩けば隣のあきさんが並ぶ。
「先ほどの歌は、素晴らしいものでしたね」
「そうだね。その中でもゆうさんの歌が一番素晴らしかったよ」
「あら、そんなに褒めて、何を企んでいるのです?」
「本心さ。知らないのかい? ゆうさんの歌は今やあちらこちらで歌われていて、幻想郷で最も美しい歌であると評判だよ」
 それは知らなかった。私は未だ私の想いを全て表した歌を作ることはできていない。でも、私の歌を聞いて少しでも私の想いを受け止めてくれた人がいるというのなら、それはとても喜ばしいこと。
 いつかその人達に、完成した私の歌を聞かせたいと思う。




 夏が過ぎ、秋が来た。私達は紅葉の中を歩いていた。紅葉を楽しむいつも通りの旅ではあったが、一つだけいつもとは違う。
 最初は初秋に咳と軽い立ちくらみを覚えたこと。風邪かと思っていたら一向に治る気配を見せず、病状は逆に悪化の一途を辿っていった。今では気を抜けば気を失うのではないかと思えるほどの眩暈すらある。
 病。それも性質の悪い急性のものだ。一月ほどでこの進行であることを思えば、間違いなく一年、いや、一年と持たずに私の命を奪い去るだろう。それを悟った私は、未完の句を一つ、胸に持ち歩くようになった。
 あきさんはこの句はおろか、病のことさえ知らない。私が眩暈を起こして立ち尽くしているときも、また景色を見ているのかぐらいにしか思っていないらしい。
 いずれ分かることなのだから、言うことを先延ばしにしてもしかたがないのに、私は臆病にも言えずにいる。
「ゆうさん!」
 え? と思った時には遅かった。いつの間にか目の前にいた女性に避けることもかなわずぶつかり、互いに倒れこむ。
「すみません、私の不注意で」
「いえ、わたしも気づかずに」
 互いに謝りあいながら起き上がり、着物の汚れを叩(はた)き落としながらなおも謝りあう。去り際にもう一度女性に謝り、私はあきさんの元へ小走りに寄っていった。
 あきさんは立ち尽くしていた。その手にあるものを見て、私は自分の胸元を確かめ、重々しい息を吐き出した。転んだ拍子に落としたらしい。表は見えないが、あきさんの様子を見ればそれが私の未完の句であることはすぐに分かる。
 あきさんが顔を上げる。不快感に満ちた表情。あきさんは歌に関して深い造詣があるし、そうでなくてもあの句ではその意味するところは一つだけ。その表情は当然のものといえた。
「なんだい、これは?」
「作りかけの歌ですけれど?」
「そうじゃない。だって、これは……この内容は……」
 誤魔化すように言ってみたけれど、やはり無理そう。あきさんは追求の眼差しを向け続けている。自身の持った縁起の悪い想像を否定したいのだと。
 予想外の事故ではあるが、これはもう覚悟を決めろと言う天の導きに違いない。そう考えれば、明かさず死んで恨まれるより、明かして最期の時を看取ってもらう方がずっといいと思える。
「これはね」
 言って、あきさんの手からその句を取り上げる。
「この句は、私の辞世の句。……になる予定の歌。死ぬまでに作りたいのですけれど」
「なんで!!」
 私の落ち着きが逆にあきさんの気を昂らせたらしい。十年共にいて一度も見たことのない激情をあらわに私の肩をつかんでくる。勢いそのままにまくしたてようとしたあきさんの口を手で封じ、
「私、一年内に死にます。酷く性質の悪い病にかかって、秋の初めごろから度々眩暈を起こしていたの。時には意識すら覚束なくなるほどの、ね。あきさんは気づかなかったでしょう?」
「そん、な」
「すぐに言い出せなかったのは、私の責任。本当にごめんなさい」
「一年内……? そんな、そんなことが……」
 いきなりの宣告にあきさんは平静を取り戻せない。そんな、そんな、とうわ言のように繰り返している。
 覚悟を決めていても、その様は私の心を締め付ける。内から締め付けてくる鈍い痛みが、病を胸の奥から引っ張り出してきた。胸が内から強烈な痛みを発し、ぐらりと体がよろける。
「あき、さ――」
 急激な病の活性に、意識を保つことができない。私はそのまま、あきさんへと倒れこんだ。私を支えるあきさんの後ろでは、紅葉が優雅にその葉を風になびかせていた。




 冬が来た。強烈な寒気が、弱った私を攻めてくる。いつもなら大地を染める雪化粧を眺めながらゆっくりと進む旅になる。しかし、今の私にそんな余裕はなかった。
 幻想郷で一番の桜の根元。それが私が定めた最初で最後の具体的な目的地。出会う人に「最も見事な桜」について尋ね、満足できずに次を探す、その繰り返し。
 病状は想像以上に進行が速い。冬の中を歩き続けているのだから、症状の悪化は当然。それでも、この進行度は私の予想を超えている。このままでは、一年内どころか、春まで生きるかも怪しい。それを知ってか、あきさんはしきりに静養を勧めてくれるが、私は”最も見事な桜を眺めて死ぬ”と決めている。命の先が短くなるに連れて、その想いはどんどん強くなっていく。
 とはいっても、さすがにもう見ることのできる桜の木は多くない。妥協をするかどうか、そろそろ考え始めた方が良い頃になっている。
 この命尽きる前に、私の望みを満たす桜が見つかることを、そして、その時にはあきさんの心も落ち着き、静かに私の最後を看取ってくれることを願って、私達は雪道を歩いていく。




 春。桜が花咲かせ始める時期になった。なんとか私は生き長らえている。頻繁に咳き込み時には血を吐き、一人では立つことすらままならない体になってしまったけれど、それでも私は生きている。生きて最後の桜を見ることを許されている。
 今、私はあきさんの助けを借りて山を登っている。この山の頂上に筆舌に尽くしがたいほどの桜があると聞き、私はそれに賭けることにした。登る時点で瀕死の身体。私はこの山で生を終える。
 山を登る。頂上まであと半分ほど。文字通り最後の気力を振り絞り、一歩一歩、自分が今歩いていることを確認しながら進んでいく。
「なあ、ゆうさん、やっぱり私が背負おうか?」
 あきさんの言葉に首を横に振る。言葉を返す力すら惜しい。私にとっての自然の原点、幼い頃に見た春の景色で最も輝いていたもの――桜。桜で始まった私の生。それを桜で終えたいと思う。
 これは私の人生の集大成。どんなに辛かろうと、私が自分の力で進まなければならない。
 頂上まで後数歩。それが数里先にあるかのように遠い。足は立つだけで震えるほど弱く、歩くというよりは倒れるという感じで前へ進む。足元を見る視界が、坂の終わりを見せた。後二歩、喘ぐ息で渇いた喉を唾で潤す。後一歩、止まらないよう一息に両足を動かした。
 そして頂上、顔を上げて前を見る。
「ああ、これは確かに――」
 前方にそびえる巨大な桜が一本。周囲には何もない。それが故に桜は一段と私の目を惹いた。ようやく五分咲きほどの開き具合でも、私は迷いなく断言できる。この桜は、私が今まで見た桜の中で最も見事で美しい。
 知らず足を踏み出し一人で歩いていた。あの桜に魅せられた体が、病など嘘のように軽快に動く。思うことは一つだけ。もっと近くで、できるだけ近くであの桜を観たい。
 気づけば桜が目の前に。手入れなどされていないだろうに、腐食は微塵も見られない。幹に手を伸ばし、ざらりとした感触を楽しんだ。
「ゆうさん、大丈夫なのかい?」
 顔だけ振り向けば、心配そうにやってくるあきさんがいる。微笑だけを返して、両腕いっぱいに幹を抱えてみる。
「本当に大きい。これほどの桜を、今まで知らずにいたなんて、自分の無知を恨みます」
「そうだね、私もそう思う」
 隣に立ったあきさんも幹に手を伸ばし、その感触を味わっている。
 二人して頭上を見上げる。枝と咲きかけの花が、空を私達の目から覆い隠している。見ていると徐々に体が浮いていき、そのまま桜の一部と化してしまう錯覚に襲われる。
 なんて素晴らしい。これほどの桜、まさに世に二本もない。けれど、その素晴らしさが、なんと悲しいことだろう。
 向きを変えて幹に背を預け、座り込む。懐から未完の句を取り出してしばし眺め、自嘲する。
「ねえ、あきさん。私、こんなに悲しいのは初めでです」
「悲しい? 何がそんなに悲しいんだい?」
 だって、と頭上の桜を見上げる。
「この桜はこんなにも素晴らしいのに、私には、この桜を表す歌を思いつくことができない。幼い頃に見たあの景色を表そうと歌人として歩み、そうして今、再びその感動に出会えたのに、やっぱり私にはそれを表すことができませんでした」
 視界が滲み、頬を涙が伝っていく。
「悲しいです。私の無力が、ひどく悲しいです。結局私は、自分の一生を賭けてさえ、目指す一句を完成させることすら叶わなかった。……っ!」
 胸を刺す激痛に体を丸める。激しく咳き込み、口を抑えていた手から血が零れ落ち、桜の根元にしみていった。あきさんは慌てて私の側に膝立ちになり、背中をさすってくれる。それに感謝しながら、私は必死に呼吸を落ち着かせていく。
「ゆうさん、お願いだから自分を辱めないでおくれ」
 あきさんの声に顔を上げる。沈痛な面持ちのあきさんが、じっと私の目を見つめてきた。目をそらすことができず、見つめ合ったままあきさんの言葉を聞く。
「私はゆうさんの歌を初めて聞いたとき、すごく感動したんだ。私だけじゃない、ゆうさんの歌を聞いたたくさんの人が心打たれた。ゆうさんは満足していなかったとしても、ゆうさんは歌人として多くに人を魅了してきたんだよ。だから――」
 意識が覚束(おぼつか)ない。涙か朦朧か、視界がぼやける。ぼやけた視界は、あきさんの泣き顔を辛うじて映している。頼りない意識の中、あきさんの一言一句を聞き逃すまいと活を入れる。
「だから、ゆうさんは誇っておくれ。歌人としての自分の生を、精一杯誇っておくれ。ゆうさんの為に、私達の為に」
 真摯な言葉が、私の中から苦しみを洗い流していく。空になった私の中に、安らぎが満たされていく。
 私は私の目標を満たすことはできなかった。けれど、私は多くの人を満たしたのだとあきさんは言う。私にとっては未完成の歌でも、たくさんの人の心を動かしたのだと言う。
 なら、いいのかも知れない。全てではなくとも、私の想いを理解してくれた人がいる。なら、それでいいのかも知れない。
「ありがとう、あきさん」
 自然と笑みが浮かぶ。
「これを、受け取ってくれますか?」
 渡すのは、未完の句。辞世の時までに想いを全て表す言葉を見つけ、完成させようとした上の句だけの歌。
「いつか、この歌に心動かされ、下の句を書いてくれる誰かが現れるまで、預かっていてくれませんか?」
 頷いて、あきさんは歌を預かってくれた。
 もう、未練はない。私の想いを表す歌は、後の世に誰かが形にしてくれるだろう。私は精一杯歌人として生き、皆の心を動かした。それを誇りにして、私は私の生を終わろう。
「それでは、あきさん、……お休みなさい」
 この素晴らしい桜の根元に抱かれ、永久(とわ)の眠りにつくとしよう。








 それから彼は、彼女の眠るこの地に住まい、毎年毎年桜を植えた。春に花見にやってきた人たちに彼女の歌を披露しながら、彼は静かに息を引き取った。
 それから百年、二百年。彼女は歌聖と呼ばれるほどに崇められ、その死地はさながら聖地のように賑わった。そうして多くの人が桜に魅せられて、彼女と同じようにその桜を永眠の場に選んだ。
 それから百年、二百年。桜を管理していた彼の子孫は、桜が死の妖力を纏い始めたのを知り、桜を隔離した。死から離れた桜は一旦沈静状態に入るも、桜はすでに人の死を受け入れすぎており、引かれるように桜の元に死霊が集うようになった。死霊は周囲を変質させ、桜の周辺は冥界として数多の未練ある霊を引き付けた。
 それから百年、二百年。死霊の歪んだ力は屋敷にまで及んで住人に被害を与えたので、彼の末裔は屋敷を交代番制として本家を山の下へと移すことにした。
 そうして彼女の死から七百年弱が経ち――彼の家は一人の歪んだ娘を産んだ。
「願わくは~」の詩は誰を指しているのかを考えたとき、最初に浮かんだのが”自然を愛し、最後は望みどおり桜の元で死んだ”という歌聖でした。その歌聖を描こうとしたのが今作です。ちなみにゆうさん、あきさん両者の本名は考えてません。お好きな名前を当てはめてください。
また、お守りをくれた女性についても特に正解は考えておりません。ちなみに、私の中では本命紫さんで対抗が慧音さん、大穴が永夜抄組の誰かとなっております。
と、ここまで書いておきながら、最後の引きの通り、この話は前ふりです。前ふりとしては完全に蛇足な長さなのですが、元々書きたかったのがこの歌聖の話なので、思い切って書きたいだけ書いてみた次第です。
これの後編にあたる作品は、三月中にお目にかけることができればと思って鋭意製作中です。この「さくら さくら」の全体の統括はそちらの方で語らせていただきます。
それでは、この辺で。
櫻井孔一
[email protected]
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コメント



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4.70名前が無い程度の能力削除
>「願わくは~」の詩は誰を指しているのかを考えたとき

御存知かもしれませんが、この歌は院政期~鎌倉初期にかけて生きた歌人、西行法師の歌です。

願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ

これは彼が「釈迦入寂の2月15日頃に没したいものだ」と込めて詠んだ歌で、西行はその通り陰暦の2月16日に亡くなったそうです。
既知の上で自由な発想で書いておられるのでしたら、甚だ無粋な指摘かと思いますので笑って流していただけるとありがたく思います。

文章自体はシンプルながら情景が素直にイメージとして伝わってきました。良い雰囲気の作品に仕上がっていると思います。
おそらく冥界組に繋がるであろう後半に期待します。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
「あきさん」は西行の弟子、藤原秋実だと思うのですが。「ゆうさん」の名と西行の名の関係が分かりませんでした。