Coolier - 新生・東方創想話

東方狭聖録(1)

2006/03/04 05:38:14
最終更新
サイズ
9.89KB
ページ数
1
閲覧数
563
評価数
3/19
POINT
400
Rate
4.25
※オリジナルキャラが出てきます.
※しかも男です。主人公です。























ここは、どこだろう―――――

俺は今、地面に寝ているのか、宙に浮いているのか―――――

右を向いているのか、左を向いているのか―――――

それすらも分からない……

………何だか疲れたな

寝よう

何もかも忘れて

もう、眠ろう………

                  【東方狭聖録 第一話】
                   ~外から来た青年~


夏の夜空の下、霊夢と魔理沙は神社の縁側で日本酒を片手に空を見上げていた
「今夜は満月か……」
日本酒を飲んでいた霊夢がポツリと呟いた
今宵の月は夏には珍しくはっきりと見えていた
「どうしたんだ?急にそんなこと言い出して」
魔理沙は不思議そうに霊夢の顔を覗き込んだ
「満月のときは妖怪が騒ぐから、大抵何かが起こるのよ」
そう言って霊夢は酒をクイッと一口飲んだ
「ふ~ん…」
そして魔理沙もつられて一口飲んだ
「でも、何かが起こるなら私は大歓迎だけどな。最近面白いことが無いし」
魔理沙が足をぶらぶらさせながら言った
「面白いことって例えば?」
「そうだなぁ……外の世界から人間が来るとか」
魔理沙はにかっ、として人差し指を立てる
「……それは『面白いこと』じゃなくて『大事件』っていうのよ」
霊夢は呆れた顔で言った
 ここ、幻想郷は『博麗大結界』と呼ばれる強力な結界で覆われている。この結界は幻想郷の中にいるものでもそう簡単には破れない。
そのため、外の世界の人間は幻想郷に入ってくることは無い。もし外の世界の人間が何らかの方法で幻想郷に入って来てしまったとしたら、
それこそ霊夢の言うとおり、大事件なのだ
「第一、外の人間がここに来て何が面白いの?」
「何か珍しいものでも持ってそうだからな、外の人間は。もしかしたら何かくれるかもしれないし」
「見ず知らずの人に貴重品をあげるような人間はいないって」
「じゃあ無理やりにでも盗る」
「『何ももらわない』という選択肢は無いの?まったく…」
そんなことを話しているときだった

   「これはまた物騒な話をしてるわね」

どこからともなく声が聞こえたかと思うと、二人の前に空間の裂け目ができた
こんな登場の仕方をするのは幻想郷でも一人、いや一匹の妖怪だけだろう
「こんにちは」
「あら紫、こんな時間にどうしたのって、あんたは今頃が活動時間だったわね」
昼間は寝て過ごし、夜に起きている夜行性(?)妖怪 八雲紫がそこから出てきた
「おっ、暇人発見。どうだ?おまえも一杯やっていくか?」
そう言って魔理沙は紫に一升瓶を突き出す
「あら、じゃあそうさせてもらうわ」
紫はどこからともなくコップを取り出した。もしかしたらこれを予想し、事前に用意していたのかもしれない
魔理沙はそのコップに日本酒を注ぎ、紫はそれを一口飲んだ
「う~ん…あんまりいいお酒じゃないわね、これ」
紫は微妙…、と言った顔で素直な感想を述べた
「まぁこんな神社の酒だし、仕方ないぜ」
「こんな神社で悪かったわね」
霊夢は少し怒った口調で言った
 説明しよう!博麗神社は人のあまり入ってこない山奥にあるため参拝客がほとんど来ない。いや、『全く』来ないといえるかもしれない
参拝客が来ないということは当然、賽銭も入ってこないということになる
つまり、もったいぶらず率直に言うと霊夢はびんb「うるさいっ!」
「それより紫、あんたいったい何しに来たの?まさかお酒飲みに来た、なんて言うんじゃないでしょうね?」
魔理沙と紫に酒の文句を言われたうえ、先ほどのナレーションで霊夢のご機嫌は水平から50度くらいナナメになっていた
「もしそうだとしたら?」
紫がそう言うと霊夢は何も言わずにスペルカードを取り出す
「じょ、冗談だってば。だからそれしまって、ね?」
あわてて弁解する紫。さすがの紫でも霊夢を怒らせるとやばいというのは分かるようだ
霊夢も少し落ち着き、スペルカードをしまい酒の入ったコップに手をつけた
「で、本当はなんなのよ。さっさと言いなさい」
やはりまだご機嫌ナナメなのか、コップの酒をゴグゴグと飲む霊夢
ほっと胸を撫で下ろす紫
「実は今日、面白いものを見つけたのよ。だからそれを見せてあげようと思って」
「面白いもの?」
「何だ何だ?もしかして、外の世界の物かっ!?」
『面白いもの』と聞いてやたらと反応する魔理沙。やはり蒐集家として外の世界のものに興味があるようだ
立ち上がって目をキラキラと輝かせている
「まぁ似たようなものかしらね。ちょっと待って、いま出すから」
そう言って紫は隙間を出し、そこに手を突っ込んでごそごそと何かを探し始めた。
まるでド○え○んで見るような光景である
その様子を魔理沙はわくわくしながら、霊夢は冷めた目で見ていた
(いったい何が出てくるんだろうな。この間、香霖に見せてもらった『ラヂヲ』みたいなやつかな?)
(あれってただうるさいだけじゃない?私はそんなのじゃなくて、境内の掃除とかを勝手にやってくれる人形がいいわ)
(そしたら霊夢が暇になるんじゃないか?何もしないで和菓子ばっかり食べてたら太るぜ?)
(たまに魔理沙と弾幕ごっこやれば大丈夫よ)
(…そんなダイエット聞いたことないけどな)
そんなことを話しながら日本酒を飲む霊夢と魔理沙
一方紫はというと……
「あれ~?どこにやっちゃったかしら?」
まだ隙間をまさぐっていた。しかも腕だけでなく上半身を隙間に突っ込んで探している
そして、待つこと2分…
「あ、いたいた。それじゃ出すわよ~」
頭を隙間から出して霊夢たちに呼びかける紫
「待ってましたぁ!!」
立ち上がって声を上げる魔理沙
興奮する魔理沙を横目に、霊夢はコップに口をつける。やっぱり興味が無いらしい
「んっ…っしょっと」
紫は一瞬力を入れてそれを取り出した

    ドサッ

「……………あり?」
「っ!!(ゴフッ)」
紫の隙間から取り出されたものを見て魔理沙は石化した
霊夢は口に入れていた日本酒を思わずコップに吹き戻す
紫が隙間から取り出したのは『人間』だった。しかも男である
 顔はうつ伏せなので見えないが、髪型はストレートで長さは肩にかかるか、かからない程度。服装は真っ黒な学生服で白いスニーカーを履いていた。
ここまでは普通の中高生に見える。だが彼には、決定的に違う部分があった
それは『剣』を背負っていたことだ。その剣はの長さは彼の首の付け根から腰より少し長いくらいで幅の広い大剣だった
「……い、いや~よかったな霊夢。この人形ならに境内の掃除どころが妖怪退治までやってくれるぜ、ははは……」
「そ、そうね~じゃあ早速使おうかしら、あはは……」
突然の出来事に現実逃避を開始する二人
「ちょっとちょっと!逃げてないで早く帰ってきなさい!」
二人の目の前で手を振る紫。それでも戻ってこなかったので二人の頭上に隙間からたぬきの置物(小さいサイズ)を落とした
「はい、帰ってきたわね。それじゃ聞きます、これはなんですか?What is it?」
うつ伏せになっている彼を指差して紫が問いかける
「…………なんというか、その…人間だな」
「…………人間」
頭を抑えながら答える二人。さっきのたぬきが結構効いているようで、もはや紫の言葉遣いにつっこむ気力すらないようだ
「グ~~ッド♪大正解♪」
パチパチと拍手する紫
「というかこいつ、幻想郷の人間か?」
「服装とかからして外の世界の人間じゃないかしら?」
魔理沙の質問に対して冷静に答える紫。彼女にとって外の人間はあまり珍しくないらしい
「あんたねぇ、『いたずらに外の人間を入れるな』ってこの間言ったじゃない」
「違うわよ。この子、隙間を漂ってたんだから。」
ふと、魔理沙にひとつの疑問がうかんだ
「なぁ紫、こいつは食べないのか?」
魔理沙の言うとおり、紫は妖怪であるため人間を捕食する。だったらなぜ彼を食料とせず、ここへ持ってきたのか?
「だって、隙間にいる人間なんて珍しいじゃない。それに…」
「「それに?」」
魔理沙と霊夢が同時に問いかけた
紫は答える
「この子は食べちゃいけないのよ」
「「???」」
二人が紫の答えに混乱しているときだった
「………う~ん…」
霊夢と魔理沙の裏からうなり声が聞こえた。どうやら彼が起きたらしい
ビクッとして彼の方を見る二人。すると彼は仰向けになり上半身を起こした
「…ふぁ~~あ……」
大きくあくびをして頭をがしがしとかいている。目はまだ眠そうだ
警戒しているのか、軽く構える魔理沙と霊夢
すると紫が彼に近づき話しかけた
「こんにちは、気分はどうかしら?」
彼は紫の顔を見上げる。すると、彼は立ち上がって答えた
「ん?あぁ、気分は悪くないんだけどな………」
「あら、何か問題でもあるの?」
紫が聞くと、彼はう~ん…、とうなって辺りを見渡した
そして紫に視線を戻す
「…なぁ、ひとつ変な事聞くけどいいかな?」
「どうぞ、なにかしら?」
「じゃあ、聞くけど……」
彼は一回大きく深呼吸してから問いかけた
「……俺の名前、知らないか?あと、ここどこだ?」
彼の質問にその場が凍りついた。決して誰かのスタ○ドの力とかではない
「…え~っと……ちょっと待ってて」
さすがの紫も少し困ったのか彼に手のひらを見せた
「集合っ!!」
そう叫んで魔理沙と霊夢を集めて、顔を寄せ合って話し合いを始めた
(こういう場合ってどうしたらいいのかしら?はい、まず霊夢から)
(えっ、私っ!?そ、そうねぇ…どうしたらいいの魔理沙?)
(話振るの早っ!!そ、そうだなぁ…まずあれは確実に記憶喪失だよな?霊夢)
(ふざけてなければそうでしょうね。じゃあショック療法で何とかする?)
(それもいいかもしれんが、少々気が引けるな…。紫、お前ならどうする?)
(う~ん、そうねぇ……)
紫は口の下に人差し指を当てて考える。そしてポン、と手をたたいた
(うん、そうしよう)
(何か思いついたの?)
(えぇ。まぁこの紫様に任せなさい)
三人は彼のほうに向き直った
彼は自分の剣を鞘から取り出し、まじまじと見つめていた
剣の内側の部分は黒くて平らだった。刃の部分が月の光で青白く光っている
「な~んで俺、こんなの持ってんだろ?もしかして、押し売りでもされたのかな?あ~あ、俺って結構ああいうの弱いからなぁ~…」
彼ははぁ~っ、とため息をついた
その光景を見て三人の心はひとつになった

「「「こいつ、バカだ……」」」

すると、彼が霊夢たちの呆れた目線に気がつく
「あれ?話し終わった?」
「えっ?あぁ、今終わったわ(ほら、紫!)」
霊夢が紫の背中をドン、と押した
「まかせなさい♪」
紫は霊夢たちにウィンクした
そして彼の元へふよふよと近づき、こう告げる
「ここはね、『幻想郷』っていうのよ」
「幻想…郷…?う~ん…思い出せない…」
彼は腕を組んで考え込む
思い出せなくて当然だ。なにせ彼は、ここの人間ではないのだから
そして彼は大きなため息をひとつついた
「…考えるのは置いといて、俺の名前は?」
「あぁ、名前ね?あなたの名前は…え~っと……」
紫はまたあの考えるポーズをした。全く、いい年してこの人もよくやr(ヒュンッ
そしてまた手をポン、とたたいた
「あなたの名前は、『狭間 聖人』(はざま せいと)っていうのよ」
「はざま…せいと…。それが俺の名前なのか?」
「そうよ♪」
紫はにっこりと笑った
 一方、その様子を見ていた霊夢と魔理沙は呆然としていた
「…なんであいつはあんなこと言ったんだ?」
「そんなの本人に聞いてよ…」
霊夢は夜空を見上げた。満月ははっきりと見えている
「はぁ…やっぱり、何かあったわね……」
 その日、幻想郷に現れた青年はいったい何者なのか?
そして、紫はなぜ彼にそんな名前をつけたのか?
霊夢はそんな疑問を抱えて彼を、いや聖人を見つめた
だが、ひとつだけはっきりしていることがある

「そっか~、俺の名前は『波佐間瀬 糸』っていうのか~…」
(三人の心の中)『なっ、なんだその字ーーーーーっ!?』

   『バカ』であるというこどだけだは確かだった

                     【第二話へつづく】
どうもお久しぶりです、Shingoです。
前回の作品がとんでもない事になっていたので思わず書き直しました
主人公のバカっぽさなどいろいろな場面を追加してみました
これからのあらすじとしては聖人を交えて原作のストーリーを書いていこうと思っています
それと、結構続くと思うので一話ごとに評価してくれるととても参考になります
それでは、これからよろしくお願いします
Shingo
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.300簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
あなたのめげなさに敬意を。
次回への期待を込めて得点を。
8.70ムク削除
既存のキャラの中に違和感なく入ってるように感じられます。
12.無評価名前が無い程度の能力削除
⊂|*^ω^*|⊃ ジオング
18.-30名前が無い程度の能力削除
最低