「あっつ……」
最近魔界が暑い。私は半袖のワイシャツを着た。いつもならこの上に青色のベストを着るのだがもうそんなことすらしたくなかった。
ここのところ、堕天してくる者もいないので私はあの女のいる所に行ってみたくなった。
日差しが強いので日焼け止めを塗る。エリスからはもう少し焼いたほうがいいと言われたが堕天使の肌がこんがり焼けていたら神聖さがなくなると答えた。
「サリエルじゃない、どうしたの?」
魔界の神殿にあいつがいた。
神綺もまた私と同じように服を着替えノースリーブの服を着ているようだった。
「なんか天界の影響を受けて暑いみたい」
神綺はそれだけ言うと冷蔵庫からジュースを取り出した。
葡萄のジュース。イエスが水から葡萄酒を生み出した話は有名だが流石に仕事中だからかお酒を飲むわけにはいかないようだ。
「貴女も飲む?」
「なら頂こうかしら」
私はコップを貰い神綺に注いでもらった。
「貴女からここに来るなんて珍しい」
「偏屈な顔を見たかったからよ」
「相変わらず毒舌ね」
「そりゃ人間との間に子供を作るぐらいですもの。俗物的よ」
私はそっけなく答えると一気に飲み干した。
「それで魔界神さんは暇なの?」
「暇なわけないじゃない……。魔界の猛暑で各地から連絡の嵐よ」
「私は暇なのに」
「貴女の所まで行く偏屈な奴はマガンちゃんぐらいしかいないわよ」
「マガンは別に偏屈じゃないわ」
「貴女と付き合ってるような人は皆偏屈じゃないの?」
「失礼ね」
神綺が魔界へ堕天してからというもの、彼女との会話はいつもこんな感じだ。そしてかつては天使の長だった彼女を魔界の生活に慣れさせたのは私だったりする。
「一応天使の長だったのに堕ちたものね」
「貴女こそ月の秘密を教えて堕天したじゃない」
「あれは人間たちを哀れに思っただけよ」
「哀れに思ったからにしてはだいぶ大胆なのね」
「私は正しい知識を教えただけ」
神綺はそんなことを話す私を見ながらゆっくりとジュースを飲み干す。
「私は自ら神に反逆したから堕天されたのに貴女って人は自分から堕天しちゃうんだから」
「私が止めようとしたときには遅かった」
神綺は少しだけ悲しそうな顔をしながら話す。
「貴女は身勝手な理由だけど、私はしっかりとした理由よ」
「辛辣ね。まあはっきり素直に話してくれる貴女のそんなところが好きだから最深部の警備を任せているのだけど」
「それはどうも」
私は長い髪をかきあげると神綺を見た。
「神綺、貴女は神に反逆したこと。アダムとイヴを蛇の姿になって唆したことを後悔してないの?」
神綺は暫く考えた後、ゆっくりと答えた。
「それが私らしいでしょ?」
「その様子じゃ後悔してなさそうね……」
私は呆れたように少しだけ笑うと翼を軽くはためかせた。
「この暑さは暫く続くだろうし何日かここにいていいかしら」
「どうせ今の貴女は暇だから仕事をいくつか回すけどいい?」
「ちゃんと給料を出すのならね」
「人間と結婚したからかだいぶそのへんも人間らしくなったのね」
「エリスが待っているもの」
私は笑った。
「天界はきっと貴女のような存在を失ったことを後悔してる」
「貴女だって……あのお方はきっと後悔しているわ、ルシファーの堕天は失敗ってね。でも堕天してなかったら多分聖書はなかったかもね」
「ルシファーって名前、久しぶりに言ったわね」
「私にとってはまだ天使の長、ルシファーよ」
神綺と私は笑い合うとジュースをまた注ぎ乾杯を交わした。
「……魔界神がノースリーブは威厳がないわよ」
「別にいいじゃない、アリスちゃんは似合うと話してくれたわよ」
最近魔界が暑い。私は半袖のワイシャツを着た。いつもならこの上に青色のベストを着るのだがもうそんなことすらしたくなかった。
ここのところ、堕天してくる者もいないので私はあの女のいる所に行ってみたくなった。
日差しが強いので日焼け止めを塗る。エリスからはもう少し焼いたほうがいいと言われたが堕天使の肌がこんがり焼けていたら神聖さがなくなると答えた。
「サリエルじゃない、どうしたの?」
魔界の神殿にあいつがいた。
神綺もまた私と同じように服を着替えノースリーブの服を着ているようだった。
「なんか天界の影響を受けて暑いみたい」
神綺はそれだけ言うと冷蔵庫からジュースを取り出した。
葡萄のジュース。イエスが水から葡萄酒を生み出した話は有名だが流石に仕事中だからかお酒を飲むわけにはいかないようだ。
「貴女も飲む?」
「なら頂こうかしら」
私はコップを貰い神綺に注いでもらった。
「貴女からここに来るなんて珍しい」
「偏屈な顔を見たかったからよ」
「相変わらず毒舌ね」
「そりゃ人間との間に子供を作るぐらいですもの。俗物的よ」
私はそっけなく答えると一気に飲み干した。
「それで魔界神さんは暇なの?」
「暇なわけないじゃない……。魔界の猛暑で各地から連絡の嵐よ」
「私は暇なのに」
「貴女の所まで行く偏屈な奴はマガンちゃんぐらいしかいないわよ」
「マガンは別に偏屈じゃないわ」
「貴女と付き合ってるような人は皆偏屈じゃないの?」
「失礼ね」
神綺が魔界へ堕天してからというもの、彼女との会話はいつもこんな感じだ。そしてかつては天使の長だった彼女を魔界の生活に慣れさせたのは私だったりする。
「一応天使の長だったのに堕ちたものね」
「貴女こそ月の秘密を教えて堕天したじゃない」
「あれは人間たちを哀れに思っただけよ」
「哀れに思ったからにしてはだいぶ大胆なのね」
「私は正しい知識を教えただけ」
神綺はそんなことを話す私を見ながらゆっくりとジュースを飲み干す。
「私は自ら神に反逆したから堕天されたのに貴女って人は自分から堕天しちゃうんだから」
「私が止めようとしたときには遅かった」
神綺は少しだけ悲しそうな顔をしながら話す。
「貴女は身勝手な理由だけど、私はしっかりとした理由よ」
「辛辣ね。まあはっきり素直に話してくれる貴女のそんなところが好きだから最深部の警備を任せているのだけど」
「それはどうも」
私は長い髪をかきあげると神綺を見た。
「神綺、貴女は神に反逆したこと。アダムとイヴを蛇の姿になって唆したことを後悔してないの?」
神綺は暫く考えた後、ゆっくりと答えた。
「それが私らしいでしょ?」
「その様子じゃ後悔してなさそうね……」
私は呆れたように少しだけ笑うと翼を軽くはためかせた。
「この暑さは暫く続くだろうし何日かここにいていいかしら」
「どうせ今の貴女は暇だから仕事をいくつか回すけどいい?」
「ちゃんと給料を出すのならね」
「人間と結婚したからかだいぶそのへんも人間らしくなったのね」
「エリスが待っているもの」
私は笑った。
「天界はきっと貴女のような存在を失ったことを後悔してる」
「貴女だって……あのお方はきっと後悔しているわ、ルシファーの堕天は失敗ってね。でも堕天してなかったら多分聖書はなかったかもね」
「ルシファーって名前、久しぶりに言ったわね」
「私にとってはまだ天使の長、ルシファーよ」
神綺と私は笑い合うとジュースをまた注ぎ乾杯を交わした。
「……魔界神がノースリーブは威厳がないわよ」
「別にいいじゃない、アリスちゃんは似合うと話してくれたわよ」