Coolier - 新生・東方創想話

「お手なんてしないわん!」

2026/10/09 12:36:13
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「んーと…え?」
「…ねぇ天子様わん?」
「……」
「助けてわん?」
天界に佇む一人の少女、その少女はいつも退屈そうな素振りを見せる。天界は何も無く見下ろせば雲一面の世界が広がる。「もう一度幻想郷で地震でも起こしてやろうか」と思っていたところほんの一瞬だけ雲の動きが怪しくなった。どうしたものかと行ってみれば、そこにいるのは龍宮の使い。しかし、明らかに様子がおかしい。
…永江衣玖犬化異変の始まりである。

「…あー!暑いわね!いつになったらこの異常気象治るのよ!」
「うるさいぞー霊夢、氷持ってきたんだから文句言うなよ」
「あたいは氷じゃなくて妖精だもん!さいきょーだもん!くらえ!アイシクルフォール!」
「な、霊夢、言っただろ?夏場はこいつがいなきゃダメだって」
「そうねぇ〜涼しいわぁ〜」
「なんだお前ら!いつもいつも!」
「はいはい、あー!苦しい〜!」
「あ〜死ぬ〜」
「べーだ、そのまま倒れろ!」
「あ〜(バカで助かった〜)」
幻想郷では過去最高気温を更新、霊夢や魔理沙たちはチルノを使って涼んでいた。
一方天界では、天子が衣玖をいじり倒していた。
「ねぇ衣玖?お手!」
「お手なんてするわけないわん!このわんわん言うのも嫌だわん!もー!何よこれわん!」
「はーい、よちよちよち〜」
「わ〜〜ん!!」
犬化した衣玖は耳と尻尾が生え、語尾が「わん」になっている。冷静な衣玖がここまで慌てるのは珍しい、天子はこの状況を面白おかしくイジっていた。
「えー、助けよっかな?このまま犬として生きた方が私としては面白いけど?」
「天子様は良いかもしれないわん!でも私は嫌だわん!早く幻想郷に降りてあの巫女に解決してもらうわん!」
「じゃあ一人で行けば良いじゃん。 」
「恥ずかしいわん!こんな姿じゃ笑われるわん!せめて一人来て欲しいわん!あと、どうせ天子様はついて来るわん」
「それもそうか。じゃあ早く行きましょう!」
「早く早く解決してもらうわん!」
天子と衣玖は犬化を無くす為に幻想郷に向かった。その道中でも天子はずっといじり倒していた。耳を触った後尻尾を掴み、ずっとお手やお座りと言い続けている。衣玖は多少の殺意が湧き始めていた。
「あれが巫女のいる神社か、久しぶりだな」
「今回は壊しちゃダメですわん、じゃないと協力なんてしてくれないわん」
「大丈夫だよ衣玖、私もそこまで馬鹿じゃないからっと!」
天子の声と同時に、博麗神社の敷地内に大きな衝撃と衝突音が鳴り響く。霊夢や魔理沙は当然警戒し、チルノはビビリ散らかしていた。
「あぁいた、博麗の巫女。あの日以来だな。」
「…誰かと思えばあのバカ天子じゃない。今日はなんの為にここに来たのかしら?」
「おーい衣玖、後ろに隠れてないで出てこーい!」
「…」
「…え?あんた、どうしたのそれ?なんでそんな犬のコスプレしてるのかしら!」
「おーいなんだそれ、前会った時とは雰囲気が全然違うじゃねぇか!」
「うるさいわん!どいつもこいつも私をバカにするわん!もー!早く黙れわん!」
「わんわん吠えんなって、はーいおて。」
「天子様と一緒のことするんじゃないわん!」
「えーと、それで?私は犬の飼い方なんて知らないわよ?」
「誰が飼われたいって言うんだわん!この犬化を解決しに来たんだわん!れっきとした異変だわん、早く巫女が解決するべきだわん!」
「わんわんわんわんうるさいわねー。はい、とりあえずちゃんと庭片付けてからね。」
「え?何が?」
「…いい加減にしなさいよ?」
「…はいはい」

―「何故か急に犬になった…か。」
「…何故か急に犬になるとはなぁ。」
「なぁ、何か知ってるのか?」
「いーや、知らないなぁ」
「知ってるわけないじゃない、そもそもこんな異変なんて起こらないわよ普通」
「…とりあえず、今からどうすれば良いわん?」
「聞き込みね。」
「聞き込みだな。」
「私はここに残る。聞き込みなんてめんどくさそうなことは嫌いだね。」
「そうね、貴方はここにいてくれた方が良いわ。何をするか分からないし。」
「そこに居る氷の妖精と遊んどくわ〜」
「お、おい、…お前!あたいは幻想郷サイキョーの」
「はい、それじゃあ私と衣玖の二人と魔理沙で聞き込みするわよ。」
「おう!どっちが早く解決できるか勝負だぜ!」
「はいはい、早く行くわよー」
天子はお留守番をし、霊夢と衣玖がペアになり魔理沙は一人で聞き込みを開始。衣玖が不安になりながらも、霊夢と魔理沙なら大丈夫だと思いながら、霊夢の後ろに隠れてぽてぽてと歩いていた。
しかし、いくら探しても犬化の情報は見つからない。魔法の線も調べてみたがパチュリー曰く、「そんな魔法は存在しない」とのこと。衣玖はこのまま犬になるしかないのかと泣きそうになりながら聞き込んでいた。
「…ここまで来ると貴方を疑うわよ?衣玖?」
「なんでわん、こんなの趣味でやるわけないわん。」
「でもこんなに聞き込んで情報が出ないのよ?貴方自身が犬化して戻れなくなった、これじゃないの?」
「それは絶対無いわん!急に犬になったんだわん…」
「…まぁそうね、貴方みたいな龍宮の使いが自ら犬化するなんて思えないもんねぇ〜…でも困ったわ、それじゃあどこに行けばいいのかしら」
辺りが緋色に染まりながら、犬化した衣玖はどうにかして過去の記憶を想い起こす。しかし、原因らしい記憶は見つからない。ため息がより一層大きくなり、解決するまで犬で過ごさなければならないと考えると頭が痛くなっていた。
そんな憂鬱な時だった。
「あー!やっといた!」
「……」
「あー!ってこっちが言いたいわよ!あんたが主犯からしら!紫!」
天子の様子を見に行こうと博麗神社に戻っている最中、突如紫がスキマから現れた。口元を手で隠しながら、どこからか勾玉を取り出す。
「貴方が犬化したのね。あらー、可愛い。」
「…まさか一番異変を起こさないであろう幻想郷の貴方が主犯とは思わなかったわん。」
「語尾までわんなのね!わんわん可愛いわね〜」
「可愛い可愛い言ってないで早く元に戻すわん!」
「はいはい、じゃあこれ使ってみて」
「これは…勾玉?こんなものに元に戻る力が備わっていると言うの?」
「その通り、この勾玉を割れば犬化が解けるように細工してあるの。もしかしたら治らないかもしれないけど。」
「怖いことを言うわん、でもこれしかないわん。じゃあ早速いくわん!」
青白い光と共に衣玖の耳と尻尾は引っ込んでゆく。どうも紫が話した通り、元に戻ったらしい。
「耳も無い!尻尾もない!語尾もわんじゃないし、やっと戻れたわね!犬から解放されたー!」
「やっとひと段落ってところね。それで?帰ろうとしてるけどどうして衣玖が犬になんかなったのかしら?主犯さん?」
「えーと…とりあえず、博麗神社まで移動するわよ。」

―「おー!衣玖ー!戻ってるー!」
「…ほんとあの子一旦躾けなきゃならないわ。お手お手うるさかったし」
「まぁいいじゃなか!どうせ今から全部分かるんだ。」
「それとこれとは別よ。」
魔理沙や天子が喋っている所に、霊夢と衣玖、口をもごもさせている紫も座る。
「ほんと、どう話そうかしら。」
「てか魔理沙、あんた帰ってきてたの?」
「あまりにも情報が出なかったからな、衣玖が自分自身でかけた犬化が解けなくなったみたいな感じでとりま仮説立てた。無理矢理だがこれしか思いつかなくてな。」
「私と同じこと考えてるじゃない。」
全員がひと段落ついた頃、紫が少しずつ今回の異変について語り始めた。
「えーと、この異変の始まりは私のイタズラよ。」
「は?」
全員が紫の方に向く。
「魔理沙と天子には見せてないけど、さっきの勾玉は解除用そして、もう一つは犬化用でどちらも割った人に作用するよう細工してあるの」
「犬化と解除の二つの勾玉が存在するのね。」
「待て待て、それじゃあ衣玖が勾玉を取って割ったってことになるじゃねぇか!」
「そんなことするわけないでしょ!第一そんな勾玉初めて知ったし、仮に持っていたとしても自ら割らないわ!」
「それじゃあ、あの勾玉が第三者に細工されていたとかか?」
「そうじゃないわ、まだちゃんと完成してないの。」
「未完成品…それなら筋は通るわね。」
「それじゃあ、割ったやつが犬化するはずが誤作動で衣玖になったってことか。」
「それじゃあ、貴方が間違えて割ったのかしら?」
「それがそうじゃないのよ、割ったのは他にいるわ。」
「どういうことだ?」
「落としたのよ、湖に。」
「何してんのよあんた。」
「もちろん気づいてすぐ探しに行ったわよ!でも、その時にはもう無くなってたの。誰にも気づかれないように存在感とか、そういう類は全て消しておいたはずなのに何故かどこかに消えちゃったの。」
「それじゃあこうかしら。未完成の勾玉を落とした後、誰かが湖で見つけて拾い何かの弾みで割って衣玖が犬になった。こんなところかしら。」
「聞いてて飽きれるわね、私全く関係ないじゃない。」
「運も時には反抗期だな。」
「何よそれ。」
「とりあえず、なんとなく分かったけど結局誰が割ったの?」
「肝心の誰が割ったかだけど、実はまだ分かってないわ」
「分かってないの!?ほんと、何してるのよ。」
「探したわよ!でも、全く分からない。誰が拾って割ったのかなんて分からない。でも、こうして犬化した貴方を元に戻せればとりあえず安心だと思ってこっちに来たのよ。」
「何めんどくさくなってんのよ、早く解明しなさいよ」
「…」
「えー、また探すの〜?」と言わんばかりの紫を見て、天子以外の3人は「原因はお前だろ!」と心の中で呟く。
「紫、もう探さないのね?」
「そ、そうなるわねー…」
「嫌だ、私がモヤモヤする。どうせ帰るなら全部明らかにして終わらせてくれ。」 
「えー、めんどく」
「紫、貴方に拒否権はないわよ?」
「…それじゃあすぐ見つけるわよ」
「どうせ帰って寝るだけなんだから、良い運動になるわ」
「余計なお世話よ」
「私はこの後大切な用事があるから、先に帰らせてもらうぜ。」
「分かったわ、それじゃあ私と紫、衣玖と天子ね。早く解決するわよ。」
「分かったわ!」

―「…ん?なにこれー…勾玉だぁー!」
紫が湖に落とした後、捜索しても見つからなかったのは古明地こいしが水遊び中に拾っていたからだった。
「ねぇお姉ちゃん、これきれーでしょ!」
「勾玉なんて珍しいわね、ちょっと見せてくれないかしら?」
「いいよー?壊さないで…」
手渡しをする時に誤ってこいしが落としてしまう。
「あー!壊れた!私の勾玉!」
「仕方ないわ、片付けましょう」
「せっかく拾ったのに…あれ?なんか文字書いてある。」
「えーと、割れば犬になるって書いてあるわ。でも、犬になんてなってないし、きっと誰かの悪戯でしょう」
「そうだね!まーまた見つければ良いし、もう良いや!」
紫たちがもう一度幻想郷を捜索しても、結局何も分からなかった。それもそのはず、無意識の古明地こいしが勾玉を拾っていたなんて誰も考えるはずがない。
天子や衣玖たちはモヤモヤしながら天界へ帰り、紫は今回の異変を反省していた。
「もう二度と霊夢を犬化させようなんて考えないでおこっと…」
霊夢の強運につくづく驚く紫だった。
お読みいただき、ありがとうございました!過去に書いた三題話の小説です。初挑戦ということあり読みづらい部分が多かったと思いますが、そこは許して下さい!
次のお題は多分猫ですにゃん。

東方二次創作作品
アイニヒ
https://x.com/nyu_nihi310?s=11
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コメント



0.150点簡易評価
2.100点ヘンプ削除
わんわん言う衣玖が可愛かったです。
絶妙に衣玖を馬鹿にしている天子も面白かったです。
3.90点のくた削除
永江いぬさん可愛い
4.100点名前が無い程度の能力削除
いぬ衣玖さん可愛かったです。
5.100点南条削除
面白かったです
結局なんの関係もなく被害だけ受けた衣玖さんがかわいそうでかわいかったです
6.90点東ノ目削除
いい意味で若さがありました。我々のように歳を取ると出せない味なので今を大事にして欲しいですね
9.100点のーたむ(春夏冬秋)削除
皆でいぬ衣玖さんをからかいに行くのがとても面白かったです。