Coolier - 新生・東方創想話

母と子

2026/09/18 17:51:10
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 あら、もしかして私をお捜しで?
 はい、はじめまして。その通りですわ。
 よくこの場所がおわかりになりましたわね。
 ああ、確かに。
 今の幻想郷でどこにも属していない墓地と言えば、この辺りにしかありませんわね。ええ、ええ、ですから私もよく顔を出すのです。なるほど、それを見越したと。
 貴方……ああ、お噂はかねがね。
 うふふ、何を驚いていらっしゃるのですか。貴方が私について調べるように、私にも里の奇人を調べることができるのです。失礼、奇人は言い過ぎでしたか。
 ですが、変わり者であるとは言われておりますわね。あら、素直にお認めになられる。 ええ、ええ。知っておりますとも。
 里一番の才人であると、上白沢さまの寺子屋では「出藍の誉れ」とまで言われていたと。 まあ、そのようなご謙遜を……
 はぁ、そうですわね。確かに貴方様の才は人の才。霧雨のご息女や御阿礼の子、貸し本屋の小娘、そして巫女たちとはまた違う才。
 それは〝程度の能力〟と呼ばれることもなく、純然たる人間の能力としての才。
 ですが、決して捨て鉢になるようなものではありませんわ。才とは純然故、才と呼ばれるのですから。貴方様の才には霧雨も御阿礼も小娘も、博麗も守矢も及ばないでしょう。
 はい。はい、それはもう。
 わかっております。その優れた才は幻想郷の人里では使えぬ才だと。いえ、使えぬのではなく、早すぎる才と言うべきでしょうか。
 その才を認められる者も、有効に扱える者も、里のために働かせることができる者もおりませぬ、この幻想郷には。
 才だけでは口に糊することすら難しい。それが幻想郷というもの。
 それでも貴方様は自らの才を信じて、才を磨き伸ばし続けることを自らに課した。
 お母様も貴方の才を信じて、お父様亡き後も支え続けた。麗しき家族愛だと思います。 そのお母様が亡くなったのですね。貴方様の背負う桶の中から、気配を感じます。
 ああ、わかります。だからこそ私を探したのだと。
 お母様の死を認めたくない、いえ、覆したい。それが貴方様の想い、いえ、お母様への愛。
 はい。誤魔化すことなく言いましょう。
 可能ですわ。
 お母様を蘇らせること。
 
 本当によろしいのですか?
 念のためにうかがいたいのですが、お母様をお母様として蘇らせたいのですよね。
 どうされました? 今、何かを言い淀みに……
 まさかお母様を一人働かせ、自分は才を磨くと称して閉じこもっていたいと。
 あら、どうされました? 今までそのようにして過ごされてきたのでは?
 うふふ、先ほども申しましたが、私も里を調べることくらいできますわ。
 ああ、勘違いなさらぬように。
 別にそれは良いのです。貴方様とお母様の関係に口を出す気など毛頭ありませんわ。
 ですが、ただ……
 いえ、これは私の想像なのですが。
 お母様の死後の安寧を捨ててまで貴方の面倒を見させると。有り体に言えば、死んだ後までこき使うと。
 いえいえ、良いのです。そうだと仰るのならそれはそれで別に良いのです。
 ただ……蘇ったお母様が何と仰るか、そこまでは私にはわかりかねます。
 これまで通り貴方様の面倒をみるのか、あるいは、永劫の労苦を憎み恨むのか。
 うふふ、ごめんなさい。
 お母様と貴方様の関係を考えれば答は見えてますわね。お母様は死ぬまで貴方様の栄達を信じていたのでしょう。貴方様は才を磨き続けているのでしょう。ならば、答はわかっています。
 貴方様は、生前のお母様を裏切ることなどなかったのでしょう?
 疲れ切ったお母様に詰られ、カッとなって手を上げたことなど一度もなかったのでしょう? ましてやそれが死因だなんて。
 あら、どうしました?
 寒いのですか? 顔色もお悪いような。
 まあ、そうですか。きちんと弔うと。
 はい、ではこの話はなかったことに……、ええ、ええ、聞かなかったことにしておきますわ。
 それでは、ごきげんよう。

 
 
「そんなことしませんわ。善とやらを騙……いえ、語る方々に目を付けられるのは面倒くさいですもの」
のくた
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コメント



0.簡易評価なし
1.100点名前が無い程度の能力削除
見透かして嗤う青娥がとても良かったです。
2.100点南条削除
面白かったです
この子供にもそれなりに言い分がありそうなのがまた救いがなくて悲しくなりました
きっと避けられない悲劇だったのでしょうね
それはそれとしてにゃんにゃんが絶好調でした
3.90点奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
4.100点名前が無い程度の能力削除
これはまさに青娥だなと思いました。