バネの季節
一通り春を告げ終えたリリー ホワイトは、ひと休みがてら地上に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いたリリー ホワイトは天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
それはある種の異変だった。何者かが埋めたバネによって、幻想少女が空に飛ばされる事例が相次いでいた。
当初、その被害者は妖精のみで誰も気にしなかったが、野良妖怪やちゃんとした妖怪、人類と規模が広がるにつれ話題を呼び、噂程度には誰もが知る出来事となった。
リリー ホワイトが飛んだのもこの頃で、被害規模は幻想郷全神人妖口の約1割に昇り、その9割8分が妖精だった。
決定打となったのは神社の宴会、ここで八雲 紫が飛ばされたことだった。
大妖怪を消し飛ばしたバネもまた殆どの人妖は気にも留めなかったが、ある烏天狗だけは目を光らせた。次の朝、幻想郷全域を文文。新聞号外が襲った。
「打ち上げ異変勃発!」「最有力の賢者も失踪 下手人は誰!?」
記者が目撃した大妖怪失踪や他の実例、井戸端の噂をまとめたこの新聞は、凄まじい波及の速さと、低い信頼を凌駕する話題性の高さで、瞬く間に幻想郷中の注目の的となった。バネでひとを吹っ飛ばすおかしな罠は、人妖を失踪させる危険な異変へ豹変した。
号外による報道合戦が連日繰り広げられた。異変の深掘り、犯人や原因のこじつけ、失踪者の行方のでっち上げ新聞が回り、案山子念報はこんな見出しを打った。
「帰らぬひと 1割を超える」
言葉が悪かった。「少女達は帰って来る」と信じていた大衆は「彼女らの死」を確信し、幻想世論に恐慌が起きた。
飛べる少女は可能な限り飛び、飛べない人類は家の中で我が子を抱え、わかさぎ姫は対岸の火事を決め込んだ。一般家屋にバネ被害が出て、混乱した人類は天狗を動員させる大暴動を起こした。
「世紀の大誤報!」「偏向なる案山子念報 妖精被害まで統計入れる」
事態終息を図り文文。新聞が批判記事を出すもその日に射命丸 文が失踪、翌日の案山子念報は競合記者のバネ被害を報じた。配達中に姫海棠 はたてが摩多羅 隠岐奈に「前の仕業か。」と問われる等世間は既に政治闘争を勘繰り始めた。
以来、噂話は激減し、誰もが家に籠りバネと統制に怯え、報道合戦も沈静化した。代わりに人里には回覧板が出回った。外出自粛要請と安全な道を示す地図、そして魔女狩りの実行を訴えるチラシが必ず挟まれていた。
そんな折、博麗 霊夢が動き出した。
博麗 霊夢はどんな噂も気にせず、連日投げ込まれる号外を「邪魔ね」と積んでいたが、シラフの時に目の前で霧雨 魔理沙が吹っ飛んだことで異変に気付き、すぐに解決へと乗り出した。
彼女は道中、その辺にいたエタニティエラルバとルーミア、今泉 影狼が失踪してから陰謀論者になったわかさぎ姫、バネに鈴奈庵を吹き飛ばされた本居 小鈴、ミサイル軌道で特攻して来た宮古 芳香、事態の悪化を目論むクラウンピース、かつての同志を守りたい少名 針妙丸を叩きのめし、黒幕の元に辿り着いた。
そこにはショベルでせっせこ穴を掘って、巨大なバスケットから山盛りのバネを1個取り、穴の中にせっせこ埋める鬼人 正邪がいた。
「あんたが下手人ね。」
「ゲゲ!見つかった!しかしまだ終わらない!地べたに這いつくばるプロレタリアートを全員、世界の頂点まで吹っ飛ばすまで諦めない!まだ!1つだけ策があるんだ!」
「一体、それはどんな策なの!」
博麗 霊夢は身構えた。
「逃げるんだよォー!」
そして鬼人 正邪は全速力で逃げ出した。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた鬼人 正邪は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうへと消えて見えなくなった。
「何やってんのかしら、あいつ。」
「うわぁぁぁ」情けない声と共に消える鬼人 正邪を見届け、博麗 霊夢は地面に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた博麗 霊夢は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
所変わって天界、比那名居 天子が不機嫌に足元を睨んでいる。そこには大量の少女が目をぐるぐるに巻いて積み上がっていた。
「このままじゃ天界が変なので溢れちゃうわ。」
一言文句を言おうと決めた比那名居 天子は彼女らを大袋に詰めてそれを担ぎ幻想郷に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた比那名居 天子と大量の少女は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
そのうち仕込まれたバネが全て跳ね尽くされ、異変は終結した。
おわり
一通り春を告げ終えたリリー ホワイトは、ひと休みがてら地上に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いたリリー ホワイトは天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
それはある種の異変だった。何者かが埋めたバネによって、幻想少女が空に飛ばされる事例が相次いでいた。
当初、その被害者は妖精のみで誰も気にしなかったが、野良妖怪やちゃんとした妖怪、人類と規模が広がるにつれ話題を呼び、噂程度には誰もが知る出来事となった。
リリー ホワイトが飛んだのもこの頃で、被害規模は幻想郷全神人妖口の約1割に昇り、その9割8分が妖精だった。
決定打となったのは神社の宴会、ここで八雲 紫が飛ばされたことだった。
大妖怪を消し飛ばしたバネもまた殆どの人妖は気にも留めなかったが、ある烏天狗だけは目を光らせた。次の朝、幻想郷全域を文文。新聞号外が襲った。
「打ち上げ異変勃発!」「最有力の賢者も失踪 下手人は誰!?」
記者が目撃した大妖怪失踪や他の実例、井戸端の噂をまとめたこの新聞は、凄まじい波及の速さと、低い信頼を凌駕する話題性の高さで、瞬く間に幻想郷中の注目の的となった。バネでひとを吹っ飛ばすおかしな罠は、人妖を失踪させる危険な異変へ豹変した。
号外による報道合戦が連日繰り広げられた。異変の深掘り、犯人や原因のこじつけ、失踪者の行方のでっち上げ新聞が回り、案山子念報はこんな見出しを打った。
「帰らぬひと 1割を超える」
言葉が悪かった。「少女達は帰って来る」と信じていた大衆は「彼女らの死」を確信し、幻想世論に恐慌が起きた。
飛べる少女は可能な限り飛び、飛べない人類は家の中で我が子を抱え、わかさぎ姫は対岸の火事を決め込んだ。一般家屋にバネ被害が出て、混乱した人類は天狗を動員させる大暴動を起こした。
「世紀の大誤報!」「偏向なる案山子念報 妖精被害まで統計入れる」
事態終息を図り文文。新聞が批判記事を出すもその日に射命丸 文が失踪、翌日の案山子念報は競合記者のバネ被害を報じた。配達中に姫海棠 はたてが摩多羅 隠岐奈に「前の仕業か。」と問われる等世間は既に政治闘争を勘繰り始めた。
以来、噂話は激減し、誰もが家に籠りバネと統制に怯え、報道合戦も沈静化した。代わりに人里には回覧板が出回った。外出自粛要請と安全な道を示す地図、そして魔女狩りの実行を訴えるチラシが必ず挟まれていた。
そんな折、博麗 霊夢が動き出した。
博麗 霊夢はどんな噂も気にせず、連日投げ込まれる号外を「邪魔ね」と積んでいたが、シラフの時に目の前で霧雨 魔理沙が吹っ飛んだことで異変に気付き、すぐに解決へと乗り出した。
彼女は道中、その辺にいたエタニティエラルバとルーミア、今泉 影狼が失踪してから陰謀論者になったわかさぎ姫、バネに鈴奈庵を吹き飛ばされた本居 小鈴、ミサイル軌道で特攻して来た宮古 芳香、事態の悪化を目論むクラウンピース、かつての同志を守りたい少名 針妙丸を叩きのめし、黒幕の元に辿り着いた。
そこにはショベルでせっせこ穴を掘って、巨大なバスケットから山盛りのバネを1個取り、穴の中にせっせこ埋める鬼人 正邪がいた。
「あんたが下手人ね。」
「ゲゲ!見つかった!しかしまだ終わらない!地べたに這いつくばるプロレタリアートを全員、世界の頂点まで吹っ飛ばすまで諦めない!まだ!1つだけ策があるんだ!」
「一体、それはどんな策なの!」
博麗 霊夢は身構えた。
「逃げるんだよォー!」
そして鬼人 正邪は全速力で逃げ出した。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた鬼人 正邪は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうへと消えて見えなくなった。
「何やってんのかしら、あいつ。」
「うわぁぁぁ」情けない声と共に消える鬼人 正邪を見届け、博麗 霊夢は地面に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた博麗 霊夢は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
所変わって天界、比那名居 天子が不機嫌に足元を睨んでいる。そこには大量の少女が目をぐるぐるに巻いて積み上がっていた。
「このままじゃ天界が変なので溢れちゃうわ。」
一言文句を言おうと決めた比那名居 天子は彼女らを大袋に詰めてそれを担ぎ幻想郷に降りた。
しかしそこには何者かが地中に仕込んだバネがあった!
不幸にもバネを踏み抜いた比那名居 天子と大量の少女は天高く空の彼方へと跳ね飛ばされ、哀れ青空の向こうに消えて見えなくなった。
そのうち仕込まれたバネが全て跳ね尽くされ、異変は終結した。
おわり