「んん・・・」
目を開けると、そこは橙が知らない場所だった。
「知らない天井だ」
碇シンジみたいなことを言った橙は、身を起こして辺りを見回した。どこかの家の部屋らしい。
まだ頭がくらくらする。深呼吸をしようとするが、相変わらず酒臭い。
どうやらこの家は、サケノミが住んでいるようだ。
「昼寝したかっただけなのに・・・うう」
そんな独り言を呟いていると、あたりに霧が立ち込めた。
(なんだなんだ?)と思い、目をこする。
するとそこには、鬼が立っていた。
数秒見つめあったあと、話しかけたのは鬼の方だった。
「あんただね、あたしの瓢箪をもっていたのは。」
「あなた、だあれ?」
橙が聞くと、鬼は答えた。
「あたしは萃香。伊吹萃香だよ」
萃香と名乗った鬼は、橙の隣にあぐらをかいて、橙の名前を聞いてきた。
橙と答えると萃香はクスッと笑い、
「面白い名だねぇ。」
と言った。少しムッとした。藍様がつけてくれた名前だからだ。尊敬する藍様を蔑ろにするようで、気に食わなかった。
それに気づいたのか、萃香は慌ててつけたした。
「ああ、別にあんたと敵対しているわけではないから。助けてやったんだよ。」
「助けたって、どういうこと?」
橙は瓢箪の酒の匂いで酔って、倒れてしまったのだ。そこらへんの記憶があるはずがない。
「酒飲んでたら、ひんやりした妖精が瓢箪を取って行ったんだよ。それを追いかけて、取り返そうとしたら、その妖精ごと落っこちちゃったのさ」
落ちただけで屋根をつきやぶることはないだろう、と思いつつ話を聞く。
「落ちた場所があんた、そう橙の家で、橙があたしの瓢箪を持ったまま倒れていたのさ。だから、介抱してやった訳よ。」
「そうなのね、ありがとう。」
萃香が聞いた。
「どうして、猫耳がついてるのさ。」
そう言って、萃香は橙の耳を触った。
「ふにゃぁぁぁ・・・」
橙は思わず、抜けた声を出してしまった。
「ごめんごめん。さっきから動いてて、気になっちゃってて。」
橙は耳を触りながら、自分はもともと化け猫だったこと、藍様に拾われて、式神になったこと、それでもまだ未熟だから、一人前になるため頑張っていることなどを話した。
「そうなんだ。じゃあ、猫耳がついているのも納得だな。」
「藍様は九尾の狐だったらしいよ」
「だった?」
「うん。藍様は紫様の式神なの。」
「紫様・・・ええ!?八雲紫!?」
「そうだよ。わたしは紫様の式の式なの。」
「ひええ、あの最強権力者の近くのものとはねぇ、驚いたよ」
「ふふふ」
藍様とはすでに面識があるらしい。笑った後に、橙は聞いた。
「どうして、幻想郷に鬼がいるの?吸血鬼はいるけど、鬼はいないはずだよ」
萃香は答えた。
「鬼は滅多に姿を現さないだけで、昔からこの地に住んでいたんだよ。あたしの仲間たちは、地獄にいる。」
「ええっ!?」
「語弊があったね。地獄に落とされたわけではなくて、『地獄』という地下の場所に住んでいるだけだよ。まあ、そこには荒くれ妖怪しかいないんだけどね」
どうやら、地上へ出たことには理由がありそうだ。
「ふーん。どうして、一人だけでここにいるの?」
橙は聞いてみた。すると、彼女は意外な返答をよこした。
「宴会をしたかったんだよ」
「宴会?」
「そ。うちら鬼は、酒が大好きなの。でも、亡霊と半霊の企みのせいで、春が短くなっちゃったわけ。春が短くなると、花見の宴会も全然できなくなってしまう。だから、異変を起こしたのさ」
「異変って、この前の?」
「そうだよ」
あっさり解決されちゃったじゃない、と聞くと、その後宴会騒ぎになったからいいんだよ、と答えた。
「私は、お酒が飲めないからなあ。」
「ええっ、もしかして橙って下戸!?」
「ちがうよ、藍様がお酒を飲むのを許してくれないの。一人前じゃないからって」
「ちぇぇぇ、橙とお酒が飲めると思ったのに」
ちょっとがっかりしている萃香を見て、なんか申し訳なかった。
「なんか、ごめん・・・」
「いいのいいの。私だって、チェイサーを飲むこともあるから」
「チェイサー?」
「お水のこと。橙はいつも何を飲んでいるの?」
「お茶と、ミルクだよ。」
「ミルク?えっなにそれは」
「えっとね・・・」
橙は牛から搾る乳を猫は好むというのを紫様が教えてくれたということ、例外なく橙もそれに当てはまること、そしてそれは幻想郷では取引されないらしく、なぜか紫自身が外界からとってきているということ、とても甘い味がすることなどを話した。
「へぇ〜、あたしもずいぶん長い間甘いものなんて飲み食いしてないし、(萃香、手を叩く)そうだ!明日か明後日に、それ持ってきてよ!」
萃香はそのミルクというものに興味を示したらしい。橙も、自分のことをわかってくれたようで、嬉しかった。
目を開けると、そこは橙が知らない場所だった。
「知らない天井だ」
碇シンジみたいなことを言った橙は、身を起こして辺りを見回した。どこかの家の部屋らしい。
まだ頭がくらくらする。深呼吸をしようとするが、相変わらず酒臭い。
どうやらこの家は、サケノミが住んでいるようだ。
「昼寝したかっただけなのに・・・うう」
そんな独り言を呟いていると、あたりに霧が立ち込めた。
(なんだなんだ?)と思い、目をこする。
するとそこには、鬼が立っていた。
数秒見つめあったあと、話しかけたのは鬼の方だった。
「あんただね、あたしの瓢箪をもっていたのは。」
「あなた、だあれ?」
橙が聞くと、鬼は答えた。
「あたしは萃香。伊吹萃香だよ」
萃香と名乗った鬼は、橙の隣にあぐらをかいて、橙の名前を聞いてきた。
橙と答えると萃香はクスッと笑い、
「面白い名だねぇ。」
と言った。少しムッとした。藍様がつけてくれた名前だからだ。尊敬する藍様を蔑ろにするようで、気に食わなかった。
それに気づいたのか、萃香は慌ててつけたした。
「ああ、別にあんたと敵対しているわけではないから。助けてやったんだよ。」
「助けたって、どういうこと?」
橙は瓢箪の酒の匂いで酔って、倒れてしまったのだ。そこらへんの記憶があるはずがない。
「酒飲んでたら、ひんやりした妖精が瓢箪を取って行ったんだよ。それを追いかけて、取り返そうとしたら、その妖精ごと落っこちちゃったのさ」
落ちただけで屋根をつきやぶることはないだろう、と思いつつ話を聞く。
「落ちた場所があんた、そう橙の家で、橙があたしの瓢箪を持ったまま倒れていたのさ。だから、介抱してやった訳よ。」
「そうなのね、ありがとう。」
萃香が聞いた。
「どうして、猫耳がついてるのさ。」
そう言って、萃香は橙の耳を触った。
「ふにゃぁぁぁ・・・」
橙は思わず、抜けた声を出してしまった。
「ごめんごめん。さっきから動いてて、気になっちゃってて。」
橙は耳を触りながら、自分はもともと化け猫だったこと、藍様に拾われて、式神になったこと、それでもまだ未熟だから、一人前になるため頑張っていることなどを話した。
「そうなんだ。じゃあ、猫耳がついているのも納得だな。」
「藍様は九尾の狐だったらしいよ」
「だった?」
「うん。藍様は紫様の式神なの。」
「紫様・・・ええ!?八雲紫!?」
「そうだよ。わたしは紫様の式の式なの。」
「ひええ、あの最強権力者の近くのものとはねぇ、驚いたよ」
「ふふふ」
藍様とはすでに面識があるらしい。笑った後に、橙は聞いた。
「どうして、幻想郷に鬼がいるの?吸血鬼はいるけど、鬼はいないはずだよ」
萃香は答えた。
「鬼は滅多に姿を現さないだけで、昔からこの地に住んでいたんだよ。あたしの仲間たちは、地獄にいる。」
「ええっ!?」
「語弊があったね。地獄に落とされたわけではなくて、『地獄』という地下の場所に住んでいるだけだよ。まあ、そこには荒くれ妖怪しかいないんだけどね」
どうやら、地上へ出たことには理由がありそうだ。
「ふーん。どうして、一人だけでここにいるの?」
橙は聞いてみた。すると、彼女は意外な返答をよこした。
「宴会をしたかったんだよ」
「宴会?」
「そ。うちら鬼は、酒が大好きなの。でも、亡霊と半霊の企みのせいで、春が短くなっちゃったわけ。春が短くなると、花見の宴会も全然できなくなってしまう。だから、異変を起こしたのさ」
「異変って、この前の?」
「そうだよ」
あっさり解決されちゃったじゃない、と聞くと、その後宴会騒ぎになったからいいんだよ、と答えた。
「私は、お酒が飲めないからなあ。」
「ええっ、もしかして橙って下戸!?」
「ちがうよ、藍様がお酒を飲むのを許してくれないの。一人前じゃないからって」
「ちぇぇぇ、橙とお酒が飲めると思ったのに」
ちょっとがっかりしている萃香を見て、なんか申し訳なかった。
「なんか、ごめん・・・」
「いいのいいの。私だって、チェイサーを飲むこともあるから」
「チェイサー?」
「お水のこと。橙はいつも何を飲んでいるの?」
「お茶と、ミルクだよ。」
「ミルク?えっなにそれは」
「えっとね・・・」
橙は牛から搾る乳を猫は好むというのを紫様が教えてくれたということ、例外なく橙もそれに当てはまること、そしてそれは幻想郷では取引されないらしく、なぜか紫自身が外界からとってきているということ、とても甘い味がすることなどを話した。
「へぇ〜、あたしもずいぶん長い間甘いものなんて飲み食いしてないし、(萃香、手を叩く)そうだ!明日か明後日に、それ持ってきてよ!」
萃香はそのミルクというものに興味を示したらしい。橙も、自分のことをわかってくれたようで、嬉しかった。
続きが楽しみになりました