「はぁ...」
考えても仕方ない、私が弱いわけじゃない。
きっとたまたまなんだ...
「はーるーでーすーよーっ!」
私の周りに、たまたま強い妖精が多いだけなんだ...
「リリーちゃんは凄いなあ...」
毎年この季節になると大妖精の親友、リリーホワイトが春を告げるべく幻想郷中を駆け回る。
その姿に大妖精は同じ妖精として、友達として誇らしく思っていた。
しかし年を重ねる度に、少しずつ違う感情が膨らんでいった。
「んーん、私は私!チルノちゃんのとこにいこう!」
こうして今年も同じ様に春を迎える
そのはずだった...
霧の湖の傍には、春でも夏でも溶けない不思議なかまくらがある。
そのかまくらの中にはリリーホワイトとはまた違う、特別な妖精がいる。
「やっほ。って...」
「お、大ちゃん」
「チルノちゃん、それどうしたの?」
チルノの前には見たことのない石のようなものが置かれていた。
「大ちゃんがいない間にね、大きな地震があったんだよ。周りの妖怪に聞いたら、湖に変なものが落ちてきたんだって」
「それで?」
「あたいがとりにいったんだよ」
「...」
大妖精は心底驚いた。
地震があったとか、変なものが落ちてきたとか、そんなことはどうでもいい。
妖精にとっては怖い存在の妖怪に聞き出して、得体のしれないものを探しに湖に飛び込む。
そんなことを、どうして平気でできるんだろうか。
「...やっぱり凄いね、チルノちゃんは」
「そう?大ちゃんだって凄いじゃん」
「え?」
私が...凄い...?
「一年中あたいのとこに遊びに来てくれるの、大ちゃんだけだよ。他の妖精は寒いのが嫌なんだろうなあ。これでも少しはコントロールできるようになったんだよ。大ちゃんは寒くないの?」
「寒くないわけじゃないけど、気がついたらチルノちゃんの傍にいるような...」
そういえば、チルノちゃんとはいつからこうして会うようになったんだっけ。
もう100年も経った気もするし、まだ10年も経ってない気もする。
「ねえ大ちゃん」
「チルノちゃん?」
「何か...悩みがあるんだろ?」
「な、悩みなんて...」
そうだ。
私に悩みなんてない。
リリーちゃんが注目を浴びたって、チルノちゃんが凄くたって、私は私だ。
そう思ってたのに...
「...何でもお見通しだね、チルノちゃん」
見つめ合う二人の前に、どこからか風で運ばれてきたのか、ひらりひらりと花びらが舞い降りる。
チルノが妖精全員に勝負をふっかけ、そして勝利したのも、桜散るこの季節だった。
凄いよチルノちゃん!
サイキョーだよチルノちゃん!
強過ぎるよチルノちゃん...
私もついていきたいよチルノちゃん...
「ねえチルノちゃん」
「おうよ、大ちゃん」
春⸺
それは始まりの季節
けれど自分が動かなければ、変わらなければ何も始まらない。
きっとチルノちゃんも変わりたくて、ずっと頑張ってたんだね。
だから私も...
「私、チルノちゃんに宣戦布告するね?」
「へ...?」
頭が真っ白になる。
大ちゃんがあたいにイタズラ?
サニー達にでもやらされてるのか?
「だ、大...ちゃん...?」
「大妖精のお友達にも、サニーちゃん達にも、ラルバちゃんやピースちゃんにも負けないもん...」
「...」
「リリーちゃんにも負けないもん...」
チルノはすぐ分かった。
イタズラなんかじゃない、いつもどこか弱気な親友が、正直な気持ちをぶつけてくれているんだ。
そう思うと、胸の奥から何か熱いものがこみ上げてきたのが分かった。
「そっか...絶対負けんなよ?大ちゃん!」
「うん!待っててね、チルノちゃん!」
大妖精はようやく気づいたのだ
チルノのことが好きなだけではない、チルノのように自分もなりたかったのだと。
そして...
「お待たせ、チルノちゃん」
「大ちゃん...」
「えへへ...何とか...皆に勝ったよ...?」
ぽたりぽたりと、血が滴り続けているのがわかる。
片方の羽はもげた。指の感覚も無くなりかけている。立っていられるのが不思議なぐらいだ。
それでも何とか顔を上げて、笑顔を見せる。
「手加減なんてしたら、めっ!だからね?」
「言われなくても...じゃあ、いくぜ!」
サイキョーをめぐる戦いが、今ここに始まる⸺
考えても仕方ない、私が弱いわけじゃない。
きっとたまたまなんだ...
「はーるーでーすーよーっ!」
私の周りに、たまたま強い妖精が多いだけなんだ...
「リリーちゃんは凄いなあ...」
毎年この季節になると大妖精の親友、リリーホワイトが春を告げるべく幻想郷中を駆け回る。
その姿に大妖精は同じ妖精として、友達として誇らしく思っていた。
しかし年を重ねる度に、少しずつ違う感情が膨らんでいった。
「んーん、私は私!チルノちゃんのとこにいこう!」
こうして今年も同じ様に春を迎える
そのはずだった...
霧の湖の傍には、春でも夏でも溶けない不思議なかまくらがある。
そのかまくらの中にはリリーホワイトとはまた違う、特別な妖精がいる。
「やっほ。って...」
「お、大ちゃん」
「チルノちゃん、それどうしたの?」
チルノの前には見たことのない石のようなものが置かれていた。
「大ちゃんがいない間にね、大きな地震があったんだよ。周りの妖怪に聞いたら、湖に変なものが落ちてきたんだって」
「それで?」
「あたいがとりにいったんだよ」
「...」
大妖精は心底驚いた。
地震があったとか、変なものが落ちてきたとか、そんなことはどうでもいい。
妖精にとっては怖い存在の妖怪に聞き出して、得体のしれないものを探しに湖に飛び込む。
そんなことを、どうして平気でできるんだろうか。
「...やっぱり凄いね、チルノちゃんは」
「そう?大ちゃんだって凄いじゃん」
「え?」
私が...凄い...?
「一年中あたいのとこに遊びに来てくれるの、大ちゃんだけだよ。他の妖精は寒いのが嫌なんだろうなあ。これでも少しはコントロールできるようになったんだよ。大ちゃんは寒くないの?」
「寒くないわけじゃないけど、気がついたらチルノちゃんの傍にいるような...」
そういえば、チルノちゃんとはいつからこうして会うようになったんだっけ。
もう100年も経った気もするし、まだ10年も経ってない気もする。
「ねえ大ちゃん」
「チルノちゃん?」
「何か...悩みがあるんだろ?」
「な、悩みなんて...」
そうだ。
私に悩みなんてない。
リリーちゃんが注目を浴びたって、チルノちゃんが凄くたって、私は私だ。
そう思ってたのに...
「...何でもお見通しだね、チルノちゃん」
見つめ合う二人の前に、どこからか風で運ばれてきたのか、ひらりひらりと花びらが舞い降りる。
チルノが妖精全員に勝負をふっかけ、そして勝利したのも、桜散るこの季節だった。
凄いよチルノちゃん!
サイキョーだよチルノちゃん!
強過ぎるよチルノちゃん...
私もついていきたいよチルノちゃん...
「ねえチルノちゃん」
「おうよ、大ちゃん」
春⸺
それは始まりの季節
けれど自分が動かなければ、変わらなければ何も始まらない。
きっとチルノちゃんも変わりたくて、ずっと頑張ってたんだね。
だから私も...
「私、チルノちゃんに宣戦布告するね?」
「へ...?」
頭が真っ白になる。
大ちゃんがあたいにイタズラ?
サニー達にでもやらされてるのか?
「だ、大...ちゃん...?」
「大妖精のお友達にも、サニーちゃん達にも、ラルバちゃんやピースちゃんにも負けないもん...」
「...」
「リリーちゃんにも負けないもん...」
チルノはすぐ分かった。
イタズラなんかじゃない、いつもどこか弱気な親友が、正直な気持ちをぶつけてくれているんだ。
そう思うと、胸の奥から何か熱いものがこみ上げてきたのが分かった。
「そっか...絶対負けんなよ?大ちゃん!」
「うん!待っててね、チルノちゃん!」
大妖精はようやく気づいたのだ
チルノのことが好きなだけではない、チルノのように自分もなりたかったのだと。
そして...
「お待たせ、チルノちゃん」
「大ちゃん...」
「えへへ...何とか...皆に勝ったよ...?」
ぽたりぽたりと、血が滴り続けているのがわかる。
片方の羽はもげた。指の感覚も無くなりかけている。立っていられるのが不思議なぐらいだ。
それでも何とか顔を上げて、笑顔を見せる。
「手加減なんてしたら、めっ!だからね?」
「言われなくても...じゃあ、いくぜ!」
サイキョーをめぐる戦いが、今ここに始まる⸺
このノリでバイオレンスに突き進む大ちゃんがとてもよかったです
本当に大戦争だとは思わないじゃないですか