※パロディです、この話はノンフィクションです、ギャグです、慧音がキモすぎます、超怖いです
「れぇぇぇいむぅぅぅぅぅー」
夜の神社に情け無い声が木霊する
声の主は隙間妖怪、声の先は博麗の巫女
うさんくさい妖怪のでら大きな声は、確実に巫女の耳に届いていなかった
「・・・拡声器用意」
ちなみに音量増大だけではなく、変声機も搭載された至高の一品である
「レイ・ムウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!」
夜の神社に全ての生き物を目覚めさせるような声が木霊する
声の主は拡声器を媒介にした隙間妖怪、声の先は博麗の巫女
だらけ妖怪のでら五月蝿い声は、確実に巫女の耳に届いたはずであった
「はぁはぁ・・・どう? 私のゴッド○イスの威力は!」
「・・・・・・・・・・・・」
返事が無い、ただのさぼり巫女のようだ。
「そんな・・・○イディーンを何十回も見直してついに習得した私の技が・・・無力なんて!?」
大妖の体が床に突っ伏し、その手は何度も畳を叩き、目からは大粒の涙がこぼれた
「霊夢・・・もうあなたに・・・私の声は届かないの・・・?」
顔を上げた先には、何事もなかったの用に布団に包まって
がーがーといびきを上げている巫女の姿が
「・・・届かないのなら・・・ボディランゲージよっ!」
― 萌符 大泥棒三世潜水 ―
「今あなたの心の中へ! アイウォンチュウーー!」
「・・・・・・殺気!?」
プスッ!
「痛いわぁぁぁぁ! 霊夢ぅぅぅぅ!!」
「あ、何? ・・・紫?」
額に針が突き立てられ、寝床中を転げ回る隙間妖怪、そしていたって冷静な巫女
「酷いわ霊夢ー! 私の愛を針なんかで、針なんかでぇ!」
「えー? 聞こえないってば・・・ああ、耳栓付けてたんだっけ」
耳をいじいじし、ぽすんと耳栓を取り出す、よく見るとそれはワインのコルクか?
「あー・・・あー・・・よし、で何なのよ紫?」
「・・・・・・耳栓」
「耳栓?」
「・・・私の必殺技は耳栓なんかに負けたのね・・・」
「あんた私が寝てる間に何やってたのよ」
「傷ついた私の心を癒してぇぇー!!」
ブスブスブスブスブスブス!!
「で、私をこんな夜中に叩き起こして下手な用事だったら只じゃすまないわよ?」
「もうただじゃないわ・・・ゲフッ」
そのまま全身針塗れの隙間妖怪に連れられて、縁側へと出る
「あれよ」
指した先には大きな月
「・・・何も無いじゃない」
巫女がすちゃっと針を構える様子を見て、慌てて隙間妖怪がもう一度月を指した
「よ、よく見なさい」
「・・・・・・あ」
ここで、巫女がようやく歪んだ月に気づく
「満月が盗られたのよ、だからこうやってあなたを起こしにきたってわけ」
「あっそ、頑張ってね・・・」
「ちょっとちょっと霊夢ぅぅぅぅぅ!!」
とっとと布団にもぐって眠りたい巫女に必死にしがみついて止める妖怪
「私は眠いの! しかもドサクサ紛れに胸を触るな!」
「お願いよ霊夢ー! アナータシカタヨレールヒートイナーインデースヨー!」
「カタコト!?」
その後、巫女の下腹部に手を突っ込んでハリマンボンにされたり
涙ながらに式が乱入してきてなんとか命を取り留めたりした
「別に私に行かせなくても、あなた達が直接いけばいいんじゃない?」
真っ暗な夜の神社で、妖怪とその式を縁側に正座させて説教中の巫女
「えーと、その、実はね・・・」
「ああ、もう・・・はっきりしないわね、きちんと言いなさい」
「めんどくさ『夢想封印 極』
「紫様ぁぁぁぁー!」
「私の睡眠を妨害した罪は重いぞ! このゴミ妖怪がっ!」
「待って霊夢! ギブ!ギバーップ! ちゃんとした理由があるのよー!」
必死の制止で、腕拉ぎ十字固めに入っていた巫女が骨が折れる一歩前で動きを止めた
「で、どういう理由かしら?」
「痛い! 痛いわ! 少し腕を緩めて!」
そう言われて少し緩め、尚且つ全体重をいつでもかけられるように体勢を整える
「実はあの月には恐ろしい効果があって・・・・・・あの月の光を浴びたものはなんと・・・」
「なんと・・・?」
「なんと! やる気が無『ボキッ!!』
その後、何かが折れ続ける音と、ミギャアアアとかいう悲鳴が響いたそうな
「つまり、あの月光のせいであなたも行く気が起きないし、私も巫女の仕事をやる気が起きないって事ね」
「後者はともかく、そうなるのよね・・・あいたたた、藍、もうちょっと優しく~」
「無理です」
全身の間接がばらばらの状態で返答する妖怪と、その間接をはめていく式
「私以外はどうなってるのよ、吸血鬼とか亡霊とか」
「やる気の無いぐーたらモードでーす♪」
○月×日 ぐっすり寝ていたら紫に襲われた、襲われた理由を聞きだしたら
なんか無性に気に食わなかったので、首をめきゅぅっ♪ と360度回しておいた
式がとんでもない悲鳴を上げていたけど、紫のことだから多分大丈夫よね、むしろ逝け
「はー、死ぬかと思ったわ~」
「「チッ」」
平然と起き上がる妖怪を見て舌打ちが飛ぶ、重なって聞こえたのは気のせいか
「霊夢ぅ~、あなただけが頼りなのよ~」
「だからしがみつくなー! 今何とかするから待ってなさい!」
「さすが霊夢~!」
そして巫女はいつもの腋出しルックに着替え、ある部屋の前へと立った
その扉にはこう書かれていた、封印の間と・・・
「霊夢、ここは・・・?」
「あなた達ニュージェネレーションズは知らなくていい所よ」
そう答えた巫女の顔が、凄く怖かった、と後に紫は語った
そのまま巫女が扉を勢いよく開け、中へと歩いてゆく
姿が見えなくなってから、約一分後ぐらいに怒声が聞こえてきた
「起きろ! このぐーたら学者が!!」
「ん~・・・? 霊夢・・・? いま論文が上がった所で疲『メキッ』
「よし、確保!」
博麗神社の封印の間
そこには亀やら元祖だぜキャラやら初代ゴーストやら魔界の創始者と住人達やらがごった返している間である
最近、本家傘キャラが、もうすぐ花の咲く時期ね、とか言って出てったらしい
そして巫女がずるずると封印の間から一人の女性を連れて出てきた
「というわけでムーミン、今すぐあれを何とかして」
「夢美よ! なによそのカバの妖精は! というか断るわよ、私だって眠・・・」
途端、ガシッ!という大きな音と共に、巫女が彼女の両肩を掴んだ
「あなたに許される返答は はい か イエス だけよ?」
「拒否権ナッシング!?」
彼女の事を今更ながら説明すると、異世界の物理学者(以下省略
「そもそもね、封印の間の食料だけで一体月にどれぐらいかかってると思ってんの?
私が丸一日かけて調達した(主に裏山と紅魔館から)食料を一週間で食い荒らすし
あなた達が居なければ私は年末年始を食糧難で過ごすこともお茶が――」
「んん!んー!(首が、首がー!)」
会話の内容と共にギリギリギリギリと、夢美の首を絞める力がどんどん強まっていく
「霊夢、それぐらいにしないと死んじゃうわよ?」
「はっ・・・」
紫の一言で何とか正気に戻る巫女、結構なトラウマか
「ぶはっ・・・はー・・・死ぬかと思った・・・」
「ま、早くあんたのお得意の統一なんちゃらで早く何とかしなさい」
そういって巫女が夢美を庭へと押し出し、自分は布団へと潜り込んだ
神社の境内で月夜に照らされるは
左右のおさげ付きの赤い髪、赤い目、赤い服、白い長袖、そして黒いマントを羽織った人間
それと黒光りを放つなーんか微妙に大きな物体
「とにかく、あの偽の月をどうにかすればいいのよね?」
「ええ、そうなんだけど・・・まだ犯人もわかってないのよね、てへっ♪」
「(うさんくさ・・・)まぁ、犯人なんかどうでもいいわ、今消すから」
「・・・え?」
と同時に、黒光りしていた物体がガショーン、ウィーン、ガショーン、ガシャガシャーンと
なんか大きくなったかと思えば小さくもなり形を変えて結局最後には凸型へと変化した
「ZUN大学統一科学技術共同研究センター 岡崎夢美教授製作 星を防衛する軍隊のポジトロンライフル セット」
「・・・なんかよく分からないけど、ものすごい代物のようね」
「照準よし、エネルギーチャージよし、冷却剤よし、カウントダウン・・・必要なし、と」
一方その頃、偽の月の表面では
「あ、そーれ、ひーめーのたーめなーらえーんやこーら」
「「「「「えーんやこーら」」」」」
実はよく見ると大して大きくない偽の月の表面でなんか作業中のウサギ達
「はぁ・・・まったく、姫のわがままってやーよねー」
「いくら偽の月で騙すったって・・・こんなハリボテでいいのかなぁ・・・」
「いいんじゃないの? なんか誰も気づいて無いようだし」
少なくとも、ハリボテだということには本当に誰も気づいて無い
「永琳様特製のペンキの効果ってやつー?」
「あー、それかもね、この前丸被りした兎が月に見えたし」
恐るべし永琳特製ペンキ
と、その時、一人の女性がひょこっとウサギ達の元へと姿を表した
「イナバ達、頑張ってるー?」
「あ、姫様ー、もう少しで全工程が終わりますですー」
「そう、報酬に大量の人参を用意させてあるから、みんな頑張ってねー」
「了解ですー、皆、頑張るじぇー(棒読み」
「「「「「オー!!」」」」」
そして、偽の月を巨大な光線が貫いた――。
「師匠・・・師匠ー」
「静かに、今大事なところなのよ」
月兎の声の先には、研究室と思われる場所で、ビーカーをじーっと見つめる一人の薬師
「・・・ししょぉぉぉ・・・」
「なによその心の底から怖いものを見た時にひねり出すような声・・・」
○月×日 大事な薬の精製中、ふと弟子が呼ぶので振り返ると
なにやら大量の肉塊が大事な弟子に纏わり付いていた
だけどそれよりも、泣きそうな弟子の顔(ここから先は血に塗れていて読めない・・・)
「ししょぉぉ・・・鼻血でてますよぉぉぉ」
「あらら・・・こんな時は鼻血止めの薬を」
「師匠、それは増血剤・・・・・・あ」
○月×日 偽の月を見上げていたら、なぜか大爆発して大量の肉塊が振ってきた
くっついた肉塊が取れないので、師匠に何とかしてもらおうと思ったら
なんか薬を間違えて部屋中赤(ここから先は――)
「で、師匠ぉぉ・・・これなんとかしてくれませんか」
「あー、はいはい、今取って上げるわ」
真っ赤に染まった部屋の中、肉塊を千切っては投げ、もぎ取っては投げ
ある意味、つか普通に恐ろしい光景を繰り広げる弟子と師匠
『・・・・・・りん』
「師匠? 今なんか言いましたか?」
『・・・す・・・えー・・・』
「え? 私は何も喋・・・・・・」
『たす・・・ーりん・・・』
「師匠、今、姫の声がしたような気がするんですけど」
「ええ、私の耳がおかしくなければこの肉塊から・・・まさかね」
『たすけてえーりんー』
― 医学 熱湯消毒 ―
『「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!」』
「・・・・・・ふぅ、これで大丈夫よウドンゲ」
「大丈夫な・・・わけ・・・無いでしょう・・・(ヒリヒリ」
『ひどい・・・わえーりん・・・(ヒリヒリ」
― 医学 薬品消毒 ―
『「しみるううううううううううううううううううう!!!」』
しばし、地獄絵図
「えー、では、この箱の中に集めた肉塊を詰め込みます、そして布をかぶせて、三秒数えると・・・」
「アイシャルリターン!」
「なんと、中から姫が現れました」
台詞をまったくの棒読みで種無し手品をご披露する薬師
ちょっと再生が早すぎますが、それは永琳特製の薬のおかげという事で
「師匠、一つだけ・・・いいですか?」
箱の中からよいしょと出てきた姫を見て、弟子が恐る恐る手を上げた
「どうしたの?」
「姫・・・小さくないですか?」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
「破片が足りないみたいね、テヘッ☆」
手のひらを頭に乗せてポーズを決める姫は、まさに女子中学生だった
「姫、笑い事ではありません」
「いいのよ、このおにゃのこ化した私なら、もこたんのハートも・・・」
「姫、後ろを見てください」
「後ろ?」
薬師に言われて向いた先には、ベレー帽を被り、いつもよりさらに目を紅くギラギラさせている月兎が
「・・・クックック・・・・・・新人教育っ!(キュピーン)」
「い、イナバ!? 私は軍人じゃないわよ!?」
「新人教育とは懐かしいですね、ウサーギ軍経験者なら誰もが一度は通る道でした・・・」
どこか遠い所を見つめながら、過去を懐かしむように呟く薬師
「どこを見てるの永琳!? ちょっと待っ・・・・・・助けてえーーりーーーーーーーん!!」
「姫、頑張ってください、この苦難さえ乗り越えればあなたもニートを脱却できます!」
ウワァァァァァァァァァァァァァン・・・・・・
― 極東永夜生
月や狐ん狐ん 兎や狐ん狐ん 年増っ・・・(以下略 ―
「月を隠した奴デストロォォイ!!」
「いだだだだだだだ! 月を何とかしろって言ったのはあだだだだだだだだ!!」
変な前フリの後、神社では突如目から怪しい光を発した霊夢がどっかの教授に関節技を極めていた
「キサムァクァァァ! キサムァガツキヲオオオオオオ!!」
「うわぁぁぁ! 落ち着け霊夢ー!! ぎぃぇあああああ!」
それだけにとどまらずに教授が気絶したのを確認すると、どこかの式にまで襲い掛かる有様だ
「オンドゥルルラギッタンディスカー!?」
「そ、そのネタは古おぎゅっ・・・」
式が最後に残したのは、何かひねり出したような悲鳴だった
「つまりね、解説すると」
「た、助けて魔理『メキャッ』
「今まで月によってやる気が抑え続けられてたんだけど」
「あ~・・・なんか騒がしいぜって、うわ『ゴキッ』
「月が壊された事によってやる気が戻るどころか」
「い・・・いやっ・・・アリs『グキュッ』
「抑えられてた分まで爆発したのよ」
「か、亀である私にまで技をかけ『メメタァッ』
「さいですか・・・」
全身の間接があらぬ方向に曲がった死にかけの式に治療を施す主
その後ろの神社の中からは、今もなお悲鳴と骨がねじ折れたような謎の音が響く
多分、これからも封印の間は永久に封印され続けるのだろう
「紫、藍、準備運動は終わったわ、行くわよ」
コキコキと肩をならしながら、博麗の巫女が二人の妖怪を携えて、夜の空へと舞い上がる
渋々とついていく二人であったが、ふと紫があることを思い出した
「(巫女とサブミッションの境界弄くったままだったわ・・・)」
「(もはや何でも有りですか?)」
◇ ◇ ◇
月夜(今、月は無いのだが)が照らす夜の空に、ぽつりと一箇所、光り輝く場所があった
それはよく見ると蛍の群れ、光る蛍達は様々な隊形を作り、夜空に綺麗な文様を作り上げ
「よーし! 呼吸ぴったり乱れ無し! これなら今度の大会も・・・!」
「・・・・・・ァァットレディスクランボゥッ!!」
突如マッハで飛来した紅い光と共に散った
Stage 1
蛍火は行方不明
「ちぃ! こいつも犯人じゃない!」
突如月が破壊された事に激怒し、異変を解決せんと飛び出した夜の王は
超高高度落下型不意打式蝙蝠嬢緊急発進をほとんど無差別に放ちながら文句を言うとはまさに暴虐
「お嬢様、次の獲物が見つかりました、東の方角、距離およそ2700米、移動速度40km」
その後ろでは、何故かスナイパーライフルを構え、そのスコープで目標を探しているメイド長の姿が
「咲夜、今夜は百人抜きを目指すわよ」
そう言い放ち蝙蝠嬢が再度上空へと飛び上がる、実に迷惑だ
ちなみに最初にターゲットにされたのは、月見帰りの妖精と氷精だったとか
「さぁって! 今日もしゃきしゃき異変を解決するわよ!」
弾幕を打ちながら空中で捻ったり三回転したりとんぼ捻りしたりと、やけに調子の良さそうな巫女
「(紫様、あんなに張り切っている巫女は今まで見た事がありません)」
「(歴代の巫女の中でも見た事無いわね・・・レアよレア、ビデオで取っておきなさい)」
「(はぁ・・・ゴソゴソ、パッ、ジー・・・)」
「あんたたち! そんな後ろで喋ってる暇があったら雑魚の一『スクランブゥッ!!』
「・・・・・・紫様、吸血鬼が巫女にマッハで突っ込むという衝撃映像が取れました」
「よくやったわ藍、これで大賞はいただきよ」
「・・・こいつも犯人じゃない」
地面を豪快に抉ったクレーターの真ん中に一人佇む夜の王、だがその時、ふと足元に違和感が
「これは・・・身代わり?!」
足元のそれを凝視すると、ボロボロに破れたヒトガタが一枚
「私に不意打ちだなんて、百年早いわよ」
「その声はっ!?」
― 博麗流御祓棒術 裏奥義 ―
「御祓い棒キーック!!」
「うぼぁっ!?」
巫女のスラッシュキックが見事に吸血鬼の鳩尾をえぐる
完全なスピードと威力で叩き込まれたその蹴りは
妖怪の中でもトップクラスに打たれ強い吸血鬼ですら
その場に伏させるほどの破壊力を持っていた
「・・・と、というか・・・棒・・・ゲホッ・・・使ってな『御祓い棒踵落とし!!』
「お許しください霊夢様、わざとではないのです、ただ落下中に対象を判別している余裕が無かったのです・・・」
夜に夜の王が一介の巫女の前に土下座し、許しを懇願中
例の件以降(極東紅魔狂参照)巫女に色々と弱みを握られ、もはや霊夢の奴隷といっても過言ではない
もはやその目から流れている涙はスカーレット色である
「(よく見ておきなさい藍、あれが紅い悪魔と呼ばれ恐れられた悪魔の成れの果てよ)」
「(普段の紫様とたいして変わうぼぁっ)」
「ま、いいわ、こっちも急いでるし、食料三か月分で許してあげる」
「仕留めれたと思ったのに、運のいい奴め・・・(ありがとうございます、霊夢様)」
「・・・へぇー」
キュピーンと巫女の眼力が鋭くなり、光り始める
「え?・・・ああっ!?」
急いで自分の口を塞ぐレミリア、だがもう何もかもが遅すぎた
その後ろでは、何故かメイドが何か拷問器具をどこからか取り出したりもしていた
「本音と建前の境界を弄くってみました~、てへっ(はぁと」
「そこの年増ぁぁ!!」
紫を煽ってさらにドツボにはまった吸血鬼は、約小一時間ほど大変な目にあったらしい。
◇ ◇ ◇
「るら~♪」
暗闇の夜道を一匹の夜雀が歩く
「じゅるり・・・」
暗闇の夜道を一人の亡霊が浮き進む
「るららー♪」
暗闇の夜道を一匹の夜雀が走る
「ごくり・・・」
暗闇の夜道を一人の亡霊が飛ぶ
「るらららー!」
暗闇の夜道を一匹の・・・
暗闇の夜道で一人の亡霊が満足そうに浮き進む
Stage 2
夜雀の消えた腹
「今度はあっちからいい臭いがするわ~」
「幽々子様・・・月を消した犯人を捜してたんじゃなかったんですか?」
「お腹が減っては戦は出来ぬ、よ」
「・・・はぁ(いつもお腹空かせてるじゃないですか)」
ふよふよふよと二人共に漂いながら、いつものやりとりがいつものように
そして二人も惹かれるように巫女達の下へと集まるのであった
「あうあぁぁ・・・にんにくいやぁ・・・にんにく怖ぃ・・・ひっぐ・・・ぐすん」
空を飛ぶ巫女と年増と式とメイド、その一番後ろを力無く飛ぶ吸血鬼
吸血鬼の体からはにんにくの臭いが満遍なく放たれ、一度湖で強制洗浄されてもまだきついものがあった
「こっちよこっち! こっちからにんにく和えの蝙蝠の臭いがするわ!」
「待ってください幽々子様ー!」
夜の空を一直線に突き進む幽々子、次第にその目が紫色に光り、その口が頬まで裂ける
それはもはや亡霊ではなく、ただひたすらに大食い道を極めた達人の姿だった
目標まで1000米、100米、10米、速く、より速く、ただ目の前のものを食す為に
「イーーーーティイイイイイング!!」
「うぇ・・・?」
もしレミリアが普段通りの彼女であれば、ソレは避ける事が出来たかもしれない
だが、霊夢と紫のにんにくパラダイスによって体力も気力も奪われていたレミリアにとって
間違いなく現時点で幻想郷最速の速度で飛来する亡霊の攻撃を、いや、口撃を避ける事は
春の宴会恒例、八雲ゆかりんの二十四時間耐久・深弾幕結界をクリアするよりも難しかった
「はぁ、やっぱり蝙蝠はにんにくに漬け込んだものが一番よねぇ・・・」
「ひっぐ・・・ぐすん・・・怖かったよ・・・怖かったよぅ・・・」
満足そうにお腹を抱える亡霊と、メイドに抱きついて泣きじゃくる吸血鬼
幽々子に食われた後、なんとか紫の手によって隙間経由で助け出されたものの
彼女を引っ張り出した時、残っていたのは右腕の肘から先だけだったとか
◇ ◇ ◇
「あっ・・・! ・・・はぁはぁ・・・慧音ぇ・・・もう・・・限界・・・」
「何を言っているんだもこたん、夜はこれからだぞ・・・ふふっ!」
(じ~・・・)
「ああん! も・・・もう無理だよぉ・・・」
「ふふふ、まだまだだぞ、もこた・・・」
(じ~・・・・・・・・・)
ふと、窓から覗き見てた巫女達と慧音の目が合った
「お、お前達・・・そこで何をしている?」
Stage 3
歴史喰いの寝床
月の無い夜空を全速力で乙女達が駆けてゆく
「はぁ~、久々にいい目の保養になったわ」
「そうねぇ、でもあれじゃまだまだよ、相手に抵抗されずに骨抜きにしなくちゃ、ね、藍」
「・・・・・・(ぽっ」
つやつやてかてかしている巫女と、手の動きが怪しい妖怪&頬を赤らめている式
「咲夜ぁ・・・」
「・・・・・・わかっております」
何故か上目使いの吸血鬼とこちらも頬を赤らめてうなずくメイド
「妖夢ぅ~」
「どうかしましたか?」
便乗してみたものの、若すぎて何も分からない従者と少し落ち込む主
「貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
そして月がなくなっているのに変身して追いかけてくるワーハクタクの姿もあった
「貴様らの全ての歴史を幻想郷から抹消してやる!!」
「もう・・・いい加減しつこいわよ!」
― 博麗流御祓棒術 秘奥義 ―
「御祓い棒スパーク!!」
『(一同)インスパイア!?』
他の人間妖怪問わずに全員からツッコミを受けつつも
御祓い棒からまったく関係ない所から放たれた極太のレーザーが慧音へと襲い掛かる
しかし慧音は向かってくる光の塊に一切進路を変えることなく、霊夢へと突撃してゆく
「そんなもので私を止められるかっ! 来いっ!」
左腕を突き出し、何かを呼ぶ、それは高速で飛来し今まさに光に飲み込まれんとする慧音の元へ
「SPEAR・THE・BEAST!!」
「け、獣の槍っ!?」
巫女が驚くのも束の間、放たれた閃光が槍によって真っ二つに裂かれた
「行くぞ○リョウ! 全ての覗き魔をこの世から滅するんだ!!」
「なんであんたがそんなもん持ってんのよ!!」
「お嬢様! 私は明日の仕事に差支えが出ますのでこの辺で!」
「咲夜ぁ!? また私を見捨てるというのっ!?」
「妖夢ー! あなたの剣でなんとかしなさーい!!」
「無理ですっ! 武器の格が二桁は違いますっ! わぁぁぁぁ!!」
「藍! あなた獣の槍を壊す専門家でしょう!? 何とかしてー!」
「何を言っているのか理解できませんね紫様ー!!」
「慧音ー! あんたの背中は私が守ぐはっ」
その後約小一時間に渡り、人里の上で助けてジェ○イとか色々怒号と悲鳴が木霊した
「二人で最強、それがあやつら・・・」
その時どこかの温泉で、半人半霊の老人がふとそんな事を呟いたとか
◇ ◇ ◇
「魔理沙~」
「うふふふ・・・魔理沙・・・」
「魔理沙っ! 魔理沙っ!」
「・・・・・・だから、いい加減私から離れてくれ」
闇夜に包まれた竹林の中、ふらふらと奇妙な物体が竹の隙間をぬって飛んでいた
それはよく見ると、箒に跨った魔法使いとそれにしがみついている三人の女性の姿
「アリス、パチュリー、フラン、頼むから離れてくれって・・・」
魔理沙も月を吹っ飛ばした犯人をひっ捕まえに出てきたのだが
なぜか家を出た直後にアリスに捕まり、湖を通った直後にパチェとフランに捕まってしまった
「魔理沙ー・・・」
「ふ・・・! 魔理沙・・・」
「魔理沙ー!」
ちなみに引っ付いてる三人は何とかして他の二人を互いに引き離そうと
ほっぺを引っ張ったりネッククローをかけたりと箒の上で彼此三時間ぶっ続けでバトル中である
「(た、助けてくれ霊夢~・・・)」
Stage 4 EXTRA?
伝説の獣の槍
「うう~・・・・・・」
周りの三人がまだ取っ組み合ってる中で一人困惑した表情を浮かべる魔法使い
ふとその時、彼女の視界の先に紅白のようなものが映った
「ん? ・・・・・・れ、霊夢ー! 助けに来・・・」
その視界に移った紅白は間違いなく巫女であったが
何故か魔理沙に一瞥もくれることなく、すぐ横を通り抜けて竹林の奥へと消え去った
「れ、霊夢? 私を無視するなんて酷いぜ・・・って、あれ? 咲夜? 妖夢まで・・・?」
何が何だか分からない彼女の横を、メイドやら庭師やらが通り抜けていく
一つ気づいた事があるとすれば、彼女達の表情が必死の形相だったということだ
「一体何なんだ?」
ふと箒の向きを180度変えて後ろを向く、途端にとてつもないものが目に入った
大きく飛び出た角に、大きく見開かれた目、身長の二倍はあろうかという長く伸びた髪
口からは牙が飛び出し、その両手には槍が握られていた、まさしくそれは妖怪だった
なお、その槍には血と思しき物が付着していたが、多分吸血鬼とか亡霊とか隙間とかのものだろう
「白○の者めぇぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
妖怪(恐らく慧音)が一瞬で魔理沙との距離をつめ、槍を振りかぶる
あまりの唐突な出来事と自分の身を襲った恐怖に、彼女にとっさにある行動をとった
ガシッ!
「アリスブローック!!」
「え?」
ザシュゥッ!
そしてほんの数秒、沈黙が場を支配した
「・・・・・・・・・・・・」
顔を横に出来る限り背け、目を瞑りながら、盾代わりに突き出したアリスの頭をゆっくりと離す
右手と左手、各々の手からアリスの頭の感触が無くなる時間差を感じたり
どう考えても、ずるっ、とか、ねちょっ、とかいう音とか、何かが二つほど地に落ちる音がしたが
彼女は、魔理沙は、それに気づかない振りをした、そしてその手は微かに震えていた
「ま、ままま魔理沙ささ・・・ああああ、ありアリスががが・・・」
「あはははは・・・・・・アリスが縦に真「私は何も知らないーっ!!」
フランの言葉を遮るように魔法使いは叫び、霊夢達が逃げた方向へと全速力で消え去る
「ちょ、ちょっと、魔理沙ー!?」
「置いてかないでよー!」
置いていかれた二人も後を追おうとする、だが突如体が強張り、その場から動けなくなった
「まま、魔理沙~」
「お、置いてかない・・・で・・・」
背後からの強烈な殺気が彼女達の行動を縛り、その場に押しとどめいたのだ
「次の獲物は貴様等だ・・・」
そして彼女達のすぐ後ろで、槍が振り上げられたような音が流れた
深い深い竹林に、二人のか弱き?女性の悲鳴が響く
極東にようやく出てきた二人は、そのために悲惨な結末を迎えたのだった
◇ ◇ ◇
「偵察隊によれば、すでに複数の敵対勢力と見られる者達がここに向かってきている」
永遠亭の廊下に、はっきりとした声が響く
「例の物のチェックを怠るな! では配置につけ!」
『サー! イエッサー!』
左手を振り、号令をかけるのは、紅いベレー帽を被りし月兎
「れ、鈴仙ー・・・私はそろそろ帰っていいかしら・・・」
その後ろには、軍服姿でやや背が低くなっている輝夜の姿もあった
ちなみにその帽子には、新米、と書かれていた
「馬鹿者がぁっ!! 貴様は私と共に最前線で戦うのだ! 狼は戦場でしか生まれぬ!」
「ひぃぃ! だから私は軍人じゃな『黙れっ!』へぶわっ!」
全力で現状を否定するニートに全力で極められるアッパーカット
直撃を受けたニートはきゅるきゅるきゅるときりもみ回転しながら天井へ突き刺さった
「貴様が軍人だろうが民間人だろうがやるべき事は一つ、敵を打ち倒し勝利する・・・それだけだ!」
「(な、納得いかない・・・)」
「さぁいざゆかん! 血と硝煙と火薬の臭いが充満する戦場へ!」
「た、助けてえぇりぃ~ん・・・(ズルズルズルズル・・・」
Stage 5
穢き極東の美しき檻
「うわあああああああああああ!!」
「魔理沙!?」
後方から絶叫と共に、黒い魔法使いがようやく巫女へと追いついた
「れ、霊夢ー! どうしよう! どうしようー!」
「一体どうしたのよ魔理沙、何がなんだかわからないわ」
いきなり抱きついてきてどうしようとわめき散らす魔法使いに困惑する巫女
「グスン・・・私のせいで・・・私は、私が・・・私がー!」
「まさか・・・魔理沙、あなた・・・」
その魔理沙の姿を見て、霊夢は全てを察した
「霊夢ぅぅ~・・・ヒック、グスン」
「魔理沙・・・・・・」
そして霊夢は魔理沙をがっしりと抱きしめ、耳元でこうささやいた
「・・・あなたも、ついに一人前になれたのね」
魔理沙 ハートブレイク!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
号泣しながら霊夢を突き飛ばし、遠い遠い彼方へと飛んでゆく黒き魔法使い
それを呆然と見つめる巫女は、ふと呟いた
「・・・慰め方、間違えたかしら?」
そして後方遠くから迫り来るケモケーネ(獣の槍搭載型慧音)から逃げつつも
魔理沙の後を追い、竹林の奥深くにたたずむ大きな屋敷へと進むのだった
「レーダーに敵影確認! その数およそ4!」
「よし、永遠亭防衛隊、例の配置につけ! 奴らを全員捕獲するぞ!」
鈴仙の号令で広い廊下に、扇状に部隊が展開される
その全ての兵士達は、なにやら機械のような物を、来る侵入者へと構えていた
「ターゲット、距離500、400、300・・・」
「まだだ、焦るな・・・ギリギリまで惹きつけるんだ・・・」
「200、150、100・・・」
「今だ! キル○アン振動機スイッチオン!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーん!」
パキョーン!
「中央結界突破されましたっ!」
「そげなあっさりと!?」
「待ちなさい魔理沙ー! って邪魔よ!」
ペキーン!
「中央結界粉砕されましたっ!」
「うそーん!?」
そしてメイドと庭師までもが通り抜けた後
現実がよく理解できずにキルリ○ン振動機を構えたまま呆然とするウサーギ軍
「・・・・・・物理法則の違いか?」
「鈴仙、私もう引き篭ってもいいかしら?」
大真面目に考えながらただ立ち尽くすのみの指揮官と、もうどうでもよくなった新兵
だが指揮官の目の火はまだ消えてはいなかった
まだ帰るわけにはいかない、何か一つでも戦果を上げなければ
・・・それが軍人と言わんばかりに
「鈴仙様! 新たなる侵入者を確認、その数一人!」
「なんだと! 今度こそ汚名挽回の好機! 総員、侵入者に対して一斉攻撃をかけるぞ!」
「イナバ、そこは挽回じゃなくて返『黙れっ!』ふぇぶわっ!」
「敵機、高速で接近中・・・もうすぐ有視界内に入ります」
「・・・各自、一斉砲撃の用意、視界内に捉えたと同時に弾幕の壁で押しつぶせ!」
上官の命により、各兎の顔に緊張が走る、その手にこめられるは色とりどりの妖力
そしてついに鈴仙の目が侵入者を捕らえた
「一斉攻撃、放――」
「ギィィィヤァァオオオオオオウウウウ!!」
叫びとも呻き声とも思える声が永遠亭の廊下を支配する
その声が耳に届き、その声の主である槍を持った化け物を見たウサギ達は、皆こう思った
まだ、兎狩りで追われていた時の方がマシだったと
◇ ◇ ◇
「・・・・・・りぃ~・・・ん・・・」
「あら?」
微かに、極わずかに耳に届く姫の声
彼女達をつなぐ鉄の絆、それを証明する距離と空間を無視した救難信号
「どうしたの永琳?」
「また姫が助けを呼んでるわ、ちょっと行ってくるから、そのまま待ってて」
「了解ウサ!」
てゐに後を任せ、宇宙を思わせる通路を通り、廊下へと戻ってゆく永琳
やはり真のラスボスという物は、それなりの奇抜な服装である事が大事なのだ
Final Stage
姫のいない夜空の珠
「はぁ~、少し通路を長くしすぎたかしら」
永琳はふてくされた顔をしながら、ようやく辿り着いたふすまをスパっと開けた
「うわーーーん!!」
「へ!?」
その状況を簡潔に解説すると、こうだ
まず、魔理沙の愛用の箒の先端で鳩尾に一撃
その一撃で前かがみになった所を、顔面にヘッドバッド
最後に遅れてきた衝撃波と魔力波でトドメ
合計 一万ダメージ
ついでに魔理沙の脳天にも2500ダメージ
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「うぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・」
空中で痛みにもだえる薬師と魔法使い
その薬師にいたっては、顔と腹を押さえながら今来た通路へと吹き飛ばされてゆく
「ああもう! 何そんなところで止まってるのよ、早く逃げるわよ!」
後から追いついてきた霊夢が魔理沙を引きずりながら通路へと入る
「後はここを塞げばしばらくは凌げる筈・・・!」
メイドと庭師が通路に入ってきたのを確認すると、ふすまを閉じ
未完成の結界を完成させて通路と永遠亭を遮断した
これで勘を信じるか、当たり構わず撃ちにいくか、横道にそれるかしないと通路へはこれない
長い長い幻想的な通路を抜け、目に映るは真の月と星の海
「綺麗な満月ね・・・」
巫女の目が、淡い光りを発する星へと釘付けになる
そして、荘厳にして華麗な月を背に、赤と黒が映える、一人の女性が浮かぶ
対峙する一人と四人、そして薬師が口を開いた
「そう、この月こそが真の月、私の術で――」
「魔理沙、さっきは私が悪かったわ、だから、元気を出して」
「ん? ああ、私はもう大丈夫だぜ」
「魔理沙、私は霊夢じゃないわよ」
「どう見ても大丈夫そうには見えませんね」
「つまりこの術は地上を密室に――」
「それよりも、先にあの化け物をどうするか考えないといけないわね」
「化け物? 何のことを言ってるんだ?」
「魔理沙、現実逃避はやめなさい」
「・・・あれ? 確か別の目的で来てたような気がするんですが・・・」
「月に旗を立てたり、だから地上の人間は――」
「幽々子お嬢様、ご無事だといいんですけど・・・」
「大丈夫よ、あいつらああ見えてタフだもの」
「でも獣の槍は予想外ね、やっぱりあのお店から流れたのかしらね?」
「あーあー、私は何も聞こえないぜー」
「あと、夜を止めていたのは貴方達でしょう? ・・・って、聞いてた?」
「聞いてたわよ、幻想郷を作り直し、支配するって所まで」
「ならいいわ、あなた達を倒して悲願を成就してみせる!」
『(一同)本当に言ってたのか!?』
彼女らのツッコミを無視しながら、弓を構える薬師
「さぁ、まずは誰から?」
その構えからあふれ出る気迫、威圧感、オーラ、カリスマ、どれをとってもラスボスにふさわしい
― 霊符 夢想妙珠 ―
― 恋符 マスタースパーク ―
― 幻符 殺人ドール ―
― 人符 現世斬 ―
「ギャース!!」
まるで宇宙空間を消し飛ばすように高密度のスペルカードが4倍増で展開された
無論それを避ける事などかなわず、ぼろ雑巾にように吹き飛ばされる永琳
「ちょ、ちょっと・・・四対一はさすがに卑怯・・・」
「卑怯? 勝てばいいんですよ勝てば! それが戦いです!」
呻く永琳にきっつい一言を食らわせる妖夢
正々堂々とした気迫に満ち溢れていたあの頃の彼女はどこへ消えたのか
「て、てゐー! プリーズヘルプミー!」
天才ゆえに一瞬で勝ち目が無いと判断したのか、永琳は姫ばりに助けを呼んだ
し~ん・・・
と、誰にも聞こえないはずの音が宇宙空間に響いた気がした
「援軍は来ないみたいね」
「ひっ!?」
「さて、私のトラウマを増やしてくれた責任を取ってもらおうか」
「ひぃぃ!?」
「私と美鈴のあま~い夜を邪魔してくれた責任もね・・・」
「ゆ・・・許して・・・」
「豊乳には・・・死、あるのみ!」
「嫌・・・嫌・・・」
そして月の薬師の姿は四人の影へと消えた
これは掟、昔から変えられぬ宿命、強固にして絶対なる律
最後の幻想しかり、竜の探索しかり・・・
ラスボスは正義の一行にリンチに合うという絶対にして過酷なる現実
そうして幻想郷にいつもの月が戻る事となった
だが、今宵の事件は幻想郷の歴史にも記憶にも残る事は無い、何故なら・・・
「ギャァァァォォォォォォス!!」
「おお?! あいつが来たぞ!!」
「まさかこっちに来るなんて・・・早く逃げるわよ!」
「逃がさない・・・わよ・・・蓬莱人の意地にかけて・・・共に死にましょう・・・ウフフヒヒヒャハハハハハハハ・・・」
「ゾ、ゾンビ!? は、離して! 助けて幽々子様ー!!」
「槍に刺された兎が一羽・・・兎が二羽・・・人が一匹・・・お嬢様は一羽かしら?」
「ヒヒャハハ・・・てゐもうどんげも来たのね・・・アヒャハハハハゴフッ・・・」
後日、どっかのハクタクに涙ながらに全部無かったことにされたからだった
終劇
キャラがいい具合に壊れています。
それはともかく、「邪を裂き鬼を突く」獣の槍。鬼すら楽勝で屠れるこの武器なら、確かに楼観剣よりランクが二桁違うかもしれません。萃香も鬼だし。
>二人で最強。それがあやつら。
二人? え、妹紅・・・?
>ラスボスにカリスマ性が無い
最近はレミリアのカリスマも急下降中ですけどね。
と、と○は何処に行ったとですか!?!?
妖夢タンだけ名実ともに半人前にされるかもしれませんが