Coolier - 新生・東方創想話

雪月紫恋章

2006/02/13 21:29:03
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「男にとって愛は生活の一部だが、女にとって愛はその全部である」

 ジョージ・ゴードン・バイロン





<1> 

風が冷たくなり、1年の終わりを間近に迫ってきた秋が終わり、幻想郷は本格的に冬の季節を迎えていた。
元来、日本国の東北地方のとある地域がそのまま隔離されて出来たもうひとつの世界は、春夏秋冬を楽しむ事が可能な土地であった。
春は桜が舞い散る季節となり、夏は太陽が一番元気な季節となり、秋は冬支度を行う季節となり、冬は新年を迎える季節となる。

日本は四季を(本格的に)味わう事が出来ると言われている。
それは、日本人の希望的観測かもしれないが、あながち間違いではないかもしれない。
その事には様々な理由があるが、少なくとも日本人として生まれたのであれば、無意識の内にそう感じてしまうであろう。
すなわち、春は桜、夏は泳ぐ、秋は紅葉を楽しみ、冬は雪で遊ぶ。

こうした日本人的春夏秋冬感は、例え大戦争が起ころうが大自然災害が起ころうが変化する事は無い。
何故ならば、日本人は古来から春夏秋冬を嬉々として楽しみ、短歌や俳句として後世に遺してきたからだ。

幻想郷は、元を辿れば日本である。
外国圏の文化に親しんだ様々な妖怪が住み着くようになるほど国際的インターナショナルな世界であるが、彼女達も春夏秋冬を楽しんでいた。
『郷に行っては郷に従え』という諺はこのためにあるのだろうか。なるほど彼女達は幻想郷の自然環境に溶け込んでいた。

魔法の森の入口付近に、香霖堂なる古道具屋を構えている森近霖之助もそのひとりであった。
彼は祖先を辿れば日本人(霖之助は人妖であるが)で、彼も日本人的春夏秋冬感を持っていた。
すなわち、冬は雪で遊ぶのが普通だと思っていた。流石に、現在は外に出て雪で遊ぶような事はしなくなったが。
それでも冬は否応無しにやってくる。1年を通しで生きていれば、春夏秋冬は時間の流れと共に現れるからだ。

「………ん、寝てしまっていたか」

森近霖之助は目を覚ました。
正確には、椅子に座っており、毛布を前に掛けていると言うべきか。
布団から移動して、普通に起きて新聞を取り、暖を取って、まだ眠いなと思って現在に至る。
彼は数十分前にやった動作を思い起こした。

しかし、暖を取る行動を忘れなくて良かった。そうでもしないと凍え死んでしまう。
少なくともロクな文明レヴェルに達していないこの辺境の地では、冬を乗り切るのはある意味地獄巡りと言っても良い。
下手をすれば最低気温がマイナス15℃に達するのではないかと霖之助は思った事があった。
この場合、まだ『マシな方』であるが。

だが、ここは違う。
何故ならば、香霖堂は冷暖房完備であるからだ。夏は涼しく、冬は暖かい。まさに理想郷である。
博麗神社は冬こそは暖かくできるだろうが、夏を涼しくする事は魔法でも使わなければそうはならない。
あの霧雨魔理沙ですら、夏は暑くて死にそうと言っているくらいだが。
おいおい、お前はミニ八卦炉をどういうふうに使っているんだよ。

それでもまあ、一応『暖かい』と感じているのだから自分は幸せな方であろう。
朝から暖房をフル稼働させているものの、シベリアや樺太サハリンにいるわけではない。
シベリアの何処かでは、マイナス66℃というおよそ自分では考えられない寒さを計測すると、外の世界に詳しい妖怪が言っていたっけ。
そんな所、そもそも人間の住む場所ではない。
毎年約1万人の凍死者を出していると聴いたが、それは本当なのだろうか。本当だったら背筋が凍る。
いくら『黒幕』を名乗るあの冬の妖怪でも、そこまでの寒さは叩き出せるのかと、別にどうでも良い事を考えていた。

しかし、自分は商売人(時々、商売をしている事すら忘れる事が数回あったが)である。
売っている物を買ってくれる人がいる以上、仕事はしないといけない。
ただでさえ赤字続き(別に気にしてはいないが)なので、本腰入れてやらなきゃなと霖之助は思った。

彼は店内としている空間スペースのカーテンを開ける。
冬といっても今日は朝から雪が降っているわけでは無かった。天候は晴れていて、今日1日は晴れが続きそうだ。
外を見れば見事に一面の銀世界だった。雪は何十センチも積もっているだろう。歩く事さえも困難かもしれない。
それでも店番はしなければならない。まあ、基本的に外に出なくて良いかと思うが、外に出なくてはならなかった。

理由は氷柱ツララを砕かなければならないし、積もった雪を屋根から下ろさなければならないからだ。

雪下ろしは当たり前の事で、それをしないと重みで屋根が破壊されてしまう。
そして、屋根に積もった雪が落ちるときに、氷柱が雪の落下時の運動エネルギーを借りて窓ガラスを直撃する事がある。
そういう二重の危険があるので、雪下ろしは早めにしなければならないのだ。

雪というのはある意味危険である。
これもまた、外の世界に詳しい妖怪から聴いた話なのだが、日本の中部地方で局地的に雪が降り続いた事があったそうだ。
予想以上に降った雪は、建築技術では最高水準を誇る日本人が建てた家を嘲笑うかのように壊していった。
時に素晴らしい恩恵おんけいを与えてくれる雪は、時として人間に恐怖を与える。
まさに『哀しい哉』だ。

まあ、こんな事は1年を暮らしていれば毎年やってくるのだし、それに毎年やっている事である。
こんな早朝に店にやってくる者なんて本当に稀有な存在なので、今のうちに氷柱砕きと雪下ろしをやっておこう。
そういえば、4月になっても5月になっても雪が降っていた時は、流石に驚いたけれど。



霖之助は玄関のドアを開けて外に出た。
マフラーをし、ジャケットを着込んでいる所を除けば、彼はいつもの服装をしていた。
軍手を装着し、金槌ハンマーのみを装備。これで壁に成長した厄介な連中ツララを一斉排除するのである。
適当な位置に脚立を置いて登り、勢い余って窓ガラス自体を割ってしまわぬよう、細心の注意を払って、霖之助は氷柱を砕いていった。

しかし、こうやって氷柱を砕いていると、この作業は本当にこの季節しか出来ないんだなと改めて実感した。
何故だか知らないが、雪が無くなり、新たな芽が顔を出すと、もう春なんだよなと思わざるを得ない。
そうしたら、何故だか悲しい気分になった。ああ、やはり自分は日本人なんだなと同時に思った。

危険な氷柱の処分を完了したと同時、ひとりの少女がこちらへやってきた。

「よぉ、香霖。おはよう!」
「おはよう魔理沙。随分と早起きだな」

それは霧雨魔理沙だった。完全な冬服であり、首にはマフラー、足はブーツである。
注視してみれば、彼女の細い足は黒いストッキングで覆われていた。ほほう、85点という所だな。

「まあな。香霖が凍死してないか見に来たんだけど」
「おいおい」

霖之助は笑いながら言った。

「雪かきしてるのか?」

魔理沙は霖之助が持っているスコップを見て言った。金槌ハンマーのみは収納してある。
この季節で鉄製スコップを持っている人間を見れば、おのずとそれが答えとなる。

「今から屋根の雪下ろしだけど」
「へぇー。んじゃ、私も手伝って良いか?」
「そりゃ助かるよ」
「自給いくら?」

魔理沙は間髪入れず突っ込んできた。

「んなもん無い。暖かい飲み物なら提供してやるけど」
「えー」
「えー、じゃない」

そもそも、人の売り物を平気な顔して泥棒していく人間に、どうして金なんか渡さなければならないんだ。
いや、幻想郷では相互需要関係はそもそも無いに等しいし、その前に通貨なんかあったと思った。
今までずっと商売をしているが、そんなものは無い。この世界の経済は、物々交換で成り立っている。
というわけで、事実上、魔理沙の労働は義勇活動ボランティアとなった。





「まあ、こうやって雪かきをするのも悪くは無いな」

魔理沙と屋根の雪下ろしをし始めると同時、霖之助はそんな事を言った。
一人妖として本気で冬という季節を楽しんでいる彼は、この季節にしか出来ない事柄を本気で楽しんでいた。

「そうか? 私は滅多にしないから別にそうは思わないけどな」
「魔法に頼りすぎなんだよ、お前は。そうやって怠惰たいだな生活していると太るぞ」
「へっ、大丈夫だぜ。私は食べた分の熱量カロリーは、修練で消費しているからな」

ここで言う魔法とは、魔理沙は自宅の地下に温泉脈を召喚し、それを使って屋根に熱を送り、積もった雪を溶かしている事である。
実はこの方法、外の世界では石油の力で行われているのだが、その燃料費はバカにならなかったりする。
他にも温泉脈は床暖房の代わりになっている。
魔法という力を自身のために使用するのは構わないが、このような利用法に使うのは恐らく魔理沙だけであろう。
なかなか、頭の良い魔法使いであった。

屋根から見下ろした外の様子は、何処を見ても一面銀世界であった。
山岳部は霧が発生していて良く見えないが、雪が積もりまくっているのは確かだ。
当然だが、吐く息が白い。男性にしては色白の霖之助の顔は、瞬く間に林檎のように赤くなっていた。

「しかし、寒いなぁ」

ざっく、ざっくと雪をスコップに乗せ、外側の森林地帯に向かって雪を投げ入れながら魔理沙は言った。
今は雪こそ降っていないが、それで気温が上昇するわけではない。

「当たり前だろ。冬なんだから」

確かにそうであった。南半球オーストラリアであるわけが無いので師走は寒い。
日本人として生まれ、日本人的春夏秋冬感を植え付けられた者であれば、冬が暑いわけがない。
エル・ニーニョ現象が起これば別の話であるが。

「魔理沙はやっぱりあれか? ウオツカをぐいってやりたいか?」
「それいいな。でも朝から酒とは贅沢な御身分だぜ」

魔理沙は苦笑しながら言った。実際、あまりに寒すぎるために、象ですらウオツカを与えて温めさせる国家が存在する。
ウオツカというのはあまりに有名であるが、ロシア原産の蒸留酒である。
ライ麦その他から作り、白樺の炭を用いて濾過ろかする。
アルコール分40~60%の強烈な酒であり、身体が芯から温まる。

「何言ってるんだ。魔理沙なら毎日やってそうと僕は思うけど」
「おい、私をそういうふうに思ってやがったのか」
「魔理沙の普段の暮らしぶりを見れば、そう思っちゃうよ」

それは別に森近霖之助で無くても考えそうであった。恐らく幻想郷一、弾幕と酒を楽しんでいる人間であると。
もっとも、それも魔理沙の魅力のひとつではあるのは確かだが。

商売人と白黒の魔法使いは、黙々と雪かきを行っていた。
再び遠くを見やる。あの調子だと、人里はもっと大変だろうか。
外の世界から便利な物品が続々と入荷し、家庭生活に有益をもたらしているのは事実であり、霖之助もそれに頼っている。
たまにそんな事で良いのかと思うが、やはり人間であれ妖怪であれ何であれ、利益追求集団なのは確かだ。
それで古い文明が廃れようが、構わないと思うのが自分達であるのだろう。
少なくとも、幻想郷は国家ではないので、それで大規模な問題に発展する事はないだろうが。








魔理沙の助力もあってか、雪かきは普段の時間の数十分は短縮できていた。
それに感謝すると同時、今日の夜にドカッと雪が降らない事を霖之助は祈っていた。

「あー、暖かいぜ……」

魔理沙は外の冷気で凍えた身体を、霖之助自身が作成した炬燵コタツで温めていた。
様式タイプは、日本では現在一般的になった電気炬燵と一緒で、床を切らない方だった。

これはある種の魔法道具マジックアイテムであり、電気という燃料は必要としない。
その代わり、複雑な術式過程を要するこの暖房装置は、霖之助が何度も試行錯誤を重ねて造ったシロモノであった。
数年前、霧雨魔理沙の実家で魔法の修行で培った技術が、ここで役立ったというわけだ。

場所は香霖堂というより、霖之助が生活している空間であった。
様々な物を扱う古道具屋の店主の性格が効いているのか、男性の生活空間にしてはかなり綺麗に掃除されている。
自分も見習いたいものだぜと魔理沙が思ったが、それは心の先だけであって、実際に行動に移す事は滅多に無かった。

物が捨てられない性格に加えて掃除をする習慣が無い魔理沙の自宅は、それこそ地獄絵図のような有様が数回あった。
そのため、定期的に博麗霊夢とアリス・マーガトロイドに掃除を手伝ってもらっている。
ちなみに、報酬は自身が集めたいらない物を譲る事である。霊夢はそうでないが、アリスはそこそこ引き取っていた。

「出来たぞ」
「おう、待ってたぜ」

霖之助はトレーに乗せた料理をテーブルの上に乗せた。

「悪いなぁ。時間が無かったからこうなっちゃったけど」

言いながら、エプロンを綺麗にたたんで片付ける。
霖之助は魔理沙とは反対側に座り、炬燵の中に足を入れた。

「構わないぜ。腹に入ればどうせ同じだろう?」
「上手い事言うな、お前は」

淡々と会話が続いた。霖之助が謝罪しているのは、朝食が洋食化になった事であった。霧雨魔理沙が和食派なためである。
つい先程、何か飲み物は出そうと言ったが、折角なので朝食を御馳走する事になった。
この時間帯ならば、恐らく魔理沙も食べていないはずと踏んでいたので「食べるか?」と質問した。
魔理沙は二つ返事で「おう」とだけ言った。

洋食になった理由は、雪かきをするために米を磨ぐのを忘れ、味噌汁を作るのも面倒になったため。その緊急措置が洋食だった。
確かに、食パンは焼けば終わりであり、ベーコンは焼けば終わりであり、スクランブルエッグは一瞬で出来る。
変な言い方であるが、一刻も早く腹を満たすための条件をクリアーしているのは、和より洋であった。

「「いただきます」」

2人は手を合わせて食事を始めた。

「香霖」
「どうしたんだ?」

途端に魔理沙が言い出した。カップに入ったコーヒーをすすりながら、霖之助は言った。
現在はコーヒーの素に熱湯を注げば出来上がりの時代である。つくづく便利になったなぁと彼は思っていた。

「……求婚プロポーズ、しないのか?」

魔理沙は霖之助の顔をしっかりと見ながら言い、ベーコンをかじった。

「うーん。そうだねぇ…」

霖之助はカップをテーブルに置くと、フォークをウィンナ・ソーセージシャウエッセンに差し、口に運んだ。
もぎゅもぎゅとかんで、咀嚼そしゃくする。
魔理沙が言っている事は、彼がとある女性に恋をしている事であった。
魔理沙自身、恋に恋する乙女(自称)であるが、同時に人様の恋愛が気になる性分だった。

いや、別に霖之助が惚れている事とは思ってはいない。
霖之助とその女性が、常日頃から仲良くやっているからであった。

「した方が良いのかな?」
「本当にあいつ・・・が好きだったらだぜ。友達ライクじゃなくて彼女ラヴなんだろ?」
「………まあね」

霖之助は苦笑いをして言った。彼自身、男性であり、一度は恋をする。
加えて、幻想郷の住人は女性ばかりである。
故に、数少ない男性である森近霖之助に恋愛沙汰の話が無い方が珍しかった。
今まで一度も『文々。新聞』にその手の報道がなされていない事が不思議である。

「やっぱり惚れてたのか?」
「…まあな」

霖之助は頭を掻きながら言った。魔理沙は満更まんざらでもないような表情をした。
はぁー、あの香霖がまさかあいつに惚れたとはなぁ。ま、確かに美人だしな。

「だったら男らしくビシッと一発で決めろよ」
「決めたいのは山々なんだけどね。ほら、まだ知らない事が多すぎるし」

「どうかな」という顔をして魔理沙は思考し始めた。実は告白を伸ばして伸ばして伸ばしまくってやるという作戦かもしれない。
それとも本当の話であり、まだまだ付き合う必要があるとも読み取れる。
まあ、別にそれはどっちでも良いのだが。

「香霖、そんなに先延ばししていると、取られちまうぞ」
「ああ、…それもあるなぁ」

魔理沙は霖之助が真面目に言ったのに驚いていた。
おいおい、あいつに惚れる人間がお前以外にいて、なおかつ心当たりとかあんのかよ。
魔理沙はそう思ったが、会話が急に途切れそうになったので別の話題を提供する事にした。

「そういえば香霖、…あいつの何処に惚れたんだ?」
「えっ?」
「だから、何処に惚れたんだ?」

まるで人様の恋愛に口出しをする級友クラスメートか同僚か上司である。
この少女は言動は男っぽいが、まさか精神的にも男っぽいとは思わなかった。
………まさか! とは思ったが、霖之助は考えるのをやめておいた。

「まずは……顔な」
「ああ、そうだなぁ。確かに綺麗だよなぁ。むかつく程あいつは美人だよなぁ」
「で、髪長いだろ?」
「へぇ。香霖って長い方が好みなんだ」
「次に、……その、な、…でかいじゃないか」
「………うん、うんうんうん。私の琴線に触れそうだけど、確かにでかいぜあいつは」

魔理沙は目を下に落としながら言った。彼女は自身の体格―――霖之助が最後に指摘した部分―――に少々劣等感コンプレックスを抱いていた。

くそぅ、霊夢やアリスが「ちょっと大きくなっちゃったのよ」と言ったのを聴いた時、思わず恋の魔砲マスタースパークを撃ちたくなるほど悔しかった。
そういえば、パチュリーもそれなりに―――だったような気がする。



霖之助は魔理沙の表情がかなり悪化しているのを見て苦笑いをしていた。
そんな事を話し合っているうち、彼は魔理沙が幼少時だった頃を思い出していた。
まだ魔理沙が実家を出て行く前。あの頃は本当にやんちゃだったが、修行熱心なのは変わらなかった。
それでいてまだ女の子らしい所があった。多分魔理沙は覚えていないが、自分は覚えている。





「わたしね、おおきくなったらこーりんのおよめさんになってあげる」





今となっては本当に懐かしい思い出だった。あの時、自分は何て返事をしてやったのだろうか。
流石にそこまでは覚えていないが、ああ、そういう時もあったっけ。
もしも自分があの女性ひとと結婚してしまえば、果たして魔理沙との関係はどうなるのだろうか。
出来れば、このようにバカ話で盛り上がれる友人でいたいけれど。





一通り霖之助の彼女に対する想いを聴いた魔理沙は、とても満足そうな顔をしながら帰っていった。
だが、彼はそうは思っていなかった。多分、内面では絶対にいくらか悲しがっている。
ひょっとしたら、口には言わないだけで、覚えているかもしれない。そんな所を詮索する気は毛頭無いけれど。

さて、食器を洗って洗濯をして―――時間があったら掃除をしておくか。
……なんだか店番するのも面倒になってきた。よし、今日は1日休んでしまおう。

これが夜ならばすぐにあいつ・・・がやってくるに違いないが、今は早朝である。
早朝ならば、やってくるはずがない。

何故ならば、彼が惚れている人物は、昼間は睡眠中であり、夜間は活動中であるからだ。





<2> 

冬がやってくるのは幻想郷全土であり、別に魔法の森に限った事ではない。
博麗神社、紅魔館、永遠亭、白玉楼と、全てが一面の銀世界へと変化していた。
そして、ここ幻想郷の境に存在する日本家屋、迷い家マヨヒガも例外では無かった。

今日は一日中晴れていたが、地面は雪が降り積もっており、その雪が解ける事はこの気温ではまずありえない話であった。
まだ師走じゅうにがつの上旬であるものの、元が日本の東北地方だったせいか、幻想郷の冬は意外に思えるかもしれないが少々早めにやってくる。

例えば、葉月はちがつの中旬に暖を取る光景もさほど珍しくは無い。
夏の幻想郷は雪こそ降らないものの、一部地域では涼しいというより寒いと感じる所があった。
そして霜月じゅういちがつになれば、天空から白い固形物がちらほらと降ってくる。
最初こそは粉雪であるが、いずれ何者にも影響を出す冬の時代―――下手をすればシベリア並の大寒波―――をもたらす。

この気候は多少おかしいのではないかと考える者達はそれなりにいた。
元来幻想郷に土着していた英雄達の子孫ならば思わないが、外からやってきた人間や妖怪なら、まずそう思うであろう。

かくいう八雲紫も後者であった。
圧倒的な力を誇る容姿端麗の妖怪美女も、冬は弱い。それだけではない、彼女は冬に冬眠するのである。
そろそろ冬眠の時期に入るだろうか、人間はいつも通りの数を蓄えた。
運悪く彼女に捕らえられた人間達の末路は―――考えなくてもわかるだろう。

しかし、紫はどうしてもやっておかなければならない事があった。
せめてもう一度、自身の想い人に冬眠わかれの挨拶をしなければならない。
それは本当に一時的なものであるが、彼女がやる今年最後の仕事であった。

全く、おかしな話よね。睦月にするべき挨拶を、今しなければならないのだから。
まあ、それは私が私なんだからしょうがないけれど。
そう思いながら、八雲紫は炬燵に入っていた。

「ねえ、藍。生あるモノは、どうして恋をするのかしらね?」

その日の夕方、八雲紫は自身の式神である八雲藍に尋ねた。

「はあ、恋……ですか?」

洗い物を終えた藍は、手短な布巾ふきんで両手を丁寧に拭きながら言った。
テーブルの上に置いてある盆の上のミカンが無くなっているのに気が付いた彼女は、備蓄してあるミカンを抱え込んで歩く。
ミカンを盆の上にてきぱきと乗せると、自分も炬燵の中に入っていた。

「自分の子孫を残すため?」
「それはまた、…随分と単刀直入ですね」

藍は苦笑いをしながら言った。彼女はそれがありとあらゆる話題のネタに出来る事がある意味可能という事を知っていた。
しかし、紫が言っているのは間違いではない。生あるモノは恋をし、やがて子孫を残すのだから。
そして、女性の場合は子供を産むという大役を任され、生涯の伴侶と共に可愛い子息子女を育てる義務と責任を負う。

「そりゃまあ、いずれはそれに繋がるでしょ?」
「確かに、結果的観測から見れば、そうなりますね」

言いながら、紫は藍が運んできたミカンに手を伸ばした。
白魚のような指を器用に使って皮をいでゆく。
中身を2つに割り、その片方からひとつを取って口に運ぶ。

「まあ、恋もした事の無い私には、良くわからない話ですが」
「そうよねぇ…」

通常、恋というのは男性が女性に、女性が男性にするものである。
ところが、女性ばかりの幻想郷において、弾幕少女達は恋をする機会そのものが無いに等しかった。
しかし、彼女達は(それもほんの一部であるが)恋をしていた。顕著な例が魔法の森に住む人形師なのは、紫自身知っている。
女性による女性への恋であっても、それは立派な恋である。
かくいう紫の場合は、女性からによる男性への恋だった。

「不思議な話よね…」
「何がですか?」
「私があの人・・・を好きになってしまった事」
「はあ、…不思議ですか」
「本当にそう思うわよ、私は」

そう言うと、紫はけらけらと笑った。

紫はともかく、それは藍も知っている事であった。紫が藍に話したからである。
ちなみに藍はその事は自身の式神である橙には話していない(まだその手の話は橙には早すぎると藍は思っていた)。
だが、いずれはそういう事について話さなければならない時期が来るのは藍は知っていた。
いや、もう話しても良いかもしれない。
何故ならば、元はと言えば化け猫である橙は哺乳類である。つまり、発情期がある。

発情期というのは、一般に哺乳類の雌が交尾可能な生理的状態を繰り返す周期である。
猿の雌は発情期を迎えるとしりだこ・・・・が出来ると言われ、それが発情期のサインとされている。
藍も元来は化け狐(強大な妖力を持つ九尾狐)で、紫の式神になりたての頃は野生時代の習慣が抜けなかった。
故に、自然と子供を産み育てる感情が芽生えてしまうのである。元来が動物であった藍や橙はなおさらだった。

「本当に何でかしらね。私でも疑問に思ってくるわ」

笑みを浮かべ、紫は湯のみに手を伸ばして緑茶を飲んだ。
そして大きく息を吐いた。それならば、私は恋に恋する普通な乙女なのだろうか。
もっとも、霊夢達には普通に見られていないけれど。

「藍」
「何でしょうか?」
「私は普通の女よね?」
「さ、左様でございます」

藍は、一体全体自分の主人はいきなり何を言っているのだろうかと思った。
しかし、素直に答えないと、とんでもない目に遭うのはわかっていたので、藍は二つ返事で肯定した。
紫は緑茶を飲み終えた。そして、何処か遠い所を見つめていた。その視線の先には、橙が雪球を転がして遊んでいるのが見えた。
彼女はこの光景が見られるのも、自分にとってはもう一時的な終焉を迎えるのだと思った。
幻想郷の冬期は早めにやってくるが、本格的な時期に入る頃、自分は冬眠に入るからだ。

ああ、寒い季節に長期睡眠期間を迎えなければならない自分が本当に恨めしい。
冬といえば、女性が男性へ贈る大切なイベントヴァレンタイン・デーがあるのだ。
自分自身、ヴワル魔法図書館から借りた料理本とにらめっこしながらチョコレートを作った事があり、彼に渡した事はある。
もっとも、それは雪解けが始まってからの話であるが。

そういえば、自分がまだ八雲藍を式神にしていなかった頃、自分はどうやって冬を乗り切っていたのかと記憶を手繰り寄せた。
……うーむ、覚えていない。あれは確か、何年前の話だろうか。いや、別に思い出せない記憶を無理矢理思い出す必要は無いが。

紫はミカンを食べ終わると、皮を包んでゴミ箱に捨てた。
そして彼女は立ち上がり、自らが操るスキマから八雲卍傘を取り出す。

「藍、ちょっと出かけてくるわね。後は任せたわ」
「御意に。紫様、お気を付けて」

藍は紫が何処へ行くのか見当が付いていた。
この時期、滅多に外出しない彼女がわざわざ訪れる所は、十中八九わかっていた。
とりあえず行き先は2つあるが、藍はどちらかがわかっていた。

紫がスキマを使って移動する所を見送ると、藍はさて、どうしようかなと思った。

「藍さまーっ!」

不意に、庭から大きな声が聴こえた。
ああ、そうだな。やはり私はこちらが似合っている。

一方で主人に仕え、一方で配下を使役する。全く、面白い商売をしているな、私は。





<3>

幻想郷には、2つの季節しか無いと言い切っても過言では無い。
冬か、冬でないかの2つである。少なくとも、雪が降っていれば冬。そうでなければ冬ではない。

北海道と違って4月に桜が咲き誇る事を除けば、幻想郷の気候は日本の東北地方と殆ど同じであった。
故に、余程の異常気象が無い限り、幻想郷の夏は暮らしやすかった。
まず、湿度が低いので蒸し暑い事が無い。もうひとつは気温が30℃を越す事が無い。
これで冬が寒くなければ文句は無いが、幻想郷が存在していたのは東北地方であるために我慢するしかなかった。

森近霖之助は読書をしていた。現在は夕方だが、空はいつしか雪を大量に降らしている雲で覆われていた。
香霖堂なる古道具屋の店主であるが、彼は基本的には暇だった。理由は滅多に客が来ないからである。
幻想郷の住人が通行に利用する魔法の森の入口付近に店を構えれば、必ず立ち寄ってくれるだろうと思っていたが、それは違った。
自分の希望的観測をアテにしすぎた。店を開いたのは良いが、全然客が入ってこない。これでは商売が成り立たない。
しかし、霖之助は「趣味で商売をしている」という拡大解釈でその誤りをカヴァーしていた。

一応店には常連の客が、いることはいる。

紅魔館の十六夜咲夜は必要な物を購入してくれるし、
アリス・マーガトロイドは魔法道具マジックアイテムが入荷すると、欲しい物があれば買い物に訪れる。
余談であるが、商品をツケで持っていく博麗霊夢や勝手に商品を持っていく霧雨魔理沙は客ではない。

まだまだ物資流通機構は整備されていないが、商売として成り立っているのだから良いと彼は思っていた。
外を見ればいつの間にか雪が降っていた。暖房が効いている店内にいるため、寒い感覚が全くしていなかった。
やれやれ、この調子だとまた雪下ろしをしなければいけないな。そんな事を考えながら、霖之助は本のページを繰った。
仕事が異常に暇なせいで、暇つぶしをする必要があったのだが、霖之助の場合が読書だった。

晴れの日は田畑を耕し、雨の日は家でゆっくり読書をする。
転じて、田園でのんびり悠々自適な生活をする事を晴耕雨読と言うが、彼は晴れの日でも読書をしていた。
別に自分は農家ではないので耕作をする必要は無い。商売人であるが基本的に毎日暇であるので読書をして時間を潰すしかない。
しかし、店をほったらかしにするわけにはいかないので、店にいなければならない。

なるほど、店番をする事はほぼ毎日がお留守番で、無駄な労力を使わなくて済む素晴らしい仕事だ。
もっとも、それは香霖堂限定の話であるが。

「あらあら、暇そうにしていると思っていたけど、本当に暇そうね」

不意に女性の声が聴こえた。
それは何処か妖艶で、何処か温かみのある声だった。

「ああ、暇だよ。暇すぎて、こんな毎日がずっと続きますようにって思ってしまうよ」

それに対し、霖之助は本に向かって喋った。

「ご挨拶ね、霖之助」

彼は自分に話し掛けた女性が誰だかわかっていた。スキマから土竜モグラのように現れたその女性は、香霖堂の床に着地した。

何と説明すれば良いのかわからない帽子を被り―――、
何処にも売ってなさそうな、自作とも読み取れる傘を差しており―――、
腰まで届く、丁寧に手入れトリートメントされた黄金色の髪はリボンで装飾され美しく―――、
ファッションモデルも羨む洗練された抜群のプロポーションは、それだけで世の男性を魅了し―――、
世間一般で『美人』と称される者が見れば、自分が気恥ずかしく感じるほどに完璧に完成されている美貌を持っている。

彼女は非の打ち所が無く、欠点という欠点が見つからない、まさに絶世の美女であった。
その美女、名前を八雲紫という。種族は妖怪であり、ありとあらゆる境界を操る能力を持つ。

「実はこっちも暇なのよ。暇つぶしと同時に、貴方の暇もつぶしてあげようと思ってね」
「そりゃどーも。冬眠の準備は終わったのかい?」
「おかげさまで。全部藍に任せたからね。私の式神は有能よ。仕事が早くて助かるわ」

紫は八雲卍傘をパチンと止めて、スキマの中に放り込む。
自身の持つ扇子を閉じると、それに呼応するようにスキマが閉じた。

「相変わらず整理整頓されているわね。魔理沙とは大違い」
「ははは、腐っても商売人だからね。売り物にホコリをかぶらせるわけにはいかないさ」

なんだかんだ言っても、霖之助は古道具屋経営者である。
内装は温かみのある木造建築で(その前に、幻想郷では鉄筋建築の方が珍しい)あり、古き良き日本的家という風貌がある。
区画整理されたテーブルの上に様々な物が並べられており、それは役に立つもの立たないもの合わせて売られていた。

「まあ、あがんなよ。ここで立ち話もどうだしね」
「そうね」

霖之助は紫を自身が居住区としている場所へ招き入れた。
紫はブーツを脱ぐと、畳張りの床へ足を載せた。

「でもいいの? 店番ほったらかして私と暢気におしゃべりなんてさ」
「大丈夫だよ。閉店の札は出しておいているし。それに、君と話せるならば店番をほったらかす方がマシさ」
「あら、嬉しいわね。お姉さん喜んじゃうわ」

この場合、会話の主導権イニシアティブはどちらが握っているのか2人にはわからなかった。
居間は季節を考えてあり、迷い家マヨヒガと同じように炬燵が設けられていた。
少なくとも日本名を有している彼は、日本人流の暖の取り方を理解していた。

「何か飲む?」
勿論オフコース。お言葉に甘えさせて頂くわ。そうね―――ココア頂戴ちょうだい、濃くしてね」
「はいよ」

そう言うと、霖之助は台所へと向かった。
最近―――とは言っても結構昔からであるが―――妖怪も人間の嗜好品を好む傾向があった。
例えば八雲紫も妖怪であるが、見た目や普段の生活は人間と同じである。
むしろ人間よりも人間らしく生きているかもしれない。それは幻想郷に暮らす人間以外の種族もそうであるが。

「そうだった。ここに置いているんじゃなかったんだ」

霖之助は台所から出てきた。ココアを詰めているビンの置き場所が、居間の食器棚である事をすっかり忘れていたのである。

「ああそうそう、ちょっと―――」
「えっ? って、うわっ!」

霖之助はばったり紫と鉢合わせとなった。
彼はココアのビンを取りに行くため急ぎ足となり、自分の体に出ている速度を減速できなかった。
紫は紫で霖之助に用があったため、彼に会うために急いでいた。
結果、双方の運動エネルギーがぶつかり合う形となったのだが、その力は霖之助の方が上だった。

「あいたた……」

霖之助が呟いた瞬間、彼は目の前の現実を本気で呪いたくなった。
その光景、自分は八雲紫を押し倒し、彼女のその豊満な巨乳を―――それは右手だけだが―――鷲掴みにしていた。

「「あ………」」

思わず2人の声が一致した。霖之助は赤面していたが、紫はそうではなかった。
もしこれが紫以外だったら―――下手をすれば、自分は白玉楼中の人になっていたかもしれない。
ああ父上、母上、先逝く息子を許して下さい。って、バカな事をやっている場合ではない。

「うふふ……、私は構わないわ。貴方の好きなようにして良いのよ……」

紫は妖艶な笑みを浮かべ、霖之助に言った。
それは女優顔負けの演技だった。

「ちょっ、待ってくれ! 事故だ事故っ!」

霖之助は紫から飛び起きた。
何処かの入力装置スイッチが入ってしまったような表情を作った紫は、上半身だけを起こして霖之助をじっと見た。

「冗談よ、冗談」

紫は笑いながら言った。
その姿はとても色っぽい事は色っぽいのだが、普段通りの自分を取り戻した霖之助は、さっと右腕を出した。

「…ほら、立てるか?」
「ええ」

こんな状況になっても紫は冷静だった。彼女は霖之助が差し伸べた手を掴むと、反動を利用して立ち上がった。

「まあ何だ。…その、悪かった」
「あら、私はいつだってオッケーよ」

紫の方は至極満更でもない様子だったが、男である霖之助はそうはいかなかった。
幻想郷的男女間認識を持つ霖之助にとっては、事故であれ、『自分は何てことをしてしまったんだ』と思っていた。
彼はココアが入ったビンを取ると、一目散に台所へ向かって行った。
紫はそんな霖之助の背中を見ながら笑っていた。全く、素直じゃないわねぇ。でも、そういう貴方も好きよ。




「ほら、出来たぞ」
「ありがと」

紫は出来たてのホットココアを渡されると、息で1、2回冷ましてから飲んだ。

「どうだ?」
「ええ、美味しいわよ」

ここで美味しくないココアを出しても仕方が無い。
いや、その前にココアは素があるんだから、誰が作っても美味しいはずである。
何だか不思議な会話をしているなと霖之助は思った。別にどうでも良い事を考えるのは、彼のお家芸でもあった。

「でも、まさか貴方が私を押し倒してくれるなんてねー」
「だから、…事故って言っただろ?」
「事故は事故でも結果的に貴方が私を押し倒したのに変わりは無いわ。それに、……ちょっと嬉しかったわよ」
「よせよ…」

霖之助は目線を紫から反らした。そんな事言われれば、面と向かって話せなくなるじゃないか。
紫は紫でそんな霖之助を見て笑っていた。彼女はこうやって人をからかうのが好きだった。

「ねえ、今度はちゃんと押し倒して欲しいな」
「おいおい」
「だってそうでしょ。貴方、私の事が好きなんだから」
「……紫、知っていたのか?」
「知っているも何も、行動でわかるわよ。普段霊夢や魔理沙に接する時とはまるで態度が違うからね」

そう言うと、紫はずずずとココアを飲んだ。
このスキマ妖怪はどうでも良い方向に物事を見ている振りをして、本当は要点を見ている人物だった。

「誓ってくれる?」
「誓うって……僕は野獣か?」
「野獣というより普通の人間ね」

紫のその言葉に霖之助は笑った。彼は見た目は普通の人間と変わらないが、人妖である。
人妖というのは妖怪の範疇カテゴリーのひとつで、基本的には広義一般の『妖怪』と変わりは無い。
例えば紫は妖怪であるが、種族的には霖之助も紫も同じである。ただ、強大な力を持つか持たないかであった。
生まれつき『人妖』と分類カテゴライズされている彼は、弾幕を張る事さえできなかった。

妖怪にとって人間は襲うだけの対象でしかないが、霖之助は元来からそのような闘争本能は持っていなかった。
争いを好まず、人間側にも妖怪側にも援助を行う不思議な中立派。それが森近霖之助だった。

「思うんだけどさ、どうして生あるモノは恋をするのかしらね」

紫は藍にしたのと同じ質問を霖之助に問うた。

「…生あるモノの本能的衝動だと思うよ」
「そうね。その本能的衝動が、貴方に対する激しい恋心なのね」

そう言うと、紫は立ち上がった。
彼女が何をするか霖之助にはわからなかった。多分、トイレにでも立ったのかと思った。
だが、その予測は外れた。
何をするかと思えば、紫は霖之助の背中にもたれ、自分の腕を彼の首元に交差させた。
自慢の巨乳を押し付けるという示威行動は、無意識のうちに行っていた。

「…貴方が好きなのよ。愛してしまったの。好きで好きでたまらないの」
「………紫」

紫は目を瞑りながら、霖之助のぬくもりを確かめた。
ああ、何て暖かい。私達が死んだ人間のように体温が低く感じられそうなほどに。

「じっとしてていい?」
「…良くないわけ―――ないだろう」

紫は眠るように瞳を閉じて、彼を抱きしめていた。
それにしても、まさか両想いだったとは。
そして、自然と付き合っていた事がここまで発展するなんて思えなかった。
別に本格的に交際するつもりなんて無かった。自分は、ただ気軽に話せる相手でいれば良いと思っていた。
だが―――いつしか友人として付き合う心は、恋の心へと変化していた。

春、彼女が長い冬眠ねむりから覚め、照れくさそうに新年の挨拶をする。
夏、彼女が外の世界から持ち込んだ花火を打ち上げ、談笑しながら魔法の森に住む妖怪を驚かせる。
秋、彼女が焼いもを食べたいと言ったので一緒に食べようとしたが、西行寺幽々子食いしん亡が介入して2人きりにはなれず。

そして、冬。
霖之助は、今年で紫と迎える冬は何回目になるんだろうと思った。
改めて考え直す必要はないけれど、何度も何度も繰り返している事だけは覚えている。
それでも全く成果は無かった。でも、今年の冬は恐らく違う。


―――多分、今年なら達成できるかもしれない。それは自分の願望に過ぎないかもしれないけれど。





<4>

全く、自分らしくも無い。この程度であんなに心がズキズキするなんて、本当に私らしくも無かった。
香霖は、私の事はどう思ってるんだろう。多分、ただの幼馴染にしか見ていないだろうけど。
いや、あいつの事だ。それは私の妄想や願望かもしれないけれど、多少は私を好きだと思ってくれたはずだ。
私はそう信じたい。

思い起こせば、私が香霖と初めて会ったのは―――もう何年も前の話になるんだろうか。
あれはまだ私が実家で暮らしていた頃だ。
まだ私が魔法使いとして駆け出し―――もとい、霧雨家の後継者としての一歩を踏み込んだ頃だ。
突然、魔法の修行のためにやってきた男の人。それが香霖こと、森近霖之助だった。

私が彼を香霖と呼ぶのは、単に霖之助と呼ぶのが面倒だったからだ。5文字よりも4文字の方が短くて楽だ。
そんな中で、彼は私にとってはかけがえの無い存在となった。
私は香霖に散々遊んで貰っていた。遊んで貰ったというより、可愛がられたと言った方が良いかもしれない。
まだ10代に達していなかった私にとって、自分より数十歳も年上の男性はやはり『兄』だった。

香霖は、そんな私に対して文句も言わずに遊んでくれた。
私が開発したての魔法を発動させる時、術式過程に不具合ミスがあって魔法が暴発した事があった。
その時、香霖は私を守るためにかばってくれた。
幸い、右腕に軽い火傷ヤケドを負っただけで済んだが、私はあの時何度も謝っていたっけ。
今じゃ本当に笑い話のネタにしかならないけれど、香霖はそんな私に笑顔を向けてくれたのだ。

それだけじゃない。私と香霖にまつわる物語エピソードはまだある。
例えば、私が修練中に怪我をした時も、いつも手当てをしてくれたのは香霖だった。
何度も私が怪我をするものだから、あいつは魔法と同時に実践医学を学んでいたような気がする。
包帯を巻くのが急に上手くなったのも、何度も何度も練習したのだろう。それも全て、私のためにだ。

ある日、私は香霖に尋ねた事があった。
何故、香霖は私の家に住み込みで魔法を学んでいるのか、という事を訊いた。
私は霧雨家の後継ぎとして、代々魔法使いを輩出している家系を継ぐために、立派な魔法使いになるため修行を重ねている。

魔法使いがもっとも苦手としている白兵戦も、日本とかいう国の古武術を学んでカヴァーした。
手足による打突だとつ蹴仆しゅうふを基とする空手。
相手の攻撃力に順応して投げ飛ばす柔術や、少ない力で相手を叩き潰す関節技サブミッションも会得した。

武術云々はともかく、私は家と自分自身のために魔法を習得しているのだ。
それに対して、あいつ、何て言ったと思う? 

『うーん、そうだね。魔法が使えれば何かと便利じゃないか』

こう言ったんだ。私は思わず笑ってしまったぜ。
確かに魔法が使えれば便利だ。火を起こし、風を操り、水を出し、大地を揺らす。
香霖は昔からこんな性格だったんだろう。理論派にして実践家であり、現実主義者である。
確かに、役に立つ事は学んだ方が良い。後に私は魔法の力を役立たない方向で使う事が生き甲斐になっている。
私と違って、香霖の方が魔法使いに向いていたな、こりゃ。

更に香霖には感謝している。
何故ならば、私が家を飛び出した時、ミニ八卦炉という魔法道具マジックアイテムを作ってくれたのだ。
こいつは何かとお世話になっている。こいつについて語るのは長くなりそうなのでやめるけど、とにかくこれは凄い。
香霖、恩に着るぜ。これが無ければ今の霧雨魔理沙はいないのだから。



しかし―――。
私に幽霊のようにまとわりつくこの喪失感は何なのだろうか。
別に香霖がこの世からいなくなるわけではないのに。
何か大切な物を失ったように、私の心はぽっかりと大きな穴が開いているようだった。

やっぱり、悲しく感じてしまうのだろう。
香霖があいつと結ばれる事によって、何処か、あいつが遠い世界へ行ってしまうように思えるのだ。
そんな事を考えながら、私は魔法の森でぶらぶら歩いていた。
別にキノコを採取するわけでもないのに、私はひとり寂しく少女雪中行軍中。

吐く息が白い。見れば空からは雪が降っており、しんしん・・・・という音は、私の心にBGMを奏でているようであった。
ジャンルは何だろうな。奏鳴曲ソナタだったら怖いけど。
そういえば知ってるか? 雪が降っている時はどうして静かだって事を。
それはな、雪は音を吸い取る性質があるからだぜ。だから雪が降っている日は基本的に静かなんだ。

でも、やっぱ寒いなぁ。私は寒いのが苦手なので、バカチルノ黒幕レティが羨ましくなってくる。
夕方だというのに、空は雪を降らす厚い層の雲で覆われていた。太陽光ですら遮ってしまうほどの厚さだ。
どんよりと漂っている雲と、そこから降ってくる雪を見て、私は何を考える事ができるだろうか。

と、そんな事を考えていると、ひとりの少女が歩いてくるのを見えた。
そいつからすれば、恐らく私は何をしているかのように見られるだろうか。
多分、魔法の森で自殺でもするんじゃないかと思われるかもしれない。それだけは勘弁してくれ。

「あれ、魔理沙じゃない。こんな所で会うなんて奇遇ね」

マフラーを巻き、カシミアのコートに身を包んでいるのは、紛れも無くアリス・マーガトロイドその人だった。
彼女の横には袋を抱えている上海人形が飛んでいた。注視すれば、アリス自身も袋を持っていた。

「おう、アリス。買い物帰りか?」
「うん。わざわざ人里まで買い出しよ。まあ、良いジャガイモが手に入ったから、結果オーライって所かしら」
「カレーでも作るのか?」

私はジャガイモと聞けば、シチューと肉じゃがよりカレーを連想する派だった。
余談であるが、私が言っているのは『カレーライス』の事である。
本来インドの伝統料理であるカレーを白米の上にかけて食べるのは、日本が最初に始めたらしいが。
もちろん、幻想郷においてもカレーといえばカレーライスである。

「…良くわかったわね」
「まあな」

何でわかったの? という表情をしているアリスに対し、私は笑顔で答えた。

「良かったら食べていく? うんと美味しいのを作るわよ」
「いいのか。それじゃ遠慮なく馳走になるぜ。もちろん私の好きな林檎と蜂蜜バーモントだよな」
「安心しなさい。ちゃんとそれのカレー粉は買ってきたから」
「おお、流石はアリスだぜ」

そうだ。………そうだよな。私はひとりじゃないんだ。
例え香霖がいなくなっても、私には大切な友達がいっぱいいるじゃないか。
それに、こんな事でくよくよしてどうする。霧雨魔理沙はこんなに弱い人間じゃないはずだ。

アリスと上海人形を先頭に、雪道を歩く。
私がアリスと並ばなかったのは、途端に瞳から流れ落ちた一線の涙を拭うためだった。



おめでとう、香霖。一生あいつと仲良く暮らしてくれ。もし別れたら、問答無用でマスタースパークだぜ。





<5>

その日の夜、2人は互いに酒を酌み交わして談笑した。
外の世界から持ち込んだ煙草タバコがなかなか美味いというので、紫はそれを霖之助に薦めた。
日本たばこ産業株式会社JT配合ブレンドした一品。
名前はマイルドセブンFKというものだった。それは水煙草とは違った味を与えた。

紫が風呂に入る時、「一緒に入らないかしら?」と誘われたが、霖之助はそれをきっぱり断った。
彼はそれが彼女の冗談とはわかっていたが、いつか冗談ではなくて本気になる時期が来るとはわかっていた。
自分の恋人が湯を頂いている時、彼はただ想像の世界で何かを考えている事しかできなかった。
仕切り1枚で遮られた空間で、彼女は生まれたままの姿でいる事を考えると、何だか自分がとてもバカらしく思えた。
それは別にどうでも良い話であったが、ここで大問題が発生した。

紫がバスタオルを忘れたというので、届けてくれと叫んでいた。
霖之助は、それが紫なりの彼へのからかい・・・・と瞬時に理解した。
彼女は自分のスキマから、事実上何でも取り出す事ができる。
つまり、早い話がスキマからバスタオルを取り出せば良いのだが、紫はそれをわかっていながら霖之助に届けさせるつもりだった。

霖之助は、淑女ゆかりをそのままにさせるわけには到底行かなかったので、律儀にそれを渡してやった。
その時の紫の笑顔といったら―――恐らく一生忘れる事のできない微笑みをしていたような気がした。
ああ、そうだな。これが八雲紫という妖怪なのだ。彼女はこんな性格なんだ。
もっとも、この性格があるから、八雲紫なのであるが。


深夜になると、八雲紫は森近霖之助と同じ布団で就寝した。
基本的に12時間睡眠を行う紫は、深夜に寝て夕方に起きる生活を行っている。
霖之助はその日だけ、紫の生活様式に合わせていた。
紫は巻耳オナモミのように、じっと霖之助の背中にくっついていたような―――という記憶があった。
寝間着パジャマ越しに伝わる体温は、本当に温かかった。

自分はどんな夢を見ていたのだろう。いや、夢なんて見るのは何年振りだろうか。
妖怪として生まれ、人間との長く続いた抗争たたかいの最中、自分は何を思っただろう。
願いなどあるはずもなく、目的も誇りも最初から持っていなかった自分にとって、果たしてその時期は何であったのか?

昔も今も、妖怪にとって人間は襲うだけの対象でしかない。
しかし、逆に襲われるのならば襲い返し、殺戮するのが妖怪である。
自らの領域テリトリーを侵害する人間は、実力を持って排除する時代を彼女は生きていた。


それは―――――何て虚しく、何て儚い。


この殺伐とした幻想郷の時代を生き抜いてきた自分は、一体何のために生きている?
他人から見れば、誰よりも強いと思われる妖怪やくもゆかりは、己の限界を感じる事すらあった。
そんな彼女にとって必要だったのは、自分の心の支えとなるモノだった。
ああ、思えば藍を式神にしたのもそれが理由だろう。私に必要だったのは、それだったのだ。

そして、私の理想は彼によって満たされる。


―――何て、私は幸せ者なんだろう。


孤独を耐えて生きていた自分は、家族がいるからこそ、救われたのだ。














翌日の夕方、八雲紫は森近霖之助と魔法の森を歩いた。
その日は雪も降っておらず、視界も良好であり、散歩には絶好だった。
普段は店番をしている霖之助に「一緒に散歩しない?」と紫が誘ったのであった。

「こうして歩くと、何だかほっとするわね」
「そうか?」
「ええ、こんな日常が本当にずっとずっと続いて欲しいって思ってくるわ」

紫は八雲卍傘を右手に持ち、雪に覆われた道を歩いていく。
霖之助は上を見上げながら歩いていた。
木の枝という枝にはびっしり雪が積もっており、いつ落下してもおかしくない状況だった。

数分歩いた所で、紫は八雲卍傘を閉じて足を止めた。

「霖之助、……ありがとう」
「え?」
「貴方と巡り合えた事よ。私にとって、最高の出会いかもしれない」
「そりゃ、随分と大袈裟だな」

霖之助は腕を組み、苦笑いしながら言った。
当然だが、吐く息が白かった。

「……私はもうすぐ冬眠の時を迎えるわ。できればもっと会いたいけど、そうもいかないのよね」

そう、彼女は冬になると長い眠りに就く。
冬が本格的になった時、紫は行動する事が一切出来ないのだ。
そのため、自分のその性質が呪いたくなってくる事があった。
霖之助は、紫の言葉を黙って聴いていた。

「春になれば、………また、会えるよね?」

紫は真剣な眼差しを霖之助に向けて言った。
その右目からは、涙が流れていた。
そんな彼は、紫に背を向けていた。

「…当たり前だろう」

腕組みをした姿勢を崩さぬまま、霖之助は言った。
それは、涙を見せたくなった男の言い訳だった。

「霖之助」

紫は雪原を歩いて霖之助の方向に向かった。

「こっちを向いて」
「……紫」

その時だった。
紫は八雲卍傘を手放し、彼に飛び込むような格好で、自らの唇を彼の唇に重ねた。
霖之助は、何が起こっているのか理解できなかった。だが、目の前の現実は現実であった。

「ふふふ。貴方に私の想い、預けたわよ」

普段通りの性格で紫は言った。
これが自身初めての口付けという事は、この際忘れておいた。
雪原に落ちた八雲卍傘を拾うと、紫は満面の笑みを作った。

「じゃあ、また………会いましょう」
「ああ、絶対に会おう」

2人は互いを見詰め合って言った。

「さようなら、霖之助。雪が解けるその日まで」
「さようなら、紫。春が来るその日まで」

そう言うと、霖之助と紫は、自分が暮らす場所へと歩いていった。
紫はスキマを使って事実上の空間転移ができるのだが、彼女は八雲卍傘を差して雪原を歩いた。
何故彼女がそうしたか、それは紫自身しか知らない。いや、霖之助にはわかっているだろう。


幻想郷の空から、いつしか雪がちらついていた。
さほど雲は見えなかったが、雪が降っていたのは確かだった。
それは2人を祝う紙吹雪のように、優しく綺麗に舞い降りた。



幻想郷は、これから本格的な冬を迎える。
長く厳しい冬を乗り切れば、これから春がやってくる。
願わくば、春を告げる妖精リリーホワイトが放つ弾幕こそが、2人の真の祝福となりますように………。


<あとがきみたいもの>

自分自身、書いてて「なんだこりゃ」と思う二次創作小説だった。これが率直な感想です。
ああ、ベタな話やなぁ。

タイトルは「ゆきづきしれんしょう」と読みます。雪月というのは陰暦12月の事で、師走ともいいます。
実は物語を書くのに夢中で、大事なタイトルを考えていなかったという緊急事態が(笑
急遽考えた結果、こうなりました。私の想像力の無さを痛感すると同時に呪いたくなります。

今回はこーりんとゆかりんのお話。多分、誰もやらないようなカップリング話です。
多分この2人をくっつけたのは、私が初めてなのではないだろうか。
でも、私はこの2人のカップリングが大好きです。ええ、好きになってしまいました。

霖之助といえば、誰もが相手にするのは霧雨魔理沙。
でも私は霖×紫が好きだ。ごめん魔理沙。でも貴女には霊夢とパチェとアリスとフランがいるわ(ぉ

アリスといえば、今回はアリスを登場させました。
霊夢でもパチェでも良かったのですが、「ここはやっぱりアリスでしょ」と思って選択。
理由は訊かないで下さい(笑

読んで頂いた皆様にはおわかりだと思いますが、この物語の魔理沙は霖之助が好きという設定です。
で―――まあ失恋というやつですが、魔理沙は精神的に強いと思ったので、アリスには打ち解けなかったというのが見解です。
最初の予定では魔理沙がアリスにわんわん大泣きだったのですが、似合わないと思ったので中止しました。
……うーむ、泣かせた方が良かったのかなぁ。いやはや、小説って難しいですね。

と、いろいろ語ってしまいましたが、本当にどうだったんだろうか。
割とサクサク書けたのはいいけれども、何か心の奥でつっかえているような……。
だが、私の座右の銘は「書きたい物を書く」です。
書きたい物を書く事こそ、一次創作、二次創作、三次創作の面白い所ではないだろうか。

ではでは、また次の文章でお会いしましょう。


<2006年2月14日:スタイルシートを試験的に導入>
月影蓮哉
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コメント



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9.70煌庫削除
や、この組み合わせは意外ですが思った以上に似合いますな。
私個人としては応援したくなるカップルです。
>座右の銘
それに関しては私も納得。私の場合は無駄にハイなときが多々ですがw
次回作期待してます。
10.100名前が無い程度の能力削除
ルビの使い方が上手いな……と思いました。
ちょっとどころかかなり多いですが、違和感が殆どない。

それにしても、紫×霖がココまで似合うとは……
16.50名乗らない削除
こーりんの話し方がどこか変。キャラの話は作っても性格まで作ってしまうのはいただけない。
必要でない限りは。
18.80無限に近づく程度の能力削除
ルビが多くてかなり読みにくいです。
できればルビの部分に()をつけるとよいかも。
あとはこーりんの話し方と性格がちとへんかな。
それいがいは乙女チックゆかりんでOKです!
21.90削除
ゆきとつきとゆかりのこいのものがたり
と読んだ私は勝ち組なのか負け組なのか。微妙なところだなぁ。

魔理沙は泣きつくってよりも背中で泣くタイプ。だと思う。
27.70名前が無い程度の能力削除
ちょっと甘味が強いかな、と思わないでもないですが良作でした。


そしてよく見るとソーセージとか紙巻たばことかに外の世界の品物がちらほら。
博麗大結界(じょうしきのかべ)で遮られて見えないだけで、彼女たちはちょくちょく
こちらに遊びに来てくれているのかもしれません。
28.40名前が無い程度の能力削除
香霖に違和感。何かこの所為で色々と惜しいです。
34.-10名前が無い程度の能力削除
紫と香霖は花見の話での絡みが好きだったので、
この組み合わせ自体は大変良かったんだが…
できればもうちょい香霖の口調を下調べして欲しかった。
特に魔理沙に対してはもうちょい柔らかくて上からの言葉使い。
36.60ちょこ削除
香霖に違和感っていう部分はやっぱり皆さんと同じです。

しっかし……香霖に殺意が初めて沸いた作品でした♪(マテ
51.-10上海珈琲削除
一人称か三人称か決めた方がいいと。ルビがいいね、虫唾が走る。
こーりんの言葉使いがひっかかる。原作破壊ひどすぎだね。怒り通り越して嗤えてくる。ちゃんと推敲したのかな?
次書いたらもっこもこにしてやんよ
54.80名前が無い程度の能力削除
ルビに目を瞑ればきっと100点満点でした。
紫と香霖の2人がくっつくと大人な雰囲気が出るみたいですが個人的にそんな大人な雰囲気が大好きです、それ以前に紫と香霖が大好きです。