作者の妄想が含まれています、ご注意下さい。
「あ~、お茶がおいしい」
青い空の元、縁側で年に合わぬ言葉を発する者がいた、他ならぬ博麗神社の巫女さん博麗霊夢である。お茶飲み歴およそ5年、そのお茶を飲む姿は貫禄さえ漂わせている。
「はあ、今日も暇ね・・・」
これもいつものことだ、博麗神社には誰も参拝客はいない、それは、この神社があまりにも人里から遠ざかりすぎているためので仕方のないことだ。
「ああ、もう!最近の人は神様なんて信じないのかしら?」
と、誰が聞いている訳でもないが叫んでみた。
ピキーン
「ん!?この感覚は!」
ふと、変な感覚に襲われた、耳を凝らしてみる。
こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ
「(誰かが階段を上ってる!!!)」
魔理沙やレミリアが来るときは空を飛んで来る、わざわざ階段を上るのがめんどくさいからである。つまり、いま階段を上って来てるのは一般の参拝者しかいない。
「(ああ、久しぶりの客だわ。お茶でも用意して、ああ、あとおみくじも用意しないと!)」
などと、期待に胸を膨らませていた
ドキドキ☆わくわく
そして、ついに姿を現した。
「よう 霊夢」
正体は普通の魔法使い霧雨魔理沙だった。
「何だ魔理沙か・・」
がっくりと項垂れる霊夢。
「何だとはひどいぜ」
「どうせお茶を飲みに来ただけでしょうに」
「おお、用意がいいな」
「はぁ、久々の参拝者かと思ったのに・・・」
「いや、もしかしたら私は参拝に来たのかも知れないぜ?」
「マジで!?」
「んなわけない、・・・ああ、私が悪かった、謝るから針はやめて!」
なんかむかついたから針をぶすぶす刺しておいた。
「で、なんで今日は階段から上がってきたの?」
「ああ、それはだな、この神社の階段の段数を調べてたんだ」
「まったく暇人ね」
「そもそも暇じゃなければこんなとこには来にゃしないぜ」
「悪かったわね!、で、何段あったの?」
「ああ、途中で数えるのがめんどくさくなって、マスタースパークで階段吹き飛ばしておいた、これで階段の数は最後の辺を残して10段だぜ」
「マジで!?」
「嘘だぜ、・・・ああ、私が悪かった、謝るから針はやめて、あと陰陽玉もやめて!」
とりあえず夢想を封印しておいた。
「それにしても暇ね」
「暇だな」
「なにか、面白いものないの?」
「無いぜ」
「・・・役に立たないわね」
「ひどいぜ」
あまりにも暇なので前から思っていた疑問をぶつけてみる。
「ねえ、前から思ってたけど」
「なんだ?」
「どうして魔理沙はそんな男言葉使ってるの?」
「う~ん、変か?」
「もう慣れたわ、っていうか昔はもっと・・・謝るから笑顔で八卦炉向けないで」
「まったく、乙女の過去を詮索するもんじゃないぜ」
「(う~ん、気になる・・)」
「教えてあげようか」
『え?』
後ろを振り向くと、青を基調とした服を身にまとい、緑の髪をした女性が立っていた。
「魅魔様!」
「魅魔じゃない、久しぶりね」
他にもならぬ、悪霊『魅魔』である。
「久しぶりだね、霊夢、魔理沙」
「一体どこに行ってたんですか?」
「そうよ、最近は神社にもいなかったじゃない」
「ちょっといろいろあってね、でも、またすぐにでも行かなくちゃならないの・・」
魅魔が遠い目をしたので魔理沙も霊夢も詮索するのはやめた。
「それより教えて欲しい?」
「何を?」
「『なんで、魔理沙が男言葉を話しているか』」
「!!!魅魔様!!!」
「夢想封印」
「ぎゃあー!」
霊夢の得意技が炸裂、不意をつかれた魔理沙は早々とおねんねしてしまった。
「さて、邪魔者もいなくなったし、教えて貰おうかしら」
「あ、ああ・・・」
ちらりと魔理沙の方を見て、魅魔は口を開く。
「それはね、まだ魔理沙が私に弟子入りして間もない頃よ」
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「『イビルフィールド』」
魅魔が呪文を唱えると、辺り一面の草木が吹き飛んだ。
「うわぁ!すごい!」
魅魔が出す魔法に感嘆の声を上げる魔理沙。
「魔理沙も訓練すれば、これよりももっとすごい魔法を使えるようになるわよ」
「本当?」
「ああ、本当だ」
「でも・・・魅魔様にはきっとかなわないよ・・・」
「そんなことはないさ、魔理沙はもっと強くなる」
「そうかな?」
「そうだとも」
「うん!私強くなる!」
「でも、どうしたら強くなれるの?私は魅魔様みたいに幽霊じゃないし・・」
「何を言う、自分が夢を持って努力すること、それが強さに繋がる、つまり強さには霊や人間、魔族などの種族は関係ない、努力すればきっと人間も魔族に勝てるさ」
「へえ、そうなんですか」
「魔理沙の夢はなんだい?言ってごらん」
「え~と・・・」
しばらく考えたのち。
「私は魅魔様を守れるくらい強くなりたいです」
「へぇ、うれしいこと言ってくれるねぇ」
「それでね、私、強くなったら魅魔様と結婚するんだ」
「そうかい・・・って、ちょっとタンマ!」
「どうしたの?」
「いいかい、魔理沙、この世では基本的には女同士では結婚できないんだよ」
「そうなの?」
「じゃあ!私が男の子になって、魅魔様をお嫁さんにする!」
「わかった・・・・えぇぇぇぇぇぇぇ」
「よし!そうと決まったら早速言葉使いから実行ね、じゃなくて実行だぜ!」
「ちょっと、待ちなさい魔理沙」
「魅魔様は私のこと嫌いなんですか いや、嫌いなのか?」
「いや、嫌いじゃないけど・・・」
「よかった」
「(はぁ・・修行より、まずはこれをどうにかしなくちゃいけないようね・・・)」
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「それからよ、魔理沙の言葉遣いが変わったのは」
「へえ~、そんなことがあったのね」
ちらりとまだおねんねしている魔理沙の方を見る。
「ん?でも、その後は言葉遣いが『あれ』になったじゃない?それはなんで?」
「ああ、それは私が矯正したんだ、まったく骨が折れたよ、で、矯正したらしたらでやりすぎて『あれ』になったってわけ。でも、私がいない内にまた男言葉に戻ったようだね」
「たしかに、魅魔がいなくなって最初のころはまだ多少昔の名残があったわ、紅魔異変の時とかね、最近ではたいてい男勝りなしゃべりを展開してるけど」
「そうだったのか」
「魔理沙も自然と魅魔のことを寂しがっていたのよ」
「そうか?」
「勘よ、真相はわたしにも分からないわ」
「う、う~ん・・」
「あ、やっと起きたわね」
「なんで、私はこんな所で寝て・・・って思い出した!」
「ふふ、魔理沙も可愛い頃があったのね」
「そうよ、あの頃は魔理沙もかわいかったわぁ」
「う、うるさい!うるさい!魅魔様ももう帰れよ!」
ふぅ、と魅魔はため息を一つついた。
「そうね、そろそろ行かなくちゃね」
「あら、もう行っちゃうの?」
「え?」
うろたえる魔理沙。
「ちょっと長居が過ぎたわ、それじゃバイバイ、霊夢、魔理沙」
「じゃあね」
「本当にもう行っちゃうんですか?」
その魔理沙の質問に気付かなかったように魅魔は歩いていった。
「み、魅魔様!!!!」
「なんだい?」
魅魔が振り向く。
「きっと・・・・」
「きっとまた会えるよな?!」
ふ、と笑って魅魔は
「ああ、きっとまた会えるさ、あんたと結婚しなくちゃならないしな!」
「っっっ!!!魅魔様のバカァ!」
「ふふふ」
魅魔は煙の様に消えていった。
終
ほのぼのしてるし。
それにしても、博霊神社の石段かぁ。。
何段あるんだろう、少し気になるかな♪
魅魔はいったい何をしたんだ……
嫌な感じに痙攣したりするマインドコントロールでもしたんですかねぇ。
あるいは・・・拷問? 心を削るタイプの。もかもか部屋とか。