[D-day]+7
アリス・マーガトロイドは、自宅で人形を作っていた。今日作成しているのは自律する人形、その試作だ。
彼女の作業場の隅には作成した人形、その失敗作が様々な形状となって溜め込まれている。
例えば、初期に作った普通の人形と全く変わらない物は、アリスがその人形に様々な感情を発露した結果胴体部の八割が消滅して最下層に埋まっているし、つい先日作ったばかりの人形は魔力の循環がうまくいかず、妙な具合に魔力を放出した結果人口皮膚をケロイド状に変質させ、笑顔で人形の山の上で倒れている。
他にも様々な状態の人形が寄り集められ山となっている。
ある物は頭部が左右で分かたれ、ある物は全身に穴があき。という具合で五体満足な人形はその山には一体も存在しない。
ここ最近、色々あって出来た縁でそれとなく話をしていて分かったことは一つだけ。
人形を自律させるには、人形自体が魔力を発し循環させ、稼動させねばならない。
そんなことはとうの昔に分かってはいたが、それぐらいしかえるものは無かった。
あの連中は直接尋ねても応えてくれそうにないし、大体そんなこと人形師のプライドが許さない。
そして今作っている途中の人形。まだ7割ほどしか完成しておらず、服飾も髪もつけていないただの素体として出来上がった所だが、この時点で既に失敗作と分かった。
何のことは無い。ただの人形ではダメなのだ。そして私は人形しか作れない。
ため息を一つついて、人形に失敗作の処理を命令するとアリスは腰をあげ書斎へ向かった。
作業場では、直ぐに失敗作が人形達に運ばれ、処理場と化したその一角で失敗作の処理を行っている。鈍器で人体に似たものを圧縮する音が、静かな屋敷に幾つかひびきわたった。感性溢れる人妖ならば、それは人形の断末魔にも聞こえるのかもしれない。
書斎。
書物に囲まれたそこで、机においてあるノートに今日の試作体のレポートを書く。
まずは日付、そして成否。このノートはもう何冊目になるのか分からないがこの最初の一文だけは常に同じだ。
失敗。その二文字と共にレポートは始まる。
そして人形が何を目指したのか。問題点はどこか。などを書く。
一通り今回のレポートが書き終わると、頁をめくり、以前の結果に目を通す。
失敗。失敗。失敗。失敗。
これじゃ憂鬱にもなるわ。
悔しい事に、何一つ改善されていない。
通常型の人形であるならば、ある程度進歩した。けれど、それは自律しない。
私の魔力によって稼動するのだから、人形自体のつくりは外見と、少々の特殊な構造程度のものだ。
そこで、魔力を自分で発生させ循環させる。という人形を造ったのだが、その結果は処理場の一角の皮膚の爛れた人形の群れだ。
さて、どうしたものか。
アリスは考えた。
いっそ、柔らかい石でも入れてみようか? などとも考えるが、専門外の分野である錬金術に手を出すよりは今の方向性で言ったほうが確実であろう。しかしこれも何度目の思い付きだろうか。と気付いて溜息の数を増やしただけであった。
そして思考は螺旋し地下迷宮に入り込む。
方向性は決して間違ってはいないはずだ。
既存の人形は私の魔力で命令を受け稼動する。
攻撃せよ。という命令では受け取っている魔力から弾を生成し射出する
特別な行動も同様。スペルカードに応じた動きを命令しているだけで自発的な行動では絶対にない
では、どうすればよいのか。
それは簡単だ。自律する人形は、自分で魔力を発生させ、循環させればよい。
何が悪いのか。
事前に魔力を受け取っておき切れると同時に行動不能になるタイプは大分前に試したが無理だった。
消費する魔力が大きすぎ、人形が許容できる魔力では自律行動が出来ない。大容量を保有させると人形爆弾が完成するだけだった。
溜息を一つ増やす。
ああ、幸せなんて溜息ごときじゃ逃げはしないからどうでもいい事。
思い出すのは魔理沙に教えてもらって見に行った鈴蘭畑。そこにいたのは人形だった。
それは紛れも無く人形であり、現在の自分では作り出すことの出来ない高みにあることは確かだが、所詮人形であり自律とは程遠かった。
毒によって稼動する。つまりは私の人形達が私の魔力を受け取って稼動するのと原理的には変わらない。
自然から受け取るか、私から受け取るかの違いだ。
つまり、自我を有しているという事も含めてすごいのは確かなのだが、参考には余りならない。
どうしたものか――
出口の無い思考の円環からアリスを引き上げたのは少女の声だった。
「ア リ ス」
「どうしたの魔理沙?」
隣の椅子で座っていた魔理沙が声を出したのでアリスはノートから顔をあげ魔理沙へ向きなおった。
魔理沙は何も語らず、アリスの顔を見て微笑むだけだ。
「そうね」
こういうときは、散歩でもして気を紛らわすのもいいかも知れない。何か新しい発見があるかもしれないし、何よりにつまった頭をすっきりさせるのにもいいだろう。
「じゃあ、散歩に行ってくるわね。留守番よろしくね、魔理沙。物を取っちゃダメよ」
魔理沙は返事をする代わりに微笑んだ
「いい子でいてね」アリスは魔理沙の頬を軽く撫でた
ここのところ煮詰まっていたから外に出るなんて、何日ぶりだろうか?
レポートの隣においてあった日記を見たらなんと二週間も家に引きこもっていたようだった。
ああ、時間の流れって早くて嫌ね。ほんとに。
そしてアリスは久しぶりに館の外へ出た。森の木々から漏れる日の光が美しかった。
少し離れた森の一部で火が上がっていたがアリスはそれを無視した。魔理沙が息抜きに散歩でもしてきたほうがいいぜ、と言ったのならばそれが良いに決まっており、それ以外のことをなす必要をアリスは認めなかった。
だが、一瞬見えた勢いよく吹き上がる火焔はアリスの気分を変えるのに役立った。
[D-day]-2
「ようアリス」
「何しに来たのよ」
魔理沙が尋ねてきたのは、もう一歩で何かがつかめそう。という口惜しい失敗が続いた頃だった。必然的に邪険にもなろうというものだ。
「いやな。良いきのこが取れたから近所におすそわけしてやろうと思ってな」
「要らないわよ。それに人形にきのこなんて何に使うってのよ」
「そ、それは・・・・・・まあ何かに使えるだろ。何かに」
今は無駄でもいつかどっかで役に立つものを教養っていうんだぜ。と魔理沙は言うが、沈黙の間に何を想像したのかは、素面なのに赤らんだ顔から推測するにろくでもないことのようだ。
「まぁいいわ」 煮詰まっている所だし気分転換も必要だろう。とアリスは判断した「あがっていくの?」
「そうさせてもらうぜ」
勝手知りたるとばかりに家へあがる魔理沙。ここ数日計測不能なまでに増えた溜息のカウントを一つ増大させてアリスは魔理沙の後についてリビングへ向かった。
「それで、だな。アリス」
「?」
「こないだ話した人形は見てきたのか?」
「見てきたわ」
「で、どうだった?」
魔理沙は好奇心を抑え切れない様子でアリスに質問した。アリスはその人形を見て、現状の方針が正解の一つであることを確信すると同時に、どこまでいっても自律する人形を作成できないのではないか、と絶望していた。
「・・・…凄いものね」当たり障りのないように少し考えてから言葉を発した。
「だろ?」
魔理沙は無邪気に喜んだ。自分の情報が役に立ったのが嬉しい。そんな純粋な感情だったのかもしれないが、アリスはその無邪気さがうらやましかった。
「ああ、そういえばこの間」
魔理沙は彼是と自分が見てきた話をアリスに聞かせるが、アリスの耳にはそれは届かなかった。
あの人形。自我を持っている人形。目指すべきもの。
だが、だが。
所詮人形は人形。操るべきモノが無くては存在しえないのでは? 私が目指している人形は本当に人形なのか?
人妖のような、自我を持つモノを造るのに、人形を、何故、用いねばならないのか。
「おいアリス」
呼ばれて顔を上げると魔理沙が怒ったような顔をしている
「え? 何」
「聞いてなかったのか」
魔理沙はまぁ仕方ないか。と笑った
「煮詰まっちまった時は、早く寝て気分でも変えたほうがいいぜ」
「そうかもね」
確かに魔理沙の言う通りだ。ここのところ同じような考えが浮かんでは消え、迷宮に入り込んだかのように抜け出せない。
だが、一度思いついたことは頭を離れる事は無く、常にどこかで考えていた。
自律する人形は、自我を持つ人形は。どのように造るのであろうか?
果たしてそれは人形と言えるのだろうか?
「消すぞー」
言葉で言われても、そう簡単に気分を切り替えられるわけも無く、思考は相変わらず円環し、いつの間にか寝る事になっていた。
記憶に薄いが何処かで、魔理沙は当然のように今日は泊まっていくと告げていた。
寝具が二つあるわけでもないので、いつものように一つのベットに入り明かりを消した。
「アリス」
「ん?」
「さっきも言ったけど、根をつめすぎると良くないぜ」
「うん。わかってる」
「それだけだ。お休み」
「おやすみ」
自我を持つ人形、自律する人形。それは人形なのだろうか?
そして――そんな人形かどうか怪しいものは、人形から作りだすことができるのか?
いつまでも円環するその思考も魔理沙の気配と相殺され、アリスは久方ぶりに疲労以外の理由で熟睡することができた
[D-day]-?
「アリス」
「何よ」
「好きだぜ」
「な、なに言ってるのよ」
「嫌か?」
「い、嫌じゃない、けど」
「なら、いいだろ」
[D-day]
ぐしゃり、と。鈍い音がする。
まただ。またダメだ。
口惜しさで力が篭り、歯が音を立てる。
失敗した人形をそのまま殴り潰すと、その残骸を作業場の隅のゴミ山へ放り投げた。
試せる方法はとうに試しつくした。何かが足りないのだ。何かが。一体何が足りないというのか。
人形では、駄目だとでもいうのか。
「ダメね」
溜息を一つ増やし、自分以外に口を利くものが居ない家でひとりごちる。
ダメなのは作業とか方法とか、そういうレベルではなく思考そのものがダメな方向だ。
ああ、こういうときは先日魔理沙のいっていたとおり、しばらくこれから離れて頭を冷やすべきだろう。
作業場を出て、お風呂にでも入ろうか、と移動していたら呼び鈴がなった。
ああ、そういえば。魔理沙がまた来るといってたわね。と思い出し、玄関へと向かった。
「よ」
「いらっしゃい」
「邪魔するぜ」
「私はお風呂にはいってくるから、上がってて」
「わかった」
そのままアリスは風呂へ向かう。リビングに向かった魔理沙はなにやらゴチャゴチャとやっているようだが、いつもの事なので気にもしない
アリスは湯船につかりながら、やはり同じ事を考えてしまっていた。
どうすれば、それが為せるのであろうか。人形は、人形でしかなく、もっと他のものを使わねば、出来ないのではないか。
私によって形作られるのならば、人形以外の手段によってでもそれを行いうるのではないか。
自律し、自我を持つ人形とは、果たして人形であるのか。
いつものようなそんな思考に加え、今日はある思い付きを考えていた。
自我を持つ物を人形とした場合、それは自律する人形となりうるのか?
こちらの問いかけに対してはある程度分かっている。
例えば、紫と藍の関係はそのようなものだ。普段は自律し、自我で動く藍だが、スペルカードの一部として紫が組み込んでいるとき、その関係は私の人形のようなものだろう。
あの原理は今一分からないが、藍は普段は自律しているし、その式も普段は自律している。
であるならば。
自律し、自我を持つ物を、私の魔力によって制御下においたならば。
それはやはり自律し自我を持つのではなかろうか。
だが、それは人形なのか?
人の形をした人でないもの。その意味でなら人形とも呼べよう。
材料に布と糸以外で作り上げられる人形も存在する。その意味で言えば人形であろう。
そこまで考えて息を吐き出し、頭を振った。
私は、何を考えているんだろう。ああ、ダメな時は本当に何もかもダメだ。
「けど」と、アリスが呆とつぶやいた声が浴室にくぐもった「決して不可能じゃ、無い」
「お、アリス。ようやく出たのか。ずいぶんと長湯だったな」
魔理沙は当たり前のように茶を入れていた。白黒の二色で決めた西洋風魔法使いが緑茶をすする様は何時見ても悪いジョークのようだ。
「ええ、大分、さっぱりしたわ」
「なぁ。アリス」
「何?」
「そんなに煮詰まってるのか?」
魔理沙は心配そうにアリスの顔を覗き込んだ。
「まぁ、そんなとこよ」
アリスは人形が持ってきた紅茶を一口飲み、魔理沙の正面へと座った。
「この間も言ったけど、根をつめすぎるのは良くないぜ」
「わかってるわ」
「ならいいけどな」
そういうと、魔理沙はいつものように他愛も無い話を始めた。
「この間は」と、魔理沙は言う。
紅魔館の図書館で面白い本を見つけた、とか。神社で霊夢が暇そうにしていた。とか他愛も無い話ばかりだ。
そんな話を聞きながら私は考える。考える。
何ゆえ魔理沙はそんな、意味の無いことを毎度話しに来るのか。魔理沙はこの前アリスさえいればいい。そう言ってくれたのではなかったか。
人形造りに何故失敗するのか。魔理沙は何故こんな話しをするのか。とりとめのない思考が絡み合い意味が分からなくなる。
「アリス?」怪訝な顔をした魔理沙がアリスを見つめていた。
「何?」
「大丈夫か?顔色悪いぞ」
「うん。大丈夫よ」
「そうか。何度も言うが無理は良くないぜ」
「わかってるわ」
自我を持ち、自律する者を人形としたならば、それは自律する人形となりうるのではないか。
「ああ、そういえば」
一拍沈黙した後、アリスは思考を切り替える為に話を持ち出した
「この間の返事がまだだったわね」
「この間? 何の事だ」
もしも、自我を持つ物を人形に出来るのであれば。
そして、その人形を心のそこから愛する事が出来るのならば。
それは――
「ああ、忘れたんならいいわ」
「何だよ。気になるじゃないか」
「どうでもいいことよ。あなたがそのうち返してくれるはずのアイテムに比べれば」
「おいおい」魔理沙はいつものように笑った。「それはすごく重大なことだぜ」
魔理沙の笑顔につられてアリスも笑う。
他愛も無い何時も通りのおしゃべりが続く。だがアリスは頭のどこかで常に考えていた。その考えを捨て切る事は出来なかった。
「おっと、もうこんな時間か」
そろそろおいとまするぜ。と魔理沙が言ったのでアリスは驚いた。
「てっきり今日もとまると思ってたのに。珍しいわね」
「ああ、霊夢の所に」
この間のきのこを届けてやろうと思ってな。どうせひもじい思いをしているだろうし。
「そう」
もし、自我を持つ物を、人形にできるのならば。
もし、その人形を、愛する事が出来たなら。
それは――私だけのモノとなるのだ。
「魔理沙」アリスは玄関で靴を履くためにしゃがんだ魔理沙に後ろから手を回し、その耳元へ告げた。
「いつか、言ってくれた時は、ちゃんと、返事が、出来なかったけれど」
アリスはいつか見た光景を思い起こした。
「好きよ。魔理沙」
「さっぱり分からないんだが」魔理沙は混乱と羞恥で顔を赤らめた。
「何の話だ?」
「そう」アリスは嬉しそうに返答した「でも、いいの」
「何、が」
困惑する魔理沙へ、アリスは疲れた顔面に可能な限り魅力的な笑みを浮かべて応えた。
「愛しているわ」
アリスの言葉と共に、魔理沙の意識は暗転した。
力を失った魔理沙の体を、引き摺るようにして作業場へ運ぶアリスの心は躍っていた。
もしも自律し自我を持つモノを人形とできるのならば――
それはきっと、自律する人形と為り得るのだろう。
そして作業場からいつもとは、やや異なった音色が響き始めた。
[D-day]+3
「ア リ ス」
ややぎこちなく、「魔理沙」が口を開いた。
アリスは「魔理沙」を腕に抱き、混濁した瞳に心のそこからの笑みを浮かべた。その返答として「魔理沙」に口付けをした。
[D-day]+9
アリスは一つ決心をした。気分転換をした時の思いつき。それを一日考えて決心するに至った。
まず人形に命令し庭に深い穴を掘らせ、失敗作の群れをそこに運ばせ、最後に今まで書き溜めてきたレポートを人形達の屍の上へと置いた。
魔法で失敗作の群れに火を放ち、今まで行ってきた魔法使いとしての研究が灰になる様子をアリスは眺めていた。
自分の生きてきた証を否定する筈のその火焔を見ていて、アリスは実に気分が良かった。余りの気分のよさに声を上げて笑ってしまうほどだった。
もっと早く、こうするべきだったのかもしれないとすら思っている。
求めるものが、思考するものが、間違っていたのだ。唯一つ。最も欲するものさえ手に入れられるのならば。
火を眺めていたアリスは、失敗作が灰になるまで燃え尽きたのを確認すると穴を埋め戻すことを人形達に命じた。そして人形達に最後の命令を下すと、アリスは館に向かった。
自分を縛り付けていた研究を焼き尽くしたことで心も足取りも驚くほど軽くなっていた。
アリスは館に戻り、書斎へ向かった。庭からは人形が自壊する音がいくつも響いている。
書斎には「魔理沙」がいるはずだった。
「ア リ ス」
書斎にアリスが入ると「魔理沙」が声を発した。
アリスは「魔理沙」の微笑みに同じようにして返し、「魔理沙」の元まで歩き、椅子にすわったままの「魔理沙」を後ろから抱きしめた。「魔理沙」は抱かれたまま、嬉しそうにしている。
アリスは抱きしめたままの「魔理沙」へ満面の笑みを向けると、一片の虚構も存在しないアリスにとっての真実を告げた。
「愛しているわ。この世界の誰よりも。この世界で誰よりも。愛してる。愛しているわ。魔理沙」
アリス・マーガトロイドは、自宅で人形を作っていた。今日作成しているのは自律する人形、その試作だ。
彼女の作業場の隅には作成した人形、その失敗作が様々な形状となって溜め込まれている。
例えば、初期に作った普通の人形と全く変わらない物は、アリスがその人形に様々な感情を発露した結果胴体部の八割が消滅して最下層に埋まっているし、つい先日作ったばかりの人形は魔力の循環がうまくいかず、妙な具合に魔力を放出した結果人口皮膚をケロイド状に変質させ、笑顔で人形の山の上で倒れている。
他にも様々な状態の人形が寄り集められ山となっている。
ある物は頭部が左右で分かたれ、ある物は全身に穴があき。という具合で五体満足な人形はその山には一体も存在しない。
ここ最近、色々あって出来た縁でそれとなく話をしていて分かったことは一つだけ。
人形を自律させるには、人形自体が魔力を発し循環させ、稼動させねばならない。
そんなことはとうの昔に分かってはいたが、それぐらいしかえるものは無かった。
あの連中は直接尋ねても応えてくれそうにないし、大体そんなこと人形師のプライドが許さない。
そして今作っている途中の人形。まだ7割ほどしか完成しておらず、服飾も髪もつけていないただの素体として出来上がった所だが、この時点で既に失敗作と分かった。
何のことは無い。ただの人形ではダメなのだ。そして私は人形しか作れない。
ため息を一つついて、人形に失敗作の処理を命令するとアリスは腰をあげ書斎へ向かった。
作業場では、直ぐに失敗作が人形達に運ばれ、処理場と化したその一角で失敗作の処理を行っている。鈍器で人体に似たものを圧縮する音が、静かな屋敷に幾つかひびきわたった。感性溢れる人妖ならば、それは人形の断末魔にも聞こえるのかもしれない。
書斎。
書物に囲まれたそこで、机においてあるノートに今日の試作体のレポートを書く。
まずは日付、そして成否。このノートはもう何冊目になるのか分からないがこの最初の一文だけは常に同じだ。
失敗。その二文字と共にレポートは始まる。
そして人形が何を目指したのか。問題点はどこか。などを書く。
一通り今回のレポートが書き終わると、頁をめくり、以前の結果に目を通す。
失敗。失敗。失敗。失敗。
これじゃ憂鬱にもなるわ。
悔しい事に、何一つ改善されていない。
通常型の人形であるならば、ある程度進歩した。けれど、それは自律しない。
私の魔力によって稼動するのだから、人形自体のつくりは外見と、少々の特殊な構造程度のものだ。
そこで、魔力を自分で発生させ循環させる。という人形を造ったのだが、その結果は処理場の一角の皮膚の爛れた人形の群れだ。
さて、どうしたものか。
アリスは考えた。
いっそ、柔らかい石でも入れてみようか? などとも考えるが、専門外の分野である錬金術に手を出すよりは今の方向性で言ったほうが確実であろう。しかしこれも何度目の思い付きだろうか。と気付いて溜息の数を増やしただけであった。
そして思考は螺旋し地下迷宮に入り込む。
方向性は決して間違ってはいないはずだ。
既存の人形は私の魔力で命令を受け稼動する。
攻撃せよ。という命令では受け取っている魔力から弾を生成し射出する
特別な行動も同様。スペルカードに応じた動きを命令しているだけで自発的な行動では絶対にない
では、どうすればよいのか。
それは簡単だ。自律する人形は、自分で魔力を発生させ、循環させればよい。
何が悪いのか。
事前に魔力を受け取っておき切れると同時に行動不能になるタイプは大分前に試したが無理だった。
消費する魔力が大きすぎ、人形が許容できる魔力では自律行動が出来ない。大容量を保有させると人形爆弾が完成するだけだった。
溜息を一つ増やす。
ああ、幸せなんて溜息ごときじゃ逃げはしないからどうでもいい事。
思い出すのは魔理沙に教えてもらって見に行った鈴蘭畑。そこにいたのは人形だった。
それは紛れも無く人形であり、現在の自分では作り出すことの出来ない高みにあることは確かだが、所詮人形であり自律とは程遠かった。
毒によって稼動する。つまりは私の人形達が私の魔力を受け取って稼動するのと原理的には変わらない。
自然から受け取るか、私から受け取るかの違いだ。
つまり、自我を有しているという事も含めてすごいのは確かなのだが、参考には余りならない。
どうしたものか――
出口の無い思考の円環からアリスを引き上げたのは少女の声だった。
「ア リ ス」
「どうしたの魔理沙?」
隣の椅子で座っていた魔理沙が声を出したのでアリスはノートから顔をあげ魔理沙へ向きなおった。
魔理沙は何も語らず、アリスの顔を見て微笑むだけだ。
「そうね」
こういうときは、散歩でもして気を紛らわすのもいいかも知れない。何か新しい発見があるかもしれないし、何よりにつまった頭をすっきりさせるのにもいいだろう。
「じゃあ、散歩に行ってくるわね。留守番よろしくね、魔理沙。物を取っちゃダメよ」
魔理沙は返事をする代わりに微笑んだ
「いい子でいてね」アリスは魔理沙の頬を軽く撫でた
ここのところ煮詰まっていたから外に出るなんて、何日ぶりだろうか?
レポートの隣においてあった日記を見たらなんと二週間も家に引きこもっていたようだった。
ああ、時間の流れって早くて嫌ね。ほんとに。
そしてアリスは久しぶりに館の外へ出た。森の木々から漏れる日の光が美しかった。
少し離れた森の一部で火が上がっていたがアリスはそれを無視した。魔理沙が息抜きに散歩でもしてきたほうがいいぜ、と言ったのならばそれが良いに決まっており、それ以外のことをなす必要をアリスは認めなかった。
だが、一瞬見えた勢いよく吹き上がる火焔はアリスの気分を変えるのに役立った。
[D-day]-2
「ようアリス」
「何しに来たのよ」
魔理沙が尋ねてきたのは、もう一歩で何かがつかめそう。という口惜しい失敗が続いた頃だった。必然的に邪険にもなろうというものだ。
「いやな。良いきのこが取れたから近所におすそわけしてやろうと思ってな」
「要らないわよ。それに人形にきのこなんて何に使うってのよ」
「そ、それは・・・・・・まあ何かに使えるだろ。何かに」
今は無駄でもいつかどっかで役に立つものを教養っていうんだぜ。と魔理沙は言うが、沈黙の間に何を想像したのかは、素面なのに赤らんだ顔から推測するにろくでもないことのようだ。
「まぁいいわ」 煮詰まっている所だし気分転換も必要だろう。とアリスは判断した「あがっていくの?」
「そうさせてもらうぜ」
勝手知りたるとばかりに家へあがる魔理沙。ここ数日計測不能なまでに増えた溜息のカウントを一つ増大させてアリスは魔理沙の後についてリビングへ向かった。
「それで、だな。アリス」
「?」
「こないだ話した人形は見てきたのか?」
「見てきたわ」
「で、どうだった?」
魔理沙は好奇心を抑え切れない様子でアリスに質問した。アリスはその人形を見て、現状の方針が正解の一つであることを確信すると同時に、どこまでいっても自律する人形を作成できないのではないか、と絶望していた。
「・・・…凄いものね」当たり障りのないように少し考えてから言葉を発した。
「だろ?」
魔理沙は無邪気に喜んだ。自分の情報が役に立ったのが嬉しい。そんな純粋な感情だったのかもしれないが、アリスはその無邪気さがうらやましかった。
「ああ、そういえばこの間」
魔理沙は彼是と自分が見てきた話をアリスに聞かせるが、アリスの耳にはそれは届かなかった。
あの人形。自我を持っている人形。目指すべきもの。
だが、だが。
所詮人形は人形。操るべきモノが無くては存在しえないのでは? 私が目指している人形は本当に人形なのか?
人妖のような、自我を持つモノを造るのに、人形を、何故、用いねばならないのか。
「おいアリス」
呼ばれて顔を上げると魔理沙が怒ったような顔をしている
「え? 何」
「聞いてなかったのか」
魔理沙はまぁ仕方ないか。と笑った
「煮詰まっちまった時は、早く寝て気分でも変えたほうがいいぜ」
「そうかもね」
確かに魔理沙の言う通りだ。ここのところ同じような考えが浮かんでは消え、迷宮に入り込んだかのように抜け出せない。
だが、一度思いついたことは頭を離れる事は無く、常にどこかで考えていた。
自律する人形は、自我を持つ人形は。どのように造るのであろうか?
果たしてそれは人形と言えるのだろうか?
「消すぞー」
言葉で言われても、そう簡単に気分を切り替えられるわけも無く、思考は相変わらず円環し、いつの間にか寝る事になっていた。
記憶に薄いが何処かで、魔理沙は当然のように今日は泊まっていくと告げていた。
寝具が二つあるわけでもないので、いつものように一つのベットに入り明かりを消した。
「アリス」
「ん?」
「さっきも言ったけど、根をつめすぎると良くないぜ」
「うん。わかってる」
「それだけだ。お休み」
「おやすみ」
自我を持つ人形、自律する人形。それは人形なのだろうか?
そして――そんな人形かどうか怪しいものは、人形から作りだすことができるのか?
いつまでも円環するその思考も魔理沙の気配と相殺され、アリスは久方ぶりに疲労以外の理由で熟睡することができた
[D-day]-?
「アリス」
「何よ」
「好きだぜ」
「な、なに言ってるのよ」
「嫌か?」
「い、嫌じゃない、けど」
「なら、いいだろ」
[D-day]
ぐしゃり、と。鈍い音がする。
まただ。またダメだ。
口惜しさで力が篭り、歯が音を立てる。
失敗した人形をそのまま殴り潰すと、その残骸を作業場の隅のゴミ山へ放り投げた。
試せる方法はとうに試しつくした。何かが足りないのだ。何かが。一体何が足りないというのか。
人形では、駄目だとでもいうのか。
「ダメね」
溜息を一つ増やし、自分以外に口を利くものが居ない家でひとりごちる。
ダメなのは作業とか方法とか、そういうレベルではなく思考そのものがダメな方向だ。
ああ、こういうときは先日魔理沙のいっていたとおり、しばらくこれから離れて頭を冷やすべきだろう。
作業場を出て、お風呂にでも入ろうか、と移動していたら呼び鈴がなった。
ああ、そういえば。魔理沙がまた来るといってたわね。と思い出し、玄関へと向かった。
「よ」
「いらっしゃい」
「邪魔するぜ」
「私はお風呂にはいってくるから、上がってて」
「わかった」
そのままアリスは風呂へ向かう。リビングに向かった魔理沙はなにやらゴチャゴチャとやっているようだが、いつもの事なので気にもしない
アリスは湯船につかりながら、やはり同じ事を考えてしまっていた。
どうすれば、それが為せるのであろうか。人形は、人形でしかなく、もっと他のものを使わねば、出来ないのではないか。
私によって形作られるのならば、人形以外の手段によってでもそれを行いうるのではないか。
自律し、自我を持つ人形とは、果たして人形であるのか。
いつものようなそんな思考に加え、今日はある思い付きを考えていた。
自我を持つ物を人形とした場合、それは自律する人形となりうるのか?
こちらの問いかけに対してはある程度分かっている。
例えば、紫と藍の関係はそのようなものだ。普段は自律し、自我で動く藍だが、スペルカードの一部として紫が組み込んでいるとき、その関係は私の人形のようなものだろう。
あの原理は今一分からないが、藍は普段は自律しているし、その式も普段は自律している。
であるならば。
自律し、自我を持つ物を、私の魔力によって制御下においたならば。
それはやはり自律し自我を持つのではなかろうか。
だが、それは人形なのか?
人の形をした人でないもの。その意味でなら人形とも呼べよう。
材料に布と糸以外で作り上げられる人形も存在する。その意味で言えば人形であろう。
そこまで考えて息を吐き出し、頭を振った。
私は、何を考えているんだろう。ああ、ダメな時は本当に何もかもダメだ。
「けど」と、アリスが呆とつぶやいた声が浴室にくぐもった「決して不可能じゃ、無い」
「お、アリス。ようやく出たのか。ずいぶんと長湯だったな」
魔理沙は当たり前のように茶を入れていた。白黒の二色で決めた西洋風魔法使いが緑茶をすする様は何時見ても悪いジョークのようだ。
「ええ、大分、さっぱりしたわ」
「なぁ。アリス」
「何?」
「そんなに煮詰まってるのか?」
魔理沙は心配そうにアリスの顔を覗き込んだ。
「まぁ、そんなとこよ」
アリスは人形が持ってきた紅茶を一口飲み、魔理沙の正面へと座った。
「この間も言ったけど、根をつめすぎるのは良くないぜ」
「わかってるわ」
「ならいいけどな」
そういうと、魔理沙はいつものように他愛も無い話を始めた。
「この間は」と、魔理沙は言う。
紅魔館の図書館で面白い本を見つけた、とか。神社で霊夢が暇そうにしていた。とか他愛も無い話ばかりだ。
そんな話を聞きながら私は考える。考える。
何ゆえ魔理沙はそんな、意味の無いことを毎度話しに来るのか。魔理沙はこの前アリスさえいればいい。そう言ってくれたのではなかったか。
人形造りに何故失敗するのか。魔理沙は何故こんな話しをするのか。とりとめのない思考が絡み合い意味が分からなくなる。
「アリス?」怪訝な顔をした魔理沙がアリスを見つめていた。
「何?」
「大丈夫か?顔色悪いぞ」
「うん。大丈夫よ」
「そうか。何度も言うが無理は良くないぜ」
「わかってるわ」
自我を持ち、自律する者を人形としたならば、それは自律する人形となりうるのではないか。
「ああ、そういえば」
一拍沈黙した後、アリスは思考を切り替える為に話を持ち出した
「この間の返事がまだだったわね」
「この間? 何の事だ」
もしも、自我を持つ物を人形に出来るのであれば。
そして、その人形を心のそこから愛する事が出来るのならば。
それは――
「ああ、忘れたんならいいわ」
「何だよ。気になるじゃないか」
「どうでもいいことよ。あなたがそのうち返してくれるはずのアイテムに比べれば」
「おいおい」魔理沙はいつものように笑った。「それはすごく重大なことだぜ」
魔理沙の笑顔につられてアリスも笑う。
他愛も無い何時も通りのおしゃべりが続く。だがアリスは頭のどこかで常に考えていた。その考えを捨て切る事は出来なかった。
「おっと、もうこんな時間か」
そろそろおいとまするぜ。と魔理沙が言ったのでアリスは驚いた。
「てっきり今日もとまると思ってたのに。珍しいわね」
「ああ、霊夢の所に」
この間のきのこを届けてやろうと思ってな。どうせひもじい思いをしているだろうし。
「そう」
もし、自我を持つ物を、人形にできるのならば。
もし、その人形を、愛する事が出来たなら。
それは――私だけのモノとなるのだ。
「魔理沙」アリスは玄関で靴を履くためにしゃがんだ魔理沙に後ろから手を回し、その耳元へ告げた。
「いつか、言ってくれた時は、ちゃんと、返事が、出来なかったけれど」
アリスはいつか見た光景を思い起こした。
「好きよ。魔理沙」
「さっぱり分からないんだが」魔理沙は混乱と羞恥で顔を赤らめた。
「何の話だ?」
「そう」アリスは嬉しそうに返答した「でも、いいの」
「何、が」
困惑する魔理沙へ、アリスは疲れた顔面に可能な限り魅力的な笑みを浮かべて応えた。
「愛しているわ」
アリスの言葉と共に、魔理沙の意識は暗転した。
力を失った魔理沙の体を、引き摺るようにして作業場へ運ぶアリスの心は躍っていた。
もしも自律し自我を持つモノを人形とできるのならば――
それはきっと、自律する人形と為り得るのだろう。
そして作業場からいつもとは、やや異なった音色が響き始めた。
[D-day]+3
「ア リ ス」
ややぎこちなく、「魔理沙」が口を開いた。
アリスは「魔理沙」を腕に抱き、混濁した瞳に心のそこからの笑みを浮かべた。その返答として「魔理沙」に口付けをした。
[D-day]+9
アリスは一つ決心をした。気分転換をした時の思いつき。それを一日考えて決心するに至った。
まず人形に命令し庭に深い穴を掘らせ、失敗作の群れをそこに運ばせ、最後に今まで書き溜めてきたレポートを人形達の屍の上へと置いた。
魔法で失敗作の群れに火を放ち、今まで行ってきた魔法使いとしての研究が灰になる様子をアリスは眺めていた。
自分の生きてきた証を否定する筈のその火焔を見ていて、アリスは実に気分が良かった。余りの気分のよさに声を上げて笑ってしまうほどだった。
もっと早く、こうするべきだったのかもしれないとすら思っている。
求めるものが、思考するものが、間違っていたのだ。唯一つ。最も欲するものさえ手に入れられるのならば。
火を眺めていたアリスは、失敗作が灰になるまで燃え尽きたのを確認すると穴を埋め戻すことを人形達に命じた。そして人形達に最後の命令を下すと、アリスは館に向かった。
自分を縛り付けていた研究を焼き尽くしたことで心も足取りも驚くほど軽くなっていた。
アリスは館に戻り、書斎へ向かった。庭からは人形が自壊する音がいくつも響いている。
書斎には「魔理沙」がいるはずだった。
「ア リ ス」
書斎にアリスが入ると「魔理沙」が声を発した。
アリスは「魔理沙」の微笑みに同じようにして返し、「魔理沙」の元まで歩き、椅子にすわったままの「魔理沙」を後ろから抱きしめた。「魔理沙」は抱かれたまま、嬉しそうにしている。
アリスは抱きしめたままの「魔理沙」へ満面の笑みを向けると、一片の虚構も存在しないアリスにとっての真実を告げた。
「愛しているわ。この世界の誰よりも。この世界で誰よりも。愛してる。愛しているわ。魔理沙」
ホラーものなら、先が読める故に怖さも激減。
どっちにしろ構成の練りが甘い。これでは読めたものではない。
私が感じた点を2つ。
一つ。溜めるのはよくない。メインが一番最後なのはもってのほか。
読者は次第に焦れだし、苛立たつことになる。先も読まれやすくなる。
二つ。時間系列を安易にバラバラにしてはいけない。
物語が複雑になるだけで、かえってわかりにくくなる。
なぜこうしたのか知らないが、これだとあなたが期待した通りになってないと思う。
つまらなかったと言いたいところですが、それではあんまりなので次回に生かせそうな点を挙げてみました。
以後の精進を期待します。
こういう話自体は割と好きなんだが・・・
最後の辺り少しだけ短絡したっぽいところ以外は特に問題なかったかと。
添削教室みたいでやだなー
面白かったですよ
…うーん、んーと言いたくなるような。
話自体はとても面白いと思います、ただ表現方法っつーか
話の流れっつーか…なんか、こう凝り過ぎた、とでも言うのかな。
独特ではあるけど、どこかズレたなーってのが感想です。
誤:人口皮膚
正:人工皮膚
精進してくだちぃ
あとはまあ、アリスがぶっ壊れていく過程をもう少し丁寧に読みたかったなあ、と。
だがしかし時系列が少し分かりづらかったのが玉に瑕
後ちょっと[D-day]が良くわからなかった
ノルマンディー上陸作戦だったかの実行日がD-dayでその-つまり何日前か、+何日後か。です。
タイトルの元ネタの映画のドゥームズデイともかけてますが、まぁジョークです。
何かがあった/ある日という感じで使ってみましたが、使わないほうがよかったかもしれませんね。
感想については特にレスしませんがありがたく読ませて頂きます。
勘ぐりながら物を読むのも楽しみ方ですが、変に読み手が悟ろうとするのは無粋と思います。