竹林の奥にひっそりと建つ永遠亭。
まだ夜明け前だというのに名前を呼ぶ声が響く。
「ウドンゲー? いないのー?」
長い長い廊下の奥から聞こえる声の主は八意永琳。何か用事があるらしくそこらを歩いているウサギたちにウドンゲ、つまり鈴仙の居場所を尋ねて回っている。しかし、誰も彼女の居場所を知らないらしく、首を横に振るばかりだ。
「……仕方ないわねえ」
頬に手を当ててため息をつく姿は実に堂に入っていた。苦労人の証である。主に誰のとは言わないが。
と、彼女はウサギたちの中に特徴のある顔を見つけた。
「あ、てゐ、ちょうどいいところに」
「はいはい永琳さま。何か御用でしょうか?」
声をかけられるのを今か今かと待っているような怪しい素振りだったが気にしない。鈴仙を見つけるためは彼女の情報網が必要なのだ。
「ウドンゲがどこにいるか知らない?」
「鈴仙ちゃ……さまですか? ちょっと待っててくださいね」
それだけ言うと、てゐは手近な部屋の一つに入っていった。嫌な予感がして、永琳はてゐとは反対側の部屋に身を隠した。
外の様子を探るために、ふすまを少しだけ開けておく。
しばらくすると何かの合図らしい笛の音。続いてどたどたと足音を響かせながら現れたウサギたちが、我先にと部屋に飛び込んでいく。
あっという間に部屋は一杯になったはずだ。閉められた、わずかにたわんだふすまがそれを証明している。
「ここだけ見るとまるで集団自殺みたいだわ……てゐったら、どうやってこの子達を操っているのかしら?」
天才にもわからないことはある。永琳の研究ノートに新たな項目が加えられることになった。
◇
「じゃ、かいさーん!」
てゐの元気な声が聞こた。ふすまが開いてぞろぞろとウサギたちが出てくる。
一、二、三、四、五、六……永琳が数えた限りでは、永遠亭にいるほぼ全ての数のウサギが部屋にいたことになる。
明らかに定員オーバー。どうやって入っていたんだろう?
永琳の研究ノートにまた一つ項目が追加された。
「本当なら今すぐ拷……じゃなくて質問して聞き出したいところだけど。それは次の楽しみに取っておきましょうか」
もう誰も部屋から出てこないことを確認した永琳は、何か不吉なことを口走りながら部屋を後にした。
「てゐ、入るわよ」
言って向いの部屋に足を踏み入れる。
部屋の中では、何故かてゐが正座をして座り、永琳を待っていた。そのただならぬ様子に永琳も表情を引き締め、座るよう勧められた座布団に腰を下ろす。
「永琳さま。一つ約束していただきたいことがあります」
てゐはまずそう切り出した。表情は真剣そのもの、一点の曇りもない……そのせいで余計に何かあるのではと永琳が勘繰ってしまう辺り、彼女の日ごろの行動がものを言っているようである。
「……言ってみなさい」
「はい。これから私が何を言っても、決して取り乱さないでください。それだけです」
「――」
思わず息を飲む。
てゐは暗に「鈴仙になにかがあった」と言っているからだ。
膝の上で軽く握っていただけの手に力が篭るのを感じながら、それでも冷静を装って、永琳は言った。
「わかりました。続けなさい」
「はい。実は――」
てゐは最近の鈴仙の様子について調べたことを語りだした。
まず、確認されているだけでここ一週間、鈴仙が人目を避けるようにこっそり出かけていくということ。
彼女が出かけていくのは決まって深夜。そして明け方になると、何事もなかったかのように床に戻っているという。
そういえば、と永琳は記憶を辿る。
確か一昨日だったか。眠たげな顔をしているのでどうしたのかと尋ねたら「なんでもありません」と慌てた様子で言っていた。不審に思って問い詰めると、貝のように固く口を閉ざして黙り込んでしまったっけ。
私に言いたくないことの一つや二つあるだろうとその場は放っておいたが、夜中にここを抜け出すとはいったい何をしているのだろう? 人目を避けるのはやましいところがあるから?
妙な胸騒ぎがする。永琳は握った手をそっと開いて滲んだ汗を拭った。
てゐの話では、一度、鈴仙の行動を不審に思ったウサギたちが何人かで固まって後を追っていったらしい。
月明かりの下、鈴仙は竹林をすいすいと抜けていき、森の中へと姿を消したという。
これ以上踏み込むのはさすがに命の危険が付きまとう。どうしようかと相談していたところに姿を消したはずの鈴仙が現れて、このことは誰にも言わないで欲しいと頼んだそうだ。
ウサギたちは律儀にその約束を守っていた。
もし、永琳が鈴仙を探していると言われなければ、一生胸の内にしまっておくつもりだったのかもしれない。
「それで、その森というのが」
「――魔法の森ね。あの魔法使いたちが住んでいる」
霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド。
以前のごたごたでここ永遠亭に乗り込んできた二人の少女。彼女らに鈴仙は何の用があったのだろう?
永琳は考える。鈴仙が自分に黙って何をしようとしているのか、誰に協力してもらっているのか。
魔法の研究? 薬剤の調合? いいえ、そんなものはここにいれば全て事足りるものだわ。原料の調達も頼んだ覚えはないし……そんな報告もない。
思考を切り上げる。駄目だ、推理しようにも材料が足りない。
他には何かないの?と永琳はてゐに目を向けた。それを待っていたかのようにてゐは言う。
「永琳さま、魔法の森にはもう一人住んでいますよ」
「誰?」
「森近霖之助。『香霖堂』の店主です」
聞きなれない名前だった。森近霖之助、『香霖堂』の店主――幻想郷に入り込んでからつい最近まで、ずっと隠れ住んできた彼女らだ。魔法の森の中に店を構える酔狂な人間のことなど知らなくても無理はない。
いやそれよりも。
「“霖之助”って……男?」
「はい」
夜中にこっそり出かけていく鈴仙。
明け方に帰ってきて寝不足な鈴仙。
このことは誰にも言わないで欲しいと頼んだ鈴仙。
そして、男。
――私のものに手を出すとはいい度胸だ。
目に暗い光を湛えたまま口元がわずかに釣りあがる。目には狂気と表現するにふさわしい光を湛えて。
「……てゐ」
「はい」
「このことは他言無用よ。いいわね?」
「はい」
「では、今すぐその『香霖堂』とやらに行って鈴仙を連れて帰ってきなさい。店主も一緒に」
「もし抵抗されたら?」
「生きてさえいればどうでもいいわ」
「……わかりました」
てゐは一礼し、無言のまま部屋を出る。あとは一度も振り返らずに屋敷の出口へ急いだ。
一人になったてゐは、誰もいないことを確認して汗を拭った。首筋までびっしょりだ。
「あーびっくりした。永琳って怒ると怖いのよねー。殺されるかと思ったわ」
でも、だからこそ面白い。てゐはにやりと笑う。天然詐欺師にとって人を騙すことはライフワークである。特に自分よりも頭の良い人間を騙せたときなどもうたまらない。足取りも自然と軽くなろうというものだ。
計算も推理も、一つ間違えば全く違う答えに行き着いてしまうもの。
しかし、普通にカードを晒せば彼女のことだ、きっと正しい答えにたどり着くに決まっている。
だから前もって先入観を抱かせておき、かつ思い当たる節のありそうなものから一枚一枚切っていく。
人からの話を鵜呑みにしない奴は、大抵、人の話を自分の頭の中で咀嚼し、整理しながら聞いているものだ。それが『月の頭脳』ならなおさら。きっと秒単位で仮説を立てて結果を導き出しているのだろう。
それが積み重なると次第に考えは逸れていく。でも先入観が邪魔をして本人はそれに気づかない。
加えてさらにそこに新しいカードを切っていくのだから、最後には正解とかけ離れた答えが出てしまうというわけ。
「ま、今回は上手く行きすぎって感じだけどね。……さて、早くしないと私まで酷い目にあっちゃうわ」
鼻歌を歌いながら軽くスキップ。
意気揚々とてゐは竹林を抜けていった。
◇
少しの時間、話は遡る。
まさかこんなことが起こっているなんて知る由もなく、僕は日課になりつつあった深夜の読書を楽しんでいた。
時計が一時を回る頃。コンコンと控えめにドアを叩く音がする。どうやら、彼女は今夜も来たらしい。
「開いているよ」
「お邪魔します」
入ってきた彼女――鈴仙・優曇華院・イナバはぺこりとお辞儀をする。相変わらず丁寧と言うか礼儀正しいと言うか、魔理沙や霊夢にも見習わせたいと思った。
鈴仙がこの店を訪ねてきたのは一週間前。
真夜中にドアを叩く音がするので急いで開けてみると、何というか……ウサギの耳を生やした少女が立っていた。まあ、彼女は本物のウサギで、月に住んでいたらしい。そこではウサギも人と変わらない姿をしているということだ。
僕自身、初めは半信半疑だったが、後日遊びに来た魔理沙に確認を取ると、竹林の奥にある『永遠亭』なるところにそんな名前のウサギがいたということだから、きっと本当のことなんだろう。
一日目は、彼女は何も言わず店の中のものを見て回っていたと思う。
“思う”というのは、僕はその日とても疲れていた。
だから、彼女が探し物をしている間についうとうとして、情けない話だが、椅子に腰掛けてすぐに眠ってしまったのだ。客を放り出したままで。
◇
目を覚ますと時計は十二時になろうかというところで、鈴仙の姿はなかった。肩には毛布がかけられていた。彼女がやってくれたのだろう。
カウンターには、
『――今夜、また来ようと思います。もし良ければこの笛を吹いてください 鈴仙』
と書かれた置手紙があって、犬笛のようなものが一緒に置かれていた。
毛布から出ると部屋の空気はひんやりとしていた。外は晴れているようだが、日が出ていてこれなのだ、きっと夜は冷えたに違いない。あの毛布がなかったら風邪を引いていただろう。
「……ううむ、これは断るわけにはいかないな」
相手が真夜中に押しかけてきたのだからこれでおあいこだと言うほど僕は心の狭い人間ではない。それにどうせ昼でも夜でも客の来ない店だ。夜中に来るとわかっている客のために閉めても問題はあるまい。
さて、そうと決まれば話は早い。
僕は『本日休業』の札を持って外に出た。もちろん例の笛も持って。
彼女が竹林のどの辺りに住んでいるかは知らないが、きちんと音が届くようにと大きく息を吸って思い切り強く笛を吹いておいた。
札をかけて、あとはゆっくり眠って夜を待つのみ。目は冴えていたけど、布団に入って目を閉じればすぐに眠ることができた。
次に目を覚ますと外はすっかり暗くなっていた。
時計は九時を過ぎたところ。寝すぎで硬くなってしまった体をほぐしながらまずは風呂へ。
それから簡単なものを作って食事を終えると十時。鈴仙が来るまではいつものように読書をして時間を潰すことにした。
時計が一時を回る頃。コンコンとドアを叩く音がした。
「どうぞ」
「お邪魔します」
ドアを開けて入ってきたのはやはり鈴仙だった。
彼女は昨日のように店の中のものを見て回るつもりだろう。僕はほとんど読み終わっている本に目を落とした。アリスと同じで、彼女なら店の中を自由に触らせても問題はないはずだ。
「あ、あの……」
「ん?」
しかし、何故か彼女はカウンター越しに僕の正面に立っていた。
これは読書をする雰囲気でもないだろう。栞を挟んで顔を上げると、緊張しているのか強張った顔の鈴仙と目が合った。
「きょ、今日はありがとうございます。昨日は真夜中に押しかけてしまったものですから、正直、断られるって思っていました」
「いや、構わないよ。どうせ昼も夜も暇な店だからね。客が来るとわかっているなら、夜中でも店を開ける甲斐があるってものさ。ところで……」
昨日は半分眠っていたようなものだから気づかなかった。でも、よく見ると鈴仙の格好は変わっている。
ウサギにしては大きな耳とか。外の世界の学生服のようなものを着ているところとか。……まあ、つい昨日まで人の姿をしたウサギというものを知らなかったせいであることも否定はしないけど。
「『ところで……』何でしょうか?」
おかしな間があったからか僕の視線が気になったからか――多分どちらもだろう――、鈴仙は少し怪訝そうな顔をして尋ねてきた。
「ああ、いや、君がその……変わった格好をしているなと思ってね。気を悪くしたなら謝るよ」
「……そうですか」
言うなり鈴仙の耳が力なく垂れ下がっていった。その耳に邪魔されて表情は見えないが、どうやら自覚はあるらしい。
「すまない」
なんだか居たたまれない気持ちになって僕は謝っていた。
「いえ、いいんです。永遠亭でもこんな耳をしているのは私だけですし、他のウサギにも言われたことがありますから」
言葉とは裏腹にどこか遠い目をして語る鈴仙。
まずい、というより良心が痛む。もしかして僕は彼女の触れてはいけない心の古傷に触れてしまったのではないだろうか?
とにかく話を変えなければ。
「そ、そういえば! 今日は何を探しに来たんだい?」
「――え? あ、そうでした。ごめんなさい。昔の癖でつい……」
「昔の癖って?」と言おうとしたところで、欠伸をかみ殺す振りをして我慢する。
危なかった。せっかく本題に入れるところなのだ。また話が逆戻りしてもらっては困る。
鈴仙はしばらく気を落ち着けようと深呼吸を繰り返し、意を決したように言った。
ある人に、贈り物をしたいんです――と。
その“ある人”が誰なのか、すぐにわかった。
鈴仙は、普段はとても落ち着いているのだが、その“ある人”の話になると途端に饒舌になるのだ。
例えば先日も服の話をすると、
「この服は師匠がくれたものなんです。弟子入りした日に「貴方は物を教わる立場なんだから、それらしい格好をしなさい」って。会って間もない私に、何の見返りもないってわかっているのに。だから、私は師匠のくれたこの服が大好きです」
というような話を、これ以上ない笑顔で聞かせてくれる。聞いているこっちが照れるくらいだ。
加えて、ことあるごとに「師匠は、師匠は」と繰り返すその姿は、どことなく「お嬢様は」を繰り返す咲夜に通じるものがある。
だから試しに「師匠が好きなんだね」と聞いてみたら、「はい!」とはっきり言ってから、自分の言ったことに気づいて真っ赤になっていた。そんなところまでそっくりだ。
もしかしたら、使用人というのは皆、そういうものなのだろうか?
そう思わずにはいられなかった。
◇
――閑話休題。
今夜も鈴仙の贈り物探しは難航していた。
というのも、彼女の師匠――八意永琳の好みが今一つ掴めなかったからだ。
どうやら彼女には少なからず蒐集癖があるらしく、自室にはよくわからない物が多々置かれているという。
その性質は価値のあるもの、または特別な力を持ったものを重点的に集めるアリスより、興味を持ったものを集める魔理沙に近いようだ。だからこそ余計に性質が悪いとも言える。
鈴仙の話では、怨霊を封じた宝石、祭事用の仮面、呪われた武器、希少なグリモワール、それに以前アリスから奪ったと思われる可愛らしい人形などなど……数え上げればきりがない。まあ、それでも部屋が腐海と化さないところが魔理沙とは大違いだ。
……おっと、話が逸れたな。
ちなみに、鈴仙がこの店にいられる時間は短い。夜中に屋敷を抜け出して、明け方までには帰らなければならないのだからそれは仕方がない。だが、その短い時間を迷うことに費やして一週間。そろそろ体力的にも限界のはず。
だから僕は「こういった贈り物は、贈り手の気持ちが大事だ」と一般論を持ち出してみた。
鈴仙が『何を送れば師匠に喜んでもらえるか』、『何を送れば師匠は気に入ってくれるか』ということにばかり拘っていたからだ。
もちろん相手にとって好ましい物を贈ることは大切だが、鈴仙の場合、必要以上に相手を立てようとしているように見える。……まあ、弟子と師匠というものはそういうものなのかもしれない。わずかなの間しか霧雨の家に留まらなかった僕にはわからないことだろう。
しかし、そういうものを抜きにしても、鈴仙にはもう少し『自分自身が何を贈りたいか』ということを考えてもらいたかった。
もし八意永琳という人が鈴仙の言うとおりの人だったなら、自分の弟子からの贈り物を無碍に扱うことはないと思う。そして、彼女の贈り物に込めた気持ちが伝わればそれで十分なはずだ。
「……そうですよね。あはは……私ったらなにを悩んでたんだろう」
我ながらなんとも青臭い説得だとは思ったけれど、どうやら納得してくれたらしい。鈴仙は見繕っていた品物を片付けて、一つの箱を持ってこちらにやってきた。
カウンターの上に箱を乗せて開いてみせる。
「これを譲ってもらいたいのですが」
鈴仙の言う“これ”は、いわゆる『幸運を呼ぶお守り』というやつだ。
つい最近無縁塚に流れ着いたものを、珍しさもあって持ち帰ったのだが……これを贈るつもりとは、遊び心があるというかなんというか。
「少々値が張るけど、本当にいいのかい?」
「はい。……で、いくらになりますか?」
一度は頷いて見せたものの、やはり気になるらしい。僕は電卓に金額を打ち込んで鈴仙に見せてみた。と、彼女の耳が見る間に萎れていく。
嫌な予感がした。
「こ、こんなにするんですか……?」
「こんなにとは大袈裟な。適正価格というものだよ」
「……あ、あの、せめてこれくらいになりませんか?」
予感は見事なまでに的中。電卓に打ち込まれた数字を見て、一瞬気が遠くなった。
「えと、私たちは基本的に自給自足で……その、お金がない、というより必要がなかったんです。それで、その……」
必死になって説明を続ける鈴仙を見ているうちに、僕はなんとなく「まあ、それもいいかな」という気になってしまった。
だから、次の一言はある意味敗北宣言でもある。
「いいよ」
「――え?」
「実を言うと、ここにあるものはほとんど元手が掛かっていないからね。払ってもらえるだけ良しとしておくさ」
「あ、ありがとうございます!」
◇
鈴仙は箱を胸に抱いて大喜びで帰っていった。
そんな彼女の姿に僕は幸福感と満足感を得て、代わりに商売人としての敗北感を得るのだった。
――あらあら、霊夢たちと違ってずいぶんと優しいのね。
声と共に店の中に仄かに良い香りが漂う。それが誰かなんて見る必要もない。
「君はいつも突然だね。……それから勘違いしないように言っておくが、僕は別に贔屓をしているわけじゃない。彼女には代金を払おうという意思があった。霊夢たちにはなかった。それだけの話だ」
「本当にそうかしら?」
天井のスキマから現れた彼女――八雲紫はくすくす笑いながら地面に降り立った。店の品物を見て回っているので、とりあえずは客として来たということだろう。
しかし、そのたびに人をからかうのは如何なものか。
……こっちはもう寝ようとしていたのに。
窓を見ると夜が明け始めていた。
かといって、彼女を放って寝るわけにもいくまい。起きてみたら店ごと神隠しにあっていた、なんて洒落にもならない。
仕方がないので読みかけていた本を開いて彼女の気が済むのを待つことにした。
――で、暫く。
突然、目の前に鉄の塊が置かれた。……いや、この言葉には語弊があるか。
正確には『鉄でできた箱』と言ったほうが正しい。外の世界の物で、薄く延ばした鉄の板や、その他諸々よくわからない部品によって構成されている機械だ。名前は『ビデオデッキ』という。何か他の物と一緒に使うらしいことはわかっているのだが、それが何かはわからなかった。
紫はこれの使い方を知っているらしく、前々から狙っていたようである。
ちなみに「そんなに欲しいなら自分の能力で外の世界から持ってくればいいのに、どうして拘るのか?」と聞いたら、「外の世界ではもう作られてないし、探すのは面倒だから」という答えが返ってきた。
なるほど。家事全般を全て式に押し付ける彼女らしい答えだと思った。
「これ、譲ってもらえないかしら?」
僕が考えに耽っていると、紫はまずそう切り出してきた。
だから僕も本を閉じて――もう何度繰り返したかわからない答えを返すのだ。
「構わないよ。きちんと代金を払ってくれるならね」
いつもならここで紫は、値切りに来るか、泣き落としに来るか、拗ねて帰るか、いずれかの行動をとるのだが……どうも今日は様子が違っていた。
「いいえ、代金を払う必要なんて無いわ。これは『ただ』で私の物になるんですもの」
と、自信あり気な笑みを浮かべてはっきりとそう言い切った。
おかしいな。
僕は首を傾げた。彼女が何の根拠もなしにこんなことを言うとは思えない。
以前一度だけそんなはったりをかました彼女を、帰りが遅いと業を煮やした式が引っ張っていったことがあったが、それとも違うらしい。
嫌なことが起こりそうな……というより、紫が来て良い事があった試しはほとんど無い。
自然と僕の手はカウンターの引き出しの中へと伸びていた。
――刹那、予告もなしに店のドアが吹っ飛んだ。
「森近霖之助ー! 鈴仙ちゃん返せー!!」
聞こえてきたのはまだ幼さの残る少女の声。「鈴仙」と言ったところを見ると彼女の関係者らしい。
ああちなみに吹っ飛んだドアは僕を――ではなくお目当てのビデオデッキを庇った紫を直撃して粉々に砕けてしまった。
「やれやれ、修理にいったいいくら掛かると思っているんだい?」
ふむ、こんなことが真っ先に口を突いて出るとは、僕もだいぶこういった事態に慣れてきたらしい。
俯いたままぶるぶる震えている紫の顔は怖くて見る気にならないので、代わりに僕は立ち上がって謎の襲撃犯の顔を拝むことにした。
「……ウサギ?」
襲撃犯の正体はウサギだった。
鈴仙よりも幼い雰囲気のウサギ。服装もそうだが、顔つきも子供っぽい。そして目の前に迫る弾……弾――!?
「うわっ!?」
仰け反った拍子に後ろ向きに倒れてしまう。尻餅をついた格好はみっともないことこの上なかったけど命には代えられない。
見れば例のウサギはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。こっちが本性というわけか。
「質問があるの。鈴仙ちゃんはどこ?」
その勝ち誇ったような笑みは気に入らないが、鈴仙を探しているのは本当らしい。ここは正直に答えておこう。
「彼女ならもう帰ったよ。そろそろ着く頃じゃないかな?」
「嘘はいけないね。そんな嘘つきには……」
「――!」
予想通り彼女は僕の言うことを信用しなかった。だから、こちらも防衛行動に出てしまう。
彼女が妖弾を放つと同時に隠し持っていた銃の引き金を引く。弾速はこちらの方がはるかに上だ。撃ち出された銃弾は妖弾を貫き、少女の髪を掠めて彼方へ飛び去った。
ぺたんと尻餅をつくウサギの少女。対して僕は悠々と立ち上がり、形勢は逆転したかに“見えた”。
実際はその逆――はっきり言ってしまえば、彼女を本気にさせてしまったということだ。
少女の目は怒りに燃えて赤く輝き、立ち上る妖気はまるで陽炎のように揺らめく。
これは駄目だと頭の中で警鐘が鳴り響く。こうなってしまったらもう僕の力ではどうしようもない。
「まったく、僕は殺すのも殺されるのも嫌だというのに……仕方ない」
やれやれだ。認めたくはないが、紫の筋書き通りに事を運んでしまったらしい。
「彼女を追い返してくれたら、そのビデオデッキをただで譲ろう。その代わり、店への被害は極力出さないようにして欲しい。ついでにドアを修理しておいてくれると、とても助かる」
紫は無言で頷く。ここからでは見えないが、顔はきっと笑ってるに違いない。
「じゃあ頼んだよ。……僕はもう寝ることにするよ」
「ええ、ゆっくりお休みなさい♪」
やけに嬉しそうな紫の声とウサギの少女の悲鳴を聞きながら、僕は布団に潜り込むのだった。
◇
鈴仙が帰ると永遠亭には異様な気配が漂っていた。
殺気立っている、と言うのだろうか? なんとなく落ち着かない雰囲気。
永遠亭全体ではなく、ある一部の人間が発する殺気や怒気のようなものが、永遠亭に漂っている感じだ。
――何があったんだろう……?
まさかその原因が自分であるとは夢にも思わず、鈴仙はいつも使っている出入り口からこっそりと入り、ウサギたちの巡回ルートの死角を突くようにして自分の寝室へ。一度、寝ぼけて違うルートを通ってウサギたちに見つかってしまったことがあったから、細心の注意を払って確実に進んでいく。
無事、寝室に到着。
音を立てないようにふすまを開けると、中には怖い顔をした永琳が待ち構えていた。
「こんな時間までどこに行っていたのかしら?」
「し、師匠? どうしてここに……?」
よくわからない。どうして自分の部屋に師匠がいるのか。どうして師匠が怒っているのか。
「……とにかくこっちに来なさい」
おろおろしていると、部屋の真ん中に向かい合って置かれた座布団を指される。何を言うこともできず、ただ促されるままに鈴仙は座った。
永琳は何も言わない。鈴仙は何も言えない。二人の間に重苦しい沈黙が横たわる。
悪いことをしていたような気がしてきて、鈴仙は俯いてしまう。それを咎めるように永琳は言った。
「目を逸らすということは、何か疚しいことがある証拠ね」
「……あの、別に私は疚しいことがあるわけじゃ……」
「もしそうなら私の目を見て言いなさい。できないなら、信用する訳にはいかないわ」
鈴仙の反論は一蹴されてしまった。
しかし、これは当然の反応だと思う。相手の目を見ないでぼそぼそ言い訳をしても信じてくれる人なんて居やしない。
鈴仙は覚悟を決めて顔を上げ、真っ直ぐに永琳の目を見る。
「――師匠!」
「な、何かしら?」
何故か少したじろぐ永琳。
「実は、これを師匠にと……あ、あれ?」
ポケットに入れた箱を取り出そうと手を突っ込んだ鈴仙。しかし、焦っていたためか箱を掴んだ手が引っかかってなかなか抜けない。
永琳はそんな鈴仙に険しい視線を送っている。ますます焦った鈴仙は力を込めて手を引き抜いた。
その結果、
「――あ」
箱は鈴仙の手を離れ、
「……あら」
放物線を描いて永琳の手に収まった。
◇
実際のところ、鈴仙同様、永琳もいつも通り落ち着いていられる気分ではなかった。
初めは怒りにも似た感情が体を支配していたが、それも時間が経つと薄れていき、やがていつものように物事をいろいろな方面から考えるようになる。
しかし、考えても考えても確実なことは一つだけ。
――自分の弟子が真夜中に屋敷を抜け出して男と密会している。
人生経験は豊富であると自他共に認める彼女だったが、さすがにこんな経験はないし、経験したいとも思わない。
淑女であれ。それが八意の教えの一つ。だから鈴仙が何を言うのか全く先が読めなかった。
――結婚? いやいや、そんなまさか。師匠の私を差し置いて……。
否定しようにも『もしかしたら』がひょっこり顔を出して邪魔をする。
そんなこんなで今や月の頭脳はパンク寸前。膨大な演算能力を有する彼女の頭も色恋沙汰には弱いと見えた。
しかも鈴仙は先ほどから黙ったままだ。向こうが何か行動を起こしてさえくれれば、それを糸口にして事の真相に迫ることもできる。
ところが、鈴仙ときたら自信なさ気な目をしてきょろきょろした挙句に俯いてしまった。
これでは疚しいことがあると言っているようなものだ。
「目を逸らすということは、何か疚しいことがある証拠ね」
冷静さを欠いていたせいか、永琳は思ったことを即座に口に出していた。
「……あの、別に私は疚しいことがあるわけじゃ……」
「もしそうなら私の目を見て言いなさい。できないなら、信用する訳にはいかないわ」
苛立ち半分がっかり半分。こんな風に教育した覚えは無いのだけれど……永琳は内心ため息をついていた。
と、そこに。
「――師匠!」
目に真っ直ぐな光を湛えた鈴仙が飛び込んでくる。これにはさすがに驚いた。
「な、何かしら?」
「実は、これを師匠にと……あ、あれ?」
ポケットに手を突っ込んだものの、何かがポケットの淵に引っかかってしまったらしく、抜けなくなってしまったようだ。
どうやら『これ』というものを私にくれる(見せる?)らしいのだが……。
――な、何が出てくるのかしら……予測もつかないわ。
弟子の成長は嬉しいもの。しかし、それも時と場合による。師匠としての沽券もあって永琳の目は自然と険しくなっていった。
ますます焦る鈴仙。力を込めて勢いよく手を引き抜いたが、
「――あ」
手に持っていたそれ――小さな箱は反動で鈴仙の手を離れ、
「……あら」
放物線を描いて永琳の手に収まった。
衝撃で留め金が外れて中の物が転がり出る。それを慌てて受け止める永琳。
「何かしらこれ……」
白くて、ふわふわしていて、丸い。毛玉みたいだ。
あれ? これどこかで見たことがあるような。
例えばてゐとかウサギたちの後姿とかのお尻の辺りにこんな丸くて白くてふわふわしたものが一つだけついていたような。
「気に入っていただけると私も嬉しいです」
なんて鈴仙はこっちまで嬉しくなるような笑顔で言う。ちょっと赤らんだ頬も可愛らしい。
ではなくて。
「……まさか、これ」
「はい。『ウサギの尻尾』みたいに……」
――KYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!
月の頭脳は見事にパンク。永琳の頭の中は悲鳴に塗りつぶされた。
ERROR,ERROR,ERROR……鈴仙の言葉の続きは彼女には届いていない。
……いや待て。
そんな状態にあっても彼女はわずかに正気を保っていた。
自分の弟子が、鈴仙が、そんなことをするわけないじゃないかと考えることができたのだ。
真実を確かめるために、永琳は混乱する頭で必死に
「大丈夫だった?」
「ちょっと痛かったです」
考えることをやめました。
「……あ、あの、師匠?」
目の前の異常に気づいたのか、おどおどと上目遣いに尋ねる鈴仙。
救わねばなるまい。この純粋無垢な弟子を。永琳の頭の中にはそれしか残っていなかった。
「鈴仙」
「は、はい!」
「後ろを向きなさい」
「はい。……向きましたよ?」
「お尻を見せなさい」
「はい――って、ええ!?」
振り向く鈴仙。飛び掛る永琳。
鈴仙のブロックが寸前で間に合ったために二人はごろごろと畳の上を転がった。
「大丈夫、私天才だから! 痛くしないから!」
「意味がわかりませんよ師匠!」
どたんばたん。どたんばたん。
上になったり下になったりを繰り返しながら二人は主導権を争う。
つまり、鈴仙はなんとか永琳を組み伏せようと。永琳はなんとか鈴仙を組み伏せつつパ○ツを脱がそうと。
「いい加減大人しくなさい!」
結局、最後には積み上げてきた技術の差が物を言った。一方の手で鈴仙の腕を捻って地面に押し倒し、もう片方の手をスカートに掛ける。
どう見てもただの変態にしか見えないのだが、本人は気づいていないようである。
永琳は(取っ組み合いのせいで)荒い息をつきながらスカートにかけた手に力を込め――
「ちょっとイナバ! 朝っぱらか……」
寝ぼけ眼を擦りながらふすまを勢いよく開けたのは輝夜。
が、明らかに怒っていたはずなのに、
「えーと、その……邪魔してごめんなさい」
気まずそうに目を逸らすと立ち去ってしまった。
困ったのは残された二人。急いで後を追うが、何故か輝夜は走って逃げる。
――待ってください姫! 誤解、誤解です!
――そうです! これは師匠のちょっとした勘違いで……。
――いやーなにもききたくないきこえないー。いなばとえーりんがあんなことしてるなんてー。
――ちょっ……姫! わざとやってますね!?
――なんのことかしらー?
高笑いしながら廊下を駆け抜ける輝夜。
間の悪いことに笑い声に目を覚ましたウサギたちがふすまを開けてぞろぞろと現れた。
――あの、永琳さまと鈴仙さまがどうかしたのですか?
――聞きたい? 聞きたい? 聞きたい?
先を行く輝夜はにやけた顔を隠そうともせずウサギたちにあることないこと吹き込もうとしている。
止めたいのは山々だが相手が輝夜ではどうしようもない。せめて三割増しくらいの捏造ですめばいいなあと、鈴仙がその場にへたり込んだ瞬間、
――この……無駄飯喰らいがぁ!!
風を切る音がして、輝夜の姿が消えた。
◇
――翌日、永琳の部屋。
「痛たたた……まだ傷が治りきらないわ。まったくもう、普通、主人に毒入りの矢を射る?」
「申し訳ありません」
ちっとも悪いと思っていない返事をしながら、永琳はベッドにうつ伏せに寝ている輝夜の腰に薬を塗っていく。
永琳が放った矢は、輝夜の腰を直撃し、なおかつ十メートル以上吹き飛ばした。
しかも矢じりには毒が塗ってあったために傷の治りが著しく遅い。完治までにはあと数日を要するらしい。
本人は「使う矢を間違えた」と言っているが本当のところはどうだか。
「……まあいいわ。で、イナバは? 姿を見かけないけど」
起き上がって腰に包帯を巻いてもらいながら輝夜は言う。
イナバとはもちろん鈴仙のことだ。いつもなら永琳について薬学を学んでいるのだが、今日は姿を見ていない。
「あの娘にはてゐの代わりに外回りの用事を言いつけておきましたから」
「外回りねえ……ずいぶんと優しいじゃない?」
永遠亭における外回りの用事とは見回りのことである。ただ、見回りといってもてゐを見ればわかるように仕事らしい仕事は何も無い。
せいぜい迷い込んだ人間を外に帰すか、妹紅に喧嘩を吹っかけられて逃げ帰るだけ。仕事としての意味合いはゼロに等しい。鈴仙にとっては休暇を貰ったようなものだろう。
当のてゐは昨夜帰ってきてからずっと寝込んでいる。事情を知らないウサギたちは、あのてゐに何があったのかと首を捻っていた。
「そ、そんなことはありません。あの娘は真面目ですから、きっと大変でしょう」
「ふぅん?」
輝夜は生返事をしながら部屋の中を見回した。その視線がある一点で止まる。
「ねえ永琳?」
「……何でしょうか?」
察しが良すぎるのも善し悪し。よからぬものを感じた永琳は包帯を巻く手を止めてしまった。
それを見て輝夜は意地の悪い笑みを浮かべる。
「昨日、“あれ”見てにこにこ笑ってたわね」
永琳の顔が耳まで、火がついたように真っ赤になった。
「あれぇ? 私は“イナバから貰った”なんて言った覚えはないけど? ま、あんなに幸せそうなオーラ出してれば誰だって気づく――とぉっ!? ちょっと、永琳……包帯きつく……締め、すぎ……」
「知 ・ り ・ ま ・ せ ・ ん!!」
この後、包帯が千切れる音と輝夜の悲鳴が同時に聞こえたそうな。
◇
「霖之助さん! 昨日はどうもありがとうございました!」
朝一番にやってきた鈴仙は、入ってくるなりそう言って、頭をぶつけるんじゃないかというほど勢いよくお辞儀をした。
元気がいいのは良いことだ。それで礼儀正しければ言うことはない。魔理沙や霊夢にも見習って欲しい……切に。
それはそうと、鈴仙の様子から察するに、贈り物は無事、師匠に受け取ってもらえたようだ。
「どういたしまして。それだけ喜んでもらえるとこっちも嬉しいよ」
鈴仙が贈り物に選んだのは鉱物の一種だった。特徴といえば、石のくせにふさふさした手触りのするところだろう。
ただこの石、外見や手触りがとてもよく似ているのだ……その、ウサギの尻尾に。
だから心配ではあったのだが、取り越し苦労に終わったらしい。
「ところで……」
先ほどから気にはなっていた。
鈴仙の背負っている、やたらと大きい袋は何なのだろう?
「あ、これですか?」
僕の視線に気づいた鈴仙は袋を下ろす。ずいぶんと重たそうな音がした。
「やっぱりお礼はきちんとしなくちゃって思って。……ちょっと張り切りすぎちゃいましたけど」
そうか。やはり自覚はあるのか。
自分よりも大きな袋を『ちょっと』と言ってしまう辺り、まだまだだと言わざるを得ないが。
「有難く頂いておくよ。それで、今日も何か探しに来たのかい? それならお茶の一杯でもご馳走するけど」
しかし、鈴仙は少し残念そうな、でもどこか嬉しそうな顔をして首を横に振った。
「すみません。今日は師匠から外回りの仕事を頼まれているので、すぐに行かなくちゃならないんです」
「そうか。……じゃあ、また何か入り用になったら来るといい」
「はい。その時はよろしくお願いします」
最後にぺこりとお辞儀をして、鈴仙は店を出て行った。
お約束というか何というか。昨日の鈴仙の言葉を覚えていたから、なんとなくそんな気はしていた。
袋を開けると、中には大量の人参が入っていたのだ。
一本手に取ってみる。実は詰まっていてずしりと重く、色や形も申し分ない。良い物だということはわかる。
しかし悲しいかな。人間の主食は人参ではないんだよ、鈴仙。
「さて、どうしたものか……」
推定一年分の人参を前にして、僕は少しだけ考えた。
結局いい考えは浮かばなかったけど、不思議と嫌な気分にはならなかった。
なぜだかついこう思ってしまうのだ。
“まあ、それもいいかな”と。
手近な一つを持って台所へ。
適当な大きさに切って齧ってみる。
――うん、美味い。
自然と顔がほころんだ。
キャラクターが立っていて、なかなかのものですよ
と思ったらVHSもメーカーによっては生産停止のようで
こーりんも人参を主食にしてみたらどうだいw
ほのぼのしてますよー
展開も無理なくスムーズで、
お見事としか言いようが無いです。
本当に勉強になりました。
適当な時間をかけて読んでみる。
――うん、上手い。
初めは、タイトルで流れバレバレじゃね?とか思ってましたが、それが逆にウドンゲとえーりんのすれ違いのほのぼの感を際立たせてたのではないかと思います。そもそも本文でもかなり序盤でオチを明かしてましたし。上手い手法だなぁ。見事。
それにしても、プレゼントがウサギの尻尾か前足ということは幸運云々で気が付きましたが、姫がからんでくるとはw
起承転結がしっかりしていて、和みどころと笑いどころの両方がある。
簡単なように見えて実は難しいこの作品はGJといわざるを得ない
永×鈴!永×鈴!
365本でもにんじん~♪