幻想郷のいつもと変わらぬ青空が広がり、博麗神社の境内には柔らかな風が吹いていた。今日も神社は静まり返り、霊夢は縁側に座ってお茶をすすりながら、ただぼんやりと空を見上げていた。そんな平穏な日常の中、聞き慣れた声が響いてくる。
「霊夢ー!いるかー?」
魔理沙だ。霊夢は振り返ると、いつも通り元気いっぱいの魔理沙が、箒に乗って神社に向かって飛んでくる姿を見て、ふっと笑みを浮かべた。
「どうせまた暇つぶしに来たんでしょ?」霊夢は少し冷めた声で言ったが、その瞳にはどこか優しさが宿っている。
「ははっ、よくわかってるじゃねぇか!」魔理沙はにこやかに答えると、箒から軽やかに降り立ち、霊夢の隣に腰を下ろした。「だけど、霊夢もどうせ暇してたんだろ?私が来て、ちょっとは嬉しいんじゃないの?」
「別に。あんたが来ても特に変わらないわよ。ただ、静かにならないだけ。」
霊夢はあっさりとした口調で言うが、その表情はどこか緩んでいた。二人は何気ない会話を交わしながら、いつも通りの時間を過ごしていた。しかし、今日はいつもと少し違うことが起きていた。
魔理沙は、霊夢と一緒にいるときに感じる胸の奥の妙な感覚に気づいていた。いつもは冗談を言い合ったり、軽口をたたき合うのが楽しいはずなのに、最近は霊夢の姿を見ているだけで心がざわめくことが増えてきた。
「なぁ、霊夢……」魔理沙は不意に口を開いた。
「ん?どうしたの?」霊夢は軽くお茶を飲みながら、魔理沙の顔を見た。
魔理沙は少し戸惑ったように目をそらし、やや照れたように頬を掻いた。「お前さ……私が来るの、ホントは迷惑じゃないんだよな?」
霊夢は少し驚いたような表情を浮かべた。「何よ、いきなりそんなこと聞いて……別に迷惑じゃないわよ。あんたがいないと、ただの退屈な日になるだけだし。」
その言葉に、魔理沙は少しホッとした様子を見せたが、何か言いたげな雰囲気はまだ残っている。
「……あのさ、霊夢。私、お前にずっと言いたかったことがあるんだ。」
霊夢は少し警戒しながらも、魔理沙の真剣な表情に気づいて、目を合わせた。「何?あんたにしては珍しく真面目な顔してるじゃない。」
魔理沙は少し深呼吸をして、霊夢に向き直った。「私さ、お前のことが好きなんだ。」
その言葉が風に乗って霊夢の耳に届いた瞬間、彼女は驚いた表情を隠せなかった。普段、軽口をたたき合っている相手から突然の告白を受けたことで、思考が一瞬止まった。
「えっ……何言ってんのよ、あんた……。」霊夢は顔を赤くしながら言葉を詰まらせた。
「いや、冗談じゃなくて、本気なんだ。」魔理沙は真剣な眼差しを向け、霊夢の手をそっと握った。「いつもお前と一緒にいると、なんかホッとするんだ。でも最近は、それだけじゃなくて……お前のことが気になって仕方ないんだよ。いつもお前の隣にいたいって思うんだ。」
霊夢はその言葉を聞きながら、胸の中で何か温かいものが広がっていくのを感じた。今まで考えたことのない感情が湧き上がってきて、自分でもどうしていいのかわからなかった。
「……あんた、そんなこと……今まで全然言わなかったじゃない。」
「だって、言えなかったんだよ。お前にこんなこと言ったら、絶対に笑われると思ってたからさ。」
霊夢は、魔理沙の真っ直ぐな言葉に戸惑いながらも、心の奥では彼女の気持ちに少しずつ応えたいと思っている自分に気づいた。今までずっと傍にいた魔理沙の存在が、こんなにも大きかったことを改めて感じたのだ。
「……バカね、あんた。」霊夢は小さく笑いながら、魔理沙の手をぎゅっと握り返した。「私も……あんたがいないと、なんか物足りないのよ。だから……」
霊夢は恥ずかしそうに視線をそらしながら、頬を赤らめたまま言葉を続けた。
「私も、あんたのこと……好きよ。」
その瞬間、二人の間にあった距離が一気に縮まったように感じた。魔理沙は驚きと嬉しさで目を見開き、霊夢の手をさらに強く握りしめた。
「ホントに!?お前、今本気で言ったのか?」
「……うるさいわね。本気よ。これ以上言わせないでよ、恥ずかしいんだから。」
魔理沙は満面の笑みを浮かべて、思わず霊夢を抱きしめた。「霊夢、ありがとう!私、絶対にお前を大切にするからな!」
「……うん。わかったから、もう離れなさいよ。」霊夢は少し照れながらも、魔理沙の抱擁を拒むことなく、静かに彼女の肩に頭を預けた。
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その後も、二人はいつも通りの軽口をたたき合いながらも、互いへの特別な想いを胸に秘めたまま過ごしていく。しかし、これからの日々は、少しだけ違う優しさと温かさで包まれていくだろう。
幻想郷の平和な日々の中で、霊夢と魔理沙の物語は静かに、しかし確かに新たな形で始まっていた。
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おしまい。
…ローマ字読み
レイマリてぇてぇ、、
天才じにあすありがとうございます←え?