路傍の祝
「おおきくなったらけっこんしよう」
「いいよー、わたしのこと、おぼえててくれたらね」
「おめでとう、しあわせにね」
「どうしたのですか、あなた」
「いや……空耳のようだ。すまない、参進の途中なのに」
「どうした、そんなとこで立ち止まって」
「おとうさんにはみえないの? かわいいおんなのこが、じっとこっちをみているよ」
「……その子は、怒っているかい?」
「ううん、ずうっとにこにこしているよ」
「どうしてみえなくなってしまったのだろう」
「そんなにけっこんしたかったの?」
「約束を、護りたかった」
「あはは、あなたはいいひとだね。だから、きっと、また、いつか、どこかであえるよ」
「……そうか……それならもう、怖くない」
「親父、すっかり彷徨癖がついちまって……ほら、座ってないで帰ろう……親父?」
おわり
「おおきくなったらけっこんしよう」
「いいよー、わたしのこと、おぼえててくれたらね」
「おめでとう、しあわせにね」
「どうしたのですか、あなた」
「いや……空耳のようだ。すまない、参進の途中なのに」
「どうした、そんなとこで立ち止まって」
「おとうさんにはみえないの? かわいいおんなのこが、じっとこっちをみているよ」
「……その子は、怒っているかい?」
「ううん、ずうっとにこにこしているよ」
「どうしてみえなくなってしまったのだろう」
「そんなにけっこんしたかったの?」
「約束を、護りたかった」
「あはは、あなたはいいひとだね。だから、きっと、また、いつか、どこかであえるよ」
「……そうか……それならもう、怖くない」
「親父、すっかり彷徨癖がついちまって……ほら、座ってないで帰ろう……親父?」
おわり