この時期特有の乾ききった青空が一面に広がっている。
妖怪の山にある切り立った崖のてっぺんで、二つの人影が対峙していた。辺りにはうっすらと雪が積もっているものの、そこまで厳しい寒さは感じられない。
「へえ。あなたはそんなことのためにわざわざ私を訪ねてきたっていうの……」
その影の一人、冬の妖怪レティ・ホワイトロックは思いがけない突然の来訪者に怪訝そうな表情を浮かべる。
「あら。『そんなこと』だなんて心外ね。せっかくこうやってわざわざ訪ねてきたというのに」
そう言ってもう一つの人影、紅葉神こと秋静葉は、ふっと笑みを浮かべる。そんな彼女にレティがため息交じりに告げる。
「……十分『そんなこと』だわ。それにしても一体どういう風の吹き回しなのよ。秋の神様が『もっと寒くしてくれ』だなんて」
「寒くないと困るからよ」
「困るって、どうしてよ?」
少々困惑気味なレティに、静葉は真顔で答える。
「穣子が元気だからよ」
「……はぁ?」
ますます困惑した表情になるレティをよそに静葉は続ける。
「あの子は元々寒さに弱くて、冬になると力尽きて倒れてしまうの。だけどどういうわけか今年に限って元気なのよ」
「元気って……どんなふうによ?」
「それこそ裸足で庭中を駆け回ってるくらいには」
「へぇ……」
静葉の言葉に彼女が思わず頭の中で想像した穣子の姿は、神と言うよりもはや雪の中をはしゃぎ回る犬の様相だった。
「……確かに元気そうね。でも元気があってよろしいことじゃないの?」
「いえ。困るわ。このままではあの子の中の四季バランスが崩れてしまうかもしれないもの」
「なにそれ」
「知っての通り、私と妹の穣子は秋を司る神。しかしだからと言って他の季節がどうでもいいというわけではない。それぞれの季節にはそれぞれの過ごし方というのがある。春は麗らかさをやり過ごし、夏は暑さをしのぐ。そして秋には秋を思う存分満喫して……」
「冬は力尽きて倒れる。と?」
「ええ、その通りよ」
静葉が流石と、ばかりに笑みを浮かべると、レティは彼女に半眼を向ける。
「……冬は力尽きるって割には毎年あなたは元気そうなんだけど?」
「あら、そんなことないわ。こう見えても冬の私は心が常に真っ暗闇の中を彷徨っているのよ」
そう言って再びにやりと笑みを浮かべる静葉にレティは「どこがだ」と言わんばかりに冷ややかな眼差しを向けるが、静葉は意に介せず更に話を続ける。
「話を戻すけど、穣子は特に四季の影響を受けやすい体質なの。だからいつもなら今の時期は力尽きて寝込んでいるのよ。でもそのおかげで力を温存することができている。しかし今元気なままだと無駄に力を消耗して次の秋まで体が持たなくなってしまう恐れがあるのよ」
レティは得心を得たように腕組みをして頷く。
「……ははーん。それで私にもっと妖怪の山を寒くしてもらって、彼女を力尽きさせようという魂胆ね。ようやく話が飲み込めたわよ」
「そう、それなら早速……」
と、お願いしようとする静葉の言葉をレティの言葉が遮る。
「生憎だけど、寒さを厳しくするかどうかなんて私の自由よ。全部私の気分次第。誰の指図を受けるつもりもない。悪いけど、あんたの妹がどうなろうと私の知ったことでは無いわ!」
そう冷たく言い放つと、彼女は顔を背けてしまう。
「……そう。わかったわ」
静葉はそう言って笑みを浮かべると、きびすを返し立ち去ろうとする。
「……あら、随分簡単に引き下がるのね?」
「ええ。だって元々ダメ元のつもりだったもの」
「……ふーん。そんな簡単に諦めていい事なの?」
静葉はすかさず答える。
「ええ。致し方ないわ。そもそも私の個人的なお願いを赤の他人であるあなたが受け入れるなんて、そんなのいくらなんでもムシが良すぎると思ってたもの。無理難題を言ってごめんなさいね。この話は忘れて存分に冬を満喫してちょうだい」
そう言って立ち去ろうとする静葉をレティが真顔で呼び止める。
「……ちょっと待ちなさいよ」
「……何?」
静葉は彼女の方を振り向く。
「まあ、あなたがそれでいいというなら、それで別にいいんだけど……ただ一つだけ言わせてもらってもいいかしら」
そこまで言うと、レティはわざとらしくコホンと咳払いをしてから彼女に告げる。
「……まあ、あなたがそう思ってるなら別にそれで全然いいんだけどね? ……でもさ。仮にもこうして毎年顔を合わせてる者同士よ。少なくとも見ず知らずの他人っていうのはちょっと冷たすぎるんじゃないかしら?」
静葉は、あっけにとられたような様子で彼女を眺めていたが、やがてぽつりと呟くように彼女に告げた。
「そう、それは嬉しいわ」
そう言ってふっと笑みを見せるとその場を立ち去る。
今度はレティがあっけにとられた様子で、彼女が去った方をしばらくの間、眺めていたが、ふと我に返って思わずため息をつくと、呆れた様子で呟いた。
「……ばっかみたい」
◇
次の日になっても結局寒さは戻らなかった。
穣子は変わらず元気なままで、今日は冬山にキノコ狩りに行くなどと言い始める始末だったので、静葉はなんとか彼女を抑えつけようとしたが、それが逆に欲求を強化させてしまったらしく、結局、山の中に勢いよく飛び出して行ってしまった。
一人取り残された静葉は囲炉裏に火をつける。正直、暖を取る必要ないほど暖かかったが、それでも彼女は囲炉裏に火をつけた。
ふと窓から外の様子を見やると、カラカラに乾ききった青空に、葉を落とした木の茶色でほぼ埋め尽くされた妖怪の山の姿が見えた。その様子を静葉は思案げに時折目を細めながら眺め続けた。
同じ頃、妖怪の山の山腹では木の上に座り込んで虚空を見つめるレティの姿があった。彼女は虚空を見つめながら昨日の静葉とのやりとりを思い返していた。
――まったく何なんなのよ。本当に。
レティはいかにも不機嫌そうに座っている木の幹を拳で小突く。
――あーもう! まさか私があんなことを口走ってしまうなんて思いもよらなかったわ!
『赤の他人』とは違う。じゃあどんな関係なのかと尋ねられても返答が出来ない。なぜならそんなことは普段、意識などしていなかったから。
場合によっては変に誤解されてしまうそうな言葉を口走ってしまった自分に対する嫌悪感と苛立ちで彼女は思わず頭を抱えた。そしてその怒りの矛先は次第に静葉へと向けられた。
――そうよ! 元はと言えばあいつがあんなこと言わなければ、こんな感情になることもなかったのよ! 本当に余計なことを……! せっかくの冬気分が台無しだわ! あいつには責任取ってもらわないとね! あいつめ! あの、根暗神め……!
こうして、しばらくの間、見えない相手に石を投げ続けた彼女だったが、突然ある疑念が沸いてくる。
――いや、待てよ。あいつのあの態度。あの言葉。いやにわざとらしかったわよね……?
思い返せば確かのあの時の彼女の様子はいつもと違っていた。いつもならもう少し粘って頼み込むだろう。ましてや大事な妹のことなのだから、それこそ権謀術数に長けた彼女のことだ。もっと色んな搦め手を使ってこちらを引きずり込んでくるに違いない。しかしなぜあのとき彼女はすぐに引き下がったのか。しかも妙にわざとらしく。そこまで考えて彼女は、ハッとして思わず呟いた。
「……もしかして、私まんまと乗せられちゃった?」
もし、彼女のあの一連の態度がこちらに対してどう駆け引きをすれば動かすことが出来るか知った上でのものだとするとどうだろうか。そうすると彼女が妙にわざとらしかったのも納得が付く。そう、全部演技だったのだ。そして自分はその術中にまんまとはまってしまったのだ。
――ったく、やられたわね。あいつめ。
レティは思わず心の中で毒づく。しかし今の彼女には静葉に対する怒りよりも、驚きに近いものがあった。自分とは毎年とはいえ冬という季節だけ、しかもその中でもわずかな時間の中でしか会うことはないのだ。それなのに自分に対してどういう言動を取ると、こっちがどう返答するかというものを熟知しているということになる。
――まったく、大した奴だわね。あいつは。
彼女には静葉に対して驚きを超えて畏敬の念すら浮かび上がっていた。
――そういえば……
ふと、彼女は恨めしそうに澄み渡った空を見上げる。
「……すべては私の気分次第だったわね」
何かを思い立ったように、そのまま上空へと舞い上がる。恐らくこのあと自分が取る行動もきっと彼女の掌の内なのかもしれない。しかし
――ま、いいわ。今日のところは甘んじてあんたの策に乗っかってあげることにするわ。今日のところはね……!
ほどなくして彼女の周りから凍えるような寒気が、辺りに広がり始めた。
◇
昼過ぎ頃からは、辺り一帯はまるで冬を思い出したかのような寒さが舞い戻り、猛吹雪に包まれた。
流石の穣子も急激な寒暖差が堪えたのか、囲炉裏のそばで大の字になってひっくり返っている。静葉が早いうちから火を焚いていたので家の中はすっかり暖かくなっている。
「まったく『山の天気は気まぐれ』とはよく言ったものね……」
静葉は嬉しいとも悲しいとも言えない様子で穣子を見守り続けている。
ふと、窓の隙間から外を見やると、外は木々も山も空も分け隔て無く、皆等しく真っ白な世界に覆われ尽くされている。
その様子を見た彼女は、思わず天に向かって微笑みを浮かべるのだった。
妖怪の山にある切り立った崖のてっぺんで、二つの人影が対峙していた。辺りにはうっすらと雪が積もっているものの、そこまで厳しい寒さは感じられない。
「へえ。あなたはそんなことのためにわざわざ私を訪ねてきたっていうの……」
その影の一人、冬の妖怪レティ・ホワイトロックは思いがけない突然の来訪者に怪訝そうな表情を浮かべる。
「あら。『そんなこと』だなんて心外ね。せっかくこうやってわざわざ訪ねてきたというのに」
そう言ってもう一つの人影、紅葉神こと秋静葉は、ふっと笑みを浮かべる。そんな彼女にレティがため息交じりに告げる。
「……十分『そんなこと』だわ。それにしても一体どういう風の吹き回しなのよ。秋の神様が『もっと寒くしてくれ』だなんて」
「寒くないと困るからよ」
「困るって、どうしてよ?」
少々困惑気味なレティに、静葉は真顔で答える。
「穣子が元気だからよ」
「……はぁ?」
ますます困惑した表情になるレティをよそに静葉は続ける。
「あの子は元々寒さに弱くて、冬になると力尽きて倒れてしまうの。だけどどういうわけか今年に限って元気なのよ」
「元気って……どんなふうによ?」
「それこそ裸足で庭中を駆け回ってるくらいには」
「へぇ……」
静葉の言葉に彼女が思わず頭の中で想像した穣子の姿は、神と言うよりもはや雪の中をはしゃぎ回る犬の様相だった。
「……確かに元気そうね。でも元気があってよろしいことじゃないの?」
「いえ。困るわ。このままではあの子の中の四季バランスが崩れてしまうかもしれないもの」
「なにそれ」
「知っての通り、私と妹の穣子は秋を司る神。しかしだからと言って他の季節がどうでもいいというわけではない。それぞれの季節にはそれぞれの過ごし方というのがある。春は麗らかさをやり過ごし、夏は暑さをしのぐ。そして秋には秋を思う存分満喫して……」
「冬は力尽きて倒れる。と?」
「ええ、その通りよ」
静葉が流石と、ばかりに笑みを浮かべると、レティは彼女に半眼を向ける。
「……冬は力尽きるって割には毎年あなたは元気そうなんだけど?」
「あら、そんなことないわ。こう見えても冬の私は心が常に真っ暗闇の中を彷徨っているのよ」
そう言って再びにやりと笑みを浮かべる静葉にレティは「どこがだ」と言わんばかりに冷ややかな眼差しを向けるが、静葉は意に介せず更に話を続ける。
「話を戻すけど、穣子は特に四季の影響を受けやすい体質なの。だからいつもなら今の時期は力尽きて寝込んでいるのよ。でもそのおかげで力を温存することができている。しかし今元気なままだと無駄に力を消耗して次の秋まで体が持たなくなってしまう恐れがあるのよ」
レティは得心を得たように腕組みをして頷く。
「……ははーん。それで私にもっと妖怪の山を寒くしてもらって、彼女を力尽きさせようという魂胆ね。ようやく話が飲み込めたわよ」
「そう、それなら早速……」
と、お願いしようとする静葉の言葉をレティの言葉が遮る。
「生憎だけど、寒さを厳しくするかどうかなんて私の自由よ。全部私の気分次第。誰の指図を受けるつもりもない。悪いけど、あんたの妹がどうなろうと私の知ったことでは無いわ!」
そう冷たく言い放つと、彼女は顔を背けてしまう。
「……そう。わかったわ」
静葉はそう言って笑みを浮かべると、きびすを返し立ち去ろうとする。
「……あら、随分簡単に引き下がるのね?」
「ええ。だって元々ダメ元のつもりだったもの」
「……ふーん。そんな簡単に諦めていい事なの?」
静葉はすかさず答える。
「ええ。致し方ないわ。そもそも私の個人的なお願いを赤の他人であるあなたが受け入れるなんて、そんなのいくらなんでもムシが良すぎると思ってたもの。無理難題を言ってごめんなさいね。この話は忘れて存分に冬を満喫してちょうだい」
そう言って立ち去ろうとする静葉をレティが真顔で呼び止める。
「……ちょっと待ちなさいよ」
「……何?」
静葉は彼女の方を振り向く。
「まあ、あなたがそれでいいというなら、それで別にいいんだけど……ただ一つだけ言わせてもらってもいいかしら」
そこまで言うと、レティはわざとらしくコホンと咳払いをしてから彼女に告げる。
「……まあ、あなたがそう思ってるなら別にそれで全然いいんだけどね? ……でもさ。仮にもこうして毎年顔を合わせてる者同士よ。少なくとも見ず知らずの他人っていうのはちょっと冷たすぎるんじゃないかしら?」
静葉は、あっけにとられたような様子で彼女を眺めていたが、やがてぽつりと呟くように彼女に告げた。
「そう、それは嬉しいわ」
そう言ってふっと笑みを見せるとその場を立ち去る。
今度はレティがあっけにとられた様子で、彼女が去った方をしばらくの間、眺めていたが、ふと我に返って思わずため息をつくと、呆れた様子で呟いた。
「……ばっかみたい」
◇
次の日になっても結局寒さは戻らなかった。
穣子は変わらず元気なままで、今日は冬山にキノコ狩りに行くなどと言い始める始末だったので、静葉はなんとか彼女を抑えつけようとしたが、それが逆に欲求を強化させてしまったらしく、結局、山の中に勢いよく飛び出して行ってしまった。
一人取り残された静葉は囲炉裏に火をつける。正直、暖を取る必要ないほど暖かかったが、それでも彼女は囲炉裏に火をつけた。
ふと窓から外の様子を見やると、カラカラに乾ききった青空に、葉を落とした木の茶色でほぼ埋め尽くされた妖怪の山の姿が見えた。その様子を静葉は思案げに時折目を細めながら眺め続けた。
同じ頃、妖怪の山の山腹では木の上に座り込んで虚空を見つめるレティの姿があった。彼女は虚空を見つめながら昨日の静葉とのやりとりを思い返していた。
――まったく何なんなのよ。本当に。
レティはいかにも不機嫌そうに座っている木の幹を拳で小突く。
――あーもう! まさか私があんなことを口走ってしまうなんて思いもよらなかったわ!
『赤の他人』とは違う。じゃあどんな関係なのかと尋ねられても返答が出来ない。なぜならそんなことは普段、意識などしていなかったから。
場合によっては変に誤解されてしまうそうな言葉を口走ってしまった自分に対する嫌悪感と苛立ちで彼女は思わず頭を抱えた。そしてその怒りの矛先は次第に静葉へと向けられた。
――そうよ! 元はと言えばあいつがあんなこと言わなければ、こんな感情になることもなかったのよ! 本当に余計なことを……! せっかくの冬気分が台無しだわ! あいつには責任取ってもらわないとね! あいつめ! あの、根暗神め……!
こうして、しばらくの間、見えない相手に石を投げ続けた彼女だったが、突然ある疑念が沸いてくる。
――いや、待てよ。あいつのあの態度。あの言葉。いやにわざとらしかったわよね……?
思い返せば確かのあの時の彼女の様子はいつもと違っていた。いつもならもう少し粘って頼み込むだろう。ましてや大事な妹のことなのだから、それこそ権謀術数に長けた彼女のことだ。もっと色んな搦め手を使ってこちらを引きずり込んでくるに違いない。しかしなぜあのとき彼女はすぐに引き下がったのか。しかも妙にわざとらしく。そこまで考えて彼女は、ハッとして思わず呟いた。
「……もしかして、私まんまと乗せられちゃった?」
もし、彼女のあの一連の態度がこちらに対してどう駆け引きをすれば動かすことが出来るか知った上でのものだとするとどうだろうか。そうすると彼女が妙にわざとらしかったのも納得が付く。そう、全部演技だったのだ。そして自分はその術中にまんまとはまってしまったのだ。
――ったく、やられたわね。あいつめ。
レティは思わず心の中で毒づく。しかし今の彼女には静葉に対する怒りよりも、驚きに近いものがあった。自分とは毎年とはいえ冬という季節だけ、しかもその中でもわずかな時間の中でしか会うことはないのだ。それなのに自分に対してどういう言動を取ると、こっちがどう返答するかというものを熟知しているということになる。
――まったく、大した奴だわね。あいつは。
彼女には静葉に対して驚きを超えて畏敬の念すら浮かび上がっていた。
――そういえば……
ふと、彼女は恨めしそうに澄み渡った空を見上げる。
「……すべては私の気分次第だったわね」
何かを思い立ったように、そのまま上空へと舞い上がる。恐らくこのあと自分が取る行動もきっと彼女の掌の内なのかもしれない。しかし
――ま、いいわ。今日のところは甘んじてあんたの策に乗っかってあげることにするわ。今日のところはね……!
ほどなくして彼女の周りから凍えるような寒気が、辺りに広がり始めた。
◇
昼過ぎ頃からは、辺り一帯はまるで冬を思い出したかのような寒さが舞い戻り、猛吹雪に包まれた。
流石の穣子も急激な寒暖差が堪えたのか、囲炉裏のそばで大の字になってひっくり返っている。静葉が早いうちから火を焚いていたので家の中はすっかり暖かくなっている。
「まったく『山の天気は気まぐれ』とはよく言ったものね……」
静葉は嬉しいとも悲しいとも言えない様子で穣子を見守り続けている。
ふと、窓の隙間から外を見やると、外は木々も山も空も分け隔て無く、皆等しく真っ白な世界に覆われ尽くされている。
その様子を見た彼女は、思わず天に向かって微笑みを浮かべるのだった。
今年も冬は寒いですね……
とても面白かったです。
面白かったです。