Coolier - 新生・東方創想話

相対空論

2023/10/25 13:34:52
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 メリーが空に落ちた。
 二人で河原に寝そべっていた時のことだった。
 秋の空は、深く深く、どこまでも続いていた。
「空の中はどうなっているかしら」
 メリーはそう言って身を乗り出し、空の中を覗き込んだ。
 空の中には雲が泳いでいて、夢中になったメリーは、どんどんと前のめりになっていく。
 メリーはそのまま、じゃぽんと、空の中へ落っこちてしまった。
 頭から見事に突っ込んだものだから、私はついつい声を出して笑ってしまった。

 メリーはすぐに空から這い上がって、びしょ濡れの身体をぶるぶると震わせた。
 秋の空はもうすっかり冷たく、時折吹く風がメリーの身体を冷やしていく。

 すかさず私は、鞄からドライヤーを取り出した。
 モバイルバッテリーにつないで、メリーの身体に温かい風をあてる。
 風邪を引いてしまわないよう、私はメリーの身体を隅々まで乾かした。
 時々私が思い出し笑いをすると、メリーはむすっとして、ぴしゃりと私のおでこを叩いてきた。

 メリーの身体は、すっかりと乾いた。
 私はドライヤーのコードをぐるぐると巻き、鞄に手を伸ばす。
 しかしその拍子に、私は鞄を空に落っことしてしまった。
 ぱしゃりと音が立ち、鞄は空の上にぷかぷかと浮いていた。

 私は身を乗り出し、なんとか鞄のベルトを掴んだ。
 私は鞄をゆっくり引き上げた。しかし中からノートだけが、するりと抜けてしまったのだ。
 ノートはそのまま、じゃぽんと、空の中へ落っこちてしまった。
 ノートはみるみるうちに、空の深くへと沈んでしまう。

 うろたえる私を見て、メリーはお返しと言わんばかりに、声を出して笑っていた。
「いったい、何が書いてあったっていうのよ」
「暦よ。結界が開く時刻を、計算するためのね」
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コメント



0.簡易評価なし
1.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
2.100名前が無い程度の能力削除
良かったです