Coolier - 新生・東方創想話

女子力のあつめかた。

2023/08/16 21:21:12
最終更新
サイズ
15.78KB
ページ数
1
閲覧数
476
評価数
3/8
POINT
530
Rate
12.33

分類タグ

「あなた!いつまでそこでサボっているの!」
「痛ぁっ!」
ズキズキと背中が痛む。
あれ、今何が起こったんだ?
たしか、今日は朝から木の上で寝ていたような……はっ!!
下を見下ろすと、見慣れた黒色の帽子に付けられた金の装飾、そして短く切られた緑色の髪!
「頭が高いわよ。降りてきなさい!」
「はっ!」
木から飛び降りる。あぁ、また四季様に見つかっちゃったんだ。
寝起き早々怒られるパターンだな、これ……。
「ちょっと小町!昨日も同じところで同じ時間に同じようなことがあったはずだけど……?」
ジロッとあたいのことを睨む目は、昨日よりも強いものになっていた。
「あっ……ははぁ。あたいにはなんのことだか」
白々しく目線を逸らすと、今度は額に悔悟の棒を叩きつけられる。
「痛いっ!」
「昨日はあまり小言を言いませんでしたが……。貴方はもっとキツく言いつけられるのが望みのようですね。」
「いっ、いやいやいや!!滅相もない!あたいは早く木に戻って寝た……じゃなかった!今からしっかり魂を運ぼうとしていたところで!」
手と頭を同時に振って、怒られることを全力で拒否する。
「もう。本音が今その口から出たじゃない。それに、貴女が起きるまでに私が背中を叩いた回数、何度だと思いますか?」
「うーん……2回!」
「6回よ!!」
またバシンと頭をはたかれる。
「うぅ……じゃあこれで8回目かぁ」
背中と額と頭が同時に痛んで、少し涙が出る。
「大体、昨日と今日でどれだけの数の魂を私の元に運んだか覚えていますか?昨日はたったの2、今日に限ってはもう昼になるというのに、一つも届いていません。おかげで私は朝から一度も魂に判決を下していないのです。これによって困るのはあなたでも私でもなく、魂そのものなのですよ。逆に言えば、あなたが働きさえすれば、こちらの方の仕事も円滑に……って、小町ー!!!」
もうこれ以上は聞いてられない。四季様は怒る時に目を閉じて小言を言う癖があるから、その隙に逃げ出してしまう。
「すみません四季様ー!友達のとこに修行に行ってきます!」
四季様の声が聞こえないくらいの距離まで空を飛んで、そう叫んだ。



「はぁ。つまりあなたサボりに来たってことね。」
華扇の屋敷で、さっきまでの一部始終を説明した。
「いやぁ、サボりなんて言い方が悪いなぁ。コミュニケーションの修行だよ、しゅーぎょーう!」
「物は言いようね。」
溜息をつきながらもちゃんと家の中には入れてくれるんだから、華扇も優しいよなぁ。
華扇が入れてくれた紅茶を啜る。
「お前がいてくれて助かったよ、今日の四季様は多分説教3時間ルートだったからなぁ。」
笑いながらそういうと、華扇が
「あら、じゃあ私の方からあなたの上司に5時間ルートでお願いしておこうかしら。毎日のように来るから困っているのよね。」
なんてことを言い出した。
それはNO!絶対にNO!
「おいおい!!仙人様は友達を売るのか!?」
「貴女と友達になった覚えはないのだけど……」
そんな酷いこと言うなよ……。しかもちょっと引き気味な顔ほんとやめろ。
ムッとした表情で華扇の方を見ると、優雅に点心を口に入れてやがった。
まあ匿ってくれるだけいいんだけど!
「あーあ。四季様にももうちょっと可愛げというか、あったらなぁ。」
紅茶のカップを置いて、そう呟いた。
四季様、顔は可愛いのにな。
普段絶対に髪をいじったりしないし、服装だってずっとあの制服のままだし。使っているものはいつもモノトーン。黒白が好きだからといって、そこまで徹底する必要もないのに。どこぞの魔法使いだって、もうちょっとカラフルだ。
「可愛げね……。確かに、あの堅い人が可愛くなるのはちょっと見てみたい気もするわね。あ、そういえばこの前読んだ本で……ちょっとまってて」
華扇は立ち上がって一度客間を離れる。点心をつまみながら待っていると、すぐに帰ってきた。
「これこれ。この本にそういうようなことが書いてあったわ。雑誌の外来本なんだけどね。」
テーブルの上のものをどかして、私の前にその本を置く。
「なんだ、これ。『女子力アップ♡オシャレガールデビュー』って。」
ピンク色を基調とした、なかなかにガーリーな本だ。色んなところにハートのマークが散りばめられている。
これは……
「か、可愛い……!」
「あなたは専ら可愛いもの好きというか……まあ知ってたけど。」
華扇に許可もとらずにパラパラとページを捲ってみる。
『イマドキ女子の私服集』『激かわ♡コスメ』『モテガールの髪型まとめ!』
色んな見出しでまとめられており、「これを四季様でやってみたら……」と思うと自然と笑みが浮かんでくる。言葉の意味は3割くらい分からないけど!
幻想郷ではほとんど見かけない綺麗な印刷と紙質で、この本だけ異世界のような感覚に陥り、それもそれで気分があがる。
「これ、借りてもいいかい?四季様に女子力?っていうのをつけてもらってくるよ!」
「ええ、別にいいけど。あ。でもその前にちゃんとあなたの仕事を……!って。もういないし。」
華扇はムスッとした顔で窓の外の小町を眺めた。



「四季様……そういえば、今から会いに行くのって大分ハードル高いよなぁ。」
人里に服を見に来たところで、ようやく自分が怒られている真っ最中なのだということを思い出す。まあ、華扇から借りた本を見せながらゴリ押しすればなんとかなる気もしなくも無い。
……その前に。
「人里ってほんとに着物しか売ってないんだな」
外来本に書かれているのはどれも洋服ばかりで、和服はほとんど書いていない。けれど、人里に洋服はどこにも置いていなかった。
「うーん、洋服……。あ!」
ちょうど甘味処から人形使いが出てきた。
アイツなら洋服を作れそうじゃないか?
彼女の元に走って向かう。
「やあ。お前さん、洋服は作れるかい?」




魔法の森。そこに霧雨魔理沙が住んでいることは知っていたが、ちゃんと訪れるのは今日が初めてだった。
「アリスマーガトロイドよ。……死神なんて、珍しい来客もあったものね。」
アリスの家にあがらせてもらった。どこを見ても人形、人形、人形。しかも、どれもかなりのクオリティで、これは洋服の完成度も見込めそうだ。
「ここ、座っていいわよ。」
1つのテーブルを挟んで、対面するようにお互い椅子に座る。
本日二度目の紅茶を出された。
「それで、洋服を作って欲しいって……。どんな洋服がいいの?」
アリスは紅茶のカップをクルクルと棒でかき混ぜながらそう言った。
「この雑誌に書いてあるやつを頼みたくてね。えっと……これとかこれとか。」
なるべく四季様が普段着なさそうな洋服を選択する。
「なるほどね。別に作るのはいいけれど、あなたこういう服も着るのね。意外だわ。まあ似合いそうではあるじゃない。採寸するからこっちに来て。」
「あ、いやいや、あたいが着るわけじゃないんだ。少し着せたい人がいてね。」
メジャーを取り出すアリスをもう一度座らせる。
「そうなの。けど、本人がいないと採寸が出来ないわ。うーん……じゃあ、大体の服のサイズをこの中から選んでくれる?」
アリスは何着か服を出し始め、私に見せる。
「そうだなぁ。四季様は小柄だし、これかな。」
真ん中の次の次に小さいサイズを選んで指さした。
「分かったわ。じゃあその雑誌を見せて。そうね……服の数が多いから、作り終わるのが明後日くらいになりそうね。服は4セットくらいあればいい?」
「あ、明後日までにそんなに作れるのか?」
人形使いだから裁縫は得意だろうと思っていたけど、そこまでだったとは。
「ああ、大丈夫よ。私も新しい人形の洋服を模索していたところだったし。髪飾りとかの作り方とかデザインも興味深いわ。じゃあ、また明後日にここの家に来てちょうだい。」
そう言って、アリスは私のことを家から出すでもなく、黙々と作業を始めたのだった。




「ふんふんふーん」
鼻歌を歌いながら魂を四季様の元に届ける。
『おぬし……随分と楽しそうじゃな……。三途の死神はサボり癖があると現世で聞いたことがあったが……』
この魂は人里のおじいさんのようだ。
「そんな訳ないじゃない。現にこうやっていま仕事を全うしているだろう?」
『そうじゃがな。やはり、現世の想像とあの世は全く違うんじゃのう……』
今珍しくちゃんと働いているのは、明後日までに四季様の機嫌を戻しておこうという魂胆だった。
あ、いつもちゃんと働いているけどな?
けど、少しばかり川の前に溜まっていた魂は、あとこのおじいさんさえ運んでしまえば任務完了だ。
「よし、着いたぞ。」
『御苦労だったな。』
「いやいや、あたいはこれが仕事なんでね。」
言ってみたかったセリフ言えたー!!
「じゃあ、あそこが最後尾だから、順番が来るまで整列しておくんだぞ。」
四季様の判決を受けるために並んでいる魂の長蛇の列の最後尾におじいさんを並ばせて、任務は終了だ!
「あとは四季様に任務達成報告さえすれば、合法的に居眠りが出来る」
魂たちの横に沿って歩いて、四季様の元に向かう。
ああ、この横に並んでる魂たち、全部あたいが運んだんだ!これが仕事の達成感ってやつかぁ。
しみじみと達成感を噛み締めながら、四季様の元に辿り着くと、ちょうど魂の判決が終わったところだった。次の魂の判決が始まる前に、声をかける。
「四季様。三途の川渡しの仕事、一区切り着きましたよ」
声をかけると、四季様は驚いたようにこっちを向いた。
「小町!朝は木の上で眠っていたのに、よくこんなに仕事を全うしましたね。これからも精進しなさい。」
四季様が珍しく微笑んでくれた。
「わ、じゃああたいはこれで!」
四季様に大きく手を振りながら、川の方に戻る。
これで、明日もこの調子で頑張れば、明後日に『四季様女子力アップ作戦』決行だ!



それから2日後。
洋服の受け渡しをする為にアリスの家に訪れていた。
コンコンコン、と扉にノックをする。
中から何も音が聞こえない。
「あれぇ、留守かなぁ。」
がしがしと頭をかきながら周りを見渡す。
「こっちよ。」
遠くから声が聞こえる。
家の裏側に回ると、椅子に座って作業をしていた。
「おお、洋服を受け取りに来たんだが、ちょっとばかし早かったかい?」
アリスはまだチクチクと、例の雑誌を見ながら裁縫の真っ最中だった。
「いいえ。あなたに頼まれたものはもう全て作り終えたわ。これは私の人形の服よ。」
「おお!本当かい!?お前さん、仕事が早いんだねぇ」
アリスの背中をたたく。
「ええ。これが洋服よ。全部で4セット。この雑誌の……これと、これと、これと、これをモチーフに作ったわ。たまに私のアレンジが入っているけど……」
雑誌を指さしながら教えてくれる。
「助かったよ、ありがとう!」
はい、とアリスから4つの紙袋を手渡される。
「それと、この小さな紙袋はなんなんだい?」
4つの紙袋とは別に、もう1つ紙袋が置いてあった。
「ああ、忘れていたわ。これは小物類ね。髪留めとか、リボンとか。」
それも渡される。
「新しいインスピレーションを受けれて良い機会だったわ。」
あらかた読み終わったのか、雑誌も返された。
「本当にありがとう!またお願いするよ!」
5つの紙袋と雑誌を抱き抱え、四季様の元に向かった。



「しーきーさーまー!」
朝のうちに魂を運んでおいたから、四季様は昼間に仕事がないのか、裁判所の中にある四季様の自室にいるようだ。
「はい。入っていいですよ。」
肘でドアノブを捻り、扉を開ける。
「四季様!お疲れ様です」
「もう。子供じゃないんですから、ノックくらいしなさ……って、ちょ、ちょっと小町!どうしたのその荷物!」
椅子に座ってコーヒーを飲んでいた四季様が、慌てて駆け寄ってくる。
「ああ、大丈夫ですよ。よいしょっ」
床に荷物を全て置く。
「これは何?」
紙袋を1つ拾い上げて、四季様が中身を確認する。
「ああ、ダメですよ四季様。これは後のお楽しみです!」
四季様の手から紙袋を取り上げる。
「四季様、これから……えっと……女子力!女子力向上作戦に参加してもらいますっ」
ビシッと四季様を指さす。
「え……じょ、じょしりょ……?」
四季様が困惑した表情を浮かべる。
「女子力です!女子力!」
「は、はぁ……なんですか、それ。なにかの力……?なにか、私の力をつけることができるものなのでしょうか?」
あ。なんかいい感じの解釈をしてくれている!
「そうですそうです。これはその材料ですよ。」
「そうなのですね。確かに、最高裁判長である限り、常に上へ上へと向上心を持ち続けるべきなのでしょう。その女子力、というものはどうやってつけるのでしょうか?」
「ええ、今回あたいが持ってきたものは身につけるタイプのものですね。じゃあ、ちょっと着替える為に移動できます?」
四季様の手を引いて、着替えの部屋に連れていく。
「じゃあ四季様、ちょっとこれを……」
「え?きゃっ!なんです?これ!」
「目隠しです。ほら、楽しみは残しておいた方が、って言うじゃないですか。」
「た、楽しみ……?本当にこれで力がつくのですか?」
ガサガサと適当に1つ紙袋を手に取り、中身を取り出す。中のメモ用紙に、『P23 ピンク フリルワンピース』と書かれていた。
このページを見て着付けろ、ということね。
雑誌のページをペラペラと捲って確認する。
ははぁ。なるほど。
「じゃあ四季様、ちょっと服着替えさせますね。」
「えっ?えっ?ちょっと小町!なに脱がせてるのよ!」
「えっ!?四季様、脱がないと着せれないんですもん!」
目が見えていない状態なのにあたいの腕を正確に掴んでくるあたり、実力者感が溢れ出ている。
「あ、そうよね……ごめんなさい、続けていいわよ。」
見た目よりも四季様の制服は構造が簡単で、思ったよりも早く脱がせることが出来た。
「えーっと、これは前の縦に並んでいるボタンを開けるんだな。」
「小町……着るものがあるなら早く着せてよ……」
珍しく四季様が小さくなってもじもじしている!
か……かわいぃいいいいい!!!!
「あっ、す、すみません四季様!」
ワンピースのボタンを開けて、羽織るように着せる。そして前のボタンをもう一度とじる。
「えっと、これでこの紐を……」
ベルトのような紐をきゅっとお腹の辺りでしめる。
「し、四季様!可愛いですよ!」
「なにその報告!本当に力がついているの!?」
「ええ!もうつきまくりですよ!」
靴は白色のストラップシューズを履かせる。
「ええっと……髪の毛も少し弄りますね。」
「え、え、」
四季様は目隠しをされていて何も見えないのか、オロオロしている。
こういう面では器用なのか、雑誌を見ながら素早くハーフアップを完成させる。
「きゃあああ!!可愛いです四季様ぁ!!」
「ちょっと、出来たの?なら目隠しを外しなさい!」
「はい!」
しゅるっと目隠しをとる。
四季様は目の前の全身鏡をみてふるふると小さく震えていた。
「わ、わた……私……こんな……」
「四季様!どうです!可愛いでしょ!」
ワンピースのスカート部分は前は短く、後ろが長い設計になっている。
「まだまだですよ四季様!あと3着ありますからね!」
だんだんと楽しくなってきた。
もう1回目隠しをして、また髪を解き、ワンピースを脱がせる。
次は……『P136 白T+ダメパン+黒ボレロ』
「おお、次はかっこいい系ですよ!そして着させやすい系ですよ!」
「あなたの手間の話は聞いてないのよ……」
白色のTシャツを着させ、ダメージジーパンを履いてもらう。
Tシャツをジーパンの中にインする。……こうするともともとの四季様のスタイルの良さが際立つなぁ。ちょっと胸部薄いけど。
「おお……すでに四季様じゃない……」
黒色のボレロは腕を通さず羽織るだけ。
「終わりましたよ、目隠し外しますねー」
すると、今度はさっきよりも穏やかな顔つきで
「おお……これは……」
なんて言って、鏡の前でクルクルと回ったりしてみせた。
ズボンだったり、かっこいい系だったことが良かったのかもしれない。
「かっこいいですよ四季様!やっぱりいつもの制服も似合ってるけど、こういう服も似合ってるじゃないですか!」
四季様は隠しているつもりなのであろうキラキラとしたオーラを余さず放っている。
やっぱり仕事のときよりこういう時の方が自然体でかわいいなあ。
「じゃあ、次いきますよ。」
目隠しをして、次の紙袋を漁る。『P50 セーラー服』
「……おおっと?」
その声に四季様がビクッと肩を震わす。
「ああ、すみません。普通に可愛い洋服ですよ。」
「そ、そう……」
「ちょっとバンザイしてください」
「私は子供じゃないのよ?」
むっとした声が返ってきた。
「すみません四季様。ちょっと自然と……痛っ」
足を蹴られたようだ。
……どこまでも気を抜けないなぁ…
セーラー服のトップスを着てもらう。
プリーツのスカートもサイズがピッタリだ。
靴は黒色のシューズだった。
「あー、そうですねぇ。少し髪もしましょうかね。」
雑誌に書いてあるとおり、右側の髪を編み込みに結ぶ。
「四季様、もう少し待ってくださいね。」
編み込みをしていると、四季様が小さな声で呟いた。
「本当は、この服を着ることで私が思っているような力はつかないのでしょう……?」
「ギクッ!」
と、とうとうバレたか……?
編み込みを続けながら、目隠しをしていることをいい事に、チラッと四季様の表情をうかがう。
「!」
四季様は……
笑っていた。
「ふふ、珍しいわね。あなたが自分からこんなことを持ちかけるなんて。」
「し、四季様……怒ってます……?」
編み込みを終えたところで、少し問いかけてみる。
「怒ってなんかないわ。……私、不安だったの。あなたは大分怠惰なところはあるけど、いい部下だと思っているわ。けど、最近は怒るばかりで……まああなたのせいなんですけど。」
「あ、あははぁ……」
「本当は、もっと怒る以外にもやり方があるはずなの。私はそういう融通が効かいから……。だから、あなたに……嫌われてないかなとか。考えちゃってたのよ。」
!そんな
「そんなことないですよ!四季様が怒るのは全部あたいの為で、ずっと心配してくれてるってこと知ってるんですから!あたいは四季様のことが、大好きですよ!」
ゆっくりと目隠しを外す。
すると、四季様は安心しきったような、さっきとはちがう優しい笑みを浮かべていた。
「可愛いですよ、四季様。」
「……そう。ふふ。」
四季様がクルッと回ると、スカートがふわっと舞った。だんだん可愛い慣れしてきたのだろう。
トップスとスカートは全体的に水色が使われており、大きめの襟は白色だが、水色のラインが1本入っている。胸元のリボンはシンプルな紺色のものがついている。スカートはプリーツになっており、裾の方に2本ほど白のラインが入っていて、全体的にまとまった印象だ。
「次の服。あるんでしょう?着せてちょうだい。」
「四季様……!はい!じゃあ最後に、もう1回目隠し使いますね。」
最後は……



「四季様!かわいい!かわいぃですよぉ!!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる小町をよそに、四季映姫は顔を真っ赤にしてうずくまっていた。
「最高裁判長の威厳がぁ……!ほんとに無理!小町早く脱がして!恥ずかしいからぁ!!」
映姫は肩まで服をずらす。
「だめですよ四季様!今カーテン開けてますからね!外から見えちゃいますよ!今脱いじゃだめですからね!」
「もういやぁああ!!!」
飛び跳ねる小町の足に当たった最後の紙袋の中から、メモが舞い落ちる。

『P85 地雷系ファッション』
こんにちは、レアです!
まずはこのお話を見つけて下さり、ありがとうございます!
このお話を描き始めたきっかけは、四季ちゃんが可愛い服着てあわあわしてる姿を見たいという思いからなったものです。やっぱり私はほのぼの系を書く方が合っている気がします。今回苦戦したのは、服を文字で書くという難しさと、小町が服を着せているシーンが同じような構図が続いていることですかね。
さて、最後までご覧頂き、ありがとうございました!

『四季様女子力アップ作戦』結果↓
      四季様のハンカチが少し可愛くなった。
レアちゃわんむし
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.250簡易評価
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
5.100南条削除
面白かったです
微妙に影響を受けている映姫様がかわいらしかったです
8.90ローファル削除
いいこまえーきでした、
読んでいて楽しかったです。