聞き慣れた声とともにぼやけた映像が目の前に映りこんできた。
場所は私達が暮らしている洋館のリビングによく似ている。
「リリカ、あんまり甘やかしたらだめよ」
「えへへ、分かってるって」
そこでは過去の「私」がレイラと一緒にソファーに座り、ルナ姉のお咎めを受けている。
「私」が一口サイズのクッキーをあげると、レイラは嬉しそうに口に入れた。
皿のお菓子がなくなると、今度は抱き寄せて彼女の緑色の髪を撫でる。
クッキーの欠片が服につくのも全く気にならないようだ。
キッチンで食器を洗っているルナ姉も苦笑を浮かべてはいるものの、それ以上の追及をする様子はない。
水音が止んだタイミングでリビングの扉が開く。
そこではメル姉が頬をぷうと膨らませている。
「あー、リリカったらレイラを独り占めしないでよー!」
「へーんだ、独り占めなんかしてないもん」
過去の「私」が口を尖らせたところで意識が少しずつ鮮明になっていく。
これは、夢か。
それも今からずっと前、私達姉妹が四人で暮らしていた頃。
当時はレイラがまだ小さかった。
初めて出来た妹を独り占めしようと、あの手この手を使ってアピールしていたのも今となっては懐かしい。
なんとなく背中を押されるような感覚。
そろそろ朝が近いらしい。
よし、今日も頑張らないと。
私はベッドから起きてすぐにカーテンを開け、朝の陽光を部屋いっぱいに取り込んだ。
それから姿見の前に移動し、髪を整えていつもの楽士服を身に纏う。
人前に出る以上、身だしなみには人一倍気を配らなくてはいけない。
尤も、今日の仕事場はいつものステージではないけど。
***
「よし、これで全部かな」
時刻は午前九時三十分。
独り言とともに教材を再度数え直す。
過不足がないことを確認し、倉庫を出た。
まだ寺子屋が始まる時間にはだいぶ早いけど、さっさと運んでしまおう。
私は教材の入った木箱を持って廊下を歩き始める。
そう、私達三姉妹は二週間に一回ほどのペースで寺子屋の先生をしている。
先生と言ってもそんなに難しいことは教えていない。
あくまで無償でやってることだし、授業の内容も完全にこちらに委ねられている。
演奏を聴いてもらったり、実際に楽器を用いてその扱い方を教えたり。
時には依頼主に代わって教卓に立ち、音楽の歴史に関する授業をすることもある。
正直な話最初はあんまり乗り気じゃなかったけど、回を重ねるうちに少しずつ子どもたちに愛着が湧いてきた。
というのも、私は姉さん達と比べて背が低いせいかしばしば子ども扱いをされることがある。
でも、寺子屋にいる時だけは違う。
まだ声変わりもしていない齢の生徒達が自分を囲んで「リリカ先生」と慕ってくれる。
その新鮮な感覚が、私を上機嫌にさせるのだ。
当然授業中はその喜びが顔に出ないように注意している。
尤も、ルナ姉に言わせれば声がいつもより高いからバレバレだそうだ。
不覚、私としたことが。
さておき、私達姉妹がこの依頼を受け続けているのにはもう一つ理由がある。
それは子供たちが少しずつ音楽に興味を持ってくれているからだ。
近頃は個人的に質問に来る子も出てきている。
依頼をしてきた人里の守護者、上白沢慧音も毎回笑顔で私達姉妹を迎えてくれる。
言葉が堅すぎるのだけは気になったけど、善良な人だというのが最初に抱いた印象だった。
直接話す機会は少なかったけど、彼女の評判は度々耳に入ってくる。
生徒が悪いことをしたらきっちり叱り、逆に良いことをしたとき、頑張ったときはしっかり褒める。
そして子供たちになにかあったらすぐに飛び出していく、厳しくも優しい先生。
初めに依頼を受けた時、私達を「じゃあちょっとやってみようか」という気にさせたのは
偏に彼女の性格、誠実さによる部分が大きかった。
授業の三回目あたりで「いつも本当にありがとう、少なくて申し訳ないが受け取って欲しい」と
渡された謝礼をルナ姉が断ったことについても、異議を唱える気にならなかった。
どちらかと言うとその直後、ルナ姉とメル姉が目を丸くしていたことの方に物申したかった。
いや、私は普段どんな目で見られているのさ。
二人とも音楽に集中し過ぎるあまりお金の管理とかは結構適当だから、私が見てないと危ないくせに。
少し話が逸れたけど、寺子屋での音楽教室は今や私達の日常生活の一部となっている。
今日、私達は年少クラスの子達に縦笛の吹き方を教える予定だった。
楽器がほとんど流通しない幻想郷だけど、あちこちを走り回ってなんとか数を揃えられた。
型や長さがちょっと不揃いなのはこの際仕方がない。
そんなことを考えながら廊下を歩いていたその時。
「あっ!」
「きゃっ!」
曲がり角から小走りで現れた生徒への反応が遅れてしまった。
ごつっと妙に重量感のある音が響き、私の抱える木箱に頭をぶつけた少女が尻餅をつく。
私の方もバランスを崩しそうになったけど、なんとか木箱を落とさずに済んだ。
その一方で、どういうわけか刺すような痛みが胸元に走る。
思わず顔をしかめそうになるけど、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
私は慌てて木箱を床に置いて駆け寄った。
「柚ちゃん、大丈夫!?」
私の言葉に対して少女は少しふらつきながらも立ち上がり、はっきりと此処を見て応えた。
「うん、大丈夫……。
ごめんなさい、リリカ先生」
ぶつかった少女、柚(ゆず)はそう言って頭を垂れた。
彼女は年少クラス、深緑色のセミロングが印象的なちょっと大人しいタイプの子だ。
洋服を着せれば幼少の頃のレイラにどことなく似ているかもしれない。
まだ七歳になったばかりだという彼女の背丈は私より頭一つ分以上低い。
「いいから、おでこ見せて」
私はしゃがんで目線を合わせながら彼女の前髪を慎重にかきわけ、傷の有無を確認した。
箱の角に当たらなかったおかげか肌に外傷は見当たらなかった。
髪に絡んだ木屑を指でそっと払ってやる。
「大丈夫? 歩ける?」
「うん、その……リリカ先生は」
「私は全然平気だから、心配しないで」
「ごめんなさい……」
柚はもう一度ぺこりと頭を下げ、引き止める間もなくその場を立ち去っていった。
大きな事故にならなかったとはいえ、私は心中に形容し難い痞えを抱えながら教室に向かう。
先程感じた妙な胸痛はいつの間にか消えていた。
今日の授業は生徒を五人ずつの三グループに分け、それぞれに私達が一人ずつ付いて教える。
指導の合間にルナ姉のグループに視線をやると、柚がいた。
一瞬だけ視線が合ったけど、彼女はすぐに気まずそうに目を逸らした。
授業自体は特段大きなトラブルもなく終了した。
この後、いつもなら帰宅する生徒を全員見送ってから教材を片付ける。
やはり、彼女にもう一言ぐらいフォローをしておきたい。
そう思って柚を探そうとしたところ、先程の授業で教えたグループの子の声がした。
「リリカせんせー!」
柚のことを考えながらも、すぐに「いつもの私」を纏って答える。
「はいはい、どしたの? なにか聞きたいこと?」
「うん、えっとね」
内心まるで言い訳のようだと感じながらも、自分に言い聞かせる。
仕方ない、仕方ないんだ。
生徒の扱いに差をつけるなんて言語道断。
みんなに同じように接しないと。
それにしても慧音がこれほど大変な仕事を毎日こなしていることを思うと、彼女には平伏せざるを得ない。
「リリカせんせーまたね!」
「またね、気を付けて帰るんだよ」
質問に来た子を見送った後、あらためて教室を見回す。
やはりと言うべきか、柚は既に帰ったようだ。
「今日もありがとう、お疲れ様」
教室の隣の準備室を訪ねると、慧音がお茶を出してくれた。
先程生徒を全員見送り、教室の片付けも終えた。
いつもなら私達はここでお役御免だけど、話しておきたいことがあったので時間を取ってもらっている。
ルナ姉とメル姉にはちょっと用があるからと、先に帰るように伝えてある。
私は湯呑に口をつけ、一口飲んでから答えた。
「ううん、私達も結構楽しんでるからさ」
慧音はこの後も次の授業の用意をしたりで忙しいに違いない。
私はすぐに本題に入り、今日の授業前に起こったことについて説明した。
「ごめん、授業が始まる時間にはだいぶ早かったから私もちょっとうっかりしてて……」
「ああ、やっぱりそのことだったか。
それなら心配はいらない、さっき柚が帰る前に話したからな」
彼女が言うにはこういうことだった。
授業の後、柚が浮かない顔をしているのが気になって声をかけたところ
私と廊下でぶつかったことについて打ち明けてきたらしい。
私が頷きながら話を聞いていると、慧音は少し苦笑を浮かべながら続けた。
「多分、急に私に話しかけられたから叱られると思ったんだろう」
「それで、なんて……?」
「ごめんなさい、って言ってたよ。
二人とも怪我はないようだし、ちゃんと謝っているんだからあらためて私が叱る必要もないさ」
「その、もしかしたら引きずってるかなって」
慧音は少し考える素振りをしてから答えた。
「心配いらないよ、間違ってもリリカのことをどうこうなんて思っていない。
だから、次に会ったらまた声をかけてあげて欲しい」
この言葉のおかげで多少は気持ちが軽くなったような気がした。
やはり彼女の教師としての経験値は並大抵の物じゃない。
「うん、分かったよ。ありがとう、慧音」
「リリカもびっくりしただろうに、済まなかったな。柚を気遣ってくれてありがとう。
あの子もいつもなら廊下を走ったりしないんだが、
今日はリリカ達が来るからそれが楽しみでつい早く来てそわそわしていたそうだ。
あらためて子供たちには廊下を走らないようによく注意しておくよ」
「慧音って、毎日こんなに大変な仕事をしてるんだよね。
ちょっと、私には真似できないよ」
私の言葉に今度は一瞬きょとんとした顔を浮かべる。
なにか不味いことを言ったかと不安になったけど、彼女は柔らかく微笑んだ。
「私は慣れているからそう見えるだけさ、教えた経験が少なくても関係ないよ。
子供たちにとってはリリカもルナサもメルランも、みんな素敵な先生なんだからな」
いろんな意味で、慧音には敵いそうにないなと思いながら私は寺子屋を後にした。
その日の夜、身体の怠さを感じたので夕食と入浴を済ませるとすぐに床に就いた。
いつもはこんなに疲れないんだけど、机に向かって曲のアイデアを考える気力も湧いてこない。
ベッドに横になると、すぐに私の意識は闇の中に落ちていった。
***
昨日の夢と同じ、洋館のリビング。
違うのはそこにいるのがレイラ一人だけ、という点だ。
彼女はソファーに座って絵本を読んでいる。
やがて飽きたのか読んでいた本を閉じ、うつ伏せに寝転がる。
するとそこに「私」が何かの木箱を持って近づいて来る。
途端、この映像を夢として見ている私自身の背中が燃えるように熱くなった。
気持ちの悪い汗が流れ出るのを感じる。
それはこの後の展開を鮮明に覚えているからだ。
この時、ルナ姉とメル姉がいなかったから私は一人でレイラのお守りをしていた。
それで、つい張り切りすぎて……。
「レイラー!」
夢の中の私が歩を進めながら呼びかける。
ああ、もう、止めて。
夢というのは本当に融通が利かなくて残酷だ。
見たい夢は容赦なく途中でぶつんと切られ、その一方で見たくない夢に限って目を背けることを許してくれない。
声に気付いてレイラがひょこりと顔を上げた。
直後、「私」は絨毯の縁に躓いて転倒してしまう。
「あっ!」
過去の自分の間抜けな声にどうしようもない怒りを覚えた。
馬鹿、私の馬鹿。
レイラの泣き声がリビングに響き渡る。
私が転んだ拍子に、木箱からばら撒かれた積み木がレイラの頭に当たったのだ。
謝りながら慌てて泣き止ませようとする無様な自分の姿。
それを最後に、今夜の夢は終わりを告げた。
***
翌朝の目覚めは最悪だった。
壁の時計を見ると七時間は眠ったはずなのに、ベッドから起き上がることすら億劫に感じるほど体が怠い。
目もしばしばして視界が歪んで見えるし、とりあえず水でも飲もう。
チェストの上の飲み残しの水が入ったコップに目をやり、魔力を込める。
私達騒霊は能力である程度の大きさの物なら宙に浮かせたり、運んだりが出来る。
水の入ったコップを手元に引き寄せる程度、造作もない。
そのはずだった。
私は間違いなく魔力を込めた。
それなのにコップはぴくりとも動かない。
何度試しても同じだった。
自分の身に起きたことを理解するにつれて、背筋が急速に冷え込んでいく。
こんなことは今までに一度もなかった。
なんで、どうして。
「っ……この!」
半ば意地になって過剰な力を入れたその時、昨夜の夢と同じ光景がフラッシュバックした。
私が不注意でレイラを泣かせた、あの夢。
途端、先程まで微動だにしなかったコップが動いた。
しかし魔力を込め過ぎたせいでそれは中身もろとも猛スピードでこちらに飛来する。
コップ自体は辛うじてキャッチしたけど、飛び散った水が勢いよく顔面にかかる。
「っ……」
水に濡れた不快さと能力を急に制御できなくなった自身の不甲斐なさ。
それらは倦怠感とともに容赦なく私を痛めつける。
でも、突然の異変はまだ終わらなかった。
部屋にある物を手当たり次第に使って能力を試したけど、結果は同じ。
紙もペンも、時計も絵画も。
何一つ思い通りに操ることは出来なかった。
そう、勿論音楽家にとってなにより大切な楽器も。
そして魔力を込めようとする度にレイラの泣き顔が無意識のうちに目に焼き付けられる。
同じことを繰り返しているうちに、悪寒で手足が震えてきた。
膝をつきながら、身震いする身体を引きずって作業用の机と椅子に辿り着く。
卓上には書きかけの楽譜とペン、それに写真が入った薄い木製の楯。
写真は経年劣化が進み、所々色褪せている。
場所は館の玄関前。
左から順番にルナ姉、レイラ、メル姉、私と並んで撮っている。
作曲が行き詰ったり、嫌なことがあったり。
そんな時はいつも写真を眺めながら思い出を回顧するのがお決まりだった。
膝をついたまま写真を見上げた。
まるで罪人が神に許しを請っているようだと思わず自嘲する。
「レイラ……」
返事の代わりに、風が窓を叩く音が乾いた部屋に響く。
気付けば零れ堕ちた涙の雫が水で濡れた服に染み込んでいた。
***
「おはよう、食欲ある?」
「……少しは」
翌朝。
メル姉がエプロンを着けたまま、朝食を乗せたトレイを持って部屋に入って来た。
焼きたてのパンと野菜スープから美味しそうな匂いがする。
普段の私は朝食を絶対に抜かない。
食べないと、一日が始まった気がしないのだ。
でも今は、全部食べられる自信がない。
「食べられるだけでいいから、ね?」
「……うん」
メル姉も自分の分のトレイも持ってきて私のベッドの横で食べ始める。
「家のこととかは、心配いらないからね」
「……うん」
「とにかく、しっかり休んで」
「……うん」
会話を続ける気力すら湧いてこない。
心の中でメル姉に「ごめんなさい」と頭を下げる。
でも、今の私にはどうすることも出来ない。
パンを小さくちぎって、口に入れた。
しばしの間、部屋には咀嚼音だけが寂しく響いた。
結局私は昨日、体調不良と能力を制御出来なくなったことについて姉さん達に打ち明けた。
勿論、平常時なら多少のことで弱音を吐いたりはしない。
けどこんな状態じゃ演奏どころか、人前にすら出られないことは分かり切っている。
まだ姿見の前に行ってないけど、きっと今の私はひどい顔をしている。
だからこれは至極当然の判断。
理屈では分かっていても、自分が家族に多大な迷惑をかけているという事実が心に重くのしかかってくる。
それがとても、辛い。
特に音楽活動。
私がいなければ姉さん達の躁と鬱の音色は調和出来ない。
二人だけで演奏をすれば、ごく一部の人妖以外の観客は一斉に心を乱され大惨事につながりかねない。
だから当面はライブ活動全般を休止することになる。
不幸中の幸いだったのは、告白を受けた二人の反応が想像以上に落ち着いていたことだろうか。
ルナ姉はいつものポーカーフェイスで「気にしないで。身体を治すのが最優先だから、後のことはそれから考えましょう」
とだけ言って、すぐに出かけて行った。
当面の活動停止を得意先に伝えて回るためだ。
どうやら、今日も朝から出かけているらしい。
メル姉も昨日は「じゃ、しばらく家のことは私の仕事ね!」と張り切っていた。
「家事済ませてくるから、なにかあったらすぐに言ってね」
いつもの元気過ぎるほどのメル姉も今は鳴りを潜めている。
結局パンは半分ほど残してしまった。
ごめん、メル姉。
夕方。
曲を書くどころか机に向かうことすら出来ずに一日が終わる。
食事を摂る以外の時間はただ横になっていただけ。
今日一日の間に時計を何度見ただろうか。
することがないのがこれほどまでに辛いとは惟ってもみなかった。
メル姉は家の中には居るようだったけど、食事以外で私の部屋には入ってこなかった。
気を遣ってくれているのかもしれないけど、今は誰とでもいいから言葉を交わしたい。
ルナ姉やメル姉とはずっと一緒に暮らしているから、お互いのことは知り尽くしている。
勿論、時には一人になりたくて干渉されることを鬱陶しく感じたこともある。
主に音楽のことで喧嘩をして、家を飛び出したのだって一度や二度じゃない。
自分勝手なのは分かってる。
それでも、今は。
音を奏でることも、身体を満足に動かすことも出来ない今は。
傍にいて欲しかった。
それをはっきり言えない自分の虚栄心にも似た感情が恨めしい。
思えば今日までずっと、音楽で姉さん達に負けたくなくて「子ども扱いしないで、私は一人でも平気だもん」と背伸びをし続けてきた。
でもいざこうして窮地に追い込まれると、いかに自分が脆い存在であるかを思い知らされる。
また、手足が震えてくる。
一体いつまでこんな状態が続くのだろうか。
そもそもこれは、治るのだろうか。
***
それから十日が過ぎた。
倦怠感も能力の制御が出来ない症状も、治まる気配はない。
ルナ姉は相変わらず楽団のリーダーとして、外部とのやり取りを一手に引き受けている。
朝と夜だけは私の部屋に顔を出しにきて、一言声をかけることも忘れない。
本当はもっと傍にいて欲しいけど、ただでさえ疲れているのに我儘は言えない。
昨日、そんなルナ姉が珍しく声を荒げるのを二回の窓越しに聞いてしまった。
声からして知らないブン屋だったけど、どうやら私達の活動休止についてしつこく質問してきたようだ。
平時のルナ姉は失礼な質問をされても相手に決して言質を取らせないよう必要最低限の言葉で退ける。
そんな姉さんが似合わない大声を上げたということは、やっぱり相当疲れているのだろう。
何も出来ない自分の無力さが腹立たしい。
メル姉は料理、掃除、洗濯等の家事を一人でずっとしてくれている。
私は相変わらず、「傍にいて欲しい」の一言を言えていない。
元々騒霊というのは静かな場所でじっとしているのが苦手な種族だ。
躁の音を奏でるメル姉は特にその傾向が強く、何日も家に閉じこもっていることは私やルナ姉以上に辛いはず。
でも今は私のために、文句ひとつ言わずに家に残ってくれている。
震える手をかざし、枕元の木製の置時計に魔力を送り込もうとする。
するとまた、あの光景が眼底に再現される。
幼いレイラの泣き顔、それを必死で泣き止ませようとする私。
魔力は霧散し、置時計は全く動かない。
まるで誰かから能力を縛られているようにすら感じる。
寺子屋の廊下で柚とぶつかったのがきっかけだろうか。
たしかに、あの時胸に妙な痛みを感じた。
それが無意識のうちにトラウマとして心の奥底に封じ込めていた記憶の枷を壊してしまったのかもしれない。
尤も仮にそうだと分かったところで、私にはどうしようもない。
そんなことよりも。
疲労とストレスで冷静さを失い、声を荒げるルナ姉。
快活さを失い、元気をなくしたメル姉。
「リリカ、よかったら紅茶でも飲まない?」
私のせいで、姉さん達まで変わってしまった。
嫌だ、そんなの、絶対に嫌だ。
「リリカ?」
なんで、こんなことに。
私が何をしたって言うの。
いっそこんなことになるんだったら……。
掌を胸にぎゅうと押しつける。
思ってはいけないことを、思ってしまった。
悔恨の念が沸き上がったところで、ティーセットをトレイに乗せたメル姉にようやく気付く。
でも、もう遅かった。
部屋中の物ががたがたと音を立てて揺れ始める。
「メル姉だめ、離れて!」
「え……きゃ!」
ポットとカップが砕け、破片とともに紅茶が勢いよく飛び散り床を汚した。
卓上の紙や筆記用具は気味の悪い不規則な動きで宙を舞う。
壁にかかっていた絵画が床に落下しどん、と鈍い音を立てる。
暴走した魔力を抑えることが出来ない。
とにかく今は。
「メル姉、部屋から出て!」
力の限り叫んだ。
とにかく部屋から出れば、ここにいるよりは。
突如、私の思考はそこで中断させられた。
メル姉がトレイを放り、ティーセットの破片で切ったのか頬から血を流しながらもこちらに向かって飛んできたからだ。
何か言う間もなく、私の身体は両手を広げたメル姉に包まれた。
温かさと同時に感じたのは今の状況には場違い過ぎる安心感。
それでいて身動きは一切出来ない、不思議な感覚。
正面から回された腕に強く抱きしめられているため、今の部屋の状況は分からない。
どれだけの時間こうしていただろうか。
数秒だったかもしれないし、数分だったかもしれない。
やがて嵐のように部屋中を暴れ回った私の魔力の暴走は収まり、メル姉がゆっくりと手を離す。
とにかくお礼を言わなければとメル姉の顔を見た途端、さっと冷たいものが背筋を走った。
両側の頬から血が流れている。
いつもとびきりの弾ける笑顔で観客を魅了する姉さんの綺麗な顔が。
「あ……あ……」
自分の口から言葉にならない間の抜けた音が漏れ出る。
私の、私のせいで。
口をぱくぱくさせることしか出来ないでいると、メル姉が震える声で呟いた。
「リリカ……」
「メル姉、ごめんなさい、ごめんなさい。私のせいで」
「リリカ、ごめんね……。辛かったよね、痛かったよね……」
メル姉は、泣いていた。
涙が頬の傷まで流れ込んでいる。
見ているだけでも痛々しいのにメル姉は自分の傷口を抑えることもせずに続ける。
「ごめんなさい、リリカ……。
本当はずっと傍にいないといけなかったのに……。
私、どうしていいか、分からなかったの。
リリカが能力を使えなくて苦しんでるの、分かってたのに。
どうやって元気づけてあげればいいか、分からなかったの……」
姉の突然の懺悔に私は慌てて応えた。
「そんなの、メル姉は何も悪くないよ。
周りのこと、全部やってもらってるし、それに」
「違うの、リリカ」
「え?」
「リリカをどうやって元気づけてあげていいか分からなかったのは本当だけど、
一番の理由は……私がリリカに無責任なこと言って、嫌われるのが怖かったの」
元々小さかった声がさらに小さくなる。
こんなメル姉は今までに一度も見たことがない。
「そんなことで、私がメル姉を嫌うわけ、ないよ……。
……前に私がスランプになって姉さん達に当たり散らしちゃったこと、あったよね。
その時もメル姉は構わずにずっと絡みに来てくれた。
口ではほっといてよって言ったけどあれ、本当はすごく嬉しかったの。
構って欲しかったの……子どもだよね、私」
感情を抑える堤防が決壊したように、いつもなら恥ずかしくて言えないことがつらつらと流れ出てくる。
メル姉は自身の出血にようやく気付いたかのように、指に付着した血をハンカチで拭った。
「あの時とは、違うから……。
大好きな音楽を失うなんて、私だったらきっと耐えられないよ。
……私は苦しんでるリリカに何をしてあげたらいいかが分からないからって、
それを言い訳にして今までずっと逃げていたの。
本当に、ごめんなさい……」
「二人とも、そこまでよ」
別の聞き慣れた声が部屋の入口から聞こえてくる。
二人で同時にドアの方を見やると、ルナ姉が帰ってきていた。
散らかり放題の部屋の惨状を見て一瞬だけ目を細めると、
そのままゆっくりと私とメル姉が腰かけているベッドの傍まで近づいて来る。
メル姉がまるで叱責を受けた幼子のようなか細い声で喋り始める。
「姉さんごめんなさい、私が……」
「いいから、そのままじっとしていて」
ルナ姉はメル姉の言葉をぴしゃりと遮った。
その有無を言わせない口調に私もメル姉も怯えて身を縮こまらせてしまう。
やがて、ルナ姉がベッドの傍に立ったままいつもの楽士帽を脱いだ。
あちこちを走り回ったのかいつもの艶のある金髪はほつれてしまっている。
私達は見上げる形で恐る恐るルナ姉の言葉に耳を傾ける。
目が合った途端、はっとした。
ルナ姉の細目に浮かぶ金色の瞳がゆらゆらと揺れている。
「……メルラン、リリカ」
ルナ姉はまず黙ってメル姉の頬の治療を始めた。
血と涙で濡れ赤褐色に染まった肌に、消毒液を染み込ませた白い布が当てられる。
汚れを綺麗に拭き取ると、今度は四角いテープで傷口に蓋をする。
涙を堪えながらでも、その慣れた動きに迷いはなかった。
本来、騒霊が物理的な外傷を負うことはまずない。
でも、私達に限らず人ならざる者、霊や妖怪は精神へのダメージに非常に弱い。
それは心が不安定になった時、自身の存在を揺るがす出来事が起きた時等も含まれる。
だからこそ私達も日常的に口に出すことはしないけど、心の拠り所や存在理由を失うことを強く恐れている。
私が壊したティーセットの破片や部屋中を乱れ飛んだ小物類が身体に傷をつけたのも、
それだけメル姉が精神的に追い込まれているからに違いない。
「傷口、しばらく触っちゃだめよ」
「……うん、ありがとう姉さん」
救急箱の蓋が閉められる。
これを館に設置したのはルナ姉だ。
私達にはまず不必要じゃないかと、私とメル姉は笑ったのを思い出す。
それに対してルナ姉は真剣な表情で「ライブで万が一怪我人が出た時のためよ」と答えた。
用途こそ当初の想定と違えど、救急箱はこうして役に立っている。
やっぱり、ルナ姉はいつだって私達のトップだ。
これから先どんなことがあっても、リーダーはルナ姉しかありえない。
普段は少しぼんやりして見えることもあるけど、その実誰よりも俯瞰的に物事を見る力を持っている。
この数日間で多数発生したであろう厄介事も、難なく片付けている。
そして何より、こんなにも優しい。
それに引き換え私は。
足を引っ張るばかりか、さっきはついに絶対に思ってはいけないことまで。
陰鬱な気持ちが強くなる中、気付けばベッドの脇にルナ姉が立っていた。
ルナ姉はそのまま流れるような動作で私の腰に手を添え、そっと抱き寄せた。
私はされるがままに抱擁を受ける。
部屋が静寂に支配されていく。
やがて先程までは絶え間なく耳に入っていた自分の動悸の音さえも聞こえなくなった。
あるのは背中を優しく擦るルナ姉の手の感触だけ。
自分の気持ちが静まっていくのを肌で感じる。
「ルナ姉……」
「リリカ、メルラン」
「姉さん?」
「……なあに」
背中に回された腕の力が微かに強まる。
「……ごめんなさい、悪い姉さんで」
言葉を遮り、メル姉が口を挟んだ。
「姉さんは悪くないわ、悪いのはリリカの傍にいなかった私で……」
「違う、私が家に残っていてもきっと同じことになってたわ。
確かに休止についての伝達や対外的な活動は必要だった。
でも私は、それを半ば言い訳にしてしまった。
下手なことをして嫌われるのが怖くて、リリカのことを貴女に任せきりにしてしまった……」
二人の顔は見えていないけど、かすれ始めたその声からルナ姉が今どんな表情なのかは想像がついた。
私は身をよじらせ、もぞもぞと抱擁をふりほどく。
それから二人に視線を向け、一呼吸置いてから言った。
「ルナ姉、お願い。メル姉も」
私の言葉に二人が無言で小さく頷く。
「私、ちゃんと全部話すから、だから。
メル姉、全部吐き出して。
ルナ姉も、一人でいつまでも我慢しないで泣いてよ、お願い」
途端、揺れるルナ姉の瞳から涙が流れた。
***
二十分ほどしたところで、ルナ姉の涙は止まった。
赤く腫らした目もとを拭いてあげると、赤面しながらも微かに頬を緩めてくれた。
メル姉も穴だらけになった部屋着を着替えて戻って来た。
全員が落ち着いたところで、私は自分の魔力が暴走したことについて語った。
寺子屋の授業の前に廊下で生徒と軽くぶつかったこと。
それ以来能力のコントロールが出来なくなったこと。
魔力を行使しようとする度に、昔一度だけレイラを泣かせてしまった時の記憶がフラッシュバックし続けること。
そしてその原因は恐らく寺子屋での出来事が昔のトラウマを引き出したせいであること。
二人は小さく頷きながら真剣な眼差しで耳を傾けている。
私はそこまで話し終えたところで、一呼吸置いて最も罪悪感を感じている部分に足を踏み入れた。
「……それで、何も出来なくなって。
ルナ姉とメル姉には迷惑をかけて。
もしこのまま能力を失ったら、私はただの足手纏いになるって思ったら、全てが嫌になって、それで……。」
メル姉が口を挟もうとするのをルナ姉が制した。
「ゆっくりでいいから続けて」とでも言うように続きを促す。
私は意を決して、口にした。
「……ずっとこの苦しみが続くぐらいなら、こんな思い出なんかなくなってしまえ。
それに寺子屋のお手伝いなんかしなきゃよかった、って。
……思ってしまったの。
そうしたら私の魔力が暴走して……それをメル姉が抑え込んでくれたの。
……最低だよね、自分の身体の不調をレイラの、寺子屋の子どものせいにするなんて。
……ごめんなさい」
全てを吐き出し、懺悔した。
ふらつきそうになる身体をなんとかまっすぐに正す。
告白を聞き終えた二人はというと、はじめは驚き固い表情を浮かべていた。
でも私が語り終えたタイミングで、なぜかルナ姉は嬉しそうにメル姉の方を見てくすりと笑った。
するとメル姉もつられたようにこりと微笑む。
二人が頬を緩ませている理由が分からず困惑していると、メル姉が口を開いた。
「……姉さん、多分同じこと思ってるでしょ」
「……そうね」
二人は口に出さずとも相手の考えが分かっているようだけど、話が全く見えてこない。
ルナ姉がゆっくりと語り始めた。
「私達は、ある意味で同じかもしれないわね」
「……どういうこと?」
「私もさっきの話は初めて知ったけど、リリカはレイラを泣かせてしまったことや寺子屋での出来事をずっと後悔してるのよね?」
「……うん」
「じゃあ、それはどうして?」
「そんなの、レイラも柚も大事だし、嫌われたくなくて……あっ」
そうか。
私がレイラや柚に嫌われることを恐れる気持ちと、ルナ姉とメル姉が私に嫌われることを恐れる気持ち。
同じだ、だから二人は。
ようやく合点がいったところで、今度はメル姉が気まずそうに口を開く。
「その、今だから言うけど、レイラを泣かせちゃったのはリリカだけじゃないのよ。
私は……二人で自転車に乗ってた時にレイラがきゃっきゃって喜ぶからつい調子に乗ってスピード出し過ぎて……」
ルナ姉が続く言葉を紡いだ。
「転んで泣きながら帰ってきたわね、絆創膏を貼ったのをよく覚えてるわ」
メル姉がうっ、と居心地が悪そうな顔をする。
ルナ姉が咳払いをして続けた。
「……私もよ。
それに多分、レイラを一番泣かせた気がするし」
昔なら「わー、ルナ姉がレイラいじめたー」なんてメル姉と一緒にからかっていたところだろう。
でも、今なら分かる。
私の代わりにメル姉が言った。
「レイラが悪戯や間違ったことをした時、一番叱ってたのは姉さんだものね」
「……レイラで三人目だからね、もう流石に慣れてたわよ。
誰かさんたちは甘やかすばかりだし……」
一人目と二人目が誰のことかは言うまでもない。
私とメル姉は慌てて視線を逸らす。
次に視線が合ったタイミングで、私達は同時にぷっと吹き出して笑った。
メル姉は普段のあふれるばかりの笑顔を取り戻して。
ルナ姉は口元に手を添えながらも、「あはははっ」とはっきり声を出して。
三人でこんなに話したのは、いつぶりだろうか。
泣いて、叫んで、全部吐き出して。
疲れているはずなのに、気付けば身体はむしろ軽くなったような気がする。
あれだけしつこかった倦怠感も、いつの間にかほとんど消失している。
もしやと思い、駄目元で近くに落ちているペンに魔力を送り込む。
するとペンはなんの抵抗もなくふわりと浮き上がった。
思わず自分の手を見る。
間違いない、これは自分がやったんだ。
メル姉から弾んだ声が上がる。
「リリカ、それ……!」
「うん、なんでか分からないけど……」
自分でも理由が分からない。
今度は床に飛び散ったティーセットの破片。
これもスムーズに、私の思うがままに動いた。
ルナ姉が少し心配そうな顔で尋ねる。
「大丈夫? 苦しくない?」
「うん、平気だよ」
最後に、深呼吸とともに愛用のキーボードをイメージする。
姉さん達が緊張した面持ちで見守っている。
意を決して魔力を振るうと、ずっと一緒に音を奏で続けてきた私の相棒がそこにあった。
ボディの赤色がいつもより強く輝いているように見える。
数日離れていただけなのに、なんだかとても懐かしい。
キーボードは久しぶりに呼び出されて嬉しいのか、鍵盤の両端の羽をぱたぱたさせている。
ごめんね、心配かけちゃったね。
そうしているとメル姉が両手で目をこすりながら涙で声を潤ませた。
隣ではルナ姉が背中を優しく撫でている。
「リリカ……よかった、よかったよぉぉ……」
「ちょっと、メル姉ったら……」
相棒の具現化を解き、姉さん達の前に立つ。
メル姉は相変わらず顔をくしゃくしゃにして泣いている。
ルナ姉はいつの間に手に持っていたのか、赤い楽士帽を私に被せた。
「リリカ、おめでとう。そして……おかえりなさい」
「……うん、ただいま。ルナ姉もメル姉も、大好き……。
ずっと、ずっと一緒にいてね……」
***
「柚ちゃん、おはよ!」
「あ、リリカ先生……」
「ほらほら、おはようございますでしょー?」
「う、うん。おはよう、ございます……」
「はいおっけー! 今日は柚ちゃん、私のグループだからね。
分からないことはどんどん聞いてよ!」
「……うん!」
あれから私は、自分を取り戻すことが出来た。
レイラがくれた力で、大好きな音楽を姉さん達と一緒に奏でる。
柚ちゃんをはじめとする寺子屋の子ども達が、今日もそんな私達プリズムリバー楽団を頼ってくれる。
夕食の席でふと、メル姉が言った。
先日私がつけてしまった頬の傷も今は綺麗に治っている。
「そういえば最近、レイラは夢に出てこないの?」
「うん、あれから一回も見てない」
私も体調が戻ってから数日間、原因について考えていた。
確証は持てないけど、その末に思いついた一つの予測を述べる。
「原因も治った理由も、正直本当のところは分からない。
でも、ルナ姉とメル姉と、本当の気持ちを吐き出し合ってよくなったのは確かだからさ」
一呼吸置いたところでメル姉とルナ姉が食事の手を止めてこちらを注目する。
一度言葉を頭の中で整理してから続けた。
素直な、ありのままの気持ちで。
「……きっとレイラがどこかで私のことを見守ってて、
『リリカお姉ちゃん、もっとお姉ちゃん達とお話しなきゃ、素直にならなきゃだめだよ』
って注意してくれてたんじゃないかな、って今は思ってる」
メル姉が頷いて応える。
「……そうかもしれないね。
でも、それは私も、みんな同じね」
ルナ姉がくすりと微笑みながら後に続く。
「ええ。私達がしっかりしなきゃ、今度はレイラが怒りながら出てきてしまうかもしれないわね」
メル姉もつられたように声を上げて笑い始める。
「あはは、私達みんなお姉ちゃんなんだから末っ子のレイラにお説教されるようじゃダメだよね」
愉快で幸せな日常が、戻ってきた。
……もしもまた、同じようなことがあったら。
能力を失ってしまったら。
今度は、きっと大丈夫。
私にはこんなにも自分を想ってくれる家族がいる。
ルナ姉とメル姉が傍に居てくれる。
レイラが今もどこかから私を見守ってくれている。
今度は私が、助ける番。
親愛なる家族に、自分がもらった以上の愛を。
SOMEBODY TO LOVE(愛にすべてを)
展開の順序を多少入れ替えるだけでだいぶ読みやすくなるような気がしました。
またさらに個人的な好みで踏み込むのなら、
ハッピーエンドに対して少し暗い部分が長いという印象を受けてしまったので、
タイトルに対して少し暗めな話の印象を受けました。
(作者さんがそういう意図で書いたのなら読み方を間違えたかもしれません)
せっかく寺子屋で働くプリリバを描くのなら、もう少しそのあたりの方向の話も見たかったかもです。
ふさぎ込んでいるリリカは可愛いですね