ただでさえ穀潰しの姉さんが最近、輪をかけて穀潰しになった気がする。
人里外れの廃屋と見紛う程のあばら家の中、今にも自壊してしまいそうなくらいボロボロなちゃぶ台に頬杖をつきながら女苑はそんな事を思っていた。
彼女の視線の先には溶けた猫のようにぐでぇ、と畳に伏すだらしのない姉の姿がある。
極力エネルギーを消費しないようにしているのか。時折「あー」だの「うー」だの呻いて身じろぎするだけで、それ以外何もしようとしない。これではまるで生きる屍だ。妹として目を覆いたくなるばかりの無様な惨状には、ささくればかりの汚ったないこの畳の上でよくああも腹這いになれるものだと一周回って妙な感心すら覚える。
少し前に様子を見に来た時はこんな様ではなかった……いや、よく思い返してみれば大して違わなかった気もする。よしんば違っていたとしても、どうせ五十歩百歩の取るに足らない違いなのだろうが。
それでも以前の紫苑は元々活発ではなかったにせよ、もうちょっと活動的ではあったはずだ。
例えば頼んでもいないのに突然思い出したかのように家事を手伝っては(尚、その出来栄えはお察しのものである)、「一仕事したのだから姉さんにお駄賃をおくれよ」と厚かましくも妹に要求してくる姉。そんな大層腹立たしい事を昔は週一くらいでしてきたが、今はしてくる気配が微塵もない。
例えば黄昏時になけなしの銭を集めようと目を皿のようにして人通りの少なくなった往来を這い回るように徘徊し、烏や野良猫が野菜くずをつつき回していればそれさえも横から奪い取って貪る程の浅ましい姉。今ではそんな貪欲さは嘘のように消え去ってしまい、雛鳥の如く口を開けて女苑のお情けを待つばかり。
ああそうだ。最近はもう物乞いすらしなくなってしまった。前はたとえ何も貰えない日が続いたとしても、毎日欠かさず辛抱強く続けていたというのに。
なんたる堕落。なんたる怠惰。
ここまで死に体になった紫苑を女苑は見た事がない。これまではどんなに無気力であっても、最低限の生きる努力や気力はあったはずなのに。
やはりあれか。なまじ不良天人などに憑いて貧乏神には過ぎたる幸福を味わってしまったから、その揺り戻しが来ているのか。
あんにゃろう、腐れ天人め。だからあんな奴に姉さんを渡すのは嫌だったんだ。大体あの全てを見下したかのような態度も全く気に入らない。次見かけたら里のど真ん中だろうが問答無用でぶちのめしてやる。
ギリギリと歯軋りしながら密かに決意する女苑。
それを横目に紫苑はまた声にならない呻き声を上げ、僅かに身じろぎする。軽い何かが転がる音。そして紫苑は再び深く溜息を吐いて、全身の力を抜いて畳に溶ける。
……そう言えばさっきから紫苑が身じろぎする度に何かが転がる音がしている。一体姉は日がな一日、寝そべりながら何をしているのだ?
気になった女苑はアクセサリーをじゃらじゃら鳴らしながら腰を上げ、紫苑の前へひょいと回り込む。
そこに転がっていたのは、一の目を出した賽子が二つ。それを紫苑は死んだ魚のような目で眺めていた。
「……何これ?」
姉の事は一旦無視し、女苑は賽子を摘み上げる。
軽く振ったり透かしたりしてみるが、特に変わった所はない。何のイカサマも仕込まれていない、至って普通の賽子である。姉が急に無気力になった時期から時折変な音がするとは思っていたが、その音の正体はどうやらこの賽子らしい。
一体こんなもの何処で拾って来たのやら。それに、こんなチンケな賽子程度で姉がここまで無気力になるとも考え辛い。しばらく留守にしている間に何があったというのか。
女苑が眺め回していると、ようやく賽子を取られた事に気付いたのか紫苑が「返してぇ〜……」と力無く呻いた。
「返す? はっ、こんなみすぼらしい賽子なんざいるもんかい。まったく何処でこんなガラクタを拾ってきたんだか」
「それは拾い物じゃないわ。親切な人からの頂き物よ」
「へえぇ。頂き物。恵んでやるにしてもこんなゴミじゃなくて、もうちょいマシなもんくれてやった方が良いだろうに。おかしな奴もいたもんだね」
「こら、女苑。恵んでくれた人に失礼でしょ」
紫苑が女苑をたしなめるが、物乞いで賽子なんて貰っても使い道に困るのは事実だろう。何故か紫苑はやたらありがたがっているが。
詳しく話を聞いてみると、どうやらこの賽子は最近幻想郷によく出入りしている外来人の少女から貰った物らしい。
何でもその少女が持っていた如何にも高そうな水晶玉を「あんな子供がでっかい水晶玉を持ってるなんて、最近は景気がいいのねぇ」なんてぼんやりと眺めていたら、それが彼女には物欲しそうに映ったようだ。マントが良く似合うその少女は「これはさすがにあげられないけど、同じ占いの道具だしこっちならあげる」と言って、この賽子二つを渡してくれたのだという。
「賽子で占いだって? そんなの聞いた事も無いけどねぇ」
「なんか外の世界で流行っている占いらしいよ。占いと言うよりは遊びに近いものだって言ってたけど」
紫苑が話す所によると、この賽子占いは【てぃーあーるぴーじー】なる遊びのルールを踏襲した、簡易的で気休め程度のお遊びみたいなものに過ぎないらしい。
占いのやり方は、何かしたい事がある時にその難易度を十一段階評価で決めて目標値を設定する。そして賽子を二個振って出目の合計値が目標値を超えたならば吉、下回ったら凶とするという本当に簡単なものだ。
そんな児戯にも等しい賽子占いが、何故姉からそんなにも気力を奪い去っているのか。女苑の疑問は加速する。
「じゃあ試しにやってみせようか? これを見れば女苑も私のやる気がなくなってる理由が分かるはずだし」
「ふーん? じゃあやってもらおうじゃないの。納得出来る理由だったんなら、多少は大目に見てあげようじゃない」
「よしきた。じゃあ今回は私が女苑の家事を手伝う事について占ってみるよ。目標値は四。これより下だったら何が良くない事が起こるって事で」
「目標値が四って、随分低いハードルねぇ」
賽子を二つ振った時の出目の期待値は七だ。四以下なんて余程運が悪くない限り出やしない。貧乏神の姉だったら、もしかするかもしれないが。
果たして紫苑が気怠げに投げ打った賽子の出目は、先程女苑が覗き見た時と同じ一のゾロ目。俗に言うピンゾロである。珍しい出目が二連続で出た事に女苑は「おっ」と軽く感嘆の声を漏らしたが、一方で紫苑は天を仰いで大袈裟に嘆いた。
「ああ、ほらやっぱり。また二よ。本当ツイてないわ」
「何でよ。目標値には達してないかもしれないけど、ピンゾロなんて縁起のいい出目じゃない。むしろこれはツイてるんじゃないの?」
「それが違うのよ。この賽子占いには一つ特殊なルールがあってね」
その特殊ルールとやらは六ゾロとピンゾロの出目の場合に適用されるのだと言う。
六ゾロが出た場合は目標値の高さに関わらず決定的成功として扱い、占った物事はなんでも上手く行くらしい。一方でピンゾロの場合は致命的失敗という扱いになり、どんなに簡単な物事であってもやる事なす事全てが裏目に出てしまうのだとか。
「つまり、今の私が女苑の家事を手伝ったりしたら大変な事が起きるって事なのよ。だから私はこうして何もしないでいるのが一番なんだわ」
「成程ね。話は分かったけど、そんな遊び程度で穀潰しする理由になんざなるものかい。恵んで欲しけりゃ少しは働いて見せるこった」
「えぇ~、何でよぅ。私が何かしたらとんでもない失敗をやらかすんだってば。それでもいいの?」
「やかましい。そこらのガキんちょだってお駄賃貰う為に親の仕事を手伝ったりしてんだ。働かざる者食うべからずって言葉もあるだろ。多少の家事も手伝わないならおまんまはお預けだよ」
「むぅ……じゃあ少しくらいは手伝うけど、どうなっても知らないからね」
「はいはい、御託はいいからさっさと動きな」
そうして紫苑の尻を蹴り上げる事に成功した女苑だったが、結果から言うとこれは酷い判断ミスだった。
試しに洗濯物が溜まっていたのでそれを洗わせてみたのだが、洗濯板のささくれで指を怪我するわ服を傷ませて駄目にするわ。どうにか洗濯を終わらせて外に干そうとすれば今度は何も無い所でけつまずいて、無事だったはずの洗濯物は雨上がりのぬかるみの中に落ちて全ておじゃんとなった。
「……マジかよ」
「だから言ったじゃないの。良くない事が起こるって」
紫苑はそう言うが、いくら何でもこの結果は女苑の予想を遥かに上回っていた。まさかあんな気休め程度の占いが的中し、本当にやる事なす事全てが裏目に出るだなんて誰が思うと言うのか。貧乏神としての能力にしたって度が過ぎる。
「私だってね、最初の内は気休めだと思って頑張ってみたりはしたのよ。でも、その結果はぜーんぶ裏目に出てばっかり。これでもかってくらい酷い目にあったわ」
駄目になった洗濯物を虚ろな目で眺めつつ、紫苑はそうぼやいて再び賽子を振った。その出目はやはり一と一。またもファンブル、致命的失敗である。
「だから私は自分から動くのを止めたのよ。日がなぼーっとしてるのは得意だし、こんなんでも神様だから飲まず食わずでもひもじいだけで死にやしないし。最悪女苑が何とかしてくれるからいいやって」
言葉を続けながら尚も賽子を振り続ける紫苑。
しかし十回振っても、百回振っても。千回賽子を投げようとも上を向くのは一、一、一、全部一。
その出目のことごとくがピンゾロであり、紫苑に待ち受ける悲惨な運命をこれでもかと突き付けていた。もはや暗示とか占いとかそういう次元を超えている。
「ほらね、どんなに振っても一しか出ない。やっぱり私は不幸の星の下に生まれたんだわー」
そう嘆いてちゃぶ台に突っ伏す紫苑。一方で女苑は目の前で起きた確率論に唾を吐きかけるような光景に頭を抱えていた。
どこの誰だか知らないが、よくも紫苑に余計な事を吹き込んでくれたものだ。恐らくこれは紫苑が出目の結果に対して『不幸な事が起こる』と思い込んでいるプラシーボ効果から引き起こされている現象だろう。そうでもなければいくら貧乏神だからと言って、賽子が常に一しか出さないなんて現象起きる訳もない。女苑は噂の外来人を心の底から呪った。
だがその時、ふと女苑に悪魔的な発想が浮かんだ。
貧乏神の姉には致命的失敗しか有り得ない?
それがどうした。元よりそんな事は妹である女苑はよく知っている。紫苑は多少上振れる事があれど、基本的には自身も含めて全てを等しく負けさせるのだ。それが貧乏神としての変えようがない性質である。
しかし、その破滅的な程の運の悪さが賽子の出目を一に固定させると言うのなら──
「姉さん! 今すぐ余所行きの服を準備しなさい! 殴り込みに行くわよ!」
「えっ、えっ? 急にどうしちゃったの、女苑。余所行きの服って言ったって、さっき洗濯に失敗したからもう一枚も残ってないわよ」
「じゃあ私のお古を貸したげるわ! 兎にも角にもさっさと用意を済ませなさい!」
「待って待ってよ、行くってどこに行くつもりなの? 殴り込みに行くなんて穏やかじゃないし」
「そんなの決まってるでしょ! 駒草賭博場よ!」
「……何で? そこって私が一番行っちゃいけない場所じゃない?」
突然の妹の乱心に目を白黒させる紫苑。貧乏神が博打なんぞすれば負けるのは必定、一番相性が悪いとさえ言える。故に生まれてこの方一度も賭博場なんて行った事もないし、ルールなんて何一つ知らない。だと言うのに急にどうしてしまったのか。
「姉さんは気にする必要ないんだよ。黙って私の言う通りに賽子振ってりゃ良いんだ。それだけで明日の今頃にゃ大金持ちになってるだろうからね」
心配する紫苑をよそに、女苑は自信満々と言った様子で妖怪の山へと歩を進める。
我ながらなんという名案だろう。出目が全て一になるならちんちろりんで勝負さえすれば賭け金は全て五倍付けで返って来る。しかも、イカサマ賽子を使う訳ではないから相手は異常に気付いた所で為す術がない。一体どこの誰が貧乏神パワーで常にピンゾロが出るようになっているだなんて思うのか。
唯一の懸念事項は肝心な時にピンゾロを出ない可能性がある事だが、それは姉にちんちろりんのルールを教えた場合だ。思い込みで貧乏神の能力が強くなってしまうなら、最初からルールを教えずに『占い感覚で振ればいいのよ』とでも言ってやればいい。そうすれば先程の光景と同じように、運や確率を超越した出目を見せてくれるに違いない。
駒草め、この間はよくもイカサマを暴いた上に有り金全部巻き上げてくれたものだ。今日はそのリベンジである。今度はこっちが身ぐるみ剥いでやろうではないか!
そう復讐心に燃える女苑の後ろを、浮かない顔をしながら憑いていく紫苑。
一度こうなったらこの妹は何があっても言う事を聞かない。好きなようにさせるのが一番だ。一体全体一しか出せないのが博打の何の役に立つのかまるで分からないし、止めといた方がいいような気もするが……まぁ、たまにはこういうのもいいかなと思い直す。博打を打つなんて初めての事だし、目一杯楽しんでみるのも悪くない。女苑は何やら秘策があるようだし。
そう考えて少し気が楽になった紫苑は、何となくまた賽子を手の平の上で転がしてみた。その出目は相変わらず、致命的失敗のままだった。
§
駒草賭博場。
妖怪の山の奥地にて開かれるこの賭場では日々様々な妖怪が博打に熱を上げている。
中でも今日は一際気炎を上げている二人組がいた。勿論言うまでも無く賭場荒らしに来た依神姉妹なのだが、少々様子がおかしかった。
「……はい、今回もちゃんとピンゾロ出したよ。これでいいんでしょ?」
ちろりろりん、と高い音を響かせて紫苑がお椀の中に振った賽子の出目は全て一。役はピンゾロ、賭け金の五倍付け。普通であれば大勝ちに歓声を上げる所だ。
しかし女苑はそれをまったく喜べないでいた。寧ろ、怒り心頭と言った様子で紫苑へ詰め寄る。
「良い訳あるかい! そりゃ確かにピンゾロだけど、ションベンしてたら意味が無いでしょうが! これで十回目よ⁉ わざとやってんじゃないでしょうね!」
「ションベンってそんな汚い言葉使っちゃ駄目よ、女苑。人前なんだからもう少し言葉遣いには気を付けないと」
「ションベンって役なんだよ! 役に立ってない癖に一言多いな、姉さんは!」
そう、紫苑の出した目は全て一でこそあったものの、その内の一つはお椀の外へと零れてしまっていた。これはちんちろりんのルールではションベンという役に当たり、親へマイナス一倍の払いである。要するに負けだ。
必勝法を見つけたと思って意気揚々と乗り込んだはいいものの、予想に反して紫苑の出目の悪さは異常とも言える程に極まっていた。ピンゾロという最高の役を出しているとはいえ、それで勝てなければ意味が無い。お椀の中にさえ賽子が全て入っていれば勝てるはずなのに、ただの一回もちゃんと賽子が入る事は無くこの様である。正しく出目通り致命的失敗、全く嬉しくない。
勝てると踏んで初っ端から大金を賭けたので、既に前回と同じくらいかそれ以上には負けている。これ以上は種銭が無い。次の勝負が文字通り一世一代の大博打となるだろう。今までの負けを取り返す為にも、ここは確実にションベンだけは避けなければいけない。
「いい、姉さん。次は適当に振るんじゃ無くて、確実にお椀の中に入るように賽子を振りなさい。勢いを付けたりしたら駄目よ。ゆっくり丁寧に、絶対に零れない様に振って」
「まぁ、やれるだけやってみるけど……この調子だと何かの弾みで零れるかもしれないよ。もしそうなったらごめんね」
「やる前からそういう事言うなよ! 本当にそうなったらどうすんの!」
「私は別に女苑のお金で遊べてるから良いかなって」
何て事を言いやがるのだ、この姉は。それでも姉妹なのか。ここで負けたら二人して路頭に迷う事になると言うのに危機感がまるでない……いや、紫苑からしてみたら路頭に迷うのは日常茶飯事だから危機感が無いのは当然だった。窮地に立たされているのは女苑ただ一人である。
何故こんな事になってしまったのだろう。姉に頼って一儲けしようと考えたからだろうか? そもそも取り憑いた相手を否応なく不運にするのが貧乏神だ。目先の欲に眩んでそんなのに縋ってしまった時点で負けは決まっていたのかもしれない。
だが、今更ここで引き返す訳にはいかなかった。せめて賭けた分だけの金は取り返さねば憤懣やるかたない。その為にもこの大勝負は絶対に勝たなければ。
「さぁ勝負よ! 今回は私の全財産を賭けてやるわ!」
「あたしゃ別に構わないが……本当に良いのかい? 負けたらご破算だよ?」
「負けが怖くて博打が出来るか! 良いからさっさと賽子を振るのよ!」
冷静さを失っている女苑に胴元の駒草が流石に止めようとするが、完全に頭に血が上っている彼女は聞く耳を持たない。駒草の煙草の煙の力をもってしても落ち着く様子はなさそうだった。
もはやこれまで。負けたらこの娘自身の責任だし仕方あるまい。駒草は説得を諦めて賽子を振る。
二回振ってその役は二の三だった。強くもなければ弱くもない、勝つか負けるかは微妙と言った役である。
しかし女苑が狙うのはただの勝ちでは無い。ピンゾロ五倍付け。今までの負けを全て取り返す起死回生の大物手のみだ。
「さぁ姉さん! ここが一番の大勝負よ! 今度こそちゃんとお椀の中に賽子を入れるのよ!」
「はいはい分かったわよ。どんな結果になっても恨んだりしないでね……っと」
女苑の血の滲むような絶叫を受けて、紫苑はやる気無く賽子をお椀に向かって振る。
幸いな事に、低い高さから注ぐように振られた賽子はお椀の外へ弾かれる事は無かった。ちろりんと小さな音を立てて賽子はすぐに止まり、運命の出目は確定する。これがピンゾロであれば大逆転の決定的成功、依神姉妹の勝利なのだが果たして。
「出目は……よりによって一二三とはねぇ。ご愁傷様だけど二倍払いだよ。あたしは止めたが、それでも賭けたのはあんただからね。払うもんはきっちりと払って貰おうかねぇ」
かくして最後の最後までも見事に致命的失敗を引き当てた依神姉妹は破産した。借金の形に身柄を差し押さえられたのかどうかは定かでは無いが、数ヶ月の間彼女達の姿を見る事は無かったという。
人里外れの廃屋と見紛う程のあばら家の中、今にも自壊してしまいそうなくらいボロボロなちゃぶ台に頬杖をつきながら女苑はそんな事を思っていた。
彼女の視線の先には溶けた猫のようにぐでぇ、と畳に伏すだらしのない姉の姿がある。
極力エネルギーを消費しないようにしているのか。時折「あー」だの「うー」だの呻いて身じろぎするだけで、それ以外何もしようとしない。これではまるで生きる屍だ。妹として目を覆いたくなるばかりの無様な惨状には、ささくればかりの汚ったないこの畳の上でよくああも腹這いになれるものだと一周回って妙な感心すら覚える。
少し前に様子を見に来た時はこんな様ではなかった……いや、よく思い返してみれば大して違わなかった気もする。よしんば違っていたとしても、どうせ五十歩百歩の取るに足らない違いなのだろうが。
それでも以前の紫苑は元々活発ではなかったにせよ、もうちょっと活動的ではあったはずだ。
例えば頼んでもいないのに突然思い出したかのように家事を手伝っては(尚、その出来栄えはお察しのものである)、「一仕事したのだから姉さんにお駄賃をおくれよ」と厚かましくも妹に要求してくる姉。そんな大層腹立たしい事を昔は週一くらいでしてきたが、今はしてくる気配が微塵もない。
例えば黄昏時になけなしの銭を集めようと目を皿のようにして人通りの少なくなった往来を這い回るように徘徊し、烏や野良猫が野菜くずをつつき回していればそれさえも横から奪い取って貪る程の浅ましい姉。今ではそんな貪欲さは嘘のように消え去ってしまい、雛鳥の如く口を開けて女苑のお情けを待つばかり。
ああそうだ。最近はもう物乞いすらしなくなってしまった。前はたとえ何も貰えない日が続いたとしても、毎日欠かさず辛抱強く続けていたというのに。
なんたる堕落。なんたる怠惰。
ここまで死に体になった紫苑を女苑は見た事がない。これまではどんなに無気力であっても、最低限の生きる努力や気力はあったはずなのに。
やはりあれか。なまじ不良天人などに憑いて貧乏神には過ぎたる幸福を味わってしまったから、その揺り戻しが来ているのか。
あんにゃろう、腐れ天人め。だからあんな奴に姉さんを渡すのは嫌だったんだ。大体あの全てを見下したかのような態度も全く気に入らない。次見かけたら里のど真ん中だろうが問答無用でぶちのめしてやる。
ギリギリと歯軋りしながら密かに決意する女苑。
それを横目に紫苑はまた声にならない呻き声を上げ、僅かに身じろぎする。軽い何かが転がる音。そして紫苑は再び深く溜息を吐いて、全身の力を抜いて畳に溶ける。
……そう言えばさっきから紫苑が身じろぎする度に何かが転がる音がしている。一体姉は日がな一日、寝そべりながら何をしているのだ?
気になった女苑はアクセサリーをじゃらじゃら鳴らしながら腰を上げ、紫苑の前へひょいと回り込む。
そこに転がっていたのは、一の目を出した賽子が二つ。それを紫苑は死んだ魚のような目で眺めていた。
「……何これ?」
姉の事は一旦無視し、女苑は賽子を摘み上げる。
軽く振ったり透かしたりしてみるが、特に変わった所はない。何のイカサマも仕込まれていない、至って普通の賽子である。姉が急に無気力になった時期から時折変な音がするとは思っていたが、その音の正体はどうやらこの賽子らしい。
一体こんなもの何処で拾って来たのやら。それに、こんなチンケな賽子程度で姉がここまで無気力になるとも考え辛い。しばらく留守にしている間に何があったというのか。
女苑が眺め回していると、ようやく賽子を取られた事に気付いたのか紫苑が「返してぇ〜……」と力無く呻いた。
「返す? はっ、こんなみすぼらしい賽子なんざいるもんかい。まったく何処でこんなガラクタを拾ってきたんだか」
「それは拾い物じゃないわ。親切な人からの頂き物よ」
「へえぇ。頂き物。恵んでやるにしてもこんなゴミじゃなくて、もうちょいマシなもんくれてやった方が良いだろうに。おかしな奴もいたもんだね」
「こら、女苑。恵んでくれた人に失礼でしょ」
紫苑が女苑をたしなめるが、物乞いで賽子なんて貰っても使い道に困るのは事実だろう。何故か紫苑はやたらありがたがっているが。
詳しく話を聞いてみると、どうやらこの賽子は最近幻想郷によく出入りしている外来人の少女から貰った物らしい。
何でもその少女が持っていた如何にも高そうな水晶玉を「あんな子供がでっかい水晶玉を持ってるなんて、最近は景気がいいのねぇ」なんてぼんやりと眺めていたら、それが彼女には物欲しそうに映ったようだ。マントが良く似合うその少女は「これはさすがにあげられないけど、同じ占いの道具だしこっちならあげる」と言って、この賽子二つを渡してくれたのだという。
「賽子で占いだって? そんなの聞いた事も無いけどねぇ」
「なんか外の世界で流行っている占いらしいよ。占いと言うよりは遊びに近いものだって言ってたけど」
紫苑が話す所によると、この賽子占いは【てぃーあーるぴーじー】なる遊びのルールを踏襲した、簡易的で気休め程度のお遊びみたいなものに過ぎないらしい。
占いのやり方は、何かしたい事がある時にその難易度を十一段階評価で決めて目標値を設定する。そして賽子を二個振って出目の合計値が目標値を超えたならば吉、下回ったら凶とするという本当に簡単なものだ。
そんな児戯にも等しい賽子占いが、何故姉からそんなにも気力を奪い去っているのか。女苑の疑問は加速する。
「じゃあ試しにやってみせようか? これを見れば女苑も私のやる気がなくなってる理由が分かるはずだし」
「ふーん? じゃあやってもらおうじゃないの。納得出来る理由だったんなら、多少は大目に見てあげようじゃない」
「よしきた。じゃあ今回は私が女苑の家事を手伝う事について占ってみるよ。目標値は四。これより下だったら何が良くない事が起こるって事で」
「目標値が四って、随分低いハードルねぇ」
賽子を二つ振った時の出目の期待値は七だ。四以下なんて余程運が悪くない限り出やしない。貧乏神の姉だったら、もしかするかもしれないが。
果たして紫苑が気怠げに投げ打った賽子の出目は、先程女苑が覗き見た時と同じ一のゾロ目。俗に言うピンゾロである。珍しい出目が二連続で出た事に女苑は「おっ」と軽く感嘆の声を漏らしたが、一方で紫苑は天を仰いで大袈裟に嘆いた。
「ああ、ほらやっぱり。また二よ。本当ツイてないわ」
「何でよ。目標値には達してないかもしれないけど、ピンゾロなんて縁起のいい出目じゃない。むしろこれはツイてるんじゃないの?」
「それが違うのよ。この賽子占いには一つ特殊なルールがあってね」
その特殊ルールとやらは六ゾロとピンゾロの出目の場合に適用されるのだと言う。
六ゾロが出た場合は目標値の高さに関わらず決定的成功として扱い、占った物事はなんでも上手く行くらしい。一方でピンゾロの場合は致命的失敗という扱いになり、どんなに簡単な物事であってもやる事なす事全てが裏目に出てしまうのだとか。
「つまり、今の私が女苑の家事を手伝ったりしたら大変な事が起きるって事なのよ。だから私はこうして何もしないでいるのが一番なんだわ」
「成程ね。話は分かったけど、そんな遊び程度で穀潰しする理由になんざなるものかい。恵んで欲しけりゃ少しは働いて見せるこった」
「えぇ~、何でよぅ。私が何かしたらとんでもない失敗をやらかすんだってば。それでもいいの?」
「やかましい。そこらのガキんちょだってお駄賃貰う為に親の仕事を手伝ったりしてんだ。働かざる者食うべからずって言葉もあるだろ。多少の家事も手伝わないならおまんまはお預けだよ」
「むぅ……じゃあ少しくらいは手伝うけど、どうなっても知らないからね」
「はいはい、御託はいいからさっさと動きな」
そうして紫苑の尻を蹴り上げる事に成功した女苑だったが、結果から言うとこれは酷い判断ミスだった。
試しに洗濯物が溜まっていたのでそれを洗わせてみたのだが、洗濯板のささくれで指を怪我するわ服を傷ませて駄目にするわ。どうにか洗濯を終わらせて外に干そうとすれば今度は何も無い所でけつまずいて、無事だったはずの洗濯物は雨上がりのぬかるみの中に落ちて全ておじゃんとなった。
「……マジかよ」
「だから言ったじゃないの。良くない事が起こるって」
紫苑はそう言うが、いくら何でもこの結果は女苑の予想を遥かに上回っていた。まさかあんな気休め程度の占いが的中し、本当にやる事なす事全てが裏目に出るだなんて誰が思うと言うのか。貧乏神としての能力にしたって度が過ぎる。
「私だってね、最初の内は気休めだと思って頑張ってみたりはしたのよ。でも、その結果はぜーんぶ裏目に出てばっかり。これでもかってくらい酷い目にあったわ」
駄目になった洗濯物を虚ろな目で眺めつつ、紫苑はそうぼやいて再び賽子を振った。その出目はやはり一と一。またもファンブル、致命的失敗である。
「だから私は自分から動くのを止めたのよ。日がなぼーっとしてるのは得意だし、こんなんでも神様だから飲まず食わずでもひもじいだけで死にやしないし。最悪女苑が何とかしてくれるからいいやって」
言葉を続けながら尚も賽子を振り続ける紫苑。
しかし十回振っても、百回振っても。千回賽子を投げようとも上を向くのは一、一、一、全部一。
その出目のことごとくがピンゾロであり、紫苑に待ち受ける悲惨な運命をこれでもかと突き付けていた。もはや暗示とか占いとかそういう次元を超えている。
「ほらね、どんなに振っても一しか出ない。やっぱり私は不幸の星の下に生まれたんだわー」
そう嘆いてちゃぶ台に突っ伏す紫苑。一方で女苑は目の前で起きた確率論に唾を吐きかけるような光景に頭を抱えていた。
どこの誰だか知らないが、よくも紫苑に余計な事を吹き込んでくれたものだ。恐らくこれは紫苑が出目の結果に対して『不幸な事が起こる』と思い込んでいるプラシーボ効果から引き起こされている現象だろう。そうでもなければいくら貧乏神だからと言って、賽子が常に一しか出さないなんて現象起きる訳もない。女苑は噂の外来人を心の底から呪った。
だがその時、ふと女苑に悪魔的な発想が浮かんだ。
貧乏神の姉には致命的失敗しか有り得ない?
それがどうした。元よりそんな事は妹である女苑はよく知っている。紫苑は多少上振れる事があれど、基本的には自身も含めて全てを等しく負けさせるのだ。それが貧乏神としての変えようがない性質である。
しかし、その破滅的な程の運の悪さが賽子の出目を一に固定させると言うのなら──
「姉さん! 今すぐ余所行きの服を準備しなさい! 殴り込みに行くわよ!」
「えっ、えっ? 急にどうしちゃったの、女苑。余所行きの服って言ったって、さっき洗濯に失敗したからもう一枚も残ってないわよ」
「じゃあ私のお古を貸したげるわ! 兎にも角にもさっさと用意を済ませなさい!」
「待って待ってよ、行くってどこに行くつもりなの? 殴り込みに行くなんて穏やかじゃないし」
「そんなの決まってるでしょ! 駒草賭博場よ!」
「……何で? そこって私が一番行っちゃいけない場所じゃない?」
突然の妹の乱心に目を白黒させる紫苑。貧乏神が博打なんぞすれば負けるのは必定、一番相性が悪いとさえ言える。故に生まれてこの方一度も賭博場なんて行った事もないし、ルールなんて何一つ知らない。だと言うのに急にどうしてしまったのか。
「姉さんは気にする必要ないんだよ。黙って私の言う通りに賽子振ってりゃ良いんだ。それだけで明日の今頃にゃ大金持ちになってるだろうからね」
心配する紫苑をよそに、女苑は自信満々と言った様子で妖怪の山へと歩を進める。
我ながらなんという名案だろう。出目が全て一になるならちんちろりんで勝負さえすれば賭け金は全て五倍付けで返って来る。しかも、イカサマ賽子を使う訳ではないから相手は異常に気付いた所で為す術がない。一体どこの誰が貧乏神パワーで常にピンゾロが出るようになっているだなんて思うのか。
唯一の懸念事項は肝心な時にピンゾロを出ない可能性がある事だが、それは姉にちんちろりんのルールを教えた場合だ。思い込みで貧乏神の能力が強くなってしまうなら、最初からルールを教えずに『占い感覚で振ればいいのよ』とでも言ってやればいい。そうすれば先程の光景と同じように、運や確率を超越した出目を見せてくれるに違いない。
駒草め、この間はよくもイカサマを暴いた上に有り金全部巻き上げてくれたものだ。今日はそのリベンジである。今度はこっちが身ぐるみ剥いでやろうではないか!
そう復讐心に燃える女苑の後ろを、浮かない顔をしながら憑いていく紫苑。
一度こうなったらこの妹は何があっても言う事を聞かない。好きなようにさせるのが一番だ。一体全体一しか出せないのが博打の何の役に立つのかまるで分からないし、止めといた方がいいような気もするが……まぁ、たまにはこういうのもいいかなと思い直す。博打を打つなんて初めての事だし、目一杯楽しんでみるのも悪くない。女苑は何やら秘策があるようだし。
そう考えて少し気が楽になった紫苑は、何となくまた賽子を手の平の上で転がしてみた。その出目は相変わらず、致命的失敗のままだった。
§
駒草賭博場。
妖怪の山の奥地にて開かれるこの賭場では日々様々な妖怪が博打に熱を上げている。
中でも今日は一際気炎を上げている二人組がいた。勿論言うまでも無く賭場荒らしに来た依神姉妹なのだが、少々様子がおかしかった。
「……はい、今回もちゃんとピンゾロ出したよ。これでいいんでしょ?」
ちろりろりん、と高い音を響かせて紫苑がお椀の中に振った賽子の出目は全て一。役はピンゾロ、賭け金の五倍付け。普通であれば大勝ちに歓声を上げる所だ。
しかし女苑はそれをまったく喜べないでいた。寧ろ、怒り心頭と言った様子で紫苑へ詰め寄る。
「良い訳あるかい! そりゃ確かにピンゾロだけど、ションベンしてたら意味が無いでしょうが! これで十回目よ⁉ わざとやってんじゃないでしょうね!」
「ションベンってそんな汚い言葉使っちゃ駄目よ、女苑。人前なんだからもう少し言葉遣いには気を付けないと」
「ションベンって役なんだよ! 役に立ってない癖に一言多いな、姉さんは!」
そう、紫苑の出した目は全て一でこそあったものの、その内の一つはお椀の外へと零れてしまっていた。これはちんちろりんのルールではションベンという役に当たり、親へマイナス一倍の払いである。要するに負けだ。
必勝法を見つけたと思って意気揚々と乗り込んだはいいものの、予想に反して紫苑の出目の悪さは異常とも言える程に極まっていた。ピンゾロという最高の役を出しているとはいえ、それで勝てなければ意味が無い。お椀の中にさえ賽子が全て入っていれば勝てるはずなのに、ただの一回もちゃんと賽子が入る事は無くこの様である。正しく出目通り致命的失敗、全く嬉しくない。
勝てると踏んで初っ端から大金を賭けたので、既に前回と同じくらいかそれ以上には負けている。これ以上は種銭が無い。次の勝負が文字通り一世一代の大博打となるだろう。今までの負けを取り返す為にも、ここは確実にションベンだけは避けなければいけない。
「いい、姉さん。次は適当に振るんじゃ無くて、確実にお椀の中に入るように賽子を振りなさい。勢いを付けたりしたら駄目よ。ゆっくり丁寧に、絶対に零れない様に振って」
「まぁ、やれるだけやってみるけど……この調子だと何かの弾みで零れるかもしれないよ。もしそうなったらごめんね」
「やる前からそういう事言うなよ! 本当にそうなったらどうすんの!」
「私は別に女苑のお金で遊べてるから良いかなって」
何て事を言いやがるのだ、この姉は。それでも姉妹なのか。ここで負けたら二人して路頭に迷う事になると言うのに危機感がまるでない……いや、紫苑からしてみたら路頭に迷うのは日常茶飯事だから危機感が無いのは当然だった。窮地に立たされているのは女苑ただ一人である。
何故こんな事になってしまったのだろう。姉に頼って一儲けしようと考えたからだろうか? そもそも取り憑いた相手を否応なく不運にするのが貧乏神だ。目先の欲に眩んでそんなのに縋ってしまった時点で負けは決まっていたのかもしれない。
だが、今更ここで引き返す訳にはいかなかった。せめて賭けた分だけの金は取り返さねば憤懣やるかたない。その為にもこの大勝負は絶対に勝たなければ。
「さぁ勝負よ! 今回は私の全財産を賭けてやるわ!」
「あたしゃ別に構わないが……本当に良いのかい? 負けたらご破算だよ?」
「負けが怖くて博打が出来るか! 良いからさっさと賽子を振るのよ!」
冷静さを失っている女苑に胴元の駒草が流石に止めようとするが、完全に頭に血が上っている彼女は聞く耳を持たない。駒草の煙草の煙の力をもってしても落ち着く様子はなさそうだった。
もはやこれまで。負けたらこの娘自身の責任だし仕方あるまい。駒草は説得を諦めて賽子を振る。
二回振ってその役は二の三だった。強くもなければ弱くもない、勝つか負けるかは微妙と言った役である。
しかし女苑が狙うのはただの勝ちでは無い。ピンゾロ五倍付け。今までの負けを全て取り返す起死回生の大物手のみだ。
「さぁ姉さん! ここが一番の大勝負よ! 今度こそちゃんとお椀の中に賽子を入れるのよ!」
「はいはい分かったわよ。どんな結果になっても恨んだりしないでね……っと」
女苑の血の滲むような絶叫を受けて、紫苑はやる気無く賽子をお椀に向かって振る。
幸いな事に、低い高さから注ぐように振られた賽子はお椀の外へ弾かれる事は無かった。ちろりんと小さな音を立てて賽子はすぐに止まり、運命の出目は確定する。これがピンゾロであれば大逆転の決定的成功、依神姉妹の勝利なのだが果たして。
「出目は……よりによって一二三とはねぇ。ご愁傷様だけど二倍払いだよ。あたしは止めたが、それでも賭けたのはあんただからね。払うもんはきっちりと払って貰おうかねぇ」
かくして最後の最後までも見事に致命的失敗を引き当てた依神姉妹は破産した。借金の形に身柄を差し押さえられたのかどうかは定かでは無いが、数ヶ月の間彼女達の姿を見る事は無かったという。
流れ的にさいころの目を6面とも6にして、前向きにさせるとかそういう流れかと思いましたが、
この様子だとそれでもファンブル出しそうですね。
少し説明口調が気になりましたが楽しめました。
色んな意味のクリティカル、とても面白かったです。
絶対失敗するんだろうと思ったらちゃんと失敗していてとてもよかったです
女苑と紫苑のお互いへの扱いが雑で面白かったです
そんな姉妹が見ていて面白かったです。