「なぁ小鈴よ、リグルという妖精を知っているかの?」
そう聞かれた小鈴は掃除のついでに読んでいた本を閉じると質問者の方を向く。緑の羽織をきたマミゾウだった。彼女以外に人はおらず、鈴奈庵は閑古鳥 が鳴いていた
「ええまぁ。話したことはないですが。確か虫の妖怪だとか」
なぜそのようなことを聞いてくるのかは小鈴には分からなかったが、当たり障りのない答えを返した。するとマミゾウは頷き、補足の説明を入れてくる
「ああ、蛍の妖蟲じゃ。何せ、虫を操ることができるらしいからなぁ」
そういえば、被害とかが出ていたような気もしなくもない。まぁ、ただの八つ当たりという可能性はあるが
「あの、なんでそんなことを聞くんですか?」
「まぁまぁ。焦るな。話は変わるが、最近あの博麗の巫女が大蜈蚣を倒したのを知っているか? あのカードに関係するものじゃよ」
大蜈蚣? 小鈴はその内容に関してはよく知らなかった。マミゾウが言っているカードというのは最近広まってた奴だろう。興味がなかったので実物を見ることはなかったが
「大蜈蚣ですか…… そんなのがいたんですね」
「ああ。山にある鉱坑に住んでいるらしくてな。あの異変に関わっていた場所らしく、彼女が出向いたんじゃよ」
「それで霊夢さんが揉めて、倒したと」
「まぁ。そうなんじゃないか。あっちが喧嘩をふっかけたということもなきにしもあらずという感じだが」
その妖怪は気が荒いのだろうか。まぁ、霊夢さんが地雷を踏んだということも考えられるが
「なんでその大蜈蚣の話をするんですか? あまり意図がわからないのですが」
「うーん実はな。最近バッタリと会ったんじゃよ。それで……」
「戦ったと」
何かと予想がつく。少なくともその大蜈蚣は喧嘩を売られたら、買う主義らしい。マミゾウさんは無意識に煽っているというか、その威厳が喧嘩を売っているように勘違いされる可能性はあるだろう
「ああ、まぁ儂も酔っていたので勝利というわけにはいかなったんじゃがな。引き分けじゃ」
「珍しいですね」
「まぁ、さすがは竜をも食らうと言われているだけあるな」
十分マミゾウさんも強いと思うが、それでも引き分けということはかなりの実力者らしい。まぁ会うことはないと思うんだが
「なんとか、次は勝ちたいんじゃ。そこでさっきの妖精の話に戻る」
「リグル? でしたっけ」
「ああ、さっきも言ったが彼女は虫を操ることができるんじゃ。そして、儂が戦ったのは大蜈蚣。わかるじゃろ」
なんとなく言いたいことがわかったような気がした。流石に無理だと思うが
「うーん。流石に机上の空論じゃないですか? そもそも妖怪なんで操れるんですか?」
「まぁ、確かにそうじゃが。厳密には大蜈蚣というのは普通の虫のムカデのことも指すんじゃ。黒目の大きめのな」
マミゾウは手で大きさを説明してくる。そこまで大きいというわけではないが、虫にしては大きいんだろう
「いやでも妖精とマミゾウさんが手こずる大妖怪ですよ」
「仮に儂の仮説が正しければ、種族の差は気にすることはない。”操る”というのは”逆らえなくする”というのと等しい意味を持っている。それに彼女の場合、虫が彼女の方によっていく。どんなに屈強な人間の男でも、絶世の美女には敵わない。そういうのに彼女のはにていると思うのだよ」
納得できるような、納得できないような仮説だ。操るという行為が身の自由を奪うということなら、確かに逆らえないようにできて無力化することだって可能だろう
「それに彼女二人は虫だから、弱点だって似ているだろう」
「マミゾウさんの仮説は解りました。でもそれは仮説であって、証拠がありませんよね。それに弱点が同じというのは強みも同じ可能性が高い。リグルという妖精の戦い方の基本は虫の大群を利用するものですよね。同じ虫同士なら、その戦法が効く可能性も低い」
マミゾウさんはそれらを黙って聞くと、少し考えるような顔をした。数秒の沈黙の後、少し笑いながら私の方に顔を向けてくる
「これは……痛いところをつかれたのう。確かに証拠はないんじゃよ」
沈黙がまた流れた後、また彼女は口を開く
「まぁ、仕返しの方法はた今度考えるとして……彼女は反旗をあげれば、人里ぐらい支配できそうだと思わんか」
「そんなに、その妖精を押したいんですか? 何かあったんですか?」
「別に数名の女子を驚かせているところを見ただけじゃ。蟲もかつては脅威だったなと、思い耽っただけじゃよ」
まぁ、化け狸だからなのか彼女自身もまだ人を驚かすことが好きなのだ。そこに何か似たものを感じたのか、もしくは虫は驚かすことに使えると思っただけなのか
「少なくとも、その妖精が話ができそうなんじゃよなぁ。あの蜈蚣と関係を持てれば、例の龍珠とやらも手に入るかもしれんし」
あ、本心が出たなっと思った。何かはよくわからないが、それが欲しいらしい
「それが本心ですか?」
「いや……まぁそうじゃな。気になるじゃないか」
「少なくとも迷惑をかけることはやめてくださいね」
「儂がここに迷惑をかけたことあったかのう。妖怪のために来て、色々解決したと自負していたが」
大きく笑って笑顔をこっちにまた向けてくる。まぁ、流石に迷惑はかけないだろう。かけないよね?
そう聞かれた小鈴は掃除のついでに読んでいた本を閉じると質問者の方を向く。緑の羽織をきたマミゾウだった。彼女以外に人はおらず、鈴奈庵は閑古鳥 が鳴いていた
「ええまぁ。話したことはないですが。確か虫の妖怪だとか」
なぜそのようなことを聞いてくるのかは小鈴には分からなかったが、当たり障りのない答えを返した。するとマミゾウは頷き、補足の説明を入れてくる
「ああ、蛍の妖蟲じゃ。何せ、虫を操ることができるらしいからなぁ」
そういえば、被害とかが出ていたような気もしなくもない。まぁ、ただの八つ当たりという可能性はあるが
「あの、なんでそんなことを聞くんですか?」
「まぁまぁ。焦るな。話は変わるが、最近あの博麗の巫女が大蜈蚣を倒したのを知っているか? あのカードに関係するものじゃよ」
大蜈蚣? 小鈴はその内容に関してはよく知らなかった。マミゾウが言っているカードというのは最近広まってた奴だろう。興味がなかったので実物を見ることはなかったが
「大蜈蚣ですか…… そんなのがいたんですね」
「ああ。山にある鉱坑に住んでいるらしくてな。あの異変に関わっていた場所らしく、彼女が出向いたんじゃよ」
「それで霊夢さんが揉めて、倒したと」
「まぁ。そうなんじゃないか。あっちが喧嘩をふっかけたということもなきにしもあらずという感じだが」
その妖怪は気が荒いのだろうか。まぁ、霊夢さんが地雷を踏んだということも考えられるが
「なんでその大蜈蚣の話をするんですか? あまり意図がわからないのですが」
「うーん実はな。最近バッタリと会ったんじゃよ。それで……」
「戦ったと」
何かと予想がつく。少なくともその大蜈蚣は喧嘩を売られたら、買う主義らしい。マミゾウさんは無意識に煽っているというか、その威厳が喧嘩を売っているように勘違いされる可能性はあるだろう
「ああ、まぁ儂も酔っていたので勝利というわけにはいかなったんじゃがな。引き分けじゃ」
「珍しいですね」
「まぁ、さすがは竜をも食らうと言われているだけあるな」
十分マミゾウさんも強いと思うが、それでも引き分けということはかなりの実力者らしい。まぁ会うことはないと思うんだが
「なんとか、次は勝ちたいんじゃ。そこでさっきの妖精の話に戻る」
「リグル? でしたっけ」
「ああ、さっきも言ったが彼女は虫を操ることができるんじゃ。そして、儂が戦ったのは大蜈蚣。わかるじゃろ」
なんとなく言いたいことがわかったような気がした。流石に無理だと思うが
「うーん。流石に机上の空論じゃないですか? そもそも妖怪なんで操れるんですか?」
「まぁ、確かにそうじゃが。厳密には大蜈蚣というのは普通の虫のムカデのことも指すんじゃ。黒目の大きめのな」
マミゾウは手で大きさを説明してくる。そこまで大きいというわけではないが、虫にしては大きいんだろう
「いやでも妖精とマミゾウさんが手こずる大妖怪ですよ」
「仮に儂の仮説が正しければ、種族の差は気にすることはない。”操る”というのは”逆らえなくする”というのと等しい意味を持っている。それに彼女の場合、虫が彼女の方によっていく。どんなに屈強な人間の男でも、絶世の美女には敵わない。そういうのに彼女のはにていると思うのだよ」
納得できるような、納得できないような仮説だ。操るという行為が身の自由を奪うということなら、確かに逆らえないようにできて無力化することだって可能だろう
「それに彼女二人は虫だから、弱点だって似ているだろう」
「マミゾウさんの仮説は解りました。でもそれは仮説であって、証拠がありませんよね。それに弱点が同じというのは強みも同じ可能性が高い。リグルという妖精の戦い方の基本は虫の大群を利用するものですよね。同じ虫同士なら、その戦法が効く可能性も低い」
マミゾウさんはそれらを黙って聞くと、少し考えるような顔をした。数秒の沈黙の後、少し笑いながら私の方に顔を向けてくる
「これは……痛いところをつかれたのう。確かに証拠はないんじゃよ」
沈黙がまた流れた後、また彼女は口を開く
「まぁ、仕返しの方法はた今度考えるとして……彼女は反旗をあげれば、人里ぐらい支配できそうだと思わんか」
「そんなに、その妖精を押したいんですか? 何かあったんですか?」
「別に数名の女子を驚かせているところを見ただけじゃ。蟲もかつては脅威だったなと、思い耽っただけじゃよ」
まぁ、化け狸だからなのか彼女自身もまだ人を驚かすことが好きなのだ。そこに何か似たものを感じたのか、もしくは虫は驚かすことに使えると思っただけなのか
「少なくとも、その妖精が話ができそうなんじゃよなぁ。あの蜈蚣と関係を持てれば、例の龍珠とやらも手に入るかもしれんし」
あ、本心が出たなっと思った。何かはよくわからないが、それが欲しいらしい
「それが本心ですか?」
「いや……まぁそうじゃな。気になるじゃないか」
「少なくとも迷惑をかけることはやめてくださいね」
「儂がここに迷惑をかけたことあったかのう。妖怪のために来て、色々解決したと自負していたが」
大きく笑って笑顔をこっちにまた向けてくる。まぁ、流石に迷惑はかけないだろう。かけないよね?