博麗神社の倉を掃除している博麗霊夢は、妖気が溢れている壺を発見した。その壺は厳重に札で封印されているが、いつ封印が破れてもおかしくない状態だったのである。
霊夢は壺に触れて、封印を再構築するのだが、壺の封印が失敗してしまい、壺から妖気が解放されて、霊夢に襲い掛かった。冷静に妖気を対処するのだが、一瞬の隙で霊夢は、気を失ってしまった。
昼頃に、普通の魔法使い、霧雨魔理沙が博麗神社に遊びに来た。昼を集りに来たのだろう。だが、霊夢が境内にいないとわかると、裏手に回り、倉の方に行くと紅白巫女を着た幼い少女が倒れていた。
「大丈夫か!?」
魔理沙が幼い少女をゆっくり抱き抱えて、顔を見ると動揺した。その幼い少女の顔が魔理沙の知っている霊夢に似ているのである。
(霊夢には弟子がいなかったよな?)
少女を部屋で寝かせてから、倉の中を調べて見ると、封印のされている壺の残骸があった。破片を調べると、微かにだが妖気の気配がしている。
(この破片の妖気は何かで封印されていたのか?あの子供は、まさかな。)
部屋に戻って見ると、少女が目を覚ましたようだ。魔理沙の方をずっと見ている。
「起きたか?」
「ん……貴女は誰?」
「私は霧雨魔理沙だぜ!」
「え…貴女が魔理ちゃんなの!?」
「魔理ちゃん!?まさか…霊夢なのか?」
幼い少女…霊夢は魔理沙の質問に頷いた。どうやら、壺に封印されていた妖気が原因で、体が縮んでしまったようだ。それだけならまだいいが、記憶も退行していて6、7歳頃の記憶しかないようだ
(霊夢を元に戻す方法を考えないとな。)
「魔理ちゃんはどうして、大きくなってるの?」
「それは…霊夢が未来の世界に来たからだぜ!」
魔理沙は未来の世界だと、霊夢に説明した。
「未来!?え…私…帰れないの…」
霊夢が泣きそうな表情になると、魔理沙が説明を続ける。
「大丈夫だ。半年以内には帰れるぜ!」
「半年…でも、帰れるなら、泣かない…」
「そろそろ、誰が来てもいい頃だぜ。」
「誰が…来るの?」
「霊夢の友達だぜ!」
魔理沙の発言に霊夢が驚いている。
「魔理ちゃん以外の友達!?」
「そうだぜ。未来の霊夢は、友達が沢山いるぜ!」
「そうなんだ…」
霊夢はキョロキョロしながら、部屋内を見渡す。誰がを探しているようだ。
「どうしたんだぜ?」
「お母さん…いない。」
「………!?霊夢のお母さんは妖怪退治の依頼で、暫く帰れないらしいぜ。」
「そうなの……?」
暗い雰囲気が漂う中。博麗神社に訪問者が現れた。守矢神社の風祝、東風谷早苗である。魔理沙は霊夢に部屋から出ないようにいって、境内に出る。
「魔理沙さん。来てたんですね?霊夢さんにお裾分けを…」
「その霊夢のことで話が…」
魔理沙は事情を説明すると、早苗は驚いたように目を見開いて、魔理沙を睨んでいる。
「なんだぜ?」
「変な毒キノコを食べさせたわけでは、ありませんよね?」
「私は無実だぜ。」
「霊夢さんには未来の世界だと、伝えたんですね?」
早苗は暫く考えると、魔理沙の協力をする。
「ある意味、嘘じゃないですよね。今の霊夢さんは6、7歳頃の記憶しかない。」
魔理沙と早苗は霊夢がいる部屋に向かうと、霊夢が高麗野あうんと面子で遊んでいた。
「霊夢さんの勝ちですよ!」
「楽しかった…魔理ちゃん!あうんに遊んでもらったよ!」
「あうん。事情は…」
「大丈夫ですよ!事情は把握しました。」
「それならいいぜ。」
霊夢は早苗に視線を向けると、見られているのに気づいた早苗は、霊夢に近づいて目線を合わせる。
「…お姉ちゃんは…私の…友達?」
「私は東風谷早苗です。霊夢さんの…姉ですよ。」
「え!?私とお姉ちゃんは姉妹!?」
「そうですよ。霊夢は私の妹……」
魔理沙が早苗の頭をハリセンで叩いた。
「痛い!?なにするんですか!?」
「なにするんですか…じゃないぜ!嘘を教えたらダメだぜ。霊夢。早苗の冗談だからな。」
「それより、早苗お姉ちゃんも巫女なの?」
霊夢は早苗の服装を見て聞いてきた。
「そうです…と、言いたいんですが…ちょっと違いますね。」
「難しい…」
霊夢は眠くなったのか、あうんを抱き抱えて眠ってしまった。
「霊夢さんは私が見ておくので。」
「そうか?また、明日来るぜ。」
「私もそろそろ帰りますね。」
魔理沙と早苗は各々、帰っていった。霊夢は少し目が覚めて、あうんを見る。
「霊夢さん。どうかしましたか?」
「あうん…一緒に寝ようよ…」
「わかりました!」
あうんは霊夢に抱き締められて、眠った。
「おやすみなさい。霊夢さん…」
翌朝、あうんは朝一番に目が覚め、霊夢の状態を確認するが、元に戻っていなかった。
(霊夢さんを起こすのは、まだいいですね。)
あうんは欠伸をして、もう一眠りする。
「おはようございます…まだ寝てますかね。」
昼前に早苗が博麗神社に来て、境内にいないので、まだ寝ているのだと確信した。
(霊夢さんは元に戻ったのでしょうか?)
縁側に行くと、あうんが遅い朝食の準備をしているところだった。霊夢は皿を出したりして、あうんの手伝いをしている。
「早苗さん。おはようございます。」
「今日は霊夢さんの手伝いに…」
「それなら、霊夢さんの話し相手になってください。私は火加減を見てくるので。」
あうんは早苗を霊夢に任せて、台所に向かった。
「霊夢さん。おはようございます。」
「早苗お姉ちゃんだ!」
早苗が来た瞬間、霊夢は満面の笑みで、出迎えた。
(昨日もでしたが、この頃の霊夢さんは素直で可愛らしいんですよね。)
「早苗お姉ちゃんはご飯食べた?」
「食べてきました。そうだ。人里で団子を買ってきたので、よかったどうぞ。」
「ありがとう!」
(幼い頃の霊夢さんの笑顔が眩しすぎますよ!持ち帰ったら、ダメで……!?)
早苗は鋭い視線を感じて、後ろを見る。あうんが笑みを浮かべているのだが、目が笑っていない。微かにだが、黒いオーラを放っている。
「早苗さん。食べていきますよね?」
「……そうですね。お願いします。」(逆らったら、殺される!?)
「早苗さん。そんなに、怯えないでくださいよ。」
「お姉ちゃん。ご飯食べよ!」
早苗は霊夢とあうんと一緒に、ご飯を食べることになった。食べている最中に、魔理沙が遊びに来た。
「魔理ちゃんだ!今日はどうするの?」
「霊夢の友達を連れてきたぜ!」
「誰だろう?」
魔理沙が連れてきたのは、人形使いのアリス・マーガドロイドだ。その横には、上海人形と蓬莱人形の2体もいる。
「友達の人形使いを連れてきたぜ!」
「魔理沙。あの子はまさか…霊夢なの?」
「昨日。話したよな…」
アリスは魔理沙と会話している最中に、上海と蓬莱が霊夢に近づいた。
「シャンハーイ!」
「ホーライ!」
「人形が喋った!」
霊夢は恐る恐る、上海と蓬莱の頭を指で撫でる。くすぐったいようで、体をくねらせている。
「ごめんなさい…」
「シャンハーイ!?」
「ホーライ!?」
2体は『気にしてないよ』とアピールするかのように、霊夢の肩と頭に乗って落ち着かせる。
「ありがとう!」
「シャンハーイ」
「ホーライ」
霊夢の周りをくるくると回っている。アリスは魔理沙との会話を終えると、霊夢を見る。
「上海と蓬莱が霊夢になついてるわ。」
「アリスが動かしたんじゃないのか!?」
「いくら私でも、魔理沙との会話中に、上海と蓬莱で会話なんて出来ないわよ。」
「そうなのか?霊夢が楽しそうだからいいけど。」
上海と蓬莱が霊夢を連れてくると、アリスに視線を向ける。
「私はアリスよ。よろしく。」
「私とお友達?」
「そうよ。私と霊夢は友達よ。」
「そっか。えへへ…よかった。」
霊夢の満面の笑みでアリスは平然としているが、内心では…
(普段の霊夢では有り得ないわよ!何、あの素直な笑みは!?妹にしたら…)
いつのまにか、あうんが隣にいて黒いオーラを放ちながら、笑みを浮かべていた。その表情にアリスは震えが止まらなかった。
「大丈夫ですか?アリスさん…体調が悪いなら休んだ方が良いですよ!」
「そう…よね。私は…」
「帰っちゃうの?一緒にお昼寝…」
霊夢がアリスの服を掴むと、涙目な表情でアリスを見る。
「一緒に…お昼寝する?」
「やったー!」
「私は帰って…」
「魔理ちゃんも…」
「………仕方ないな。お昼寝に付き合うぜ!」
アリス、霊夢、魔理沙の3人は川の字で一緒に眠った。早苗は用事ができたようで、途中で帰りました。
霊夢が幼児化して1週間、八雲紫が霊夢の異変に漸く気づいて、博麗神社に来て霊夢を調べていた。
(幼児化と一部の記憶が消えていること以外には、異常はないわね。霊夢が戻ったら、記憶も戻るわね。)
「霊夢が帰れるのは、約1週間くらいね。多少の誤差はあるけど。」
「そうなの?紫…そうだ。境内の掃除…しなくちゃ…」
ふらふらと立ち上がると、紫が霊夢を抱き止める。
「霊夢。体調が悪いならちゃんと言いなさい。」
「…ごめんなさい。」
「布団を敷いたから、寝なさい。」
霊夢は布団に横になると、紫の袖を掴んだ。
「どうしたの?」
「寝るまで…傍に…」
「寝るまでね。」
紫は霊夢の頭を撫でると、安心して眠ったようだ。
(子供になった分…抵抗力が落ちて、風邪を引きやすくなったのね…約1週間には戻る。何が起こるか…わからないわ。)
紫はスキマで姿を消した。
翌朝、霊夢の体調がすっかり良くなり、境内を掃除していた。すると、魔理沙が博麗神社に遊びに来た。
「魔理ちゃんおはよう!」
「元気そうで何よりだぜ!」
「霊夢さん魔理沙さん。おはようございます!」
あうんが目を擦りながら、境内に出てきた。霊夢はあうんを見ると抱き締める。
「霊夢の機嫌か良さそうだな。」
「今日はあうんと散歩するの!」
「急に抱き締めるので、吃驚しました。」
「あうん…ごめんなさい…」
霊夢が落ち込んでしまい、あうんは霊夢の頭を撫でながら言い聞かせると、元気を取り戻す。
「それじゃあ、行きましょうか?霊夢さん。」
「魔理ちゃんはどうするの?」
「そうだな…」
魔理沙はあうんの方を見ると、笑みを浮かべるだけで何も言わないが、霊夢が魔理沙の手を握る。
「………一緒にいくか?」
「行こうよ!」
「魔理沙さんも一緒に行きましょう!」
魔理沙、あうん、霊夢の3人は散歩に出掛けた。最初に向かった場所は、守矢神社だ。
「魔理沙さん、霊夢さん、あうんちゃんも今日は?」
「今日は遊びに来たの…迷惑だった?」
「迷惑じゃないですよ。中でゆっくりしてください。」
3人を中に入れた。早苗は境内の掃除があるので、洩矢諏訪子に頼むと、断られてしまったようだ。
「早苗がいなくてどうするの?私は用事があるから、3人を頼むね。」
諏訪子は出掛けていってしまった。魔理沙は早苗に近づいて、小さな声で質問した。
「本当に大丈夫だったのか?」
「大丈夫ですよ。境内の掃除以外は暇なので。」
「なら良いぜ。紫から後、1週間したら、戻れるらしいぜ。」
「そうなんですか…早いです…」
「早苗。霊夢が消えるわけじゃないんだ。元に戻るだけだ。いつまでも、あのままじゃあダメだぜ。」
魔理沙は早苗を慰めると、霊夢が早苗を見る。すると、早苗の手を握った。
「早苗お姉ちゃん。どっか痛いの?」
「大丈夫です。そうだ!折紙して遊びましょう。」
「折紙やる!」
「折角なので、アリスさんも呼びませんか?」
「私が聞いてくるぜ!」
暫くすると、魔理沙がアリスを連れて来た。上海と蓬莱は霊夢に近づくと、上海と蓬莱は肩に乗っている。
「落ちないでね?」
「シャンハーイ!」
「ホーライ!」
「アリスお姉ちゃん!」
「クッキーを持ってきたわ。後で、皆で食べましょ?」
「ありがとう!」
魔理沙、アリス、早苗、霊夢の4人で折紙をする。上海と蓬莱は霊夢の近くで眺めている。
「む…難しいぜ。」
「鶴できたよ!」
「霊夢上手だぜ!」
「ありが…………」
急に霊夢が倒れてしまった。この状況に、あうんが真っ青になって霊夢を必死に呼び掛ける。
「霊夢さん!起きてよ!?」
「ダメだぜ!?霊夢の意識がないぜ!」
この緊急事態に、守矢神社に紫が出現して、霊夢の状態を調べる。
「紫!?霊夢は何で倒れたんだぜ!?」
「静かにして!今調べるわ。藍!サポートして。」
「畏まりました。」
霊夢を中心にして、結界を構築する。藍が霊夢に触れて、原因を調べる。
(霊夢の体内から妖気の痕跡が!?紫様が言っていた壺に封印されていた妖気が原因か!)
藍が霊夢の体内から妖気を取り出すと、結界で閉じ込める。閉じ込められた妖気が黒く染まり、徐々に消滅し始めた。
「霊夢が目を覚ませば、良いのですが…」
「でもこれで、元の体に戻るはずよ。私としたことが、妖気の痕跡を見落としてたなんて…霊夢を永遠亭に運びましょう。」
霊夢を永遠亭に送る。
「霊夢が目を覚ましたら、お見舞いに行くぜ。」
「そうですね…」
魔理沙、あうん、アリスの3人は博麗神社に向かった。早苗は霊夢が心配のため、書き置きをして永遠亭に向かった。
あれから3日後、霊夢は目を覚ました報告を受けた早苗、魔理沙、あうん、アリスの4人が霊夢の病室に来た。
「魔理ちゃん…」
「霊夢。大丈夫か!?」
「霊夢さん!良かったですよ!」
「霊夢。元気そうで何よりだわ。」
「霊夢さん…」
「皆…ありがとう。」
「霊夢。3日後には退院出来るらしいぜ。」
「うん…」
霊夢が眠いのか、欠伸をしている。
「眠いか?」
「少しだけ…」
「あうん。霊夢の傍にいてくれ。私はちょっと出掛けてくるぜ。」
「わかりました!」
話し合いの結果。あうんは病室に残ることに。早苗、アリス、魔理沙は気分転換に、人里で果物を買いに向かった。
「霊夢さん…本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。あうん…」
「今はゆっくり休んでください。」
「私が眠るまででいいから…手を…」
あうんは霊夢の手を握ると、安心して霊夢は眠ってしまった。
(霊夢さん…もし、元の体に戻れなくても…それでも構いません。傍にいてさえくれれば…)
あうんは霊夢の手を握ったまま眠ってしまったようだ。それから、暫くして魔理沙、アリス、早苗が帰ってくると、あうんと霊夢が寝ている光景を見て、果物を置いて、帰っていった。
それから3日後、霊夢は退院して、博麗神社に帰ってきた。あうんが霊夢に抱きついて、出迎える。
「あうん…ただいま帰ったよ!」
「お帰りなさい。霊夢さん!魔理沙さんはいないんですか?」
「魔理ちゃんは用事があって、遊べないんだって…」
「なら、霊夢さん。私と一緒に遊びましょう!」
「何して遊ぶ?」
「そうですね。フリスビーが良いです!」
「わかった!」
あうんは犬小屋からフリスビーを取ってくると、霊夢に渡した。
「投げるね!」
フリスビーをあうんに向けて投げると、両手でジャンプして、フリスビーをキャッチする。
「あうんもう……うぐ!?」
「霊夢さん!?しっかりしてください!」
霊夢は苦しみながら、体を押さえて、必死に耐えている。すると、霊夢から煙が出てきた。
(熱いよ…)
暫くして、元の体に戻ったようだ。だが、霊夢は再び気を失ってしまった。あうんは霊夢を部屋まで抱えて、寝間着を着せて布団に寝かせる
(昨日、準備していて正解でした。)
あうんは体温計を持ってくると、霊夢の熱を測る。すぐに数値が表示された。
(37…微熱です。河童が作った機械は正確です…)
看病をしているうちに、あうんは眠ってしまったようだ。すると、霊夢が目を覚ました。
(私は寝てたの?)
起き上がると、あうんが寝ているのに気づいた。
(私の看病してくれたんだ…)
部屋にあるカレンダーを見て、目を見開いた。
(2週間!?どうなってるのよ!)
すると、あうんが目を覚ました。霊夢を見るなり泣き出してしまった。
(今はあうんを泣き止ませないとね…)
霊夢はあうんを抱き締めて、泣き止ませる。
「あうん…心配かけたわね。」
「霊夢…さん…怖かったですよ…目の前から…消えちゃうと…」
「あうん…もう少し眠いから、一緒に寝てくれない?」
あうんは頷いて、霊夢に抱き締められた状態で、一緒に眠った。
真夜中に目を覚ました霊夢は、あうんを起こさないように境内に出と、上を見上げて紫を呼んだ。隙間が出現して、紫が霊夢の目の前に降りてきた。
「紫。私に異変が起きなかった?2週間くらい、記憶がないんだけど。」
「話してあげましょう。霊夢に何があったのか…」
紫は2週間の出来事を全て、偽りなく霊夢に語りました。最初は真剣に聞いていた霊夢ですが、次第に顔を赤くして、しゃがみこんでしまいました。
「これが2週間の全て。」
「私が…魔理ちゃん…呼びを!?しかも、早苗とアリスに…お姉ちゃん!?」
「恥ずかしがらなくても、良いじゃない?」
「無理に決まってるじゃない!」
霊夢の隣に上海と蓬莱の2体がいた。
「アリスはいないの?」
「シャンハーイ」
「ホーライ」
上海と蓬莱は頷いている。アリスは忙しいのだろう。
「お見舞いありがとう。」
上海と蓬莱の頭を指で撫でると、嬉しそうに霊夢の肩に乗る。
「霊夢さん!」
「あうん…真夜中に目が覚めちゃたわ。」
あうんは霊夢に抱きつくと、体が震えている。泣くのを我慢しているようだ。いつのまにか、紫、上海、蓬莱はいなくなっていた。
「あうん?今は誰も見てないわ。我慢せずにね。」
あうんの目から涙が流れて、泣き出した。霊夢はあうんの背中に手を回して、泣き止むまで、抱き締めた。
「ぐす…霊夢さん…」
「あうん…見てよ!綺麗な満月だわ。」
あうんと霊夢は真夜中の満月を眺めるのであった。
終わり
霊夢は壺に触れて、封印を再構築するのだが、壺の封印が失敗してしまい、壺から妖気が解放されて、霊夢に襲い掛かった。冷静に妖気を対処するのだが、一瞬の隙で霊夢は、気を失ってしまった。
昼頃に、普通の魔法使い、霧雨魔理沙が博麗神社に遊びに来た。昼を集りに来たのだろう。だが、霊夢が境内にいないとわかると、裏手に回り、倉の方に行くと紅白巫女を着た幼い少女が倒れていた。
「大丈夫か!?」
魔理沙が幼い少女をゆっくり抱き抱えて、顔を見ると動揺した。その幼い少女の顔が魔理沙の知っている霊夢に似ているのである。
(霊夢には弟子がいなかったよな?)
少女を部屋で寝かせてから、倉の中を調べて見ると、封印のされている壺の残骸があった。破片を調べると、微かにだが妖気の気配がしている。
(この破片の妖気は何かで封印されていたのか?あの子供は、まさかな。)
部屋に戻って見ると、少女が目を覚ましたようだ。魔理沙の方をずっと見ている。
「起きたか?」
「ん……貴女は誰?」
「私は霧雨魔理沙だぜ!」
「え…貴女が魔理ちゃんなの!?」
「魔理ちゃん!?まさか…霊夢なのか?」
幼い少女…霊夢は魔理沙の質問に頷いた。どうやら、壺に封印されていた妖気が原因で、体が縮んでしまったようだ。それだけならまだいいが、記憶も退行していて6、7歳頃の記憶しかないようだ
(霊夢を元に戻す方法を考えないとな。)
「魔理ちゃんはどうして、大きくなってるの?」
「それは…霊夢が未来の世界に来たからだぜ!」
魔理沙は未来の世界だと、霊夢に説明した。
「未来!?え…私…帰れないの…」
霊夢が泣きそうな表情になると、魔理沙が説明を続ける。
「大丈夫だ。半年以内には帰れるぜ!」
「半年…でも、帰れるなら、泣かない…」
「そろそろ、誰が来てもいい頃だぜ。」
「誰が…来るの?」
「霊夢の友達だぜ!」
魔理沙の発言に霊夢が驚いている。
「魔理ちゃん以外の友達!?」
「そうだぜ。未来の霊夢は、友達が沢山いるぜ!」
「そうなんだ…」
霊夢はキョロキョロしながら、部屋内を見渡す。誰がを探しているようだ。
「どうしたんだぜ?」
「お母さん…いない。」
「………!?霊夢のお母さんは妖怪退治の依頼で、暫く帰れないらしいぜ。」
「そうなの……?」
暗い雰囲気が漂う中。博麗神社に訪問者が現れた。守矢神社の風祝、東風谷早苗である。魔理沙は霊夢に部屋から出ないようにいって、境内に出る。
「魔理沙さん。来てたんですね?霊夢さんにお裾分けを…」
「その霊夢のことで話が…」
魔理沙は事情を説明すると、早苗は驚いたように目を見開いて、魔理沙を睨んでいる。
「なんだぜ?」
「変な毒キノコを食べさせたわけでは、ありませんよね?」
「私は無実だぜ。」
「霊夢さんには未来の世界だと、伝えたんですね?」
早苗は暫く考えると、魔理沙の協力をする。
「ある意味、嘘じゃないですよね。今の霊夢さんは6、7歳頃の記憶しかない。」
魔理沙と早苗は霊夢がいる部屋に向かうと、霊夢が高麗野あうんと面子で遊んでいた。
「霊夢さんの勝ちですよ!」
「楽しかった…魔理ちゃん!あうんに遊んでもらったよ!」
「あうん。事情は…」
「大丈夫ですよ!事情は把握しました。」
「それならいいぜ。」
霊夢は早苗に視線を向けると、見られているのに気づいた早苗は、霊夢に近づいて目線を合わせる。
「…お姉ちゃんは…私の…友達?」
「私は東風谷早苗です。霊夢さんの…姉ですよ。」
「え!?私とお姉ちゃんは姉妹!?」
「そうですよ。霊夢は私の妹……」
魔理沙が早苗の頭をハリセンで叩いた。
「痛い!?なにするんですか!?」
「なにするんですか…じゃないぜ!嘘を教えたらダメだぜ。霊夢。早苗の冗談だからな。」
「それより、早苗お姉ちゃんも巫女なの?」
霊夢は早苗の服装を見て聞いてきた。
「そうです…と、言いたいんですが…ちょっと違いますね。」
「難しい…」
霊夢は眠くなったのか、あうんを抱き抱えて眠ってしまった。
「霊夢さんは私が見ておくので。」
「そうか?また、明日来るぜ。」
「私もそろそろ帰りますね。」
魔理沙と早苗は各々、帰っていった。霊夢は少し目が覚めて、あうんを見る。
「霊夢さん。どうかしましたか?」
「あうん…一緒に寝ようよ…」
「わかりました!」
あうんは霊夢に抱き締められて、眠った。
「おやすみなさい。霊夢さん…」
翌朝、あうんは朝一番に目が覚め、霊夢の状態を確認するが、元に戻っていなかった。
(霊夢さんを起こすのは、まだいいですね。)
あうんは欠伸をして、もう一眠りする。
「おはようございます…まだ寝てますかね。」
昼前に早苗が博麗神社に来て、境内にいないので、まだ寝ているのだと確信した。
(霊夢さんは元に戻ったのでしょうか?)
縁側に行くと、あうんが遅い朝食の準備をしているところだった。霊夢は皿を出したりして、あうんの手伝いをしている。
「早苗さん。おはようございます。」
「今日は霊夢さんの手伝いに…」
「それなら、霊夢さんの話し相手になってください。私は火加減を見てくるので。」
あうんは早苗を霊夢に任せて、台所に向かった。
「霊夢さん。おはようございます。」
「早苗お姉ちゃんだ!」
早苗が来た瞬間、霊夢は満面の笑みで、出迎えた。
(昨日もでしたが、この頃の霊夢さんは素直で可愛らしいんですよね。)
「早苗お姉ちゃんはご飯食べた?」
「食べてきました。そうだ。人里で団子を買ってきたので、よかったどうぞ。」
「ありがとう!」
(幼い頃の霊夢さんの笑顔が眩しすぎますよ!持ち帰ったら、ダメで……!?)
早苗は鋭い視線を感じて、後ろを見る。あうんが笑みを浮かべているのだが、目が笑っていない。微かにだが、黒いオーラを放っている。
「早苗さん。食べていきますよね?」
「……そうですね。お願いします。」(逆らったら、殺される!?)
「早苗さん。そんなに、怯えないでくださいよ。」
「お姉ちゃん。ご飯食べよ!」
早苗は霊夢とあうんと一緒に、ご飯を食べることになった。食べている最中に、魔理沙が遊びに来た。
「魔理ちゃんだ!今日はどうするの?」
「霊夢の友達を連れてきたぜ!」
「誰だろう?」
魔理沙が連れてきたのは、人形使いのアリス・マーガドロイドだ。その横には、上海人形と蓬莱人形の2体もいる。
「友達の人形使いを連れてきたぜ!」
「魔理沙。あの子はまさか…霊夢なの?」
「昨日。話したよな…」
アリスは魔理沙と会話している最中に、上海と蓬莱が霊夢に近づいた。
「シャンハーイ!」
「ホーライ!」
「人形が喋った!」
霊夢は恐る恐る、上海と蓬莱の頭を指で撫でる。くすぐったいようで、体をくねらせている。
「ごめんなさい…」
「シャンハーイ!?」
「ホーライ!?」
2体は『気にしてないよ』とアピールするかのように、霊夢の肩と頭に乗って落ち着かせる。
「ありがとう!」
「シャンハーイ」
「ホーライ」
霊夢の周りをくるくると回っている。アリスは魔理沙との会話を終えると、霊夢を見る。
「上海と蓬莱が霊夢になついてるわ。」
「アリスが動かしたんじゃないのか!?」
「いくら私でも、魔理沙との会話中に、上海と蓬莱で会話なんて出来ないわよ。」
「そうなのか?霊夢が楽しそうだからいいけど。」
上海と蓬莱が霊夢を連れてくると、アリスに視線を向ける。
「私はアリスよ。よろしく。」
「私とお友達?」
「そうよ。私と霊夢は友達よ。」
「そっか。えへへ…よかった。」
霊夢の満面の笑みでアリスは平然としているが、内心では…
(普段の霊夢では有り得ないわよ!何、あの素直な笑みは!?妹にしたら…)
いつのまにか、あうんが隣にいて黒いオーラを放ちながら、笑みを浮かべていた。その表情にアリスは震えが止まらなかった。
「大丈夫ですか?アリスさん…体調が悪いなら休んだ方が良いですよ!」
「そう…よね。私は…」
「帰っちゃうの?一緒にお昼寝…」
霊夢がアリスの服を掴むと、涙目な表情でアリスを見る。
「一緒に…お昼寝する?」
「やったー!」
「私は帰って…」
「魔理ちゃんも…」
「………仕方ないな。お昼寝に付き合うぜ!」
アリス、霊夢、魔理沙の3人は川の字で一緒に眠った。早苗は用事ができたようで、途中で帰りました。
霊夢が幼児化して1週間、八雲紫が霊夢の異変に漸く気づいて、博麗神社に来て霊夢を調べていた。
(幼児化と一部の記憶が消えていること以外には、異常はないわね。霊夢が戻ったら、記憶も戻るわね。)
「霊夢が帰れるのは、約1週間くらいね。多少の誤差はあるけど。」
「そうなの?紫…そうだ。境内の掃除…しなくちゃ…」
ふらふらと立ち上がると、紫が霊夢を抱き止める。
「霊夢。体調が悪いならちゃんと言いなさい。」
「…ごめんなさい。」
「布団を敷いたから、寝なさい。」
霊夢は布団に横になると、紫の袖を掴んだ。
「どうしたの?」
「寝るまで…傍に…」
「寝るまでね。」
紫は霊夢の頭を撫でると、安心して眠ったようだ。
(子供になった分…抵抗力が落ちて、風邪を引きやすくなったのね…約1週間には戻る。何が起こるか…わからないわ。)
紫はスキマで姿を消した。
翌朝、霊夢の体調がすっかり良くなり、境内を掃除していた。すると、魔理沙が博麗神社に遊びに来た。
「魔理ちゃんおはよう!」
「元気そうで何よりだぜ!」
「霊夢さん魔理沙さん。おはようございます!」
あうんが目を擦りながら、境内に出てきた。霊夢はあうんを見ると抱き締める。
「霊夢の機嫌か良さそうだな。」
「今日はあうんと散歩するの!」
「急に抱き締めるので、吃驚しました。」
「あうん…ごめんなさい…」
霊夢が落ち込んでしまい、あうんは霊夢の頭を撫でながら言い聞かせると、元気を取り戻す。
「それじゃあ、行きましょうか?霊夢さん。」
「魔理ちゃんはどうするの?」
「そうだな…」
魔理沙はあうんの方を見ると、笑みを浮かべるだけで何も言わないが、霊夢が魔理沙の手を握る。
「………一緒にいくか?」
「行こうよ!」
「魔理沙さんも一緒に行きましょう!」
魔理沙、あうん、霊夢の3人は散歩に出掛けた。最初に向かった場所は、守矢神社だ。
「魔理沙さん、霊夢さん、あうんちゃんも今日は?」
「今日は遊びに来たの…迷惑だった?」
「迷惑じゃないですよ。中でゆっくりしてください。」
3人を中に入れた。早苗は境内の掃除があるので、洩矢諏訪子に頼むと、断られてしまったようだ。
「早苗がいなくてどうするの?私は用事があるから、3人を頼むね。」
諏訪子は出掛けていってしまった。魔理沙は早苗に近づいて、小さな声で質問した。
「本当に大丈夫だったのか?」
「大丈夫ですよ。境内の掃除以外は暇なので。」
「なら良いぜ。紫から後、1週間したら、戻れるらしいぜ。」
「そうなんですか…早いです…」
「早苗。霊夢が消えるわけじゃないんだ。元に戻るだけだ。いつまでも、あのままじゃあダメだぜ。」
魔理沙は早苗を慰めると、霊夢が早苗を見る。すると、早苗の手を握った。
「早苗お姉ちゃん。どっか痛いの?」
「大丈夫です。そうだ!折紙して遊びましょう。」
「折紙やる!」
「折角なので、アリスさんも呼びませんか?」
「私が聞いてくるぜ!」
暫くすると、魔理沙がアリスを連れて来た。上海と蓬莱は霊夢に近づくと、上海と蓬莱は肩に乗っている。
「落ちないでね?」
「シャンハーイ!」
「ホーライ!」
「アリスお姉ちゃん!」
「クッキーを持ってきたわ。後で、皆で食べましょ?」
「ありがとう!」
魔理沙、アリス、早苗、霊夢の4人で折紙をする。上海と蓬莱は霊夢の近くで眺めている。
「む…難しいぜ。」
「鶴できたよ!」
「霊夢上手だぜ!」
「ありが…………」
急に霊夢が倒れてしまった。この状況に、あうんが真っ青になって霊夢を必死に呼び掛ける。
「霊夢さん!起きてよ!?」
「ダメだぜ!?霊夢の意識がないぜ!」
この緊急事態に、守矢神社に紫が出現して、霊夢の状態を調べる。
「紫!?霊夢は何で倒れたんだぜ!?」
「静かにして!今調べるわ。藍!サポートして。」
「畏まりました。」
霊夢を中心にして、結界を構築する。藍が霊夢に触れて、原因を調べる。
(霊夢の体内から妖気の痕跡が!?紫様が言っていた壺に封印されていた妖気が原因か!)
藍が霊夢の体内から妖気を取り出すと、結界で閉じ込める。閉じ込められた妖気が黒く染まり、徐々に消滅し始めた。
「霊夢が目を覚ませば、良いのですが…」
「でもこれで、元の体に戻るはずよ。私としたことが、妖気の痕跡を見落としてたなんて…霊夢を永遠亭に運びましょう。」
霊夢を永遠亭に送る。
「霊夢が目を覚ましたら、お見舞いに行くぜ。」
「そうですね…」
魔理沙、あうん、アリスの3人は博麗神社に向かった。早苗は霊夢が心配のため、書き置きをして永遠亭に向かった。
あれから3日後、霊夢は目を覚ました報告を受けた早苗、魔理沙、あうん、アリスの4人が霊夢の病室に来た。
「魔理ちゃん…」
「霊夢。大丈夫か!?」
「霊夢さん!良かったですよ!」
「霊夢。元気そうで何よりだわ。」
「霊夢さん…」
「皆…ありがとう。」
「霊夢。3日後には退院出来るらしいぜ。」
「うん…」
霊夢が眠いのか、欠伸をしている。
「眠いか?」
「少しだけ…」
「あうん。霊夢の傍にいてくれ。私はちょっと出掛けてくるぜ。」
「わかりました!」
話し合いの結果。あうんは病室に残ることに。早苗、アリス、魔理沙は気分転換に、人里で果物を買いに向かった。
「霊夢さん…本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。あうん…」
「今はゆっくり休んでください。」
「私が眠るまででいいから…手を…」
あうんは霊夢の手を握ると、安心して霊夢は眠ってしまった。
(霊夢さん…もし、元の体に戻れなくても…それでも構いません。傍にいてさえくれれば…)
あうんは霊夢の手を握ったまま眠ってしまったようだ。それから、暫くして魔理沙、アリス、早苗が帰ってくると、あうんと霊夢が寝ている光景を見て、果物を置いて、帰っていった。
それから3日後、霊夢は退院して、博麗神社に帰ってきた。あうんが霊夢に抱きついて、出迎える。
「あうん…ただいま帰ったよ!」
「お帰りなさい。霊夢さん!魔理沙さんはいないんですか?」
「魔理ちゃんは用事があって、遊べないんだって…」
「なら、霊夢さん。私と一緒に遊びましょう!」
「何して遊ぶ?」
「そうですね。フリスビーが良いです!」
「わかった!」
あうんは犬小屋からフリスビーを取ってくると、霊夢に渡した。
「投げるね!」
フリスビーをあうんに向けて投げると、両手でジャンプして、フリスビーをキャッチする。
「あうんもう……うぐ!?」
「霊夢さん!?しっかりしてください!」
霊夢は苦しみながら、体を押さえて、必死に耐えている。すると、霊夢から煙が出てきた。
(熱いよ…)
暫くして、元の体に戻ったようだ。だが、霊夢は再び気を失ってしまった。あうんは霊夢を部屋まで抱えて、寝間着を着せて布団に寝かせる
(昨日、準備していて正解でした。)
あうんは体温計を持ってくると、霊夢の熱を測る。すぐに数値が表示された。
(37…微熱です。河童が作った機械は正確です…)
看病をしているうちに、あうんは眠ってしまったようだ。すると、霊夢が目を覚ました。
(私は寝てたの?)
起き上がると、あうんが寝ているのに気づいた。
(私の看病してくれたんだ…)
部屋にあるカレンダーを見て、目を見開いた。
(2週間!?どうなってるのよ!)
すると、あうんが目を覚ました。霊夢を見るなり泣き出してしまった。
(今はあうんを泣き止ませないとね…)
霊夢はあうんを抱き締めて、泣き止ませる。
「あうん…心配かけたわね。」
「霊夢…さん…怖かったですよ…目の前から…消えちゃうと…」
「あうん…もう少し眠いから、一緒に寝てくれない?」
あうんは頷いて、霊夢に抱き締められた状態で、一緒に眠った。
真夜中に目を覚ました霊夢は、あうんを起こさないように境内に出と、上を見上げて紫を呼んだ。隙間が出現して、紫が霊夢の目の前に降りてきた。
「紫。私に異変が起きなかった?2週間くらい、記憶がないんだけど。」
「話してあげましょう。霊夢に何があったのか…」
紫は2週間の出来事を全て、偽りなく霊夢に語りました。最初は真剣に聞いていた霊夢ですが、次第に顔を赤くして、しゃがみこんでしまいました。
「これが2週間の全て。」
「私が…魔理ちゃん…呼びを!?しかも、早苗とアリスに…お姉ちゃん!?」
「恥ずかしがらなくても、良いじゃない?」
「無理に決まってるじゃない!」
霊夢の隣に上海と蓬莱の2体がいた。
「アリスはいないの?」
「シャンハーイ」
「ホーライ」
上海と蓬莱は頷いている。アリスは忙しいのだろう。
「お見舞いありがとう。」
上海と蓬莱の頭を指で撫でると、嬉しそうに霊夢の肩に乗る。
「霊夢さん!」
「あうん…真夜中に目が覚めちゃたわ。」
あうんは霊夢に抱きつくと、体が震えている。泣くのを我慢しているようだ。いつのまにか、紫、上海、蓬莱はいなくなっていた。
「あうん?今は誰も見てないわ。我慢せずにね。」
あうんの目から涙が流れて、泣き出した。霊夢はあうんの背中に手を回して、泣き止むまで、抱き締めた。
「ぐす…霊夢さん…」
「あうん…見てよ!綺麗な満月だわ。」
あうんと霊夢は真夜中の満月を眺めるのであった。
終わり
霊夢がかわいらしくてよかったですし、それを取り巻く魔理沙たちが霊夢を守ろう守ろうとしているところに友情を感じました