「はい。これ」
「あ、ありがとうございます、お嬢様」
レミリア・スカーレットから漫画本を受け取りながら紅美鈴は礼を言って自室に戻ろうとする。
紅魔館当主であるレミリア・スカーレットとその門番である紅美鈴の仲は決して悪い方ではない。その関係は漫画本を貸し合う程度に親しい間柄である。
「それ、読んでみたけれど、とても良かったよ。ただ、ちょっと、よくわからないところがあるのだけれどね」
「わからないところですか?」
レミリア・スカーレットの言葉に自室に戻ろうとした紅美鈴は足を止めて振り返る。バトル系少年漫画でわからないところがあるとは思えないのだが、主である彼女の疑問を解決するのも紅美鈴の役目である。
「あのね。新手の敵が出てくるんだけれど、そいつの行動がいまひとつ解らないのよ。そもそも、追跡型のスタンドを作る方法とかがわたしにはイマイチ理解出来ないし・・・」
「へえ。そうなんですね」
「あ。因みに敵役である暗殺チームの兄貴なんだけれど、スゴいわよ。電車の車輪に挟まれながら能力発動するシーンとかは凄まじいモノを感じたわ」
「ちょっと、お嬢様! ネタバレは禁止です!」
紅美鈴は慌てて盛大なネタバレをしようとするレミリア・スカーレットの口を手で塞ぐと自身の唇に人差し指を当てて彼女に沈黙を促す。
流石にまだ読んでいない漫画のネタバレは彼女達の間でもNGなようである。
そんな紅美鈴の手をレミリア・スカーレットはペロリと舐める。紅美鈴は「うひゃあっ!」と叫んで慌てて手を離すとレミリア・スカーレットは「この味は嘘をついている味だ!」と漫画の台詞を叫ぶ。因みに察しの良い読者ならば解るであろうが、彼女達が読んでいるのはジョジョの奇妙な冒険の第五部であり、裏切った暗殺チームからボスの娘の護衛する任務中の話である。
「質問は拷問に変わっているんだぜ、紅美鈴」
「もう! お嬢様ったら、すぐに漫画の影響を受けるんですから!」
「うるさいわね。あなただって影響受けやすいんだし、言われたくはないわよ」
レミリア・スカーレットがそう言って舌を出すと紅美鈴は溜め息をつく。
紅魔館の当主であり、500年の年月を生きているとは云え、レミリア・スカーレットは妖怪的に見れば、まだ幼い方である。
故にこの子どもみたいな仕草と姿も可愛いものであった。結局、折れるのは紅美鈴の方である。
「はいはい。それでは改めてお借りしますね?」
紅美鈴はレミリア・スカーレットにそう告げると今度こそ、自室に戻っていく。
そして、いざ、漫画を開いて困惑する。兄貴の覚悟とその最期は確かにスゴかった。
しかし、それ以上に新たに現れた敵の行動がわからなかった。
当然である。今回の敵の使うスタンド──ベイビー・フェイスは人間のとある行為に近い選択を迫るものが多いのだ。先にも述べたようにレミリア・スカーレットは500年の時を生きているが、まだ幼い。
その辺りの知識を知っているかと言われれば、全くの無知というものである──では、紅美鈴はと云うと此方も二つ名である華人小娘と呼ばれるくらいに人間のそう言った行為について詳しい訳ではない。
故にレミリア・スカーレットのように敵スタンド使いの行動が理解出来ない不気味なモノに感じるのだった。
「う~む。お嬢様のいう通り、確かに今回の敵の行動はよく解りませんねえ。なんで、これで追跡スタンドになったんでしょうか?・・・今度、パチュリー様にでも聞いてみましょうかねえ」
こうして、紅美鈴は漫画の中の未知の敵に戦慄しつつ、その内容の面白さに引き込まれて続きを読みふけるのであった。
後日、その漫画に出てきたスタンドの事をパチュリー・ノーレッジに聞いたところ、敵スタンド使いの行動が人間の繁殖行為を真似たものである事と男女の営みについて軽く教えられ、紅美鈴はそれについて赤面しつつ、この事は聞かなかった事にしようと誓うのであった。
それからまたしばらくして今度は刃牙の内容で悩まされるのだが、それはまた別のお話。
《おしまい》
「あ、ありがとうございます、お嬢様」
レミリア・スカーレットから漫画本を受け取りながら紅美鈴は礼を言って自室に戻ろうとする。
紅魔館当主であるレミリア・スカーレットとその門番である紅美鈴の仲は決して悪い方ではない。その関係は漫画本を貸し合う程度に親しい間柄である。
「それ、読んでみたけれど、とても良かったよ。ただ、ちょっと、よくわからないところがあるのだけれどね」
「わからないところですか?」
レミリア・スカーレットの言葉に自室に戻ろうとした紅美鈴は足を止めて振り返る。バトル系少年漫画でわからないところがあるとは思えないのだが、主である彼女の疑問を解決するのも紅美鈴の役目である。
「あのね。新手の敵が出てくるんだけれど、そいつの行動がいまひとつ解らないのよ。そもそも、追跡型のスタンドを作る方法とかがわたしにはイマイチ理解出来ないし・・・」
「へえ。そうなんですね」
「あ。因みに敵役である暗殺チームの兄貴なんだけれど、スゴいわよ。電車の車輪に挟まれながら能力発動するシーンとかは凄まじいモノを感じたわ」
「ちょっと、お嬢様! ネタバレは禁止です!」
紅美鈴は慌てて盛大なネタバレをしようとするレミリア・スカーレットの口を手で塞ぐと自身の唇に人差し指を当てて彼女に沈黙を促す。
流石にまだ読んでいない漫画のネタバレは彼女達の間でもNGなようである。
そんな紅美鈴の手をレミリア・スカーレットはペロリと舐める。紅美鈴は「うひゃあっ!」と叫んで慌てて手を離すとレミリア・スカーレットは「この味は嘘をついている味だ!」と漫画の台詞を叫ぶ。因みに察しの良い読者ならば解るであろうが、彼女達が読んでいるのはジョジョの奇妙な冒険の第五部であり、裏切った暗殺チームからボスの娘の護衛する任務中の話である。
「質問は拷問に変わっているんだぜ、紅美鈴」
「もう! お嬢様ったら、すぐに漫画の影響を受けるんですから!」
「うるさいわね。あなただって影響受けやすいんだし、言われたくはないわよ」
レミリア・スカーレットがそう言って舌を出すと紅美鈴は溜め息をつく。
紅魔館の当主であり、500年の年月を生きているとは云え、レミリア・スカーレットは妖怪的に見れば、まだ幼い方である。
故にこの子どもみたいな仕草と姿も可愛いものであった。結局、折れるのは紅美鈴の方である。
「はいはい。それでは改めてお借りしますね?」
紅美鈴はレミリア・スカーレットにそう告げると今度こそ、自室に戻っていく。
そして、いざ、漫画を開いて困惑する。兄貴の覚悟とその最期は確かにスゴかった。
しかし、それ以上に新たに現れた敵の行動がわからなかった。
当然である。今回の敵の使うスタンド──ベイビー・フェイスは人間のとある行為に近い選択を迫るものが多いのだ。先にも述べたようにレミリア・スカーレットは500年の時を生きているが、まだ幼い。
その辺りの知識を知っているかと言われれば、全くの無知というものである──では、紅美鈴はと云うと此方も二つ名である華人小娘と呼ばれるくらいに人間のそう言った行為について詳しい訳ではない。
故にレミリア・スカーレットのように敵スタンド使いの行動が理解出来ない不気味なモノに感じるのだった。
「う~む。お嬢様のいう通り、確かに今回の敵の行動はよく解りませんねえ。なんで、これで追跡スタンドになったんでしょうか?・・・今度、パチュリー様にでも聞いてみましょうかねえ」
こうして、紅美鈴は漫画の中の未知の敵に戦慄しつつ、その内容の面白さに引き込まれて続きを読みふけるのであった。
後日、その漫画に出てきたスタンドの事をパチュリー・ノーレッジに聞いたところ、敵スタンド使いの行動が人間の繁殖行為を真似たものである事と男女の営みについて軽く教えられ、紅美鈴はそれについて赤面しつつ、この事は聞かなかった事にしようと誓うのであった。
それからまたしばらくして今度は刃牙の内容で悩まされるのだが、それはまた別のお話。
《おしまい》